世界でもっとも知られた日本のデザイナーの一人でした。フランスからもイギリスからも、名だたる勲章や賞を授与されています。ファッション界の巨匠ですが、テクノロジー、研究開発、実験など、むしろ理系のことばが似合う、独自の衣服デザインを展開していました。

プリーツ・プリーズにしても、流行に左右されない機能性と美を持つ便利なアイテムとして日常に溶け込んでいるという意味で、ファッションというよりもむしろ工業製品に近い印象です。

研究と改良をおこたらなかった一生さんは、どちらかといえば「エンジニア」と呼びたくなります。故スティーブ・ジョブズがイッセイ・ミヤケの黒いセーターを愛し、これをトレードマークとしていました。ふたりには、装飾をそぎ落とし、本質を追求する姿勢を貫くという点で、相通じる志向を感じます。

幼少時の被爆体験を告白したときには、「破壊ではなく創造できるものについて考えることを好んできた」と語っています。平和に対する強い意志を持ち続けた、素晴らしいデザイナーでした。

Mame Kurogouchi 黒河内真衣子さん、CFCL 高橋悠介さんはじめ、頼もしい後進も育てられました。多くの感動、インスピレーションをいただきました。ありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

*写真は文部科学省、平成22年度文化勲章受章者としての三宅一生(かずなる:本名)さん。Wikimedia Commons

 

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