延び延びになっていた『スーツの神話』の電子書籍版、仕上げに没頭中。ちょうど干支一回り前に出した「デビュー作」で(ブランメルに出逢ってしまい、資料を集めはじめたのは、さらに干支二回り前)、気負いもあってハズカシイところも多いのだけれど、そのときの熱気のままにしといたほうがいいのかな。とかなんとか迷いつつ改訂をすすめる。フリーで使える図版が増えたこともあって、図版を大幅に増やそうとしている作業の中で、「そうだったのか!」の発見も多い。

たとえば、チェスターフィールドコート。これが画期的だったのは、ヴェルベットの襟というよりもむしろ、「ウエストの切り替えがない」点。それまでのオーヴァーコートにはすべてウエストの切り替えがあった。

また、ロンドン大火(1666年)でロンドンの家屋の85%が焼失した後、木造住宅を禁止する規制が敷かれていたことも初めて知った。ペスト→ロンドン大火のあと、チャールズ2世が衣服改革宣言を出して「スーツのシステムが誕生」するわけなのだが、これまでは「災厄続きはだらしない宮廷への天罰。まず服装から改めるべし」というような視点でこの宣言をとらえていた。でも、それだけじゃあるまい。中世のロンドンが焼失し、新しい建築が増えて、それにふさわしい新しい服が着たくなった・・・てこと、あるかもしれない。

などなどの発見(アタマのいい方には「何をいまさら」なあたりまえすぎる事実)を加えてばかりいると遅々として進まないのだが、暑苦しいかもしれない熱気をそのまま+発見事項追加改訂バージョンを、近日中に、電子書籍の形でお届けしたいと思います。

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