Jun Ashida & Tae Ashida 2019-2020 AW Exhibition.

今シーズンからメンズをスタートしたTae Ashida. 展示会場にはメンズファッションのジャーナリストの方々もいらして、よい雰囲気。

かねてからファッションは男性と女性セットで考えるべきと申し上げており、著書や記事にもできるだけその姿勢を反映させていますが、やはり展示会場に身をおいても、一方のみに偏っていないほうがほっとします。

最初のシーズンということもあり、当初は試行錯誤の連続で、パンツのファスナーをレディスのように横につけたりという「うっかり」もあったそうなのですが、それも後日、笑い話になるでしょう。継続こそ力、ぜひ、メンズコレクションは続けていただきたいと思いました。上の3枚の写真、すべてメンズコレクションからですが、女性とシェアするのも可能ですね。

レディスのほうがもちろん、圧倒的に数も多く、素材やデザインにまつわるエピソードも多かったのですが、今回、とりわけ心に残った話をひとつだけ。

各グローバルブランドがファーを使わない宣言を続々出しています。今シーズンはプラダもファーを使用しない宣言をしました。ファーをめぐっては、天然素材でサステナブル、最後は土に還るという「エシカル」な素材であるという主張もあり、議論は常に平行線をたどっています。

それに対し、ジュン アシダのスタンスは……とくに何も宣言しない。今シーズンはファーに替わるあたたかそうな素材を使ったコートを増やしていますが、ファーはない。でも政治的な配慮でそうするわけではない。

この姿勢は、社長の山東さんのお話によれば、「お客様を思ってのこと」。今、トレンドに乗って「ファーを使わない」宣言を出してしまえば、これまで自社のファー製品を買ってくださったお客様に対して一貫した姿勢を示していることにならず、申し訳が立たない。今シーズンはたまたま結果としてファーが出ていないだけで、また時流が変わればファーを使う可能性もあるかもしれない。そういうスタンスでいることが、これまでファー製品を買ってくださったお客様の信頼を裏切らないことになる、と。

顧客第一主義ともよべるこの姿勢は、創業者の芦田淳さんから受け継がれているものでしょう。自社製品を買ってくださるお客様のことを常に第一に考える。芦田淳さんがパリコレから撤退したのも、メディア受けのよいショー用の服を作るより顧客が求めるリアリティのある服作りに注力すべきと判断したから。

ファーに対する姿勢も、ブランドの礎にある考え方、顧客第一主義と結びつく。ブランドは常にこうした一貫性を示すことができることを求められる。翻って自分の仕事においてはどうなのか、学びの多い展示会でした。

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