15日リバティの講座につき、嬉しい反応をたくさん頂戴しています。心より感謝申し上げます。なかでも、ひょっとしたら私以上に内容を理解していらっしゃったのではないか?と思われるほどのすばらしいレポートを寄せてくださった方があり、ご本人のご了解を得て、その一部をこちらに掲載させていただきます。MTさん、ほんとうにありがとうございました。

(以下、MTさまより)

☆☆☆☆☆☆

今回の講座は、限られた時間内でメンズファッション史を概観し、
ビジネスへのインプリケーションとエンタテインメント要素も加えた
アフターファイブ社会人講座としての「最適解」になっていました。
膨大な量の情報とビジュアル資料をよく整理されて、
90分ピッタリに収まったのはさすがです!

中野様がめざしていらっしゃる(と私が勝手に想像する)
壮大なメンズファッション史の構想も見えてきました。
これは、その先行ダイジェスト版、といえるかもしれませんね。

以下は私なりに講座をまとめたノートと感想です。

序章:ファッション学

ファッションとは時代、社会、人を形づくるもの。
そして視点の数だけ歴史はありうる。
「メンズファッションデザイナーを軸とするファッション史」という視点。
まずこれをおさえてからファション史に進むことが大切ですね。

第一部:メンズファッションデザイナー以前

メンズファッションでは、現在のようにデザイナーがトレンドをリードする以前、
映画スターやセレブリティのような、トレンドアイコンの存在が大きかった。

フレッド・アステア、ケーリー・グラント、ゲーブル、ボガート、そして本物のギャングたち・ミリタリーを起源とする機能先行の服と、それを身に着けたセレブリティのイメージ

こういう視点で映画を見直してみるのは楽しかったです。
スチル写真、映像の引用は、ワクワク感がありました。
さっそく「キングスマン」が引用されていて、感激!
でも「トップガン」すら知らない若い世代がいるとは、
時代の流れを感じました(苦笑)
ビートルズ、ミックジャガーもファッション・アイコンとして眺めてみました。

カルダン、サンローランが第二部のデザイナーたちとは違う立ち位置にあった
ことをあらためて認識しました。

私見ですが、70年代アンディ・ウォーホルのタブロイド誌「インタビュー」が
ジェットセッター/セレブリティとファッション・デザイナー/アーチストたちを
同次元にフィーチャーしたのは、デザイナ―全盛時代へ至る過渡期において
次に来る時代を予見していたと思います。

第二部:時代を導くメンズファッションデザイナー

80年代、アルマーニを分水嶺として、デザイナーがメンズファッションの
トレンドをリードするようになる。

アルマーニは、「アメリカン・ジゴロ」(アンコン・ジャケット)、
「アンタッチャブル」(30年代ファッション)などを通して、
映画やレッドカーペットへの衣装提供を戦略的に行った。
また、服を超えてトータルライフスタイルを提案し、
さらにチャリティ商品デザインによる社会貢献のさきがけとなった。

ラルフ・ローレンは、デザインではなくコンセプト(「幻想のアメリカ上流階級」)
を創出することで、ビジネスとして成功。
この時代は他にも、ボロルックで西欧モードを揺さぶったコムデギャルソン、
哲学者のようなコメントを発する山本耀司、
デザイナージーンズとアンダーパンツのカルバン・クライン、
あらゆる境界を取り払ったJ.P.ゴルチェ、
アンファンテリブルのA.マックイーン,etc.・・・
デザイナーの個性がファッションをけん引していた。

いわゆるDCブランドの位置付けがよくわかりました。
デザイナーの創出するライフスタイルが
商品として売られる時代になってきたのですね。
この傾向は、20世紀後半の社会の中流化(といっても一部の先進国ですが)
と密接に関係して、その後のマーケティング志向ブランドへ
少なからぬ影響を与えたことはあきらかです。

一方、メンズファションの一翼を担うビジネススーツ、
正統派の英国紳士服にも、少しづつ変化がみられるようになった。
デザイナー(J.ハケット、ポール・スミス)の手でひねりが加えられたり、
「キングスマン」の衣装を販売するミスタ―・ポーターように、
映画とタイアップした架空のジェントルマンのブランドも登場。
この英国ファションの流れは、それだけで一つのテーマとなりそうな予感です。

さて90年代のミニマリズム(J.サンダーなど)を経て、21世紀のモードはどこへ行く
のか・・・

2000年代初頭に草食系男子を先取りしたエディ・スリマン、
徹底したマーケティング志向のトム・フォード、
半ズボンのトムブラウン。
そしてトランスジェンダー、ノームコア、コンゴのサプール・・・
なんでもあれで予想外の進化をつづけるメンズファッションのトレンドは
今後どのようになってゆくか、要注目です。
SNS時代にファッションのトレンドをリードするのは、
もはやデザイナー以外の人々なのかも。

20世紀に経済成長の恩恵を受けて、「夢」を提示することで発展してきたファッショ
ンが経済格差、環境問題など、社会経済のマイナス影響をどう受け止めて(あるいは笑い流して)進んでゆくか?
その中でデザイナーの立ち位置はどうなってゆくのか?
ファッションビジネスの実学であると同時に、いろいろと現代について考えさせられ
ました。
こういう時こそ、リベラルアーツの出番。
中野様の切り口は、考えるヒント、人生の宝物となるでしょう。

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ほかにも、異業種の方々から、ビジネスや人生を考えるヒントになった旨の嬉しいコメントを数々頂戴いたしました。ファッション史とは服装の変遷ではなく、生きるためのヒントに満ちている豊かな学問であることを広めようとしている身には、たいへん大きな励みになりました。みなさま、あらためて、ありがとうございました!

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