備えよ常に:チャンスはこうしてつかまえる

2015年6月15日

先週、パタンナーの長谷川彰良さんと「メンズファッションの源流」というコラボセミナーをおこないました。本ブログでも書きました通り、自分で言うのも厚かましいのですが、すでに伝説の講座として語られるほどの大成功をおさめました。私自身も勉強になった刺激的な経験ではありましたが、上から目線に見えたら恐縮ながら、まだ20代の彼のデビューを、私がバックアップしたセミナーでもありました。彼にとっては「ビッグチャンス」であったわけです。

そこで、チャンスのつかみ方という視点で長谷川さんの行動を俯瞰してみると、やはりそれなりの備えと行動を続けていたことがよくわかります。今日はその経緯をご紹介します。チャンスはどこに転がっているのかと悩む多くの若い人にとってのヒントになれば、幸いです。

長谷川さんは、ヴィンテージウエアのマニアックなコレクターです。19世紀中ごろから20世紀中ごろにかけてのさまざまなメンズウエアを大量に買い集め、夜な夜な徹底的に解剖し、ときには当時の型紙をそのまま使って「現物」を縫い上げるなどという変態的な(ホメ言葉です)ことをしながら、メンズウエアの研究にどっぷりとつかりきっています。

時は3年前に遡ります。今やテレビでも紹介されてすっかり有名になられましたが、フランスでテイラーとして活躍する鈴木健次郎さんにご指名いただき、私は彼のデビュートークショーのお相手を務めさせていただきました。その時、会場となった銀座和光のサロンで、「肩傾斜」がどうの、というきわめて専門的な質問をして強い印象を残す若い方がいらしたのですが、それが長谷川さんでした。

私の本をぼろぼろになるまで読み込んでいる、という長谷川さんはその後も、私の講演やトークショー、サロンなどに姿を見せ、会場では必ず強烈に印象に残る質問をしていきました。

そうこうして顔を覚えるうちに連絡先も交換するようになりますが、彼は折を見て、「自分のヴィンテージウエアのコレクションをぜひぜひ見に来てほしい、絶対、感動させてみせます」というアピールをしてくるのですね。

そのタイミングも絶妙で、熱心なのだけれどストーカーではない程度。社交辞令ではなく本気らしいとわかったころ、しょうがないなあとあきらめ(笑)、やや渋々ながら、長谷川さんが勤めるアパレル会社の倉庫まで拝見しにうかがったのが、今年の2月14日。

その膨大なコレクションそのものの圧倒的な面白さと、それを語る長谷川さんの「狂い」(これも、ホメです)の入ったプレゼンテーションに感心し、これは私一人で聞くのはもったいない、もっと多くのメンズウエア関係者に聞かせたい、と思い、その感動をそのままお伝えしました。

彼はそれを「リップサービス」とは受け取らず、また、「まだ自分は若すぎるから無理」とも思わず、あっという間に具体的に話をとりつけてきたのです。

機を見てはアピールする、ということをあきらめず地道に続け、いざ時が来たら確実にチャンスをものにできるように備えを万全にしておく。この3年間の彼の行動と成長を見ていると、チャンスをつかんで人生を切り開いていくというのはこういうことか、と教えられる思いがするのです。

備えよ常に。Be Prepared.

ボーイスカウトを創設したロバート・バウデン=パウエルによる、ボーイスカウトのモットーです。本来は、困難に備えよ、いざとなれば国のために命を投げ打つ覚悟をせよ、という文脈でも用いられてはいましたが、ここでは、必ず到来するチャンスに備えよ、との意味をこめて使わせていただきます。不遇をかこつ暇があったり、人をやっかんで中傷するエネルギーがあったり、無駄な時間を過ごしているなという自覚があったら、すっぱりと心と行動の方向転換をして、着実に、未来に向けてのチャンスの種まきをしていきましょう。

志高く努力している若い人を助けたい、と思っている大人は、意外と大勢いるものです。

2 Comments

  1. kyouko amemiya より:

    カオリさんの文章から彼のパワーや情熱がすごく伝わります。
    出会いとは、本当に素晴らしいですね、
    常に、備えよ
    ズシッと心に刺さりますね。
    目標を持ち、突き進む方は、年代関係なく、素敵で、学ばせていただけますね。

    • Kaori より:

      >kyoukoさま
      自分が発信し続けていると、同じような志やメンタリティをもった人が引き寄せられてくるものだなあ……と実感します。
      「備え方」はその人に応じて違うのだと思いますが。

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