◇リリー・フランキー二冊。まずは『エコラム』(マガジンハウス)。分厚い。久々にたっぷり、リリーワールドを堪能。下ネタばっかりといってもいいくらいなのだが、リリーさんが正直なので読後感が不思議にさわやか。笑いをこらえるのに必死な、しょうもなすぎるバカ話のなかに、鋭い真実があるのがいい。
この本の白眉は、「男と女の妄想力」(前篇・後篇)。思い違いをしていたり、メディアのつくった幻想にまみれすぎていたりする男女のみなさんには必読でしょう(賛否はかなーりありそうだが)。
下ネタも出しっぱなしではなく、きちんと(時々)収束させているところに、独特の知性が光っている。
「歴史上の哲学者などが、愛や平和や人間について考え、哲学する時は何か統一した答えを探し出そうと話し合ったものだが、ことエロに関しては、その時代から、完全に個人の見解なのである」
で、リリー氏が感じるエロとして、「月給よりも、時給の方がエロい」というセンテンスがあったりするのである。超個人的。
◇もう一冊は、『リリー・フランキーの人生相談』(集英社)。週プレの連載コラムの単行本化版。リリーさんが実際に相談者に会って、話を聞く。どうしようもないほどくだならい、脱力レベルの相談が多いのだが、それに対するリリーさんのリアクションの言葉がなんともおかしいので、虚しくならずに読める。
「実際に話していくうちに、その人物の最大の悩みは、アンケート用紙に書かれていることではないことに気付いていく」という指摘にはっとさせられる。「人は、人に相談する時、相談用の相談を用意して紙に書いてくる」。
堀江貴史氏と田代まさし氏の相談も収録されている。相手に遠慮なく(といってもリリーさんなりの繊細な気配りはあるのだが)、ずばずば言ってやっているのが気持ちいいし、なんともいえぬおかしさが生まれている。私も相談に乗ってほしいくらい。
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