〇Voicy 荒木博行さんのbookcafe にて「アパレル全史」をご紹介いただきました。声によるレビュー。こちらです。

 

〇ロベルト・ベルガンティ「突破するデザイン」読了。私が「ラグジュアリー」についてこれまで書いてきたことと重なる部分も多く、ぼんやりと考えてきたことを言語化していただいたような感慨も深く、さらに、その実践をこのように公式化するのかと学ぶところが多かった。以下、「・」は覚えておきたいことの本文からの引用メモ(若干省略あり)、および最後に全体的な感想。

・ソリューションから、意味のイノベーションへ。意味、価値が感じられる贈り物を作れ。贈り物に意味を与えよ。

・毎日の生活の中で人々は意味を探し求めている。

・意味には3種。功利的な意味。ある行為が他者にメッセージを伝える象徴的な意味。行為の価値を表す情緒的な意味。

・生活レベルに関わらず、人間はダンス、歌、愛、そして意味の探索をおこなう。

・無限の選択肢は、解放よりも麻痺につながる。

・意味のイノベーションは贈り物として登場する。それはもともと人々が期待していないものだが、ひとたび目にすると虜になってしまう。

・私たちはよりよい性能ではなく、自分たちにとって意味深いことに心奪われる。よりよい性能を約束する人は、性能をめぐる孤独な闘いに参加する多くの人々の中で、寂しさを感じるに違いない。意味深く価値のある何かを愛する時、私たちは性能という観点で考えてはいない。私たちはユーザーではなく、人間とみなされる時に心を奪われるのである。そして永遠の愛、これが私たちが新たな意味について語る理由である。変わり続ける世界の中で、永遠の愛がやってくる。愛は分かち合いの旅である。意味は変化するが、永遠の愛は残る。

・意味のイノベーションのプロセスは、次の質問から始まる。「私たちが人々に愛してほしいものは何か?」

・批判とは、より深くものごとを解釈していく取り組み。批判は、ものごとの表層の下にあるものを掘り起こすことに努めること。

・自分の視点からの仮説を、他者からの批判にさらすことによって、私たち自身と他者は深いところに行き、私たちの仮説の基礎になっている前提を見つけ出す。その前提に、しばしば私たちは気づいていない。

・批判は、私たちを揺さぶり、前提をはっきりとさせ、もはや意味がないかもしれない過去を取り除く方法なのだ。

・スパーリングパートナー=不十分な直感を壊されることなく示すことができる信頼すべき相手。スパーリングパートナーはあなたの方を軽々と叩かないで、ハードパンチで応えてくる。それはあなたをノックダウンしたいのではなく、あなたを強くしたいからだ。

・画期的なイノベーションは批判精神によって鍛えられる。

・ラディカルサークルは、ビジョンを成長させるために必要な、建設的で共感的な相互批判に有益な環境。

・ラディカルサークルの間での信頼を創るのは、変化を志向する、共通の良き意志。共有された現状への違和感は、信頼の基礎となる。

・与えられた選択肢から選ぶことで、恋に落ちることはない。人は選択することも、選択肢を熟考することもなく、瞬間に、そして不可避に恋に落ちる。

・意味のイノベーションは深さに焦点を当てる。

・そこに愛が見えなければ、単にそれはまだ早すぎるということだ。その場合、私たちはさらに深く掘り下げて、何がうまくいかないのかを理解する必要がある。そしてビジョンを明確にし、批判によって新たな解釈をつけ足していく。新しい衝突と新しい融合を経て、意味が現れるまで、このプロセスを繰り返す。

・考えは深く、表現は軽く。

かつて80年代に、人文学の文学批評で盛んにおこなわれていたことと似たようなことが、いま、ビジネスの世界で行われているというような既視感がある。かつて「何の役に立つのだ……」とぼんやりと思いながら修行としておこなってきた文学の解釈の訓練が、おそらく、マーケティング、ないし「商品やサービスに意味を与えること」に役立つような予感がしている。

内から外へ。起点を自分に。量ではなく深さ。ただ一点の深さへ。それが永遠の愛につながる唯一の道、という考え方は、実は普遍的な真理として分野を変え、表現を変え、脈々と教え伝えられてきたものだ。

 

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