3時間の映画でしたが、まったく予想外のところでじわじわくる感動がありました。

あまり書いてしまうとスポイラーになるのでがまんしておきますが、具体性を省き、支障ない程度の抽象的な感想だけ。それもNGな方は、以下、くれぐれもお読みにならないでスルーでお願いしますね。くどいですが、これ以上お読みにならず、劇場へどうぞ!

過去・現在・未来。この10年間ほどに散逸していた物語をすべてこの3時間が回収し、落とし前をつけただけでなく、アメリカ映画のレジェンドも総出演で、新世代へのバトンタッチが各層で象徴的に行われていたのが感慨深かった。キャラクター、俳優自身、そして観客自身の過去・現在・未来へ思いを飛ばし、ひいては一生をどう生きたらいいのかまで考えさせる物語になっていた。それぞれの選択の余韻があとあとまで尾をひく。最後の最後、まさかこういう展開、こういう音楽で終わるとは想像もしなかった。ヒーローものにふさわしく勇壮に終わると期待していた。

ひとつの時代の区切りの最後に、この映画で締められたのは幸運だった。引き合いに出して、しかも、ささやかすぎて恐縮ですが、「ロイヤルスタイル」も12年分の、散逸していた仕事を回収してひとつの物語として終えたという安堵がある。

物語は始まってしまうと延々とどこまでも広がっていく。どこで、どのように終えるかということが、それまでの物語の意味をがらりと変えてしまうほど重要ですね。今低迷していて苦しんでいても、そこで終わらせず、闘い続ければその時期は勝利の物語の一エピソードにもなりうる。ハッピーエンドになるにしても、期待通りの勝利、予測通りの幸福は、さほど感動を呼ばない。予測を超える、そうじゃないところに実は「真実」が見つかったりする。

10年間は、長いようでいて、未来のある時期から見ると「5秒」という感覚に感じられることもある。量子力学でなくても、実際の感覚として。「平成」も、最中はほんとうにいろいろなことがあり、たいへんな思いをしていたけれど、ふりかえってみれば、感覚的に「10秒」。

今日はそれぞれの立場の人が、その人でなければ感じえない思いにとらわれていらっしゃることでしょう。

明日からは仕切り直して、新しい時代。To be continued……

新著の著者プロフィル写真を兼ねた、2019SSバージョンのプロフィル写真の撮影。今回は新しくできた銀座・資生堂ビルの3階にあるフォトスタジオにお願いしました。

鏡、家具などすべてが「花椿」のイメージで統一された、明るくて近未来的な空間です。ヘアメイクからとても丁寧に施していただき、写真撮影は、素人にもやさしくポーズ指導から。これまでの勝手な思い込みがくつがえされ、勉強になることが多かった。

被写体のほうは、中途半端だった髪をばっさり切ったくらいでたいして変わり映えもしませんが(^^;)、SSシーズンはこちらのプロフィル写真にしました。

それにしても新しい資生堂ビル。2階には資生堂の全ブランドが並んでいます。セルジュルタンスのメイクパレットや香水もすべてそろっていて、眼福でした。これだけの数の商品をブランディングするだけでもたいへんなのに、インテリアの細部も統一、さらに使いこなせる技術者も育て、飲食施設にまでその世界観を反映。資生堂の底力を実感します。

同ビル4階には超おしゃれな穴場カフェもあります。3階からは秘密のエレベーターで直通で行けますが、このカフェをデスティネーションとする場合は正面入り口からは入れず、横の入り口から入る形になります。となりの資生堂ビルに入っているカフェやレストランはどのフロアも満席だったりしますが、このカフェはガラガラ。しかも花椿メンバーになると10日%オフ。

空間を独り占め状態でした。笑 ワインもおいてあります。夕方5時をすぎてその日の仕事が終了していれば、白ワインタイムということで。

唐突で恐縮ですが、家の近所にある料亭の庭から生えていたタケノコ。春ですね。

吉川弘文館より発売される「ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史」、目次と概要が公開されました。こちらです。

???

<目次> 

ロイヤルスタイルとは何か―プロローグ/エリザベス2世をめぐる物語(エリザベス2世とフィリップ殿下/コラム 女王陛下のブローチを解読せよ/女王陛下の妹プリンセス・マーガレット/女王陛下の叔父エドワード8世とウォリス・シンプソン/女王陛下の母エリザベス・バウズ=ライアン)/ヴィクトリア女王とアルバート公、その長男をめぐる物語(ヴィクトリア女王とアルバート公/コラム 究極の「ブランドロゴ」、ロイヤルワラント/エドワード7世とアレグザンドラ王妃)以下細目略/ダイアナ妃とその息子たちをめぐる物語/ロイヤルジェントルマン/番外編 アメリカの「ロイヤルスタイル」

???

<概要> 

イギリス王家の人々の個性ある生き方とファッションは、世界中の関心を惹きつけてやまない。装いや言動、恋愛や結婚は何を示し、人々はどのように受けとめたのか。威光と親しみやすさ、神秘性と共感、伝統と先進性を、王室はいかに共存させてきたのか。ファッションを通して近現代のイギリスの歴史と文化、そして気高い(ロイヤルな)生き方について考える注目の書。

???

土台になっているのは、12年前から細々と書き溜めてきた原稿。亀よりも遅い歩みでしたが、あきらめないでいたことで、干支ひとまわりしてようやくゴールが見えてきました。この間に支えてくださった全ての人に感謝します。

6月15日発売です。人文学の老舗出版社から出していただけるということが、ひときわ感慨深いです。

「銀座百点」5月号 (No. 774)に寄稿しました。

銀座百店会に加入している銀座の店舗でフリーで入手できます。よろしかったら銀座にお立ちよりのついでにでも見てくださいね。

伝統あるタウン誌にお招きいただき、光栄でした。ありがとうございました。

後進の育成にも熱心で、人望も厚いテーラー、廣川輝雄さんが、日本橋蠣殻町にアトリエをオープンしました。Bespoke H & Sons.

私のメンズスタイルのスーツは廣川さんが作ってくださっております。大河ドラマ「いだてん」の衣装も制作していらっしゃるそうですよ(うちにテレビがないので見ていませんが……)。

オープニングレセプションには若いお弟子さん方はじめ、大勢の方がお祝いに駆けつけ、大盛況でした。

廣川さんはディレクターズスーツ姿で。

(後ろにはフォーマルウエア文化普及協会で一緒に顧問を務めているホテル業界誌オータパブリケイションズの太田進さんが映っています。世界は狭いですね。笑)

ラリック銀座本店がリニューアルオープン。お披露目会にお招きいただきました。

クリスタル装飾品からジュエリー、香水、インテリア、アート、そしてワインにいたるまでのラリックユニバース。

日本発の新しいコンセプトは「マイ・ファースト・ラリック」。店舗では気軽にすべての商品を体験しながら、五感でラリックの世界にひたることができます。

ラリックとは、1888年創業の「クリスタルガラス界のオートクチュール」と称されるブランド。創業者のルネ・ラリックは、モダンジュエリーの生みの親として知られます。アールヌーヴォーの傑作はいまでも美術史やファッション史の本に紹介されていますね。

上の写真は、ラリックとダミアン・ハーストとのコラボ作品です。右、はさみのオブジェは「エターナルクロス」。伝統的なロストワックス手法で作られているそうです。「エターナル」シリーズは生命の循環の象徴として多様なモチーフをクリスタルで表現。

ほかにも建築家マリオ・ボッタとの共同クリエーションはじめ、アートな作品が揃います。ここはちょっとした美術館です。

ワインもリリースされました。思えばラリックは、美しいデカンタも数多く生み出してきたので、中身まで自社で展開することには整合性があるんですよね。レリーフが刻まれた華麗なボトルも「アート・オブ・ライフスタイル」というラリックの哲学を伝えています。

そのワインを注いでいただいたグラスがまたすばらしいのです。クリスタルガラスの本家の本領発揮といった完成度の高さ。ステムにほどこされたさりげない装飾にふれつつボルドーの白ワイン(シャトー ラフォリ ペラゲ)をいただくと、もうなんとも言いようのない恍惚感が。

数々の香水ボトルを手がけてきた延長に、フレグランスそのものも作ってしまうという着想が生まれます。上は「レ コンポジション パフメ」からの新作。そもそも最初に香水ボトルを手がけたのは、フランソワ・コティの依頼だったそうです。突出した良いものを創っていると、思わぬ異業種から声がかかり、当初予想もしなかった世界が開けていく、という王道パターンですね。

特筆すべきは中央の限定クリスタルボトルでしょうか。波の中から現れる神秘的な美女「ナイアード」がボトルの上に立っています。まるで生きているかのような。中身はシグネチャーフレグランスである「ラリック ドゥ ラリック」ですが、これもボンボニエールと似たところがあり、重要なのはむしろ容器のほう(もちろん香水もよい香りではあります)。パルファム100mlで24万円!

このマリア様の透明感には目が洗われました。心に触れるような優しさ、清らかさなんですよね。写真で再現しにくいのがもどかしい。

銀座にお出かけになる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。くどいですが、小さな美術館のような、豊かな世界が広がっています。

お招きありがとうございました。

プリンスホテル東京シティエリア(ザ・ギャラリー、ザ・パークタワー、ザ・さくらタワー、高輪、新高輪、東京プリンス、品川プリンス)+新宿プリンス、新横浜プリンスの計9つのプリンスホテルで、スペインフェア2019が開催されます。4月26日~6月30日。ザ・プリンスパークタワー東京でレセプションが開催されました。

恒例、氷の彫刻。闘牛のモチーフですね。精巧に作られており、ほれぼれします。レセプションが終わる頃には溶け始めるというはかなさがまたよいのかもしれません。

4回目となる今回も、フェアの内容はスケールアップしています。招聘シェフは、マドリードの5つ星ホテル「エスペリア・マドリード」のミシュラン2つ星レストラン「サンセローニ」のシェフ、オスカル・ベラスコ氏。そしてバスク地方、サンセバスチャンの「ホテル マリア クリスティーナ ラグジュアリーコレクションホテル」より、ヘスス・カバジェーロ氏。両者とも、3日間限定となります。

各レストランでもスペインメニューが展開されるほか、「リヤドロ」とコラボレーションした「リヤドロラウンジ」を開催、またオリーブオイルと焼き鳥のコラボレーションなども楽しめます。小松原庸子スペイン舞踏団によるフラメンコとお酒を楽しむ夜など盛りだくさんのイベントが用意されております。詳しくは、こちらをご覧ください。

半年前に駐日スペイン大使に着任されたホルヘ・トレド氏。食を通したスペインと日本の文化の交流が盛んになっていることを強調されていました。このような形でホテルは外交や国際交流にも貢献をしているのですね。

テープカットです。右から、リヤドロ相談役(リヤドロのリブランディングを成功させた方です)にして在日スペイン商工会議所理事の麦野豪さん、シャネルジャパンの社長にして在日スペイン商工会議所のプレジデント、ギエルモ・グティエレスさん、大使のホルヘ・トレドさん、プリンスホテル東京シティエリア統括総支配人の武井久昌さんです。

小松原庸子スペイン舞踏団によるフラメンコ。

シェフパティシエ内藤武志さんによるチョコレートの彫刻。牛の上にはフラメンコダンサーが華麗に踊っています。

シェフです。右から、ザ・プリンスパークタワー東京&東京プリンスホテル総料理長の三浦健史さん、品川プリンスホテル総料理長の吉田功さん。フェアを通して各国の一流シェフと協働することも刺激になって、シティエリアの料理は着実にグレードアップし続けています。

ソムリエのみなさん。右から品川プリンスアネックスの山崎武史さん、プリンスホテル全体を統括するシェフソムリエの市村義章さん、グランドプリンス高輪の安藤祐さんです。

スタッフ集合写真です。手前のおふたりもプリンスホテルの社員ですが、この日は受付にてフラメンコの衣装を着用して迎えてくれました。私が手に持っているのはリヤドロの陶器の人形です。

大使も強調していましたが、回を重ねるごとにスペインとのつながりが密になり、また拡がりも生まれています。個人的な興味の一つは焼き鳥とオリーブオイルのマリアージュですが、これ実は自分で試してみたことあるのです。良質なオリーブオイルならどんな素材でも美味しくしてくれるということはありますが、シェフはどのようなスパイスを用いて、ほかのお料理とのバランスはどうとるのか。楽しみです。フェアの期間にぜひ訪れてみてくださいね。

日本FIT会(Fashion Institure of Technology卒業生の会)の主催でおこなわれた、Dr. Valerie Steele (The Museum at FIT Director and Chief Curator)を囲む会にお招きいただきました。

Dr. ヴァレリー・スティールは、本ブログでも何度もご紹介しておりますが、FITの名物キュレーターで著書も多い。私も20代のころから彼女の本をほぼすべて読んできました。最新刊は、みなさまのご記憶にもあるかと思いますが、「Pink」です。

そういう方のレクチャーを聴けるというのは存外の喜び。たっぷりと贅沢な写真を用いての30分のレクチャーを楽しませていただきました。

立ち姿も絵になっていた、さすがのヴァレリーさま。英語もとても聞き取りやすく、ご自分がおこなってきた仕事に対するパッションと自信が伝わってきます。こんなふうに一途にキャリアを貫くことができるなんて、とても幸運な方だなとまぶしく拝見しました。

「ゴシック」展ではこんな展示も。こちらのインスピレーションの源は、バーニーズニューヨークのウィンドウだそうです。

左からWomen’s Empowerment in Fashion 会長の尾原蓉子先生、Dr. Valerie Steele、ファッションジャーナリストの生駒芳子さんです。講演のメインテーマが最新の「Pink」展だったのでリスペクトをこめてピンクを着用。生駒さんも。笑 

すばらしい機会にお招きいただき、ありがとうございました。

ブランドのCEO、ないしオーナーの方に話を聞いていると、ブランド愛の薄さに気づくことがある。展開している商品に対して、クリエイターほどの思い入れがないからこそ経営がうまくいくのかもしれないな、などとぼんやり思っていましたが。

ぐるっと視点を変えてみると……膝を打つことがあった。

ヨーロッパのある高級ブランドのやり方、として紹介されていた例。

「そのブランドは、新しい店舗を立ち上げると、店に必要な敷地だけでなく、その周辺の土地もまとめて買っておくという。それから10年間の事業計画を見ると、どうやっても赤字にしかならない。損益計算書だけで「儲け」を考えたら、そんな出店は最初からやめておけ、という話になる。でも、バランスシートで儲けを考えると、そうはならない。そこに高級ブランドの新店舗が登場したら、何が起こるか。それまでとくに注目されていなかった通りが、世の中で「お金持ちの集まる高級な街」と認識され、地価が上がる。(中略)その結果、店舗の立っている敷地の値段が上がって資産価値が高まるのはもちろん、あらかじめ買っておいた周辺の土地も値上がりする。それを売却すればキャピタルゲインが得られるし、ビルを建ててテナント料を稼ぐこともできる」

そのような思惑があったとは。「あんなところに店舗を作って、お客様が来るのだろうか?」などというまぬけな視点で見ていた私は視野が狭すぎた。赤字でもいい。周辺の地価のためにブランドをおいておく。そんな「使い方」もあったのだ。なるほど、オーナーのブランド愛の薄さも納得がいく……。

スーツについてはやはり今どきの資本家目線。

「ネクタイは一種の『首輪』であって、そこには『私がおまえを守ってやるから、従順な部下でいなさい』という含意があると言われているのだ。だとすれば、ネクタイは上司に対する隷属の証ということになる」

実際、スタートアップの集まり、起業家のイベントに行くと、スーツを着ているCEOというのが一人もいなかったりする。いま勢いのあるビジネスの世界ではスーツ=前世紀的な価値観の象徴、とみなされているんですね。あるいはパーティーでのドレスアップのために着る服。

資本家視点で世界を見ると、また世界が違う見え方をしてきます。(共感するかどうかは別として。)「インパクトの大きいお金の使い方をする」という教えには納得。同じ額を使うなら、人の印象に残るような、投資価値の大きな使い方をする、という心がけは、資本家でなくてももっていたほうがよさそう。

復活と再生を祝う日であるイースターサンデーは、慶事と惨事が入り乱れた日になりました。

まずはイギリスのエリザベス女王が93歳の誕生日を祝った喜ばしい日。いつものように鮮やかな色で装い、晴れやかな笑顔で人前に立つ姿が報道されました。

スリランカでは人が大勢集う教会やホテルが爆破され、150名以上の方が犠牲になるという大惨事が起きました。あまりにもひどい。礼拝が行われていた教会を狙うなどひどすぎる。巻き込まれてしまった方々とご家族の方々の無念や悲しみはいかばかりでしょうか……。憎しみの連鎖がこれ以上起きないことを切に祈ります。

フランスではノートルダム修復に対する富裕層の寄付がかえって人々の怒りをあおり、大きな暴動が起きており、イギリスでも毎日のように、ナイフによる殺傷事件が起きています。ともに経済格差が背景にあります。当初、よい面ばかりが強調された新自由主義がもたらしたものはこれだったのかという苦い思いが広がります。

日本でも連日の不幸な交通事故により、何の罪もない方々が唐突に命を奪われています。犠牲になった方々の無念やご家族のみなさまの怒りや悲しみを思い、心よりお悔やみ申し上げます。

日々、謹んで生きるということは、こうした不幸と常に隣り合わせにいるということを忘れず、周囲を思いやりながら粛々と自分の務めを果たすということでもありますね。連休までの一週間、時間を惜しんで日々を丁寧に過ごしたいと思います。