連日40度近い気温ですが、エアコンの効いた部屋で仕事ができるというだけでありがたい。幸運なことに、今秋、そして来年早々に向けた大きなお仕事を立て続けに頂戴しています。ぼんやりしていると何も成果がないままあっという間に時間だけが過ぎてしまう。きちんと結実させ、関わった人々の笑顔が見られる日を夢見て、愚痴らない浮わつかないあとから悔やまないと決めて、地道に仕事に没頭しています。

とはいえ、やはり気候のよい時期に比べると、「これだけは今日のうちにやっておきたい」というレベルに今一つ気力が届かないんですよね。枝野幸男さんの、最後の希望と呼べるような歴史的7・20国会演説も備忘録としてメモしておきたかったけれど、締め切りのある仕事を優先していたらなかなか難しい。(これは書籍化されるらしいので期待。) やはり体力・気力は天候に確実に影響を受けてますね。

 

☆☆☆☆☆

さて酷暑の最中でもネイルサロンにはしっかり投資しております。毎回、思ってもみなかったテレビドラマとの出会いがあることは以前にも書きましたが、今回、スタッフが流してくれたのも強烈で、なんと「ショッピング王ルイ」というタイトルの韓国ドラマ。このタイトルを聞いて、下の写真を見ただけで、普段の私であれば間違っても選びません。逡巡なくパスだったでしょう。でもまあ、両手がふさがっている状態だし、仕方なく見ていたら……これが面白くて、はまるはまる。また例によって、帰宅後徹夜ドラマ。

記憶喪失になった財閥のお坊ちゃん(ソ・イングク)と、ド田舎から都会に出てきたたくましく純朴な女の子(ナム・ジヒョン)のラブストーリーが主軸なのですが、荒唐無稽な展開がこれでもかと続き、また脇を固めるキャラクターが面白すぎる人たちばかりで、笑えたり泣けたり、最後はまさかの運命が明かされて感動したりで、癒される癒される。悪いことをする人も一応出てくるんだけど、どこか間が抜けていたり、人情を感じさせたりで、根っからの「悪人」ではないのね。キャラクター全員が「真心」で人に接しているのが癒される最大の理由なのですが、脚本も演出もきめ細かく丁寧で、作り手も俳優たちも楽しんでいることが伝わってくる。2016年のMBC演技大賞3冠とある。納得。

なかでも出色のおもしろさだったのが、ナム・ジヒョン演じるコ・ボクシルに思いを寄せながらも、いつも「いい人」どまりで負けてしまうコミカルな紳士エリートのユン・サンヒョン(チェ・ジュンウォン役)のファッション。エリートビジネスマンという設定なのだが、仕事場でもあのダークスーツは着ないんですね。登場するたびにありえないほど奇抜な装いを見せてくれる。周囲のダークスーツのビジネスマンたちもあたりまえのようにそんなユン・サンヒョンを受け容れているという設定がなんともいい。

フィクションだから、にしてもこの役柄、このキャラでこのファッションというのは大胆で小気味よいし、まあドラマだからといってしまえばそれまでなのだが、面白いことに、違和感がなかった。最後のほう、サンヒョンが「社長」としてダークスーツ軍団を従えて出てきたときの、リボンブラウスを合わせた白スーツには、笑いを通り越して感動してしまった。ひとり、「その他大勢の同じ服着た人たち」と違うというのは、なんて素敵なことなんだろう。


(どう見ても配色がヘンなのだが、また、不思議にこの人に似合う。笑)この自由な風通しの良さ、いいなあ。ユン・サンヒョンのキャラクターと、似合ったり似合わなかったりする七変化メンズファッションだけでも相当楽しめる。

 

ドラマだからこれほど自由な服装を着せることができたのだとは思うが、考えてみたら、女性は仕事着として何を着ても基本、自由なのに、男性だけがルールのあるダークスーツを着なければならないというのも、見方によれば性差別になるかもしれませんね。日本社会では女性が「男性に準じる」ということで男女ともに画一的になっていっておりますが、そもそも、男性が「女性に準じる」ということで女性のように自由な服を着て、なにがいけないんだろう。近代スーツのシステムを生んだ近代資本主義社会が壊れたら、全員一緒のスーツのシステムもともになくなってもおかしくはない。

 

なんていうことを考えていたら、タイムリーなインタビュー記事に遭遇した。

日本のビジネスマンに対し、装いはもっと自由であれと語るフランス駐日大使ピック氏のNikkei Style インタビュー

よくぞ言ってくださいましたという感じ。スーツの「ルール」から外れないことばかりをがちがちに守ろうとしたり、「そもそもスーツの着こなしは……」とあたかも法律があるかのように考える原理主義に走ったり、「欧米では…」と海外基準に盲従するメンタリティを固守したりすることが、仕事に無意識的な影響を及ぼしていないことを祈ります。

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