政近準子さんの新著、『人生は服、次第。』

パーソナルスタイリストの政近準子氏が幅広くアツい信頼を得ているのは、「センス」とか「フィーリング」「バランスのいいコーディネイト」みたいな表層のレベルではなく、まずは
「あなたはいったい、どういう人生を送りたいの?」という覚悟を真っ向から問い直す、厳しくも剛速球直球の問いをつきつけてくるからでしょう。

彼女はおそろしいほど鋭く、でも愛をもって、人を見ています。ずばっと本当のことを(衷心から)指摘するその現場に、何度か私は鳥肌ものの経験として立ち会っています。酒席ですが(^-^;
その観察眼が随所に光っているのが、本書。だから、こわいよ~。(笑)
「ボレロ+ワンピース」という考えられてないファッションで万人受けを狙った結果ほんとうのターゲットにとどかない、ってそれ私のことですがきゃーごめんなさい!
っていうのはほんの一例ですが、そんなこわい指摘がズバズバあって、冷汗かくやら背筋が伸びるやら。

服を、チャンスに満ちた人生の味方につけるために、
まずはマインドから変えましょう。という
ラディカルに、生き方のレベルから問われる本。

「政近さんの本を読むまで、ファッションって頭の悪いものだと思ってました」という女性のコメントが帯に載ってますが、実はこれ、私の学生のレポートにも、似たような文句がよく書いてあるのです。「先生の講義を受けるまで、ファッションってちゃらい服のことだと思ってました」と。笑。
私は実践的な指南はやらないので、カテゴリーはまったく違いますが、世間に通底する偏見と闘ってきたというところでも共感を覚えるところ。

ファッションと自分は何の関係もない…と思い込んできた人にこそ読んで「覚醒」してほしい。

不意打ちで、本文中に「知的で艶やかなエッセイストNさん」が登場しますが、
その描写からはどうも痴的で大雑把な私とは別人ですね(^-^;

とくに痛快だった指摘は、ハイブランドの力に関する話。「日本では多くの方が、自分の格を上げるためにブランドものを身につけると考えているようですが、それは間違い。力のある人がブランドものを身につけると、ブランドのほうが、その本来の良さを引き出され、まるで服に命が与えられたようになるのです。ブランドが人の価値を上げるのではなく、人がブランドの価値を上げる」。まさしくそう。「いばれるブランド」という発想(言葉)が飛び交うことじたい、滑稽。ロゴマークのふりかざしは、その人の底を浅く見せる。

「自分を表現している人に、チャンスは訪れる」というのは、周囲を見渡してみても本当。人と違ったことをしてみたときに、顔をしかめる人も必ずいるけれど、プラスの評価をしてくれる人もいる、その人こそがチャンスを運んでくれる「出会うべき人」。だから無難に波風立たないようにしていることは、逆に大勢に埋もれるリスクを侵していることになる…という指摘は、リクルートスーツで「人と同じ」におさまっている学生さんたちにも教えたい。

「同じことをしてもバッシングされがちな人と、『あの人はああいう人ね』で済んでしまう人がいます。その違いはどこから来るのか。その差は<自分をよく知っているか否か>にあります。(中略)中身と見た目が一致しているかどうかということに、人はとても敏感なのです」。これ読んだときに思い出した言葉があって、それは先日の大学の同窓会で会った、今はNHKのアナウンス室長になってるMアナの話。「バッシングされないための最強の方法は、無理に<作らない>ことなんだよ」。自分を客観的に知ること、すみずみまで自覚をもっていることで、この境地に至れるんでしょうね。道は険し。

などなど、多くの刺激をいただきました。
準子さん、あらためておめでとう!

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です