国立新美術館にて「カルティエ、時の結晶」展が開催されています。12月16日まで。

1日におこなわれた内覧会に伺いました。

もう、いろいろ語るまい……。すばらしすぎて、美しすぎて、涙が出るというレベル。

会期中にあと一回は観たい。


コブラとかスカラベとかヘビとかワニとか。そのままだとコワかったり不気味だったりする生き物が、宝石で作るとどうしてこう、ぞわぞわと心を震わせるのか。


かつてない壮大なスケールの展示です。全力推薦。


こんなの創ることができる人間って偉大だ。

13日付の読売新聞夕刊モード欄。メインはピーター・リンドバーグの追悼記事でした。

私もコメントさせていただきました。

30年経とうと古くならない美しさを写し取った彼の功績は偉大です。

西陣織の老舗、細尾 が、テキスタイルを世界のラグジュアリーマーケットに提供するHOSOO のコレクションを展開する旗艦店をオープン。レセプションに伺いました。

芸術品のような織物。

 

2階ギャラリーでは「日本の美しい布」展。細尾真孝さんが2015年から4年の歳月をかけて日本各地を訪ね、集めた布のコレクション。圧巻です。

その土地ならではの歴史や風土によって育まれた布の原点に焦点を当てたすばらしい展示。日本の布の美しさを念入りに掘り起こし、光を当てる、細尾さん渾身のフロアです。


エレベーターホールに飾られる花の配置もセンスがいい。


家具、インテリア用品、服飾品などのホームコレクションも充実しています。目の前で西陣織のポーチが売れていきました。

3階では貴重な着物や帯を間近に眺めることができます。

これは「たて錦」。


「細尾」第12代目の細尾真孝さん。ラウンジではオリジナルの和のテイストを活かした「かさね色目のマカロン」やオリジナルショコラも展開。


日本各地から大勢のゲストが来訪し、大盛況でした。ますますのご発展を応援しています。

HOSOO Flagship Store / HOSOO GALLERY
京都市中京区柿本町412

パトロンアートプロジェクトの菊池麻衣子さんにお声がけいただき、汐留ミュージアムで開催中のギュスターヴ・モロー展に伺いました。

前代未聞のことだそうですが、行列&整理券の大人気。中に入るまでがたいへんですが、入ってからは人数制限されているのでゆったり見ることができます。

繊細で幻想的なモローの世界は見ごたえありました。ヨカナンの首が空中に現れるサロメの絵はやはり不思議な迫力というか引力があります。衣裳もエキゾティックでゴージャス。ファム・ファタールやギリシア神話をモチーフにした絵のなかには血が流れるものもなかなかに多く、感情をゆさぶられます。それにしてもギリシア神話では「誘拐」が多かったのだな。

本日23日まで。

写真は、麻衣子さんのインスタグラムより。会場内の撮影は不可ですが、彼女はプレスプレビューにて許可を得て撮影していらっしゃいます。

鎌倉アンティークス主催の田中喜芳博士トークショーに参加させていただきました。「名探偵魅力の世界に遊ぶ」。

田中先生は、日本でも指折りのシャーロキアンでいらっしゃいます。1987年には米国・ベイカー・ストリート・イレギュラーズに2人目の日本人として入会を認められています。世界でも高名なホームズ・グッズ・コレクターの一人でもあります(ホームズ関連の本だけで3000冊はあるそうです)。

実はイラストもお書きになり、毎年、絵の個展を開いていらっしゃいます。6月12日発売の新著『シャーロック・ホームズ トリビアの舞踏会』にはご自身で描かれた繊細なイラストも20枚、収録されているそうです。

おみやげに配っていただいた田中先生イラストが描かれたポストカード。横浜馬車道らしい、素敵なイラスト!

シャーロック・ホームズ、コナン・ドイル、彼らを生んだヴィクトリア朝の時代背景に至るまで。マニアックでディープ、目からうろこが落ちまくりの知的で楽しい時間でした。お客様もみなかなり高いレベルのイギリスマニアな方々(専門職の方も多)で、こういう方々と同じ価値観を共有できる幸せを、しみじみ味わえた時間となりました。

鎌倉アンティークスのヴィクトリアンルームでのヴィクトリア朝の深い話。神は細部に宿ると申しますが、盲点だった細部のお話に常識を覆され続け、論理的ながら楽しい語り口に魅了され続けた、いやもうほんとに楽しいトークショーでした。

田中先生のネクタイは、田中先生デザインによるホームズ協会のクラブタイだそうです。右は鎌倉アンティークス代表の土橋さん。所有するロンドンタクシーがついに10台となったとのこと。祝。土橋さんはイギリスアンティークをテーマにしたミュージアム建設に向けて邁進中で、その一室には田中先生のコレクションも飾られるかもしれません。なんだかワクワクしてきますね。

豊かな機会をありがとうございました。

Men’s Precious Web連載更新しました。

黒い略礼服の起源をめぐる物語、日経連載にも書きましたが紙幅の都合でかなり簡略版(というか、凝縮版)になりました。ウェブではロングバージョン、より詳細に紹介しています。こちらでございます。


ヴァージル・アブローの『複雑なタイトルをここに』(アダチプレス)。”Insert Complicated Title Here” が原題。

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ヴァージルがハーバード大学デザイン大学院でおこなった講義の講義録。だから話し言葉だし、薄いし(全93ページ、しかも文字部分はその半分しかない)、なんですが、ヴァージルの仕事に対するスタンスや発想法、歴史の捉え方などがやはりなんともDJ的に語られ、独特の感性ことばの世界にしばし浸った。

ヴァージルもダイアナ妃からインスピレーションを受けているということにちょっと嬉しくなる。

1.Renaissance
2. Renaissance to Neoclassicism
3. Romanticism
4 . Romanticism to Modern Art
5. Modern Art
6. Comtemporary Art
6a “Streetwear”

うわ、やられたと思った美学の歴史。なんだけど自分自身のこの流れに沿って成長しているっていう。おもしろいアイディアがぽんぽん投げ込まれているけどどれひとつ論理的に結論はつけられず、DJ風に話が進んでいく。この話法は。

微妙にわかりづらいところも含めて「クール」と感じさせる。これがヴァージル印なのかと納得。

↑ この本についてのコメントが読みづらいかもしれないのも、ヴァージルの話法に影響を受けているということでご寛恕ください。

さて。

細部の細部の詰めに時間がかかった再校ゲラもようやく手を離れました。


アマゾンでの予約が始まりました。12年間のささやかな集大成です。人文学の老舗、吉川弘文館より6月15日発売です。

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北日本新聞別冊「まんまる」5月号が発行されました。

連載「ファッション歳時記」第91回 「『七輪』はなぜ批判されたのか」。

アリアナの「七輪」の話題もずいぶん昔のように思えますね。今年の初めの頃の話題なのに。ついでにいえば富山トークショーも一か月前。ずいぶん昔のことのように感じられます。時のスピードは速い。

100回までのカウントダウン、あと9回。

銀座ミキモトホールにて、ボンボニエールの世界展が開催されています。プレビューに伺いました。

ボンボニエールとは、手のひらサイズのお菓子入れのこと。天皇の即位や皇族の成婚、誕生など、慶事の際に皇室から贈られる引き出物です。

皇位継承で新時代が始まる今だから、こんな展示もとてもタイムリーですね。

小さな「菓子入れ」ではありますが、日本の伝統文化を表現したモチーフが、高度な職人技を駆使して作られています。実に精巧で、ひとつひとつ、完璧なミニチュア世界に吸い込まれるように眺めてしまいます。

ボンボニエールはなぜ始まったのか? 1876年の廃刀令により、これまで刀剣の金属細工をおこなっていた錺職(かざりしょく)という職人が仕事を失う羽目になりました。せっかく磨き上げた匠の技を次世代に伝え、存続させていかねばならない、ということで、彼らの技術を活かし続けるためにボンボニエールが考案されたとのことです。皇室のノーブレス・オブリージュ。

上は、幸吉翁が陛下からいただいたボンボニエールだそうです。

個人的に発見があったのは「諫鼓鶏(かんこどり)」。

閑古鳥かとおもっていたら、本来は諫鼓鶏だったんですね。中国の故事に由来。尭帝(ぎょうてい)が朝廷の門前に諫鼓(太鼓)を置いて、自らの政治に誤りがある時は、人民にその太鼓を打たせて、訴えを聞こうとしたのだそうです。しかし尭帝の政治には誤りがなく、人民が打つこともなかったので、諫鼓は鳥の遊び場になってしまいましたとさ。面白い!知らなかった!

諌鼓に鶏が止まっているのは、善政により世の中がうまく治まっている天下泰平の世である証なんですって。

小さな世界に驚きがつまったボンボニエール展は、4月5日から5月10日まで。こんな貴重なコレクションを見られることは幸運で、入場無料ですし、行かない理由はないですね。銀座にお出かけの際はぜひミキモトホールへ。

アーティスティックな香水ブランド「リキッドイマジネ」の発表会に伺いました。南青山のモルティーニにて。

アーティスティック・ディレクター、フィリップ・ディメオ氏直々のプレゼンテーション。香水を通して想像力を刺激され、シュールでロマンティックな世界に遊んだ一時間でした。

リキッドイマジネの香水はすべて三部作から成り立っています。香水ひとつひとつが物語の魅力的なキャラクターで、3人が一つの物語世界を創り上げる、というイメージです。

彼は本物のアーティストだなと思ったのは、下の香水についてのプレゼンテーションを聞いた時。帰ってきたら自分のアパルトマンが火事になっていて、その燃え殻からヒントを得た……って……。筋金入りの芸術家だわ。

イメージ源も実際の香りも想像を超えるレベルの香りの数々だったのですが、とりわけ私が悩殺されていまったのは、ドム・ローズ。シャンパンとバラがメインテーマの香りですよ。もうくらくらしました。イメージ画像も耽美的。

このたび発表されたのは、新たな三部作、オーデラメ(魂の水)のシリーズの第1作目、ボーテ・デュ・ディアーブル。イメージモデルはケイト・アンダーウッド。

「あなたはその香水を手に入れるためなら、悪魔に魂を売ってもかまわないと思うでしょうか?」それほどの誘惑力をもつ香水、がテーマ。混沌とした不協和音。未知の世界。心がざわざわ。

発表会場になったモルティーニの雰囲気に、リキッドイマジネはぴったりでした。モルティーニはイタリアの高級家具ブランドですが、静かで、一筋縄ではいかないラグジュアリーな雰囲気を醸し出します。

照明もドラマティック。

モルティーニとリキッドイマジネの幻想的なコラボ。秘儀的で、詩的で、官能的で、新たな冒険に誘う香水の、ひとつのマニアックな極みの境地を見るような作品群でした。

東京藝術大学大学院の博士審査会(公開)で副査を務めさせていただきました。審査対象は清水千晶さんによる「衣服と環境の同化」をテーマにした論文と、「アナザートーキョーシナリー(もうひとつの東京の風景)」という作品です。

作品は、地方から東京に出てきた女性が7段階を経て環境と同化して自己を発見していく過程を、7体の服で表現したもの。アパレル業界で服作りの仕事をした経験もある清水さんならではの力作でした。

博士展では、ほかのジャンルの作品も展示されており、一般の人も鑑賞できます。絵画、ガラス造型、陶芸、ロボットなど、レベルの高い作品が多く、予期せぬ眼福でした。20日までです。芸大周辺は時が止まったようにゆったりしていて、心がほっと落ち着きます。かつてこんなふうに、ただただ純粋に、学問を追求できた時代もあったな……。とてもよい時代だったころの駒場の雰囲気やケンブリッジの街並みなどを思い出してちょっと切なくなったりね。

芸大近くの国立西洋美術館ではルーベンス展! 壮大な肉厚濃厚作品の迫力に圧倒されました。(身体に矢やら釘やら刺さって)痛そうな絵が多かったですが。

シンガポール投稿はこれで最後になりますよ。もうそろそろみなさんも飽きてきたころですね。

 

ナショナル・ギャラリーです。

2015年11月にオープンしたこのギャラリーは、旧市庁舎と旧最高裁判所を合体させてリノベーションした、東南アジア最大のモダンアート美術館。

2つの巨大な建物が合体して展示会場になっており、その数、延べ13階分以上になるそうです。

ひとつひとつの作品がとても興味深いのですが、とにかくはてしなく数が多く、見ても見ても終わらない。

旧日本軍の兵士が描かれている絵もあり、なかには胸が痛むような描写のものもありました…。

「人々の痛みや悲しみを描くものでなかったら、アートはいったい何のためにあるのだ?」


感情を揺さぶられつつ、2時間くらい見て回るものの、まだ3分の1も観終らないという状況。

あちこちで小学生とおぼしき集団が、アートの講義を受けています。

足が先に疲れて、ルーフトップガーデンで休む。


シンガポールの名所が一望できる。

見慣れるとやはり幕張。

残りは駆け足で、締めは、旅行中にインスタ経由で情報をくださったシンガポール在住の友人の勧めによりギャラリー2階にあるViolet Oonというカフェに行ってみました。

コロニアルプラナカンという風情の素敵なインテリア。スタッフもインド系、マレー系の美男が多く、目の保養をさせていただきました。

ただ、black coffeeを頼むと、砂糖入りミルクなしのブラックコーヒーが出てくるんですよね。without sugarと強調したのに、そういうレシピはないんですな。甘いコーヒーは大の苦手なのでとほほでした。他のテーブルの方々は、3段トレーに甘いモノどっさり載ったアフタヌーンティーをお楽しみでした。(無理だ……と思いながらちら見する) それ以外はほんとうに時間を忘れる素敵なお店。

インド系美男スタッフは最後まで親切で、タクシー乗り場が見えるところまで送ってくれました。

ぎっしり5日間、久々のシンガポールを満喫できました。以前より多くの場所に行くことができたので理由を考えてみますと、まあいろいろありますが、その1つは「買い物をしなくなったから」。今すっかり物欲がなくなり、モノより経験が面白い。モノならば日本でもいくらでもあふれているし、世界中のモノがいつでもECで買える。場に敬意を払える清潔で上質な服を2、3着、着まわしていれば何の問題もない。今回買い物したのはアラブ香油、小さな2瓶だけでした。ホテルでランドリーサービスも活用し、少ない枚数の服で過ごしたので行きも帰りも軽々。こういう旅の方が快適で、充実しますね。味をしめたので日常生活からも携行品を減らしていこうと決意。

ココ・シャネルが最後にもった服はベージュと黒のシャネルスーツ2着、という話がなかなか深く響く。

ともあれ。次回、シンガポールに来るときにはディープな「人」や「組織」の内部の取材をしてみたいです。

などと書いても書かなくてもよいような「締めの文句」を書いているあたりは19歳の頃に旅行ライターをしていた頃と変わらないな。

 

シンガポール関連記事はこれで終わります。おつきあいくださいまして、ありがとうございました。インスタ経由でオンタイムに情報をお寄せくださった方々にも心より感謝します。旅のきっかけをくださったグランドハイアットシンガポール、グランドハイアット東京、そして映画Crazy Rich Asians にも深く感謝申し上げます。

“My Generation” 一足先に鑑賞する機会をいただきました。

マイケル・ケインのナレーションで、1960年代のロンドンカルチャーを再検証。

映画、音楽、ファッション、写真、セレブカルチャー、ドラッグ問題。当時の熱気が、スピード感ある編集でよみがえる。マリー・クワントやポール・マッカートニー、マリアンヌなど、今の声で当時を語っているのも興味深い。ワクワクしながら60年代を学べるとともに、まさに現在起きていることが当時とつながっていると実感することも多々あり、おそらく若い人も当事者意識をもって鑑賞できる。

 

当時の階級意識がどれほど濃いものであったかというエピソード、それをぶち壊すために行動した若い世代、(スマホもないので)実際に顔を突き合わせて議論することがクリエイティブを刺激するということ、女性は「Birds」「Richards」などと呼ばれていたという面白隠語、古い世代の価値観にとらわれず「やりたいことをやった!」人たちが変革をもたらしたということ、当時のアートスクールが果たした役割、女性の服には「注目される」「セクシーである」「気分が上がる」ことが必要であって「あたたかくしておく」ことなど不要であると言い切るマリー・クワント、「コマーシャル・フェイス(商売になる顔)」だと思われたというだけでスターになったマリアンヌ・フェイスフル、マイケル・ケインの「ケイン」はボガートの「ケイン号の叛乱」のケインだったというエピソード、などなど、いやもう目からうろこがはがれっぱなしでほんとうに楽しい映画だった。

マイケル・ケインがつぶやくセリフ、”Never Ever Dream Small.” (夢を小さくまとめるな)が余韻を残します。

イギリス文化ファン、ファッション史の学徒は必見よ。監督はデイヴィッド・パッティ。

2019年1月5日公開。東北新社配給です。

 

 

ミヤビブランドコミュニケーションズの田中雅之さんにお声掛けいただき、二期会オペラ歌手、与那城敬さんのバリトンリサイタルを鑑賞しました。浜離宮朝日ホールにて。

 

谷池重紬子さんのピアノ伴奏だけで、2時間、集中の切れることのない濃厚な熱唱。合間のおしゃべりも楽しく、アンコール3曲つき。ひとつひとつのハンサムな仕草でも観客を魅了する、すばらしいコンサートでした。会場の年齢高めなニキータ(笑)さんたちもあたたかさにあふれながらテンション静かに高く、なんというか、愛にあふれた時空でした。

与那城さんの装いはタキシードの下に黒いシャツ、タイレスとほぼ黒のグラデーションだったのですが、効いていたのが胸元のピンブローチ。2㎝くらいの小さなピンブローチでもその光は神々しく、広い会場でも圧倒的な存在感を放っていました。あとでお会いしたときに確認すると、ミキモトの音符型のピンブローチでした。さすが。

そして前半と後半で、ポケットチーフだけを替えて出ていらしたのですよね。前半は黒、後半は赤。これだけで印象が一変する。

私たちもマネできる、さりげないイメージチェンジの方法ですね。

そしてなんと憧れの谷口久美さんにもご紹介いただきました。初代クリスチャン・ディオール駐日代表、外資系ブランドPRの草分け的な存在で、今はオペラにも深く関わっていらっしゃいます。ご自身でも舞台にお立ちになるのです。25ansなどでもしばしば憧れマダムとして登場される方で、かねてからぜひ一度お目にかかりたいと願っておりましたが、その願いが叶い、感激でした。とても素敵な方です!

左から、田中さん、中野、与那城さん、谷口さん。ありがとうございました!

Men’s Precious Autumn 2018 発売中です。

 

 

メインの特集は、2018年流Gentleman A to Z。

巻頭で、「21世紀の“紳士”概論」を寄稿しております。8ページにまたがる6000字超の解説。ファッション誌のエッセイとしてはかなり長い分量です。



ジェントルマンって? ダンディって? そもそもどういう人種をさすのか、その起源と歴史と現在を書いています。

お時間のゆるすときにでも、おつきあいくださいませ。

ベルサイユ宮殿の庭。ここはまた別料金をとる。いたるところで追加料金。
すっかり観光地の論理のもとに管理されている。


でもそれだけのことはあるという徹底した手入れがなされている。

ガーデンは池も含め、ちりひとつ落ちておらず、完璧に美しく整えられている。

音楽まで聞こえる。ディズニーランドか。

どこまでいっても違う景色が楽しめる、バリエーション豊かなガーデン。宮廷人はこういうところをそぞろ歩きすることで気晴らしをしていたのですね。

大理石の椅子に座ってみたら、濡れているのか?!とぎょっとしたほど冷たかった。ストーン・コールドとはよく言ったもので、これだけの陽ざしを浴びていても冷たいままなんですね。

それにしても広大だ。広すぎる。広すぎるけれど、中に住む人は限られているというとても狭い世界。

マリー・アントワネットは孤独だっただろう。隣など見えない、逃げるところなどない、広すぎる庭。牢獄のように思えたかもしれない。

18世紀フランスファッションといっても、記録に残っているのは宮廷人のファッションなのだ。ここに住んでいた、ごく限られた人たちの装い。

(民衆が「王妃の首を出せ」と押し掛けたことで有名なバルコニー)


他の大勢の人々の装いは、そもそも記録されてもいないのだ。

記録されないままに世を去った多くの人々のことに思いが及んだツアーでした。


生きた証を残すには、記録せよ。ですね。

パリ記録No.10 。パリ郊外のベルサイユ宮殿へ。

早朝集合だったのでルームサービスで朝食を頼んだら相当なボリューム。もう一日分のカロリーはこれで十分という勢い。


朝焼けの静かなパリの街。ツアーバスで小一時間のドライブで、ベルサイユ宮殿に向かいます。

朝9時のオープン前からすでに長い長い行列。

やっとの思いで入場できましたがどこもかなりの混雑。毎日これだけの観光客が来場すれば大きなビジネスになるのも当然。


資金力のある権力者が、とてつもなく贅を尽くした建造物や美術を造らせておくというのは、ノブレス・オブリージュでもありますね。後代にこれだけ世界中の人々に感動を与え、しかも無限に資金を回収できるのだから、この上なくすばらしい遺産といえます。


 

 

かの有名な太陽王ハイヒール脚線美の肖像画は、ここにあったのですね。本物にようやく出会えて、しばし感無量でした。


窓を開けるとどこどこまでも広い庭園。

一点の隙も無く埋め尽くされた壁面・天井。空間恐怖であるかのように細部にいたるまで贅を尽くした装飾が凝らされている。こんな空間に住んでいるからこそあの装い、あの言動があったのだな。住環境が人に及ぼす影響の大きさをあれこれ想像する。

 

鏡の回廊。ロココのあのパニエで広げた衣装でそぞろ歩きをするには、やはりこれくらいの「場」があることが大前提だったのですね。

もう広すぎて豪華すぎて情報量が多すぎて本欄では到底カバーしきれない。

(王妃の階段)

詳しい情報は、こちらのベルサイユ宮殿ホームページでご覧ください

大きな仕事を終えたあとの夕方は、「Heritage Days 文化遺産の日」オープニングナイトのVIPカクテルパーティー。ケリング本社にて。

美術品、文化遺産に囲まれてのカクテルパーティー。

グラスがまず配られて、そこにシャンパンのボトルをもったギャルソンがシャンパンを注いで回る。

(さりげないお洒落が板についているゲストの皆様)

日本と違って面白いなと思ったのは、中年以降の、面白系のギャルソンが多く、カナッペを受け取るまで笑わせてくれたり、いちいちなにか楽しいことを言ってくれたりすること。

日本だとパーティーの黒服は、「ルックスのいい若い男性」が招集されるようで、モデルのバイトであることも多いんですよね。ただ「イケメン」であることに安住しているのか、あるいはゲストと必要以上に話をすることが禁じられているのか、面白い人はあまりいないのですよね。

無表情なイケメンウエイターよりも、体型が多少くずれていようとも笑わせてくれるオジサンギャルソンのほうが、はるかに魅力的だと思います。

日本のパーティー関係者もぜひ、ご一考を。

それにしても、ゲストの方々の立ち居振る舞いのかっこいいこと。男性も女性もごく自然な振る舞いなのに目をひきつける方が多く、見とれておりました。

 

ちなみに、ここではヒール靴は履けません。ローヒールで来るようあらかじめ注意されておりました。玉じゃりを通って建物に入らなくてはならないので、ヒール靴ではムリなのですね。

 

パリの街のなかでもハイヒールは一人も見ませんでした。ごつごつの石畳にハイヒールは無理があります。スニーカーかローヒールの方ばかり見かけました。ハイヒールは外を歩くための靴ではない、と納得。

リムジンを降りてからレストランやホテルへ入るまでレッドカーペットが敷かれるのは、ハイヒールのためですね(^^;)

 

(なんだかんだと言いつつも、楽しかったです。)

 

 

ケリング本社の新社屋訪問。

アドレスは40 rue de Sevres. ここは1634年から2000年までラエネック病院として使われてきた歴史的建造物です。

フランス歴史文化財のチーフ・アーキテクトであるベンジャミン・モートンが修復プロジェクトを率いて、ルイ13世時代に建てられたチャペルなどはそのままに残しながら、現代の基準に適合したハイテクオフィスが入居できる状態に生まれ変わらせました。

病院だっただけあって、多くの種類のハーブが植えられているのですが、ミックスハーブの香りが建物内部まで漂っているのです。

(屋根の上にいるのは、「風見鶏」!)

コミュニケーションもインスピレーションもごく自然に活性化する豊かな環境。ケリングで働く人すべての名刺にはEmpowering Imaginationと書かれているのですが、それは「イマジネーションのその先へ」という意味。こんな環境であれば過去の遺産や伝統、そして自然から受けるイマジネーションも豊かになろうと思われます。

この日、今年で33回目を迎える「ヨーロッパ文化遺産の日」に合わせて、特別展示会が開催されました。ケリングのピノー会長はアートに対する関心が高く、世界中のアート作品を集めています。


上は、ダミアン・ハーストのJacob’s Ladder (2008)。3000以上の昆虫が標本にされています。同じタイプの昆虫が縦列に並んでいます。左の方へいくほど昆虫は小さくなり、まるで地から天へ続くヤコブの階段のように見える。

上はジェームズ・リー・バイヤーズによる”Byars is elephant” (1997)。

上もダミアン・ハースト。”Infinity” (2001)。 並べられる色とりどりの小さなものは、薬です。現代人の医薬への過度な信仰とは何なのか、たぶん後世の人から見るととんでもなく愚かに見えるんでしょうね。

バレンシアガの過去のコレクション映像がずらりと。

アベラールとエロイーズが実在したことを示す、聖遺物。それぞれの小指の骨と首のどこかの部分の骨。丸い白いケースに入った小さなものが骨なんです。フランスの国宝。

ほかにも多くの美術品や聖遺物などがケリングによって守られ、こうして現代の観客にも公開されているのです。


こうして日常的に新旧のアートにふれることで、インスピレーションは生まれやすくなるし、コミュニケーションも生まれやすくなります。(思わず隣にいる人と目の前の作品について語りたくなってくる)

フランスのラグジュアリーが結集する聖地といえば、ヴァンドーム広場。1805年の戦勝を記念して建てられたコラム(円柱)が建っており、帝政の象徴として賛否両論があるそうなのですが。

(左はForbes Japanの谷本さん)

この広場周辺にはフランスを代表するジュエラーすべてがあり、ラグジュアリーブランドもほぼこのあたりにそろっています。


ココ・シャネルが住んだホテル・リッツもあり、シャネルはこの広場の形状からインスパイアされてNo. 5 のボトルのデザインをディレクションしたともいわれています。

この周辺の道路沿いに、ケリングが傘下にもつラグジュリーブランドも結集しています。

グッチ。このタッキーな色柄あわせがかくも成功するとはだれが予想したでしょうか。グッチ製だといわれなければジャ〇コで売っている服に見えてもおかしくない。アレッサンドロ・ミケーレのきわどい美学。

ボッテガ・ヴェネタ。次のシーズンからデザイナーも交替し、がらりと変わる予定。

アレクサンダー・マックイーンは開店時間過ぎても開いてませんでした。ステラ・マッカートニーも同じ状況。イギリス系はあまり時間を厳守する必要はないと思っているようです。

バレンシアガ。靴とレギンスをくっつけるとか、巨大なブランドロゴを装飾にしてしまうとか、奇想天外なやり方を成功させてしまいました。店構えもほかのクラシックなブランドの店舗のなかにあって、一風変わってます。

ちなみにゴヤールは重厚なクラシック感で存在感を発揮してます。(ゴヤールはケリング傘下にはありません)

最新のコレクションを展示するブランドの店舗のあいまに、こんな歴史的な建物が出現したりして、なんとも魅力的な界隈です。

ご参考までに、ケリング傘下にあるブランドを以下に列挙します。

グッチ、ボッテガ・ベネタ、サンローラン、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ステラ・マッカートニー、クリストファー・ケイン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ジラール・ペルゴ、ユリス・ナルダン、プーマ、ヴォルコム。

25ans 10月号発売です。英国ロイヤル特集のなかで、ロイヤル・ファブ・フォーについて、編集部のスタッフとともに語り尽くしておりますよ。

期間限定(おそらく)だからいっそう輝くロイヤル・ファブ・フォー、今が絶頂だと思います。

特集では、ほかにも英王室の最新情報が写真とともに満載。英王室ファンは必見よ。

LEON×Nikkei Style Magazineの取材と撮影でした。

芝公園ザ・プリンスパークタワー東京にて。

撮影場所として使わせていただいたのは、ハーバーロイヤルスイート。

LEONのチームはノリがよくて、終始笑わせていただきました。


楽しい現場でした。左からヘアメイクの伊藤さん、ライターの持田さん、編集の清水さん、中野、編集の市村さん、そしてカメラマンの齊藤さんです。ありがとうございました! きめ細やかにご配慮くださったパークタワーのスタッフにも心より感謝申し上げます。

 

そのままパークタワーでTokyo Music Cruise 2018.
ボールルーム、メロディライン、森のチャペル、どこも満席で立ち見であふれている! 世代も若い方からご年配の方まで、それぞれのペースでライブを楽しんでいらっしゃる光景は何とも美しいものでした。(撮影不可につき、写真がなくて残念ですが、どの場所も、ミュージシャンと観客が一体になって盛り上がっています。)


そして穴場的なスポットでもある、鈴虫カフェ。


ここでは芝公園から流れてくるライブと鈴虫の音色、そしてアーティスティクな照明と線香花火の香りに包まれ、和の雰囲気のなか、おしゃれでおいしいフードとドリンクを楽しめます。


オプションで浴衣も着つけてもらえますよ。若い女性グループばかりか、男性だけのグループもいらして、ほんわかとノスタルジックな雰囲気のなかリフレッシュできました。

大人気の鈴虫カフェは、来週いっぱい、開いています。

そして今回のTMCのメイン、スカイチャペルでのミッドナイトライブ。

迫る東京タワーを真横に見ながら、アン・サリーと畠山美由紀、そして土岐麻子、という何ともゴージャスなトリオによるライブ。宿泊プラン限定なので観客もそのまま泊まっていくだけでいいというリラックスしたムード。シャンパンを飲みながら日付が変わるまで3人の歌とトークを楽しむという、ファミリーのような一体感に包まれた贅沢な時空でした。

17日、そして日付が変わった18日はそれぞれアン・サリーさんと畠山美由紀さんのバースデーということで、ホテルからゴージャスなケーキと花束がサプライズでプレゼントされました!

先ほど森のチャペルでライブをしていた澤田かおりさんも実はお誕生日で、かおりさんにもスペシャルケーキが。なんとトリプルバースデーだったのですね。パークタワーのパティシエさんたち、がんばりましたよね(^^;)

翌朝の芝公園も晴れ渡って、まだ暑いとはいえ、秋を感じさせる風が心地よい。

(A room with a view of Tokyo Tower, Shiba-Park, Skytree, etc.)

ザ・プリンスパークタワー東京は改装後の部屋が快適で洗練されており、非日常空間ながらゆったりと寛げるばかりか、クラブラウンジの朝食は、極上です。えり抜きの素材と丁寧に作られた料理が、最適のバランスで並べられたブッフェです。

ここはよい「気」が流れており、来るたびに浄化されるような感覚を味わえます。

 

 

Tokyo Music Cruise は本日18日もやってますよ。午後2時オープンからミッドナイトまで、大勢のアーティストが登場します。今日のミッドナイトはジルデコイと澤田かおり、そしてミズノマリです。こちらもガールズトークが楽しそう。(うかがえないのが残念です)

ライブトークでは、話題を作り込まず、その場を楽しんでいるありのままの自分自身から出てくる言葉が観客との一体感を作るんだということも、あらためて学ばせていただきました。

 

 

銀座4丁目のミキモト本店7階にあるミキモトホールで、「Feel The Pearl 感じるパール展」開催中です。

パールができるまでの、真珠と母貝のヒストリー。御木本幸吉さんのことも学べるよ。

パールが育つ海にヴァーチャルトリップできるVR体験コーナー。

これは楽しい!360度、自然の風景や養殖場の光景を、臨場感たっぷりに楽しめますよ。

東京大学三崎臨海実験所の資料。

そしてミキモトの歴史、いや真珠の歴史に残りそうな、圧巻のパールジュエリーの数々。

全面、鏡張りになっているので、無限にパールがきらめいている空間に迷い込んだような錯覚をおぼえます。

なんと入場無料。お子さまの夏休みのプチ研究にもお勧めです。日本が世界に誇る養殖真珠はいったいどうやって作られるのか? 楽しみながら学んでおきたいですよね。

Feel The Pearl 展は、9月5日まで。

 

今年もやってきますよTokyo Music Cruise の季節が。

8月17日(金)、18日(土)の2日間、ザ・プリンスパークタワー東京で繰り広げられる大人の音楽フェス。


混雑した野外で立ちっぱなしで音楽で盛り上がるのも楽しいのかもしれないのですが、すみません、私には無理です……。涼しいホテルの中で、シャンパンを飲みながらゆったりとあれこれ聴くことができるというのが最高です。

とはいえこのイベントは室内着席ばかりじゃなく、屋外の芝公園でのライブもあり、スタンディング席もあり、自由にお好きな楽しみ方ができます。まさに大人の音楽フェス。

お目当てのアーチストの時間にいくもよし、ふらりと入って予想外の出会いを果たすもよし。真夜中のライブが楽しめる宿泊プランもありますよ。

私も、去年とても楽しかったので今年も参ります。どこかの会場で見かけたらお声かけてね。

 

詳細はこちらから。

株式会社ヒロココシノ、ニッコー株式会社、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のスタイリッシュなコラボレーションが実現しました。

近年はアーティストとしても活躍の場を広げているコシノヒロコさんデザインの食器「墨の瞬(すみのとき)」と和食のコラボレーションによる「SUSHI KAISEKI “墨の瞬間”」が、6月29日(金)~9月30日(日)までお楽しみいただけます。ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町「WASHOKU 蒼天」にて。

昨夜はそのお披露目の会がおこなわれました。


コシノヒロコさんによるアートは食器にとどまらず、のれん、絵画、ナプキンなどにいたるまで取り入れられており、鮨カウンターもがらりとアートな空間に変貌しています。

夜景を背景に飾られるこの日本酒たちもいつにもましてモダンに見えます。



SUSHI KAISEKIは、お造りから壺焼き、握り寿司、最中寿司(←楽しく絶品!)、竹皮寿司、デザートにいたるまで計7種のお料理のコースで、それぞれに合うお酒7種~9種をペアリングすることもできます。

 

 


パーティーは、コシノさん、ニッコー社長の三谷明子さんによるご挨拶、そしてザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町支配人の大森伸翁さんによる乾杯の音頭で開始。


ギャラリー自慢の見た目にも美しく美味しいお料理。

お酒のラインナップもすばらしく。いわば異業種に近い3社の関係者が集まりましたが、とてもオープンな雰囲気であちこちで新しいご縁が生まれ、盛会のうちに終了。


中締めのご挨拶は、プリンスホテル東京シティエリア統括総支配人の武井久昌さん。写真左から、三谷さん、コシノさん、武井さん。


驚いたのは、金沢に本社をもつニッコー株式会社社長の三谷明子さんが富山中部高校の同窓生であったこと! 世界は狭いですね。

 



コラボレーションのテーブルウエアは、プリンスギャラリーのホテルショップでも購入できます。このショップは、厳選された日本のアイテムが揃い、外国人にも大人気のホテルゆかたやオリジナルアロマ、ケーキも扱っています。


レヴィータでスタッフおつかれさま会。この日はほぼ満月で、レヴィータの華やぎもひとしお。

 

<追記>

その後、ニッコー社長の三谷さんとやりとりをして明らかになったことですが、三谷社長の弟さんは私とは中部高校33回という同期で、日医工社長の田村友一さんとのこと。日医工には10年ほど前ですが講演にお招きいただいたこともあります。姉弟で優秀な経営者でいらっしゃるのですね。

横浜美術館「NUDE」展。

コンテスサロンにも来てくださった、パトロンアートプロジェクト主宰の菊池麻衣子さんにお誘いいただき、鑑賞しにいきました。

今月24日で終了なので、ぎりぎり間に合った。いやそもそも、NUDE展にちなんだUOMOの特集記事で「人はなぜ服を着るのか」とか語っておきながら行っていなかったというのはどうなんだ。笑。



平日の日中なのに大盛況。とくに写真撮影可のロダンの彫刻の周囲は混雑。男性のほうの筋肉の作り込みの迫力ときたら。女性の背中は意外にあっさり作ってあり、作者は男の人が好きなんだなというのがよくわかる。


この部屋は周辺に飾ってあるピカソのモノクロの絵なども楽しかった。

日頃は服を着た人のアートや写真を見るのが仕事であったりもしますが、ヌードは着衣姿と同様に、時に着衣姿以上に饒舌ですね。

麻衣子さんと互いの知識をああだこうだと交換しながら鑑賞するのはとても楽しく勉強になりました。議論しながら見ると、一点、一点のアートも印象に残りやすいですね。ありがとうございました!

The Undressed is vulgar — The Nude is pure. (By Robert Green)

 

The Exhibition of Demi-Deconstruction, produced by Akira Hasegawa,  is approaching.

Akira Hasegawa, an independent modelist still in his 20’s, dared to decompose the precious vintage clothes from the era of French Revolution to World War II.

As far as I know as a fashion historian, no historian in the world could ever put the scissors into such historical treasures.  Cannot imagine at all. But Mr. Hasegawa, who is also a brave researcher-creator and so keen to know the internal structure of the beautiful vintage clothes, did such an audacious folly.

Yes, a folly. But how academic and original folly it is.  He learned a lot of techniques from the decomposed clothes and will share all the excitement he has got from the process of unprecedented deconstruction.

The theme of the exhibition is “bodily sensation”, you can know the internal structure and pattern design of clothes 100 to 200 years ago by touching the exhibits directly.

In addition,  Mr. Hasegawa created the “trial fitting samples” which pulled out the pattern from the disassembled parts.  Such special samples are also exhibited and you can actually wear them all.

Please do not miss this extraordinary occasion and share the excitement with us.

Please apply for our talk session (Akira Hasegawa × Kaori Nakano) from here;

We look forward to seeing you soon.

 (This photo is from the Exhibition of Demi-Deconstruction 2016)

2014年、2015年ごろのリシェスの連載を中心に、新しくpdf化したアーカイブ記事です。なぜだか「magazine」欄のタイトルからpdfに飛べなくなってしまったので、問い合わせ中です。まずはこちらにまとめてアップしておきます。

富裕層向けの雑誌なので、内容も浮世離れしておりますね。

お時間のゆるすときあれば、ご笑覧ください。

 

 

<連載:リシェス・オブリージュ 富の品格>

リシェス創刊号からの巻頭連載です。

第1回 富の品格

第2回 富裕層とエリート教育

第3回 ファーストレディの責務と愛

第4回 音楽とチャリティ

第5回 『富と名声』が向き合う環境問題

第6回 ブランドによる伝統技術の保護

第7回 人々の幸福と植物

第8回 スポーツを取り巻く支援

第9回 未知を求めた旅の果て

第10回 人は、与えるものによって人生を作る

 

<連載: 世界のソーシャルカレンダー>

世界の富裕層はこういうカレンダーに沿って地球を移動しているというお話です。

2015 spring 国際会議

2015 summer リゾート

2015 autumn 

2016 winter ファッションとアート

 

(こちらはリシェスではありませんが、ホワイトハウスコックスのファンブックに寄稿した記事)

・2016年11月16日 「ジェントルマンと馬とブライドルレザー」(Begin編集部特別編集 Whitehouse Cox Fan Book、世界文化社)

藤巻百貨店プロデュース、過去最大級の江戸切子展が、いよいよ今日から3日間、開催されます。

銀座東急プラザ キリコラウンジにて。

匠の技のバリエーションを間近に体感できるまたとない機会。切子で日本酒も楽しめますよ。

ラリックを思わせるこの作品も、江戸切子。ウェブ投票でも人気のあった作品のひとつ。色を合わせるのがなかなか大変なのだそうです。価格もびっくりですが、それだけの価値あるものなんですね。ぜひ会場でご覧ください。

切子をイメージして作られたキリコラウンジも一見の価値あり。

 

藤巻百貨店プロデュース、日本最大級の江戸切子の祭典、江戸切子桜祭り2018年。4月6日~8日に東急プラザ銀座キリコラウンジで開催される新作展に先立ち、みなさまもウェブ投票を通してお祭りに関わっていただけるようになりました。

こちらからどうぞご参加ください。みごとなカットグラスの数々。写真だけではなかなかその迫力が伝わりにくいのですが。

私も特別審査員として1,2,3位の3点を選ばせていただきました。

 

当日は江戸切子で日本酒も飲めるそうです。なんと贅沢な? 会場でお会いしたら乾杯しましょう。

 

 

 

 

 

「UOMO」4月号も発売です。

横浜美術館での展覧会「ヌード 英国テート・コレクションより」にちなみ、ヌード特集が組まれています。

そのなかで、「人はなぜ、服を着るのか?」について語っております。ライターの方がまとめてくださいました。中野京子さんやみうらじゅんさん、篠山紀信さんも独自のヌード論を語っていらっしゃいますよ。本誌をぜひ手に取ってご覧くださいね。

この特集は写真がヌードアートだらけのためか、dマガジンでは読めません。本誌のみです。

(click to amazon)

To those who are sensitive about the issue of “Cultural Appropriation”

This video is about the “Cultural Appropriation” , produced by a student who studies design at Kyushu University, Japan.  Prof. Shaun O’dwyer at Kyushu Univ. (my former colleague) sent this to me via Facebook.  The student drew all the graphics by herself.  The controversial theme is discussed from both negative and positive sides, and eventually encourage you to feel more free to share our Japanese culture. I quite agree with her.

 

Ms. Karlie Kloss, you did not have to apologize for wearing kimono in Vogue!  At least we Japanese did not take it as offensive to our culture.


(We all felt confused why Karlie had to be so severely criticized.)

 

 

By the way, I was moved by the style of presentation. I think I can call this a kind of millennial style of academic presentation.  If you Americans cannot read written Japanese, you can watch and share the video.  Even if it might be a little immature, I love it.

 

六本木ヒルズでのブルガリ展。遅まきながら鑑賞しました。


天空に浮かんで見える、歴代美女とセルペンティの写真。夜に眺めたらそれこそ「スター」に見えるんだろうなあ。

さまざまなアーティストによる、ヘビをモチーフとした作品。

ヘビをかたどったオブジェの数々も。こちらはニキ・ド・サンファルの作品。


そしてメインがこちら。ブルガリの歴代セルペンティシリーズの展示。ガラスケース越しとはいえ、至近距離でじっくり鑑賞できます。


一歩、まちがえるとブキミなネックレスですよねえ…。でもぎりぎりのところで美しいのです。あとはつける人の迫力次第でいかようにも見える、というのがセルペンティシリーズの魅力でもあります。

ヘビの頭を留め金に使った、セルペンティシリーズのバッグも。

ブルガリ展は12月25日までです。Hills Lifeに寄稿したエッセイ「ヘビのようにタフに賢くサバイブせよ」もご笑覧いただければ幸いです。

 

 

同時開催中のレアンドロ・エルリッヒも大賑わい。お約束の窓は大混雑。

屋上スカイデッキにも久しぶりに上ってみました。雲一つない青空が広がる、平和な東京。奇跡のような光景は、かえって、日本各地で取り残されている地域の人々の苦難、地球各地で起きている不条理な惨状を思い出させます。表面的で局地な平和に驕らず惑わされず、苦しみや悲しみに心を寄せ続けられる人間でありたい。自分自身が苦境にあると、人の悲しみに共感しやすくなり、人間としてはかえってよいことなのかもしれないとも思う。

 

 

Van Cleef & Arpels バレエプレシューのコレクションにちなんだ、バレリーナによる朗読とマイムを交えたサロン形式の発表会。銀座ヴァンクリーフ本店にて。
(上はシルフィード バレリーナクリップ)


バレエプレシュー(Ballet Precieux)は、ヴァンクリーフ&アーペルを象徴するハイジュエリーのコレクションのひとつ。初めてバレリーナクリップが制作されたのは1940年代だそうですが、1967年に振付師ジョージ・バランシンとクロード・アーペルが出会ったことで「ジュエルズ」が誕生。

(コール・ド・バレエ ネックレス。中央のブルーサファイアの中にバレリーナが)

2007年には「ジュエルズ」の40周年を祝し、バレエプレシュー ハイジュエリーコレクションを発表。さらに、2013年には「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などのロシアバレエを讃える傑作が加わります。


(これは金平糖の精のクリップ)

バレエの芸術性とヴァンクリーフの創造性&超絶技巧が加わった、比類ないコレクションなのです。至近距離から眺めると、360度、どころか内側まで、一切、隙のない、ため息もののアートピースであることがわかります。

今回の発表会では、新国立劇場バレエ団を代表するお二人のバレリーナが、「いばら姫」(眠れる森の美女ですね)の一部を朗読し、そのシーンをマイムで表現するという贅沢なプレゼンテーションを楽しませていただきました。

左がプリンシパルの米沢唯さん。右がソリストの木村優里さん。


お二人とも凛として立ち姿が清らかに美しく、うっとりするほどの表現力でした。短い時間とはいえ、一流バレリーナのパフォーマンスを間近で拝見できて、心の栄養をいただいた気分です。バレリーナはとりわけ首の緊張感が美しいのだわ、とあらためて実感。長い長い首、のように見せる肩から背中のラインが隠れたポイントなんですね。

バレリーナクリップそのままのポーズもとっていただきました。指先から視線にいたるまで、完璧です。

お二人それぞれがバレリーナクリップの魅力を語ってくださいましたが、その言葉にも納得。踊る人だからこそわかる点に気づかせていただきました。

お土産にいただいたのは、美しいフラワーボックスでした。開けるとふわっとよい香りがしました。ヴァンクリーフ&アーペルのスタッフのみなさま、素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました。

銀座はクリスマスの装飾で華やか。山野楽器のビル前のクリスマスツリー。

12日、13日に、ザ・プリンス パークタワー東京にて、Tokyo Music Cruise 2017が行われました。

             (芝公園エリアにそびえたつパークタワー東京)

バンケットルーム、チャペル、屋外庭園などホテル内各所を会場としてライブを展開する、大人の音楽フェス。

各日、午後3時からミッドナイトまで、1グループおよそ40分くらいの持ち時間で、入れ替わり立ち代わり、さまざまなジャンルのライブを演奏する。

「大人の」とはすなわち、「座れる」ということでもあるのですが(←これ重要。笑)。ゆったりと座って、シャンパンを飲みながらライブを楽しむ、これがよいのですね。

初日夜の、ISEKI with JUNK FUJIYAMA、鳥山雄司&BENI、二日目のNAO Yoshioka、そしてUnlimitid tone (guest 澤田かおり)のライブに参加しました。

立ち見のお客様もいて、親密な空間のなかに心地よい熱気があふれ、なんとも楽しい時間を過ごしました。それぞれにカラーが異なり、個性的でレベルの高いパフォーマンスだったのですが、とりわけUnlimitied toneが醸し出す空気感にはやられました。平成男子の作り込まないファッション、素直に感情を吐露する歌詞も好感度高い。撮影禁止だったので写真がなくて残念ですが、2017年夏の記憶として心の中にずっと焼きつきそうです。それにしても「チェンジ」とか「自分から変わろう」みたいなことを歌っているシンガーが多いことに気づく。「そのままずっと」じゃダメなんですね、今は。

今年で3回目、着実にファンも増やしているとのことですが、来年もぜひ伺いたいと思わされました。

ライブを口実にパークタワーに宿泊。なのにシャンパン飲み過ぎと前日までの寝不足がたたってミッドナイトライブ中は爆睡してしまったという情けなさ……。

土曜日のライブということもあってほぼ満室で、希望のタイプの部屋がなく、幸運にもプリンススイートに格上げしていただきました。


113㎡、バーカウンターまである広々とした素敵なお部屋でした。

このホテルは今、順次、内装の改装を進めています。上のプリンススイートは改装前で、シャンデリアまでがリッチ感を添える、20世紀的な美しさにあふれる空間なのですが(これはこれで好きです)、よい機会なので、改装後のお部屋も見学させていただきました。

改装後はこんな都会的な質感になっています。ツインルームです。


(たんすのように見えますが、中には冷蔵庫や食器やお茶セットなどが。覆い隠すだけでホテルの無機質な印象は薄まり、温かみのある空気が生まれます)




インテリアデザイナーは、エービーコンセプトのエド・グ(ED NG)氏。シックなブラウンを基調としながら、ブルーが随所に使われていて、なんというか、21世紀的なラグジュアリーを感じさせてくれる空間になっています。同じホテル内でありながら、インテリアでかくも印象が違ってくるとは。改装後のフロアは、廊下のカーペットもスタイリッシュです。

クラブラウンジでは朝から夜までほぼ終日、時間帯に応じたリフレッシュメントが用意されています。東京タワーの絶景を活かすために、インテリアの枠には赤が効果的に使われています。スタッフの制服もかわいいのですが、デザイナーはアートマージナルのミネオマサル氏。


このエリアは周辺の散策も気持ちがいいですね。東京タワーと増上寺。


こちらは重要文化財である旧台徳院霊廟惣門。左右に立つのは木造仁王像で、港区指定有形文化財になっています。

このあたり一帯をパワースポットと呼ぶ人がいることにも納得。歴史の重みと緑の量感が都会的に溶け合う場所。

 

 

 

フェラガモミュージアム。

フィレンツェにおけるフェラガモの影響力の大きさはいたるところで感じる。フェラガモが経営するホテルが数件、レストラン、ワイン、ファッション、などなど。

この建物はフェラガモが買い取ったもので、本社オフィスも美術館もこの建物のなかにある。

美術館のテーマは随時変わる。今回は1927年。これはフェラガモがアメリカからイタリアに帰国した記念すべき年。船での帰還なので、展示においても航海がイメージされている。


靴がみんな小さい…。足が小さかったのだろうか。



20年代といえば、このシルエットですね。頭はボンネット、ストンとしたギャルソンヌスタイル。


当時のセレブリティたち。

フェラガモのほか、今回は時間がなくて観られなかったのですがグッチも展覧会をおこなっている。そもそも町中が芸術的な雰囲気。


コーディネーターMayumiさんのパートナーが勤務するホテル、Tornabuoni Beacci のテラスで少し休憩。ここがもうなんとも雰囲気のある素敵なホテルでした。イタリア名をもつ日本のジャーナリストも常宿にしていらっしゃるとのこと。


世俗の時間の流れが感じられない、別世界。


少し英気を養ったその後、某ブランドのファッションショーを見るために、酷暑のなかシャトルバスでレオポルダ駅まで。レオポルダ駅といっても電車が止まるわけではなく、上の写真ですが、中も格納庫のようで、歴史的な建造物らしい。(こちらのショーに関しては、座席の割り当てられ方において運に恵まれず、よく見えなかったのでコメントを控えることにしました……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日の最後は、ヴィクトリア&アルバート美術館で開催されているバレンシアガ展。

ここはケンブリッジ時代にも、週末にロンドンに来るたびに通った大好きな美術館。


外側は当時のままで懐かしい、ところが、中は大胆に変貌している。そこがいかにもイギリスらしい。
バレンシアガ展はすばらしかった。すべて撮影可能というのもこの美術館のいいところ。撮影されたものが出回ると人が来なくなるので撮影不可にする、というのは主催者側の大きな勘違いです。写真が出回れば出回るほど、人は「本物」を見に来るんです。フラッシュさえ禁止にすれば、来場者に写真撮影を許可するのは、来場者を増やしたければ、メリットになるはず。

詳細に関しては、また機会をあらためて書きます。


次回はピンク・フロイド展ですって! これを見るためにまたロンドンに来なければ!と思わせるクールな「次回予告」。

 

最後のディナーは、ピカデリーのThe Wolseley で。



やはり王道をいくスコッティシュ・サーモン。鱒ずしと錯覚しそうなシンプルなレイアウト。

とても天井が高く、開放的なムードで、好みのど真ん中でした。

(くどいですが)私は小食で、雰囲気のよい店で正統派の(凝りすぎていない)料理を2品ほど食べてシャンパンとワインを1~2杯いただければそれで大満足、デザートも不要という単純なタイプです。そういうタイプにはこの店は気楽なのにリッチな気分を味わえて最高でした。味にうるさい人はまた違う意見かもしれません。

食事が終わる頃、ロンドン在住のソーシャライトで25ansブロガーでもあるSatoko Matsudaさんがご主人さま(←とても優しくて奥様思い♡)とともに合流してくださって、コペンハーゲンファッションサミットの資料をお持ちくださいました。ひととき、ロンドン社交界のお話で盛り上がり、楽しいひと時を過ごさせていただきました。ありがとうございました!

かくしてロンドン取材は無事に終了。終始、晴天に恵まれたのは幸いでした。予定していたショーが見られなかったなどのハプニングもありましたが、予想外の収穫も多々ありました。今回の成果は後日、順に記事になる予定です。どうぞお楽しみに。

疲労も極限にきていて、このあたりで東京に戻りたいのはやまやまですが、取材はもうひと山分残っています。そのままフィレンツェに向かいます。

 

日曜。ホワイトオムレツに懲りたので、朝食はイングリッシュブレックファストにしてみました。これで一人分…。小食なのですべて少量でお願いしますといってこの分量。マッシュルームが巨大すぎて怖い。甘いペストリーが山盛りに(トーストを選ばなかったためではありますが)。ベリーミックスにも焼き物のプレートにもエディブルフラワー(食べられる花)が散らしてある。贅沢な不満だとはわかっているのですが、この巨大な量、むだなおしゃれ演出に、そろそろ泣きたくなってきました……。

さて、気をとり直して朝11時スタートだったはずのアストリッド・アンダーソンのショーに行こうとしたら、直前にスケジュール変更があり、10時にスタートしており、見逃してしまう羽目に。

さらに気を取り直し、ロンドンのキングズカレッジ内で行われていたDanshanのインスタレーションに。ぷちぷちで作られたトラウザーズが目をひく。


でもこれだけ!?

不完全燃焼感が残り、隣接するコートールド・インスティテュートで、印象派展を開催していたので、こちらで気持ちを持ちなおすことにする。ファッション展がしばしばおこなわれている館内でもあるので、それを見ておくためにも、というわけで。


麗しき天井画。

ピアノのふたにもアート。


天井画、シャンデリア、宗教画、暖炉、カーペットというのは、この種の「カルチュア&ヒストリー」の迫力で威圧するための必須アイテムと見えました。


館内のカフェから眺める広々とした中庭。ここでもしばしばファッションショーが行われるそうです。メイン会場の隣とは信じられないほどのゆったりとした時間が流れていて、休憩中のファッションジャーナリストやブロガーらがコーヒーを飲みながら談笑している。イギリスでは紅茶、というのは昔のステレオタイプ。時間が止まってほしいくらいの平和で豊かな光景。

京都国立近代美術館で行われているヴァンクリーフ&アーペル展。土曜日には、CEOのニコラ・ボス氏と、建築家の藤本壮介氏のレクチャーを聞きにいってまいりました。

インスピレーションに満ちたすばらしいお話と、極められた技の前にひれ伏したくなるほどの圧倒的な展示。

 

フェアファクスブログに書きました。その1、です。お時間のゆるすときがあればご笑覧くださいませ。

 

そういえば、ちょうど去年の今頃、ポール・スミス展の関連講演で、この美術館のこの場所で話していたなあ。こうしてわざわざ東京から京都までレクチャーのために出かけるというマニアな聴き手になってみると、どのように聴き手にサービスすべきなのかが、はっきりとわかってくる…。

 


知人らが口をそろえて「見ておかないと絶対損をする」と勧めるミュシャ展、駆け込みで見に行きました。平日の午後4時すぎで入場まで40分待ち、中に入ったら人の波。

その人気も納得の、けたはずれのスケールの絵の数々。悲惨で絶望的な状況を描く絵も光の描写のなかにどこか宗教的な救いを感じさせ、画家の心の中に渦巻く感情をほんの少しでも追体験できたような経験でした。

それにしてもあの巨大なサイズの絵はどのように運んできたのか?船舶でしょうか。もう二度とこのような展覧会はできないのでは。行ってほんとうによかった。


撮影可能スペースの絵は、他の絵に比べて優しく穏やかな絵でした。


穏やかとはいえ崇高な思いがあふれてくる迫力の絵。写真ではとうてい伝わらないのですが。


撮影する人、人、人……。

 

その後、渋谷のbed というレストランで早目の誕生日祝いをしていただきました。渋谷には大人がゆっくり食事ができるレストランが少ないのですが、ここは超穴場。カウンターをはさんだ目の前で、その折々に入荷した新鮮な素材をすばやく調理して出してくれます。食器はすべて特注の伊万里焼だそうです。

新鮮な太刀魚とアスパラを極上のオリーブオイルだけでフリットにした逸品。
ワインの種類も多く、くつろぎながら満足感のあるディナーを楽しませていただきました。


ソムリエ(左)とシェフ(右)。ありがとうございました。


感謝。まさかのこの歳になってキャリアの大きな変わり目を迎えておりますが、離れるのもご縁であればつながるのもまたご縁、いったん離れてもまたどこかでつながることもあるでしょう。一瞬一瞬の選択が確かなものになるよう、日々を深く味わって過ごしていこうと思います。

遅まきながらようやく伺うことができました。横浜美術館での「ファッションとアート 麗しき東西交流展」。

絵画から陶器、アクセサリー、衣装、小物、家具、カトラリー、テキスタイルなど211点。発見の多い展覧会で、やはり写真では伝わらない本物の迫力のオーラを全身で浴びました。19世紀のヨーロッパに日本のキモノが与えた影響は、想像していた以上のものだったように思います。


写真撮影可能なコーナーはほんの一角ですが。


ついでに家族サービス。ファミリーで泊まるにはここの適度なゆるさがいい感じなのです。眺望最高なこちらのバスルームには癒されます。


潮風も心地よく、陽ざしも快適で、花も緑も美しいベストシーズンですね。

この春にぜひ観たい美術展のご紹介です。

「ファッションとアート 麗しき東西交流展 The Elegant Other: Cross-cultural Encounters in Fashion and Art」。4月15日(土)-6月25日(日)、横浜美術館にて。

「文化の盗用(Cultural Appropriation )」論争。これについては本ブログでもたびたび話題にしておりますが、この展覧会を見て、あらためて考えてみたいものです。あれは、長い間、人種差別が問題になり続けてきたアメリカだからこそ神経質にならざるをえない、複雑な多様性をもつ文化に生じる問題。マジョリティ(上)のマイノリティ(下)に対する差別が続いてきた歴史をもつ文化において生じる問題。

植民地支配を受けなかった日本人にとっては、やはり、日本と西洋は、「上」や「下」の意識なく、互いに相手の「麗しき」ところを取り入れあうことによって双方の文化をダイナミックに発展させてきた……と見るのが、妥当のように思えます。

(もちろん、日本文化においても、「マイノリティ」である人が少しでも「差別を受けた」と感じることがあるならば、表層は違っても根は同じという「文化の盗用」問題が起きる可能性があるわけですが。)

 

論争はいったんさておき。横浜美術館で開催されるこの展覧会は、19世紀後半から20世紀前半のファッションと美術に焦点を当て、横浜を拠点の一つとする東西の文化交流が人々の生活や美意識に及ぼした影響を紹介します。

京都服飾文化研究財団所蔵のドレスや服飾品、約100点を中心に、国内外の美術館や個人が所蔵する服飾品、工芸品、絵画、写真など、約200点が展示されます。そのリストのなかには、明治期の洋装の最高峰、昭憲皇太后の大礼服もあります。これはワクワク、今から楽しみですね。

2_昭憲皇太后着用大礼服

(「昭憲皇太后着用大礼服(マントー・ド・クール)」 1910年頃(明治末期) 共立女子大学博物館蔵)


(飯田髙島屋
「室内着」 1905(明39)年頃 京都服飾文化研究財団蔵 操上和美撮影)

そうそう、着物は当初、「室内着(roomwear)」として西洋で広まったんですよね。「誤用」もいいところ。その誤用こそが、西洋ファッションからコルセットを追い払い、西洋におけるモダン・ファッションを促したのですから、「盗用」「誤用」は文化のダイナミズムにとって大きな刺激になるのですね。

(月岡(大蘇)芳年 「風俗三十二相 遊歩がしたさう 明治年間 妻君之風俗」 1888(明治21)年 京都服飾文化研究財団蔵)

浮世絵が描く洋装のご婦人。なんともロマンティックで素敵ではないですか? この絵、好きだわ♡

 

(ジュール=ジョゼフ・ルフェーヴル (「ジャポネーズ(扇のことば)」 1882年 クライスラー美術館蔵 Gift of Walter P. Chrysler, Jr.)

白人が日本の着物を大胆なアレンジで着るこの絵なんて、今だったら「盗用」として炎上するところですよね。

 

「文化の盗用」にぴりぴりするこの時代だからこそいっそう、東西文化交流の成果を豊かな形で世に問うこの展覧会が、雄弁に語りかけてくれるでしょう。

この展覧会にあわせて、講演会などさまざまな催しもおこなわれます。詳細は、横浜美術館ホームページにてご確認ください。。

このチケットを、横浜美術館のご厚意により、5組10名の方にプレゼントします。ご希望の方は、コメント欄でお知らせください。3月17日(金)に締め切り、抽選のうえ、5名の方にチケットを郵送します。

(コメント欄は承認制なので、ご応募に関するコメント・情報は公開しません。ご応募はニックネームで結構です。メールアドレスのみお知らせください。当選者にはこちらからメールアドレスにご連絡します。お送りいただいた個人情報は、本件の連絡のみに用いた後、消去します。)

☆一連の「文化の盗用」問題の発端になった、ボストン美術館キモノウェンズデーに関する私の記事はこちらです。

☆上の記事の英語バージョンはこちらです。English version of my opinion about cultural appropriation.

☆カーリー・クロスがヴォーグで「芸者」風の撮影に協力したことで謝罪においこまれた事件に関して書いた記事はこちらに。

3日(土)昼は、横浜の山手にあるイギリス館で、ヴィクトリアン・クリスマスの講座を受けてきました。

12-3-2016-8
イギリス館の前には、ロンドンタクシーが。現在はロンドンタクシーの製造が中国に移ったとのこと。この車はまだその前のもの。所有者は、下の写真の、この日の講師、土橋先生。

12-3-2016-5

ヴィクトリア時代のクリスマスがいかようであったか?をあらゆる面から語る講師は鎌倉アンティークスの土橋先生。まったく知らなかった情報のオンパレードで、目からうろこが落ちまくるとはこのこと……。インテリアやアンティーク、料理や音楽から見たイギリス文化は、また奥行きがあって面白い。いやもう、どれだけ勉強しても知らないことがあるというのは、おそろしくて、とてもうれしいことでもありますね。

以下、学んだことのランダムなメモです。

・ヴィンテージ、アンティーク、ピリオド、この各違い。
・Whatnot, Loo Table, Sotherland Table, Canterbury の実際の形
・Clockの大きさの違いによる呼称
・ウレタン塗装(現代)とシェラック塗装の違い。
・シェラック塗装はなぜアンティークになりうるのか。
・シルバープレート(銀メッキ)は1850年以降
・ツリー売りの掛け声
・暖炉への装飾、シャンデリアの装飾、壁の装飾
・クリストリウム(写真画)
・宗教画、肖像画から風景画へとステイタスが変わったのは、ターナーとコンスタブルのおかげ
・マホガニー、ローズウッドという輸入材の力
・和室に掛け軸、洋室に油絵
・照明は上、中、下に
・ポッシュ感を出すには本も重要。ライブラリは富の象徴。「本を貸そうか?」(=本は所有しているけど読んでないのが地主階級)
・オフィクレイド(楽器)
・ジョン・ブロードウッド・サンズ 英国王室御用達のピアノ ダイアナ妃の伝記映画では、日本人に理解されないので、このピアノとわかる重要な部分がカットされていた。
・Dennis Servers’ House ジョージアン・スタイルの家 見学可能! イギリスが好きすぎるアメリカ人が購入
・Drawing Room とは引き込む部屋であること。

12-3-2016-12
・イギリス館の各部屋が、ヴィクトリアン・クリスマス仕様に飾りつけられていてうっとり。

12-3-2016-9ご参考までに「イギリス館」とは。

昭和12年に、上海の大英工部総署の設計により英国総領事公邸として建てられました。「港の見える丘公園」内にあり、高台で、訪れるにはちょっと不便です(私は桜木町の駅からタクシーで行きましたが、バスもあるようですす)。鉄筋コンクリート2階建てで、階段にはカーペットが敷かれております。玄関脇にはめ込まれた王冠入りの銘版(ジョージVI世時代)や、正面脇の銅板から、旧英国総領事公邸であったことがしのばれます。

昭和44年に横浜市が取得。1階ホールはコンサートなどに、2階集会室は会議などに利用されているそうです。また、平成14年からは2階の展示室と復元された寝室を一般公開しているとのことで、今回は2階の各部屋が、鎌倉アンティークスさんによりクリスマス仕様のデコレーションを施されております。

あと一週間、この優雅な飾りつけが見られます。ぜひに。

*実はこの話題はほかのサイトの連載ブログで書こうと思っていたのですが、じっくり座る暇がないほど仕事が多いうえにまた知恵熱?が出てダウンしたのであきらめました。メモ程度の中途半端な段階ですが、ぜひともイギリス館をご覧いただきたいので、中途半端なまま、こちらで公開することにしました(遅い!って)。
「ナウのれん」裏ルポは、私がダウンしていても自動的に公開されます。どうぞお楽しみに。

 

 

反田恭平&バティストーニ指揮の東京フィルによるラフマニノフ。私なんかが自主的に宣伝しなくても勝手にベストセラーになっているわけですが、やはり何度聞いても力強くて好き。

パガニーニの狂詩曲は講演のときのBGMにしているし、ピアノコンツェルトNo.2はおそらく生涯でいちばんたくさん聴いているクラシック。脳内を現実から引きはなし、ロマンティックに変換するときの必需曲です。ソリタ&バッティによるラフマニノフは、やや現実味も残す、パワフルなロマンティック、というイメージ。ロンドンフィルのような華やかさ全開もいいけど、これもまた良い感じ。

必勝曲が揃ったこのCDは、2016-17AWシーズンのテーマ曲にさせていただいています。現実の生活が殺伐としてくると、脳内がバランスをとるかのようにこういう方向を求めるようですね。

 

(Click to Amazon)

京都国立近代美術館で開催中の「ポール・スミス」展記念シンポジウム「メンズファッションの歴史と現在」。昨日、盛況のうちに終了しました。FullSizeRender (101)

14時開始のシンポジウムでしたが、11時から整理券が配布され、15分ほどで100名様分の整理券が終了してしまったそうです。これは主催者側も予想外だったとのこと。

早くからお並びいただき、ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました。入場できなかった方々、ほんとうに申し訳ありませんでした。FullSizeRender (103)

客席の熱気と真剣な緊張感にやや気圧され、いつになくあがってしまい、伝えたいことを(わりあてられた時間のわりに)詰め込みすぎたこともあり、自分としては反省点も多々でした。情報が少なすぎるよりもたっぷりのほうがいいだろう、という発想からはなかなか抜け出せません…。次への課題です。

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とはいえ、モデレーターのクールな蘆田裕史さん、クレバーな百々徹さんのおかげで、内容の濃い、刺激に満ちた有意義な時間となりました。とくに、百々さんの、「日本人とポールスミス」の話は興味深く、日本人にとってのスーツを考えるための新しい視点を与えていただいたように思います。

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左が百々さん、右が蘆田さんです。展覧会の最初に登場するバイクの前で記念写真。シンポジウム終了後も、楽屋でメンズファッションの話で盛り上がり続けておりました。

最後に客席から受けた質問のなかに「メンズファッションを学び続けるための心意気はなんですか?」というものがあり、意表をつかれました。「モチベーション」じゃなく「心意気」。いい言葉ですね。たしかに、なにごとにおいても。

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最後は 決めポーズで展覧会の宣伝(笑)。この日は展覧会のテーマカラーと同じピンクのジャケットを着ていきました。写真では見えませんが、百々さんの靴下はポールスミス風ストライプだそうです。入場者も日々記録を更新とのこと。東京では今月下旬から始まります。

ちょっと時間が経ってしまい、恐縮です。大阪のトークショーから一日おいて再び関西へ。3日、京都国立近代美術館で4日より開催されているポール・スミス展の開会式&内覧会にお招きいただきました。FullSizeRender (4)

ちょっと時間が経ってしまい、恐縮です。大阪のトークショーから一日おいて再び関西へ。3日、京都国立近代美術館で4日より開催されているポール・スミス展の開会式&内覧会にお招きいただきました。ポール・スミスの初期のショップから仕事部屋、頭のなか、ありとあらゆる業界とのコラボレーションなど、ポールの世界を見せていく。FullSizeRender (5)
いちめん、ボタンで埋め尽くされた圧巻の壁。

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服が登場するのは一番最後にちらっと。メンズ・レディスいっしょくたにぎっしり、というのはちともったいない気がしました。ここをもっと膨らませたらボリューム感のある展示になったのになあ。FullSizeRender (8)

というか、あらゆる領域に広がっているいまのポールの世界においては、服が占める割合というのはそのくらいなのかもしれないな。などなど考えながら。FullSizeRender (11)
こんなフォトコーナーもあるのもいまどきですね。インスタグラムにアップすると、カードにして印刷してもらえます。この日はポール・スミスの今シーズンのワンピースを着ていきました。彼の作る女性服は、どこかさっぱりしていて、透け感のある素材でもセクシーにならない(笑)。ま、着る人によるといわれればそれまでですが。

 

紀尾井町に特設されている「旅するルイ・ヴィトン」展のプライベートビューにお招きいただきました。

 

この展示は圧巻ですね。材木商だった創始者の話にはじまり、交通機関の変化とともに鞄とファッションがいかに変化してきたのか、すばらしい演出で堪能することができます。現在の作品もちらほら混じるあたり、ブランドの宣伝としてこれ以上はないと思われる迫力。

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さきに鞄があってモノをいれるんじゃなくて、モノにあわせて鞄をオーダーしていたんですね。食器やグルーミンググッズ、靴、ブラシ類、楽器、とにかくありとあらゆるモノ。それができる階級がヴィトンを育てたということでしょうか。IMG_2533

本棚をそのまま持ち運んでいたという「証拠」のルイ・ヴィトンケースにもおどろき。

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日本のコーナーでは、海老のマークつきの海老蔵さんの海老色ヴィトンとか、

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板垣退助のヴィトンとか。

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ルイ・ヴィトン六本木店のスタッフによる「アート・オブ・パッキング」のパフォーマンスにも感動しました。ハワイ二泊三日分、30アイテムをコンパクトにスーツケースに入れるという、マジックを見るような技の披露。感心してしまい、大学でも学生たちにその技の秘訣を伝授(笑)。

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これからますますファッションとアートは不可分になっていきますね。

ポールスミスの六本木店にも立ち寄ってみましたが、世界最大の旗艦店というこちらも、アートハウスのようになっています。5.15.2016.1            (店内壁面のみ撮影可能ということで了解を得ました)

 

芦田多恵さんにお誘いいただき、石井竜也30周年記念コンサートに出かけました。24日、音楽の殿堂、上野の東京文化会館大ホールにて。

東京フィル・ビルボードクラシックオーケストラの管弦楽×石井竜也。オーケストラの演奏を背景に、休憩をはさんでほぼ2時間、石井竜也がひとりで歌いきります。約2300人収容できる大ホールはほぼ満席。そしてステージには石井さん作のアート作品も飾られています。作詞・作曲をして歌まで歌い、アクセサリーも作り、衣装もデザインし、絵も描くという石井さんの多才なルネサンス人ぶり。

第一部はオーケストラによる米米CLUBのヒット曲の序曲から始まり、「 THE WING OF DREAMS~夢の翼~」「 Pink Champagne Night」「LOVELY SMILE」と続いていく。

聴き慣れていたポップな曲が、オーケストラのしっとりと格調高い演奏になじんでいることに驚きます。というか、本来、交響曲として作られたんじゃないかというくらいぴったり。オーケストラのテンポに合わせて丁寧にゆっくりと歌われるので、ひとつひとつの歌詞が心に確実に届けられます。

編曲は千住明さん、指揮は大友直人さん。この三人は家族ぐるみのお付き合いが長いそうです。この日も、大友さんの奥さまと、石井さんの奥さまマリーザさんにご挨拶させていただきましたが、お二人とも、このような仕事での競演は夢にも思っていなかったことで、実現したのはほんとうにうれしいと語っていらっしゃいました。

「 Party Joke」「 HORIZON」「出逢い」と続くうちに調子も上り、合間、合間にはさまれるトークでも笑わせてくれます。大好きだったおじさんのエピソードというのがひときわ印象深かった。「僕がガレージに火をつけて燃やしちゃった時もおじさんだけが僕の味方になってくれて、僕を浜辺に連れ出して 『竜也、おまえ、なにやった?』『(泣きじゃくって)燃やっ、燃やしちゃった』『それはいいこと?わるいこと?』『(泣)わ、わるいこと』…」(というようにこんこんと諭してくれた)。「そんなおじさんが大好きで、愛してるとか、尊敬してるとか、そんなことばだけじゃ表せない感情、愛してる以上の感情があるなって。そんな思いで作った曲です……」というすてきなトークの後に「愛してるだけじゃない」と続く。ぐっときますよね。

そして第一部最後の曲として「 君がいるだけで」。照明も巧みで、歌に合わせてドラマティックに変わっていくのです。石井さんのステージ衣装も、ご自身のデザインだそうですが、燕尾服の変形型。白いウエストコートの後ろがひらひらとたなびくように作られており、オーケストラの黒×白の正装と違和感なくなじみながら、スターのオーラを引き立てます。目にも楽しいコンサート。写真は、公演パンフレットより。

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休憩をはさんで、第二部はドヴォルザーク「スラブ舞曲第8番 ト短調」からスタート。「これト短調だから好きなんです。ヘ長調だったら嫌いですね。ぼくもいつかト短調作りたい」というコメントで笑わせながら、「Where is Heaven」「 天地の乱舞」「Eternal Ligth」と続いていきます。

千住明さんのこの曲は、本来はウィーン少年合唱団のような感じで歌うべき曲なのに57にもなるおっさんが歌っていいものか、などと笑わせながら客席から見守っていた千住明さんをステージからご紹介。客席の千住さん、指揮台の大友さんとの三人の強くてあたたかな友情が終始感じられたのも、このコンサートの大きな魅力でした。

そして、米米からソロになって初めてのシングルを拾い上いあげてくれた企業としてJALへの謝辞を述べて、「 WHITE MOON IN THE BLUE SKY~FLYING HEART」「浪漫飛行」のクライマックスへと続きます。前者は東京から沖縄へ行くとき、後者は沖縄から東京へ向かうときに流れているそうです。ちなみに私が石井竜也ワールドでいちばん好きな曲は「浪漫飛行」。ishii tatstuya white

第二部では、このように白一色に衣装替え。写真は同じく公演パンフレットより。

そしてアンコールに入るのですが、そのときのトークが今回のピカイチでした。「子供の頃からお調子者で好奇心が強く、誘われるとついふらふらとそっちに行っちゃうんです。どうか誘惑しないでくださいね」。

実は最近のスキャンダル報道があってからの、最初のコンサートでした。そこでこのギャグ。会場も爆笑で拍手。ファンはみんな寛大で、あやまちをすぐ認めて謝った石井さんを愛をもってゆるし、変わらず応援している、そんな優しい空気が満ちていたのです。この優しさに包まれたことが、最大の収穫だったような気がしています。

私の隣には妻のマリーザさんが座り、一曲一曲、祈るようにステージを見つめ、うなずき、安堵し、拍手し、ステージ上の石井さんの心と一体になっていらっしゃることが伝わってきました。強い信頼の絆を、マリーザさんの表情、振る舞いすべてから感じとることができました。

 

そして歌われる「幻想の理想」。途中から、マイクを下ろし生の声で熱唱します。オーケストラも音量を絞っていき、会場が石井さんの声で一体となった瞬間でした。「人は幻を求め 現実に夢を見る そして気がついたら 何もないことを知る」歌詞がすべてリアリティをもって迫ってきます。あちこちで涙ぐむ人が。

次の「君に戻ろう」で歌い出しを間違えるミス。これがかえって爆笑を呼び、大友さんと石井さんの絶妙なやり直しのかけあいで、ひときわ会場の一体感が強くなります。ぜったいにミスをしないことも大切ですが、ミスをすみやかに挽回し、かえってそれを利点に変えていく力量にその人の真価があらわれるものですよね。ここにおいてもそんなことを感じました。

最後に、熊本・大分の地震で被災した人々へのメッセージもこめて「まだ早いかもしれませんが」とお断りを入れ、「ヒハマタノボル」。

「日はまた昇る この町に 雨も雪も風も闇も それでもまた日は昇る」……。さいごに合掌しながら深々と礼。感動の余韻を残してステージを去っていきました。

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写真は、石井竜也公式フェイスブックページより。

終了後、芦田多恵さん、ご主人の山東英樹さん(Jun Ashida社長)、広報の熊井美恵さんとともに、楽屋に感動を伝えにうかがいました。こんな貴重な経験をさせていただけるのも、山東さん、多恵さんご夫妻と石井さんご夫妻の日頃のおつきあいがあるおかげ。私までご相伴にあずかり、心より感謝します。

実は多恵さんは2月のオーチャードホールでのこのコンサートにも参加しており、この日が二度目です。内容がすばらしいので何度も聴きたくなるということももちろんありますが、報道で落ち込んでいるかもしれないマリーザさんを”We are here on your side”と励ましたいという思いも強かったのではないでしょうか。このような友情にも胸があつくなります。

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左から山東英樹さん、芦田多恵さん、石井竜也さん、中野、マリーザさん。写真を撮ってくださったのはジュンアシダの有能な広報、熊井美恵さんです。写真は、みなさまのご了解を得て掲載。

奇しくも私も人生の新しいスタートをきったばかり。今後の方向を希望の光とともにさし示してもらったような忘れがたい一夜でした。友情、愛、寛大なゆるし、ユーモア、そしてことばと音楽によって人と人とがやさしくつながりあい、心を支え合うことができるというヒューマニティのすばらしい一面を共有できた約2000人を超える観客のみなさまにも、お礼を申し上げたい気分です。

 

 

三菱一号館美術館にて大好評開催中の「パリ・オートクチュール」展。遅まきながらようやく観ることができました。

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オートクチュールとは、顧客の注文に合わせてデザイナーの主導でつくられる一点ものの服。19世紀後半にパリに誕生してから現在までの歴史を、およそ130点のドレスや小物とともにたどることができます。

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撮影が許可されている部屋がひとつあるというのも、いいですね。カタログの平板な写真ではなく、「来た、観た、撮った」で完結したい願望がささやかに満たされます。笑

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ディオール、バレンシアガ、ジバンシー、シャネル、サンローラン、ゴルティエ、ラクロワ、アライア。やはり現物の立体的な構築感は迫力が違い、とりわけ20年代のビジュー縫込みドレスや、バレンシアガの複雑な構成のドレスなど、文字通り目がくらみそうな美しさ。

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グローブに金の爪がついたこの手袋は、スキャパレリによるもの。さすがシュールレアリスムの女王。
ドレスは着るとまたちがう顔を見せるので、着てみたらどのようになるのか、あれこれ想像しながらの充実の体験でした。

5月22日まで開催されています。

三菱一号館美術館開館6年目にして初めてのファッション展。今年はあちこちでファッション展が開かれていますね。喜ばしい限りです。

 

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Special Thanks to Ms. Hanae Sakai

京都国立近代美術館にて、ポール・スミス展が開催されます。詳細はこちら

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7月3日(日)午後2時よりトークセッションがあり、私も登壇させていただきます。関西方面のみなさま、よろしかったらぜひどうぞ。お目にかかれますことを楽しみにしています。イベント詳細は、こちらです。

 

☆☆☆

トークセッション「メンズファッションの歴史と現在」
日時:7月3日(日)午後2時~3時30分
ゲスト:中野香織氏(明治大学特任教授)
百々徹氏(京都造形芸術大学准教授)
モデレーター:蘆田裕史氏(京都精華大学講師)
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
定員:先着100名(午前11時より1階受付にて整理券を配布します)
※聴講無料(本展覧会の観覧券が必要です)

☆☆☆

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A year has passed since the great exhibition of the “Survival of Elegance” of Jun Ashida.  Here comes the official short movie. I am very honored to have taken a small part of this exhibition, by writing almost all the text part of the exhibition.

A year ago. Time flies away.  I wish the Elegance of Jun Ashida and Tae Ashida will shine forever !

☆☆☆

Just a murmur. Remembering the way I was this year..

I hope I have grown up a little bit more than a year ago.  I’ve got self-control and possessed self-sufficiency enough to feel light-hearted, even when I had to go through tough emotional experiences. I could manage to go on to the next step, after a little bit of tears. I’ve got this strength through my own methods and thinking of “Fashion Studies”.  Special thanks to imaginative Mr. Bond, who has always been active as my source of inspiration and kept me up to aim at the supreme ideal of elegance.

Japan In-depthに掲載された記事のバックアップです。

投稿日:2015/11/29

[中野香織]【ファッションにおける「盗用」「誤用」の効用】~ボストン美術館「キモノ・ウェンズデー中止事件」~

 

今年の夏から秋にかけて、海外のファッションニュースに頻出したキーワードの一つが、「文化の盗用(cultural appropriation)」でした。発端は、7月のニューヨークで起きたボストン美術館の「キモノ・ウェンズデー中止事件」です。ボストン美術館は、「東方を見る:西洋のアーチストと日本の魅力」展をおこない、キモノ・ウェンズデーというイベントを企画していました。

1876年にクロード・モネが描いた「ラ・ジャポネーズ」という名画がありますね。モネが自分の妻に赤い打掛を着せて見返り美人のポーズをとらせている有名な絵です。来場者は、モネの絵に描かれたような豪華な打掛を着て、絵の前で写真を撮ることができることになっていました。NHKも打掛を用意するという形で協力していました。

SNS時代らしい「着て、撮って、アップ」したくなるイベントです。ところが予期せぬ出来事が起きたのです。アジア系アメリカ人の若い抗議団体がプラカードをもってキモノ・ウェンズデーにやってきました。「アジア人を侮辱する、文化の盗用」などと書かれていました。同時に、抗議団体はソーシャルメディアを駆使して、美術館に対する激しい批判を続けました。要は、「白人至上主義的な上からの目線で、アジアの文化を表層だけ都合よく盗用するな」という抗議でした。

7月7日、美術館はキモノ・ウェンズデーのイベントを中止しました。BBCとニューヨーク・タイムズがこの経過を報じると、こんどはイベント中止に反対する抗議が起きました。

カウンター・プロテスター(抗議団体に反対する人)たちの議論は、わかりやすく言えば、次のようなものです。抗議団体のなかに日本人はいない。抗議者たちは、アメリカにおけるアジア人のアイデンティティを主張したいがために、このイベントに便乗して乗り込んだだけだ。キモノ・ウェンズデーは、日本とアメリカが協働しておこなった文化交流のイベントであり、それに対して「白人至上主義目線から見たアジア人蔑視」という議論をふりかざすのは、筋違いである、と。

あおりを食ったのは、日本のキモノ関連産業です。社会問題に意識の高い、善良なアメリカ人のなかには、キモノに魅力を感じても、着ればひょっとしたら「文化の盗用」としてバッシングを受けることになるのではないかとおびえ、着ることを控える人が出てきました。ユニクロが世界的にカジュアルキモノや浴衣を展開しているタイミングで、です。

ハロウィーン前にはさらに議論が過熱しました。「ゲイシャ」の仮装をすることが「文化の盗用」になるのかどうかと心配するアメリカ人の声が高まり、私にまで問い合わせがくる始末。もちろん「どんどん着てください」と答えましたが。

百歩譲って、キモノをその本来の着方を無視して都合のよいように着ることが「文化の盗用」にあたるのだとしたら、19世紀にヨーロッパへ渡った武家の小袖こそ、いいように「盗用」された顕著な例といえるでしょう。なんといっても、小袖がヨーロッパでは部屋着として着られたのですから。当時のヨーロッパの女性服は、コルセット着用を前提としたもので、小袖は、コルセットをはずした私室でリラックスウエアとして着られていました。今でも英語の辞書でkimonoをひくとroomwear (室内着)とかdresssing gown(化粧用ガウン)なんていう意味が出てきます。まったく誤用されていたわけですね。

ところが、ほかならぬそのキモノにヒントを得て、20世紀初頭のデザイナー、ポール・ポワレが、コルセット不要のドレスを創ります。それ以降、西洋では数百年間続いたコルセットの慣習は廃れ、西洋モードが花開いていきます。

文化がその本来の文脈から切り離されて「盗用」され、時には誤解されながら、予想外の新しい創造が生まれ、その成果がまた元の文化に還ってくる。そうしたダイナミックなやりとりのなかでファッション文化は発展してきました。

とはいえ、それは様々な文化を「上」「下」の意識なく、鷹揚に受け入れてきた日本人の「正論」なのかもしれません。差別や迫害を受けてきたという負の記憶が消えない人たちにとっては、「優位」に立つ側が、「下位」にある文化の表層のいいとこどりをするのは、「盗用」に相当する。私たちにはピンと来なくても、そのような感覚がいまだに世界には根強くはびこるのだという現実も、頭の片隅に留めておいたほうがよいのかもしれません。

殺伐としたニュースが続く闇の中、かすかな一筋の希望の光のように見えているのが、イスラム圏におけるムスリマ・ロリータのひそかな流行です。イスラム教徒の女性たちによる、日本のロリータファッションの「盗用」です。パステルカラー、フリルを多用したヒジャブ姿の女性たちのなんと「カワイイ」ことか。

私の眼には、日本のロリータファッションに対する彼女たちからのラブコールにしか見えません。「上」「下」の意識なく、過去への禍根なく、素敵と感じたものを軽やかに「盗用」しあう感性が、なんとか世界を平和に変えていけないものかと、祈るように、思います。

ボストン美術館の「キモノウェンズデー中止事件」。日本のメディアではなぜかほとんど報じられなかったのですが、海外、そして日本の中での海外コミュニティでは議論を巻き起こしています。

フェイスブックページも立ち上がり、私も参加して議論を見守っていたのですが、そのページにお招きくださった国際日本学部の同僚、ショーン・オドワイヤー先生がジャパン・タイムズにとても文化的な配慮の行き届いた記事を書きました。「キモノと文化の借用について」。ショーン先生と議論をしたなかでの私のコメントも最後の締めに引用してあります。光栄です。

以下、ショーン先生の論文のきわめて大雑把な超超訳です。きめこまかなニュアンスに関しては、Japan Times の原文をあたってください。

★★★★★

キモノ産業はずっと衰退に向かっている。だからキモノ産業は主流である伝統的なフォーマルなキモノだけではなく、海外のマーケットに目を向けている。

最近、ボストン美術館がおこなった「東方を見る:西洋のアーチストと日本の魅力」展は、NHKも協力し、キモノ文化のプロモーションという役割も担っていた。

1876年にクロード・モネが描いた「ラ・ジャポネーズ」。モネが自分の妻に打掛を着せて見返り美人のポーズをとらせているが、当時のフランスにおけるジャポニスムの熱狂を皮肉ったものでもあった。

ボストン美術館はキモノ・ウェンズデーを企画。来場者は、モネの絵に描かれたような豪華な刺繍を施された打掛(用意したのはNHK)を着て、絵の前で写真を撮ることができるというイベントである。

ところが予期せぬ出来事が発生。アジア系アメリカ人と思われる若い抗議団体がプラカードをもってキモノ・ウェンズデーにやってきたのだ。「オリエンタリズム」「人種差別」「(アジア人を侮辱する)文化の勝手な流用」と。

抗議団体はフェイスブックページを立ち上げた。「Stand Against Yellowface」。そのほかのソーシャル・メディア上にも、エドワード・サイード(「オリエンタリズム」の著者)のへたくそなカラオケのような宣言を書き連ねた。白人至上主義的なやり方でアジアの文化を勝手に流用するなというような、美術館に対する批判が続いた。

7月7日、美術館はキモノ・ウェンズデーのイベントを中止。BBCとニューヨーク・タイムズがこの経過を報じると、こんどはイベント中止に反対するカウンター・プロテストが起きた。

カウンター・プロテスター(抗議団体に反対する人たち)の議論はこのようなもの。抗議団体のなかに日本人はいない(おもに中国系)。抗議者たちは、アメリカにおけるアイデンティティを主張したいがために、このイベントに場違いに乗り込んだのだ。

また、サイードの「オリエンタリズム」も誤用されている。サイードの議論は、19世紀から20世紀の西洋のアーチストが、中東やアフリカ社会を自分たちの植民地として帝国主義的な目線(上から目線)で表現していたというもので、その文脈における文化の借用・流用はたしかに非難されるべき「文化の盗用」であった。

しかしサイードの議論は日本やアジアにはほとんどあてはまらない。20世紀の初期、フランスのデザイナーたちは「流用した」キモノスタイルから西洋の女性のためのドレスを作り、日本のテキスタイル産業はこのトレンドを非常に喜んで受け入れた。

そのころは日本もどちらかといえば帝国主義的な力をもっており、「西洋化」の視線さえもって西洋文化を見ていたので、西洋が日本の「エキゾチック」な絵やファッションに熱狂したということは、サイードのオリエンタリズム論にはあてはまらないのだ。

現在のキモノ・ウェンズデーは、日本とアメリカが協働しておこなった文化交流のイベントであり、それに対して「白人至上主義目線から見たアジア人蔑視」というオリエンタリズムの議論をふりかざすのは、滑稽きわまりない。と。

しかしそもそも、こんなアカデミックな議論などここに関わってくるべきではないのだ。もっとも懸念されることは、こんなことが起きることで、キモノ産業の将来の頼みの綱である海外市場が閉ざされてしまうこと、なのである。いまやユニクロも浴衣やカジュアルキモノを世界中で売る時代。「白人が着物を着る」ことにオリエンタリズム云々の議論を持ちこむことはまったくナンセンスである。

さらに興味深いのは、世界中のメディアがこれだけ騒いでいるのに、日本の主流メディアがほとんど話題にしていないこと。日本国内の文化人やファッション関係者もほとんどこの問題はスルーである。

そもそも、「キモノを試着することが人種差別であり、帝国主義的である」という発想じたい、日本人にとってナゾなのである。「抗議団体は、反・日本の立場をとる中国・韓国系の扇動者だ」とする右翼系の愛国者もいる。

おそらく、多くの日本人にとって、このような議論はまったくピントがずれているようにしか感じられないのだ。多民族国家アメリカの中での人種間の小競り合いなんだろうな、くらいにしか見えていないのだろう。しかし、浴衣に魅力を感じながらそんな繊細な社会問題にも気を配り、ほんとうにキモノを着ていいのかどうかためらってしまった良心的な外国人のためにも、今こそ日本側からはっきりしたメッセージを発することが必要だ。

そのメッセージを、京都の西陣織工房で働くある雇用者から受け取った。「だれでも、いつでも、いかようにでも、キモノは好きなように工夫して着てかまいません」

日本は西洋に虐げられた植民地だったわけではない。キモノ産業は、オリエンタリズムに対する固執と政治的に正しい「理解」とやらによって、かえって迷惑をこうむっている。このことはもっと広く伝えられなくてはならない。

明治大学でファッション文化史を教える中野香織・特任教授はこのように表現する。「文化の借用は新しい創造の始まりです。たとえそこになにか誤解があったとしても、その誤解から何か新しいものが生まれます」。このように受けとめることがキモノファッションの未来を開くカギになるだろう。

★★★★★

最後の引用は、ショーン先生とのメールのやりとりのなかで伝えた言葉です。”Cultural appropriation is the beginning of the new creativity.  Even if it includes some misunderstanding, it creates something new.”

Shaun-sensei, superbly well written!  Thank you for citing my words in such an impressive way. I am so proud.

 

北日本新聞16日付。日展の作品の中から、宇津孝志さんの「雪国春を待つ」を鑑賞し、レビューを書きました。スーツケースをかたどった、ユニークな作品で、さまざまな「読み」方を誘う作品です。

400字では到底書ききれなかったのでここで書いてしまいますが(^-^;、実はベケットの「ゴドーを待ちながら」を思い出したのです。「ゴドーはくるかな」「いつくるのかな」と二人の男が話しながらついにゴドーは現れないままお芝居が終わるというベケットの不条理劇。「ゴドー」は「神」でも「成功」でも「春」でもなんにでも置き換えられるのですけれど、私たちは、何かが来ることを期待し、待っている間に人生を終えてしまうことがある……のかもしれない。それが来たらようやく出発できる、と思ってぐたぐたしているうちに永遠にそこにとどまっているとか。それはそれで、不幸せなことではない。

逆に、いったん「ゴドー」を忘れて、待つ時間そのものを充実させるということもいくらでもできそうです。

新聞記事5月16日日展053

 

Tae Ashidaショーのあと、原宿ラフォーレミュージアムでのReturn of the Rude Boyのお披露目レセプションへ。3.20.10.ルードボーイとは、1950~60年代後半に起きた、ジャマイカ発ロンドン生まれのサブカルチャー。「やんちゃ」「不良少年」という意味ですが、移民のアイデンティティを表現した個人主義的なスタイルでもありました。3.20.24

明治大学にも来てくれたスタイリストのハリス・エリオットいわく、そのココロは、「私はバッファロー・ソルジャーだ。挑戦はすべて受けて立つ」(展覧会掲示コピーより)。

レジェンドになっているDJ、ドン・レッツも登場。レゲエ、ソウル、カリブをロックにミックスし、ルーディーの文化をバックアップした彼は、「かっこよさは目の輝きで決まる」と。

モッズ、ロッカーズなどの「トライブ」を先駆けたルードボーイは、最初のブリティッシュ・サブカルチャーであったと同時に、もはやこれ以上新しく紹介されるブリティッシュカルチャーはおそらくない、という意味で、「最後の」ブリティッシュ・サブカルチャーでもある。3.20.2

会場はルードボーイズでほぼぎゅうぎゅう詰め。Tae Ashidaを着ていた私は浮いてたかもですが、優しい彼らはウェルカムなホスピタリティで大勢のお客様をもてなしていらっしゃいました。3.20.9左からハケット・ロンドンの大西さん、スタイリストのエリオット氏、日本にルードボーイを紹介した立役者の鶴田さん、中野。

新月と日食が重なった20日、そして春分の日の21日へ。長い長いトンネルを抜けて新しい季節に移る、という出来事が2つ重なり(新装ウェブサイトの公開、次男の編入学試験合格、ついでにもうひとつ新刊企画の決定)、友人4人で久々にルパラン集合、スターティングオーヴァーを祝う。3.20.21

手前のカクテルは生のザクロを使ったジャックローズ。 フレッシュでありながらセクシー、軽やかなのにのど元を通ると重厚、そんな相反する味わいが魅力的な一杯です。

 

 

 

 

10月末に登壇させていただいたVogue Night at Esprit Diorのレポートが公開されています。

お時間の許すときにでもご笑覧くださいませ。

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http://luxelife.vogue.co.jp/_feature/cdc/141201/

エスプリ・ディオールでは、10月のヴォーグ、11月の日仏フレグランス文化財団、12月のフォーブズ、と三度にわたり印象深い登壇の機会をいただきました。

それぞれに聴衆が異なるのでまったく違う話をしましたが、おかげさまでディオールのことならなんでも聞いて(笑)くらいの勢いで学ぶことができました! 心より感謝します。

富山県立近代美術館。2万人の入場者を記録し、さらに記録更新中の「成田亨 美術・特撮・怪獣 - ウルトラマン創造の原点」展。

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ウルトラマンの世界は完成している、と常々思っていた。東大や昭和女子大で英語の非常勤講師をしていたときに、授業中に提示する資料にウルトラマン&怪獣たちのアイコンスタンプを使っていたことがある。学生は「ばかじゃねーの」と思っていたかもしれないですが、文字だけの資料というのをどうも配る気がせず、ここにあったら完璧だと当時思ったビジュアルとしてウルトラアイコンを選んだのであった。

私の直感はやはり間違ってはいなかった。ウルトラマンはそのままで完璧なのである。

怪獣たちだって、芸術品だ。見立てと組み合わせによるシュールなハイブリッドであったり、キュビズムを感じさせるアートであったり。バッタがエレキングとなり、セミがバルタン星人となり、魚のコチがガラモンとなり、インディアンがジラースとなり、戦艦大和がヤマトンとなり、黒田長政のかぶとがゴモラとなる。そのイマジネーションのプロセスがあるから、芸術品になるのだ。ただ既存の動物を巨大化させただけのゴジラやモスラとそこが決定的に違う。

アルカイックスマイルをたたえたウルトラマンの仮面が飾られた、ウルトラマンの墓があった。成田さんによる鎮魂歌が添えられていた。

「星から来た勇者 地球を救った勇者 永遠であれ 君を利用し 金儲けをたくらむ地球人のために 角をつけたり 髭をつけたり 乳房を出したりしてはいけない スーツを着たり 和服を着たり 星空に向かってラーメンを掲げてはいけない 経済と技術に溺れてしまった地球人は 叡智と勇気を失って いま もだえ苦しんでいる しかし 遠からず必ず不変の叡智を取り戻すだろう 君は星空の彼方から 見届けてくれたまえ 永遠の偶像よ」

成田さんは円谷プロを去ったあと、偶然会った後任に、こんなアドバイスをする、「怪獣の目は小さい方がいい」(北日本新聞「ウルトラの引力」第4回「怪獣」より引用)。怪獣愛の深さがわかるエピソード。

そして菩薩に通じるアルカイックスマイルにも理由があった。「本当に強い人間はね、戦うときかすかに笑うと思うんですよ」(「特撮と怪獣 わが造形美術」成田亨著、北日本新聞「ウルトラの引力」第一回「ヒーロー誕生」より引用)

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身近にあるものから想像を働かせ、誰も見たことのないかっこいい創造物を世に送る。自分の立つフィールドだってそれが可能かもしれない。そんな希望まで与えてくれる展覧会です。

東京ミッドタウン、21-21デザインサイトで「イメージメーカー」展開催中。土曜日は鑑賞がてら、舘鼻則孝さんのトークショーにうかがいました。

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ひと月前ほどアトリエにインタビューにうかがったばかりですが、オフィシャルなトークもまたたしかなボキャブラリーを駆使してすばらしかったです。アートを超えて普遍的な結論にまでおとしこめる力量は、かなりの成熟を感じさせますが、28歳なんですよね。アンファンテリブル。

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ヒールレスシューズのインスピレーション原になった高下駄も、舘鼻目線で制作。ぽっくり。円形を二つに割って左右のゲタになるが二つそろえると絵が完成する。鈴までついている。歩くと鈴の音がする。

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かんざしの彫刻は、「富山チーム」こと、富山は高岡市の鋳物関係者とともに作っている。「引退のスキを与えないように発注し続ける」という、職人さんに対する舘鼻さんの優しさがいい。富山の職人は微妙な敗北感を抱いているけれども、舘鼻さんは腕のいい職人を探し求めて富山にたどり着いたのだと彼らに告げる。コラボというよりもコミュニケーション。この関係が作品に血を通わせる。

それにしても、この彫刻の英語のタイトルがHairpin(ヘアピン)。まあ、間違いではないでしょうが(^-^;

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これも職人技が光る作品。純銀を特殊な塗装で加工してある、「ムサシガワさんの工房」と言っていたがどこだろう。上ふたに太陽が描かれ、その下へ順次、雲、雷、雨粒、海へと続いていく。飛行機がない時代、雲の上は神の領域だった。「雲の上にはいつでも青空」ということを人は知らなかった、という舘鼻さんの指摘にはっとする。

ヒールレスシューズで世に出る、ということになったときに、彼は、他に作っていたドレスやバッグなどをすべて引っ込めたという。「どういう存在で有意義になれるのか?」 その打ち出し方を取捨選択するという戦略的姿勢にも感心。(比べちゃいけないが、私にはまったく欠如している姿勢…イタタタ)

香水講座にゲスト講師として来ていただいた地引由美さん(左から2ばんめ)と、フレグランススペシャリストの村岡輝子さん(左)もお誘いしました。舘鼻さんを囲んで記念写真。3人でミッドタウンを歩いていたら知人に遭遇、「君たちは美術館のショーピースか」とからかわれましたが、香水関係者って、言われてみれば確かに、どこか浮世離れしたところがありますな…。

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アイデンティティ×コンテンポラリー=トラディショナル・ジャパニーズ。トラディションとはあくまで未来から見たトラディション。それを作り上げるのは今この瞬間を生きる私たち、という力強いメッセージは、多くの人と共有したいテーマです。

「ザ・ビューティフル」展、一足早く拝見しました。学芸員の詳しい解説を聴いて、当時の英国の美術史の流れがよく理解できました。

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ただ、ただ、美しいことを目指した「唯美主義」。美術館内の「順路」の表示すら「美しい」。

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孔雀のモチーフは唯美主義のシンボル。この絵はエドワード・バーン=ジョーンズによるブローチを模したもの。

三菱一号館美術館にて。この美術館周辺も、うっとりするほど美しい。30日からです。

この展覧会をファッションの視点から見る記事を、「ハッピープラスアート」というサイトで書く予定です。お楽しみに!

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図録はこれまで見た展覧会図録のなかでも一、ニを争う美しさ。細部にいたるまでアートの精神が行き届いています。アート好きは必携。

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関係ないけど、会場で清楚な女性がひとり「あの…」とあとをついてきてらして、な、なにか?と警戒していたらば。「失礼ですが、香水の名前を教えていただけないでしょうか?あまりにもいい匂いでしたので、つい…」と聞かれました(^_^;) 喜んでいいのか反省すべきなのか。L’Artisan Perfume、とおこたえしましたが、ここ三ヶ月ぐら飲み続けているブルガリアンローズカプセルの効果も? 

鑑賞後、お隣のビル内の「グリル うかい」にてランチをいただきました。インテリア、器、雰囲気、味、おもてなし、すべてにおいてため息ものの美しさでした。

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3日(土)に遅まきながら観に行った六本木ヒルズのスカイアクアリウム。

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熱帯魚の数々を、ライティングや珍しいケースや斬新な配置によって、アートのように見せるセンスは、さすがあか抜けている。

幻想的なクラゲと、

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ウーパールーパーにひときわ魅了される。

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カクレクマノミの大群の向こうに東京のビル群、という展望台の演出にも感嘆。

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水は、おそろしい凶器になるとともに、こうして美しい生き物たちをはぐくんでもくれる。

金沢ついでに、妙立寺を見学。別名、忍者寺として名高いお寺。前田利常が、1643年に、金沢城近くから移築建立したお寺で、戦火にもあわず、今に姿を残している。

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外見は、二階建てのふつうのお寺。しかし、内部がすばらしいというか、複雑で、仕掛けに満ちて、無条件にワクワクさせられた。

4階建て7層構造にもなっており、階段の数、なんと29。迷路のように、各部屋から意外な場所へと結びついていて、フツーの部屋がない……。屋内に、風流な「太鼓橋」まで。人知の限りをつくした(?)隠し階段や落とし穴など、どこもかしこも楽しすぎる。

木のゆがみを生かした巨大な梁も見ごたえあり。このゆがみこそが、雪の重みを分散させる働きをし、寺を支えてきた、という解説にも感心する。17世紀の人のほうが、現代人より賢かったんじゃないだろうか、とさえ思わされる工夫が、いたるところにたっぷり。

それにしても、この内部の風景、夢に2度ほど出てきたことがある。おなじ風景を、はっきりと覚えている気がする。不思議な既視感。いつかの前世、ここで隠れたり祈願したりしていたことがあったんだろうか?

猛暑の中、金沢21世紀美術館へ。見たかったのが、「レアンドロ・エルリッヒのプール」。

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上からのぞいて驚く人、下からそれを眺めて面白がる人、双方の反応を楽しむ体験が、「アート」?

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「イエッペ・ハイン 360°」と、

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「Inner Voices」も駆け足で鑑賞。

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とても広い建物なのだけれど、どこも人、人、人、の大混雑だった。美術館にこれほど人が集まるというのは、ほかならぬこの美術館だからか、それとも夏休みだから? あるいは現代アートブームが本物ということか? 熱心に「体験」を楽しむ人々の表情が、なによりも強く印象に残る。

昨日訪れた、ドガ展@横浜美術館。「サライ」読者のみなさまとともに、学芸員のレクチャーを20分ほど聴いたあとでの鑑賞。

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第1章「古典主義からの出発」、第2章「実験と革新の時代」、そして第3章「総合とさらなる展開」という三部構成になっている。基本をきわめ、実験と革新に入り、晩年にはそれらすべてを総合する表現へ、と昇華していった芸術家の道筋がわかる。

有名な「エトワール」(意外と小さな絵であることに驚き)はじめ、「バレエの授業」、メンズファッションの本に必ず出てくる「綿花取引所の人々」などは、すべて第2章の時期に。

「エトワール」だけが他の絵とは距離をおかれ、別格扱いされていた。初来日とあって、この絵の前にはとりわけ人だかり。チュチュ(踊り子のスカート部分)から光を受けて透ける足のなまめかしい美しさに、見入る。「綿花取引所の人々」は、1873年当時のメンズファッションの「実例」としてしばしば引用される絵なのだが、ゴミ箱に捨てられた紙屑の細部、新聞のレイアウトにいたるまで、細かい仕事がなされていることがわかり、あらためて感心。

第2章では踊り子ばかりを描いていたようにも見えるドガは、第3章では執拗なほどに「浴女」を描く。見られていることをまったく意識していない、無防備に体を洗ったり拭いたりしている裸の女の後姿。「浴後(身体を拭く裸婦)」にいたっては、マニエリスムがいきすぎて頭部がどうなってるのかわからない(その異様なクネクネが魅力になっている)。

晩年は視力が落ちて、彫刻をたくさん作っていたということもはじめて知る。まとまった数のドガの彫刻が、一部屋分。

遺品の展示も含めて、132点。オルセイ美術館からは46点。素描の展示がやや多すぎる感もあったが、「古典」→「実験・革新」→「総合」にいたる芸術家の軌跡は、示唆に富む。女嫌いで独身を通した、というドガの顔の変遷も味わい深く。

20年ぶり、というかなり久々のドガ回顧展になるが、それは顔料が繊細なパステルだから。輸送中にパラパラと落ちるので、海外の美術館はなかなか貸与してくれないのだ。ということを学芸員の話から知る。

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乾いて澄み切った冷気がほどよく心地よい、みなとみらい。冬の兆しの気配。

ガーデンプレイスついでに、東京都写真美術館に立ち寄る。2階で「ラヴズ・ボディ 生と性をめぐる表現」展、3階で「二十世紀肖像」展。

前者の方はメディアでもとりあげられていて、期待が大きかったものの、点数が思ったよりも少ない。とはいえ、衝撃とともに「生と死」を考えさせられる写真と出会う。

ポスターにも使われている「転げ落ちるバッファロー」。デイヴィッド・ヴォイナロヴィッチの作品。生と死の境界にいる、というか死へ転がり落ちていくバッファローの姿が、どこか白日夢のようでもありながら、荘厳な印象。死ぬときはこんなふうに、ふわり、くるり、なんだろうか・・・とか、とりとめなく想像が続いていく。

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ウィリアム・ヤンの「独白劇(悲しみ)より<アラン>」という一連の写真も、凄絶。エイズで死んでいく一人の若い男アランの顔の変化を、1988年10月から1990年7月まで、撮り続けたもの。各写真の下に手書きの覚書あり。

「エイズよりも自己憐憫で人は死ぬ」。

死の直前の昏睡状態の顔と、死んでしまった直後の顔も並べられる。「まるで死人のようだと思ったけれど、昏睡状態にあっても生きているアランと、死んでしまったアランとでは、その落差は言葉に尽くせないほど大きかった」。

目をそむけたくなる写真も少なくなかったが、死を考えていると、大なり小なりつきまとう現世の諸問題はいくらか軽減していくのがわかる。他人の理不尽な評価はじめ、慣例にふりまわされるだけのつきあい、自分がもたない美や富に対する羨望、虚栄でしかない体裁づくろいなど、「どうでもいいこと」がはっきりとわかって、ほんとうにどうでもよくなってラクになる。逆に大事なことも、見えてくる。

「二十世紀肖像」のほうは、好みどまんなかの展示。二十世紀初頭から現在までに撮られてきたさまざまなポートレイト写真を通して、時代の美意識や、社会に通底していた感覚、個人の内面までもが、容赦なく浮き上がってくる。太宰治、チャーチル、坂口安吾、桜田淳子、寺山修二&天井桟敷など、時間が経っているからこそ「わかる~」と感無量になる肖像写真も多数。

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「ポートレイトとは、今ここを生きる人間の似姿を、オブジェとして所有しようという願望」が生んだフェティッシュなもの、という解説に感心。

◇「大人のロック!」特別編集「永遠のクイーン」(日経BPムック)発売です。来年度のカレンダー付き。フレディ・マーキュリーのファッションについて語っております。機会がありましたら、ご笑覧ください。

◇ゼミ生とともに、「きらめく装いの美 香水瓶の世界」展@東京都庭園美術館。

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古代から現代まで、年代を追って香水と香水瓶の歴史がよくわかる、秀逸な展示。香水の歴史そのものには親しんでいたが、本物のボトルコレクションをこれだけまとまった形で見るのははじめてのことで、新しい発見が多かった。

1981年のキャロンのバカラ社製の「フォンテーヌ・ア・パルファン」には驚く。香水を生ビールのようにディスペンサーから量り売りするための巨大なボトル。

1990年にエルメスが天皇陛下御即位記念香水瓶として作った、ティアードスカートのような三重の塔のような荘厳なボトル。サン・ルイ社製。

1940年のランヴァン、「プレテクスト(口実)」の、なぜか雪だるま型香水瓶。1938年のスキャパレリ、「スリーピング(おやすみなさい)」はユーモラスなキャンドル型。

19世紀の卵型香水キャビネット(卵が開くと中には数種類の香水ボトルが収められている)。などなど。ボトルの形、素材、装飾、そしてネーミングに、あらゆる想像力が駆使されている。ルネ・ラリックの「キャトル・シガル(4匹のセミ)」、やはりラリックの「エピーヌ(棘=トゲ)」。なぜに、セミ(笑)。

アールデコ様式の旧朝香宮邸=庭園美術館の入口で出迎えてくれる、巨大な「香水塔」からはほのかによい香りが漂う。噴水塔の上部の照明部分に香水をたらし、照明の熱で気化させ芳香を漂わせたという「塔」。気化させた香りであるためか、アロマデフューザーなどで放たれるフレグランスよりもまろやかな印象。

図録もずしりと厚く、香水の歴史の本として読み応えがある。巻頭序文には、監修者でもあるマルティーヌ・シャザルによる力強いことば。「限界を乗り越え、美を刷新し、創造する能力を示す人間の最大の美点がそこに発揮されていることがわかるでしょう」

「限界を乗り越えようとする力」。ファッション史に惹かれるのは、まさにそんな力が見え隠れするからだ。理屈ではどうにもできなくなった現状を突破できるような新しい美というエネルギー。嗅覚に直接働きかける香水にも、そんなパワーが確実にある。

「北原照久の超驚愕現代アート展」@六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリー。

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精巧でキッチュな、おどろおどろしくて驚きあきれる現代アートの世界。山下信一のフェティッシュなフィギュア、荒木博志のロボット型巨大オーディオ、逆柱いみりの少年白日夢的世界、堀哲郎の正確すぎるドールハウス、松井えり菜の「ブキミながら、なるほど」な「ふたつのきもち」の絵、武藤政彦のSFちっくな自動人形からくり箱、柳生忠平の妖怪画、山本高樹の超リアルな昭和の心象風景・・・・・・。ぶっとんだ発想そのもの、それを実現するテクニックや執念(!)、認めてくれる人(=北原氏)との出会い、すべてをふくめて「才能」だなあ、と感じ入る。

巨匠・横尾忠則は期待を裏切らず力強く、加山雄三、石坂浩二というマルチな才能のスターの作品も味わい深い。

唐沢俊一が逆柱いみりの「赤いタイツの男」という本の帯に書いたというコピー、「困った 内容がない」に笑いつつ共感する。

なんだか得体のしれない電磁波のようなものを深いところまで浴びた気分がする。

森美術館のほうでは、「ネイチャーセンス展」。体感型のアートな空間を歩く。こっちはどちらかといえば「癒し」系アート。でもちょっと歩き疲れる。

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講義終了後、シャガール展@東京藝術大学大学美術館。終了間近だからか、雨なのにたいへんな混雑。入場制限にひっかかり、およそ20分待ちでようやく入場できる。

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強い色彩で描かれた、幻想的というか白日夢のようなシャガールワールド。超有名な「ロシアとロバとその他のものに」(1911)はやはり圧巻で、しばらく絵の前で呪縛にあう。

1966年から67年にかけて、シャガールがニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のために「魔笛」の舞台美術の仕事をしていたということを初めて知る。舞台の背景幕の下絵もシャガール印の濃厚さがうずまいてこってり楽しいが、シャガールによる衣装デザイン画の数々がなかなかかキュートで、思わぬ拾いものをした気分。

ただ期待が大きすぎたせいか、肝心のシャガールの作品の点数が少なかったことと(ほかのロシア前衛芸術家たちとの出会いもそれなりによかったけれど)、関連ドキュメンタリー映画を観たかったのに、立ち見の人が外まであふれていてまったく観られなかったことが、残念。52分の上映なので、交替まで小一時間も待たねばならないのだ(待てません)。この映像だけDVDで発売してないだろうか。

そんなわけで若干の不完全燃焼感は残るものの、戦争やら革命やら亡命やら愛妻の急逝やら再婚やらのさまざまな劇的なできごとを経ながら描き続け、90歳でなお傑作「イカルスの墜落」を完成させているシャガールの画家人生に、静かに励まされた。

藝大周辺は、独特の雰囲気のあるところで、しばし散策。雨にけぶる「旧東京音楽学校奏楽堂」のたたずまいも、味わい深い。

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