三島由紀夫『夏子の冒険』(角川文庫)。三島作品で読んでいなかったのがまだあった!と発見して即購入@ヴィレッジバンガード。ここには「アレな人」(ヴィレッジバンガードのビニール包装に書いてあるママ)が多いというだけあって、ときどき変な拾いものがある。

ブルジョワのわがままお転婆お嬢様の夏子が、現実の男たちの退屈さに飽き飽きして北海道の修道院入りを決心し、その道中で「これは!」という青年に出会って冒険についていくものの、青年がほかの男たちと同じに凡庸になったところでやはり修道院入りを決意する、みたいな昭和初期ガーリッシュがほのぼのする小説。三島作品でなければ最後まで読んでなかったかもしれない(苦笑)習作っぽい作品。三島26歳の作品。とはいえ、ところどころに「らしい」表現が光っているのを発見しながら、リラックスして楽しめる。

本音をいえば、このテの「お転婆お嬢様」ヒロインのメンタリティも行動もよくわからないし、まったく共感が抱けない。男が勝手に妄想しているヒロイン像ではないかとも思ったりする。単に自分にその資質がないだけの話かもしれないが。

巻末の解説で、村上春樹の『羊をめぐる冒険』が、本書のパロディまたは書き換えであるという仮説が近年でてきていることを知る。

この本の近くに並べてあって、つい買ってしまったのが、『大猟奇』と澁澤龍彦の『快楽主義の哲学』。前者は本気で気分が悪くなる描写ありすぎで、生理的にムリだった。こういうのと三島のガーリッシュ本が並んでいるあたり、「アレな人」マーケティングの成果か。

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