2022.2.22の日は2時から、ブランディング、服装、マーケティングに関する講座でした。

帰り際に、高輪チョコレートサロンの赤いチョコレートボックスをいただきました。出血大サービスをしたつもりでしたが、それ以上のプレゼントをいただいた気分。

 

仕事における服装は「身だしなみ」ととらえられがちで、まあ、それはそれで大前提となり身だしなみを整えるのは最低限のビジネスマナーだとは思いますが、そこにプラスして、「投資」という発想を持ち込むとよいと思います。5年後の自分に対する投資。

Be Prepared. 備えよ常に、です。いつどんなチャンスが到来しても、服や靴を理由にひるむことのないように、投資しておく。5年後も活用でき、さらに、チャンスも増えて世界が広がるとしたら、「投資」しない理由などないのです。難しく考える必要はありません。すぐに捨てる安物を買わない。3着買う予算があるならその予算内における最高の1着だけ買う。毎日、安い服をとっかえひっかえする必要はありません。悠々と同じ服を着ていればいいじゃないですか。晩年のシャネルは気に入った2着のスーツだけをもち、それを交互に着ていたそうです。

 

いよいよ初校ゲラが届き始めました。

『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』(クロスメディア・パブリッシング)、3月末に発売予定です。Forbes JAPANでの連載の共著者、ミラノ在住の安西洋之さんとの共著になります。連載の方向は踏襲しつつ、内容、形式は大幅に書き換え、ほぼ書き下ろしです。

 

 

次の本も(というか本来そちらが早いはずでしたが逆になってしまい)淡々と進めております。

 

 

日経新聞土曜夕刊連載「モードは語る」。

本日は、テーラード業界を救う?女性のテーラード需要と女性テーラーの話を書きました。

サヴィルロウでは象徴的存在だったギーブズ&ホークスの親会社が倒産。老舗も続々実店舗を閉めました。代わりに台頭しているのが女性のテーラード需要に応える店舗と女性テーラーです。

 

写真は廣川輝雄さんの蒲田オフィスで仮縫い中の筆者です。何年か前の、まだ「仮縫い」「中縫い」が新鮮に思えていたころの(笑)写真です。

電子版ではこちらからお読みになれます。

大活躍中の教え子?さんからゴージャスなお花をお贈りいただきました。

毎年、忘れずにいてくれることがありがたく、元気が出ます。

お花のボリュームがかかえきれないくらいで、花瓶二本に分けて飾りました。一度に春が来たような。この潤沢さこそ「ラグジュアリー」ですね。(笑)

まだまだ寒さは厳しいですが(今年はとりわけ寒い)、日は長くなり、光は和らいでいます。確実に次の季節が近づいていますね。(21日は春分の日だし)

 

北日本新聞別冊「まんまる」、連載ファッション歳時記第126回は「宇宙から帰還したカウボーイハット」。

Forbes Japanでも紹介しました村木さんのお話を、別のアプローチで書いています。

すっかり宇宙視点でモノを見るようになったこの頃。「視点を変える」と見慣れたものも少し違う見え方をしてきます。

ある企業のオウンドメディアから依頼を受け、大阪万博1970年をめぐるファッションと文化について、4000字強を書きました。

3月にウェブで公開されます。

そうなんです、北京オリンピックの騒ぎの影にかくれながらも、大阪万博2025へのカウントダウンが着々と始まっているのです。時間が経つのは本当に早い。

上記二冊を主に参考にしつつ、ファッション史からの資料を駆使しました。知らなかったことばかりで、学びが多かった。新しいテーマへのチャレンジは、成長できる感覚や新たな発見があるのがありがたいです。

洋服のお直しの「心斎橋リフォーム」の副社長、内本久美子さんにしばしばドレスを作っていただいているご縁で、同社パンフレットにコピーを書かせていただきました。

久美子さんはほんと、仕事が早くて的確なのです。ますます店舗も増えていますね! ご同慶の至りです。捨てる前にリフォームを考えるの、ほんとおすすめです。

いまは30年前に買って一度も使っていなかった和装用のバッグを洋服用にリフォーム(表地の張替えがメインです)してもらっています。どんなものに生まれ変わるのか、楽しみです。

 

ドーダ感が恐縮ながら、「外国人がしゃべる、一生懸命でたどたどしい英語が、まあ、がんばってるので好感持てるな」路線を目指し、初の英語スピーチ動画撮影でした。

 

ドレスはアクリスです。撮影にご協力いただいたのは、ザ プリンスギャラリー東京紀尾井町です。

料理長が美しいスイーツプレートまでサービスしてくださいました。感激です。ありがとうございました。

 

2分くらいの動画を撮るのに、前日準備含めてなかなかのエネルギーを使いました…。

ミモザを中心にした花束は、青菜台のチャコさんです。いつもありがとうございます。

動画は来月公開されるそうです。恥はさらしてこそ成長する。と思いたい。

Forbes Japan 連載「ポストラグジュアリー360°の風景」更新しました。

今回は、ソニーの宇宙ビジネスとラグジュアリーの関係についてです。

宇宙エンジニアにして宇宙哲学者でもある村木祐介さんに取材をしました。前半を安西さん、後半を中野が書いています。「スフィリズム」「スペーシアン」などの宇宙哲学用語も新しい視点を与えてくれます。

The Journal of Japanese Studies Vol. 48 has been publishd.

 

The Journal of Japanese Studies is the most influential journal dealing with research on Japan available in the English language. Since 1974, it has published the results of scholarly research on Japan in a wide variety of social science and humanities disciplines.

 

I have written a review on Japan Beyond the Kimono.

 

Jenny Hall, Japan Beyond the Kimonoのレビューを寄稿しました。上記クリックするとお読みになれます。

評した本はこちらです。

〇NewsPicks で取材を受け、コロナ後のファッション、ファッションビジネスから見る社会の変化について語りました。

 

【直言】ファッションが示す、「サステナブル」の次 (newspicks.com)

・デザインよりも企業姿勢
・サステナブルの次に来る「コンシャス」
・人権、ジェンダー、文化の盗用に見る「脱植民地主義」
・アニマルフリー、ビーガン、産地の幸福
・1970年代の多文化主義の見直し
・現実世界での機能主義、デジタル世界での夢追求

こういうワードにピンと来たらぜひお読みいただけますと幸いです。ラグジュアリーブランドやモードの世界にとどまる話ではありません。文化の盗用問題、人権の問題に関しては、全員が「意識的」でなければならない時代になっています。

 

 

〇「JOJO magazine 2022 spring 」ジョジョファッションの解説をいたしました。3月19日発売です。

 

 amazonでの予約受付が始まっています。

 

 

『ナイトメア・アリー』試写拝見しました。

濃厚な、極限の最悪な悪夢を見ているような時間が2時間半。世界の見え方が変わる寓話。強欲な資本主義への警告にも見える。あなたは獣か人間か。

見終わるとぐったりしてしばらく立ち上がれませんでした。ギレルモデルトロのダークなイマジネーション炸裂の最高傑作、更新。

1939年、40年あたりのコスチュームも美しいし、インテリアそのものもスペクタクルになっている。カーニバルはトッド・ブラウニングの「フリークス」を連想させるし、おどろおどろしさと不穏な世界観はギレルモ節全開。

 

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

3月25日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

映画『ゴヤの名画と優しい泥棒(The Duke)』。


あの不朽の傑作『ノッティングヒルの恋人』の監督、ロジャー・ミッシェルの遺作となった長編です。ザ・プレイハウス(青山店)でのプライベートシアターで鑑賞させていただきました。

映画は、1950年代にイギリスで起きた実話をもとにしています。〈ロンドン・ナショナル・ギャラリー〉で起きた、フランシスコ・デ・ゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件。

当時の労働者階級のリアリティ、家族の絆、イギリス社会の不平等とそれに対して果敢に闘う人に向けられるさりげない共感が、ミッシェルらしい優しい目線で描かれます。現代社会へのメッセージとしても響くようなセリフも多々あり、最後は心がほっこりとあたたかさに包まれます。

このプライベートシアターには、英国王室御用達のオーディオブランド「LINN(リン)」が、ザ・プレイハウスのために特別設計した5.1chサウンドシステムとして搭載されています。

ゴヤの「ウェリントン公爵」は、映画『007 / ドクター・ノオ』にも登場するんですよね。「007」グッズだらけのこの部屋でなぜこの映画なのか? 最後には違和感がなくなる。

2月25日(金)からTOHOシネマズ シャンテ他で公開されます。

パブリックスペースにいらっしゃる方々もゆかたという環境なので、カジュアル着物で歩いていてもまったく違和感のない絶好のロケ地でした。

ダースベイダー×アカレンジャーをイメージしたコスプレか?と笑われる前提で…。
日本のクリエイターの応援活動でございます。

赤い備後木綿のカジュアル着物は、大阪で「音遊」を立ち上げた宮田真由美さんプロデュース。
帯は宮田さんの夫君、宮田雅之さんが展開する和男師のもの。姫路レザーをエナメル仕上げしてあります。バックルは漆塗りで螺鈿の装飾でしあげてあります。

赤い着物はノブさんこと関西学院大学教授の井垣伸子さんが着ているのを見てクリエイターにコンタクトをとり、日経で記事化、自分でも買ってしまいました。ゆかたのように簡単に着ることができます。(着付けが下手なのは見逃してくださいませ)


羽織っているコートはH&Sons 廣川輝雄さんの傑作。表は総カシミア、裏地は赤薔薇柄です。
熟練テーラーが自由な創造力を発揮するととんでもないラグジュアリーが生まれるという、ブルネロクチネリ的な例でもあります。

日本の職人さんは生真面目で決められた枠内のことを誠実に丁寧にこなしていいものを作る、というステレオタイプのイメージがあるようですが、いやいや。そういう仕事ももちろん大切なのですが、秘めたクリエイティブ・ポテンシャルも相当高いのです。職人の枠を超えて、クリエーター、デザイナー、アーチストとして世界に羽ばたいてほしいと思う方が大勢いらっしゃいます。(くどいけど、職人は職人として貴重な仕事をなさっているのですので尊敬しているのです。ただ、報酬や評価の問題になった時に、職人とデザイナーではけた違いになることがある。それ、悔しくないですか?)

職人、デザイナー、アーチストの違いについては、安西さんのこちらの論考が参考になります。

「職人とデザイナーの違いは何か?と聞かれたあるデザインの巨匠は、『椅子とは四本の脚があり座面があるものと考え作るのが職人。デザイナーは階段の一つに座布団をおいたのも椅子と考える』と答えた例があります。(中略) 職人とアーティストの違いに関しては『職人は扱う材料と技術の枠組みでの伝承をメインにおき、アーティストはアート史のなかでの評価に注意を傾ける』」

産地、作る人、売る人、着る人、関わる人全てが自由な想像力を発揮しながら有機的につながり、未来への持続可能性の広がりをみせるのが、新しいラグジュアリーのあり方です。人間はシステムの歯車ではないし、ブランドの権威をありがたがる植民地の民でもない。

海外のお墨付きや権威をありがたがる「植民地の民」メンタルから、いいかげん、脱出しましょう。

Be Independent.  Be Confident. Be Imaginative. (で、ここで英語かい。笑)

くどい写真が続いてげんなりしていらっしゃるかもしれないので、癒しの雪だるまを。リッツカールトン日光のスタッフが作っていらしたようです。お子様たちをも楽しませようとするホスピタリティ、ほんとうにすばらしかった。

 

 

 『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』クロスメディア・パブリッシングより3月28日発売です。アマゾンでの予約受付が始まっています。

そのように雄大な男体山と中禅寺湖を臨むザ・リッツカールトン日光は、温泉旅館とラグジュアリーホテルのいいところを融合させたような、心身の湯治にも効くスピリチュアルホテル。

男体山ビューの部屋からのぞむ景色。バルコニーもついています。寒すぎて出られませんでしたが。

レイクハウス以外のパブリックスペースはどこでもゆかたのような着物ですごすことができるので、リラックスしたまま食事やお酒を楽しめます。このゆかた(と呼ぶのも憚られますが)がハリのある上質な生地で作られているので、寛げるのにきちんと見える。館内用バッグも風呂敷をアレンジしたもので、おしゃれで上品。

天然温泉がまたすばらしく、サウナのあと男体山と雪景色を眺めながら露天につかって冷気を深呼吸、というのを何回か繰り返したら、身体中の水と気が入れ替る気分になれます。中禅寺のお坊さんによる朝の坐禅修行が、沁み入ります。

あらゆるプレゼンテーションがきめ細かく、意味がない細部が全くない。温泉につながる外廊下の天井にも寒くないようにヒーターがついていました。天井にヒーター(9枚目)? 世界を見る目が鍛えられる思いがします。

ウェルカムのいちご。最初から部屋に置いてあるのではなく、部屋に入ってから30分後くらいにサプライズで冷たくフレッシュなものが届けられるんですね。とことん、完璧が尽くされる。

いちご王国にふさわしいカクテル、ストロベリーキングダム。感動の余韻が延々と続く美味しさ。

スタイリッシュにお酒がディスプレイされるバー。

ラウンジの食事、日本料理レストランの朝食も、妥協のないハイレベル。上はラウンジでいただいたハンバーガー(半分に切ってあります)。ポテトはこうじゃなくては!というカリカリのフライ。


朝の和定食。ここにさらに半熟卵と黒豆納豆、赤だし、フリーの乳製品やミューズリーなどがつく。

焼きたてのパンも。食べきれなかったらバッグを用意してくれ、お部屋にお持ち帰りさせてくれます。

レイクハウスの照明。内側には「釣り」をモチーフにした絵が描かれています。

東武日光からさらに車やバスで50分ほどかけて山に登る、という決して便利ではない場所にありますが、苦労して行く価値が十二分にあるデスティネーションホテルですね。あらゆる時間を驚きで満たすおもてなし。心底、感動しました。前後で明らかに感性が影響を受けていることが実感できます。

このあたりはスカイツリーをふたつ、縦に並べたよりも高いという標高なのですが、とにかく骨が痛くなるくらい寒い。

華厳の滝がこんな感じ。水の周辺がつららになっています。こんなつららだらけの真冬の滝を見るのは初めてです。

中禅寺湖。夏に来たら湖畔のレジャーを楽しめたのでしょうが、とてもそんな気分にはなれない寒さです。

ニュージーランドのクイーンズタウンを思い出していました。

そして美しき男体山。


時間帯によって刻々と表情を変えるので見飽きません。上は朝日を浴びている男体山です。崇高すぎて涙がが出てきます。

 

数日前の奥日光ロケの記録(というほどでもないですが)。

初の東武日光駅。かなり寒いです。

こちらはJRの東武日光駅。クラシックな佇まい。

ホームの中。ゆったりした時間が流れて居ました。

ここからさらにバスに乗って、おそろしくくねくねした「いろは坂」を上りに上ってさらに日光の奥へ。

太陽が見えていながら、ちらちらと雪が降っていました。いろは坂はこの季節、通行止めになることもあるとのことで、好天に恵まれたのはありがたかったです。

周囲の風景を見ていたらあっという間でしたが、50分ほどバスに乗って、降りた先が、ここ。

ザ・リッツカールトン日光。

奥に見えるは男体山。低層階ホテルには安心感がありますね。

CDジャケットにありがちな構図。笑

 

NewsPicksに書いたコメントからの転載です。エリザベス女王即位70年を祝うムードを、アンドリュー王子とハリー王子夫妻が台無しにしているという趣旨の記事に対するコメントです。
「英国王室スキャンダル史」(ケネス・ベイカー著)という本があるほど英国王室はスキャンダルとともにあり続けてきました。
品行方正で倫理的な王室メンバーばかりではない。むしろ人間くさくどうしようもなく愚かなところを見せてくれるからこそ、注目を浴び続け、愛されてきたような一面が英国王室にはあります。かつては英語を話せない国王もいたし、ハニートラップとしか思えない状況で国王をやめてしまった王もいた。この程度のスキャンダルは、むしろ「圏内」のように見えます。生涯を国家に捧げると誓ったとてつもなく安定した気質のエリザベス2世の威光と、問題児アンドリュー王子や反乱児ハリー王子夫妻の影。この対極あってこそ歴史家やジャーナリストは筆をふるい、人々の関心をひきつけ、「家族とはなにか」「王室の存在意義は」という議論が盛り上がったりする(関心のない人はとことん無関心だし)。英王室は多民族からなる複合国家の象徴でもあり、複雑化・多様化する社会や家族像の反映にもなってきました。ファミリーの反逆児はどの家庭も抱える問題。それに対して家長がどのように対応するのか、反逆児はその後どうなっていくのか、すべてがリアルな人間的関心の的です。だからこそ、英王室は各時代のクリスマスツリーのてっぺんの飾りのような存在であり続けることができるのです。あとからふりかえって、このファミリーの問題をきっかけに時代を語ることができる。そんな存在、貴重です。

次の国王となる予定のチャールズ皇太子は、故ダイアナ妃をめぐるスキャンダルでいろいろ非難も浴びましたが、いまは地球環境問題において世界でリーダーシップをとる存在です。当初、悪女呼ばわりされたカミラ夫人も、誠実に公務をこなして今では好感度も高く、女王までもが「未来にはカミラにクイーン・コンソート」の称号をと言っている。ひとりひとりの人間の成長はこうやってもたらされ、人の評価というのはこのように変わるのか……ということを考える人類共通のネタ(失礼)をも提供してくれています。

メーガン・マークルの項目を書き換えたくてしょうがない……。生きている人を書くことの難しさ。

新刊発売のお知らせです。『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済10の講義』が3月末、クロスメディア・パブリッシングより出版されます。ミラノ在住の安西洋之さんとの共著です。アマゾンでの予約受付が始まりました。

コロナ禍に入ってすぐに多くの方々と対話、取材、議論を重ねてきました。最後は宇宙視点まで含んでいます。これからの10年を見据えた社会と経済のあり方を考えるための「新しいラグジュアリー」という視点、読者のみなさまと共有できればと願っています。