古巣の明治大学国際日本学部でアルムナイが結成されるとのこと、創立当時とこれからを語るトークイベントに、学部長の鈴木賢二先生、小笠原泰先生、現役の学生さんたちと登壇しました。

懐かしいかつての学生さんたちからもたくさんのメッセージをいただき、感激でした。私は創立の2008年~2017年の10年間、特任教授としてファッション文化史を教えていました。ホールが満員になることもある充実した楽しい日々でした。お招きに心より感謝します。

京都大学でレクチャーと鼎談の収録でした。

山内裕先生(下の写真左)がリーダーップをとる京都クリエイティブアサンブラージュのプログラムの一貫です。

文化ビジネスを創造する新ラグジュアリーの考え方が着実に広まっています。右はイタリアから来日中の共著者の安西洋之先生です。撮影は佐藤那央先生。


京大構内、はじめて入りましたが、山内先生の研究室がある建物は赤煉瓦造りで中もレトロな美しさ。

時間がゆったり流れている空間でした。

山内先生。京大に何人かいらっしゃる「変人」(京大では完全にほめ言葉ですね)のおひとりだそうですが、お弟子さんたちとともに、気さくであたたかいおもてなしで仕事をすすめてくださいました。

経産省「ファッション未来研究会」委員(2021年秋冬)、文科省価値創造人材育成拠点事業「京都クリエイティブ・アサンブラージュ」専門家講師を務めることになりました。全く別のプロジェクトですが、ほぼ同時に決まり、急展開で始動しました。

京都クリエイティブ・アサンブラージュは、京都大学・京都市立芸術大学・京都工芸繊維大学の合同プロジェクトで、社会人対象です。価値創造ビジネスとしてのラグジュアリーを担当します。大きなプロジェクトの、ほんの小さな駒ではあります。

詳細や公開イベントなど、随時アップしていきます。

ともに未知の世界ですが、微力ながらなにがしかの貢献ができるよう最善を尽くしたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

東京藝術大学大学院の博士審査会(公開)で副査を務めさせていただきました。審査対象は清水千晶さんによる「衣服と環境の同化」をテーマにした論文と、「アナザートーキョーシナリー(もうひとつの東京の風景)」という作品です。

作品は、地方から東京に出てきた女性が7段階を経て環境と同化して自己を発見していく過程を、7体の服で表現したもの。アパレル業界で服作りの仕事をした経験もある清水さんならではの力作でした。

博士展では、ほかのジャンルの作品も展示されており、一般の人も鑑賞できます。絵画、ガラス造型、陶芸、ロボットなど、レベルの高い作品が多く、予期せぬ眼福でした。20日までです。芸大周辺は時が止まったようにゆったりしていて、心がほっと落ち着きます。かつてこんなふうに、ただただ純粋に、学問を追求できた時代もあったな……。とてもよい時代だったころの駒場の雰囲気やケンブリッジの街並みなどを思い出してちょっと切なくなったりね。

芸大近くの国立西洋美術館ではルーベンス展! 壮大な肉厚濃厚作品の迫力に圧倒されました。(身体に矢やら釘やら刺さって)痛そうな絵が多かったですが。

明治大学での5年×2期の任期が満了となります。(厳密には3月末までですが、実質、春休みに入るためほぼ任務は終了です。今後、大学あてに郵便や書籍を送らないでくださいますよう、お願い申し上げます。)

10年の長きにわたり、楽しくエキサイティングな時間を過ごさせていただきました。日々、新鮮な発見や出会いに恵まれ、貢献と成長を実感し続けられた、この上なく充実していた最高の日々でした。

同僚のみなさま、事務職員のみなさまより、とてもよい香りの花束とともに、あたたかな言葉のシャワーを賜りました。心より嬉しく、深く感謝申し上げます。ありあまるほどの豊かな思い出をいただけたのは幸せなことでした。ひとえにみなさまのおかげです。

 

10年の間に、多くのすばらしい方々に授業のゲスト講師としてご来校いただきました。大学規定の薄謝(ときには謝礼が出ない)にもかかわらず、「ノー」とおっしゃる方はひとりもいらっしゃらなかった。超多忙のスケジュールの都合をつけて、ときにはバリ島、ミラノ、京都、気仙沼といった遠方から、「次代をになう学生さんのために」と快くかけつけてくださいました。ご多用のなか、講義後の懇親会でも親しく学生に接していただいたりもしました。それぞれのご専門分野の知識や伝え方ばかりでなく、なによりも、人としての在り方に多くを学ばせていただきました。翻って、分野の違う人々をも感化する影響力というのは、トータルな人間としての経験と学びの積み重ね、その豊かさから放たれる魅力からしか生まれえない、と確信するにいたっています。

おそらく、仕事であれ研究であれ趣味であれ対象はなんでもいいのだと思う。それにどのように向き合って、どれほどの情熱を注ぎ、どのような時間を積み重ねていくのか、そのプロセスそのものがお宝として輝きを放っていくのでしょう。ゲストの方々はそのお手本のようでした。なかでも若くして故人となってしまわれた山室一幸さん、藤巻幸夫さんの情熱ほとばしる語りとカリスマ的な魅力は、鮮烈な印象を残しています。鳥肌が立つほどのインスピレーションを与えたお二人の面影は、ずっと学生たちの胸に生きているはずです。そして人生は短く、会いたい人には躊躇せず会っておくべきということ、お会いしたらそれは一期一会となるので最高の自分で向き合うべきということを、悲しみとともに学んだと思います。……と書いてみて、はたと気づいたのですが、山室さんも藤巻さんも、私たちの心の中にまだ生きているのです。無理を申し上げて来ていただいて、ほんとうによかった。

すばらしいゲストのみなさまに、あらためて、感謝申し上げます。御恩は、忘れません。(万一、リストからお名前が漏れてしまった方がいらしたら申し訳ございません! うっかりミスなのでどうかお知らせくださいませ。)


・2017.11.27   株式会社マイクロソフト 澤円氏
「グローバル人材に求められるプレゼンテーション術」

・2017. 7.4        尾原和啓氏
「VRが変える未来」


・2017.10.16   キーン・エトロ氏(ETROデザイナー)× パンツエッタ・ジローラモ氏
「イタリアン・ファッションとイタリア的な生き方」


・2017.6.26 ファッションフォトグラファー シトウレイ氏
「『好き』を仕事にする」


・2016.11.18 ファッションレスキュー代表 政近準子氏
「装力で人生を切り開く」


・2016.11.14  株式会社 aeru 代表取締役社長 矢島里佳氏
「伝統を救い、社会に貢献する起業」


・2016.7.5  Forza Style 編集長 干場義雅氏
「モテるための不断の努力がビジネスにおけるモテにつながる」


・2016.6.10 W. David Marks 氏
「日本を救ったAMETORA」


・2016.6.6  ファッションレスキュー中村龍太氏、頼富雄介氏
「ビジネススーツの正解」

・2015.12.18  マジシャン GO!氏
「人生を切り開くマジック」


・2015.7.10  ファッションデザイナー 渋谷ザニー氏
「黒色と生花 権力の表現としてのファッション」


・2015.7.3 LEON 編集長 前田陽一郎氏
「ファションとはなにか? 編集の実際と情報の集め方 」


・2015.5.25  気仙沼ニッティング代表 御手洗瑞子氏
「気仙沼ニッティング 起業」


・2015.5.8  日本風呂敷協会  宮井(株)久保村正高氏 大工原智子氏
「風呂敷の歴史と基礎知識 結び方の実践講座」


・2014.11.5 「ヌメロトーキョー」エディトリアルディレクター 軍地彩弓氏
「ファッションメディアのこれから」


・2014.12.1 クリエイター 串野真也氏(masaya kushino)×森川マサノリ氏(Christian Dada)
「世界に羽ばたく日本の若手クリエイター」


・2014.7.4  日仏フレグランス文化財団代表理事 地引由美氏
「香水の基礎知識 歴史からまとい方まで」


・2014.6.2 作家 鈴木光司氏
「日本発コンテンツ、世界へ」


・2014.5.23  デザイナー 坂部三樹郎氏(mikio sakabe)×山縣良和氏(writtenafterwards)
「ファッションは魔法:服を超えて、新しい人間をつくる」


・2013.12.6  デザイナー 堀畑裕之氏(matohu)
「日本の美」


・2013.11.11 ブリティッシュ・ラグジュアリー・ブランド・グループ代表取締役社長 田窪寿保氏
「ラグジュリーブランドのマーケティング」


・2013.6.7  ファッションジャーナリスト 生駒芳子氏
「エシカルを着た悪魔」


・2013.5.27  ファッションイラストレーター 綿谷寛氏×ソリマチアキラ氏
「ファッションイラストレーションを考える」


・2012.12.4  参議院議員 藤巻幸夫氏
「日本のモノづくり、世界へ」


・2012.11.9  ファッションレスキュー代表 政近準子氏
「パーソナルスタイリストの仕事とは」


・2012.6.1  著述家 湯山玲子氏
「ファッションのお見立て」


・2012.5.21 WWD 編集長 山室一幸氏
「ファッションジャーナリズムとは」


・2011.12.5  テイラー信國大志氏
「ファッションとは、何を着るのかではなく、あなたは誰なのかを問うこと」


・2011.10.21  ファッションディレクター 干場義雅氏
「ファッション雑誌の舞台裏」

 

社会人向けの公開講座でも、すばらしい専門家の方々のご助力を得ました。コーディネートさせていただいた講座は、以下の通りです。

・2016年10月 明治大学リバティアカデミー 野呂エイシロウ氏
「個人・会社を有名にするPR戦略」講座
・2016年4月~6月 明治大学リバティアカデミー 地引由美氏
「香水学」講座
・2016年5月 明治大学リバティアカデミー 綿谷寛氏 (ゲスト ホイチョイプロダクションの馬場康夫氏)
「メンズファッションイラストレーションの世界」講座
・2015年11月11日 明治大学リバティ―アカデミー 田窪寿保氏 (×中野香織)
「ブリティッシュ・ラグジュアリー・ブランドビジネスの秘密」
・2015年10月 明治大学リバティアカデミー 堤信子氏
「一瞬にして人の心を捉える第一印象と話し方」講座
・2015年4月~6月 明治大学リバティアカデミー 地引由美氏
「香水学」講座
・2015年4月 明治大学リバティアカデミー 綿谷寛氏 (ゲストモデル 俳優の〇原〇介氏)
「おしゃれ似顔絵教室」


 


そして最後に、last but not least,  もっとも大切なOGOBのみなさん。授業をとってくださった、10年間で延べ6000人分ぐらいの学生のみなさんにも、心より感謝申し上げます。最も多かった時には一クラス300人近くのマンモス授業で、当初はコントロール不可すれすれで悩むこともありましたが、毎回、メンタルを鍛えプレゼンテーションを工夫し、最近ではどのような大人数の聴衆の場に出てもさほど緊張せず、参加者とコミュニケーションをとりながら自分らしい話し方で伝えられるようになりました(まだまだ洗練には程遠く、発展途上ではありますが)。そう考えると、私自身の修行のための尊い10年間でもありました。文章だけ書いていても、こんな能力はとうてい鍛えられませんでした。

公開講座に参加してくださったみなさまにも心より感謝します。とりわけ忘れられないのが2015年6月の「シャネル、ディオール、サンローラン」講座。430名のご参加という伝説の講座になりました。この講座はじめ、毎回、大好評を博し、すぐに定員が満席になるということで事務職員の方にもとても喜んでいただけました。

公開講座はじめ、しばしばトークショーに参加してくださる読者の方から、かつてこのようなカードを頂戴したことがあります。私が書いたり話したりしたことば(迷言?)の断片をスクラップしてくださった、とてもお心のこもったカードです。自分の発信の影響力を常に意識しておくためにも(無意識に放った言葉が誰にどのような影響力を与えるかわからない)、研究室に飾っておりました。あらためて、ありがとうございました。

専門の研究科目というよりも、多様な領域に進路を求めていく学生を擁する大学の性格を考慮し、学生に対しては、学問に対する向き合い方、ひいては人生そのものに対する向き合い方を学んでいただけるような教育を第一に考えていました。それを体得すれば、どの分野に進もうと応用が利くからです。その意味では伝統的な人文学の王道をいっていた「ファッション学」であったと思っています。


人文学の教養もセットで教え込み、社会に向き合うご自分のアイデンティティをも確立してもらう契機とするために、苦肉の策として考え出した「ファッション学」における「ファッションの構成要素」は上のようなものです。これらすべての要素をトータルで学び、考えてもらうのが中野香織による「ファッション文化史」であり「モードの神話学」でありました。

こんな自由奔放な教育をご寛恕くださった明治大学には感謝してもしきれません。ありがとうございました。この10年の成果が未来の世界のあちこちでタフに生きていることを信じています。お世話になりましたみなさま、ごきげんよう!
Thank you with Love and Respect.

 

 

もうひとつの科目「モードの神話学」も最終講義を迎えました。その日(22日)は大雪になり、この講義の直後の講義から大雪に対処する「休講」措置がとられました。ぎりぎり最終講義ができたのは幸いだったし、雪のおかげで一生思い出に残る日になりました。「あの日は大雪が降った日で」と語ることができるというのはなんと幸運なことだろう。


この科目は、ファッション史、および社会に多大な影響力をおよぼした「スタイルアイコン」とされる人物のスタイル、ことば、仕事を通して、そのアイコンが社会に向き合った心の態度(=モード)に迫るというのがテーマでした。史実やできごとをピックアップするだけだったらインターネットで簡単にできる。そうではなく、その史実はなぜ起きたのか、その出来事をもたらした人はどのような思いで行動したのか、本質を考えてもらうための講義でした。表層と深奥をつなぐ想像の習慣ができることで、今後、各自が出会うことになる人生のさまざまな困難に応用可能になるタフな心を育成できるはずというのが私の信念でした。心のモードが確立し、それが表層にふさわしく反映されるならば、毎日同じシャツとジーンズだけで憧れをかきたてる存在になりうるのだ。ジョブズのように。アルマーニのように。

 

そんな私の信念につきあってくれた学生への感謝と、心からの愛情と激励をこめて、ファッション史からの具体例をピックアップしたうえで、こういう話をしました。

<前提条件の確認>

・ファッションの構成要素

・強い「個」を形づくるために、日々心掛けるべきこと

 

<「ダンディズム」から、社会に向き合う態度のヒントを学ぶ>

・教訓1 かっこよくあることに対する恥じらいを

・教訓2 スーツ長寿の理由は「セクシー」にあることを認識せよ

・教訓3 抵抗を経て勝ち取る「普通」をめざせ

・教訓4 手に入れた時が最高、ではない

・教訓5 シリアスに受けとめすぎない

・教訓6 マイナスをプラスに変える、スーパーポジティブな心のモードを

 

<ファッション学の教養から、パワフルに生きるための心のモードを学ぶ ~自分の人生の「主人公」として航路の舵とりをするために~>

・(1)この世に不変・絶対の美はない

・(2)欠点・規格外は最強の武器になる

・(3)いま、ここを最高の場所にする

・(4)偶然を必然にする

ホンモノの出会いとは

・(5)ギフトの交換で人生は動く

・(6)「前例なし」はチャンスである

・(7)批判・中傷に対する心構え

・(8)悩むな、行動せよ

・(9)ヒーローの旅を意識せよ

どん底の乗り越え方

・(10)人生は、ペルシャ絨毯

<プレミアムなレッドオーシャンか、ラグジュアリーなブルーオーシャンか>

 

最後の大きな拍手の響きは一生忘れません。確実にバトンが伝わったことがわかるコメントもたくさんいただきました。読んでいたらほんとに泣けてくるものばかりでしたが、たぶん、他人から見ると鼻白むものなんだろうなと憶測します。ひとつだけ、ずばぬけて優秀だったプレゼミ生からのコメントをここにアップさせていただくことを、最後に免じてご寛恕ください。

きっと多くの学生が口を揃えて言うことでしょうが、先生の魅力は豊かな教養によって内側から溢れるものなのだと思います。自分もそんな内側から魅力を迸らせられるような人間になって、日本の空の動脈を担っていきたいと思います。大学生活の中でもひときわ貴重な時間でした」

彼はひいき目なしに見ても、確実に世界の未来を担う人材です。ほかにも「早く先生と一緒に仕事ができるような一人前の男になります」(笑)とか頼もしさを感じさせてくれる言葉の数々をあふれるようにプレゼントしていただきました。みなさんほんとうにありがとう!

最後の日のキャンパスの景色が雪景色。感無量。10年前の選択を悔いる気持ちもかすかに残るが、もう前だけ向いていこう。

 

10年間、講義中のアクセサリーはこの子でした。アビステの笛。万一、震災が起きて建物が崩れたりしたとき、少しでも学生を守ることができる確率が高まればという防災グッズを兼ねていました。一度も吹く機会がなかったことは、幸いでした。長い間、お役目ありがとう。

 

 

 

 

 

 

大学で通年で担当してきた科目のひとつ、「ファッション文化史」の最後のしめくくり講義(19日)は、香水の歴史をたどりながらファッション史を総復習するというものでした。

古代のミイラ(ミルラがつめられていた)、東方の三賢人の贈り物(3つのうち2つが香料)という話から、中世、近世、近代を経て、現代のフレグランス総事情まで。時代を象徴する香水や香料を15種類くらい試香してもらいながらの100分なので、自分で言うのもなんですが、右脳と左脳、そして感覚全体が喜ぶドラマティックな授業なのですよ。

(今回は、市販されていない香料の原材料も試香しました。アンバーやムスクなどの自然香料のほか、合成香料アルデハイドまで。香水のエキスパートである地引由美さんにどこで買えるのかと相談したら、なんと貴重な香料を小分けしてお送りくださったのです。由美さんのご厚意に心より感謝します。)

学生の時に思っていた「こういう授業を受けたかったのだ」という理想というか恨みというか(笑)をほぼ全部残らず実現できて、毎週、教える方がワクワクしてしまい、いやもう、こんなに楽しくてよいのだろうかというくらいでした。映画史や音楽史、美術史も一緒に詰め込んだ、中身の濃い「ファッション文化史」、こういうのを20歳の頃の自分が学びたかったんです。だから自分でプログラムを作ってしまいました。

 

 

最後は学生さんたちが大きな拍手で終えてくれ、あたたかなコメントをたくさん書いてくださいました。自画自賛みたいでなんだかテレもありますが、まあ、10年間たゆまず工夫を続け情熱を注いできた自分の奮闘をせめて慰労してやろうということで、一部、こんな感想をいただいたという内容を転記しますが、ご寛恕ください。

「時代背景や経済状況がこんなにもファッションに影響を与えているとは思いませんでした。そうなんだ!という発見が多くとても楽しい授業でした」「ファッション、ブランド、その時代背景、すべてをわかりやすくまとめて話してくださるので、毎回の授業がとても面白かったです。世界史も勉強できてよかったです」「4年間ずっと先生の授業にもぐろうと思っていましたが、最後になるのは残念です。先生が言ったことを支えにして、自分でがんばっていきます。とくに先生の知識欲に見習います!」「中野先生の授業、国日(=国際日本学部)でいちばん楽しかったです」「この授業はいつも新発見が多くて、とても興味深かったです。金曜日に大学に来るのが楽しみでした」「大学のすべての授業を通していちばん楽しく身になる授業でした」などなど。たくさんの激励になる言葉をありがとうございました。一クラスに200人~、年によっては300人という、学生がもっとも集まった講義の一つでした。多くの学生に来ていただけるのは嬉しかったですが、エネルギーの向けどころはそこではない(そんなことしても「業績」にはならない)、という現実的な忠告もいただきました。でも、将来をになう目の前の学生に、どんな分野であれ学ぶことに対するモチベーションを高くもってもらい、というよりもむしろ、学ぶことそのものが楽しいことなのだと実感してもらうことは、私にとっては何よりもやりがいのあることでした。

 

こんな楽しい授業がもうできないのかと思うと一抹の寂しさも残りますし、この10年に工夫し続けたこんなに面白いコンテンツをもう活かせないのかと思うともったいない気もいたしますが、同じことにしがみつくなという天からの指示ということでしょう。最高に充実していたこの10年に深く感謝しています。(あと一科目、最終講義が残っていますが。)

 

 

 

日曜夕は、西部先生の訃報に呆然としていました。西部先生の授業は、駒場で受けたことがありました。幅広い教養と「キャラクター」を感じさせる、80年代インテリのお手本の一人でした。自分の人生の終わりくらいは自分で決める、といかにも言いそうな先生でした(あとから知ったのですが、実際にそのようにおっしゃっていたようですね)。涙。教養の力というものを全身で示してくれた先生に一瞬でも出会えたことに感謝します。ご冥福をお祈り申し上げます。

西部先生のことから当時の駒場のことをぼんやりと思い出した。80年代の知識人はみな強烈なキャラクターの持ち主で、文化を牽引するエネルギーにあふれていた。いま、そんな「憧れ」たくなるような個性的かつ大物感ただようインテリが少なくなった。対文科省の事務文書をそつなくこなし、TOEIC対策の授業や資格試験の授業を効率的におこなえるようなスマートな人が主流として増えている。嘆くわけではない。そんな時代なのだろう、と思うだけ。

 

 

「キリスト」こと澤円さんに、ゲスト講師としてご来校いただきました。世界ナンバーワンプレゼンターが語る「グローバル人材に求められるプレゼンテーション術」。

90分、語る内容そのままを体現する「模範例」として、聞いて楽しく、見てスリリングな、聴衆を一瞬たりとも飽きさせないすばらしいプレゼンテーションを見せていただきました。

プレゼンテーションの意義、プレゼンテーションを行うための心構え、そして具体的なハウツーに至るまで。ご著書で内容の概要は読んでいたとはいえ、ご本人がこうして目の前で具体例とともに語るとまったく別の感動があり、非常に学びの多い濃密な時間となりました。

澤さんのプロフェッショナリズムというのはこれほどのレベルなのか!と感動したことがあります。まず、大量の荷物。これは、万一、こちらの機材がうまく動かなかったりインターネットが不具合になったときのための、ありとあらゆる「プランB」「プランC」に備えるための装備だそうです。機材不具合のせいにはせず、「できない」ということが決してないようにするための備え。驚きでした。

そして、マイクロソフト社からチェアマンズアワードを受賞したあとも、絶えざる自己研鑽を続け、自分のプレゼン中の映像を冷徹にチェックして、首の動かし方や口癖、手の位置、その他細部に至るまで徹底的に改め続けていること。その結果、ますますプレゼン術に磨きがかかっていることも、映像を見てわかりました。できる人ほど、このような努力を続けているのです。しかも、とても楽しそうに!

(立ち位置にも配慮。画面中央に立てば、映像が顔に映ったりせず、ノイズなしに観客は集中できる)


(ひとつひとつの動作がちゃんと絵になっており、意味があるという凄さ…)

学生とのコミュニケーションも90分間絶えず続き、ほぼ200名の全員が集中して前のめりに聴いて、参加して、楽しんでいました。質問も活発で、一人の学生からの「どうしてそのような外見なのか?」(笑)という質問にも、きわめて説得力ある答えをくださいました。スライドの写真は、澤さん新卒の頃。

成功するプレゼンのために、今この瞬間からアンテナを立て、情報を収集し続けること。よいプレゼンを目指すということは、よい生き方を重ねるということに他ならないということを心の底から実感できた時間でした。いやもうほんとうに面白かったです。

講義後の有志による懇談会には、奥様でありアーティストでもある澤奈緒さんも、シンガポールからのご帰国直後にもかかわらずご参加くださって、さらに楽しい時間を過ごさせていただきました。右奥が澤奈緒さんです。写真が小さくなってしまいごめんなさい……。

この日を境に「覚醒」した学生は多数だったはず。私はプロフェッショナリズムとは何かということを澤さんの行動から痛いほど学びました。まだまだ甘かった。身を引き締めて、いっそう厳しく精進しようと固く心に誓った日。

澤さん、奈緒さん、ありがとうございました! そしていつもながら授業のアシスタントとしてご尽力くださった事務室・資料室のスタッフにも心より感謝します。

 

澤さんの「世界No. 1プレゼン術」はこちらです。↓

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先日のジローラモさん&キーン・エトロさん特別講義の模様が紹介されています。

ありがとうございます。

掲載していただきながら恐縮なのですが、記事のテキストを何点か微訂正させてください。

・明治大学中野キャンパスの大ホールを貸し切って ⇒ このホールは、受講生が多いふだんの私の授業で使っている「教室」で、貸し切ったわけではありません。

・100人以上もの学生 ⇒ たしかに100人以上ではありますが、当日は約300人の学生でした。

・”ファッションの文学史、モードの神話学”  ⇒ ただの「モードの神話学」という授業です。いったい「ファッションの文学史」という麗しいワードがどこから出てきたのか…!? 笑

細かいことで申し訳ありません! ご参加いただいたうえ、掲載していただき、心より感謝しております。最高の思い出をさらにこのようにエンドースしていただき、ありがたい限りです。

大学の授業のゲスト講師として、パンツェッタ ジローラモ氏と、エトロのデザイナー、キーン エトロ氏にご来校いただきました。

ギリギリまで予測のつかないイタリア人らしさ全開のハプニング連続の授業となりました…。



壇上にはじっとしていらっしゃらず、座席の間を回りながら、質問を受け、座りながら、寝転びながら(!)の白熱講義。


イタリア語通訳の方(壇上左)も大活躍。


ミュージシャン志望の学生、イワミくんを壇上にひっぱりあげて歌わせる二人。イワミくん、このお二人にマイク持たせての演奏なんて、一生自慢できるよ!!

 

「自然の姿に学ぶ」「身体が感じることに敏感になることがインスピレーションの源」「インスピレーションは、呼吸から」など、多くのことを教えてくださいましたキーン氏からは、サイン入りTシャツまでプレゼントいただきました。


サインを入れてくださった狼の顔の部分です。”Super Kaori We enjoyed a lot lot! Top Teache! With Love. Kean”とあります。”We”というのは、壇上の講師たちも客席の受講生たちも取材陣もすべて含めた”We”、と解説してくださいました。客席の間を歩き回りながら楽し気に話していたキーンさんのことばだからひとしお、ありがたみがある。ほんと、熱い一体感があったなあ。

ご助力いただきました事務室、資料室、広報課のみなさま、エトロスタッフのみなさま、通訳の方、取材してくださったLEON編集部のみなさま、ファッション通信のみなさま、そしてノリノリで盛り上げてくれた受講生のみんな、ありがとうございました! 講義後はみんなすっかり、エトロファン。未来の顧客が大量に生まれた瞬間でした。笑

授業の模様は、後日、エトロの公式ホームページやLEON本誌で掲載される予定です。

400名ほどの参加者全員との写真はとても無理だったので、3回に分けての記念撮影となりました。

それにしても。キーン・エトロ氏9年ぶりの来日のタイミングがぴたりこの日に合い、ご来校くださることができたのはほんとうに幸運でした。1週間前までは想定もしていなかった奇跡の時間が実現できて、最高に嬉しい。「自分が学生だったら受けたい授業」というのをいつも考えて行動してきましたが、明治大学での最後の学期になって、想定をはるかに超えるごほうびが降り注いできた感じ。

“All good things are wild and free”.  ご紹介いただいたエトロの映像に流れたこのモットーを胸に、ワイルドで自由でいこうとあらためて思えた日。

ETRO 公式インスタグラムにアップされています。日本の国旗のある狼の顔の写真があるところをスライドすると、3枚、出てきます。

 

 

明治大学主催クールジャパン サマープログラムの一環として、世界各国からの短期留学生を対象に「Japonism & Fashion」をテーマに70分間のレクチャーをさせていただきました。駿河台キャンパスのグローバルフロントにて。

19世紀のジャポニスムに始まり、1980年代の黒の衝撃、21世紀現在のネオジャポニスムにいたるまでを一気に概観してみました。言葉が足りない分はビジュアルに頼るしかないので、用意したビジュアルスライドも60枚超(当日の朝に完成)。拙い英語のレクチャーでしたが、みなさま笑顔で寛大に聞いてくださいました……。講義後の質問も活発で、しかも鋭くて驚き。こちらが世界水準にならなければ(まだまだまだまだ遠い)と身が引き締まる思いがしました。よい体験をさせていただきました。

プログラム参加のみなさま、国際連携担当のスタッフのみなさまに心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

 

こちらのほうは海外の方が対象で、もう締め切られてしまったのですが。明治大学主催のクールジャパン・サマープログラムの一環として、8月1日、「ファッションとジャポニスム」についてレクチャーをします。English version is here.

19世紀の第一次ジャポニスム、1980年代の第二次、21世紀の第三次にかけて一気に一コマで流れを概観します。今年度は明治大学も5年×2期、任期満了の年になります。本当に楽しくて充実した期間を過ごさせていただいたことへの心からの感謝をこめて、機会をとらえて「10年間の集大成」としてご恩返しをしていきたいと思います。

<To the students who have applied for the program>
We will overview the first Japonism of the 19th century, then the second wave of Japonism in the 1980s, when the Japanese designer acted as game-changers. After that, we shall look at the Japonism of the 21st century, and examine the interrelationship between the Japanese fashion and Western fashion. How is the identity of <Japan> expressed, or used in the global fashion scene?  Let’s think and discuss together.

I look forward to seeing you in the class.

 

ゲスト講義のメモ、続きます。3、4年生向けの授業では、「ザ・プラットフォーム」の著者、尾原和啓さんにゲスト講義に来ていただきました。(7月3日)

初っ端からステージにドローンとともに登場。

VR時代のファッションをサブテーマとして、現在、および近い将来に起こりうるさまざまな革命をテンポよく分析・ご紹介くださいました。ドローンをはじめ360度カメラ、VR、太陽光発電装備など、最新のハイテク機器の実物に触れたりしながらの、ワクワクする授業。

最先端の動画を駆使したパワーポイントからして斬新でしたが、講義のやり方においてもGoogl docs.を使った「グーグル方式」を採用。参加者全員で講義を聞きながら議事録を書き込んでいくというものです。こうするとあとで書き起こしてリライトする手間も省けるし、質問もその場で受けられるし、集合知によって間違いも聞き落としも少なくなる。なんとすばらしい!


尾原さんは現在バリ島に在住。プール付き、メイドつきの豪邸で家賃は10万円だそうです。分身である尾原ロボットが六本木で働いており、ほとんどそれで事足りる。どうしても本人が必要というときだけ、夜中の飛行機に飛び乗れば6時間半で朝の東京に到着する。これからの働き方を考えるときの、ひとつの模範例ですね。


以下は、Google docsに学生たちが書きこんでくれた講義録と、私が気になったことなどのなかからの、ランダムなメモ。

絵文字というのは、デジタル世界において感情を表現する最初の最新ツールであり、ヴァーチャルにおけるファッションの始まりと位置付けられること。

現代では共感と経験が新しい貨幣となっていること。「いいね!」は貨幣と捉えられる。


(ヒラリー・クリントンに背を向ける大衆はいったい何をしていたのか?)

VRが普及していくと、まずはレベル1として、距離と時間に関係なく移動できるようになる。その場合、VRのライバルは飛行機!?
レベル2として人間が行けない場所へ行けるようになる。
レベル3では、物理想像の世界を体験できる。
レベル4では自分の世界を相対化することができる…。つまり、自分たちは時間も空間もすべてをデザインできるのだ!

現在、想像を超えるほどテクノロジーが急速に変化しており、今後は想像力(デザインする力)がいっそう必要になってくる。

ヴァーチャルの世界でのコミュニケーションが重要になってくると、たとえば、試着室のなかから、買いもしない服を着てアップして「いいね!」をもらおうとするような行為が派生する。これは「デジタル万引き」として問題になっている。

Tシャツの価値は、コミュニケーション誘発機能にもある。他者だけでなく自分とのコミュニケーションも含む。待ち受け画面というのも、自分に対してどのような感情を起こすのかということを考えて選定すべきもの。

あまりにも世の中が進んでいることを知らされて、めまいがしそうなときもありましたが、いやもう、たいへんに刺激に満ちた100分でした。


授業後は、近くの「Good Morning Cafe Nakano」にて、志の高い学生10人ほどと、お酒を飲みながら懇談会。学生一人一人の夢をしっかり聞いて助言してくださっていました。はるばるバリからご来校くださったうえ、サービス精神満点の、行き届いたすばらしいご指導をいただき、学生ともども心より感謝します!


手前の長方形の物体がカメラ付きのドローン。

 

 

 

 

ストリートファッションフォトグラファーのシトウレイさんに、ゲスト講義に来ていただきました。(6月23日)

「好き!を仕事にする」をテーマに、故郷の石川県の話から始まり、大学時代にモデルとしてデビューしてのちストリートファッションフォトグラファーに転身することになったきっかけ、独立、さらに「好き」を徹底してきわめることで仕事の幅を広げ続けている(ラデュレとのコラボをするほど!)現在にいたるまでの、キャリア構築と人生とファッション写真についてのお話。

ストリートを撮るということで、その国の裏事情まで映し出すことがあるということ。

被写体にインタビューすることで、その人自身の個性(とファッション)がより魅力的に浮かび上がってくるということ。

妥協せず、自分の好きなことだけを貫いていけば結局それが信用となり、ブランドとなっていくこと。

来るチャンスにはとりあえず乗っかってしまうこと、スランプやピンチも前向きにとらえることで成長のチャンスになっていくこと。

シトウさんご自身が楽しんでいらっしゃるので、ホール全体に楽しさが伝染し、刺激的な時間となりました。


終了後も、「質問」や「一緒に写真撮ってください」リクエストの長い列。シトウさん、すてきなレクチャーをありがとうございました!

 

Meiji.net 第5回 「日本のファッションの常識は世界の非常識」。公開されました。こちらです。

同じことを100回くらい(←おおげさ)書いたり話したりしているような気もしますが。

 

お時間ゆるせばご笑覧くださいませ。

Meiji.net  トレンドウォッチ第4回 「プラスワンアイテムの効果」、公開になりました。

こちらです。

 

お時間ゆるすときがあればご笑覧くださいませ。

大学の先生がこんなアイテムをすすめていいものか??と生真面目な私はしばし躊躇しましたが……。しばらく考えて、しかし、なぜこんな不便きわまりないものがいまだ根強く生き残っているのか?を考えるための体験アイテムとしてならよいのかな、と。見えないところなのですが、下着が人の意識に与える効果は侮れないのです(男性・女性ともに)。もちろん、他に考えるべきことが山ほどあります。ぜひにとは言いません。

Meiji.net 第三回、Signature Fashionについて。公開になりました。

お時間ゆるすときがありましたら、どうぞご笑覧ください、こちらです

本音の、正直なところをいえば、

実は当初いただいた質問のなかには「どんな店で服を買うといいのですか?」「店員との付き合い方は?」はじめ、あまりにも即物的でハウツーすぎるものが多く、これにまともに答えていると、( インテリぶるつもりはかけらもありませんが、) こんなことを大学で教えているのか?と誤解されるかもしれないという内心のおそれがありました。

アカデミックな場でファッションを論じることについて、機会をいただいてからのこの10年、もっと違うレベルで戦ってきたつもりでした。でもやはり情報の発信が圧倒的に足りないのか届ける力量不足なのか、世間の思い込み(ないし無関心)とのギャップは相変わらずです。

世間の需要との兼ね合いの中で、やや妥協的な発信も時にはせざるを得ない時もあります。それさえも信用として積み重ねていけるかどうかは今後の仕事次第ですね。(気を引き締めるための自戒でした)

 

明治大学情報サイトMeiji.net 第二回が公開されました。こちらです。

自分のいやなところもすべて受け入れるというのは、ほんとうに勇気のいることですよね。でもすべてはそこから始まるということも実感しています。世間の誰か(あなたの勝手な思い込みかもしれない)が決めた「すてきな理想」、その理想に至らない自分に苦しむという非生産的なことはいったん手放して、今、この瞬間に何をすればこの場を最大に輝かせられるのかということにあらゆるエネルギーを集中する。その命の輝きのような印象が時間とともに積み重ねられていき、それが魅力として他人の心に焼き付けられていく(こともある)のではないかと感じています。

あらゆる命は、類例がないからこそ、「ほかに似てるものがない」からこそ、貴重で、価値があるのです。規格や「平均」や「標準」に近づけたいって、それ、工業製品のことですか?

 

☆ちょっとくどいかもしれませんが、他SNSで質問があった(欠点を曝すことは自己満足に堕すことにつながるのではないか?という趣旨)ので、「欠点を強調する」と言うことに対しての私の考えを補足しておきます。

ここで言っているのは欠点を曝す、というよりも、世間が欠点と評価していることに対して恥じない、という程度の意味です。他人の不快をものともせずに「どうだ!」と開き直るのは厚顔無恥で、それこそ自己満足に堕しているだけだと思います。

「欠点」とされていることに恥じることなく開き直ることもなく、自分自身がそれを受け入れていることを示し、やるべき行動をする、そこに好感が生まれていき、その暁には「欠点」とされていたことがチャームポイントにさえ転じることがある、そのような意味です。

外部記者の方による疑問に答えていくという形のインタビュー記事、しかもボリュームが限られていることもあり、つっこみどころが満載かと思います。お気軽にご意見をいただければ、意図するところを可能な限り答えさせていただきます。

 

 

 

おかげさまで、第一回めは同サイト内で読まれている記事ランキング第一位を獲得しました。ありがとうございました。

明治大学が運営するMeiji.net 。本日より6回に分けて「トレンドウォッチ」に登場します。

主に30代前後の社会人を読者対象として意識し、明治大学の教員が外部のライターさんの身近な疑問に答えていく、という形式のコーナーです。

小難しいことは言わず、「ファッション」に対して若干の抵抗や不得意感を感じている方にもリラックスして受け取っていただけるような回答を心がけました。

お時間の許す時にでも、ご笑覧くださいませ。

それにしてもこの場違い感はなんというか…… まじめにやればやるほど私のコーナーだけがジョークみたいな気がする。

明治大学リバティアカデミー 2017年度春期講座のご案内です。

「時代を切り開いたスタイルアイコン: そのスタイル・言葉・行動から今日を生き抜くヒントを学ぶ」

5月24日(水)19:00~20:30

中野キャンパスでの最後の公開講座になる予定です。

一方向のレクチャーではなく、小人数で、参加者のコメントも聞きながらすすめていきます。

ご案内はこちら。申込み開始時には、またアナウンスさせてください。

 

卒業して数年経ったルーマニアからの留学生の教え子が、日本文化やアートに関する記事を書くライターとして活躍しています。そのMs. Cezara Miclea が、私のインタビュー記事を書いてくれました。ルーマニアのアートサイト、Art Outに掲載されました。

ちょっとこっぱずかしいですが。愛情を注いできた教え子と、卒業してから時間が経っても、国を隔てても、思わぬところで、こんな形でつながることができるのは、とてもありがたいことですね。Thank you, Cezara.

cezala

 

自画自賛っぽくて恐縮ですが、前文では、こんなふうに紹介してくれています。あつかましく、以下にコピーさせてください。奮闘してきたことや思いが少しでも伝わっていたんだと感じられて、嬉しいです。電池切れしそうでしたが、あと少し、がんばれそうです。

“Professor Kaori Nakano is teaching fashion at Meiji University in Tokyo. I met her six years ago, when I chose her course about fashion at the same university, and she doesn’t cease to amaze her audience with her enthusiasm, her love for fashion, and her charm. She loves teaching and partying, and she is considered the leading expert in Dandyism and Gentlemanship in Japan. “

元ファーストレディ、元大統領、元副大統領、毎日のように届いたそれぞれの『最後のスピーチ』にいちいち感動しながら、自分自身の2016年度『最後のレクチャー』がいくつも続いた、ハードながら感慨深い2週間でした。

 

笑いと刺激と友愛にあふれていて、毎週楽しみだった今年度プレゼミ(officially 教養講座)も昨日が最後でした。

オバマ、バイデンのブロマンスな(笑)スピーチに思いを託しつつ。

「心から生まれたものは、心に届く」。

1.23.2-17

みなさんほんとうにありがとう! (記念に、拙著にひとりひとりにぴったりだと思う言葉を入れて一冊ずつ贈りましたため、全員、本を手にしています。宣伝ぽくて恐縮です。)

 

 

ちなみに男子はほぼ全員が「リア充」。オフ時には、クリスマスや誕生日にいかに知恵を絞って彼女を驚かせたかという自慢?話披露会(OBもそうです。その技に磨きがかかっていく)もあり。「若者が恋愛しなくなった」という一般論は、あくまで曖昧な一般論でしかないことがよくわかる。

多くの無邪気な「恋する男子」を見ていて得た結論です。☟

男子というものは、あらゆる知恵と体力を総動員して女性を驚かせることに生きがいと喜びを感じるものらしい。

 

逆に、「彼女にサプライズのプレゼントをもらうのは嬉しいけど、ちょっと悪いなと思う。こっちがいろいろ考えて驚かせ、喜ばせてあげるほうがはるかにうれしいし、楽しい」そうです。

 

 

もちろん、そんな話ばっかりしていたわけではまったくありませんが。笑

今年度もまた、新鮮な学び合いの場に恵まれたことに感謝します。

 

 

日刊工業新聞から取材を受けました。大学時代のこと、その後のキャリアについて、仕事の哲学など。13日、青山カフェラントマンにて。

同新聞社の記者、六笠友和さんに取材していただきました。ご縁をつないでくれたのは、国際日本学部第三期生(卒業生)で、現在、同新聞社に勤めている月岡亜梨沙さんでした。

12-13-14

思わぬ久々の再会に喜ぶ! 私の教えを、こっちが忘れかけていたことまでしっかり覚えていてくれて、とてもうれしかったです。「カオリズム」(笑)と一期生によって呼ばれるようになったマインドの持ち方は、女子学生のほうが覚えていてくれることが多いようです。確かな手ごたえとともに生きるために、自立し、人と運を味方にしていく行動と表現の心構え、みたいなもの(主に私の痛恨の失敗の数々から導かれていますが(^^;))。OBOG会では、これを覚えている学生に、逆に思い出させられます。

 

記事は来年1月早々に掲載とのこと。楽しみにしています。

 

 

国際日本学部の話ついでに。2016プレゼミ(小人数の教養講座)、一年間がんばりましたおつかれさま!の打ち上げの模様。国際ニュースとプレゼンテーションの技法、そして映画の見方を学んだ今年のプレゼミも活気があふれすぎるほどで、毎回、うるさいくらいの発言が飛びかい、笑いが絶えず、発見が多々ありました。濃い時間のなかで築いた絆のご縁は末長く続く…… でしょう。

中野駅前の「とり鉄」にて。12-13-10

18日、大学の「ファッション文化史」の授業のゲスト講師として、ファッションレスキュー代表の政近準子さんをお招きしました。11-18-14

通常は、現在の視点から見た20世紀社会を、10年ごとの単位で区切って教えている時間ですが、「ファッション」といっても、実に多様なアプローチがあるということは、読者のみなさまもご存じの通りです。この日は特別講義:実践編として、パーソナルスタイリストの仕事の実際と「装力」について、レクチャーをしていただきました。

「装力」については理論だけで知るのではなく、実際にその力を体感してもらいたいということで、ファッションレスキューのスタッフが、たくさんの小物や服を持参してきてくださいました。

11-18-22

実際に学生に壇上に上がってもらい、数人のレスキュースタッフが、その学生の個性を引き立てるような小物やジャケットを加えていく。まずは男子学生。ほんのひと手間加えるだけで、見違えるようにりりしくなります。

そしてイケメンに変身(!)した彼らが、自分のファッションに釣り合いそうな女子学生を会場から選び、今度はスタッフが彼女たちをほんのひと手間でドレスアップさせていく。

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全とっかえしたわけではないのに、「その他大勢」のなかに「しめじ」のように紛れていた学生が、見違えるように個性的になりました。(学生の写真は、掲載の許可をいただいています。)

 

ただファッショナブルになるために装うのではなく、場や、相手のことをとことん考え抜いて装うこと。「相手のために、考え抜く」。そのことによって、別次元のコミュニケーションが生まれ、それが人生を切り開いていくきっかけにつながること。

これは、準子さんはじめレスキュースタッフと講演などのお仕事をご一緒するなかで、私自身も目の当たりにしてきたパワーなのですが、今回、100名ほどの学生たちも感動とともに知ることができたのではないかと思います。

高い服を買う必要はないし、数をたくさんそろえる必要もない。ただ、丁寧に相手や場をシミュレーションし、考え抜いて服を着る。きめ細やかに考えるというその思考習慣が、仕事や人間関係など、あらゆるところに及べば、生活や仕事の質が違ってくるのは当然ですね。「みんなと同じ、しめじの塊」でいることに疑問を抱かないという自分自身のメンタリティに対してまずは何か考えてみる、刺激的な機会になったのではないかと思います。

先日のシャネルの顧客イベントの記事で触れましたが、実はこの授業のあと、「ココ・キューバ」をドレスコードとするイベントに向かうことになっていました。それを準子さんに前日に(笑!)伝えたところ、「じゃあ、それもいい<教材>になるから、そのイベント用にヘアを作ってあげる」とおっしゃってくれたのです。ヘアスタイリストの臼倉さんが、「ココ・キューバ」のコレクション映像を見ながら一生懸命に考えてくださったのが、件のヘアスタイル。準子さんの講義中、壇上の端で刻々と「ココ・キューバ」風に変身させられていく私を学生は横目で目にしていたわけですね。

 

最後の仕上げは、準子さんによる「仕上げのひと手間」。シルクの感触が美しい薔薇のスカーフをあしらい、それをプレゼントしてくださいました。背景のスクリーンにはシャネルのキューバ・コレクションが流れ、愛と感動にあふれた(!)ドラマティックなエンディングとなりました。
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 その後、スカーフよりもネクタイのほうがよりシャネルらしいということで、最後のぎりぎりにネクタイをあしらってくださったのですが、そのように、とことん、相手の立場に立って考え抜き、ファッションを通してコミュニケーションの感動をもたらしてくれるのが、準子さんなのですよね。

準子さん、レスキュースタッフのみなさま、そしてサプライズゲストとして急遽、ご同行くださいました、福島の地域創生のためアクティブに活動している熊坂仁美さん、ほんとうにありがとうございました!

隅々まで考え抜かれた演出で、お祭りのようにわくわくした90分でしたが、学生も笑顔を輝かせて帰っていきました。自分自身のあり方を考え、変えていく思考習慣・生活習慣を作るためのきっかけになればこれほどうれしいことはありません。

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プレゼントしていただいた、愛のこもったスカーフは、この日の記念として大切にします。

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16日には、明治大学での公開講座を無事終了しました。約130名のお客様にご来場いただきました。心より感謝申し上げます。

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世界ではじめて真珠の養殖を成功させ、大きなビジネスへと発展させた御木本幸吉と、その志を受け継ぐミキモトブランドの現在。

11-16-2016-8洋裁師が洋服を作っていた戦後の日本で「プレタポルテ」を始めた芦田淳と、そのDNAを受け継ぐジュン アシダ ブランドの現在。

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今回の講座のためにミキモトさま、ジュン アシダさまに取材にうかがい、身近な方ならではのエピソードを聞かせていただき、きわめて貴重な、多くの資料をご提供いただきました。

質疑応答では、ジュン アシダ現社長の山東さん、デザイナーの芦田多恵さん、ミキモト広報の小泉さんから、直々にお答えをいただきました。そのお話ぶりから、「一流」の底力、「ラグジュアリーブランド」たる品格とはなにかということが、ご来場のみなさまに、自然な形で伝わったのではないかと感じています。

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あらゆる形でご協力いただきました(株)ジュン アシダの代表取締役社長・山東英樹さま、デザイナーの芦田多恵さま、そして写真には写っていないのですが、広報の熊井美恵さま、野尻恵未さま、(株)ミキモト広報・マーケティングの市川美穂さま、小泉忠明さま、八木千恵さま。みなさまのお力とあたたかな激励なしには実現不可能でした。万感をこめて、ほんとうにありがとうございました。ご一緒にお仕事をできることをこれほど幸せに思ったことはありません。リバティアカデミー事務局の方々にも心よりお礼申し上げます。

中野キャンパスまでお運びくださいましたみなさま、あらためてまして、ありがとうございました。みなさまのご支援があってこそ、このような前例のない試みも「次」を考えることができます。多くの方々の愛情を感じられた講座となりましたこと、心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

大学の授業のゲスト講師として、株式会社aeruの代表取締役、矢島里佳さんをお招きしました。

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昨年の日本政策投資銀行の女性起業大賞に輝いた方で、そのプレゼンテーションを聴いて、ぜひ、学生にも話を聞かせたいと思ってお願いした次第です。

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学生時代からジャーナリストを志望し、「何かを伝えたい」という情熱をもって方々にアプローチした結果が、ある雑誌での伝統工芸の取材記事につながり、自分も、会社も、職人も、社会も、環境も、すべてがうまくいくやり方、未来に続く良きシステム工夫したその道筋が、大きな成果となり、ますますその世界が広がっていること。

論理的で情熱的、愛にあふれて知的で、合理的な行動力がある。考え方も表現のしかたも、やさしく、新しく、ていねいで、確実に心に届くように伝えるコミュニケーション力がある。これからは彼女たちのようなしなやかな起業家が活躍する時代。本当に心強い、とあらためて感じました。まだ28歳。昨年、メンターをつとめさせていただいた気仙沼ニッティングの御手洗瑞子さんもまだ30歳前後ですが、この世代の自由で垣根のない発想には学ぶところ大です。

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就職活動を続ける中で鬱々とした表情になっていったりする学生も少なくないのですが、広く目を世界に向けると、もっと自由な働き方、生き方がある。ということにも気づいてほしいと願っています。

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終了後、プレゼミの学生も交えてお茶をのみながら、悩み多き学生にもアドバイスをいただきました。年が近いので(6~7歳しか違わない!)ご助言にも説得力がありますね。

講義中に、里佳さんは、「みなさんは、ほんとうに人を信頼したことがありますか?」という言葉をなげかけました。思わずはっとさせられました。愛の側に立つこと、人を心の底から信頼するということで、開けていく世界がある。里佳さんは、職人さんたちから寄せられた信頼にこたえようと、がんばって起業した。彼らの世界を継続させるために、彼らの生活環境を守るために、会社(法人も人格として扱い、aeruくん、と呼ぶところが彼女らしい)を続ける努力を怠らない。

僭越ながらふりかえってみれば私も、人の信頼に応えようとすること、愛をいただいたらお返ししようとすること、それが軸になって仕事が進んできたようなところがある(キレイゴトみたいですが、これは実感です。他人の期待に応えようとすることで、自分では予想もしていなかった力が引き出され、新しい局面が開けてくるということもあるように思います)。期待される信頼にこたえきれないこともあったかもしれないですし、今は調子よくても需要がなくなればそれまで、というシビアな見方があることも承知していますが、それでもやはり、少なくとも今まで、ほぼ30年以上、愛と信頼を軸に仕事が回ってきたということは、とてもありがたく、幸福なことでした。

ありえないことが起きてしまう世界情勢。憎しみや排外主義や無知が力を得てしまう世界が実現してしまう時代。そんなときでも、自分ができることから理想を貫き、徐々に世界を広げ、周囲を合理的に幸せにしていく里佳さんのような生き方・働き方ができるのだということ、学生に伝われば嬉しい。

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里佳さん、ほんとうにありがとうございました。ますますのご活躍とご発展を応援しています。

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海外発信においても、こちらから「出ていく」のではなく、「引き寄せる」ことを目指すという。その「女性らしい」考え方にも賛同します。

 

コーディネートさせていただいた明治大学リバティアカデミーの堤信子先生による「一瞬で人の心をつかむ話し方」、全三回が熱気のなかに終了しました。

受講生のどなたかが「朝ドラみたい」と表現していましたが、ひとりひとりが強烈にキャラクターが立っていて、伝えるメッセージが面白い!! またそれぞれの受講生を的確なコメントとともにさらにブラッシュアップさせ、クラスをまとめあげていく堤先生の力量はさすが。受講生どうしがお互いにオープンに学び合った、理想的なゼミのようなクラスで、終了後も別れがたい雰囲気が濃厚に残るなか、なかなかみなさんお帰りになろうとしない。笑 社会人のクラスでこのような出会いはなかなか貴重です。

大学生も受講していましたが、社会人の旺盛な意欲に触れて、新鮮な刺激を受けたと思います。プレゼミ卒業生のお母様が受講しにいらしてくださったことにも感激しました。

受講生のみなさま、信子先生、ありがとうございました!最終回はハロウィンと重なり、お目よごしなところもありますが、ご寛恕ください(^-^;  。 堤先生のインスタグラムよりシェア。

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明治大学リバティアカデミー、コーディネートしているもう一つの講座、フリーアナウンサー堤信子先生による「一瞬で人の心をつかむ話し方」講座も、満員御礼をいただいております。ありがとうございます。

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この日は、滑舌の訓練を中心に。

 

第二回が無事終了、あとはハロウィンの日に最終回を迎えるだけになりました。

明治大学リバティアカデミー(公開講座)、コーディネートしたビジネス講座、放送作家・野呂エイシロウさんによる「戦略的PR」講座、満員御礼の上、たいへんな熱気のうちに全三回が終了しました。

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業界の固有名詞や生々しい裏話、驚きの実話などを早口で披露しながら受講生を笑わせつつ巻きこんでいく講座は、毎回、あっという間に時間がたち、30分以上質問の嵐が途切れないという盛り上がりを見せました。noro-4

受講生のみなさま、事務局の方々、野呂先生、ありがとうございました。

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ファッションディレクターのホッシーこと干場義雅さんに、中野キャンパスにゲスト講義に来ていただきました。5年ほど前には和泉校舎に来ていただいたことがあります。

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今回はアシスタントのサトシーノくんもご一緒に登壇していただきました。
下の写真、左がサトシーノ。35歳ということですが、学生の中に溶け込んでしまえる雰囲気です。ピュアにファッションが好きで、ホッシーが編集長をつとめる講談社のウェブサイト、Forza Styleで編集アシスタントとして仕事をしています。

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ホッシーはとにかく存在感が濃くて、登壇しただけで学生からどよめきが起きるほど。

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ファッションメディアの作られ方。「女性にモテたい」という根源動機がどのように発展して「ビジネスにおいてもモテる」につながっていくのか。一見、ばかばかしく見える記事の裏で、どのようにお金が動いているのか。夢をかなえるためにはどのようなマインドセットをもつべきか。などなど、熱く語っていただきました。

最後は近著2冊を学生の「じゃんけん勝者」にプレゼント。

その後も近隣のカフェにて、サトシーノをまじえ、キャリアの話、仕事の話を中心にしばらく話が尽きず。全く違うタイプに見えますが、根本のところで仕事に対する態度や考え方は、私のそれと通底するところがあるんですね。「365日、手抜きをせずに毎日なんらかの仕事をしている」とか、「周囲に対してまず感謝し、与えることから始める」とか、「いま、ここを最高に幸せに生きるために努力をする」とか、「チャンスが来たらとりあえずつかむ、そのために日々準備をしておく」とか。「自分のことばを磨いて発信し、それによって口説く(異性もビジネスパートナーも)、あるいはチャンスを引き寄せる」とか。「他人を妬むひまあれば自分の関心事を究める」とか。フリーランスとして名前を売りながら、むだに敵を作らず、長く働き続けるためにはやはりそのような発想と行動が最低限、必要なのかもしれません。というよりむしろ、それを苦に思わず好きでやっていける人が結果として生き残っていけるケースが多いのでしょう。(例外は常にあります。)

7.4.2016.9

そのうえで、ホッシーがあっぱれだなあと思うのは、妬みや中傷に対する考え方でした。彼のマルチな活躍ぶりに妬みを感じ、ネットで中傷を書き込む輩もいるらしい。それに対し、ホッシーは「わざわざ僕のことを書くために貴重な時間を割いてくれて、ありがとう」と考えるのだそうです。そうですよね、時間は財産。それをわざわざ他人の悪口を書き込むために使うというのは、愛というか、強い関心の裏返しですものね。どうでもよければスルーします。助手のサトシーノいわく、ホッシーは、自分に対する悪口にも「いいね」を押すそうです。人気の秘密は、卑屈には決してならないこの肝の据わった悟りの境地にもありますね。

7.4.2016.1

お忙しい中、学生の視野を広げ、彼らのこれからの過ごし方の刺激となるお話をしていただきました。私も見習いたいヒントを多々いただきました。ありがとうございました。

 

6.15 公開講座「時代を導く男性像とモード」の模様を取材してくださったDress Up Menさんによる記事がアップされました。

こちらです。自分としては恥ずかしいところも多々ありますが、認めたくない欠点も受け入れて、それが気にならないくらいの芸風(?)をみがいていかねばと思っております…。

6.15.3

公開講座にご参加くださいましたみなさま、Dress Up Menスタッフのみなさま、あらためてありがとうございました。

6.15.1

 

数日前、大学内で「キャリアと人生」に関するシンポジウムが開かれ、ご指名を受けて、3人の登壇教授のひとりとして話をしてきました。

一人で話すわけではないので、通常のキャリアに関する講演のようにすべて一貫させるように伝えるということは難しかったのですが、いつものように、

「世間が決めるスペックで競うことに向いていないと思ったならば、自分をもっとも活かせる価値基準を作ってそのブルーオーシャンで悠々と泳げるように努力したほうがラグジュアリーな人生を送ることができる」

という趣旨のことを話してきたのですが、最後に受けた質問が不意打ちで、不十分な答え方しかできませんでした。それに対する「階段のあと智恵」的な補足です。

その質問は、このようにして日々、強い「個」を作るための実践をせよ、ということに対して寄せられました。

ko

こんなふうに「修身」をした結果、強い「個」になってしまったら、多くの日本の企業や組織では、ういてしまって、うまくやっていけなくなるのではないですか? という質問を受けたのです。

そのときは、とっさによい答えが浮かばなかったのでなにやらお茶を濁した感があったのですが。

私の真意は、強い「個」になることは必ずしも突出した個性になることではない、ということです。

自分の中に、根拠不明な世間の基準ではなく、自分が心の底から信じられるような行動基準・価値基準をもっていれば、多少のことには凹んだりすることもなく心安らかでいられる、結果的にそれが本当の意味でのラグジュアリーな幸福を実感できる「強さ」につながるということです。

心のなかにそのような強さがあれば、組織のなかの多少のごたごたは上手に「流して」いきながら、うまく溶け込むこともできるでしょう。また、ここぞのときにほんとうに力になってくれる人というのも、結局、日頃は群れずつるまない「個の強さ」をもった人たちです。つるんでうわさ話などに興じる暇があれば腕を磨く、そうして磨かれた能力が、いざというときに大きな力を発揮して人や組織を助けることができるのです。

そのような本物の強さを育てるために、上に挙げたような日々の「修身」を着実に続けていくというのも一方法なのです。信じられることを見つけるための確実な方法であり、社会における自分の「輪郭」のようなものもわかってきます。

最後の「想像し、愛する」。やはりあらゆる人文学系の学問が、いかなる議論を闘わせるにせよ、最終的に着地すべき境地だと思っています。

Create your own blue ocean.

☆2017年度版、国際日本学部 学部ガイドが発行されました。こちらからご覧いただけます。6ページめに、私が担当するファッション文化史に対する学生のコメントがあります。ご笑覧いただけましたら幸いです。

 

15日リバティの講座につき、嬉しい反応をたくさん頂戴しています。心より感謝申し上げます。なかでも、ひょっとしたら私以上に内容を理解していらっしゃったのではないか?と思われるほどのすばらしいレポートを寄せてくださった方があり、ご本人のご了解を得て、その一部をこちらに掲載させていただきます。MTさん、ほんとうにありがとうございました。

(以下、MTさまより)

☆☆☆☆☆☆

今回の講座は、限られた時間内でメンズファッション史を概観し、
ビジネスへのインプリケーションとエンタテインメント要素も加えた
アフターファイブ社会人講座としての「最適解」になっていました。
膨大な量の情報とビジュアル資料をよく整理されて、
90分ピッタリに収まったのはさすがです!

中野様がめざしていらっしゃる(と私が勝手に想像する)
壮大なメンズファッション史の構想も見えてきました。
これは、その先行ダイジェスト版、といえるかもしれませんね。

以下は私なりに講座をまとめたノートと感想です。

序章:ファッション学

ファッションとは時代、社会、人を形づくるもの。
そして視点の数だけ歴史はありうる。
「メンズファッションデザイナーを軸とするファッション史」という視点。
まずこれをおさえてからファション史に進むことが大切ですね。

第一部:メンズファッションデザイナー以前

メンズファッションでは、現在のようにデザイナーがトレンドをリードする以前、
映画スターやセレブリティのような、トレンドアイコンの存在が大きかった。

フレッド・アステア、ケーリー・グラント、ゲーブル、ボガート、そして本物のギャングたち・ミリタリーを起源とする機能先行の服と、それを身に着けたセレブリティのイメージ

こういう視点で映画を見直してみるのは楽しかったです。
スチル写真、映像の引用は、ワクワク感がありました。
さっそく「キングスマン」が引用されていて、感激!
でも「トップガン」すら知らない若い世代がいるとは、
時代の流れを感じました(苦笑)
ビートルズ、ミックジャガーもファッション・アイコンとして眺めてみました。

カルダン、サンローランが第二部のデザイナーたちとは違う立ち位置にあった
ことをあらためて認識しました。

私見ですが、70年代アンディ・ウォーホルのタブロイド誌「インタビュー」が
ジェットセッター/セレブリティとファッション・デザイナー/アーチストたちを
同次元にフィーチャーしたのは、デザイナ―全盛時代へ至る過渡期において
次に来る時代を予見していたと思います。

第二部:時代を導くメンズファッションデザイナー

80年代、アルマーニを分水嶺として、デザイナーがメンズファッションの
トレンドをリードするようになる。

アルマーニは、「アメリカン・ジゴロ」(アンコン・ジャケット)、
「アンタッチャブル」(30年代ファッション)などを通して、
映画やレッドカーペットへの衣装提供を戦略的に行った。
また、服を超えてトータルライフスタイルを提案し、
さらにチャリティ商品デザインによる社会貢献のさきがけとなった。

ラルフ・ローレンは、デザインではなくコンセプト(「幻想のアメリカ上流階級」)
を創出することで、ビジネスとして成功。
この時代は他にも、ボロルックで西欧モードを揺さぶったコムデギャルソン、
哲学者のようなコメントを発する山本耀司、
デザイナージーンズとアンダーパンツのカルバン・クライン、
あらゆる境界を取り払ったJ.P.ゴルチェ、
アンファンテリブルのA.マックイーン,etc.・・・
デザイナーの個性がファッションをけん引していた。

いわゆるDCブランドの位置付けがよくわかりました。
デザイナーの創出するライフスタイルが
商品として売られる時代になってきたのですね。
この傾向は、20世紀後半の社会の中流化(といっても一部の先進国ですが)
と密接に関係して、その後のマーケティング志向ブランドへ
少なからぬ影響を与えたことはあきらかです。

一方、メンズファションの一翼を担うビジネススーツ、
正統派の英国紳士服にも、少しづつ変化がみられるようになった。
デザイナー(J.ハケット、ポール・スミス)の手でひねりが加えられたり、
「キングスマン」の衣装を販売するミスタ―・ポーターように、
映画とタイアップした架空のジェントルマンのブランドも登場。
この英国ファションの流れは、それだけで一つのテーマとなりそうな予感です。

さて90年代のミニマリズム(J.サンダーなど)を経て、21世紀のモードはどこへ行く
のか・・・

2000年代初頭に草食系男子を先取りしたエディ・スリマン、
徹底したマーケティング志向のトム・フォード、
半ズボンのトムブラウン。
そしてトランスジェンダー、ノームコア、コンゴのサプール・・・
なんでもあれで予想外の進化をつづけるメンズファッションのトレンドは
今後どのようになってゆくか、要注目です。
SNS時代にファッションのトレンドをリードするのは、
もはやデザイナー以外の人々なのかも。

20世紀に経済成長の恩恵を受けて、「夢」を提示することで発展してきたファッショ
ンが経済格差、環境問題など、社会経済のマイナス影響をどう受け止めて(あるいは笑い流して)進んでゆくか?
その中でデザイナーの立ち位置はどうなってゆくのか?
ファッションビジネスの実学であると同時に、いろいろと現代について考えさせられ
ました。
こういう時こそ、リベラルアーツの出番。
中野様の切り口は、考えるヒント、人生の宝物となるでしょう。

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ほかにも、異業種の方々から、ビジネスや人生を考えるヒントになった旨の嬉しいコメントを数々頂戴いたしました。ファッション史とは服装の変遷ではなく、生きるためのヒントに満ちている豊かな学問であることを広めようとしている身には、たいへん大きな励みになりました。みなさま、あらためて、ありがとうございました!

明治大学リバティアカデミー「時代を導く男性像とモード」、多くの方にご来場いただき、大盛況となりました。

ファッション史はどこに視点を置くかによって、まったく見え方が違います。

戦後のメンズファッション史だけとっても、先週、デイヴィッドが講義してくれたように、ストリートに視点をおいたら「アメトラ」になるし、ファッションイラストレーション講座のように、イラストに視点を置けばまた別のものが現れてくる。ホイチョイプロダクション的にマーケットのトレンドを見据えていくと、さらに違うものになる。

とすれば私ができることはなにか?と考え、スタイルアイコンとデザイナー(やコンセプター)に焦点を絞り、ここ半世紀のメンズファッション史を整理してみました。まとまった本もないので、50人弱のキーパーソンをどう並べて、どんなストーリーを作るか?という点が最大の課題でした。ただ羅列するだけでは「歴史」にならないのですよね。

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用意したスライド、絞りに絞って111点。粗削りなところもあったかと思いますが、ぴたりと90分で終了できたのは神のご加護に違いない……と思うことにします。

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終了後、3人に一人の方が新刊を買っていってくださいました! なんとありがたいことでしょう。涙。

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ご参加くださいましたみなさま、そしてリバティアカデミースタッフのみなさま、撮影してくださった内田栄治さん、ありがとうございました。みなさまのおかげで、達成感を感じられ、お客様にも喜んでいただけた(と思う…)充実した時間となりました。

そしてピンクの可憐な薔薇の花束をお贈りくださった地引由美さん、新刊祝いに大好物のシャンパンをご恵贈くださいましたマリさま、心より感謝申し上げます。

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☆堤信子さんが「ミモレ」で新刊をご紹介くださいました。さりげなく愛がこめられたお言葉に感激です。ありがとうございました。

(Click to Amazon)

「AMETORA」の著者W.David Marx氏に特別講義に来ていただきました。

6.10.7
これまで誰も書かなかった戦後日本メンズファッションの通史を豊富なビジュアル資料と流暢な日本語でたっぷりレクチャーしていただきました。6.10.11

質疑応答では「なぜ日本ではみんな一緒にトレンドに群がるのか?」という話題も出て、私が「人と違うのが不安だからでは?」と言うと、デーヴィッドは「みんなで一緒に楽しみたいからでは?」と。やさしいね。笑

6.10.1

 BEGINチーム(いであつしさん、綿谷画伯、編集の市川さん)も聴講に来てくださいました。その後の取材に立ち会いましたが、アメカジの超マニアのいでさんとデーヴィッドのオタクな知識披露合戦が非常に興味深かったです。

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どんな記事になるのか楽しみ。6.10.3

明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」第3講。

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この日は最終回にしてようやく、実際に描き始めます。綿谷講師が用意してきた練習用のイラストを使って、スーツにまつわるさまざまな要素を、描きながら学び、最後に講師が講評を加える、という形式。私もいち生徒として真剣に描いてみました。

 

1.シワを入れてみる。FullSizeRender (9)

いやー、むずかしい。これまでスーツのシワがどこにどのように入っているのか意識すらしていなかった。ちなみに上が画伯による「模範例」。なるほど、論理的。

2.ボールドストライプを描いてみる。

ケーリー・グラントの白いスーツを、たっぷりとドレープが入ったボールドストライプのスーツとして描く、という課題。ストライプにしても、パーツによってその方向がどんなふうに向かっているのか、まったく意識したこともなかった。こちらが、「模範例」。

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とくに襟、肩、胸元、袖まわりの方向が要注意だったのですが、途中でわけがわからなくなった私は、ケーリー・グラントに花束贈られたいな願望を描き込んでみました。へへへ。70点でした。上衿、肩まわりなど、ストライプが向かう方向がちがうとストライプスーツらしく見えないんですね。いままでいったい何を見てきたんだろう。下が、花でごまかした(笑)私の作品。肩のストライプは外側に向かっていなくちゃいけないんですね。そして上襟は、首のほうに向かって立ち上がらなくてはダメ、と。胸元に曲線がないからドレープが生まれてないし。むずかしー。

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3.最後は、実際の古い写真をトレースして、モダンブリテンのジェントルマンをイラストとして描く、という課題。そのまんまトレースするんじゃつまらないので、パーツの幅を変えたり細部にアレンジを加えたりして、その人の個性が出る「イラストレーション」にしていく。

受講生それぞれの個性が現れたイラストを一枚一枚、OHPで掲示しながら、パーツや持ち物のうんちくも加えられていくので、メンズスタイルに関する知識も同時に深まっていくという仕組み。

ちなみにわたしは、メガネをかけた英国紳士エージェントであるハリー・ハート、エグジー、などなどを思い出して、黒ぶちメガネを加えてみました。ついでに左手にはたばこの代わりにシャネルのギフトボックス。ふふふ。これも贈られたい願望というか妄想(笑)。このくらいのファンタジーを描き込むことくらい許してね。

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これは大胆なキャラ化がよいと評価されて95点もらいました!笑 靴がベルルッティっぽい、工芸品みたいな、という画伯のコメントには爆笑。

 

そんなこんなで感心したり笑ったり描いたりしているうちにあっという間に時間が過ぎ、ゼミのような一体感を感じられた、貴重な講座となりました。

一般の大学の公開講座としては前例のないテーマでしたが、果敢にチャレンジしてくださり、斬新なアプローチで有意義な学びの場を提供してくださった綿谷画伯には、心より感謝します。イラストレーションという視点からメンズファションを見ることで、これまで盲点だった多くのことに気づきました。今後の研究や執筆、講義にも活かしていきたいと思います。

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ご参加くださいました受講生のなかには、毎回、名古屋から新幹線で来てくださる方(雑誌の表紙を飾ったこともある坪井秀樹さん)もいらっしゃいました。プロをめざす美大の学生さんや、昨年のリピーターの方も何名かいらっしゃいました。熱心な参加者のみなさまのおかげで、3回とも、ハイコンテクストな内容となり、おおいに盛り上がりました。サポートしてくださった事務局のみなさまにも、お礼申し上げます。みなさん、ほんとうにありがとうございました!

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明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」、第2講が無事終わりました。この日は、ホイチョイプロダクションの馬場康夫さんをお招きしての、鼎談式講義。

過去を振り返る、という映画を何本も作っている馬場さんの視点から機関銃のように語り紡がれる戦後風俗史が刺激的すぎた!! 録音しておくべきだったと激しく後悔。

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VAN、石津謙介、本場アメリカのアイビールック、テイクアイビー、みゆき族、ビートルズ、ジャパニーズモッズ、平凡パンチ、アンアン創刊、70年代ベルボトムジーンズ、メイドインUSAカタログ、ジョンデンバー、70年代バックパックスタイル、菊池武夫、傷だらけの天使、ラルフローレン、アニーホール、DCブランド、ハマトラ、ボディコン、ウエアリングバイブル、私をスキーに連れてって、彼女が水着にきがえたら、波の数だけ抱きしめて、アメリカンジゴロ、リチャードギア、危険な情事、マイケルダグラス、レオン、ピッティウォモ、ノームコア、スティーブジョブス、トムブラウン、鈴木編集長

というあたりが主なキーワードだったのですが、ウェアリングバイブルあたりから、スカーフをボタンホールに通すなどわけがわからない着こなしが提唱されはじめ、イラストレーターとしてもまじめにやってらんないやということで綿谷画伯もマンガチックな画風を獲得していった…という話が面白かった。FullSizeRender (12)

日本のトレンドにビッグウェンズデーはじめ、映画の影響がとても大きかったということもあらためて知りました。馬場さん製作映画「スキーに」「水着に」「波の数だけ」のポスターはイラストレーションでしたが(偶然、穂積和夫⇒綿谷寛⇒森本美由紀という師弟ルート)、それはイラストレーションを豪華に使うアメリカ映画への憧れからきたものであり、日本においては最初のことだったということも明かされました。

馬場さんの愛用ブランドはずっとブルックスブラザーズだそうですが、声もダンディだなと思ったら、なんとラジオ番組AVANTIのパーソナリティまでつとめていらしたそうです。馬場さんの手帳にもびっくり。こまかな字でびっしり情報が書きこんである分厚い手帳でした。会食のたびに詳らかに記録しておくそうです。

記録してこそ歴史や作品が作られる。あらためて、記録の大切さを教えられました。

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馬場康夫さん、リバティ事務局の河合充さん、綿谷寛講師です。すばらしいお力添えを賜りましたおかげで、かけがえのない貴重な講座となりました。ありがとうございました!

 

 

 

11日、明治大学中野キャンパスにおきまして、綿谷寛先生による「メンズファションイラストレーションの世界」第1講が開かれました。全3回の講座です。

5.11.2016.5

初回のこの日は、ルネ・グリュオー、ライエンデッカー、バーニー・ヒュークス、レスリー・サルバーグ、ローレンス・フェローズ、そして穂積和夫、長沢節、森本美由紀、中原淳一、小林泰彦、斎藤融、大橋歩ら伝説のイラストレーターの作品のみどころを、時代状況をふまえながら解説。

5.11.
ときに綿谷先生の個人的なエピソードもさしはさまれながらの、たいへん興味深い講義でした。実際にイラストレーターが活躍していた時代の雑誌や本という貴重な資料も公開され、これまであまり知られていなかったイラストレーターの世界を垣間見ることができました。

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「ファッションイラストレーションから見る戦後ファッション史」という本、書けるネタが豊富にそろっているし、新しい視点が入ることでファッションの見方も変わり、面白いと思う。

5.11.2016.4

あと2回、さらに別の角度から光を当てて戦後メンズファッション史を再考する予定です。

綿谷画伯もこのようにたいへんお洒落ですが、参加者のみなさまがひとりひとり、個性を生かした素敵な装いで、眼福ものでした。みなさま、ありがとうございました!

5.11.2016.6

 

明治大学リバティアカデミー(公開講座)、プロデュースさせていただいた地引由美先生の「香水学」が開講しました。

4.23.1
土曜の朝、キャンパスに入るとふわっと漂うよい香り。かぎられた人生の時間をより深く濃くしていくための香水の基礎知識、教養と同じで「鼻につく」と言われないためにも(笑)自分自身の自然な構成要素のひとつとなるほどあたりまえに身につけておくことで、魅力も、ひいては、周囲に対する影響力も、変わってくるはずです。

4.23.2
右脳も左脳も五感も、天からのギフトにタブーなし。持てる身体能力はすべて活かし、その特性を学び、磨けるものはすべて磨いてまいりましょう。

今日、地引先生のお話で興味深かったこと。肌に直接つけるものである香水は、心が嬉しいと感じることで、いっそう香りが前面に出ていくのだとか。逆に、気持ちが引くと香りも引いていくそうです。言われてみれば。

一方、繊維に入り込む洗濯用の芳香系柔軟剤はケミカルでできており、ところかまわず平板な匂いをまきちらし、身体にも嗅覚にも文化的にも必ずしもよいものではない、ということ。

一考に値します。

 

また、地引先生によれば、香水は人の肌の上で命を得るものだそう。「香水は、私たちとともに、何時間か、生きている」のだそうです。そのように香水を扱うことで、効果が違ってくるのは当然ですね。

明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」。

5月の水曜の夜(11日、18日、25日)、ご一緒に楽しい学びをいかがでしょう。

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第二回目(18日)のトークゲストはホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さんです。

ホイチョイの最新刊『電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり』(講談社+α文庫)も面白いですね。
これを読んでからの私のビジネスマナーはがらりと進化したはずです。笑

綿谷寛×馬場康夫×中野香織で、ファッション&カルチュア&〇〇〇の濃いお話を展開します。どうぞお楽しみに!

 

詳細は、こちらです

 

昨年度の明治大学リバティアカデミー公開講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン」の模様が、明治大学の海外向けサイトで紹介されております。こちらです。

最後の部分を引用します。

“Nakano closed her lecture by saying the following: “All three founders, rather than striving for “premium products” by combing various specifications, lived luxurious lifestyles and were not competing with anyone. I hope that you will feel inspired by these unprecedented designers who transformed the industry while taking in the values of the generation. Her lecture on the pioneers of the people’s fascination with brands came to a close on a very high note.”

6.17.3
400名を超える(ホールがほぼ満席)お客様にご来場いただいた昨年度のシャネル講座。「無料」ということもありましたが(^-^;

今年度春の講座も、パワーアップしてお届けします。「時代を導く男性像とモード」。女性ももちろん、大歓迎です! どの領域もそうですが、「女性」と「男性」は常にセットで考えていくべきだと思っています(LGBTもその対概念の派生形として)。

お申込みはこちらから

みなさまにお目にかかれますことを楽しみにしています。

“All real education is the architecture of the soul.” (By William Bennett)

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最終日の最後には、卒業セレモニーが用意されていました。つい先ほどまでのレッスン風景の写真が、感動的な動画になっていて(結婚式の最後に流れる動画のように)、いつの間に撮ったんだ!?という無防備な写真ばかりですがいっそうジワっとくるものでした。髪を巻いているヒマなどあるはずもなく、毎日、文字通りのノーメイクでトレーニングに没頭していましたが、それもまたよい思い出。ca 71

ひとりひとり、修了証書を授与されたあと、並ぶスタッフそれぞれにハグや握手でのお別れ。アメリカ式ですね。

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今回、中心的に面倒を見てくださったUCIのインストラクター。左から、Roger Dupuy, Michelle Ryan, Chris Stillwell, Karl Kottman。彼らは自称「Crazy Americans」でしたが(笑)、ほんとうにオンオフの区別なく、きめ細やかに、こちらが気付かない深いところまで親身になって、的確に面倒を見てくれた。

さらに、ひとりひとりがスピーチ。ca 46

原稿もなく心の準備もなく、いきなりの英語でのスピーチというのは、かつてなら怯んでいたでしょうが、完全ではなくても、勢いでなんとかなっちゃうものでした。それはやはり、オーディエンスとの信頼関係も大きい。この人たちの前だったら、別に恥をかいてもかまわないというか、多少ミスをしても本意は伝わるはずという安心感があったから。日頃の教室でも、そのような雰囲気を作り上げることが大切なんですね。

Discover, Engage, Transform を地で行く濃密な一週間でした。思い通りに表現できない悔しさにも泣きましたが、かつて味わったことのないマインドセットの「変容」の経験をさせていただきました。これまでただ学生による授業アンケートの評価に安住していた自分がいかに生ぬるかったか。上には上がまだまだある。この経験をこれからの現場に生かしていきます。素晴らしいプログラムを用意してくださったUCI, そして明治大学国際連携部に心より感謝します。また、「たまには家事を忘れて思い切り勉強してこい」と背中を押してくれた息子たちにも感謝。留守中の彼らをそっと見守っていてくれた優しい友人・親戚にも。みなさまのおかげです。

 

 

 

朝一からクリスのハードなレッスンとワークショップ。効果的な質問の仕方、ディスカッションの仕方を実践的に学んでいく。「Yes / No 」で答えられる質問はしない(そこで議論が止まるから)”Do you understand?” “Why don’t you understand?”なども悪い質問例。ca 51

(Prof.Yuichi, Prof. Suzanne, Prof. Keisuke.)

ではどうするのかといえば、パラフレーズ(言い換え)を続けていく。”What I am hearing you say is……” とか、”It sounds like you are saying……”とか。本人に答えを見出させるのが目的であって、決してこっちが答えを押し付けるような真似をしてはいけない。このあたり、カウンセリングの手法ですね。

学生に答えを作り上げさせるこの手法を、Constructivism  というそうです。=Let students help themselves という考え方。演劇みたいですな。

そして教師は常に能動態でクラスに臨めと。Surprise, Make Think, Make Laugh, Scare(笑)など。

ca 50                                                                                                    (右端がChris)

なかでも基本となる能動態動詞が、Create.  Create the happy place for everyone.  クラスの全員すべてが、自分は受け入れられていると感じるような雰囲気を作ること。これまで学んだすべてのテクニックがそのためである、と。もし、クラスの雰囲気がネガティブなものであったら、それはほかならぬ教師の責任。環境は自分が創り出しているのだということを忘れるな、という厳しい指導に身が引き締まる思い。

そうですよね、これは大学の教室のみならず、あらゆる場面で言えること。周囲はいつだって私自身の態度の鏡だ。たくさんの人に囲まれているように見えてコミットしてくれるような人が一人もいないのは、コミットするようなことを私自身が面倒と思って避けているからですね。思い当たることいろいろ。自分のマインドセットや態度が、環境を決めていく。

とにかくクリスもロジャーも、教授法を超えて、本当の意味でコミュニケートするとは、エンゲージするとは、どういうことなのか?を本人たちが実例となって示してくれるのだ。

 

その後、ひとりひとりがファイナルプレゼンテーションをおこなう。月曜と比べ、それぞれが劇的に向上したり、よりその人らしさを発揮したりしている。なんだか感動。私はやはり繊細でこみ入った表現をしたいときにスピードが追いつかずにもどかしく思うこと多々、まだまだ英語のスピーキング力が足りないと思う。これはもう、口まわりの筋肉を慣らしていくのみ。卓球の練習をしていたときのように、ひたすらこまぎれの時間を見つけて実践的なトレーニングあるのみ。

とはいえ、ハッピープレイスを作るためのさまざまなインタラクティブな方法は、まだ「間」が悪いが、できるかぎりやってみた。今後、さらに工夫してやっていけそうなことも多々。

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思えば、大学教師をつとめて何年にもなるけれど「教え方」をこのように専門家から教わったのは初めてのことだ。他の参加者もそのように言っているし、日本の多くの大学の先生がそうだろうと思う。小中高の教師は教育実習なるものを受けているが、大学の教師にはそのような機会はない。自分の教え方を客観的に指導されることなんて、経験している人はほとんどいないのではないか。多くが我流。ないしは師の方法の継承とか。それはそれで味わいもあるけれど。

このたびのEMIのプログラムは、英語で教えるための訓練だったが、すべてのテクニック、考え方、戦略は、日本語で教えるときにも役に立つ。多くの場面で、さっそく応用・挑戦してみたい。

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引き続き、朝8時からガチなレッスン。クリスは、大量の情報のシャワーを休む間もなく与えながら、私たちにグループディスカッションをさせる。それを組み合わせて(ジグソー)、クラス全体の結論を創り出していく。話させる書かせる質問させる考えさせる答えさせる。だからほんとうにあっという間に時間が経ってしまう。レッスンに飽きているヒマもないという感じ。話したことはすべてクリスがすさまじい速さでパワーポイントに書きこんでいく。

こうしてみんなで作り上げた情報でもあるパワーポイントは、その夜のうちにメールで届く。いま、見るとほんとうに宝物、情報の宝庫だ。うわっつらの、というかすでに権威がつくったフィクスしたものではなく、その場、その時、そこにいた人々が、その空気のなかでのみ発することができた、生きたことば、ライブな知恵の集積なのだ。

今回、参加した同僚もすばらしいのである。みな、ホームに帰ればその道で有名な一流のプロフェッサーである。だから質問は鋭いし、教師や仲間をいじって笑いをとるのもお手のものだし、なによりも知的好奇心にあふれていてエネルギッシュ。個性的な彼らからも多大な刺激を受け続けている。日頃、ほとんど接点のない同僚とこうして「クラスメイト」として一日中一緒にいて、互いにファーストネームで呼び合い、課題をクリアし続けていると、戦友のような、不思議な連帯感も生まれてくる。こんな思わぬメリットが生まれるのも、海外集中研修ならではですね。

学んだ詳しい情報をすべて公開しているととうてい追いつかないので、また機会があるときにでも、追々に。

 

また、ランゲージレッスンでは、ボディランゲージを学ぶ。ついでにサイレンスやボディタッチ、アイコンタクトの意味なども。ぐっときたキーフレーズ、「ホンモノになるまでフリをせよ」。

 

午後後半は、各自メンターとのフリーの面談というスケジュールになっていたが、カリフォルニアまで来てビーチを見ていかないのはまちがっている(笑)という声が誰からともなく出て、スタッフとも相談したら快く協力してくれた。スタッフのカールとミシェルの車で、ビーチまでサンセットを見にいく。車で20分くらいのドライブ。

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超高級住宅がずらりと並ぶビーチは圧巻。テレビ番組のロケも。ca 23

夕陽の美しさは壮大で、左のほうに、太陽と同じくらいの大きさの七色に輝く球体が見えた。「シーボール」と呼ぶのだそうで、めったに見られないとのこと。天からの激励として受けとめました。ca 68
みんな黙り込んでしまうほどの、圧倒的に美しいサンセットでした。機会を作ってくださったUCIのスタッフに感謝。

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サンセット後は、UCIの教授お二人も合流して、近くのおしゃれなパブレストランでワインを飲みながら食事。大学のこと、研究のこと、映画のこと、日本文化のこと、人生のこと(笑)などなどを語って、よく笑った、楽しい夜だった。

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Photo of professors.  左端にいらっしゃるのはアフリカン・アメリカン・スタディーズのProf. Chandler。右端は日本文化を研究するProf. Willam Bridges。ウィルは日本語がぺらぺらで、日本文学にやたら詳しい。専門だからあたりまえなのですが。私の名刺をコースター代わりにしていたので怒ってみせたら(ジョークでね)、日本人のように「キョウシュク」していたのがおかしかった。

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そろそろ疲労もピークに達しているのですが、あと一日……。

 

 

 

 

ロジャーことロジャー・デュプイのドラマチックなレッスンからスタート。いきなり、「スターウォーズ」の台本読みのシーンから開始。スクリプトがいかに大切であるかということを印象づけられたうえで、Thinking in Pieces という考え方、そしてFlipped Learning の実践的方法を学ぶ。

Thinking in Piecesを具体的に理解するために、A4の紙を8つに折らせる。それぞれのセクションにスクリプトを書いていくのだ。

1. Metadata  2. One Important Term  3. Definition  4.Picture  5. Sentence of Reason (Why the learning of this topic is important)  6. Tell a Story  7. Mention the Term again  8. Metadata

1ピースに1テーマ。このようなピースに分れたスクリプトを作っていくことで、話すほうもロジカルに話を進めていくことができ、聞く方もわかりやすくなるという仕組み。

Flipped Learning は、20世紀的な授業の進め方を反転する学習方法。これまでは、学生は学校で先生の話を聞き、家でホームワークをする、というやり方だった。それを反転させる。つまり、学生は家でパソコンなどを通して学び、学校では議論をしたり作業をしたりする。

これによって、学生をUnleashする! 束縛を解いて自由にする、という感じでしょうか。

従来、プロフェッサーのイメージは、知識を一方的に授ける賢人であった。しかしこれはもう時代遅れ。インターネットに知識があふれているような現代では、学生の理解を導くガイドであることが求められている。

そのために、学校は、インタラクティブな作業や議論をする場にしなくてはならない!

というわけで、インタラクティブな場にするための、雰囲気の作り方、学生のコントロール、よい質問の仕方、グループワークの方法、必ず挙手させる秘訣、ときどき立って運動させる具体的な方法、などなど、ユニークな方法をたっぷり学ぶ。

そしてなによりもやはり、このようなやり方だと、教師のヒューマニティーが否応なく問われるのですね。

ロジャーはHumanity is Charm. と強調し、どんどんあなたらしさを出していきなさい、英語が完璧でなくても。そのほうが活発なクラスになっていく、と話す。たしかに。

20世紀的な「プロフェッサーらしさ」というものに、あまりにも私はひきずられていたかもしれない(これでも。笑)

賢者からガイドへ。このマインドセットの大転換は、一種の革命……。300人クラスでこれをやるのはビッグチャレンジだ。

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UCIのモットーは、Discover Engage Transform. 発見せよ。深く関われ。変容せよ。インストラクターたちのエンゲージの度合は、想像以上に深い。それゆえ、こちらも感化されていやおうなく変容する。

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午後は、今になって時差ボケが出て、ハードなスケジュールの疲れもかさなり、ややつらかった。おまけにこの研修のためにわざわざ買っていったマイクロソフトのSurfaceの電源が入らなくなった。同僚にアダプタを借りても、ネットで調べた再起動の方法その他もろもろを試してもダメだった。なんだよマイクロソフト。

 

それでもなお、刺激的なレッスンに頭が冴える。実践的なディスカッションの方法、シラバスの作り方、クラスルールを設定するメリットなどなど、おびただしい量の情報を、感動とともに学ぶ。

 

 

ランゲージ運用レッスンのあと、UCIの教授に面談。ラテンアメリカ文学を専門とするDr.ホレーシオ・レグラスにお話をうかがう。

スペイン文学や映画の話、授業の進め方、大学の制度など。なんという贅沢な時間。

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ランチはUniversity Centerで。ここも美しくてレストランのバリエーションが豊富。

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たっぷりの野菜サラダに肉(ビーフかチキン)、少しのパン、というのが「定番」になりつつつある。日本にいるときよりも大量多種類の野菜を食べていてヘルシーな気がする。ただ、昼休みが一時間しかなく、広大なキャンパスの移動時間も考えると、あわただしい。

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午後はクリスことクリストファー・スティルウェルによるスピーディーなレッスン。

EMIの問題点を政治的な側面、大学運営的な側面、教育的な側面、学生からの視点、教師からの視点、それぞれを通してすべて洗い出していく。参加者からどんどん出てくる意見をクリスが驚異的な速さでパワーポイントに打ち込んでいき、それが現前に「書かれた文章」となって表れていく。パワーポイントのデータはその日のうちに、各自にメールで送られてくる。だからメモをとることに気をとられず、議論に集中することができる。このやり方、いいなあ。ただクリスは毎日そのために夜遅くまで準備している。情熱と体力が半端ではない。

さまざまな議論と、それに対する対策が出たなかで、私が授業のやり方として取り入れるべきと感じたのは、コミュニカティヴな方法。教師が一方的に知識を授けるという昔ながらのやり方ではダメ、双方向的にコミュニケーションをとりながら進めていくべき、と。

そのためのクラスの雰囲気の作り方の具体的方法、質問の方法、議論の方法などを学んでいく。実に細かく、実践的だ。いままでぼんやりとしていて「あえて学ぶ必要もない」と思わされていたことを、明確な言葉と、インストラクターであるクリス本人の態度そのもので、はっきりと教えられる。

でも私の授業は一クラス200~300人だ。ホールでの講義。小人数ならいいけど、これにどうやってインタラクティブな方法を取り入れていくのか? いくつか試したいと思った方法があるけど、果たしてうまくいくのか? これからの課題。

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ハードな一日を終えて帰りのシャトルバスを待つの図。Prof. Yuichi, Prof. Keisuke.

オスカーセレモニーに次いで、スーパーチューズデーもアメリカで体験できたのは幸運。下は翌朝のUSA TODAYの一面。大学のスタッフは、「毎朝ドナルド・トランプの顔を見なくてはいけないという状況にうんざり」と言っていた。

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“Let us absolutely clear about one thing: we must not confuse humility with false modesty or servility.” (By Paulo Coelho)

“It is not serving, but servility, that is menial.”(By Hortense Odlum)

“Servility always curdled into rage in the end.” (By Tina Brown)

一日目の午後は、参加者8人それぞれの模擬授業、10分~15分。

英語でのプレゼンテーションのやり方もさることながら、8人それぞれのアカデミックな研究領域の具体的な内容も知ることができる。奴隷制度、ガヴァナンス、映像表現、Kawaii、視覚文化、マーケティングなど。各分野の専門用語のシャワーを浴びたことはなかなか新鮮な体験で、ひるがえって、自分の専門領域のこと(ファッション文化史)をどのように英語で説明していくとわかりやすいのかということを考えるヒントをたくさんいただいた。

インストラクターのクリスとロジャーからのコメントばかりではなく、参加者からの手厳しい(笑)コメントももらえて、これまで自覚していなかったことがあぶりだされてくる。

とどめは、やはりスタッフのひとりであるカールが撮ってくれたプレゼンテーション中のビデオですね。これを見て反省点などを書く課題が出されるのだけれど、自分の姿が正視に耐えない。

ひどく落ち込む。

金曜日の最終日に、改善点をふまえてファイナルプレゼンテーションをすることになる。

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同僚のProf. Connie, Prof. Keisuke, Prof. Yuichi, Prof. Takane. インストラクターたちはすぐに私たち全員の名前を覚え、ひんぱんにファーストネームで呼び、コールドコール(いきなり指名すること)をしたりする。一秒の気も抜けず、時間を忘れるほど集中しているうちにあっというまにレッスンが終わる。

初日は、自分のダメさ加減ばかりが目についてほんとんど卑屈になりかけるが、卑屈と謙虚はしっかり区分せねばとぎりぎりの自尊心を保つ。

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UCIのシンボル、アリクイ。ca 62

キャンパス内はとにかく花と緑にあふれて、胸がすくほどに広大で、癒される。

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ホテルの部屋から見下ろすとプールが見えるが、早朝から夕方までのレッスンと、大量の宿題で、なごむ時間もなく。ca 79

 

 

 

UCI (University of California, Irvine)での研修初日。これから一週間は朝8時開始、夕方5時終了というハードなスケジュールでみっちり「学生」として学びます。ca 44

今回の研修は、EMI (English as Medium of Instruction) プログラム。「英語を母国語としない」教師が、それぞれのアカデミックな領域を、「英語を母国語とする学生も含む多様な学生」に対し、英語で教えるための戦略や技術を学ぶ、あるいはよりブラッシュアップするための集中コースです。大学の国際化にともない、英語を母国語とする学生、留学生もますます増加の傾向にあります。そんな学生に対し、英語で専門科目を教えるということがあたりまえの能力として求めらる時代に入っています。

UCIのエクステンションではこの分野を専門的に研究し、教えているスタッフがいて、今回は彼らが明治大学のためにつくった特別プログラムに参加させていただくことになりました。

最初のオリエンテーション講義からマインドセットを変えるものでした。

インストラクターの一人であるロジャーは、ホワイトボードに、「これまでの人生でもっとも教育上、大きな影響を与えてくれた人」の名前を書かせます。

8人の参加者、それぞれが、自分の父だったり、母だったり、小学校の先生だったり、高校の先生だったり、アドバイザーであったりと、「自分の教育にもっとも影響を及ぼした人」の名前を書いていきます。

ロジャーは次に、「では、どのような意味で、そう思うのか?」をひとりひとりに説明させます。

「経験が豊かで、現実に対処する方法を教えてくれる」「科目への愛があふれていて、先生が好きになるあまり科目まで好きになった」「好奇心を刺激してくれた」「自分の才能を信じさせてくれた」「寛大だった」「自分自身になることこそが人生の目的だと教えてくれた」などなど、理由が続々と出てきます。

ホワイトボードに書かれていく理由を見ているうちに全員が実感すること、それは、

偉大なる教育者であった人は、決して莫大な知識の持ち主ではなかった、ということ。

むしろ、偉大なる教育者は、すぐれたヒューマニティの持ち主であった、ということ。

講座の締めくくりに、ロジャーは言うのです。

「いつか、あなたの学生が、このように、ホワイトボードにあなたの名前を書く。そんな日が来ますように」。

技術や戦略や知識も学んでいくのですが、それ以上に、教育にとって必要不可欠なのは、教える側の人間としての人柄や心の豊かさであること。それをプログラムの最初に叩きこまれたわけです。

 

 

学生のカフェテリアでは多彩な料理のなかから食べたいものを選んでいく。野菜をたっぷり使ったヘルシーな料理も充実。ca 39

久々に「学生」に戻ると、教室で「学生」として過ごすときの気持ちもあらためてよくわかる。

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学内には、このように、スター教授のポスターが掲げられている。社会的な貢献をなしとげた女性の教授が、さながら女優かなにかのように。こりゃあ、研究者のモチベーションも上がるなあ。研究者に憧れる女性も多いという社会的な空気も、こうやって醸成されていくのかもしれない。

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” I thank you all for this amazing award tonight. Let us not take this planet for granted. I do not take tonight for granted. ” (By Leonardo DiCaprio, at Oscar Winning Speech)

One day off before starting a hard week.IMG_2065Visited Fashion Island, New Port Beach, 15 minutes drive from Costa Mesa.FullSizeRender (9)A kind of theme park about American Fashion.

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Heaven or Hell?FullSizeRender (15)FullSizeRender (12)FullSizeRender (11)

After returning to Hotel, watched Oscar ceremony.  Congratulations to Leo! This was his night.

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オスカーセレモニーを同じカリフォルニアで(テレビですが)同時刻の夜に見られるというのはなんという幸運。この日は世界中がレオの受賞を待ち、讃えた日、という印象でした。スピーチも貫禄。冒頭に引用しましたが、「この地球環境をあたりまえに与えられたものと思わないようにしましょう。ぼくも今夜のことをあたりまえのものとはせず、とても貴重なものとして大切に守ります」というニュアンスを感じました。もっと若くして受賞していたら、果たしてこれだけのことばが出てきたでしょうか。総立ちで彼を讃えるオーディエンスの表情に、映画業界全体の、レオへの敬意と愛情を感じました。

“When I despair, I remember that all through history the way of truth and love have always won. There have been tyrants and murderers, and for a time, they can seem invincible, but in the end, they always fall. Think of it–always.”
(By Mahatoma Gandhi)

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Came to Orange County, CA.  To attend the Oscar ceremony.

Joking.

I shall go through some program at University of California Irvine Extension.

大学の研修で、カリフォルニア大学アーバイン校で一週間どっぷり過ごすことになりました。オレンジカウンティあたりは治安の良さにおいてアメリカでもトップクラスだそうで、見た目は品のいい人が多いという印象。親日家も多く、滞在ホテルのそばには日本系スーパー「Mitsuwa」があったりします。およそ日本のスーパーと同じ品ぞろえ。

それにしても広い。今回は同僚8人とともに来ていますが、そのなかの一人、K先生いわく「どこまで行っても自然を征服できないというこの広さに、人は絶望するんじゃないか」

人込みの中の孤独がもたらす絶望とは違う、延々と自然の光景が続き、どう人間ががんばってもこれにはかなわないという絶望。それにも負けず淡々と開発してきたパイオニアのおかげで今があるんですよね。

コスタメサのショッピングモールも、延々と続きます。地図だとすぐですが歩くと20分とか。

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コスタメサのモールのなかのレストラン、 Hamamori で頼んでみたカリフォルニアロール。海苔が外側に巻かれていないことと、アボガドがポイント。美味。ca 5
同じくHamamori のビーフサラダ。食べても食べても終わらない。

 

 

Miracle happens when you open your mind and sincerely trust your working partner.

2015感謝のまとめ その4、明治大学編。通常の講義内に、特別ゲスト講師として、レオン編集長の前田陽一郎さん、気仙沼ニッティング代表の御手洗瑞子さん、ミャンマー出身のデザイナー渋谷ザニーさん、そして後期にはマジシャンGO!こと佐々木剛さんにご来校いただきました。それぞれが、壇上に立っただけでただならぬオーラを放つ存在感のある方々で、ましてや話をしたら時間を忘れるほどの魅力と説得力で心をつかむ実力の持ち主。学生にとっては(私にとってもですが)、日頃の生活態度やものごとのとらえ方、ひいては人生そのものを変えるほどのインスピレーションに満ちた時間になったはずです。授業内ではありませんでしたが、ロンドンからRude Boyも遊びに来てくださいました。超豪華ラインナップです。

2015 university 2

また、2014年12月のシンポジウムのまとめを原稿にしたものですが、執筆者として参加した、明治大学商学部編の「ザ・ファッションビジネス」が今年、出版されました。

そして社会人にも開かれているリバティーアカデミー。ひとつひとつが奇跡の(!)講座になりました。まずは春学期にコーディネートした地引由美さんによる香水学、こちらは大人気ですぐに定員クリア、増員して満員御礼。そして綿谷寛・画伯による「おしゃれ似顔絵」講座。イラスト講座の第一回目は私がモデルをつとめ、第二回目には美人プレゼミ生二人も「チイママ」に扮して手伝ってくれました。そしてそして最終回にはなんと国民的イケメン有名俳優Tさんがサプライズでご来校、モデルをつとめてくれるという、にわかには信じがたいできごとが起きました。その後、画伯とTさんとともに、荒木町でお鮨をご一緒させていただくというここは天国ですかというありがたき経験をさせていただきました。この日の記憶は宝物です。さらに私自身が講師をつとめた公開講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン」には、430名もの受講者が申し込んでくださいました。平日の夜なのに、ファッションの講座にこれほど社会人の方がお運びくださるとは。驚くとともに、一般の方々にもファッション学への関心をもっていただくまたとない機会として、内容やプレゼンテーションの方法をますます磨き上げていかねばと心に誓った日でもありました。

後期は堤信子さんによるプレゼンテーション講座をコーディネートしました。前期の地引さん講座同様、当初の定員をすぐにクリアしたので増員、満員御礼でした。人前に立つときに心掛けるべきことを私自身もしかと学ばせていただきました。

最後に、11.11の田窪寿保さんとのボンド講座こと「ブリティッシュ・ラグジュアリービジネスの秘密をジェームズボンドに学ぶ」公開講座。タキシードで登壇してくださるという田窪さんの心意気を尊重すべく、私もなんちゃってボンドウーマン風ドレスに白いファーでがんばってみました。笑。当日、壇上に現れた田窪さんはまさかのカジノロワイヤル風着くずし! 常に期待の上を行く方です。かなりハイコンテクストな、スピーディーで濃い内容の対談講座になりましたが、会場の熱気高く、受講者のみなさまからのあたたかなコメントを前例がないほど(!)たくさんいただきました。ドレスアップして受講してくださった方も多く、終了後のロビーは、いったいここは本当に大学なんだろうかと一瞬くらっとするほど華やかな空気に包まれました。

教えるという立場を超えて、実は私のほうが多大な学びや感動をいただきました。ユーフォリアってこういう感覚?というほどの至福つづきでした。いやもうほんとうに楽しかったなー。特別なご配慮をしてくださった事務局のみなさまのおかげでもあります。お引き受けくださった講師のみなさま、関わってくれたすべてのみなさま、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

来年度も、学生のみなさまと、リバティーアカデミーに来てくださるみなさまに、学ぶことの豊かさと楽しさを経験していただけるよう、計画を立てております。知は無味乾燥でかび臭いものではなく、有閑階級の知識人がもてあそぶだけのものでもない。本来、すべての人に開かれた、自分自身ひいては社会の可能性を広げ、人生と世界をより豊かにするセクシーなものなのです。「何のために」という目的を問うことすらナンセンスに見えてしまうほどの学びが目標です。すたれゆく人文学の分野ですが、最後の小さな灯?(笑)の一つを端っこのほうで燃やし続けていきます。

Special thanks to all my colleagues, administrative staff and students in Meiji Universiry, Mr. Yoichiro Maeda, Mr. Zarny Shibuya, Ms. Tamako Mitarai, Mr. Go!, Mr. Rude Boy, Ms. Yumi Jibiki, Mr. Hiroshi Watatani, Ms. Catherine Haruka, Ms. Amy Ayaka, Mr. T, Ms. Nobuko Tsutsumi, Mr. Toshi Takubo, and all my friends who attended the classes and administrative staff of Liberty Academy.

Magician Mr. GO!  came to my class and gave a lecture & performance.12.18.5

The unique career building story of Mr. GO!  itself is funny but magical, therefore full of inspiration.  Moreover, his incredible performance surprised and moved us deeply. I feel lucky to share this happy excitement with my students.12.18.6

Special thanks to talented and generous Mr. GO! .12.18.2

Memorial photo, with a magic card of A of Heart.

☆☆☆

マジシャンGO! さんに講演&パフォーマンスに来ていただきました。
世界トップクラスのマジシャンの、夢を抱いてから苦労を重ね、現在に至るまでのお話そのものが、面白おかしくもマジカル。心の底から望むものを手にするためにはどう行動すればよいかという示唆に満ちたお話でした。

驚愕のパフォーマンスもさることながら、なぜ私たちの目と脳は騙されてしまうのか?というアカデミックな問いも突き付けられた、ワクワクする時間でした。クライマックスの「未開封の明大茶ボトルに名前を書いたカードを入れる」マジックでは、ホール全体が興奮のるつぼに。

実は、GO!さんは超超ご多忙スケジュールのなか、クリスマスプレゼントとして、ボランティアで来てくださいました。これからのキャリアに迷う学生にとってはとりわけ、すばらしいギフトになったのではないかと思います。

終了後も、近所のバルでお話を伺いました。震災後は被災地にマジックを披露しにいき、被災者の方々を元気づけるつもりがかえってエネルギーをもらいに行ったようだったというお話。今日も、大学生から逆にエネルギーを与えてもらったというお話。昨日のJUJUさんの記事に関して感じたことと、なにか通じる話のように思います。天からのギフト(才能)を使って人を幸せにしようとすると、逆にエネルギーがますます満ちてくるということ、たしかにあるんですね。

そして来年の夢も。叶うといいね! これからの夢を素直に語りあえる人と時間を過ごせるというのは、幸せなことですね。話を聞いていると「夢に向かってまっすぐ」感が伝染するようで、わたしも2016年は「A of Heart」の心意気で行こうという気になりました。

善意の連鎖がよい循環をもたらしますように。GO! さんと一緒にご来校いただき、プチマジックを披露してくださったお弟子さんのYouさんにも感謝します。思えばGO!さんとのご縁が始まったのは、今年4月1日のチャーリー・ヴァイスの誕生パーティーでした。チャーリーにあらためて感謝。そしてこの日の講演&パフォーマンス実現にいたるまでに関わってくださったすべての方々に心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

Meiji University Press (1 / Dec. /2015) has introduced our Bond Lecture.  Thank you so much!
meidaikouhou

明治大学広報12月号(No.686)に掲載されました。感謝。
それにしても、他の教授陣の重厚な写真の数々に比べ、この写真だけ浮いておるな……

まあ、自分にないものをまねしようったってフェイクにしかなりませんものね。自分なりの「ファッション・スタディーズ」の考え方と方法論を実践していけばいくほど「倫理」を究めていく感覚に近くなっていくのだが、そうなればなるほど、見た目が一見派手になっていくという、これまた一見「矛盾」。

前例がなかろうと、「そんなことやる人はほかにいない」状況であろうと、積み重ねた試行錯誤の上の内側からの確信があれば、静かな落ち着きを保っていられる。自信というほどではない、虚勢とは無縁、プライドなんぞとも違う、ビクビクする必要も媚びる必要もない、とても「自由」な感覚です。「ありのままで」と訳された”Let it go”というのはこの境地ではないかと思ったりします。The cold never bothered me anyway.

と書くとかっこよくなってしまうのでアレですが、別の言い方をすれば「だれもいないところで一人」の自由に満ち足りるようになった、という程度です(^-^;

明治大学リバティーアカデミー<1111>ボンド講座には大勢の素敵なお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。1111.kawai

(photo from the administrative office of Liberty Academy.  Thank You.)

決してミッションをはずさないのに必ずヒネリを加えてくる田窪氏は、まさかの、余裕のタキシード着崩しで登壇。日頃の闘いぶりの厚みを時折感じさせながら、だいじなこともあくまでさりげなく語り去る。伏線のようにちりばめたキーワードや印象を最後にさらっと回収して大団円にまとめあげる。「ダブルスタンダードの壁は厚いが、ロジックとプライドをもち、自分ルールを貫いてやんちゃに正面突破すれば新しい視界が開ける」 という力強いメッセージとともに。やはりボンドみたいな。笑1111.bondlecture revised 2

田窪氏のこのディナージャケット(アメリカ語ではタキシード)は、ギヴズ&ホークスでのビスポークです。
・ポケットに軍服仕様のひし形フラップがついている(室内で着るフォーマルには、雨ふたであるフラップはつけないのが原則)
・後ろはダブルベンツ
(ベンツはスポーティーなアレンジなので、フォーマルはベントなしが原則)
・トムフォード風のコンケーヴショルダーにウエストをぐっとしぼったエレガントなライン
つまり、「英国紳士のフォーマルの掟」を破るミリタリー+フォーマルだったのです。これは仕事の戦闘服+エレンガントなフォーマルという田窪スタイルのダブルスタンダードな表現であり、そのうえ、タイをほどいたまま登壇というやんちゃぶり。この日のお話の内容をそのまま体現するスタイルでした。

ちなみにディテールをめざとく指摘したのは、社長アテンドについてくださったハケットロンドンの大西さん。田窪さんご自身はまったく服についての解説はせず、大勢の人からは「気付かれない(Unnoticed)」まま。ハケット氏がいう、ジェントルマンの条件ですね。
にくらしいくらいかっこよすぎです。笑。1111. bondlecture 1

内田栄治さん撮影ありがとうございました。お忙しいなかお運びくださいましたみなさま、重ねてありがとうございました。事務局の方々にも心より感謝します。

The invisible wall of the gentlemen’s society is so high, but if you go through it adventurously with your own rule, you will see the brave new world.

<追記>
フェイスブックには、ご参加くださいましたお客様よりたくさんのあたたかなコメントをいただきました。転載の許可を得たコメントを以下にいくつかご紹介させてください。前例のない(おそらくどこの大学でも、ないであろう)講座でしたので、皆様からのあたたかいお声が、今回はとりわけ、励みになりました。ありがとうございました!

田窪ボンドがヴェスパー中野をエスコートするオープニングから、ワクワクしました! 007プレミアでのキャサリン妃、ダニエル・クレイグとのドライブ(!)など、貴重なお写真も楽しめました。そして生の田窪様からは、本を拝読しただけではわからなかったオーラを感じました。J.ボンドとR.ブランソンというロールモデルがあったにせよ、幾度も失敗を重ねながら自分らしさを追求していった結果が現在の田窪スタイルなのですね。英国のビジネスはプライドとロジック。自分の意見をしっかり持ち正面突破でガンガン進め、というビジネスのお話も興味深かったです。ダブルスタンダードの英国ジェントルマン社会に受け入れられるには「自分らしくあれ」ということでしょうか。そして中野様によるボンド映画の粋な大人の会話・・すべてが楽しく、かつ奥が深い! 素敵な講座をありがとうございました。(まりさん)

☆007ジェームズ・ボンドを通じての英国高級ブランドの裏側についてお話しくださり、相当楽しかった。イギリスについては知っていることも多々あるけど、知らないこと知られざる世界の方がはるかに多い。実際に英国ブランドのビジネスに携わっている田窪氏のお話は生々しくも興味深く、そしてコーディネーターの中野氏が英国人男性社会の暗黙のルールをさりげなく解説してくださって、これもまた知らない扉を開けてもらった感じ。
日本人にイギリス人のあのしたたかさが少しでもあれば、外交面も交渉面も違っていたはず、と頷きながら聞いていた。考えたら、あの中国もアラブ世界もイギリス人に翻弄されたんだった。(R.K.さん)

☆着崩したタキシードがジェームズ・ボンドのようにラグジュアリーのなかにやんちゃさを思わせるBLBGの田窪さん。そして誰もが憧れるボンドガールのようにセクシーな装いで登場した中野先生。オトナな空気感に包まれての講座でした。『ダブルスタンダード』こそ、まさにヨーロッパ文化の深さと誇りだと思いました。閉ざされているから、知りたい!入りたい!
おふたりから発せられる言葉が、いちいち豊かな表現を纏っていて、それでいてわかりやすく、ユーモアがあって…学びの多い、とっても有意義な時間でした。…そして意図せず、自分の生き方について、背中を押されたような、心が軽くなる、そんな講座でした。(Akiho Takakoさん)

☆大変大変楽しい、知的好奇心をくすぐるひとときありがとうございました!!!
ボンドとボンドガールのおふたりの装いとトークにうっとりでした。閉演がお名残りおしかったです。ぜひぜひ第二回も開催してくださいませ。(Y.F.さん)

☆ボンドのスピリットも英国の流儀ですね。ダンディズムの系譜にあるのだと感じました。仕事で「ケンカ上等、正面突破」に活かしている田窪さんの余裕が魅力的でした。
原作のけしからん内容を、大衆が支持したあたりにイギリス人の面白さを感じます。映画の台詞もいつか使ってみたいです!架空の人物が映画だけでなく経済効果を生み、男の理想にもなっているなんて リアルなロマンを感じました。
素敵なドレス姿にタキシード、大学の教室とは思えないゴージャスな授業でした。
個人的には、中野さんのショールケープを田窪さんが外すときに、 「はじめようか?」 「本当のことを話してね…」なんてセクシーな会話が聞きたかった!と妄想しました。ありがとうございました!(中井信之さん)

 中井さん、演技が中途半端だったことを反省しています。笑。ほかにもたくさんの好意的なご感想を頂戴して、感涙中です。もちろんご不満の声もあると思います。できるだけ多く方のお声に耳を傾け、次に活かしたく存じます。あらためて、ありがとうございました。
1111.students revised(Photo from my student of Meiji, who also attended this lecture.  Thank you!)

 

 

 

明治大学リバティーアカデミーでの堤信子さんによる3回講座は、26日(月)夜、大盛況のうちに終了しました。liberty non 1

私自身も多くを学ばせていただきました。とりわけ、受講生ひとりひとりに心を開き、敬意を表し、立てる、おだてあげるということ。おだてるというと誤解を招きそうですが、とにかくよいところを見つけ、気分を盛り上げてあげること。講師のほうから心を開く。私はそのようにしていたつもりだったのですが、堤先生に比べると、まだまだ、レベルが低かったことを実感。liberty non 2

受講生のみなさまの幸せそうな表情がなによりの喜びです。堤信子さんブログにもすてきな報告が。堤先生、受講生のみなさま、リバティーアカデミースタッフのみなさま、ありがとうございました。アカデミー賞受賞式じゃないけど、「サンキュー、サンキュー、サンユー!」と言いたくなるあの人やこの人の顔が、いつも以上にうかんだ講座でした。

校舎を出たらほぼ満月。来るたびに新しい感動があるこのキャンパス、本当に大好き。10.27.1

明治大学リバティーアカデミーでコーディネートいたしました、堤信子さんの「一瞬にして人の心を捉える第一印象と話し方」講座が開講しました。

当初20名の募集でしたが、大人気につき30名まで増やしての満員御礼講座となりました。

同じ「知識」をもっていても、その伝え方でまったく伝わり方が違ってくる。やはりどうせ伝えるなら、聴き手の心に強く、鮮明に、長く残るように伝えたいものです。そのための具体的な方法を、私自身が学びたいと思って、プロフェッショナルアナウンサーで友人でもある堤さんにお願いしました。

第1回目のテーマは、「自分の第一印象を知り、表現力の基礎を学ぶ」。教室の熱気は高く、よい「気」が流れるなかでの楽しく充実した90分でした。10.5.2
「素の顔のレベルを上げる」方法や、肩甲骨に意識を向ける姿勢と、膝を長時間ラクにくっつけて座るためのとっておきの方法、うなずきの効能、笑顔の具体的実践など、プロの現場ならではのエピソードをまじえながらの話は興味深く、さっそく実践しています。堤先生、ありがとうございました。

第2回、第3回も楽しみです。10.5.1終了後の記念写真。左は堤さんの後輩アナウンサー、栂安亜紀さん。右が堤先生です。プロのアナウンサーも受講するほど、参加者のレベルが高くて驚きました。学ぶ意欲が高い社会人の方々に接すると、こちらもしっかり期待に応えねばと刺激を受けます。受講してくださった皆様にも心より感謝申し上げます。

国際日本学部教員フォーラム。

森川嘉一郎先生のコレクションに(いまさらながら)感動する。1960年代の「Out」 とか「マーガレット」とか「りぼん」。「奥様は魔女」の主題歌レコードなど、お宝物がどんどん出てくる。
7.31.2
「奥様は魔女」が戦後日本の家族のモデルになった話とか、サマンサが「ダーリン」と呼んでいるがそれは本当に夫の名前が「ダーリン(・スティーヴンス)」だったとか、7.31.11
すでにこのころから、海外ドラマが日本で「マンガ化」されていたとか、

7.31.10興味深い話も尽きず。7.31.4なつかしい「マーガレット」。中身はけっこう濃厚というか、コワい話が多いんですね。そういえば、子供のころ、「マーガレット」のコワい話を読んで眠れなくなっていたこともあった…と思い出す。

7.31.1
森川嘉一郎先生(右)、鈴木賢志先生(左)。

水虫研究で有名な眞嶋亜有先生のプレゼンテーション「水虫と私」も楽しかった。キャリアの重大な転機と結婚のどちらかを選択しなくてはならなくなった時、泣く泣くキャリアを選択してきた……と面白おかしく話す眞島先生に泣き笑いというか、あまり他人のような気持ちがしなかったです。笑。

7.31.3
多くを学んでよく笑った帰途、ブルームーンがあまりにも美しかったので久々に「ル・パラン」に立ち寄ってモヒートをいただきました。こちらの真夏のモヒートは絶品です。7.31.5

10日、ファッションデザイナーの渋谷ザニーさんにゲスト講師としてご来校いただきました。

「黒色と生花」と題し、主にスペインにおける権力の象徴としての黒のモードと、「母国」ミャンマーにおける生花ファッションについて、レクチャーしていただきました。zanny 3

興味深かったのはやはり、ミャンマーにおいて、生花を髪飾りとして装うことがいかなる意味をもつのかということ。アウン・サン・スーチーさんが髪に生花を飾るのには意味がある。私(あるいは私の夫または父)が、こんな色とりどりの花を咲かせることのできる領地をもっている、という証明として花を飾るのだと。

ザニーさんはミャンマー出身ですが、幼少のころお母様とともに日本に亡命しました。政治難民でしたが、「いじめられないように」ファッションで武装というか防衛し、闘ってきた歴史も話してくださいました。

スペインに留学したかったけれど、当時は国籍がなかったために行けなかったという悔しさ。

あたりまえに国籍をもっていることが「常識」でしかなかった学生にとって、ザニーの人生の話は、衝撃的な体験となったようでした。

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おもいがけず、ザニーのお母様もいらっしゃいました。誠実さをたたえる、素敵なお母様でした。母国語ではない言葉でこのように堂々と人前で話をする息子を見て、お母様はどれほど誇らしい気持ちであったか。<母の気持ち>が想像できるだけに私も感無量の一日となりました。

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先週3日、LEON編集長の前田陽一郎さんをゲスト講師としてお迎えし、「ファッションとは何か」「編集とは何か」「情報とは何か」について熱く語っていただきました。7.3.8

生々しいファッションの現場の話や舞台裏のエピソードなどに受講者の眼はランラン、終了後も前田さんは学生からの質問攻めにあい、なかなかホールを離れられないほど。

・興味深い話がほんとうに多かったのですが、とくに「クラス社会」であるヨーロッパの船上パーティーに招かれたときのドレスコードの話が際立ってました。「カジュアル」でお越しください、と書いてあっても、前田さんはダブルのジャケット(船乗りといえばダブルですね)、青と白のストライプ、デッキシューズ素足ばき、シアサッカー素材、きちんとした時計、で「武装」。すると向こうから「わかるやつだ」ということで話しかけられ、ご縁ができたとのこと。Tシャツと短パンで参戦した人たちはついぞ話しかけられることなく、最後までその人たちだけで固まっていたそうです。ファッションはコミュニケーションであるという、活きた具体例ですね。7.3.4・「デザイン」はドルガバ、アルマーニあたりで終わった。90年代後半のブランド戦争時代に入り、トム・フォード、エディ・スリマンが活躍する頃は、「マーケティングと編集」でファッションが成り立っている。というメンズファッションの近年の流れの解説も。興味深い話題は山積だったのですが、以下、そのなかから数点だけ、ポイントをメモ。

・日本人は細部に凝る。遠景や全体像が見えず、どんどん細部をくっつけていく、という意味でカオスを創り出していく。一方、ヨーロッパ人はざっくりしていて、遠くから見て美しいものを作ることに長けている。7.3.9

・インターネットはただの箱。キーワードを知らないと何も始まらない。キーワードを知るためにはじかに世界と接することが必要。そして日経新聞の株価から時代を読んでいくことの必要性も。

・正しい情報と正確な情報は違う。正しい情報とは、読者が漠然と求めているものを肯定し、後押しするような情報。マイナス面はあえて伝えないことがある。一方、正確な情報はマイナスもすべて含めた正確なデータ。読者がほしがっているのは、正しい情報。

・日本人の美は日本人にはわからない。アニメも伝統工芸も、外国人が見つけてくれている。

・お洒落じゃなければ意味がない。ただ倫理的によいだけでは共感は得られない。

7.3.30

その後のインタビューでは、編集において目指していることは「共感・共有・共犯」の必要性である、と。納得。

意識をどのようにもって「ファッション」「情報」とつきあい、それらをいかに利用していくべきなのか、ヒントに満ちた濃い時間となりました。ありがとうございました!

7.3.31

 

 

 

 

 

 

 

 

明治大学リバティーアカデミーにおいてコーディネイトさせていただいた地引由美先生による「香水学」、全三回も無事終了しました。

受講者からの「古くなった香水はどのように扱えばよいですか?」の質問に対するご回答が、とても「役立つ」ものでした。さっそく試しています。笑。

初心者にも親切丁寧な講義をしてくださった由美先生、ご参加くださった40名の皆様、きめ細やかなご配慮で講座を盛り上げてくださった事務局のみなさまに心より感謝します。6.20.6終了後、由美先生と記念写真。いつもお世話になっている青葉台の「チャコ」さんに、由美さんのイメージをお伝えしたらぴたりと合うブーケを作ってくれました!

香水講座も、もはや二度と起こりえぬ奇跡のレジェンド(!)として語り継がれている「綿谷画伯の似顔絵教室」と同様、大人気でした。今期はリバティアカデミーにおいては「前例のない」講座、しかも、思いきり浮世離れしたテーマの講座を3つ担当させていただきましたが、それぞれが予想をはるかに超える反響でした。受講生のみなさまの「学びたい」という意欲をダイレクトに感じ、ゆえに思い出も鮮烈で、ささやかな達成感を味わっています。「前例がない」ことをやってみること、そのひとつひとつが、何が起きるのかわからない冒険のようで、細胞がすべて覚醒していくような思いを味わいました。これもひとえに、関わってくださったすべてのみなさまあってのこと。最大限の感謝を捧げます。

行動して結果を出す、いたらなかったところは内省して次回の行動に活かす、アクション&リフレクション、それを着実に繰り返して、次、また新しい気持ちで挑戦します。

 

明治大学リバティアカデミー公開講座「シャネル、ディオール、そしてサンローラン:ブランドの創始者とブランドの現在」には、雨にもかかわらず430名ものお客様にご来場いただきました。満員御礼、ありがとうございました!
6.17.3
きめ細やかにご配慮くださいました事務局スタッフの皆様にも心より感謝します。

創始者に見る、プレミアムではないラグジュアリーな生き方に、なにがしかのヒントを感じ取っていただけたら幸いです。

人文系の学部がなくなろうとしていく時代ですが、どんな状況にも適応できるタフな統合力のある人間を作るために絶対必要な教養のための最後の砦として、ファッション学でささやかに抵抗していきます。笑6.17.6

フレグランス文化財団の地引由美さんに素敵な花束をいただきました。「マグマ」のイメージだそうです! ありがとうございました。6.17.1

 

昨日は誕生日でしたが、プレゼミ生たちがサプライズでミニ花束とカードを贈呈してくれました!6.8.3感激です。ありがとう!!

毎年毎年、ほんとうに心優しくて行動力のある学生に恵まれます。

6.5.8多くの人は年を重ねることを不快と思うようですが、いえたしかに、体の機能や弾力やらいろんなところがぼろぼろになってきてそれはもうげんなりといやになってくるばかりであるのは事実です。

でも、年を重ねると、いいこともあります。これまで積み重ねてきた過去のもろもろのことが、意外な形でつながって、あのときのあの経験がこんな形で実を結ぶのかという驚きのできごとが、連続花火のように訪れることがあります。

黄色とブルーがさわやかにアレンジされたこの花束は、20年前の教え子が贈ってくれたもの。20年前、東大駒場の非常勤講師として大教室で英語を教えていました。そのとき、私に鮮烈な印象を受けていたという学生が、20年間社会の荒波に鍛えられ、成長して、立派なジェントルマンになって目の前に現れ、大きな花束を抱えて笑顔で立っている。「大人になってから先生に会いたかった」と。なんと映画みたいな。泣笑。

20年経たなければできないことがある。それをばっちり決めてみせてくれた教え子がいるって、なんと幸せなことか。この感覚は、英語でいうeuphoriaに近い。多幸感というか、陶酔感というか。若い時には味わえない、歳を重ねないと味わえない経験や感情もあります。20年後、またその年でなければ経験できないできごとや感情が訪れるかもしれない…と思うと、やはり年を重ねていくのは未知の世界を旅する冒険ですね。今いただいているひとつひとつの仕事に愛とエネルギーを注ぎ込んでいくこと、それがきっとさらなる20年後への「種まき」になっているのでしょう。

などとかっこよさげなことを言っているひまあれば原稿を書きなさいというお叱りを受けました。はい。すみません。

気仙沼ニッティング代表の御手洗瑞子さんにゲストとしてご来校いただき、
特別講義をおこなっていただきました。5.25.2
ブータンの首相補佐としての経済支援と、気仙沼で起業しての復興支援。
底流には同じ、真の自立を促すシステムを作ることが本当の意味での支援になる、という揺るぎない哲学が流れています。
最高級のオーダーメイドのセーターを届けることでグローバルなラグジュアリーブランドとしての立ち位置を目指す行動力とリーダーシップ。
ひとりひとりの顧客と心が通う「親戚のような関係」を築き上げる人間力。
日・英の編み図の違いに目をつけ、日本ならではの「ぴたりと体にあうオーダーメイドセーター」を可能にした鋭くて合理的な発想力。
およそ300名の学生とともに、あらためて、深く感銘を受けました。5.25.3

被災地の人びとに対して「なにかせずにはいられない」という心の衝動のままに「着なくなった服を送る」という行為は、ただの自己満足であってきわめて迷惑な行為である、という指摘も痛快。あなたがもう着ないものは、被災地の人だって着たくありません。断捨離に、被災地の方々を巻き込むべからず。

学生生活を有意義に送るためのアドバイスもとことん具体的で、あまりの盲点に笑ってしまうほどでした。さまざまな美しさが立ち現われる万華鏡のようなインスピレーションに満ちた時間を過ごさせていただき、心より感謝します!tamako

8日(金)、京都より、風呂敷の宮井株式会社の久保村正高さんと大工原智子さんに中野キャンパスまでご来校いただき、少人数の「国際実践科目」という授業内で、風呂敷講座をおこないました。5.8.9

風呂敷の歴史、柄の由来、包むという文化について、そしていま風呂敷を使う意義に関するレクチャーの後、

5.8.3

慶弔の際の包み方、まむすびの正しい方法、そしてちょっとしたバッグの即席作成法やペットボトル包みなどの実践講座。

意外とふれることすら少なかった風呂敷の奥深さ、楽しさを知って、学生もほんとうに喜んでいました。5.8.11

「どろぼうの風呂敷」こと唐草模様の風呂敷の実際の意味を知って、驚きの声。私は「サライ」取材の折にお話を聞いていたはずなのですが、何度聞いても楽しい話。5.8.2

繊細で、実はとても合理的なテクニックの数々。マジック感覚で覚え、次世代に伝えていけたらいいですね。5.9.10

久保村さま、大工原さま、すばらしいレクチャーをありがとうございました。きめこまかく授業補助をしてくださった資料室の辻さん、福島さんにも、心より感謝申し上げます!

5.8.6

明治大学リバティーアカデミー 綿谷画伯のイラスト講座は、感動の大団円を迎え終了しました。4.25.2

事情あって詳細は書けないのですが、受講生の一人が「あまりにもかっこよすぎて、描きながら卒倒しそうでした」とコメントしたほどのスペシャルゲストに来ていただき、モデルとして3ポーズさらりと決めていただいたうえでのクロッキー、そして笑いあふれる合評会。 その場に居合わせたすべての人のこの上なく幸福そうな笑顔を見て、この講座を企画して本当によかったと、心から思いました。おそらくもうこれほどの幸せなことは二度と起こらない。奇跡の一期一会でした。4.25.6 その後、ゲストの方とともに四谷荒木町の「鮨 わたなべ」さんで会食。メンズファッション談義をしながら、シャンパンに合わせていただくお鮨は、楽しすぎでした……感涙。4.25.8 最後の一杯は久々に荒木町のバー「エル・ラギート」で。ここは「ルパラン」本多マスターのお弟子さんのひとり、本田くんのお店です。

3週にわたり、豊かなサービス精神を発揮して受講生を楽しませ、驚かせ、感動させ、描く楽しさ・共に学ぶ喜びに目覚めさせるという偉業(!)をなしとげてくれた綿谷画伯に、深く感謝します。講座を盛り上げるためにご尽力くださった事務局の河合さんと清水さん、陰に陽にヘルプしてくれたプレゼミOGのキャサリンとエイミーにも、感謝です。そしてこのような初めての試みに参加してくださった約20名の受講生の方にも、心からの敬意と感謝を捧げます。共有できた至福の時間は、一生の宝物となりました。

明治大学リバティーアカデミー。綿谷画伯のおしゃれ似顔絵講座の第2回目も開講されました。4.18.11

参加者も互いに少し打ち解け、なごやかなムード。この日のテーマは「バーカウンターで気になった人にコースターにさらっと似顔絵を描いてプレゼントをする」。というわけで、綿谷講師もジョン・トラボルタのスタイルで。4.18.5ノンアルコールのスパーリングワインも綿谷画伯から全員にサービスされました。4.18.17

プレゼミOGのキャサリンとエイミーもヘルプにかけつけてモデルをつとめてくれました。ありがとう!

和気あいあいとしたムードの中、品評会をしながら、同じモデルを描いてもそれぞれのタッチがかくも大きくちがうものかと驚きました。

それぞれがユニークで素敵なイラストだったのですが、なかでもとりわけ印象に残った作品をご紹介します。4.18.14左上がキャサリン、右上エイミー、下が私だそうです。少女漫画タッチがたまらなく楽しいイラストで、今回いちばん称賛された作品です。いくらなんでも美化しすぎだろうという声も多々ありましたが(笑)、私もこのフィクショナルなタッチがなんとも気に入ってしまい、記念にコースターをいただきました。4.18.8こちらもかわいい! 4.18.9すべての線をあえて描かないこのタッチもおしゃれ。
4.18.7こういう乙女な雰囲気の絵にも、思わず笑顔になれますよね。4.18.10そして力強い線だけで私を描いてくださったこんなイラストもかっこいい!

「(画伯が学んだ学校)セツ・モードセミナーにはさまざまなレベルのイラストレーターの卵がいたが、結局、最後まで辞めずに残ったのは、辛口の批評も受け入れていった素直な人ばかりだった」という話が心に残りました。

今回も盛り上がった似顔絵講座。最後となる来週は、いよいよビッグゲストがモデルとして登場します!

 

 

 

明治大学リバティアカデミー春期講座「綿谷画伯のおしゃれ似顔絵教室」の第一回めが開講しました。 募集人数を上回る22名の受講生がご参加くださいました。初日はクロッキーの実践。互いにポーズをとりながら、写生していく。へんに影をつけたりせず、線で立体感を出すよう、ご指導いただきました。4.11.4椅子の上にのぼり、基本姿勢をデモンストレーションする綿谷画伯。 私はコーディネイターとして参加させていただきましたが、急遽、クロッキーのモデルにも(‘ω’) みなさん熱心に鉛筆を走らせている様子は、いつものリバティーアカデミーの雰囲気とはまた違って、美術学校のようでした。ひたすら描くことに没頭していた中学校の美術の時間というのを思い出して、なつかしい気分になったり。 4.11.6 画伯制作のオリジナルテキストが凝っていて、笑わせていただきました。なにか特殊なキャラとして描かれてますが、まあ、あくまで虚構のキャラなので。笑 4.11.3最後に作品を見せ合ったのですが、みなさんそれぞれにお上手でした。中央は、私をモデルに描いてくださった方の絵。顔が少女漫画のように美化されていて、参加者のあたたかい笑いをとり、この日の「画伯賞」を受賞。 第二回はまた違った趣向で進めるとのこと。楽しみです。

31日は大学の第6期プレゼミ、無事終了おめでとうの会でした。

男子学生が共同で一輪のゴージャスな薔薇を贈ってくれました。サプライズ!3.31.1

宴も終わりかけた頃、店内が暗くなった……と思ったらろうそくつきケーキのサプライズ!3.31.3

濃厚なメンバーで楽しい刺激を与え合った充実した一年でした。みなさんありがとう!3.31.2

 

 

国際日本学部第4期の卒業パーティー。プレゼミOBOGたちと記念写真。3.24.1それぞれ超個性的ですばらしく優秀な学生たちです。東大大学院に進学するベトナムからの留学生Lさん。商社マンになるHくん。初志貫徹でファッションメディアに就職したSさん、某百貨店に就職して研修でまたまた私の講義を受けることになるKくん、大手企業の総合職に就くYさん。そして「僧侶」として出家を果たしながら企業に就職もするAさん。前方にひとり「?!」な彼がいますが、パフォーマンスで「黒一点」のモーニング娘。を披露した直後なのでこの衣装です。ひょうきんものですが、超メジャーテレビ局に就職します。

I am very very proud of you all.  ご卒業ほんとうにおめでとう!

「2014AW最後の授業」が続々終了。一抹のさびしさと安心感と達成感。プレゼミも終了。今年度も超個性派ぞろいで、想定外のできごとが多々ありましたが、終わりよければすべてよし。いちばん鍛えられたのは私だったかもしれません。まさか制服を着ることになろうとは(^^;)

みんなほんとうにありがとう。これからも、インプット&アウトプットの循環を止めず、よいところをのびのびと伸ばしてオリジナルな表現力を磨き続けてください。

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写真はゼミ生ハルカさん作成。

Numero Tokyo エディトリアルディレクター、ドラマ「ファーストクラス」監修など多彩にご活躍中の軍地彩弓さんをゲスト講師としてお招きし、ファッションとメディアの関係について、1980年代から現在までの流れとこれからの展望をレクチャーしていただきました。

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雑誌全盛期の80年代には誌面に載った翌日に問い合わせが殺到し、店に行列ができ、モノが売り切れた…。

現在は完全に「オワコン」状態。SNSを見れば、素人さんが、「リアルな」コーディネイトをふんだんに紹介してくれるし、似たようなものを入手すればそれでよい。雑誌の需要がほとんどなくなっている。

それでも、雑誌でなければ実現できないアートなレベルなファッション、社会に対してメッセージを発する力をもつファッションがある。それを追求し、意味づけて紹介しつづけていくのが雑誌の使命であり、雑誌にしかできないことでもある。……そんなお話を経験談やデータに基づいてご講義いただきました。

ウェブ(アーカイブと検索機能)、雑誌(プロにしかできない高いレベルの内容)、SNS(即時性と拡散力)。それぞれの特性を理解して、連動させていく力が、これからのファッションメディアにとってますます必要となること、豊富な具体例を通してよくわかりました。

軍地さんのアシスタントとして来てくださった林さんは、国際日本学部一期生でもあります。ずっと私の授業もとっていたそうです(講義の場合は一クラス200人を超えるので全員を覚えていられるはずもなくm(__)m)。好きな道を貫く卒業生の、楽しげに働く姿を見るのは嬉しいものですね。

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軍地さん(右)、林さん(左)、ありがとうございました!

明治大学グローバルフロントにて、商学部創設110周年記念 ファッションビジネス国際シンポジウム。

シャネルジャパン社長、リシャール・コラス氏はシャネルブランドの伝統と革新の話を。前日に転倒して膝を痛め、松葉づえでご来校でしたが、そんなことをまったく感じさせないアツいレクチャーで予定を30分延長!

続く太田伸之さんの話ははじめて拝聴しましたが、パワーポイントなどまったく使わない、話だけのみっちりトークでこちらも時間延長のパワフルなレクチャー。

ファッションビジネスにかかわってきたこれまでの経験談と、マーチャンダイジングの現状と未来について。それぞれのエピソードがいちいちドラマティックで情熱的、思わず涙した場面も何度か。

はじめて東京コレクションをするときのテント設営。とび職の方々に、毎晩、150人分、ご飯をつくって差し入れしたという話。予算がないので手作りのおでんとか。それに感じ入った現場の方々が太田さんのためにささやかなご恩返しをし、さらに後日、太田さんが大きなご恩返しをするというあたたかな「ご恩返しの循環」。

日本のデニムのよさを世界に伝えたい一心で、銀座の歩行者天国でデニムファッションショーをしたときの奇跡のようなエピソード。

震災直後、チャリティを募ったら世界中のデザイナーがすぐに協力してくれた話。

ライバル三越と組んでの、異例の銀座ファッションウィーク。役員会にかけたら反対されるにきまってるので、既成事実として両社の名前入りのショッピングバッグを先に作っちゃったという戦略。

松屋に復帰したとき、ライバル社の伊勢丹の大西社長が、「百貨店業界に戻ってくれて、ありがとう」とメッセージをくれたというエピソード。

いちいちじーんとくる。本気で仕事をする人だけに降り注ぐ天からの恵み。

現在はクールジャパン機構の社長として日本発のものを世界へ発信するファンドを運営する仕事をしていらっしゃるのだが、その立場からのアドバイスも刺激的だった。すなわち、勝つためには

絶対におまけをしないこと!

中途半端に妥協すると、結局、ビジネスにも失敗するし、良好な関係も築けない。徹底して戦ったほうが、結果、良好な関係が長続きする。よいと信じるものをきちんと説明して、おまけなどしないこと。

そして、とことんぶれないこと!

お客は自分で作れ。クレームは謙虚に聞くべきだけど、いちいちそれに合わせて小手先の変化をするな。ベンツやシャネルには一貫性がある。ぶれないことがブランディングとなる。

また、マーチャンダイジングにおけるグループ分けを、変えなくてはならない時期にきている、という話も面白かった。もう服だけを並べて売る時代ではない。生活の空気を売る時代。物語のないお店には、人は感動しない。

この話から連想したのは、シンポジウム開始前、東野香代子さんが話してくれたパリのラグジュアリーワールドにおける「アール・ド・ヴィーヴル」の話。生活芸術。コルベール協会に属するブランドの中には、インテリアやテーブルグッズ、香水、チョコレート、シャンパーニュまで含まれる。こうした生活回りすべてがラグジュアリーファッションの世界であって、ファッションとは服やバッグや靴だけの話ではない、ということ。

ともあれ、国際的なビジネスに乗り出したらならば、負けるな、ぶれるな、かたことでいいからひるまず戦え! と強気のはっぱをかけて大盛り上がり。

そして三人目のガシュシャ・クレッツ氏。終了予定時間から始まりましたが、ラグジュアリーブランドとブロガーの今を英語でレクチャー。排他的、エリート主義、卓越主義、歴史主義、タイムレス、秘密主義、近づきがたい…こんなラグジュアリーワールドは、SNSとは相いれない。でももはやそうは言っていられない時代。SNSと巧みにコラボするブランドの例が紹介される。

重要なこととして「身近すぎない」こと、という指摘が興味深かった。すぐコメントに返事を返したりするのはラグジュアリーなイメージにとってはNGなんだと。わはは、すぐ返事を書いちゃう私は完全に庶民派ですな。

ファッションビジネスってほんとうに面白くて奥深い、とワクワクさせていただいた土曜日の午後でした。主催の商学部のスタッフの皆様、講師のお三方に感謝します。良い循環を生み出しながら業界を動かしている一流の仕事人に共通するのは、現場の人への愛であり、愛を示すための常識破りな行動力であること、あらためて学ばせていただきました。

昨日、シャネル社社長リシャール・コラス氏による「リュクス・セミナー」第4回目に参加。明治大学商学部ファッションビジネス特別講座の一環。以下、ほとんど自分のための備忘録のようなものだが、個人的になるほど、と思ったことの概要をメモしておきます。

今回のテーマは「無形資産」。数値として変換できない価値が、実は消費者の頭の中に存在していて、これがブランドの価値を決め、売り上げを大きく左右する。

では、その価値を具体的にどのように測るのか?

その方法の一つとして、第三者に依頼しておこなう、ブランドイメージの調査がある。ラグジュアリー製品となると、とりわけ「消費者がどう見ているか」というブランドイメージが重要になるのだ。

しかも、ブランドイメージというのは生き物であって、定期的・継続的に見ていく必要がある。その意味では健康診断のようなものでもある。そして、製品とは無関係であっても、なにか企業回りに大きな「失敗」があると(たとえば、社員によるセクハラなど)、とたんにイメージがダウンする、というデリケートなものでもある。ゆえに、イメージのファクターは、「こういうイメージを消費者に届けたい」という戦略だけで決まるのではなく、外からの要因にも大いに左右される。

ラグジュアリー・ブランドに関するイメージ調査に関しては、どんな人に聞くか、というターゲットも重要になってくる。ランダムに聞いても意味がない。具体的には、東京圏・大阪圏に住む24歳~60歳の女性、200名で、ラグジュアリー製品のレギュラーユーザー。ラグジュアリー製品年間購入100万円以上の独身女性で、年収1000万以上、など具体的に対象を決める。

ブランド・エクイティの3つの要素として、Saliency (際立っていること。一番最初に思い浮かべてもらえること=Top of mindにくること)、Value、Strength(イメージの強み)がある。Saliency + Value + Strength、この総和を3で割ったものが、ブランドエクイティ。

この結果を見て、ブランド側は、長期・短期の戦略を立てていく。期待に添えていないなら、それを改善する努力をし、誤解があって価値が伝わっていないなら、それを伝える努力をする。data→改善努力→data→改善努力…の繰り返し。

……という総論があり、具体的に「ラグジュアリーブランド全般に関して」、「既製服に関して」「ハンドバッグに関して」「フレグランスに関して」「メイクアップに関して」「時計に関して」という各項目のもと、細かなデータの結果を示していただきながら調査結果を教えていただいた。個人的には、どのような「ことば」の分類でもって消費者のアタマのなかのイメージを調査をしていくのか、ということがおそろしく興味深い講義であった。

[E:ribbon] Image Dimension として、Prestige(威信), Aspiration(憧れ), Cutting Edge(最先端), Relevance(ふさわしさ)があるということ。

・そのPrestigeを定める項目はなにかといえば、Timeless Style, Worth the Investiment, Iconic Products, Know-how in craftsmanship, Standard for luxury, Exceptional finish, Well-known people, Really takes care of its clients など。

スパイダーグラフをつくってみると、シャネルは、Exceptional finishという点が少ないようにも見える(この点ではエルメスが突出している)。でもそれは、シャネル側の戦略のせいでもある。シャネルバッグは、実は1つ作るのに18時間かかり、職人ひとりの養成に3年間かかっている。でも、シャネルはそういう現実的な職人技のすばらしさを伝えるよりもむしろ、あえて「夢」を売る戦略をとっている。消費者に、職人技がどうのという現実は宣伝していない。その結果でもある。

・で、次、Aspirationを定める項目はなにかといえば、Very feminine style, Makes me dream, Makes me feel special. など。

ラグジュアリーブランドのなかではディオールがこのAspiration全体において不足している。その結果、全体のイメージが低下している。

・次、Cutting Edge。 これを定める項目は、Daring, fun, in or hot right now, Avant-garde, Really Dynamic, Attract Youg people

ここにおいては、ヴィトンが傑出し、エルメスはやや下の方にくる。エルメスはそのあたりを売りにはしていない(最先端ではなく、タイムレスなスタイルを売りにしている)から、当然。

・次、Relevanceを定める項目はといえば、Fits my lifestyle, Feel close to, I’m crazy about, Truly pleasant shoppping experienceなど。

以上のような細かな各項目にわたり、2007年から2011年までの数値の推移を公表していただいた(社外で見せるのははじめてのこと、でした)。

総合すると、シャネルがトップにきて、エルメス、ヴィトン、プラダ、グッチ、ディオール、クロエ、フェンディ、D&G,セリーヌ、アルマーニ、YSL、Valentinoと続く。ここ数年でプラダが上昇し、ディオールがやや下降気味なのが目立つ。

ぼんやりと語られがちな「ブランドイメージ」だが、こうした言葉と数値できびきびと示されてみると、目からうろこが落ちる思いであった。当然のことながら、「既製服」「ハンドバッグ」「フレグランス」「メイクアップ」においては、使われることばも違ってくる。たとえばフレグランスの場合、イメージ・ディメンションの下には、Prestige, Seduction, Vitality, Relevanceという項目がくるし、メイクアップの場合は、Scienceという項目も入る。シャネルはプレスティージはあるがサイエンスにおいて不足しているので、10年がかりでいまそれを投入しようとしているところ。

[E:eye] 学生からの質問にもユーモラスに答えていただく。

「シャネルは男物を作らないと言っていたのに、香水BLUEも出したし、ネクタイも売っている。これはどういうことか?」

→80万円のシャネルスーツを買った奥さんが、エクスキューズとして、夫にちょっとしたおみやげを買っていくのに、2万円のネクタイはぴったり(笑)。

→Blueのコンセプトは、Unexpected. 「自分がいるべき、と思うところから、全然ちがうところにいる」。っていうわけで、コンセプトにも合う(女物だけやるべき、と思っていたところから、男物までやっちゃっている、というところにいる)。

「コラス社長のネクタイはシャネルだとおっしゃってましたが、スーツはどこのですか?」

→ゼニアの6~7万円のもの。これはコラス氏自身の体の動き(激しくよく動く)にあっているのだそう。ブリオーニの繊細な生地だったらたちまち破れてしまう(笑)。ちなみに靴はベルルッティ。これも軽くて歩きやすく、機能性にすぐれていて20年履いても「古くならない」。

……とまだまだ名残惜しかった充実の100分。楽しくお勉強できました。ありがとうございました!