東京新聞夕刊「King & Queen 展 王室ファッション裏話」。4日目の今日は、80歳のヴィクトリア女王です。

Photo from Wikimedia Commons.

ウェブ版は、こちらです。

 この本にはより詳しく女王のことを書いています。

集英社クオータリー「kotoba」2021 winter 本日発売です。

連載「スポーツとファッション」第4回は、「アスリートによる大胆な政治的主張」です。

 

まるまる6頁。8000字くらいの長めの論考ですが、デリケートな問題をできるだけ丁寧に扱ってみました。よろしかったらご覧くださいませ。

 

 (Click to amazon)    特集は、司馬遼太郎。ファンは必読です。

 

 

 

以下、恒例の「季節の写真」集。笑 今の季節の高輪の日本庭園です。

グランドプリンス高輪のティーラウンジからの鑑賞+散策がおすすめ。

四季それぞれに違う顔。

角度によっても来るたびに違う顔を見せてくれるのが自然のいいところ。

もう冬ですね。2020年のラストスパート、くれぐれもお気をつけてお健やかにお過ごしください。

JB press autograph連載「モードと社会」更新しました。

中古品市場活況の背景を考えてみました。

 

こちらからどうぞ。

本日より5日間毎日、東京新聞夕刊にて「King & Queen 展 王室ファッション裏話」というコラムを短期連載します。

 

初日はヘンリー8世から。

 

ホルバインによるヘンリー8世。From Wikimedia Public Domain.

ルビーのつもりで使っていたものは、実はスピネルだったそうですが、コラムの字数ではそこまで細かいことは書きませんでした。あくまで当時はルビーのつもりでつけていた、ということで。

 

 こちらもあわせてお読みいただけたら嬉しいです。

 

<追記>

ウェブ版は、こちら

日本発のラグジュアリーを考える連載、更新しました。今回はfouofuです。

 

カーテンのような非機能的で重たい服が、なぜ常に完売し、待ち焦がれられるのか?

こちらでお読みいただけます。

話題のジル・サンダーのおかげで『「イノベーター」で読むアパレル全史』が再び大きく展開されております。

ららぽーと豊洲有隣堂さん、ありがとうございます。

 

 

プリンスホテル東京シティエリア2020ブリティッシュ・フェアのカルチャー部門セミナー、「変わりゆくラグジュアリー」。12月5日(土)16:00 ~17:30、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町にて、予定通り開催です。

安心・安全のためのプリンスガイドラインにしたがった対策が徹底的におこなわれております。最終的な打ち合わせに行き、プロフェッショナルな配慮の数々に納得してまいりました。どうぞご安心のうえ、道中、お気をつけてお越しください。

刻々と変わりゆくギャラリー最上階からの夜景、料理長自らセミナーのために考案した軽食(分量は軽いものの内容は豪華)、お飲み物、おみやげつきで、激変するラグジュアリーの最前線をご紹介します。

詳細・お申込みは、こちらから。

こちらはホテルのロビー。明日からはクリスマスツリーも入り、ドラマティックが加速します。

「サライ」にご協力したこの記事を見て、テレビの番組制作者の方から何度もお問い合わせをいただきます。民放からも、NHKからも。

クイズ番組や「へ~っ」と思わせる番組では、「ビニール傘は日本で発明されたんだよ」というストーリーがウケるのだと思われ、「これ(=ビニール傘は日本のホワイトローズ社が発明した)は事実といって間違いないのか?」という問い合わせをいただくことになるのでしょう。

いちおう、日本の傘業界ではそのように周知されており、ホワイトローズ社のHPでもその旨を書いています。どこからも反証はなく、今に至りますし、私も反証するつもりなど毛頭ありません。

ただ、昭和女子大学経由でお問い合わせをいただいて大学にご面倒をおかけしたり、あまりにも「まちがいないですね?」と念押しされたりするので、いちおう、私の見解を書いておきます。

 

ホワイトローズさんはまず、ビニールの傘のカバーを作りました。1953年ごろから。
ビニール傘の完成形が世に出たのが1958年。

一方、イギリスのフルトンの創業が1956年です。フルトンは女王陛下のビニール傘でも知られていますね。

このころ、ニューヨークで大ヒットしている鳥かご型ビニール傘「バードケージ」はフルトンのもの。

ですから、何をもってビニール傘とするかによって微妙です。
傘のカバーをビニール傘に入れてしまうなら、記録がある日本が初でよいのではないでしょうか。ただ、完成形をもって「初」とするなら、フルトンの初期の記録も徹底的に調べる必要があるかと思います(ブランド創世期の記録はあいまいだったり、残っていなかったりすることも少なくありません)。

 

これ以上の断言は今のところできかねます。1956年から58年の間に、ビニール傘が新しいものとして世界で同時多発的に広まっているという状況が想像できるのみ、というところ。どうしても厳密に知りたい、という場合、傘の研究をご専門になさっている方にお伺いすればさらに詳しい状況がわかるかもしれません。

 

 

 

集英社クオータリー「kotoba」2021年冬号、12月4日発売です。

連載「スポーツとファッション」。<スポーツと政治>がファッションになった事件を扱いました。

特集は司馬遼太郎。amazonでも予約が始まっております。

 

 こちらはイギリス学の学徒にお勧め。すでにベストセラーですが、安定の君塚直隆先生による『悪党たちの大英帝国』。

 

 

 こちらは伝説の名著の復刻日本語訳版。ニック・コーンの『誰がメンズファッションをつくったのか?』。わくわくしますね。近日中にレビューを書く予定です。

静かな会食なるものが笑いのネタになっておりますが。

最近、複数の方から偶然に同じような質問をいただきました。「男性のドレスコート指定のクリスマスパーティーにお招きいただいたが、女性は何を着たらよいのか?」と。

年末のパーティーに関しては、広い会場でフィジカルディスタンスを保つ、着席にするなどの注意を払ったうえで開催するところも少なくないのですよね。

で、ドレスコードの質問をいただくのです。「ダークスーツでお越しください」という指定がある場合、あるいは「カクテル」と書いてある場合、女性は何を着たらよいか?と。

質問をくださったそれぞれの方には、会場も主催者も趣旨も異なるので、別の回答をしたのですが、一般論として、私の考えを書いておこうと思います。

「ダークスーツ」指定、「カクテル」指定、(いずれもほぼ略礼装)というのはいちばん悩むところかもしれませんね。主催者がどなたか、会場がどこか、他にどのような出席者がいるのか、あなたの立場はどのようなものなのかで、まったく考え方は変わってきます。

主催者および趣旨、会場のレベルや規模、他の出席者を考慮して、「浮かないことを第一にしたい」ということであれば、上半身が華やかなブラウスとアクセサリーをメインに据えたコーディネート(今ではパンツスタイルもありです)、またはワンピースドレスが鉄板です。ドレスアップに慣れないようであれば、靴だけでも普段とは異なる華やかな靴にする。そうすれば、主催者に対しても他の出席者に対しても失礼になることはありません。

会場がホテルのボールルームのようなところであれば、照明に映える生地やアクセサリーを考え、「ちょっとやりすぎかな?」と思うくらいのドレスアップをしてちょうどいい、ということが多いです。暗いのにシャンデリア照明、という独特の光のもとでは、光を受ける生地やアクセサリーがないと、浮かないどころか沈み込んでしまいます。笑 何度も書いておりますが、「迷ったら格上」ですね。カジュアルダウンで、会の雰囲気をもり下げる失礼よりはましです。

上はいずれも「浮かない」人でありたい、という時の考え方。会場の照明を考えることは、けっこう重要。

私は、あくまで趣旨や参加者などの状況によっては、ですが、「記憶に残る人」であることを選ぶことがあります。「目立つ」ことと「記憶に残る」ことは全く違います。準備には相当のエネルギーを要しますが、どうせ同じ時間を過ごすなら、浮かない努力をしたあげく忘れ去られるよりも、同じ時間を過ごした方々の記憶に残るための努力をしたほうがいい、と考えます。いずれにせよ、会の成否を決めるのは参加者なので、どういう形であれ、自分の存在そのものが否応なく何らかの貢献になっているという自覚をもっておきたいものです。

くどいですが、すべての状況を考慮して、「浮かない」ことを優先するか、「記憶に残る人になる」ことを優先するか、自分のありかたを自分で決めて対応します。(そこまでは他人が助言できません)

 

いずれにせよ、この時期はマスクも必須だと思いますし、名刺交換に代わる挨拶も臨機応変に考えたほうがいいですね。面倒と思えば、今の時期ならあっさり欠席という返事をしても失礼にはならないと思います。ただこの時期にあえて開催しようという主催者は相当の覚悟と準備をしていると思うので、欠席と返事される場合はそれなりのフォローをするとよいと思います。

感染症予防に最大限の注意を払って、それぞれの納得のもとに、年末のよきシーズンをお過ごしください。

 

 

 

 

岩田健太郎先生が、11月11日の朝にこんなツイートをなさってました。

 

『マナーって難しいですね。日本の医学部にいると、中で「マナー」と称されているものは偉い人のわがままな価値観の押しつけがほとんどです。一度、目上の人に会うとき白衣で行ったら「作業着を着たまま俺に会う気か」と怒られて、なんてめんどくさい人か、と唖然としました。』

憶測にすぎませんので違ったら恐縮なのですが、岩田先生はその時、もしかしたら、ぺらぺらのポリエステルの白衣を着ていらしたのでは? テイラーの技術で作った見るからに上質な「クラシコ」の白衣を着ていかれたら、先方の反応も違ったのでは?とふと思いました。

「白衣=作業着」という反応をする偉い人にもたしかに問題はあるとは思いますが。

 

ここぞのときの服が相手に与える印象、ひいては場に与える効果って、ほんとうに大きいですね。もちろん、もっとも大切なのは本質的に重要な仕事であることには変わりないですが、こうしたささいな印象の差が、翻って自分のキャリアに跳ね返ってくることもあるので、やはり少しの気遣いをするのにこしたことはないですね。

 

私が「クラシコ」の広報担当者なら、すぐに岩田先生に一着、白衣をプレゼントするんだけどな。お似合いになりそう。で、その後の同じ方の反応を聞いてみたいです。笑

北日本新聞別冊「まんまる」連載「ファッション歳時記」

No. 111 「うどん屋はどうやって国際的ブランドを築いたのか」

まんまるは来月、創刊200号記念です。私は2011年から連載しているので9年間。感慨深い。

NewsPicks にて、コロナ後のファッションの変化と、そこから見える価値観の変化について語りました。かなり読み応えあるかと思います。お時間ゆるすときに。こちらです。

以下は、Pick に添えたコメントです。

 

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ミラノ、パリコレクションが終了した時点で、コロナがどのようにファッションを変えたのか、「ニューノーマル」なファッション状況から読み取れる人々の価値観の変化は何なのかを整理してみました。

・ニューノーマルというけれど、ノーマルってそもそも何なのか?
現実が非日常的という状況のなか、ノーマルとアブノーマルの区別はいったいどこにあるのか?

・日常を機能的で味気のないもので満たしてそれでいいのか? 日常をこそ輝かせることに、これからの私たちは意識を向けるべきではないのか?

・ファッションエリート都市よりもむしろ、日常を豊かに満たす個性的なローカルにしっかりと腰をすえ、そこから発信していいのではないか?

・あふれかえるラグジュアリーブランドは、本質的な意味でラグジュアリーではなくなっていたのではないか? ラグジュアリーの本来の価値が改めて問われており、その意味と表現が変わりつつある時に来ているのではないか?

・とはいえラグジュアリーブランドも世の中に対してアクションをとっている。それはいったいどのようなものなのか?

・歴史は繰り返す。かつて今と同じような動きがあった時代があり、そこから学べることがあるとしたら、それは何なのか。

それぞれのファッションブランドの具体的な動向から考えてみました。お読みいただければ幸いです。

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こちらからどうぞ。

〇先日のダノンビオのトークイベントの概要です。共同通信。こちら

11月22日までYoutubeで配信されているそうです。

 

〇English Journal 12月号に書いた「イギリス文化論:ファッション編」がウェブでも読めるようになりました。とはいえ、途中から有料会員様限定ですが……。こちら。本誌と同じ記事です。

 

〇NewsPicks 洋服の青山が400人の希望退職を募るという記事に対するコメントです。会員ではない方のために、以下、コピー。

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歴史をたどると男性服には「下克上の法則」があって、
標準とされる服は常に「格下」のカジュアルな服にその地位を譲り渡してきています。

かつてビジネスの世界でもモーニングコートが昼間の標準的正装でしたが、カジュアルウェアとしてのラウンジスーツ(現在のスーツ)にその地位を奪われ、いまはモーニングはフォーマルの世界で生息しています。

150年くらい、ラウンジスーツの覇権が続いていましたが、いま、次の下克上が起きつつあるということなのでしょう。

これまで格下とされてきたタイレスのジャケパンスタイルやジーンズまでもが標準的なビジネスの正装になっていき、ネクタイ付きのスーツはフォーマルウェアの領域に近いところ、あるいはプライベートでのここ一番の勝負服や趣味的な服というステイタスで生息し続けるでしょう。

人を部品や歯車とみなすような画一的で味気ない黒の量産スーツは、そういう働き方が好まれなくなるとともに、なくなっていくと予想されます。

それにしても、青山商事だけではないですが、女性管理職の需要に応える、まともなビジネススーツの需要はこれから本格的になりそうなのに、なぜここに本気で取り組まないのでしょうか? リクルートスーツとはまったく別物の、管理職にふさわしいスーツがほしいのにない(選択肢が少なすぎる)、という声をあちこちから聞きますが。

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日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。

7日には、カポーティ、カーダシアンにかこつけてSNSの泳ぎ方(のNG)について書きました。電子版は、こちらです。

 

それにしても、あちこちで書いてますが、「親しい友人など、内輪だけ」のパーティーをいちいちSNSにアップするっていかに観客の神経を逆なでするのか、よく理解したうえで、虚栄心との兼ね合いを考えて投稿したいものですね。人間の観察ができるという意味では非常に面白くありがたいサンプルなのですが。

 

ダノンビオのトークイベントでも「おすすめ本」として紹介しましたが、三島由紀夫の「不道徳教育講座」「行動学入門」でも再読して、人間の感情の扱い方をおさらいしておきましょう。


「約束を守るなかれ」「人を待たせるべし」「人のふり見てわがふり直すな」など逆説的真理のオンパレード。逆説を使って人を魅了する文章のテクニックもしびれます。

 

こちらもおまけに。

三島節に少し慣れたら、小説もぜひ。

感情は最も大切に繊細に扱うべきものですが、決して感情的な表現をしてはいけない。私が三島由紀夫やオスカー・ワイルドから学んだ、人づきあいの要諦の一つです。

English Journal 12月号発売です。

特集「世界を創ったイギリス文化論」。美術、デザイン、音楽、文学、戯曲、ファッション。私はファッションの部を書いています。

 

イギリス人にしか通じないスラングの記事もあり、英語を学ぶ人、イギリス文化を学ぶ人は、必読ですよ。

(Click to amazon)

プリンスホテル東京シティエリアで第二回目となる英国フェアが開催されております。Timeless U.K. the British Fair 2020.

1日からの開催に先立ち、10月30日にザ・プリンス・パークタワー東京にてレセプションが行われました。

たっぷりとフィジカルディスタンスをとって、でも親しさの感覚は失わないような、着席スタイル。

開宴までは、カジノなどでおもてなし。参加賞のプレゼントが素敵で、なかなかの人気でした。スタッフはこのようにマスクの上にフェイスガードで、すべての領域で安心・安全を第一にサービスが提供されています。

ウェストミンスター寺院をかたどった氷の彫刻。いつもながら圧巻です。宴が終わると溶けていくだけなのに、この精緻な作りときたら。

フレグランスエキスパートの地引由美さんと写真を撮りましたが、会場がやや暗く、写真を明るくする編集をしたらアナ雪風に。私はドレスと共布のマスクをつけております。

心斎橋リフォームの内本久美子さんと。今回もご協力くださっている鎌倉アンティークスのコーナーにて。

イギリス最高峰のスパークリング、ナイティンバーがフリーフロー状態で注がれます。

会場にはアストン・マーティンも。

ウィンブルドン・ブリュワリーのビール。中世から修道院でビールの醸造が行われていた由緒正しき町、ウィンブルドンから日本初上陸。

 

駐日英国大使館から、マリー=クレア・ジョイスさん。

東京シティエリア統括総支配人の武井久晶さん。

恒例のテープカットセレモニーも華やかに。

今回の目玉企画の一つが、BLBG社長、田窪寿保さん監修によるジェームズ・ボンドのディナー再現。キッチンテストで試食しましたが、これはボンドマニアの男性同志で楽しんでも相当、盛り上がるのではと。笑

ボンドの世界観を表現したディナー。ベルーガキャビアからスタートします。あの原作、あの映画のあのシーンに出てくる料理の数々。

©Tomoko Kaneko. イラストの女性が誰かに似ていると話題です。

ロンドンのデユークス・バーとのコラボは、紀尾井町のザ・プリンスギャラリーで。ボンドマティーニ3種は、パークタワーやテーブル9でどうぞ。

ザ・ギャラリーのソムリエ、藤永希さん。

プリンスホテル全体のエグゼクティブ・ソムリエ、市村義章さん。

カルチャーの部では、私もイブニングセミナーを開催します。フェイスガードをつけて壇上で話しました。12月5日(土)16:00~17:30 。テーマは「変わりゆくラグジュアリー」です。昨年同様、ほぼフリーフローのドリンクがつき、ギャラリーのプチコース仕立ての軽食がつきます。おひとりさまでもどうぞ。昨年は、おひとりさまがほとんどで、ゲスト同志でお友達になってお帰りになりました。

この日、着ているドレスは、「007 No Time To Die」にも登場する「スペクター」でのレア・セドゥのドレスにヒントを得たもの。心斎橋リフォームの内本久美子さんに生地から選んでもらい、パタンを起こして作っていただきました。

バックスタイルにポイントがあります。共布のマスクも作っていただきました。さすがの久美子さん。昨年の英国旗ドレスに続き、久美子さんのセンスに惚れ惚れしております。


アストンマーティンと共に記念写真。ってアストンマーティン見えないじゃないか。左から、内本久美子さん、ヘアサロンのオーナーで毛髪診断士のMika Amata さん、中野、地引由美さんです。

フェアの詳しい情報は、こちら

中野のイブニングレクチャーのお申し込みは、こちら

地引由美さんが美しい写真とともにフェアの様子を詳しくご紹介くださっております。こちらです。

Mika Amata さんがインスタで詳しくご紹介くださっています。こちらをどうぞ。

内本久美子さんが、インスタでドレスのことを紹介してくださっています。こちら

イギリスが再度ロックダウンになってしまった今だからこそ、日本にいながらにしてUK擬似体験を楽しめます。ホテルはメディア。フェア期間、東京シティエリア8つのホテルそれぞれの特色を活かして、イギリス文化の魅力を発信していきます。

日本のラグジュアリーを伝えていくFRaUの連載、更新しました。

テイラリング、ビスポーク、女性のテイラードスタイルから、白衣まで。

どうぞこちらでご覧くださいませ。

『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』。一足早く拝見しました。


Arena, Miami, 1978 (c) Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate 
Courtesy Helmut Newton Foundation
稀代の悪ガキ写真家、ヘルムート・ニュートンの実像を、彼とかかわりのあった12人の女性の証言により
浮かび上がらせるドキュメンタリー映画です。


David Lynch and Isabelle Rossellini, Los Angeles, 1988 (c) Foto Helmut Newton, 
Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton Foundation 

イザベラ・ロッセリーニとデイヴィッド・リンチ。80年代にはこの二人のコラボに夢中になってたなあ。

Helmut at home, Monte Carlo, 1987 (c) Foto Alice Springs, 
Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton Foundation 

「魂なんてよしてくれ」、「アート、センスがいい、というのは汚い言葉」などの名言も多々。

Charlotte Rampling (c) Pierre Nativel, LUPA FILM

ミステリアスなシャーロット・ランプリングも語る語る……。
20世紀後半の写真、ファッション、映画に関心のある方にはとりわけお勧めです。 

12月11日(金)よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国順次公開
2020年/93分/ドイツ/英語・フランス語・ドイツ語 /配給:彩プロ

Vulcanize London が生まれ変わりました。

英国を舞台にした新感覚の「劇場型」エンターテイメント・リテイルショーケース、The Playhouse.

BLBGと、完全オーダーメイド型結婚式「CRAZY WEDDING / クレイジーウエディング」を展開する株式会社CRAZYによる共同運営となります。

プレオープンのレセプションに伺いました。おめでとうございます。

左はBLBG社長の田窪寿保さん、右は鎌倉アンティークス代表、土橋正臣さんです。みんなマスクで息苦しそうな写真ですが。私が着ているドレスは、ダノンビオのイベントで着ていたものと同じもの。Hiromi Asaiの生地を使って廣川輝雄さんが制作してくださいました。マスクもおそろいです。

先週、23日に掲載された読売新聞連載「スタイルアイコン」です。

RBGの巻。

AERA STYLE MAGAZINE winter 2020 発売です。

「現代の贅沢品を考える」特集で巻頭エッセイを書きました。

もはや、かつてのラグジュアリーブランドは、ラグジュアリーとは言えないことも多い時代になっています。

ラグジュアリーの本質的な意味と、現代における新しい意味をすっきり解説しました。本誌でご覧くださいね。

ダイナミックなイラストは、前号に引き続き、早乙女道春さんです。

(Click to amazon)

 

二日連続で、リアルでのレクチャーでした。やはり人の顔をリアルに見ながら話すのは充実感が桁違いにありますね。ズーム疲れとは全く違う、心地よくさわやかな疲れ方。

高輪の日本庭園に癒されつつ。

 

☆ダノンビオ主催の「キレイのつくりかた」トークイベントは、本日です。こちらからどうぞ。

 

日本のラグジュアリーを伝えていく連載の第6回です。Mame Kurogouchi.

 

ぜひ、ウェブサイトでお読みくださいませ。こちらです。

 

<以下はニューズピックスでのコメントです>

Mameは日本でも絶大な人気ですが、Tods とのコラボはじめ、世界的にも注目を浴びています。

長野でご家族が育てた農作物を食べて育ったデザイナーは、「よいものを作るには時間と労力がかかる」ということを祖母の背中を見て知っており、その哲学が彼女の服作りにも反映されています。

日本的なラグジュアリーとして紹介していますが、マメの「日本らしさ」とは歌舞伎とか伝統芸能とかという「日本らしさ」「和の伝統」などとはまったく別物です。デザイナーの地に足がついた個人的体験を徹底的に大切にしていることから生まれているということが現代的です。

プレスルームを羽根木という土地においたということ。ファッションブランドが表参道や銀座にこだわるのは過去の話。緑に囲まれた美しい住宅街で、近所の人々と毎朝、声をかけあい、花屋で花を買い、果物のおすそ分けをもらったりしてローカルレベルで幸せになる。そんなビジネスの在り方も次世代感覚にあふれています。

 

 

日本経済新聞連載「モードは語る」

本日は、foufou をとりあげました。月平均売上3000万円、プロパー消化率90%、原価率50%の脅威のD2Cブランド。

(本紙に掲載された、デザイナーに提供いただいた写真です。foufouの服を着た女性たちが、くるくる回る)

マール コウサカ氏が究めるD2Cの本質とは。マール氏に聞いたラグジュアリー観も紹介しています。これからのラグジュアリーを語るときに、マール氏の考え方はとても重要だと感じます。

電子版は、こちら。ぜひ、ご一読いただければ嬉しいです。

婦人画報.jp 連載第12回。「英国トラッドの宝庫! キーワード別『アン王女の装い』」

 

こちらから、どうぞ。

JBpress autograph 連載第6回は、ジャパンツイードによる牧羊業を救うプロジェクトのご紹介です。

 

こちらから全文をご覧ください。

「まんまる」11月号が発行されました。

連載「ファッション歳時記」第110回は、「戻る・戻らない・戻れない…」。

高田賢三さんがCOVID-19 に感染し逝去されました。訃報は海外でも詳しく報道されています。

1970年代に、伝統的なパリモードの世界に鮮やかな色彩、大胆な花やジャングルのモチーフ、民族衣装から着想を得たデザインなどを持ち込んで衝撃を与えました。パリに大きなインパクトを与えた最初の日本人デザイナーです。

ミシェル・オバマが来日した時、黄色が鮮烈な印象を与えるケンゾーのドレスを着てタラップを降りました。ミシェルが日本に対するリスペクトを示すために選んだデザイナーが、高田賢三だったのです。

パリに住んでいらしたこともあって、パリ市長もすぐにツイートしています。「深い悲しみにつつまれている。パリは息子の一人を失った」。

寛斎さんに続いてまた一人、大きな功績を遺したデザイナーが旅立たれたことを悲しく受け止めています……。

ご冥福をお祈りいたします。

 foufouというブランドを展開するマール コウサカさんの初めての本、『すこやかな服』(晶文社)。

foufouは服を通して新しい時代、新しい社会を創ろうとしています。それを感じたので、次回の日経連載(10月10日夕刊)にも詳しくご紹介します。読んでみてくださいね。また、FRaU連載でも別のアングルから取り上げるかも。

とにかくこの本も面白い。彼の反骨精神、やさしさ、ユーモア、オリジナリティ、なによりも芯のある思想がしかと伝わってきます。現行のファッションシステムに対する不満をもつ人、手ごろで機能的な服の氾濫に違和感を覚える人、マール氏の本を読むと爽快な視界が開け、くるくる回りたくなってくるでしょう。新時代のラグジュアリーについて考える有益なヒントが満載でした。次世代にこんなデザイナーがいるということの頼もしさ。マメ・クロゴウチもそうでしたが、なんだかうれしい、希望がもてる。

 


(いつもの、という感じになりましたが。ザ・プリンスパークタワー東京のお隣さん)

日本発のラグジュアリーを紹介していく連載の第5回は、マザーハウスです。

 

企業姿勢そのものが、これからの時代にフィットするラグジュアリーの条件を満たしています。

詳しくは、こちらをご覧くださいませ。

 

FRaU連載で語るため、マメ・クロゴウチの取材。

プレスルームは、世田谷区羽根木の、緑が多い素敵な住宅街にあります。お洒落長屋も。なぜここにプレスルームをおいたのか?ということにも理由があり、これについては連載で語ります。

アトリエがたくさん立ち並ぶような素敵な建築。安藤忠雄さんの双子の弟さんによる建物だそうです。ていうか安藤忠雄の双子の弟さんって。知らなかった。(編集者がいろいろ調べてくださったので記事で掲載)


マメの服はすばらしかった。ひとつひとつストーリーが豊かなのです。精緻な作り込みから別格感が生まれている。詳しくは後日。


広報担当の小島佑太さんが、またすばらしい方だった。表現力といい、もてなし方といい、広報のお手本のようなコミュニケーション力の持ち主。

トッズとのコラボによる靴も。靴のカッティングがドレスの胸元のカッティングと同じ。販売権はトッズにありマメでは販売してないそうなのですが、完売したものもあるそうです。

やはり現場取材は学びが多くて本当に楽しい。詳しくは後日をお楽しみに。

Go Tailored Season 2 です。

今シーズン、フィジカルに撮影することが難しくなったので、スピンオフ、ひとりGo  Tailoredです。来春、また4人で撮影できることを願っています。

 

生地はThe Kunishima 1850 のコレクションより。中外国島は11月6日に社名を「国島」へと改名します。しゃりっとした感触の、いちおうは春夏ものですが、総裏にすることで秋口まで着用可能です。

 

テイラーはH&Sonsの廣川輝雄さんです。上着、ベスト、スカート、替えベスト、そしてマスクの5ピースを製作していただきました。

マスクは裏地とおそろいです。

表地に使っている生地は、どちらかというと、かなりオフィスライクです。ただふつうにまじめに着ていると、事務員の制服か学校の先生の仕事着のように見えます(ま、学校の先生でもありますけど……)

裏地をブルーにして、ポケットチーフにも使い、インナーと靴を同系色のやや濃いめの色にもってくることで、場に応じて裏地を見せ、華やかさを演出することが可能です。

手首の裏地を見せないと、このようにまじめな仕事服になります。手首の細部だけでかなり服のイメージが変わるのです。白い襟付きシャツをインナーに合わせることで、より格の高いスーツスタイルになります。

 

替えベストもThe Kunishima 1850 より。チェック柄のダブルにしていただきました。決めすぎない、カジュアルな印象を演出できるほか、夏場などは上着をとると、スリーブレスの社交着としても使えます。替えベストだけ他のスーツと合わせることもできるので、応用範囲はかなり広いです。プリンスホテルのオーストラリアフェアのレセプションのときに着用した白いスーツに合わせていたのも、このベストでした。白のほか、ネイビー、ブラウン、ブラックスーツにも合うはずです。

マスク着用バージョンです。

 

撮影は稲垣純也カメラマン、撮影ご協力はザ・プリンスパークタワー東京です。ありがとうございました。

ビジネススタイルに投資するなら、選択肢の一つとして、10年以上は着回し可能なテイラードをお勧めします。お直しをしていくことで、かわりゆく時代の感覚にも、自分の体型にも(あんまり変わりたくもないですが)合わせながら愛着をもって着ていける、サステナブルな服です。ファッショントレンドを無意味にできる、最強の服。国産の生地を応援し、日本のテイラーを支援することで、メイド・イン・ジャパンのラグジュアリーの底力のPRにもなります。なによりも、まだまだジェンダーギャップの大きい日本の重役室でも威厳を見せつけ(笑)堂々と振る舞うことができますよ。というわけで、Go Tailored!

WWD Japan 9月28日号。「弁護士に聞く、『文化の盗用』問題」のページがあります。

他分野の専門家として取材を受けたコメントが掲載されています。

文化の盗用問題、何度も語っておりますが、日本人は海外の事情を知らなさすぎ(報道されなさすぎ)なのではと思うことがあります。ぜひ本誌でごらんくださいませ。

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。昨日は、カマラ・ハリスをとりあげました。

 

 

 

フレデリック・マルの調香師サミット。ジャン=クロード・エレナ、ドミニク・ロピオン、モーリス・ルーセル、アン・フィリッポなどスター調香師が語る語る。ズームならではの企画ですね。エレナの優しい瞳が印象に残る。香水はミステリアスに見えるけれど、みな一様にそぎ落とした「シンプリシティ」を目指しているとか、二人の人間の出会いによって香水が生まれるとか、名言もちらほら。

それにしても、香水を通して文学、音楽、人間、映画、ビジネスをこれだけ語れるとは。さすが香水の国フランス。近日中に調香師映画の新作もまいりますよ。いまパンフレット原稿を書いてます。情報解禁までしばらくお待ちくださいね。

日本発のラグジュアリーを紹介していく連載の第4回は、アイウェアのアヤメです。

日本人の骨格を徹底的に研究して生まれたアイウェアとは。

部外者が業界を救うという例でもあります。こちらからどうぞ。

 

FRaUの日本発ラグジュアリー連載、第3回目は、「オーラリー(Auralee)」をピックアップしました。

日本的なセクシーさへのアプローチ、「エレガンス」の定義、ラグジュアリーと年齢との関係、ロマン主義との関係なども語っています。

お時間ゆるすときあれば、どうぞ。こちらです。

本日の日本経済新聞朝刊で、最近の日本におけるジェンダーフリー(ファッション)についてコメントした記事が掲載されています。17面のIn Focus (なんと一面まるまる)。電子版は、こちら

 

Z世代はほんとにジェンダーフリーネイティブ。性役割はもちろん重要なことも多いですが、それ以外の場面において、そもそもジェンダーなど問うことじたいが古くさいという時代になるとよいな。上の制服ラインナップに男子もスカートを選べるという選択肢が加わってほしいところですよね。ギャルソンやゴルティエ、あるいはトム・ブラウンやヴィヴィアン・ウェストウッドのメンズスカート、かっこいいよ。

AUXCA TRUNKの取材。

 

Auxca Trunk の赤坂サロンを取材しました。

こうして写真に撮るとなんということはないごくありふれた普通の服ですが、素材が選びぬかれ、独自の織り方で仕上げられており、きわめて贅沢で、袖を通してみるとその心地よさに魅了されます。

新しい時代のムードを着る、という感覚。スーツなのにジャージ着ているような感覚はいったい。

代表の隅谷彰宏さんは日本発のラグジュアリーをとことん考えぬいていました。詳しくはFRaU連載で語ります。

 

 

天皇陛下のシルクハットについて、取材を受けました。コメントが引用されています。


フォーマルウェアの体系において、第一礼装であるというアピールですね。シルクハットと手袋も含めて「モストフォーマル」な燕尾服のシステム。この場には第一礼装で臨んでおりますという最高レベルの敬意の表現です。

 

 

JBpress autograph の連載にて、栗野宏文「モード後の世界」のレビュー書きました。こちらをどうぞ。

 

 

複雑なモードの世界を、白黒つけようとせず、カテゴリーに収めようとせず、包括的に抱擁しようというファッション愛にあふれた本です。

世界でたたかえる日本のラグジュアリーを考えていく連載の第2回です。

今回は西陣織の細尾さんを通して。こちらからどうぞ。

 

 

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」

12日付では、ピエール・カルダン映画をご紹介しつつ、カルダンの功績と人生をまとめました。

この方が日本に果たした貢献は大きい。まだファッション後進国だった日本へやってきて、森英恵や高田賢三らとも交流し、松本弘子というミューズを世界で売り出し、日本女性の美しさにお墨付きを与えました。98歳でご存命です。力強く自由な生命力に感嘆します。

婦人画報ウェブサイトの連載 Vol.11 .

世界の女性リーダーの説得力ある登壇スタイル。こちらです。

クリスティーナ・ラガルド、アレキサンドリア・オカシオコルテス、ジャシンダ・アーダン、ウルスラ・フォン・ディア・ライアン、カマラ・ハリス、ジェーン・フォンダ、メラニア・トランプの7人。彼女たちのバックグラウンドの解説に力を入れてます。メラニア評にもっとも私っぽさが出ているかも。読んでみてくださいね。

 

日本でよくある服装マニュアルは、無意味だなと思うことが多い。あれこれのアイテムがタブー、というのはリーダーの世界にはない。言葉や背景、行動の裏付けがそこにあるかどうか。トータルとして「態度」となって、あるいは「メッセージ」となって機能しているかどうかを考えたいところです。

“Mind your speech a little lest you should mar your fortunes.” (By William Shakespeare)

北日本新聞別冊「まんまる」発行です。

 

連載「ファッション歳時記」第109回は、『「役に立たない」至福の贈り物』。

贈り物のセンスがいい人って、やはりおしゃれだな!と思うのです。投資すべきは、服よりもギフト。

MIKIMOTO 2020 のカタログができあがりました。顧客さまに配布されるほか、店頭でもご覧いただけるようです。

ジェンダー・ニュートラルなパールネックレスについてのエッセイを寄稿しました。英語版もあります。


お目に留まる機会がありましたら、ご覧いただけたら幸いです。

 

秋にもう一媒体で新連載が始まりそうです。しばしお待ちくださいませ。ひとつひとつ、手を抜かず取り組んでいきたいと思います。

講談社FRaUのウェブサイトで新連載がスタートしました。

Everyday Life, Everyday JAXURY.

日本初のオーセンティックなラグジュアリーを紹介しています。

ファッションディレクター森岡弘さんとの対談形式です。

第1回は、グランドセイコーを通して現代的なラグジュアリーや、日本らしさとは何か? などについて語っています。こちら

 

 

 

トルーマン・カポーティのドキュメンタリー映画を拝見しました。「トルーマン・カポーティ 真実のテープ」(The Capote Tapes)。

「ティファニーで朝食を」「冷血」で世界的に有名な作家カポーティ―の、きめこまかい人間描写にぐいぐい引き込まれる。

背が低い。ゲイ。声が女性っぽい。母は社交界に憧れて願い叶えられず自殺。孤独。愛されない。そんな生い立ちや背景を知ることで、数々の名作が立体的にエモーショナルに立ち上がってくる。

カポーティは作家であると同時にセレブリティだった。社交界の「道化」の役のような立ち回り。なぜそんな振る舞いをしたのか。人々が自分を「フリーク」として見る。そのぎょっとした視線を感じる。だから、カポーティはわめき、騒ぐ。そうすることで人々を気まずさから救ってやるために。「砂糖漬けのタランチュラ」「指折りの人たらし」「一度は会いたいけど二度は会いたくない有名人」「掛け値なしの奇人」などなど、彼を表現する悪態すれすれの呼称から、どんな印象を周囲に与えていたのかうすうす察することができる。

20世紀最大のパーティー、「白と黒の舞踏会」は、世界中から500人の著名人を選び抜き、招いた。ベトナム戦争のさなかに開催された、虚飾の極みのザ・パーティー。これについては25ansにも記事を書いておりますが、カポーティの生い立ちや立ち位置を知ることで、壮大なリベンジであることが感じられた。叶えられなかった母の祈りを、こうして叶えたのだろか。

スワンと呼ばれた社交界の華、当時のニューヨークのリッチ層の描写が豊富できめこまかく、文化史としての発見が多々ある。「白と黒の舞踏会」のセレブリティのファッションも、言葉を交わし合う当時の著名人たちの立ち居振る舞いも圧巻。

1977年のカポーティ。Photo by Arnold Newman Properties

セレブの秘密大暴露本でもある「叶えられた祈り」の発表がもたらした余波とバッシングのくだりも興味深い。いまにつながるゴシップ込みのセレブカルチュアは、この人から始まっていたのですね。文化史、文学史を学ぶ上でぜひ見るべき生々しいドキュメンタリーであると同時に、「特別な生き方」を貫こうとした一人の天才の栄光と転落、孤独と喧騒、愛と冷酷にも迫る見ごたえある映画になっています。

 

監督・製作 イーブズ・バーノー
配給 ミモザフィルム
11月6日よりロードショー

この問題作も読みたくなったのでポチリ↓

「婦人画報」10月号。

ハンドバッグ特集で寄稿しました。

ハンドバッグには、アトリビュートないしシンボルとしての一面がありますね。

 

サステナ精神も求められる現在、バッグの「価値」の基準も変わりそうです。

 

そういえば、「研究・イノベーション学会」で講演をおこなったとき、質問タイムにブランドバッグについての話題も上がった。一部のバッグは、買う時には確かに高価だが、年月が経っても中古市場でさほど価格を落とさず売ることができるという現状の話をすると、「そのようなブランドバッグは通貨として機能しているのですね」という指摘がありました。なるほど、たしかに。鋭い指摘。

GQ10月号発売です。「コロナが変えるモード 未来へ移行中」というコラムを寄稿しました。お時間ゆるすときにでもご覧くださいませ。

 

それにしても、BTSというグループを知らなかった。世界中で大人気なんですってね。しかしこうして表紙になった顔を見ても、区別がつかない……。

 

★★★★★

朝日カルチャーセンター新宿での講座のご案内です。

「流行を作った変革者 ファッション史を織り上げるプレイヤー列伝」。

10月3日(土)13:00~14:30。お申し込みは、こちらから。

 ユナイテッド・アローズのクリエイティブディレクター、栗野宏文さんの初めての本。わかりやすい言葉でファッションと社会の関係を語る、ファッション愛にあふれた本です。現在の社会状況の分析も面白い。栗野さんの主観が徹頭徹尾貫かれており、それが快い。以下はとくに興味深いと思ったところの備忘録メモの一部です。正確な引用ではないので、みなさんはぜひ本書を通して読んでくださいね。

 

・バーチャルグルメ、バーチャル健康など、自分が消費するのではなく、他人が消費しているのを見て、消費の気分に乗るというだけで満たされる、それは現在の消費社会の一特徴。

・本来、モードは特権階級と非特権階級という図式に依拠していた。しかし、ファッションブログ→インスタグラムを経て、完全にフラットになった。その意味ではモードは終わった。モードに変わる言葉は、ダイヴァーシティ。

・クリエイティブなビジネスとは、パクチー(ヘイト)である。世間に出るということは、たとえ嫌われてもいいからパクチーでいようということ。

・どんな変人でも、意地悪そうな人でも辛口な人でも、本質的に人間としてまともかどうかが、一番重要。これを「トラッドマインド」と呼んでいる。根本に服に対する深い理解と愛があるかどうか。「ひとりひとりのお客様と向き合い、いつの時代も多様なスタイルに応えるということ」がトラッドマインド。

・クオリティが高かったり、飽きがこなかったり、完成な度が高くて、それ以上いじりようがない原型、それをリアルシング(本物)と呼んでいる。

・ファッションには、人間が人間として、リスペクトされるための装置としての側面がある。その人の人間性がファッションを通じて外に醸し出されていく、その手助けをするようなファッションが、今一番求められている。

・どんなにスケールの大きなビジネスでも、一番大事なことは、そこにエモーションがあるかどうか。ブランドとはエモーションの塊である。(←名言)

・おしゃれに興味を持つということは、自分ときちんと向き合うということ、自分を見つめるということ。それができる人は、他人に対しても同じようにきちんと向き合える。おしゃれとは生き方の問題であり、その本質は結局、自分が自分らしくいるかどうか。

・ファッションにおいて一番よくないのは、過剰な足し算と妥協。多くの人は人の目を気にしすぎているわりには、自分に何が似合うか本質を見極めていないし、自分と向き合っていない。

・忖度というのは批判されないための防御。リクルートスーツ、お受験スーツなどは忖度しすぎてモンスターになっている。

・日本には西洋のような階級社会がない。日本のファッションにはセダクション=性的誘惑性がない。だからユニークで面白い。

・現代日本において男の着物姿は遊び人風に見えるが、女性の着物姿にはある種の威厳、「押し出しがある」。

“It is your work in life that is the ultimate seduction. “(By Pablo Picasso)

<おまけ 過去に栗野さんとご一緒させていただいた鼎談のなかから>

 

 

 

昨日の仕事は紀尾井町でした。建物の中にいる限り、気持ちのよい絶景ですが、外は37度の熱風。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。

本日は「クラシコ」の白衣について書きました。


取材にご協力いただいた「クラシコ」のみなさま。左上は広報の廣田さん、左下は創業者の大和新(おおわあらた)さん、右下はEC責任者の江村さんです。

 

電子版は、こちら

ありがとうございました! ますますのご発展を応援しています。

 

“Dignity, and even holiness too, sometimes, are more questions of coat and waistcoat than some people imagine.” (By Charles Dickens)

北日本新聞別冊「まんまる」連載「ファッション歳時記」No. 108

「危機下での『服装の価値』です。

戦時中の貴重な資料を快くご提供くださいました「婦人画報」編集部に感謝します。

 

“This I consider to be a valuable principle in life: Do no thing in excess.”(By Terence)

〇JB autograph 連載「モードと社会」第4回です。「フェイクも包摂する時代」。

 

多様性と包摂を謳うことはよいことだ、というリベラルな態度はどこまで正しいのか。リベラリズムと多様性包摂の落としどころはどこなのか。『西洋の自死』を読んでからますます考えさせられます。フェイク礼賛のこのムードもまた、どこまでOKなのだろう。

“In our lives in a lot of ways it’s all about fake. You’ve got people wanting things for fake reasons.” (By Billy Corgan)

JB autograph 連載「モードと社会」第4回です。「フェイクも包摂する時代」。

 

多様性と包摂を謳うことはよいことだ、というリベラルな態度はどこまで正しいのか。リベラリズムと多様性包摂の落としどころはどこなのか。『西洋の自死』を読んでからますます考えさせられます。フェイク礼賛のこのムードもまた、どこまでOKなのだろう。

“In our lives in a lot of ways it’s all about fake. You’ve got people wanting things for fake reasons.” (By Billy Corgan)

 

 

〇ディズニーシー 続き。

 

ディズニーこそ多様性と包摂の象徴ですね。こうして平和に多様性が共存している世界はやはり、フェイクというか架空の世界でしかありえないのかもしれません。


荒れない海。サメのいない海。汚染されない海。

ほんもののヴェネツイアを見たら「ディズニーみたい」となりそうな作り込み。

 

 中央大学ビジネススクール教授の田中洋先生の「ブランド戦略論」。個々の具体例も交えながら、教科書としてブランドにまつわる知っておきたい理論が網羅されています。田中先生には、ラグジュアリー研究会にも(ズームにて)お越しいただき、ゲスト講師として貴重なレクチャーをしていただきました。多謝。ラグジュアリーの原則中の原則は、新・旧それぞれに通じるところがあり、普遍です。この分野を語る際には、ぜひ一読しておきたい一冊です。

ちなみに田中先生によるラグジュアリーの条件は以下の通り。新旧ラグジュアリーにともに通じる条件かと思います。「非日常」のみ今は少し変化しており、日常的にラグジュアリーを感じるラグジュアリーがあってもよいのではという時代になっています。

・知覚入手困難
・日常との距離=非日常
・希少
・社会的価値(他の人が良いと決めたこと)
・個人的関連性
・非有用性

「社会的価値」に関しても現在は過渡期でしょうか。他の人や権威が「価値あり」と決めたことは関係がないという人も増えてきました。

「ラグジュアリーのジレンマ」なる言葉も教えていただきました。ある程度販路を広げようとすれば希少性がなくなる。それに対する解決法も本書に書かれておりますよ。

 ダグラス・マレーの『西洋の自死』。500頁以上ある本ですが、具体例が多いので読みやすい。 足元がすくわれるというか背筋が寒くなるというか、明日の日本の姿かもしれない。

ファッションのニュースばかり見ていると、多文化主義やリベラリズム、寛容と多様性と包摂はとてもすばらしいことのように見える。人種差別は撤廃されるべきだと思う。ああでも、ほかならぬこの「人種差別はいけない」というリベラリズムが長期的に見て自国の文化の死をもたらしているとしたら。なんというジレンマ。複雑な問題の奥にあること、個々の具体例がもたらしていることをよく見極めておきたい。移民をどんどん受け入れるとどのような未来がもたらされるのか、日本人も西洋の実例の背後を見極めてから考えたほうがいい。個々の人に対しては、リベラルでありたい。しかし自国の文化の保全を考えることは、また別問題である。

 

〇銀座の老舗の百貨店に、ロックダウン解除後、はじめて買い物するつもりで行ってみました。かねてからひいきにしていたコーナーで、コロナ前はワンシーズンに1~2着は買っていたところです。久々に伺ってみると、新しい売り場ご担当者がいきなり「このブランドはキャサリン妃の妹さんも愛用している云々」と稚拙なブランドの解説をえんえんと始め(よりによってそのブランドの記事を書いている私に)、しばらく聞いていましたが我慢しかねた段階で「少し見せていただいてよろしいですか?」と言って商品を見始めると、「黄色は夏らしくてすてきですよね」「ストレッチが効いて着やすいですよ」などの無意味なお勧め文句を連発し始め、片時も自由を感じなかったので適当にお礼を言って退散しました。販売員のマニュアルセールストーク、あれは拷問に近いです。もっと黙ってくれていたら買うはずだった客をひとり逃がしましたね。

こういう売り方が嫌われるのでECやユニクロなどの「販売員が余計なことを言わない、なんならいない」ところへお客様が走っていたことはすでにコロナ前から明らかだったのでは? 接客をするにしても、ひとりひとり客を見て、適切な対応ができればそれはそれで百貨店販売の良さもあると思いますが、一律マニュアル対応というのはまったく時代に合っていません。コロナの自粛期間を経て何か新しい変化がもたらされているのかと思ったら、旧態依然。

他の売り場を見ても、外気温35度のこの季節に分厚いコートがずらりと並んでいたりします。誰が今買いたいと思うのか(一部の大のファッショニスタさんでしょうか)。こういう顧客のニーズや季節需要と合わない商習慣をやめようという声明が、ロックダウン中に各ブランド「本国」で出されていたはずですが、それは実現されなかったということですね。

自粛期間は抜本的に変えるチャンスでもあったはずなのに、いったい百貨店は何を学んでいたのでしょう? クローズを続けるアメリカの老舗百貨店業界の状況を見たらさすがに何か変化の手を打っていてもよかったのではと思いますが。「百貨店の自死」がもたらされる原因がいたるところに元のまま、放置されています。

 

“Quality is not an act, it is a habit.” (By Aristotle)

 

 サンモトヤマの創業者、茂登山長市郎さんが輸入ビジネスに賭けた一生のエッセンスを語りかけるように教えてくれる。戦後の闇市から現代までの日本におけるブランドビジネスの流れも学べる。

ファッションビジネスに携わる人だけでなく、多くの人に読む喜びを与えてくれる本だと思う。情熱、勇気、情、不屈の忍耐、人との交流の妙、損してトクする商売のコツなどなど、ひとつひとつのエピソードを通して学べることが多く、長い間積読していたことを後悔した。以下は備忘録を兼ねた茂登山さん「名言」メモです。

・心に軍旗を掲げ、その旗に忠誠を誓う。

・自分に会いに来る、自分を頼りに来てくれる、そんなお客さんを何人持っているか。「お得意さん」というのは、お客さんが得意になる、お客さんを得意にさせること。

・運、鈍、根、運、鈍、根……の循環を知る。

・運がめぐってくる可能性が高いのは、夢を売る商売。実際に売り買いするのは商品だけど、その中に夢やロマンが感じられるようなものを含ませて売りなさい。

・八方ふさがりでどうにもならない時は、大事なものだけ残してすべて捨てると、運が開ける。

・売る人と買う人と商品は三位一体。美しいものを売っていると、美しいものが集まってくる。それなりの物を売っていれば、それなりの人が集まってくる。儲かったら、商品の質もお客様も、そして自分も一段高く積み上げろ。(これはホテルビジネスを見ているとよくわかる。価格を下げると客層が下がり、意味不明なクレーマーが増えてホテルのスタッフが疲弊してやめていく。逆のパターンだとホテルスタッフも客によってどんどん磨かれていくのです。)

・自分で一流と言ったらおしまい。一流になりたかったら、一流の商品を売ること、一流のお客様とお付き合いをすること。(ラグジュアリーとは他称である、という考え方とも通じますね。やたら「一流のなんたら」というタイトルがついた本は、一流とはまったく無関係です。)

・商売も「やり過ぎ」「のり過ぎ」「マンネリ」は失敗する。

・セールスとは自分のすべてを売ることであって、物を売ることではない。「お客様に信用される自分」を売ることがセールス上達の近道。

・常にクオリティを追求しろ。クオリティを高めれば新しいお客様はつくが、落としたら誰も見向きもしない。

 

サンモトヤマは結局、長市郎さん一代限りで衰退に向かってしまいました。時代の流れもありました。茂登山長市郎さんは人間力が桁外れに高く、夢をもって商いを通して時代を作り続けた人でした。

 

“People will buy anything that is ‘one to a customer.’ “ (By Sinclair Lewis)

 

“People will buy anything that is ‘one to a customer.’ “ (By Sinclair Lewis)

 

 

 

◯小浜島 続き。

夕暮れ、浜辺でシャンパンを飲むという小さい夢は叶いましたが、あいにくお天気が今一つで、途中から雨もぽつぽつ。

 

とはいえ雲が多いお天気ならではの「ロマン派的」なドラマティックな空を堪能できました。

 


誰もいない夜の浜辺は、写真で見るとキレイですが、風の音もあいまってちょっと怖い。

小浜島に星を見に来たと言ってもよいのですが、あいにくこの夜空。時折、雲の晴れ間にのぞく星空には感激しましたが。南十字星はまた次回、ということですね。

翌朝。朝日も輝かしくというわけにはいかず、ドラクロワ的。

それはそれで迫力があり、ひたすら砂浜を散歩しているうちに雲の合間からの日の出も拝むことができました。

 

講談社FRaU のウェブサイトで日本のラグジュアリーに関する連載が始まります。スタイリストの森岡弘さんとの対談形式です。第一回の対談はズームでおこないました。担当は吉岡久美子さんです。

アップまでしばしお待ちくださいませ。

ラグジュアリーの研究会を進めているタイミングで、別のルートからラグジュアリーに関する仕事をいただくというのは奇遇ですが、やはり今は、日本のラグジュアリー産業を真剣に考えるべきときという思いに支えられた行動があちこちで発生しているということなのかもしれません。祈ることも大事ですが、行動しなくては変わらない。

 

“Industry need not wish.” (By Benjamin Franklin)

 

 

 

 

 

〇小浜島続き。(しばらく前の仕事旅のなかから写真をアップしています)

 

キックスケーターもない(話が違う…)とのことだったので、スタッフにカートでビーチまで送ってもらいます。途中の光景は自然の栄光に包まれ過ぎてどこか「ミッドサマー」味あり。

プール越しにビーチ。パラソルの配色が白日夢。


ほぼ宿泊客だけのプライベートビーチ化してますが、人はほとんどいません。「ベニスに死す」のラストシーンを一瞬連想してしまった。

透明すぎる海。

誰もいないビーチをひたすら歩く。ときどき転がっている漂流物を見るとかえってリアルでほっとする。シュールなくらい「何もない、誰もいない」。

ビーチにしつらえられたブック&カフェ。営業しておらず、ここにもだれもいない。ここで映画を撮るとしたらなんだろう。やはり「ジョーズ」系かな。島だから「蠅の王」かな。「ミッドサマー」の海版かな。(←なぜこういうグロい系ばかり)

絵葉書になりそうな光景。

陸側にはガジュマル広場もあり。

すわったとたん、なにかの仕掛けが起動してこわいことになりそうなハンモック型のチェア(この時点でかなり、妄想はダークな方にしか働かなくなっている)。


地球にこんな時間が流れているのかと驚かされる絶景。

ラグジュアリー産業を考えるときに知っておきたい組織の続き。

イタリアのアルタガンマ財団、フランスのコルベール委員会に相当するイギリス版の組織が、ウォルポールです。

1992年創設。イギリスのラグジュアリセクターを統括する非営利組織です。250以上の英国ブランドが所属しています。イギリスの経済にとってラグジュアリービジネスが占める割合は極めて大きく、ウォルポールがこのセクターを守り、発展させることに貢献しています。

前記事でちらと触れた、フランスのコルベール委員会も初めて聞くという方のために。

コルベール委員会とは。1954年にジャン=ジャック・ゲラン主導のもと創設されました。コルベールの名前は、17世紀のジャン=バティスト・コルベールに由来します。

ジャン=バティスト・コルベールは、1661年にルイ14世の財政管理をし、王室の建物、美術品、製造品の管理をおこなっていた役人です。世界にフランスの技術力を広めることに貢献しました。外国の技術を取り入れながら手工業の創設を奨励したり、海軍の拡張や 港の整備に尽力したりすることで、フランス製品の輸出を強化しています。

コルベールはまた文化人でもあり、ローマにアカデミー・フランセーズ、パリにコメディー・ フランセーズを設立しました。

そのように、現在のフランスのブランド産業、フランスのイメージの基盤を作ったともいえるコルベール氏の名に由来するのが、コルベール委員会というわけです。1954年当時のメンバーは15ブランドでしたが、今日では81ブランドが メンバー。創設当初から、フランス独自の技術と美意識を体現し、13の分野にわたり、フランス流 「美しい暮らし」を象徴しています。

こうしたコルベール委員会に匹敵するものが、日本にもあればと思う所以です。「クールジャパン」はまったく違うものになってしまいました。サブカルではなく、ラグジュアリーを束ねることで、日本の産業も文化もしかるべきステイタスを帯びていくのではないでしょうか。

 

ラグジュアリーを学ぶ過程で必出する「アルタガンマ財団」とは。

アルタガンマ(財団)とは、デザイン、ファッション、食品、ジュエリー、自動車、ホスピタリティの各分野の企業で構成されるイタリアの高級ブランド業界団体です。フランスのコミテコルベール(コルベール委員会)と同様の機能を果たします。アルタガンマの意味は「ハイエンド」、その名の通り、ハイエンドを扱います。

アルタガンマ財団の設立は、1992年。国際的に卓越しているイタリアのブランド、およびイタリア企業を保護するために設立されました。イタリアの産業とそれを支える伝統文化を促進するという貢献をしています。 含まれる企業は、革新性、品質、サービス、デザイン、名声、すべてにおいて高く評価されている文化的価値・起業家精神や哲学をもった企業ばかりで、単なる高級品のアイコンではありません。

日本のラグジュアリー産業全体を国際レベルで戦えるようにするには、まずはこのような組織が必要なのですね。

 

 

〇(しばらく前の仕事旅行がらみの写真をぼちぼちアップしています) 石垣島では7月にオープンしたばかりのANA Intercontinental Ishigaki Resort のベイウィングのクラブフロアに滞在。目を見張るラグジュアリーリゾートでした。


別ウィングの作り方、フロントの作り方などは、ハレクラニ沖縄を意識しているのかな? とも感じる。


部屋のベランダから見える景色はどこどこまでも夢のよう。見下ろすとクラブラウンジ専用のプール。かなたにはエメラルド色の海。クラブインターコンチでは24時間心地よいBGMが流れていました。夜空は星がまばゆく、下を見ればライトアップされたプールにBGM。なんという演出。


家具、ファブリック、アメニティ、食器類、ドライヤー、どれをとっても、とにかくすべてが「ベスト」「最新」尽くし。


ティーセットも南部鉄器。ティーバッグはTWG。冷蔵庫の中身も、カトラリーも、グラスも、すべて最高峰でおしゃれ。感動するレベルです。

支配人からのメッセージとプレゼント。クラブフロアのゲストには日傘がプレゼントされるのです。手書きのメッセージに心があたたかくなります。


ナチュラルな木のイメージ×波のイメージを生かした館内(廊下)のインテリア。お部屋の鍵にいたるまでデザインにそのコンセプトが生かされています。

各階のエレベーター前には、個包装のマスクと、アロマウェットシートが。使い放題です。このアロマシートがあまりにも気に入ったので、即、アマゾンで購入しました。ラベンダーがお勧め。

 


マエサトビーチへの期待を盛り上げるアプローチ。

この標識のセンスのよさったら。

かぎりなく透明な海がどこまでも。


本館へと続く庭園も徹底的に演出がほどこされており、飽きさせません。

 

” The love of heaven makes one heavenly.” (By William Shakespeare)

 

 

“Wild waves rise and fall when they arrive.  And that’s what makes the calm sea alive”  (By Munia Khan)

 

〇仕事で石垣島。こちらもしばらく前のものですが、支障ない程度にのこのことアップします。


那覇を過ぎるあたりから海の景色が変わってくる。


上から虹を見おろしたのは初めて。翼の下の方に、虹が見えるのがわかりますか?


拡大します。これこそOver the Rainbow.


人間の力ではこんな美しい光景は作れない。

 長い間、積読状態でしたが、読み始めたら一気に読了。黒木亮『アパレル興亡』。

小説の体裁をとっていますが、戦中から現在までの日本のアパレルビジネスの歴史が綿密に取材されており、アパレルビジネスの興亡を通して日本社会の推移も描かれる。これだけの取材するのはどれだけ大変か、痛いほどわかるだけにリスペクトしかない。ドキュメンタリーでなく、小説だからこそ描ける世界もありますね。虚実皮膜の間に立ちのぼってくる、本質をつかんだ絵。これが脳内に描ける。

私自身、日本の百貨店ビジネスや「営業系・体育会系アパレル企業」のことをほとんど知らなかった。なじみのない日本アパレルの業界用語がいろいろ出てきて、すっかり勉強になった。こうした男ばかりの暴力体質の企業が日本の経済成長を支えてきたのかもしれないですね。分厚さにひるんでいたけど、読み終えるまでだれることなく、スリリングな学びの体験ができた。テキストにして経済小説。黒木さんの力量に感動。

 

“Wild waves rise and fall when they arrive.  And that’s what makes the calm sea alive”  (By Munia Khan)

 

本日付けの読売新聞朝刊一面の「編集手帳」。『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』から引用していただきました。

ありがとうございます。

ちょうどいま、「ビジネススーツは衰滅する。しかしそのステイタス=意味を変えて生き残る」という原稿を書いていたのでなんだかタイムリーというかセレンディピティという感じでした。

日本発メンズブランドのFORTUNA Tokyoが、抗ウィルス抗菌加工Tシャツの予約販売を始めました。

 

抗菌Tシャツは3種類のデザインを4色で展開。TioTio®PREMIUMの抗ウィルス加工が施されています。

「Keep Fighting」。江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の鳳凰図があしらわれています。吉兆をあらわす神獣の下に、コロナ禍に立ち向かうあなたを鼓舞するメッセージ。

「Never give up」。ブラック、ブルー、リネンの3色で展開。サー・ウィンストン・チャーチルのかの名演説、”Never, Never, Never Give Up.”をデザイン化。コロナ禍にある現代にも共鳴するメッセージです。右下にちょこっと描かれたチャーチルの横顔が効いてます。チャーチルファンへのプレゼントにもよさそう。


「Return Alive」。降下する5つのパラシュートで、危機からの脱出と生還を表現。新天地への着地から、新たな希望が芽生えますように。

■「消臭」・「防汚」・「抗菌」効果

抗ウイルス加工には、特定のウイルスに対して有効な試験データを示したハイブリッド触媒®溶剤を使用しているとのこと。この加工剤は一般社団法人 繊維評価技術協議会が効果・耐久性・安全性を審査し、基準を満たしたものとして認証されているそうです。

抗ウイルス性のほかに、消臭・防汚・抗菌効果が認められています。触媒は常温で蒸発したり溶出したりしないので、繰り返し洗濯しても効果が長期間持続。

(「TioTio®」、「ハイブリッド触媒®」は、株式会社サンワード商会の登録商標)

まだまだ先の見えないコロナとの闘いが続きそうな時代、抗ウィルスの繊維はますます増えていくと予想されます。

■健闘する日本発ブランド、応援したいですね。FORTUNA Tokyoの設立者は、村井亮さんです。オンラインショップでは、西陣織のネクタイやお洒落なマスク、扇子なども展開しています。

詳細はこちら。FORTUNA Tokyo 公式HP https://fortunatokyo.com
FORTUNA Tokyo 公式オンラインショップ https://shop.fortunatokyo.com

 

日本経済新聞土曜夕刊連載「モードは語る」。

18日付では、テスラのショーツをとりあげました。

 

*三浦春馬さんは「ごくせん」のころから、ひときわ透明感があって美しい俳優だなと思って拝見していました。昨年のいまごろは、ポール・スミスのアンバサダーとしてパリコレでも活躍していらしたのでは。あれほどのスタイルの良さ、美しさと才能と運に恵まれた人が、内面にどれほどの苦しみを抱えていたのか……。悔やまれてなりません。親しかった方、ご家族の方々はどれほどおつらいでしょう。ご冥福をお祈り申し上げます。

婦人画報.jp のフォーマル連載Vol. 9は、元オリンピック水泳選手でもあるモナコのシャルレーヌ妃のフォーマルスタイルです。こちら。

星5段階でフォーマル度を格付けしてみました。

 

トップの写真、右から2番め。アクリスの幾何学フォーマル、こう着るのか、としびれました。

前回のロイヤルアスコットに続き、今回のオリンピックがらみ。「本来ならば~~の時期だったのに」シリーズになりつつあります。リアルなフォーマルイベントが再開されるのはいつのことになるのやら…。

 

婦人画報8月号に寄稿した記事が、ウェブに転載されました。こちらです。


貴重な「画報」アーカイブ資料とともにどうぞ。

 

それにしても、本誌の発売が1日で、15日にウェブ転載。こんなに早くウェブに転載してしまったら紙の雑誌の価値がますます薄れていくのではないか……。しかもウェブ版のほうが資料の文字がくっきりはっきり見える。複雑な気分ですが。

本誌には本誌の統合感があり、それはそれで価値が高いのです(と思いたい)。

北日本新聞別冊「まんまる」8月号発行です。

 

連載「ファッション歳時記」第107回は「ポカホンタス女」。

“Love does not dominate; it cultivates.”  (By Johann Wolfgang von Goethe)

Jun Ashida and Tae Ashida 2020-21 AW Exhibition.

デザイナーの芦田多恵さん。ジュンアシダのディレクターも兼ねています。

JAは上質なカシミアを贅沢に使った機能的で心地よさそうなアイテムを多々提案。手元のファーは取り外しができます。

こちらもJAですが、黒白ストライプのトップは、素材がユニークです。スパンコールをぎっしり縫い込んであり、触れるとスパンコールの方向が変わるので、このようなパンクな柄にもなる↓

もちろん、なでるとまた元の方向に戻ります。フォーマルドレスでこうしたパンクなアレンジができるのは楽しいですね。こういうオリジナルな素材の感触や質感は、観て触れてみてこそ面白さが実感できます。

エレガントなマスクは大人気で生産が追い付かないくらいだそうです!

TAでは、メンズのアイテムも増えてきました。「今はメンズを創るのが楽しい」と多恵さんは語ります。既存のルールや慣習にとらわれない自由な男性像が目に浮かびます。その隣には、同じ感性をもつパートナーが。やはりファッションはペアで見ると奥行きが出て面白い。

ベルトや襟が取り外し可能になっているコート。


フォーマルも素材から新しい。ブラウンというのはあまりフォーマルに使わない色なのですが、こうして生地に光沢とグラデーションを与え、相応しいオーナメントとデザイン性を加えることでブロンズの輝きを帯び、一気に洗練されて見えますね。フォーマルドレスに関しては、ほかにもため息ものの美しさで魅了してくるものがずらりとそろっていたのですが、写真でただドレスを紹介してもなかなかその迫力が伝わらないのがもどかしい。モデルがこれを着てランウェイを歩くさまを間近で見たかったなあ。でも今のこの時期はこうして展示会で間近に触れることができただけでもありがたきこと。

万全の態勢でコロナ対策をとり、こうして展示会を開いてくれたデザイナーはじめスタッフの努力にただただ頭が下がります。

人間が愛情をこめて作る美しいもの。ファッションであれ映画であれ料理であれ本であれ、美しいものに接することで心が生き返るような思いがします。

 

Precious 8月号発売です。

名品特集でコメントを寄せています。

 

 

 

この号の終わりに海外ドラマの特集があり、それがドラマガイドとして最高です。観たいドラマが増えすぎてそれはそれで困りものですが。

 

“A masterpiece… may be unwelcome but it is never dull.” (By Gertrude Stein)

愛読しているWWDジャパンに、菅付雅信さんの連載「不易と流行のあいだ」が掲載されています。

本日発行のvol.2144 に掲載されたvol.8 「ウォンツはニーズを超える(後編)」で、「モードとエロスと資本」を引用していただきました。写真つき。

 

光栄です。この菅付さんの連載、とても面白いので書籍化希望します。

 

 (click to amazon)

10年前に書いた本ですが、いまだにあちこちで引用されているのがありがたいかぎりです。集英社は校閲がほんとうに細かく厳しくて、膨大な「?」をひとつひとつ調べ直していくのが大変だったのですが、その過程で新しい発見もあったし、そのおかげで本が長寿になりました。

結果と実績だけで語れるようこつこつ積み重ねます。

 

“A professional writer is an amateur who didn’t quit.” (By Richard Bach)

ピエール・カルダンのドキュメンタリー映画「ライフ・イズ・カラフル!」(原題 House of Cardin) 。一足早く拝見いたしました。

 

現在98歳でまだお元気なカルダンの、カラフルな仕事と人生について、情報ぎっしり&ポップに仕上げられた楽しい映画でした。

 

新しい発見の連続。

 

自分をばかにしたレストランへの痛快なリベンジのエピソードはじめ、ファッションに関心が薄い人にも響く要素が満載。

お勧め。

10月2日よりロードショー公開です。

©House of Cardin – The Ebersole Hughes Company

〇明日発売の婦人画報8月号。

創刊115周年記念の一環として、日本女性のファッションの歩み115年を追う企画があります。

 

その中の第二章「自由な創造精神」を執筆しました。1940年から1970年の巻です。

 

 

第一章は深井晃子先生、第三章は川島ルミ子先生、第四章は齋藤薫先生です。

大戦中の記事には、感慨深いものがあります。「真夏の完全防空服装」「都会の人が穿くために改良したもんぺ」……非常時でも、ぎりぎりの環境にあっても、できるかぎり美意識を保とうとした日本女性は、なんとけなげで強かったのか。

日本が辿ってきた激動の115年を「日本育ちのエレガンス」という視点で辿る、保存版です。

115周年、おめでとうございます。

特集の「皇居と御所」の写真も圧巻です。婦人画報ならでは。

 

 

 

〇梅雨の合間の貴重な晴れ間、ラプンツェルの家へ遊びに……。笑


“Keep close to Nature’s heart… and break clear away, once in awhile, and climb a mountain or spend a week in the woods. Wash your spirit clean.” (By John Muir)

ディズニープリンセスのドレス解説シリーズ、第三弾は「塔の上のラプンツェル」です。こちら

 


ファンタジーの衣裳の細部をネタに、実際の西洋ファッション史を学べるように写真を豊富に散りばめておりますよ。お楽しみください。

 

それにしてもディズニー人気は圧倒的だな。ディズニー再開直後に半日、パソコンにはりついてチケットを購入しようと試みましたが、ついにアクセスできませんでした。でも後から聞くと、ちゃんと買えた人もいるんですね。すごいな。いいな。ディズニーシーがそろそろ恋しい。

 

“Charm is a way of getting the answer ‘Yes’ without asking a clear question.” (By Albert Camus)

ご近所のアンティークショップ「ヴィオレッタ」のオーナー、青山櫻さんの新刊です。「気品のレッスン」。

櫻さんご本人が気品にあふれた方ですので、語る内容にも説得力があります。マナーのハウツーを覚えるよりも先に、心の持ち方、姿勢、振る舞い方でどれだけ結果が違ってくるのか、ご本人の体験談をもとに優しく教えてくれる本です。

マナースクールの流派の細部の違いの争いって、ほとんど日本だけで起きていることで、つくづく無意味だなと感じますが、そうした流派の違いについても、なぜ起きるのか、どのように対応すればよいのかを示してくれます。

気品はお金をかけずとも、心がけ次第で手に入れられるもの。セールでたくさんモノをゲットしても気持ちはすさみ、その疲れによって美しさは遠のくばかり、という方は少なくないのでは。

モノの意味、マナーの意味、社交の意味、ひいては覚悟をもって生きることの意味をあらためて本質からじっくり考えるためのガイドになってくれることでしょう。


Violettaの店内です。すてきなアンティークが迎えてくれます。

 

“True originality consists not in a new manner but in a new vision.” (By Edith Wharton)

Akris よりマスクが届きました。

 

 

 

アクリスの象徴、台形が印象的なモチーフのサステナブル・コットン・マスク。中のガーゼは取り換え可能になっており、ゴムのサイズ調整も可能という丁寧な作りです。嬉しい。

 

多くのブランドがマスクに参入して、個性派のマスクが出そろっていますね。一方、かたくなにマスクだけは作らないというブランドもあり、あとから振り返ったときに、対マスクの姿勢によって、それぞれのブランドのあり方が際立って見えるかもしれません。

それにしても、マスクを常用するようになってから、ファンデもリップも使わなくなりました。エクステもやめて自まつげ、ネイルもぎりぎりまで短くしてなにも塗らずケアだけ。何十年ぶりかな。笑 これがけっこう快適なニューノーマルになりました。逆にこれまでの「ふつう」にかけてきた無駄な時間はなんだったんだろうと。

 

 

“Nobody realizes that some people expend tremendous energy merely to be normal.”  (By Albert Camus)

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。

26日付は、米連邦議会下院議長のナンシー・ペロシでした。


こういうロールモデルがいるアメリカ。やはりまだ希望の灯が消えてないということだな。日本の女性政治家、とりわけ与党の方々は、死んだ魚の目をしていることが多い。後進が見ているぞ。見る方向を変え、信念を貫いて、光り輝いてみせてください。

 

Fortune and love favor the brave. (By Ovid)

ブルネロ クチネリの秋冬展示会。コロナ後初めてのリアル展示会でした。やはり直接、人に会えるのは嬉しいな。

いつもながら精緻な手仕事による究極のエレガンスの提案。モデルさんがバミューダスーツの中に着ているベストの生地は、一見、トラディショナルなメンズルックに多い柄なのですが、マイクロスパンコールがちりばめられていて、光を受けてさりげなくきらきら光る。

オペラニットには、オーガニックなモチーフがひとつひとつ手で縫い付けられていますが一着作るのに32時間かかるそうです。

カシミアのスエットパンツはこの冬のリモートワークに最適ではと思いました。上下セットで着ても素敵。あえて価格は見ていません…。

あざやかな景色は、震災にあったイタリアのノルチャという地だそうです。映像では、美しい音楽、景色、詩的なことばのなかに、クチネリの服のディテールが流麗にさしこまれていきます。


なにからなにまで眼福でした。クチネリさんありがとう。


(メンズもゆっくりお話を伺いながら見たかったのですが、今回は、どちらか選ぶパタンでした)

みなさま、よい週末をお過ごしください。

婦人画報.jp フォーマルウェアの基礎知識Vol.8です。

例年であれば、ロイヤルアスコット関連のファッションニュースが駆け巡る時期ですが、今年はこのようなわけで…。

そこで、アーカイブから、ロイヤルエンクロージャーの「白の装い」を7スタイル選び、解説しました。こちらでございます。

最後のアン王女の服装に対する態度が、もっともニューノーマルにふさわしいと思います。

 

 

JBpress autograph 連載「モードと社会」第3回、「コロナの時代のモード」後編です。こちらからどうぞ。


ファッション誌が低迷している理由、ファッション誌のこれからについて、忖度なしに書いております。ご覧いただければ幸いです。

 

“Self-reverence, self-knowledge, self-control; these three alone lead life to sovereign power.”  (By Alfred Lord Tennyson)

JBpress autograph 連載「モードと社会」。第2回は「コロナの時代のモード」中編です。こちらからどうぞ。やや長めです。

The measure of who we are is what we do with what we have.
(By Vince Lombard)

集英社季刊「kotoba」発売です。連載「スポーツとファッション」第2回は、『「スポーツする紳士」のブランド力』をテーマに書きました。ラグビーとサッカー、起源は同じスポーツなのに、なぜラグビーシャツのみファッション化(プレッピーに取り入れられるなど)していったのか?

 

写真を散りばめつつのまるまる6ページです。サッカーとラグビーが分化し、プロ化していく19世紀の経緯から始め、現代のラルフローレンにいたるまで。
よろしかったらご覧いただければ幸いです。なにせ初チャレンジのジャンルでもあり、ラグビーやサッカーに一家言ある方々のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

 

Pen 6月16日号発売です。ジェンダー大特集。ファッション史に見られるジェンダー表現について、17世紀から現在まで、4ページにわたり解説しました。図版豊富です。よろしかったらご覧くださいませ。

 

The soul has no gender. (Clarissa Pinkola Estes)

 

6月が始まりました。今日からニューノーマルの生活に入るという方も多くいらっしゃることでしょう。引き続き感染症にはお気をつけて、充実した一か月のスタートを切ってくださいね。

 

 

 

 

 

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。29日付では台湾のIT大臣、オードリー・タンについて書きました。

日本も風通しの良い成熟した社会(いかなる障壁もなく、相応しい人が最適な場所で活躍できる社会)であってほしいという願いをこめて。

 

 

JBpress autograph で新連載「モードと社会」始まりました。

第1回~3回は、「コロナの時代のモード」です。

 

コロナ禍が始まってラグジュアリーブランドがどのように反応したのか、今後、ラグジュアリーの意味はどのように変化していくのかを考えました。写真は、ブルガリのお弁当プロジェクト。

こちらからご覧いただければ幸いです。

 

 

集英社季刊文芸誌「kotoba」6月5日発売、予約が始まりました。

連載「スポーツとファッション」。第2回は、紳士のスポーツとファッションについて考えてみました。サッカーとラグビー、起源は同じなのに、サッカーシャツがファッションアイテムにならず、ラグビーアイテムのみプレッピースタイルに取り入れられたりしているのはいったいなぜか? 7000字ほどの長めの論考です。

 

 

 

 

23日(土)に掲載された日経新聞連載「モードは語る」です。

 

緊急事態宣言の解除、まずはひと段落ですね。あちこちで営業が再開され、すっかり混雑が戻っています。第二波を警戒しつつ、新しい日常。

 

ファッション系のショップはいきなり春夏もののセールから始まっているようですが、それでは好もしくなかった元のサイクルに逆戻りでは。状況がそれどころではないということも理解するのですが、できれば適切な定価での販売時期をせめて7月いっぱいまで延ばせないものだろうか。価格に対する信頼を、ニューノーマルではぜひ回復してほしいと願います。

 

 

 

 

 

 

ご近所イタリアンGreenhouseのテラス。一時間ほどのランチで片腕だけ日焼け。油断した。

 

 

“Character is power; it makes friends, draws patronage and support and opens the way to wealth, honor and happiness.”  (By John Howe)

 

NewsPicks インタビュー第3回(最終回)です。こちら。


日本ブランドが世界でブレークする条件:ココシャネルに学べ。

3回とも、ジャンルを超えて読者が明日への希望を持てるように意識して語っております。よろしかったらぜひお読みになってみてください。

本日の読売新聞夕刊文化欄です。『アパレル全史』もご紹介いただきました。

アパレル業界の暗いニュースが続いていますが、この記事の最後に引用された黒木亮さんのことばを、アパレル業界で働く方々に届けたい。

「アパレル業界は不滅で、人々の暮らしや社会の変化とともに、生々流転を繰り返す」。

出口の先には、揺り戻しが必ずあります。私のような者がこんなことを言うのもおこがましいかぎりですが、どうかみなさま、この時期をなんとか乗り切ってください。

 

“A man may die, nations may rise and fall, but an idea lives on.” (By John F. Kennedy)

NewsPicks 短期連載第2回です。こちら

 

“Comfort and prosperity have never enriched the world as much as adversity has.” (By Billy Graham)

Newspicksから取材を受けました。本日より3日間、記事が連載されます。

ポストコロナ時代のファッションビジネスについて語りました。


こちらでお読みください。会員限定の記事になり、恐縮です。第一回は「『トレンド』のない世界へ」

婦人画報.jp フォーマルウェア連載第7回

今年は、アメリカ文学史に燦然とその名を刻むF・スコット・フィッツジェラルド(1896~1940年)の没後80年に相当します。また、ジャズエイジの輝きと退廃を描き出した彼の代表作『グレート・ギャツビー』(1925年)が出版されてから95年という節目の年でもあります。

このアニバーサリーを祝い、映画化された『華麗なるギャツビー』1974年版、2013年版、それぞれの映画で表現される“喧騒のジャズエイジ”のフォーマルスタイルを読み解いてみました。こちらです。


コロナ禍でフォーマルイベントがなくなっても、フォーマルウェアの連載を続けなくてはならないという試練。とても鍛えられます。

北日本新聞別冊「まんまる」6月号発行です。

 

連載「ファッション歳時記」第105回は、「人との距離をとるためのファッション」です。


物理的距離はとっても、心の距離は密接に。

 

“One sees qualities at a distance and defects at close range.” (By Victor Hugo)

Disney 公式Disney DAILY でのプリンセスのドレス分析。第二回目は「美女と野獣」のベルです。もしかしたら会員登録(無料)しないと読めないかもしれませんが、こちらです。

18世紀の実際のコスチューム、アニメ、実写版と比較しつつ、たっぷり語っております。ディズニーロスで寂しい思いをしていらっしゃる方(私か?!)の束の間のお楽しみになれば幸いです。

*追記:こちらから入ると、会員登録しなくても読めるようです。

〇ジェンダーフルイドについて、GQ JAPANに寄稿した記事がウェブ版にアップされました。こちら

 

 

〇私はいかなる党派にも属していませんが、検察庁法の改悪案には、反対します。よりによって国民の多くが苦しい思いをしているこのタイミングで、まともな議論もなく、あからさまに身内を守るための姑息なことをやって、政府関係者は、国民にきちんと顔向けして説明できるのでしょうか。法務大臣には、プライドというものがないのでしょうか。日本でどさくさに紛れて法案を通そうとしても、世界中が注視しています。この数年間、不正や虚偽や欺瞞がこんなにも歪んだ形でまかり通る世の中であることをすでに子供たちは目の当たりにし続けており、トップがこういう現状なのに、どうやってまともな倫理教育をしていけるのでしょうか。NY州知事のクオモ氏のポロシャツの胸元につけられる州章をもう一度アップしておきます。アメリカに倣えというわけではありません。この標語が、すべての「公務員」にとって、普遍的な基準となると思うからです。

Performance Integrity Pride  I Work for the People. 「行動 誠実 誇り 私は人々のために働く」。

国会議員のみなさま、どうか党派にかかわらず、良識のある判断をしてください。

 

 

Men’s EX 6月号7月号合併号発売です。

避暑地特集にて、エッセイ「古今東西に通ずる避暑文化とは」を寄稿しました。


避暑どころではない現状ではありますが、脳内に少しでも避暑地の風を感じていただければ幸いです。早乙女道春さんのさわやかでダイナミックなイラストとともにお楽しみください。

 

 

Netflixの「梨泰院クラス」観了。ストーリー、音楽、ファッション、キャラクター造型、俳優の魅力、どれをとってもすばらしく、一週間ワクワクさせていただきました。多様性社会、復讐物語、青春群像物語、ラブストーリー、と多くの見方ができますが、とりわけラブストーリーとして見ると、従来の定型を破るZ世代的な新パターンなのでは。まさかの、でも当然の大逆転の展開には、感動ひとしおでした。パク・セロイの強さにも勇気づけられますが、賢く愛を貫くチョ・イソのかっこよさったらない。”No matter who my opponent was, I eventually won.  So, I’m not giving up.”

 あっという間に読み終えられる分量ですが、まさに今世界中の人が経験している状況と心情を、美しく力強い言葉で書き留めています。パオロ・ジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』。

思えば森林火災は人類に対する地球からの最後の警告だったのですね。どんなに警告されても環境破壊をやめない、利益追求のためならどこどこまでも搾取を続ける人類への。行き場をなくしたウィルスが、人類を襲ってきた。

コロナ禍がおさまっても、「もとの世界」に戻してはいけないものがたくさんあります。パオロ・ジョルダーノに倣って、「戻したくないもの」を書き留めておきたくなりました。今、現在感じている、まったくの個人的見解です。

<ラグジュアリーファッション、モードに関して>

・すでにサンローランがコレクションを脱会すると発表しましたが、年4回もファッションショーをするというのはやりすぎ。膨張しすぎ。ただ、ライブでショーを見る喜びや感激というのは確かにあるので、年1~2回でいい。

・6月にすでに夏物セールというのは異常。8月にはすでに夏物がなく、秋冬のコートが並んでいるという事態は業界の都合でしかない。それで「服が売れない」とか、あたりまえだ。実需要があるときにきちんと季節に応じた商品を販売するというまともなシステムを作るべき。

・同じようなものをそもそも作り過ぎていた。結局、予想通り売れ残って大量廃棄。こういうやり方も戻さなくていい。ついでに「トレンド予測」は意味不明。たんに「たくさん市場に出ていて、供給側が売りたいもの」が紹介されていた。

・新商品お披露目会に本業不明なインスタグラマーを多数招き、彼ら・彼女らにきれいな写真を撮ってもらってアップし、宣伝してもらうという空疎なシステムも戻らなくていい。いっせいに同じパーティー風景、同じ商品がずらずらと並ぶ気持ち悪さったらなかった。PRとしては、逆効果でしかなかったと思う。戻さなくていい。

・各メディアの編集長を、遠いところまで旅行させ、さんざん接待して記事を書いてもらうというPRのやり方は、もう舞台裏が透けて見えるので、戻さなくていい。

・ラグジュアリーブランディングとは、どれだけ派手に資本を投下してPRをするか、という問題になっていた。これは戻さなくていい。

 

とはいえ、なんだかんだといって終息後2年ほどすれば、さらに巨大化した(中小が絶滅して巨大資本に守られるブランドのみがいっそう巨大化して生き残るのは目に見えている)ラグジュアリーブランドが、コロナ前と同じようなことをやっていく未来も可能性としてうっすら想像できてしまうのが空恐ろしいです。

 

緊急事態が5月末まで延びることになり、がっくり落胆どころか、ぷつんと気持ちが切れてしまった方も少なくないと思われます。NYのクオモ知事のように、毎日、明確な数値を出し、自分たちがいまどの段階にいて、どこを目指しているのか、そのグランドデザインのようなものを明瞭なファクトベースで示せないものなのか。これ以上、どの地点を目指してどう頑張れというのか。ニュージーランドのアーダーン首相、ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文首相など、思いやりと際立った決断力を両立させるリーダーの手腕が伝わってくるからこそいっそう、日本の行政の冷酷な無責任ぶりと意味不明な迷走ぶりにやるせなくなる。

何も貢献できない自分の立場ももどかしいですが、せめてこの時期にあぶり出された諸々を「忘れない」ために書き留めておくことは、文筆に携わる仕事をする人間に課せられた義務のようにも思えてきます。

 

 

 

 

 

Day 3のテーマは、「美と醜の境界」です。

「美」に普遍的な基準はあるようでいて、案外、時代に応じてころころ変わりうるということが歴史を概観するとわかります。絶対的不動の美というものがあったとしても、常にそれはNo.1の地位にいるわけでもなく、人は飽きて、それさえないがしろにすることがあります。(また復権するんですけどね。)

そんな「美」の歴史は「醜」の歴史とあわせ読むことで、より輪郭がくっきりとしてきます。ウンベルト・エーコ編著の大作。

また「美人」の基準となると、さらに変動激しいのですが、それぞれの時代の「美人」は必ずといっていいほど同時代社会の視線にけなげに応えている。その応え方、および応えるための涙ぐましくも時に意味不明な「美人」の努力の歴史の本。「美人」は社会の産物であることがわかります。

#BookCoverChallenge
#Day3
#FourBooksforFourBatons

みなさまどうかお健やかに、安全にお過ごしください。

婦人画報.jp ウォーマルウェア連載 第6回更新しました。

「ひまわり」公開50周年を記念して、ソフィア・ローレンの持続的な魅力の本質を、彼女のフォーマルドレススタイルを通して解説しました。80歳を超えても30歳代と変わらずフォーマルドレスを楽しんで人生を謳歌している稀有な女優のマインドセットを探りました。こちら

 


コロナ禍でフォーマルシーンは壊滅です。冠婚葬祭もほぼゼロ。そんな状況ですが、ハードな現実をうるおす束の間の眼福として、しばし、お楽しみいただけたら幸いです。

 

〇ニューヨークのクオモ知事が語る「Build Back Better  (BBB)」(以前よりよい復興、創造的復興)ってよいスローガンですね。本日の読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」は、そのアンドリュー・クオモ知事について書きました。読んでみてくださいね。

 

 

〇ある原稿の校正のプロセスで面白い発見をしました。

クリノリン(19世紀半ばの膨張スカート)が印象的に描かれたこのイラスト(著作権フリー)は何のために書かれたのか? ということを調べていたら、music sheet であることが判明。

music sheet ってなにか?と調べたら、楽譜のことなんですね。

で、このイラストは楽譜の表紙。元東京フィルにいらした松田亜有子さんに念のために聞いたら、すぐにさらなる詳細を調べてくださって、楽譜の中身は次のようなピアノ曲であることが判明。

 


クリノリン・ポルカ!

なんと。どんな曲なのかな。だれか弾いてみてください♪

 

〇イタリアのブルネロ・クチネリが事業を再開したとの朗報です。トンネルの向こうに一筋の光が見えるようです。

 

“Let it find you.  Serendipity: The effect by which one accidentally stumbles upon something truely wonderful, especially while looking for something entirely unrelated.”

 

 

〇おすすめです。シャネル公式の「ガブリエルシャネルと映画」。 シャネルと映画の関係が短い動画のなかに凝縮されて収められております。こちら

 

〇映画メモ続きです。

No. 7   The Man Who Knew Too Much (1956)  120min.

監督:アルフレッド・ヒッチコック  出演:ジェームズ・スチュアート、ドリス・デイ、ラルフ・トルーマン

「うますぎる。心拍数が上がってしまった。『ケセラセラ』の歌の使い方、アルバート・ホールに漂う緊迫感(楽譜、シンバル奏者の席、ゆれるカーテン)、大使館のドアからドアへのショット。それでいて、すっとぼけたラストシーン。もう、にくい、最高だ。ヒッチコックの頭がほしい。」(1992.11.5)

No. 8  The Graduate (1967)

監督:マイク・ニコルズ 出演:ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス

「ダスティン・ホフマンが出てくると聞いただけで貧乏くさいニューシネマを想像していたら、とんでもなく新鮮だった。ハードボイルドにニューシネマをアレンジしてくれた。ラストの数秒間のしらけた感じこそニューシネマ」(1992. 11.12)

No. 9  An Affair to Remember (1957)  106min.

監督:レオ・マッケリー  出演:ケーリー・グラント、デボラ・カー、キャサリン・ネスビット

「最後のシーン、うますぎる。涙腺ボロボロ。ケーリー・グラントがあんなにうまいなんて。セリフの展開、絵の使い方、前半の陳腐な船上シーンも美しくて許せる。それにしてもあのシーン。『その人は貧乏で、お金がなくて、そのうえ、そのうえ……(ここでケーリー・グラント、デボラ・カーがその人ではないのかと初めて気づく。そのまま次の間へ戻り、戸を開ける。鏡に映る、かの絵。ケーリー・グラント、一瞬、瞳を閉じる)』。これをメロドラマティックに音楽が盛り上げる。ケーリー・グラント、さすが。大根と思わせてあのうまさ!」(1992.11.14)

 

 

〇高校生、大学生、専門学校生でファッション史を学んでみたい方、10名さまに『「イノベーター」で読むアパレル全史』をサイン入りでプレゼントします。ご自宅にこもらざるをえないこの期間に、お役立ていただければ幸いです。ご希望の方は、コメント欄に学校名と送付先を書いてお送りください。コメント欄は承認制につき表に反映(公開)されることはありません。発送後、個人情報は私の責任においてすべてすみやかに削除いたします。先着10名様で締め切らせていただきます。書籍はもちろん新品ですが、サイン後、当方でオゾンによる殺菌処理をおこなって発送いたします。

↑ (追記)締め切らせていただきました。↑

 

“Coach said. “the quality of a man’s life is in direct proportion to his commitment to excellence, regardless of his chosen field of endeavor”.”   (By Sherman Alexie )

 

2日続けてZoomで長めの取材を受けました。

Penではジェンダーとファッションの関係について。

News Picks ではコロナ後のファッションについて。


どちらも、図や写真があったほうがわかりやすいので、パワーポイントに資料を満載して、画面を切り替えながらの解説とディスカッション。準備にそれぞれほぼ丸一日かかりましたが、楽しい時間になったと喜んでいただけました。画面がいろいろ切り替わると飽きずに続けられるし、聞きなれない概念のときは、キーワードを文字として出しておくと、確実です。

ほかにも目的によっていろいろな使い方があるようで、徐々に工夫していくのがおもしろくなってきました。実践しながら学んでいくのが早いですね。こういう使い方が楽しい、というお知恵があればぜひご教示ください。

それぞれのテーマは、活字およびウェブで発表されたらお知らせします。

今週はあと避暑地の紳士、スポーツとファッション、ソフィア・ローレン、美女と野獣というお題との格闘です。

曜日感覚も麻痺しそうなうえ、不安も尽きない日々ではありますが、どうかみなさまお健やかにお過ごしください。闘病中の方々のご快復をお祈り申し上げます。

 

“The beauty of dystopia is that it lets us vicariously experience future worlds – but we still have the power to change our own.” (By Ally Condie)

 

 

〇JB Press Autograph Look Book 2020 Spring & Summer Vol. 2 は「ニューテイラリング」です。冒頭で概論を語りました。

それにしても、半年前に発表されたこうした美しいルックが、ほぼ流通していない(流通できる状態ではない)、リアルに見ることがない、というのはやはり悲しいですね。

 

 

〇ジョルジオ・アルマーニの公開書簡。こちらで全文、日本語として読めますので、お読みになってみてくださいね。すでにいろいろな方がこれまで問題提起されていたことでもありますが、まったく状況は変わりませんでした。これほどのショックがないと人は目覚めないのかもしれない。そして「誰が言うか?」が重要だということがあらためて実感されました。「あのアルマーニがそう言うのだから」と多くの現場は変わるでしょう。彼は今回のコロナ禍にも率先して寄付をしたり医療に必要な品を作って寄付したりしています。行動実績と日頃の言動の積み重ね(=信用)は、ここぞのときにいっそう力を発揮するのだと教えてくれます。アルマーニは、やはりモラルリーダーでもあります。

 

〇25ans Online にて「アパレル全史」をご紹介いただきました。こちら。ありがとうございました。

 

〇1月には初夏に一冊、と計画を立てていた本は、この時代状況でモードの話題は難しいということでいったん延期となりました。コロナ禍が終わり、美しいもの、文化的な価値があるものに再び関心が向けられるようになるときまで、幅を増やしつつ思考を深めておきます。

 

昨日の嵐から一転、さわやかな快晴になりそうです。窓を開けて新鮮な空気を楽しみ、どうぞよい一日をお過ごしください。

 

 

“The perception of beauty is a moral test.” (By Henry David Thoreau)

Disney Daily にてディズニープリンセスの衣裳を徹底解剖するという短期連載が始まりました。

第一回はシンデレラです。

ディズニーアカウントをお持ちの方のみ全文ストレスなく読めるということで恐縮なのですが、もしお持ちでしたら、ディズニ閉園中の束の間の現実逃避にお役立ていただければ幸いです。こちらでも全文お読みいただけるかもしれません(期間が有限かも)。

 

 

 

“Beauty and seduction, I believe, is nature’s tool for survival, because we will protect what we fall in love with. “(By Louie Schwarzberg)

LEON 編集長の石井洋さんより「アパレル全史」の力強いご紹介を賜りました。こちらです。

発売して3か月経ってもあちこちでご紹介いただけるのはほんとうにありがたいことです。

本誌もどうぞよろしく。現実に押しつぶされそうな時には、海外のリゾート地やすてきなデートシーンなどの写真を見るとしばし目の保養になり、一瞬とはいえ癒されます。現実逃避とも呼ばれますが、妄想よってほっとする少しばかりの時間は、心の健康のために必要です。

 

とはいえ、ファッション誌をとりまく現実はこの状況ではさらに厳しく、いくつかの雑誌では来月発売の号は再来月発売の号との「合併号」となるようです。

 

今シーズン「5月号」においては、Oceans, Men’s Club, LEON, Nikkei Style Magazine, Men’s EX, Men’s Precious, Richesse 各誌で執筆させていただきました。加えてWeb では婦人画報.jp とJB Press Autograph 、新聞連載では日経・読売・北日本各紙にお世話になりました。各編集部のみなさま、ありがとうございました。

 

撮影や対面打ち合わせや現場取材や座談会が自由におこなえるような時が早く訪れますように。その日までどうかお健やかにお過ごしください。

 

ほぼ無人地帯のご近所散歩の途中で出会った春の花々。そういえば今の季節はディズニーランドの花も見ごろなんですよね……(文字通り、脳内お花畑の妄想です)。

読者のみなさま、どうぞお気持ちを明るく保ち、お気をつけてお過ごしくださいね。不眠不休で働き続けていらっしゃる医療関係の方々に感謝します。

 

“Inspiration usually comes during work, rather than before it.” (By Madeleine L’Engle)

 

 

 

 

President Woman Spring で「アパレル全史」をご紹介いただきました。ありがとうございます。

これから社会人になる女性にとても参考になる記事が掲載されています。

 

〇JB press autograph でインタビューを受けた記事が掲載されました。「時代を切り拓くイノベーター モードの転換点としての2020年を読む」 Look Book 2020 Spring and Summer Vol. 1

 

 

〇エリザベス女王のスピーチ。さっそく全文が公開されていますが、やはり名演説ですね。とりわけぐっとくるのはこの部分。

“We will succeed — and that success will belong to every one of us.”

“We should take comfort that while we may have more still to endure, better days will return: we will be with our friends again; we will be with our families again; we will meet again. “

Men’s Precious 5月号、明日発売です。Amazon 予約は受け付け中です。

スーツ特集の巻頭言「テイラードウェアの未来」を書きました。


原稿を書いていたのは1か月ほど前ですが、この一か月でさらに状況が変わりました。式典や対面営業が激減して、スーツ需要も影響をうけております。Go Tailored Season 2のスリーピースも廣川さんにお願いして製作中ですが、いったいいつになれば4人で集まって撮影することができるのか? 時が来るまで「備えよ常に」の心構えで辛抱ですね。

 

 

“When you innovate, you’ve got to be prepared for everyone telling you you’re nuts.” (By Larry Ellison)

〇ご案内しておりました、4月25日の朝日カルチャーセンターの講座は、感染症拡大防止のため、延期となりました。予定されていた4月のイベント、講演、研修など人が集まるタイプの仕事はすべて新型コロナ終息後に延期です。書く仕事に集中できるタイミング、と受け止めて、粛々と目の前にある仕事をします。

 

〇Netflix のThe English Game.  集英社kotobaのスポーツ連載のネタとして見始めたのですが、これがおもしろい。1879年のイングランドが舞台です。サッカーがいかにして上流階級のスポーツからワーキングクラス的なスポーツへ変貌していったのかというプロセスを社会ドラマとして描いています。

1879年から始まる、全部で6回のミニシリーズ。いまのところ第2回目まで観終りました。制作はジュリアン・フェローズ、あの「ダウントンアビー」を手がけた方です。オールドイートニアンの文化、北部の繊維工場労働者の文化、あまりにも大きな階級格差の描き方もリアル。俳優たちが、ほんとうにその時代から飛び出してきたようなヘアメイク、衣装、身のこなし。ヒストリカルコスチューム好きも必見。女性はバッスルスカートの時代です。鹿鳴館スタイルのあれですね。ドラマとしてのレベル高い。続きが楽しみ。

 

 


車で5分の寺家町の桜。車窓から望遠で撮影。来年は花見が楽しめるのか。日本政府のあまりにも絶望的な対応を見ていたら、来年は日本という国が独立して存在しうるのだろうかとすら思い始めてきた。有能な人はビジネス界にも大勢いる。リーダー層を総とっかえするか、政権中枢周辺にそういう方々を置くか、なんとか有効な手を早急に打てるトップ集団に指揮をとってもらいたい。他国のリーダーの対応との落差が大きすぎて、恐ろしくなる。

 

 

 

 

長期戦になりそうな重たい空気が続いておりますが、ヴァン クリーフ&アーペルズより心がふわっと明るく軽くなるお花が届きました。

ヴァン クリーフは今年、フランスで数々の受賞歴をもつアーティスト、アレクサンドル・ベンジャミン・ナヴェを迎え、花々をモチーフにした新しいコレクションを探求していくとのことです。一瞬の躍動感の美しさを永遠に形としてとどめるのが宝石。どのようなコレクションが生まれるのか、楽しみです。

 

#VCAfrivole
#VCAaflora
#VanCleefArpels

#ThankYou

 

婦人画報.jpの連載を更新しました。こちら

こんな時代にフォーマルウェアなんて。

なのですが。こんな時代にもこれほどすばらしいフォーマルウェアを作り続けるデザイナー、白のバリエーションをこれだけ豊かに作れる桂由美さんのようなデザイナーがいるということ。日本は誇るべきだと思います。

 

本文より一部抜粋↓

 

「世界がどのような状況にあろうと、個人の人生は続きます。人生における一生に一度の節目、かけがえのない幸福の瞬間は、丁寧に祝いたいものです。苛酷な世界の状況に無頓着でいいというわけではありません。考えなくていいわけがありません。

ただ、最悪に見える状況のなかでも、私たちは幸福を分かち合うこと、愛を育てていくこと、支え合うこと、成長することができる。そんな人間としての尊厳を、世界が苦境にあるからこそいっそう大切にしたいと思います。一生に一度の神聖な節目は、堂々と祝いましょう。大勢を招く必要はありません。感謝したいごくごく大切な少数の人たちとともに。いやむしろこの時期であれば、パートナーと二人だけ、あるいは自分ひとりだけでもいいではありませんか。新たな門出に立つことができたこれまでの努力をねぎらい、より強い未来を創る覚悟を決めるために、神聖で清らかな光を放つ白いフォーマルウェアを着て、晴れやかに祝いましょう。」

 

私には縁のなかったアニバーサリーではありますが、そのような幸せがあるということは理解できますし、心から祝福できます。だからこそ書きました。世界が祝賀自粛ムードであっても、どうぞ堂々と、アニバーサリーを祝ってくださいね。

桂由美さんの圧巻のデザインにはあらためて敬服します。

 

“We are not the same persons this year as last; nor are those we love. It is a happy chance if we, changing, continue to love a changed person.” (By Somerset Maugham)

 

読売新聞連載「スタイルアイコン」。昨日はおそらく今世界でもっとも注目を浴びる10代、ビリー・アイリッシュをとりあげました。

 

From Wikimedia Commons (Photo by Glenn Francis)

“Versace designs have always been bootlegged. Now it’s Versace bootlegging the bootleg for the bootleggers to bootleg the bootleg.”
(By M.I.A.)

感染症拡大防止対策のため、東京コレクションも中止となりました。各ブランドは動画でコレクションを配信したり、デジタルでルックブックを配信したりという形で、秋冬コレクションを発表しています。

ここ10年以上、毎シーズン、エッセイを寄稿してきたJun Ashida の広報誌JA誌も今シーズンは中止となりました。代わりにカタログブックが作られることになったそうです。

Tae Ashida 2020 AW デジタルブックはこちらから。全ルックをご覧いただけます。

ちなみに個人的にいちばん好きなルックはこちらでした。技術力が映えるレザーのボトム。上半身にクロスするレザーのアレンジもどこか戦士的で(!)今の時代感をとらえているように感じます。

メンズもことさら区別されることなくさりげなくちりばめられているのがいいですね。男性、女性、どちらが着てもいいデザインです。ことさらジェンダーを主張せず(そもそも問題にすらせず)、自分が着たいものを着ればいい、というのはまさに今のモード界の流れです。ユニリーバも履歴書からジェンダー記入欄をなくしてしまいましたが、モードが主導して社会を変えていくこの流れは今後ますます加速すると思われます。


ボリュームのあるテイラード型のダブルジャケットもゆとりのあるシルエットのボトムも、女性が着てもぜったいかわいいはず。


スポーツテイストのボトムは引き続き人気。黄色に黒ラインのスカートもあり。


社交シーンに着てみたい一着。


これもクール。着てみたい(自分が)。ほかにもショーの最前列で実際に見てみたかった作品ばかりです。素材の迫力はやはり生でないと実感できないところがあります。秋にはぜひショーが再開できるよう事態が収束していますように。

Richesse 2020 Spring 発売です。特集「スポーツで輝くハイライフ」。巻頭にて、ハイソサエティとスポーツの関係について語りました。


東京オリンピックに合わせての特集でしたが、校了後にオリンピック延期が決まりました。状況が刻々と悪化していっていますね……。

 

“Many men go fishing all of their lives without knowing that it is not fish they are after.” (By Henry David Thoreau)

 

“Sports are a microcosm of society.”(By Billie Jean King)

 

 

 

25ans 5月号発売です。カルチャー欄にて「アパレル全史」をご紹介いただきました。ありがとうございます。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。21日(土)はナオミ・キャンベルのハズマットスーツを見て連想したことを書きました。

Hazmat = Hazardous Material.  ハズマットスーツとは、危険(汚染)防止スーツのことです。

 

 

ナオミさまがどのような姿で空港に現れたか?につきましては彼女のインスタグラムなどをご覧ください。

このようなスタイルのおしゃれバージョンです。


Tyvek 社のハズマットスーツ。写真はウィキメディア・コモンズより(photo by Jarek Tuszynski. 著作権フリー)。

 

 

 

それにしても世界が新型コロナ禍に苦しむこの時期、ファッション関連の連載記事のネタを見つけるのがほんとうに厳しい。いやしかし、大震災のときだってしのいできた。今そこにある現象をどうやってモードネタに関連付け、苦境にある方々を不快にせず読み物としてご提供できるか? ひたすら想像力を絞ります。

アクリスのAiバッグ誕生10周年おめでとうございます。

WWD 3月16日号広告カバーにて、Aiバッグについてコメントを寄稿しました。

“women with purpose” としてご指名いただきました。光栄です。感謝します。

 

Aiは開くとトートバッグになり、畳むと台形、すなわちアクリスの頭文字Aを想起させる粋な多様性をもつバッグです。ことさらブランドを主張する威圧感がないのに、人目でアクリスとわかる建築的で遊び心のあるデザインです。

 

“Don’t be satisfied with stories, how things have gone with others. Unfold your own myth.”
(By Rumi)

本日の日本経済新聞The STYLE で中外国島に取材した純国産ツイードの記事を書いています。

北海道ツイードの物語が始まりました。継続できるよう、ぜひ、応援してあげてください。

下の写真はChugaikunishima 1850 2020年春夏コレクションボックスです。 私もこのなかから春夏用のスーツをオーダー中です。

 

“I went to Cambridge and thought I would stay there. I thought I would quietly grow tweed in a corner somewhere and become a Don or something. ” (By Stephen Fry)

北日本新聞別冊「まんまる」発行です。

連載「ファッション歳時記」、第102回『「琥珀のりんご」「龍の涎」の効き目とは』

 

“Here we are, trapped in the amber of the moment. There is no why." (By Kurt Vonnegut)

心斎橋リフォームの内本久美子さんによる2冊目の著書。

自分に最適のサイズ感を意識し続けることの大切さ、それを日々習慣づけるための具体的な方法が書かれています。読後、思わず背筋と首筋が伸びました…。たとえ誰も見ていなくても、この姿勢をキープしなくては、と思わされます。

サイズ感や、服のしわの入り方を含め全身の見え方を意識することを通して、常に自分が決めた自分の最高の在り方をキープする。そのマインドや判断力、習慣は当然、仕事のパフォーマンスとも連動してくるという考え方は、心斎橋リフォームに足しげく通っていらっしゃるお客様の顔を思い浮かべても、納得。

久美子さんは本ブログでも何度かご紹介しておりますが、Go Tailored のキャンペーンに賛同してくださった有志の一人でもあり、モードなリフォームの第一人者ながら(第一人者だから、ですね)、実はデザイナーとしてもセンスがいいのです。

イギリスをテーマとする講演やトークショーで着用している英国旗柄のドレスは久美子さんによるデザイン&制作です。そして今、ボンド映画公開に合わせたイベントのためのドレスを依頼しております。新型コロナ騒動でイベントは11月に延期となりましたが、どんなボンドウーマンドレスを作っていただけるのか、今からワクワクしています。その日まで「サイズ感」意識でストイックに過ごさねば?

有楽町の心斎橋リフォームにて。ご出版おめでとうございます。

 

“Buy clothes the size you want to wear.”  (By Karl Lagerfeld)
「あなたが着たいサイズの服を買いなさい」

カール大帝のことばは正しい。サイズは、自分で決めるもの。そこに意識を合わせて行動を習慣化すれば、おのずとそのようになっていくってことですね。(実際、彼はエディ・スリマンのスーツ、理想のサイズのスーツを着ると決めて、30キロの減量に成功した)

予想以上の反響があったGo Tailored Season 1.  メンバーそれぞれにテイラードスタイルに関する相談やご依頼があったばかりでなく、私が着ていたジャケット+ドレスと「同じものがほしい」という方々が何人もいらして、各所におつなぎすることができました。

(生地はChugaikunishima 1850、制作は廣川輝雄さん、デザインアイディアは中野香織です)

確実に需要が存在することを実感したので、まずは続けることも大事かと思い、Season 2を始動します。春夏もののテイラード、こんどは3ピースで新しいデザインを考案しました。フルハンドで作ってくださるのはH and Sons の廣川輝雄さん、生地はChugaikunishima 1850の2020春夏の新作から選びました。

 

完成は4月下旬、その後に撮影なのでお披露目は5月となりそうですが、働く女性のライフスタイルに沿うサステナブルで汎用性の高いテイラードスタイルのご提案第2弾、どうぞしばしお待ちくださいませ?

H and Sons を訪問したら、偶然、Go Tailored のメンバー、アリサさんとアヤさんに遭遇しました。オタクな語彙が飛び交う生地談義、とても楽しかったです。ちなみに、おふたりとも廣川さんのお弟子さんでもあります。


前方左から中外国島の宮本雄三課長、テイラー廣川輝雄さん。後方左から日高安里紗さん、中野、中里彩さんです。(私はまとめていた髪をおろして撮影、留めグセがついたままのbad hair day です。お目汚し失礼しました)

 

Precious 4月号発売です。

ラグジュアリー特集内で、ラグジュアリーの7条件を引き出してみました。

 

不要不急ごとにほっと一息つきたくなられましたらご覧くださいませ。

 

?Men’s EX 4月号で、「アパレル全史」をご紹介いただきました。

 

ありがとうございます。

集英社クオータリーkotoba 本日発売です。


新連載「スポーツとファッション」が始まりました。第1回は「乗馬と自転車 またがる女と社会改革」です。

私の連載に関しましては、?不要不急?の読み物でございますが、本誌で特集されている「悪の研究」は今こそ必要で、おこもりの友にどうぞ。

 

How to Read a Suit.  かつてご紹介したHow to Read a Dress と同じ著者、リディア・エドワーズによるスーツ版です。17世紀から現代にいたるまでのスーツの詳細な解説。辞典として大切にしたい本。字が細かくて読み続けるのがつらいですが、若い方は視力がタフなうちに読破してくださいね。

 

 

再掲します。こちらはドレス版。

 

 

オリジナルのタイトルは、Call Them by Their Names. 映画好きの方であれば、Call Me by Your Name (君の名で僕を呼んで)を連想しますね。

手垢のついた冷笑的なことばで現実を分かった気になってはいけない。「真の」名前を与えることから本当の意味での解放が始まる。今の日本政府の底なしの惨状を何と名づけたらよいのか、本書で描かれるアメリカの現実と比較しながら読んでいた。

ファッション現象にしても、新しい言葉はどしどし登場するけれど、「真の」名で呼ぼうとすることで、本質的な意味が立ち現われてくるはず。

GQ 4月号発売です。

ジェンダーフルイドが浮上してきた経緯、社会に与えた影響を解説しました。よろしかったら本誌でチェックしてみてください。

?婦人画報.jp 「フォーマルウェア」連載第4回。先日おこなわれたアカデミー賞授賞式のドレスがテーマです。8人をピックアップして解説しました。こちらです。

 

?日本マナープロトコール協会「ブリリアントクラブ」で講演しました。テーマは「ファッションの力 ~ロイヤルファミリーから学ぶ」。満席、キャンセル待ちとなったそうです。入り口での消毒の徹底、参加者はマスク着用とウィルス防御態勢万全のなか、でも、楽しくわくわくした2時間を共に過ごさせていただきました。主催者、参加者のみなさまに感謝申し上げます。


(ご参加者さまよりご提供いただきました。ありがとうございました)

?21日付の読売新聞連載「スタイルアイコン」です。

JLO ことジェニファー・ロペスについて書きました。


?芳賀徹先生が旅立たれました。大学生のときに、比較文学の授業を受けました。荒っぽいレポートを出したと思いますが、細部に関しては鷹揚で、「こんな才気を大切にしなさい」というコメントだけを添えて返してくださいました。とても励まされて、ごく最近まで保存していました。具体的に比較文学の「何を」教わったのか、内容はさっぱり覚えていないのですが、「どのように」教えていただいたかという語り方や物腰は30年以上経っても忘れていない。「人が人に教える」ことができるのは、具体的情報よりもむしろ「どのように」という在り方なのですね。感謝をこめて、ご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

?斎藤薫さんの名言。「奥ゆかしく相手を傷つけず、心地よくさせる、その結果期せずして相手を引きつけてしまう……それが日本人」「日本人のDNAにある丁寧さと冷静さ、最低限の大人のためのマナーを持って生きれば、それだけで必ず美しさが宿る」「慌てなくていい、がむしゃらにならなくていい」(GINZANISTA Spring 2020 Beauty)    毎朝、読み返してから出かけることにしたいくらい。

桂由美55周年アニバーサリーのグランドコレクション。オークラ東京、平安の間にて。


日本において洋装で結婚式をする人がまだ3%しかいなかった時代から、55回のショー。関西では33回のショー、海外では108回、おめでたい数字が並ぶアニバーサリー。


1時間半にわたるショーでは、誕生式から七五三、成人式、起業式、結婚式、結婚15周年(クリスタルウェディング)、30周年(パールウェディング)、55周年(エメラルドウェディング)……を祝うための白い衣装の展開からスタート。(ショーの写真は撮れませんでしたので、ここに掲載している写真は、展示ルームのほうで撮影した過去の傑作)。

とりわけ成人式、起業式の白いスーツのまぶしさには感動。起業式、私もやればよかった。笑 各アニバーサリー婚でもリアルなカップルが登場するんですよね。高島政宏&シルビア・グラブ夫妻、片山龍太郎&片山さつき夫妻、吉田喜重&岡田茉莉子夫妻。15周年、30周年、55周年を足して100婚。なかでも55周年の吉田喜重&岡田茉莉子ご夫妻の存在感と美しさにはやられました。自分には無縁だった幸せがそこにはあふれていて、苦労も乗り越えてこうした絆を作られたご夫婦は、ほんとうにすばらしい。


日経連載で題材にさせていただいた北斎柄のドレスも。

ドレスのレベルは海外でも引けをとらない水準になったけれど、結婚式を行う人が1970年代の半分に減った、という皮肉な現実。代わりに提案されているのが、アニバーサリー婚です。金婚式はよくおこなわれますが、それ以外でもアニバーサリーをパーティー形式で祝うのはいいことですよね。見守ってくれる周囲の方々との仲も深められる。ホテルにとってもありがたいお話。

それにしても桂由美先生のクリエーションの迫力ときたら。写真で見るよりぜひ肉眼で間近にご覧いただきたいくらいなのですが、ショーは演出もドラマティックで、毎回、あまりの美しさに涙が出るほどのレベルです。

オークラのオーキッドルーム。天井が高くてお茶も気持ちよくいただけました。

北日本新聞別冊「まんまる」3月号が発行されました。

連載「ファッション歳時記」第101回。「経営者はなぜファッション史を学ぶ必要があるのか」。今号からレイアウトが変わりました。

新著をビジネスパーソン向けに書いた理由を列挙してみました。宣伝ぽくて恐縮です。

でもいいかげん「ファッションがテーマの本」と聞いて「スタイリングの解説本」「おしゃれ指南書」と連想される事態をとにかくどうにかなんとかしたい。それはそれであってよいのですが、ハウツーではない研究もある。不平不満を言っているだけでは現実は変わらないので、これまでファッション圏外にいらした読者にアピールしていきます。

?Lecture.

 

 

?True Blue Association. (一青会)


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#TSIHoldings
#MatsuoInternational
#Matsuya
#MitsukoshiIsetan
#Yamaki
#World

 

 

?The Rise of Red Carpet Dandy.  レッドカーペットのファッション特集が女性のドレスだけだった時代は過去になった。ディナージャケット(タキシード)を捨て、思い思いにドレスアップするジェンダーフルイド、ジェンダークィア。もうジェンダー云々言う方が古いことになりつつあるのかもしれません。こちらでお写真をお楽しみください。

 

むしろ私はもうあれこれ悩まなくていいディナージャケットだけで通したいくらいだけどなあ……笑

 

 

?

青山ブックセンターで先週の4位だそうです。多謝。

 

 

Have a nice week.

?ご存命ご活躍中の方について何かを書くと、必ずその後に新しいことが起きるので、本に書いたことが古くなってしまったと思うことがある。

「ロイヤルスタイル」で書いたハリー王子&メーガン妃に関わることもそう。まあ、「出版された時点ではそうだったのね」と寛大な読者に事情をくみとっていただくことを願うのみ。

かといって、これ以上情報が新しくなることはほぼ考えられないという方ばかりを扱っていては鮮度が落ちる。

ジレンマです。

ジャン=ポール・ゴルチエも引退を発表しましたね。「イノベーター」の中のゴルチエの項目は、最後に1,2行、書き加える必要が出てまいりました。増刷される際に修正できることを願うのみです。

ゴルチエの仕事の総括記事としては、こちらがよくできているのでおすすめです。「オートクチュール界のマドンナ」ゴルチエの5つの偉業。男のスカート/ タトゥーモチーフ/ ランウェイの多様性 / 下着をアウターに / トロンプルイユ。

現在、怒涛のようにジェンダーフルイドが進んでいますが、ゴルチエが男子にスカートをはかせた時には、かなりの文化的なインパクトがありました。ほんの40年ほど前のことなのに。

 

?Forbes Japan 谷本有香さんのご紹介で、イタリアから一時ご帰国中の安西洋之先生にお目にかかりました。衣食住にわたるイタリアのラグジュアリービジネスについてご教示いただきました。ラグジュアリーという概念をもちこむと、日本の多くの職人が救われると思う。21世紀のラグジュアリーっていうのは決して絢爛豪華のことではないのです。というような話で盛りあがる。詳しくは、来月発売になる安西先生のご本をお読みくださいね。日本でもラグジュアリービジネスに関する議論がもっと活発におこなわれてほしい。

 

?<Big Thanks>イラストレーターの綿谷寛さんが、インスタグラムで力強いコメントを寄せてくださいました。

ありがとうございます?

 

 

 

 

 

?日本実業出版社のホームページに著者インタビューが掲載されました。「一大トレンドを生んだクリエイターの驚きの発想力」。

 

 

?JAL 機内誌 SKYWARD 2月号にて連載「私のホテル時間」vol.3 が掲載されております。今回は品川プリンスホテルです。JALに搭乗される際にチェックしてみてくださいね。

もともと私の文筆業としてのキャリアは19歳で始めた旅行ライターから始まっていることもあり、ホテルレポートは超得意分野の一つなのです。

これからのラグジュアリービジネスを考えると、ファッションが占める割合が大きくなっていくようには見えず、むしろ食や旅も含めた、「経験」に重きがおかれていくだろうと思います。

 

?The Rake が掲載してくださいました。



?アロマのスペシャリスト、平野佐和さんがウェブサイトで素敵なレビューを掲載してくださいました。


?メンズファッション評論家の林信朗さんがフェイスブックでコメントを書いてくださいました。

?ポージングディレクターの中井信之さんが、ブログとフェイスブックで読みどころを押さえたレビューを書いてくださいました。ありがとうございます。

 

?インスタやフェイスブックで、新刊記念講演にご参加くださった方が続々コメントをアップしてくださっております。ありがとうございます。

 

日本産ツイード、誕生しました。

 

(偶然このような瞬間を切り取りましたが)ギターを持つようにツイードを持つ宮本雄三さん@中外国島。

 

数少ない北海道の羊の毛から作られた、貴重なツイードです。


 

Rarity, Quality, and Sustainability. Yes, they have successfully produced beautiful Tweed made in Japan. My article about Hokkaido Tweed will be published next month.

 

婦人画報.jp フォーマルウェア連載が更新されました。「ダウントンアビー」をフォーマルウェア、という観点から見てみました。こちら

 

新刊に関して続けざまに3件のインタビューを受けました。共通していたのが、「知っている名前の人の項目をまず読んだ」。ある高級紙のインタビュアーは「知っている名前の人の記事は読もうと思うが、そもそも名前を知らないと関心の対象に入ってこない」とまでおっしゃっていました。

私にはまったくない発想だったので、いろいろと考えこんでおります……笑。

名前を知ってもらうこと、というのはかくも重要、基本中の基本なのですね。

 反響続々いただいております。ありがとうございます。

?ホアキン<ジョーカー>フェニックスが、環境のために映画賞シーズンはステラ・マッカートニーのディナージャケット一着で通す、と宣言したことを受けて、

24日付の読売新聞連載「スタイルアイコン」は、ステラ・マッカートニーでした。

?本日25日付の日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」では、先日、気になるアイテムとしてアップした「ブーブ・アーマー」ことブレストプレートについて書いています。こちらも夕刊がお近くにあったらチェックしてみてね。

 

?ヒストリカルな服がお好きな方にお勧めの本。How to Read a Dress. 16世紀から20世紀までのドレスについて、細部を含め詳細に解説してある。

下着はどうなっていたのか?とか留めるところはどうなっているのか?とかこのレースはいったい何のため?みたいな素朴な疑問にも答えるマニアックな本です。難点は字が小さすぎること。小さい字が苦にならない若いうちに読んでおこうね。笑

(Click to amazon)

昨日は新刊に関わるインタビュー(by Nikkei Style)と、ディズニーのウェブの仕事。ディズニープリンセスの衣装を歴史的背景から解説するというチャレンジングなお仕事でした。

さすがディズニー、細部まで意味まみれで丁寧に作っているんですね。インタビュアーが元・キネ旬編集長だったので、ハイコンテクストなレベルで話がはずみ、話しながら新しい発見があってほんとに面白かった?

ディズニーは版権について厳しいので、一般の媒体で写真を扱うのがなかなか難しいのですが、ディズニーのウェブなので写真は自由に使えるというのが嬉しいですよね。ディズニーワールドはやはり無条件に楽しい。ディズニープリンス版もやりたいくらい? 「ビースト」(Beauty and the Beast) の衣装なんて圧巻ですから。

 

 

 

 Nikkei Style では、「イノベーションに成功した経営者」「ブランドの継承」という観点からインタビューを受けてきました。

ブランドの継承がファミリー内で理想的にスムーズになされたケースとして、本書ではジュン アシダを紹介していますが、実はビジネス界全体を見ると、ファミリー内だからこそとことん揉める、というケースのほうが多いんだそうです。O家具さんとか。なるほど。

こちらはビジネス欄で掲載される予定です。ぞれぞれアップされたらお知らせします。

 

 

 

You don’t always get what you wish for.  But you always get what you work for.  You don’t find will power.  You create it.

?紀伊国屋書店新宿本店、1階の激戦区ではこのように大々的に展開してくださっています。ありがとうございます。



?ファッションジャーナリストの宮田理江さんが、早くもアパレルウェブにすばらしいレビューを書いてくださいました。こちら。感激です。ありがとうございます。

 

 


暦の上では大寒という一日でしたが、春に向けての新プロジェクトの企画。


こちらでは7月にお披露目になる新施設についての企画。おそらくあっという間に夏が来る。だからこそ「今日の一時間」の積み重ねを意識しないと、何も残らぬまま一年が過ぎる。あらためて自戒。

Go Tailored Season 1 Vol. 3:  Versatile


Tailored Suit is Versatile.

昼に堅い仕事があるときにはジャケットを着用して威厳を演出。夜にレセプションやパーティー、はたまたデートがあるのに着替えに帰る時間がない、というときにはジャケットを脱いでアクセサリーのみ替えればOK。

写真ではわからないのですが、スカートのスリットはファスナーで深さを調整できるように作りました。昼はスリットを閉じ、夜は場に応じてスリットを開けると、歩くたびに赤い裏地がヒラヒラ見えます。

*ボンド・プロジェクト・キックオフの記事で掲載している写真でも、ジャケットなしのこのテイラードドレスを着用しています。夜の光に呼応して黒にも見えるのは、多色の糸を織り込んで複雑なネイビーを織り上げているchugaikunishima1850の底力。

 

Photo@ys.life.style.innovation

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翻訳・共著・監修を含めると18冊目(中国版・台湾版を含めると21冊目)となる新刊が本日発売となります。

ビジネス書としては、ファッションやアパレルの歴史の大きな流れを学びたい人にとっての入門書という位置づけです。

それぞれのイノベーターが人生をまるごと投じた仕事を研究することを通して、「ファッションとはなにか?」「人間がよりよく生きるということは?」「仕事を通して幸福になるとは?」という問いに対するヒントを多々いただいています。横糸として、そのような言葉が読者のみなさまの心のエネルギーの糧となるよう祈りをこめて織り上げた一冊です。

 

◇構成

■オートクチュールの始まり女性「解放」のイノベーション
■20世紀モードの発展と成熟 時代が求める人間像を作ったデザイナー
■モードの多様化と、その行き詰まり ブランドが抱える後継者問題
■日本が世界に与えた衝撃
■グローバリズムとカリスマ経営者
■翻弄するのか?翻弄されるのか? 時代の寵児、クリエイティブ・ディレクター
■グローバル・ニッチ市場で勝負するクリエイター
■イノベーターを育てるファッションメディア

◇本書に登場する「イノベーター」(全56名のうちの一部)

●ガブリエル・〈ココ〉・シャネル ●クリスチャン・ディオール●イヴ・サンローラン
●ジョルジオ・アルマーニ●ベルナール・アルノー●アマンシオ・オルテガ●マーク・パーカー
●カール・ラガーフェルド●ヴェラ・ウォン●ダイアナ・ヴリーランド●アナ・ウィンター
●森英恵●御木本幸吉●芦田淳●山本耀司●川久保玲●舘鼻則孝●柳井正

参考文献、参考映画も充実させました。ぜひお手に取ってお確かめいただければ幸いです。


 

 

北日本新聞別冊「まんまる」連載「ファッション歳時記」が100回を迎えました。

2011年から始まった連載も8年半。まさかこんなに続くとは思いもしなかった。読者のみなさま、北日本新聞のスタッフに心より感謝申し上げます。

「婦人画報」2018年9月に寄稿した記事の一部が公式ウェブでも公開されました。

英国スタイル 前編

英国スタイル 後編

ウェブ版では、写真を見ていただくのが主眼、となる印象ですね。

「原則遵守は中産階級的であり、ときには大胆なルール破りをするのも貴族らしさに不可欠なふるまい」と書いたのですが、これを鼻持ちならないと受け取る人も承知の上で真実として伝えますと、「ルール違反」にやたら厳しいスーツポリスや着物ポリスは、なんというか、「中産階級的」なのです。だれかが決めたルールの枠を外れず、それに従うことが正しい、と信じて疑わないその在り方が。中産階級は一種のメインストリームであり、それが悪いと言っているわけでは決してないのですが。

ダンディズムの学徒としてはつい、抵抗したくなるんですよね。

 

こちらでは、より深く「英国貴族的」スタイルを掘り下げております。

Go Tailored Season 1 Vol. 2:  No Wars

 

Tailored collar-and-lapel is a symbol of peace. Which was once a turn back collar of the military uniform.

(From left: Kumiko Uchimoto, Aya Nakazato, Arisa Hidaka, Kaori Nakano)

テイラードウェアは、エイジレスでタイムレス。合わせるインナーや小物次第でいくらでも変化をつけることができ、長く着ることができるサスティナブルな服です。

ポイントは、天然繊維主体の「メンズ用」とされる密な服地を選ぶこと。「女性におすすめ」される薄く軽い合成繊維の服地ではリクルートスーツ以上には見えません。今の日本では残念ながら、「女性におすすめ」とされるものは、カクテルにしてもスーツにしても、女性をなめているとしか思えないものばかりです。

昨年、管理職になった女性たちから、「男性の重役にも部下にも敬意をもって接してもらえる服がなかなか見つからない」という声をたくさん聞きました。選択肢はまだ多々あるとは思いますが、そのひとつとして、テイラードスタイルがあると思い、具体例をご提案する次第です。仕事や立場、個性に応じていかようにも着ることが可能かと思います。5年経ってシルエットが合わなくなれば、リフォームして着続けることができる。

「男性がスーツを着なくなったので需要が少なくなった」と嘆くテイラーのみなさん。女性のテイラードウェアの需要に目を向けてみては。

*No Wars と書いたのは、世界情勢の緊迫に対して平和への祈願をこめて。テイラードスーツの襟は、軍服の立ち襟を平和時に折り返したものが起源です。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

“Go Tailored 2020”  Season 1  Vol.1  A Happy New Year

Go Tailored.

Suitable for every generation, almost all occupations,  and fit for your own style.


Big Thanks to Arisa Hidaka, Aya Nakazato and Kumiko Uchimoto.

 

2019年をなんとか乗り越えることができそうで、読者のみなさまはじめ支えてくださった多くの方々にあらためて感謝申し上げます。

2017年は全世界から拒絶されたようなどん底状態でしたが、なんとか気持ちだけ立て直し、2018年は先の見えない不安と闘い続け、2019年には、後がないなら前しかないという諦念で、今できることを枠を外して全部注ぎ込む、ということだけに集中してきました。まだまだ勉強不足だし、通過点ではありますが、折々にチャンスをくださった方々、ご支援くださった方々の御恩は忘れず、着実に実績を重ねていきたいと思います。

 

暗闇の時間を乗り切るための心がけ

・なくなったものはしょうがないので、「とりあえず、ある」ものを無理にでも数え上げ、感謝してそれを愛でる
・現在をConsummatory に生きる。将来の手段として現在の活動を不本意ながらおこなうのではなく、活動それ自体を楽しむ
・凡事徹底をきわめる
・チャンスをいただいたら、先方の期待を超えるサービスをする(仕事でも社交でも)
・悲惨なできごとも「ヒーローズ・ジャーニー」のなかの「深淵」としてストーリー化し、復活後のストーリーを妄想する
・古今東西のヒーローには、世間から理解されず、孤独な時間があったということを思い出す
・そういう時こそ「人間」がよく見えるので、善悪の判断ぬきに観察してメモしておく
・会った人、会話した人(メールなどでも)には、別れ際によい印象を残す

 

そんな気持ちの持ち方すらできないほどの不幸や災害に見舞われた方も、大勢いらしゃいます。身近にもおります。明日のわが身としていつも心の片隅で見守り、ささやかながらできることをしています。一日も早く平穏な生活に戻ることができますよう、お祈り申し上げております。

 

?さて、先日アップしました日中のスーツの色が光の加減で今一つ正しく伝わっておりませんでした。カメラマンの写真ではなく、一緒にいた友人がスマホで撮影してくれた写真が、より実物に近い色です↓



(Tailored by Teruo Hirokawa with the fabric of Chugaikunishima 1850)

仕事着として着るものがないとお困りの女性管理職のみなさま、ブランド名がちらつかず、ジャストサイズで長く着ることができて、昼は会議OK夜は上着を脱げばレセプションOKという本格派テイラードスタイルはいかがでしょうか(同じ服でのドレススタイルは、信濃屋さんパーティーの回にてご確認ください。昼間のポケットチーフを夜の首元にあしらっています)。すでに女性用テイラードを提供している百貨店や小売店は、「女性におすすめ」として薄め軽め明るめの生地を推奨していらっしゃいますが、逆です。重役が着るような重厚な服地で作ってください。というか「女性におすすめ」っていう甘いカクテルにしろ薄い服地にしろ、いつまで女性を軽く見ているのか。来年以降、このフレーズは社会的タブーとしたい。笑

 

一年間ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

SPUR 1月号でコメントした内容がウェブでも読めるようになりました。こちら。

ジェンダーレスの次に来ている2020年春夏の装飾主義について。

 

 

なんで今さら性差著しかった ヴィクトリアン?! ビリー・ポーターの例を出すまでもなく、これは男性が着てもよいのです、という時代になったと受け止めたい。

 

女性にとっても、「女性らしさの強調」(の復活)というニュアンスではなく、装飾主義が多様な選択肢の一つになった、と解釈して楽しんで着ればよいのだと思います。

多様性のどさくさに紛れて申し上げるならば、「似合う色判断」に従って「似合う色」ばかり着ているというのもつまらないと思います。そうした色があるということを理解したうえで、場に応じて、多様な色を楽しんでよいし、多様な色を着こなせるだけのパーソナリティの幅を作る努力をした方が人生が面白くなります。ワンスタイル・マルチカラーの英エリザベス女王やアンゲラ・メルケル独首相がお手本ですね。

 

 

本日は2月発売のある雑誌のファッション特集号に向けて「ジェンダーフルイド」について書いている最中です。ジェンダーは当面、モードのテーマになり続けそうです。

これが終わっても、年明け6日まで原稿を提出という仕事が山積で(編集者にとっては「休み明け」となりますが、その間こちらは仕事しなくてはならないということですよね。笑)、いつものように仕事納めの気配などはありませんが、お仕事のご依頼をいただけるのは本当にありがたいこと。忙中閑をちょこちょこ楽しみながら乗り切ります。

 

? 近刊検索デルタで日次、週次、月次とも一位となりました。



発売後が勝負、ではありますが、関心をもっていただけるのはありがたいかぎりです。

JA No. 113 発行となりました。

エッセイ「女性のビジネスウェアの『正解』は」を寄稿しています。

お近くのジュン アシダのショップで入手できます。

 



English version and French version are available.

Big Thanks to all the staff of Jun Ashida, including the wonderful translator Mr. Jeffery Hunter.

Timeless U.K. British Fair 2019をドレスで支えてくださったのは、天才的リフォーマーの内本久美子さんでした。

 

心斎橋リフォームマガジンに製作裏話が掲載されております。

ぜひ、お読みになってみてくださいね。

実は裏地にもユニオンジャックがあしらわれていました。見えないところ、細部に徹底的にプロフェッショナリズムが貫かれているのです。

一見、ふざけて見えるものほど丁寧に作らねばならない。

これは来月出版する本のなかに登場する、ひとりのデザイナーの言葉ですが、それをクールに実践する久美子さんの手腕にあらためて感動しました。

 

Big Thanks to All:

Dress made by Kumiko Uchimoto
Jacket tailored by Teruo Hirokawa with fabric woven by Chugaikunishima 1850
Photo @Onda Takuji
Edited by Yasuhiro Okuyama

?婦人画報ウェブ「世界のドレスコード」vol.2 がアップされました。しばしばご質問を受ける、「昼間の燕尾服」、またサッシュ(大綬)についてもふれています。

 

?セルリアン東急で開催されたマリーンのディナーショーにお招きいただきました。


マリーンのお色直しも数回楽しませていただき、ノリノリのダンスタイムもあり、会場が一体となったすてきなショーでした。


こちらはデザートのパフェに見えますが、カニサラダ。


鎌倉アンティーク土橋さん、「おもちゃ博物館」でも有名な北原照久さんご夫妻。ほかにも多くの知り合いが参加しており、予想外の年末社交で盛り上がりました。ご一緒のテーブルになったみなさま、ありがとうございました。

横浜信濃屋さん主催のクリスマスパーティー。みなとみらい「アッティモ」にて。外はあいにくの雨でしたが、中は熱気で盛り上がり。

 

尾張一宮から中外国島のスタッフも参加。左から宮本さん、田畑さん、中野とんで佐藤さん。

私がこの日、着ている服の生地は、中外国島が創る高級スーツ地のラインChugaikunishima 1850から、ネイビーのベネシャンです。



これを+ジャケットのセットアップとして仕立ててくださったのは、Hiro & Sonsのマスターテーラー、廣川輝雄さんです。

 


恒例、白井さんも演奏するカントリーミュージック。


毎年、このパーティーでお会いする方々。

(内本久美子さんより写真シェア)信濃屋さんのクリスマスパーティーは今年で12年目。今年で一区切りなさるそうです。大人の社交のプラットフォームとして多大な貢献をされたのではないでしょうか。長年、こうしたパーティーを開催していただいたことに心より感謝申し上げます。

 


photo @ys.life.style.innovation

ちなみに、上のワンピース(と上着)を昼間の日光のもとで着ると、このように管理職の会議にも出席できるスタイルになります。夜は上着を脱げばパーティードレスとして着用できます。Chugaikunishima 1850ベネシャンの光沢は、夜の照明にも負けません。

#GoTailored

爆クラ! 第83夜。

テーマは「クラシック音楽とドレスコード」。ユジャ・ワンの衣装から日本のオペラ歌手の「結婚式お色直しドレス」まで爆笑の連続。

自分が好きではないハイセンスな髪型にされて涙目になりながらパフォーマンスして世界でその存在を認められる ⇒ 自分が好きな女子アナ的男ウケファッションに戻りその他大勢の一人に戻る(ほうが心地よい)

この残念なストーリーがいちばん刺さった。世界に跳びたいパフォーマーのみなさん、自分の好き嫌いのエゴ(ないしコンプレックス)など捨て、客観的な自己プロデュースに賭けてみませんか?


湯山玲子さんの実演つきの鋭いライブトークは「爆裂」という印象で、さすが、面白かった! 最高でした。

客席のレベルとテンションが高かった。デザイナーの横森美奈子さんもいらしてくださいました。音楽評論家の小田島久恵さん写真ありがとうございました。松田美由紀さんともご挨拶できました。香水エキスパートの地引由美さんもサプライズでいらしてくださいました。ほかにも各界のプロフェッショナルな方々が。3時間があっという間でした。みなさん、ありがとうございました?

 

☆終了後、どこのブランドかとお問い合わせが多かったシャツは、伝説のシャツ職人を擁するPETULAにてフルオーダーで仕立てていただいたものです。キリアン・ヘネシー風の高い襟をオーダーしました。袖口、襟もとは傷めばそこだけ作り直してくれるので、結果として長く着ることができるサステナブルなアイテムになります。

(おそれおおくもキリアン様の写真をもっていってオーダー。この襟と全く同じにするには、フランスのシャツ屋さんまで行かねばならないようです……笑)

シャツの襟もとに入れているのが、先日、アクリスのパーティーでいただいたツイリー型スカーフです。目立ちませんが、一枚、半襟のように入れることで「がっこうのせんせい」スタイルになることが避けられます(たぶん)。

My serial essay “Style Icon” for Yomiuri Shinbun.

Billy Porter as Icon No.102.

 

 

Akris Cocktail Party with 2020 Spring Summer Collection.

ニコラス・G・ハイエック センター。

モデル&DJもアクリス。幾何学パタンが粋です。


写真では伝わりにくいのですが、極上の素材、マニアックと思えるほどの技巧が駆使されております。


アクリスジャパン社長の井野智恵子さん(左)と、アクリスから独立することになるコンテスの新社長、仲川昌幸さん。

Forbes Japanの名物営業部長、佐藤さんと話している中野をアロマのスペシャリスト平野佐和さんが撮影してくれていた一枚。

バレエダンサーの柄本弾さんとアクリスの巨大バッグの写真の前で。ピンクのバッグはコンテスです。

最後におこなわれたシャッフル(参加者の名刺が入った箱の中から社長がランダムに名刺を選ぶくじ引き)では、まっさきに中野が引き当てられ、すてきなツイリー風スカーフをいただきました。強運です……。心より感謝申し上げます。近日中につけていく機会をみつけて披露させていただきます。

フィールドを超えて多くの素敵な方々に出会いました。みなさまありがとうございました。

 

 

 

 

「婦人画報」115周年おめでとうございます。

本日リニューアルした公式ウェブサイトで、新連載「フォーマルウェアの基礎知識」が始まりました。

ここぞの時にご参考の一助になれば幸いです。

Worldwide Party Planner さまにお招きいただき、公開講座「ファッションプロトコール 洋装のドレスコード その理由と背景」を行いました。

学びに対して意欲的なみなさまとともに、とても楽しく充実した半日を過ごさせていただきました。

安部トシ子先生はじめ事務局のみなさまにお世話になり、心より感謝申し上げます。ご参加くださいましたみなさま、ありがとうございました。

 

フォーマルウェアの知識に関する需要が大きくなり(某国のファーストレディによる致命的失敗が刺激になったようです。あのような恥をかきたくないので学びたい、と。なんと皮肉な)、近日中にハースト婦人画報社のサイトでフォーマルウェアに関する連載が始まることになりました。

読者のみなさまには、戦後まもない日本で定着した慣習ではなく、グローバル基準で装うという発想をぜひもっていただきたい。そのためにはまず、男性のドレスコードの基本を知っていただきたい(男性が基準になって女性の服装が決まるので)と切に願います。


こちらの本には、撮りおろしの明快な写真で解説しています。Verita Ironica よりお買い上げいただきますと、サイン入りの本を迅速にお届けできます。(Shop.jp へのお支払い手数料が少しだけかかってしまうこと、申し訳なく思っております)

また、12月7日の「紳士淑女養成講座」においてもドレスコードの基本中の基本からパーティーへの応用まで、ハケットロンドンのご協力によりわかりやすくお伝えします。インターネットにはまだ載っていない最新、ニッチな情報満載で「ドレスコードの教科書」(または「ロイヤルスタイル」)のおみやげつき。どうぞお楽しみに。

SPUR January 2020 issue has been released.

 

I made a comment on the trend of New “Decorativism” after Genderless.


Genderless is now universal, rather than outdated.

Beaujolais Nouveau.

The Kitty Nouveau has arrived this year again.  Special thanks to K san!

Invited by Ms. Hanachiyo to her Nouveau Party.  The theme is “Arabian Night”.

Gorgeous and exotic party.  Special thanks to Ms. Hanachiyo and her husband, who is wine importer.

Photo above from left: Ms. Kumiko, Ms. Hanachiyo, Nakano and Ms. Akane.


The dress code of the party was “Arabian Night”.

My “Arabic” dress is borrowed from Ms. Maali Shiam, the wife of the ambassador of Ms.Palestine.

I had asked Ms. Maali for her advice.  “Where can I buy Arabic dress in Japan?”

She replied “There would be none.  Please wear my dress instead.  I mean it. ”

So I counted on her kindness.  The embroidery is all hand-made.  Real beautiful dress.  Special thanks to Ms. Maali.

Visited Waseda University.

I gave a lecture on “Luxury Brand and Japan” as a guest lecturer.

 

It will be published around next spring.

 

Signature December issue is released.

I have written an article on Cartier Exhibition. Interviewed with the CEO of Cartier International.


Special thanks to Ms. Michiko Ito, editor-in-chief of Signature magazine.

Prince Hotels Tokyo City Area present Timeless UK British Fair 2019.

Funky Vibes UK at Nine Bar, Table 9 Tokyo.

Special thanks to Mask DJ T.K.I (One of the Ganeral Managers of Prince Hotels Tokyo City Area).

From left, Dr. Kumiko of Shinsaibashi Reform, Mask DJ T.K.I, Nakano, and Mr. Onishi of Hackett London.

Many thanks to Dr. Kumiko who remade my union jack dress a la Wonderwoman.

<History of Union Jack Dress>

Funky Vibes UK , Mask DJ T.K.I のセッションで着用したUnion Jack Dress には、歴史があります。

オリジナルは1997年、ブリット・アワードでスパイスガールズが着用。当初、グッチの黒いミニドレスをオファーされていたけれども「退屈だ」と思ったジェリ・ハリウェル(ジンジャー)が、姉(妹かも)にユニオンジャックのティータオルでドレスを作ってもらう。

翌年、ハリウェルはサザビーズでこのドレスをオークションにかけます。41,320ポンドで売れました。買い手は、ラスベガスのハードロックホテル&カジノの代理人。ドレスは、ポップ界の記録に残すべきドレスとして展示されました。

2007年、スパイスガールズ再結成、リメイクが創られます。ロベルト・カヴァリがラインストーンとスワロフスキーをちりばめたユニオンジャックドレスの新しいバージョンを創ります。

2019年、ハリウェルはツアーでフルレングスのユニオンジャックドレスを着用します。

ハリウェルが、イギリスのバンドであることを誇りに思い、国旗を振る心意気で歌ったことから生まれたユニオンジャックドレス。その思いに敬意を表し、プリンスホテル東京シティエリア初の英国フェアの音楽の部?で着用したバージョンでは、心斎橋リフォームの久美子さんにアレンジをお願いし、ワンダーウーマン風のオーガンジーのマントをつけていただきました。

ホテルは文化の発信地。

 

#PrinceHotelsTokyoCityArea
#TimessUK
#BritishFair2019

#BeyondYourExpectations

 

 

 

The Wife of the Ambassador of Palestine, Mrs. Maali Siam, held the exhibition of the Palestinian traditional costume and Japanese Obi.  At Royal Suite Room of Hotel Allamanda Aoyama.

Ms. Maali Siam, left. We met 2 year ago at the Arabic Tea Party, which was held by her at the residence of the Ambassador of Palestine.

The traditional costumes belong to Maali’s mother in law (=the mother of Ambassador of Palestine).  Maali brought these preciou pieces from Palestine to Japan for this exhibition.

You will notice the coins. A lot of coins are used as ornament.  Coins represents eternity in Palestine, so they are lucky motifs.

 

Mrs. Maki Yamamoto-Arakawa.  She contributed to unite the traditional precious techniques of needlework of two cultures: Palestine and Japan.

Japanese Obi applied with the embroidery of traditional Palestine.



Beautiful embroidery.  But there is also sad aspect. “Embroidery signifies a lack of work,” an Arab proverb recorded by Gustaf Dalman  in 1937 .

Special thanks to Maali who held this meaningful costume exhibition.

Fujingaho December issue is released.

Contributed an article about Formalwear.

In formal world, if you get lost, raise the rank of your dress.

Temporary sewing at H&Sons.


This glossy navy fabric is woven by Chugai Kunishima. Taylor Hiro is making my new standard business suit, which will be sustainable and versatile (I will continue to wear, reform and wear,  amost forever.)


Ningyocho is exotic for me.


Went to dinner at Imahan Ningyocho.  Surprising beautiful performance of cooking and wonderful Sukiyaki and Steak.


Speial thanks to Mr. Hiro and Mr. Suzuki.

I would like to share my thoughts and prayers with the affected areas by recent flood disaster.

I cannot even begin to understand what you are going through right now, and posting my latest works for fashion magazines seems always embarassing in these difficult times.

However, even though the surface is far from ordinary life,  many people join these projects and working hard as they do. I hope you will understand and forgive me for seemingly superfial works.

 

 

 

 

?Contributed for 25ans, party specials. 

My articles are about the cultural significance of the party, legendary parties, etc.

 

I hope there will be more fund-raising parties in Japan to support the disaster area.

 

 

?Study hard, but party harder. (By Nicola Polizzi)

 

Surprised to see my book (translation) published in 1997, introduced by Mr. Seigow Matsuoka’s “Thousand Nights for Thousand Books.

 

I feel honored. Thank you.

Aside from my honor,  it is quite interesting to read the unique view of suit by Mr. Seigow.  You will also find a treasure photo of Seigow Suit in Durban advertisement in 1994.

Recommend.

Special Thanks.  It’s 100 Anniverary.

#StyleIcon
#YomiuriShinbun
#YukakoUchinaga
#TaeAshida
#KaoriNakano
#Akris

19日からシャネルの展覧会「マドモワゼル・プリヴェ」が始まります。それに合わせてフランスからシャネル関係者が大勢、来日しています。

フランスの有名なカルチャー誌、「L’Obs」に寄稿しているソフィー・フォンタネル氏も来日、日本でのシャネル受容(シャネルがどのように受けとめられているのか)についてインタビューを受けました。新宿のパークハイアットにて。


どんな記事になるのか、いまから楽しみです。

台風前夜は、サントリーホールでおこなわれた、せいあ Leeさんのコンサートにうかがいました。

なんと最前列の席をご用意いただき、どきどきです。

せいあさんは今年、ヴァチカンの大聖堂でアヴェ・マリアを歌ったとき、人生が変わるような体感を覚えられたそうです。天に届くような、透き通る美声で歌われるアヴェ・マリアは崇高な響きで心に届き、僭越ながら、せいあさんのヴァチカンでの感動のかけらを共有できたような思いがしました。

 

後半は映画音楽から「サマータイム」、「虹のかなたに」、「ムーンリバー」などの古典的名曲や「ユー・レイズ・ミー・アップ」、「ネバー・イナフ」など比較的最近の楽曲まで。親しみやすくも格調高く歌い上げるのはせいあさんならでは。

指揮者の辻博之さんも、すばらしかった。正統派の燕尾服をヨーロッパの指揮者なみの貫禄体型で堂々と着こなし、エモーショナルをかきたてるダイナミックで的確な指揮を披露。それに応えるイルミナート・フィルハーモニー・オーケストラ。彼らが演奏する「スターウォーズ組曲」がもうかっこよくて壮大で、鳥肌が立ちました。辻さんはまだ35歳ということにさらに驚愕。すでに巨匠のオーラを発していました。

(写真はせいあさんの公式フェイスブックより) 舞台衣裳も眼福でした。オートクチュールと思われるゴージャスなドレス、それに合わせたアクセサリーが計5セット、披露されました。せいあさんの美貌と美声をひときわ引き立てる迫力ある「本物」ばかりです。ソプラノ歌手の舞台衣装はこうでなくてはという圧巻の理想ですね。

(ときどき、素材があまりにもチープであったりサイズが合ってなかったりするドレスを着て舞台に立つパフォーマーに出会うこともあり、そういう時は、やはり少しだけ落胆します。貴重な時間とお金を費やして来ている客はずっと舞台を「見ている」わけですから…… 自戒もこめて)

客席のお客様の装いも華やか。男性はタキシードの方々が多く、女性もドレスアップ。著名人からの豪華なお花もふんだんに飾られ、幕間はちょっとした東京ソサエティ(?!)のソーシャルイベントと化していました。上の写真は、右が坂巻恵子さん、左が八巻多鶴子さん。外が嵐であることを束の間、忘れさせるコンサート会場でした。


この日のドレスはエスカーダでした。

今年でいったんサントリーホールでのコンサートを小休止すると宣言されたせいあさんですが、次はさらに大きなステージで活躍されることと思います。ひたむきな鍛錬の成果には、私も励まされています。パフォーマーは日々の自己修養の結果がすべて表に出てしまいます。華やかに見える舞台に立つ人こそ、陰の努力は並みならぬものがあるはず。また華麗な雄姿を拝見できる日を楽しみにしています。

#Seia Lee
#Hiroyuki Tsuji
#GraceNote

#escadaofficial
#sabirth.jp

カルティエ社長にインタビューしました。

日本文化に関する本も書いていらっしゃる、とても知的でボキャブラリーの豊かな方です。壮大な文化論、哲学を伺った気分です。


グランドハイアットにて。ダイナース会員誌「Signature」に掲載されます。

怒涛の10月がスタートしました。2020年の新規の仕事も決まり、チームプロジェクトがいくつか始動しました。仕事のお声かけをいただけることに感謝しつつ、ひとつひとつ、慈しんでいきたく思います。


すでにインフルが流行の兆しというニュースがありました。みなさま、どうぞご自愛のうえ、2019年残りの3か月を大切にお過ごしください。

国立新美術館にて「カルティエ、時の結晶」展が開催されています。12月16日まで。

1日におこなわれた内覧会に伺いました。

もう、いろいろ語るまい……。すばらしすぎて、美しすぎて、涙が出るというレベル。

会期中にあと一回は観たい。


コブラとかスカラベとかヘビとかワニとか。そのままだとコワかったり不気味だったりする生き物が、宝石で作るとどうしてこう、ぞわぞわと心を震わせるのか。


かつてない壮大なスケールの展示です。全力推薦。


こんなの創ることができる人間って偉大だ。

ENGLISH JOURNAL 11月号。

特別企画「ファッションの英語」を執筆しました。最新のトレンドワード、定番の語源、注意すべき和製英語、あやふやな形容詞の使い分け、アメリカ語とイギリス語の違い……。日英米の対照表もつけました。

くどいけど、ボーダーに横縞の意味はありません。「なんとなく」でOKになってしまうファッション英語だからこそ、今一度ご確認いただければ幸いです。

本日発売です。

 (click to amazon)

Hiro & Sonsのご協力を賜り、Chugai Kunishima 1850のプレゼンテーションをさせていただきました。

中外国島のホープというか生地変態(ホメ)、宮本雄三さんと田畑知著さんが、西洋の生地=モネの絵、日本(中外国島)の生地=北斎の版画、にたとえてわかりやすく解説。

生地の種類も、「人との距離感」を基準にし、Distance 8 (8m先からも際立つ存在感)、およびDistance3,2,1(思わず近寄ってみたくなるような魅力)、およびDistance△3(すれ違って3秒で振り返らせる微妙な美しさ)というカテゴリーに分類しました。

特筆すべきはコレクションボックス。バンチブックの不便をすべて解消した、見やすく選びやすく美しい生地見本ボックス。画期的です。

いまだに「イタリアやイギリスの生地は高級で、国産生地は格下」と決めつけているのは、実は日本人だけ。いつの時代のお話でしょうか。今年の生地見本市、ミラノウニカでChugai Kunishima 1850は絶賛を博し、海外のハイブランドから続々ピックアップされております。

ご参加くださいましたみなさま、廣川師匠、ありがとうございました。


彼らのような情熱も知恵も行動力も備える優秀な若い人たちが、日本の(ひいては世界の)未来を創っていきます。私も彼らからとても刺激を受けています。

中外国島の服地を使って仕立てるスーツを、廣川さんにオーダーをしてまいりました。あらゆるシーンで使える女性のための仕事&社交スーツ。かねてより、「こういうものがほしいのに、ない」と思っていたので、いっそ作ることにしました。中外国島には理想的な服地があります。どんな服ができあがるのか、いまからワクワク、楽しみです。

日本橋三越本店イベントへお運びくださいましたみなさま、ありがとうございました。

グローバルに通用するドレスコードの基礎知識のレクチャーのあと、社員モデルとともに、ビジネスシーンからレセプションシーンへの3分間変身をデモンストレーションさせていただきました。

どや感なポーズの写真で恐縮ですが、ご紹介したいのは服のほう、ということでご寛恕ください。

この日のスーツはアクリスです。上着をとると、半そでのレセプションOKなウェアになります。スカートの後ろスリットの深さもファスナーで調節できます。仕事中はスリット浅め、パーティーではやや大胆に、というアレンジも可能。


こちらのバッグはデルヴォー。ビジネスにもパーティーにも持っていける大きさで、絶妙です。これ以上、大きなバッグは、どんなビッグブランドであろうと控えたほうが。そもそも、ブランド(ロゴ)が目立つバッグはフォーマルシーンでは、NGとされています。デルヴォーはブランドが目立たないのでその点でもよいですね。

 

 

 

 

この日、お話しましたドレスコードは、「ドレスコードの教科書(洋装・和装)」に図表、写真とともに整理、紹介しています。

veritaironica.store.jp よりお求めいただければ幸いに存じます。配送手数料が200円かかり恐縮なのですが、ご注文を頂いた即日、または翌日に配、送しています。

日本経済新聞9月6日付「SDGs / CSR Frontier  ラグジュアリーブランドの社会貢献」のページでコメントしました。

コレクションシーズンで、各ブランドの来年の春夏シーズン新作のショーの模様が続々送られてきますが、もうなんというか、3か月前発表のクルーズコレクション、現在流通するプレフォールコレクション(9か月前発表)が混在して消化しきれず、イナフすぎて、「新作」は当分、要らないのではないかというのが今現在の正直な気持ちです。私ですら。

13日付の読売新聞夕刊モード欄。メインはピーター・リンドバーグの追悼記事でした。

私もコメントさせていただきました。

30年経とうと古くならない美しさを写し取った彼の功績は偉大です。

読売新聞連載「スタイルアイコン」が、おかげさまで10月に100回目を迎えます。

 

 

100回記念は、グローバルに通用するビジネススタイルを知悉する方々との鼎談になりました。読売新聞東京本社にて撮影と鼎談がおこなわれました。

左から内永ゆか子さん、中野、デザイナーの芦田多恵さんです。

(司会は読売新聞の野倉早奈恵さん、記録は谷本陽子さん。おふたりには連載当初からずっとお世話になっています。間に野倉さんの産休もはさんだりして、とても長いお付き合いになっています)

 

 

予定時間を大幅に延長してなお終了せず。内永さんの強烈におもしろいエピソードの数々に笑い転げつつ、学びも多い、楽しい鼎談になりました。まだまだ聞き足りない。読売新聞のみなさまにも本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 

 

10月25日(金)夕刊モード欄に掲載される予定です。ロールモデルがいないと嘆く日本の女性にも勇気を与えてくれる話になるように思います。どうぞお楽しみに。

この日の服はアクリスです。パリで発表された2019春夏コレクションのジャケットとスカートです。アクリスの本拠地であるスイスの街・サンガレンを代表するテキスタイル「サンガレンエンブロイダリー」が使われています。エンブロイダリーのモチーフは、ルーマニアを代表するアーチスト、ジェタ・ブラテスク(1926-2018)の作品”Marker”からインスパイアされたもの。上着の袖とフロントにはジップが施されており、閉じるときちんとした印象ですが、開くとスポーティーな印象に変わります。とてもよく考えられた美しいデザインです。

 

それにしても、2012年から一回一回心を込めて積み重ねて100回。ひとえに、読者のみなさまと、サポートしてくださる読売新聞社のおかげです。ありがとうございました。

北日本新聞別冊「まんまる」10月号が発行されました。

第96回です。

 

さらに。『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』のレビューが掲載されました。ありがとうございます。

 

100回まであと4回のカウントダウン。100回もまたひとつの通過点にしかすぎないのかもしれないですが、ささやかでも大きな通過点。守りに入らず、加速していきます。

 

とかいいつつ、ほっと一息。

銀座のアクリスに立ち寄った帰りに、和光のメロンパフェ。あまりにも有名なパフェですが、初体験です。底の方まで刻みメロンがぎっしり入って、メロンの世界観が統一されていたのに感動しました。甘いもの苦手を公言しておりますが、これはフルーツを楽しむというイメージで、別格に美味しかったー。ぶどうパフェも期間限定で人気の様子。期間内に行けるかな。次の仕事が終わってからのごほうびにすることにして、がんばろっと。

 

 

尾州の毛織物の老舗、中外国島が満を持して展開するChugai Kunishima 1850 、新コレクションのお披露目会が、中外国島コンセプト・テイラーにて開かれました。

新しい製品の特性やコレクションボックスについてのマニアックな解説をする宮本雄三課長。彼が生地や糸をチェックするときの真剣さは度はずれています。

 


従来の生地サンプルの不便な点を解消し、「色鉛筆」のように箱を開けたらときめく生地見本。ふつうの生地が小型になっていると考えてください。広げると、前身ごろにあてて似合うかどうかチェックしやすい。

「スーツをめぐる誤解と真実」をテーマに、40分ほど話をさせていただきました。

個性的なゲストの方々がお運びくださいました。立ち見が出るほどの大盛況で盛り上がりました! ありがとうございました。上の写真の方は、VAN世代の方で、なんと「番」ハッピをお召しに。巾着も手作り、とにかく素敵で楽しいコーディネートでした。

宮本課長、ラジオパーソナリティのRieさん、そしてこれからご一緒に究極の理想を実現する日本製スーツを作っていくアルデックスのみなさん。

 

 

Chugai Kunishima 1850 ようやく幸先のよいスタートを切ることができました。さらに世界へ向かって、第二章へ。

 

8月31日付の日本経済新聞夕刊「モードは語る」です。

連載通算30回目です。みなさまのおかげです。ありがとうございます。

9月2日は「靴の日」だそうです。靴の日にちなみ、KNBラジオ「でるラジ」に電話でちょこっと出演します。ヒールの歴史や現在について話します。

13:15過ぎ~。富山のみなさん、万一、ラジオのお近くにいらしたら聴いてくださいね。

 

 

さて。夏返上でまとめあげた共著『フォーマルウエアの教科書(洋装・和装)』(日本フォーマルウエア文化普及協会)がようやく形になりました。オフィシャルな出版まであとしばらくお待ちくださいませ。

365日フォーマルウエアを着るお方が帯を飾ってくださっていますよ。

西陣織の老舗、細尾 が、テキスタイルを世界のラグジュアリーマーケットに提供するHOSOO のコレクションを展開する旗艦店をオープン。レセプションに伺いました。

芸術品のような織物。

 

2階ギャラリーでは「日本の美しい布」展。細尾真孝さんが2015年から4年の歳月をかけて日本各地を訪ね、集めた布のコレクション。圧巻です。

その土地ならではの歴史や風土によって育まれた布の原点に焦点を当てたすばらしい展示。日本の布の美しさを念入りに掘り起こし、光を当てる、細尾さん渾身のフロアです。


エレベーターホールに飾られる花の配置もセンスがいい。


家具、インテリア用品、服飾品などのホームコレクションも充実しています。目の前で西陣織のポーチが売れていきました。

3階では貴重な着物や帯を間近に眺めることができます。

これは「たて錦」。


「細尾」第12代目の細尾真孝さん。ラウンジではオリジナルの和のテイストを活かした「かさね色目のマカロン」やオリジナルショコラも展開。


日本各地から大勢のゲストが来訪し、大盛況でした。ますますのご発展を応援しています。

HOSOO Flagship Store / HOSOO GALLERY
京都市中京区柿本町412

京都国立近代美術館で開催されている「Dress Code?」展。

ユニークな問いかけのもと、見応えある服がたっぷり展示されています。

個人的には、スーツのバリエーションがワクワクしました。撮影不可のセクションでしたので、ぜひお出かけになってご覧くださいませ。

ファッション好きな方にはとても楽しめると思います。

朝日新聞夕刊連載時から本にまとまることを楽しみにしていた、堀畑裕之さんの『言葉の服』(トランスビュー)。他のエッセイや、鷲田清一先生との対談も含まれて、とても知的で味わい深い本として発刊されたことを心から嬉しく思います。

 

堀畑さん、そしてパートナーの関口さんは、日本らしさを、西洋から見た異国趣味ではなく、日本人自身の目から新しく見直し、ことばとして服として発信し続けている「matohu」のデザイナーです。同志社大学の大学院で哲学を学ばれていたこともあり、ファッションについて、おしゃれについて、服について、美意識について、新しく見直すための哲学の視点を与えてくれます。

とりわけ、日本人でも知らない日本の美意識は、学んでみると、見慣れた日常の光景を違う光景として見せてくれます。かさね、映り、やつし、あわい、かざり、ほのか、ふきよせ……。堀畑さん撮影の写真や、コレクションの作品とあわせて言葉を味わう楽しさがあります。

西洋人とはベクトルが違う日本人のおしゃれを、土方歳三、宮沢賢治、千恵子、中原中也らを通して考える言葉も、発見に満ちています。日本の器や芸能、日本の光景なども、たしかな言葉で綴られます。

最後に鷲田清一先生との「逍遥哲学対談」が収められていますが、これがまた楽しいのです。25年前に鷲田先生に影響を受けて哲学者からファッションデザイナーになったという堀畑さんの告白がありますが、私も25年前に鷲田先生の本に感化されてファッション学の迷路に入り込んだ一人。鷲田先生は「(学者の世界からは)まったく無視された」と言っていますが、当時の若い人に与えた影響ははかりしれないのではないでしょうか。

尊敬するお二人の対談を読み終わると、西洋的な(偏狭で特殊な)視点の毒が洗われていくような思いもしました。

おしゃれとは、「する」=「盛る」ことではなく、余分なものが削り落とされ、「さらされて」いくことで、「なる」もの。なるほど。ついには、されこうべになるんだものね。

?「新皇后 雅子さまへの期待」、25ans ウェブサイトに転載されました。こちらです。

? フォーマルウエアのテキストブックが着々と進行しています。

洋装、和装をトータルに含め、写真も全て撮りおろしております。

9月中旬発売予定です。

スタッフの皆様、猛暑のなかの撮影おつかれさまでした!

 

?フォーマルの教科書の発売と偶然、前後するのですが、9月21日(土)14:00~14:30、日本橋三越本店本館3階にて、「三越のドレスコード」をテーマにトークショウをいたします。詳細は後日。Save The Date.

 

 

「ガーンジー島の読書会の秘密」(The Guernsey Literary & Potato Peel Pie Society) のご紹介です。

1946年、第二次世界大戦後のロンドン、そしてガーンジー島を舞台に展開する、しみじみあたたかく美しい、そして少し苦みもあるヒューマンドラマです。監督は鉄板のマイク・ニューウェル、出演はリリー・ジェームズを筆頭に、「ダウントンアビー」でおなじみのあの人もこの人も。嬉しくなります。

ストーリーも話法も余韻があとあとまで残る味わい深いもので、ここで詳しく触れると興ざめになるのでぜひ劇場で体験いただきたいと思いますが、1940年代のファッションも見どころの一つであると強調しておきます。

作家=キャリアウーマンとしての、戦後のロンドンスタイルがオンからオフまでワンシーンワンシーン、とにかく素敵です。こんな帽子のあしらい方には目が釘付けに。

洗練されたデートファッションも、メンズ、レディスともにため息もの。バストからウエストへのラインを強調する黄色いドレスは、当時人気のあったメインボッチャー風? (ウォリス・シンプソンがウィンザー公との結婚式に着たドレスがメインボッチャー。ウエストラインのデザインが似てますね)

編集者との打ち合わせや著者トークショーなどの「作家のお仕事スタイル」が今見ても古くなっていないのです。

一方、舞台がガーンジー島にうつるとがらりと雰囲気が変わります。ここではダイヤの婚約指輪など浮きまくってしまう。素朴なプリントブラウスやセーター、カーディガンスタイルが島の人々の生活にしっくりとなじみます。子供服にも手作りの味わいがある。衣裳デザインはシャーロット・ウォルター。当時の服を再現するため、地元のウィメンズ・インスティテュートの協力を得たそうです。1940年代の型紙を渡し、手編みのニット衣装を彼女たちに作成してもらったとのこと。

ガーンジー島は、大戦時、ドイツの占領下にあった唯一のイギリス領。1941年から終戦まで、どれだけ悲惨で苛酷な目に遭ってきたのか、同じイギリスとはいえ、ロンドンとの違いが強調されることで、ガーンジー島の特殊な位置づけが浮かび上がってきます。

服飾史においては、ガーンジー・セーターはとても有名です。ガーンジーのセーターは海で働く男たちのために編まれたもので、実用性が重視されています。前後の区別が無いシンプルなデザインは、暗い海でも短時間に着ることができるようにするため。首・肩・腕には、海上での作業の動きを楽にする工夫があしらわれています。なによりも、常に命の危険を伴う仕事をする夫や息子を思い、女性たちはそれぞれの家に伝わるエンブレムを編み模様で表現しました。模様は、万一の場合はすぐに身元が識別できる目印でもあったのです。上の写真、ミキール・ハースマンが着ている紺のぼろぼろのセーターがそれに近いでしょうか。

ちなみに、となりの Jersey Island(ジャージー島)もセーターで有名です。日本語のジャージの由来になっており、フランスではセーターのことを Jerseyと呼びます。

そんなこんなのファッションにも目を凝らしつつ、雄大な自然を背景に展開するヒューマンドラマをご堪能くださいませ。

「ガーンジー島の読書会の秘密」 8月30日(金)よりTOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー
©2018 STUDIOCANAL SAS

リニューアルしたMen’s EX 9月号でご紹介いただきました。

ありがとうございました。

多くの方々に応援いただき、感謝してもしきれません。

?昨日書いた原稿で使わなかったネタ。「エンクラテイア(enkrateia)」。正しいことがわかっているのに反対のことをしてしまうアクラシアの反対語で、強いて訳すなら「克己」。

?ネタ2。アルントシュルツの法則。弱い刺激は、目覚めさせる。中くらいの刺激は、働きを高める。強い刺激は抑制する。非常に強い刺激になると静止させる。目的語はなんでも。なるほど。

?新刊2冊の山場、新連載2本(名前は表に出ない)、新規の仕事3件、合間に新規プロジェクトの打合せ。これを全部10日以内にというありがたい課題。全部まとめて先を見ると無理無理無理なんですが、経験上、ひとつひとつ分けて1件ずつ集中して終わらせていくのが最短最良の道。こんな時代にファッションなんてどこのご貴族様ですかというイヤミも言われながら、こんな時代でもこのテーマで仕事があるなんて奇跡的なことだと感謝しています。第二次世界大戦中にもひっそりと踏ん張っていたオートクチュール組合の努力をリスペクト。

?読者のみなさまも、それぞれの持ち場で奮闘されていらっしゃることと思います。あるいは夏の休暇を満喫していらっしゃるかもしれませんね。猛暑が続きますが、どうぞご自愛ください。

銀座ミキモトホールで本日より、「The Eyes and Hands ―クラフツマンの感性―」展が始まります。

内覧取材に伺いました。

このディスプレイも美しい。ひとつひとつのボールのなかに、ジュエリーが浮いているんです。海の上にうかぶ宇宙みたいな。

ミキモトの芸術的なジュエリーを支える熟練技術を備えたデザイナーやクラフツマンが、その作業工程を惜しみなく披露してくれました。
(8月7日、14日、20日に一般公開のデモンストレーションイベントがあります)

ミキモトのジュエリーデザイナー、松原澄子さん。デザイナーはイメージを絵にするだけではなく、立体まで構想し、具体的な完成品の模型を創り上げていく。歯医者さんが使う成型用のプラスティックまで駆使するそうです。

クラフツマンによるミル打ち技術の披露。ミキモトのクラフツマン、増田泉さんです。正確に間隔を作っていく感覚は、「手が覚える」。一人前になるのにかつては10年かかったそうですが、現在では専用の顕微鏡はじめテクノロジーのおかげで3年でできるようになるとか。それにしても精緻な作業です。

工具はひとつひとつ、それぞれのクラフツマンの手の長さや指の幅に合わせて作られています。

ミキモトでは、お箸をもつのと同じ持ち方で工具をもつよう指導されます。こうすると手が疲れにくいそうです。

デザイン画から完成品までのプロセス。次第にリアルで美しい形に完成していくのがスリリングです。

写真ではわかりづらいのですが、葉っぱのあたりに「ケシ定め」の技術がほどこされた超絶技巧作品。芥子粒ほどの真珠を、金属で一粒一粒、落ちないように留めていくのですよ!ボンドで貼ってあるわけではないんです。

真珠の選別作業。まずは「ピンク系」と「グリーン系」に色分けしていく。デモンストレーションしてくださるのは、ミキモト鳥羽工場の瀧野ゆりさん。

ネックレスの中心部分にやや大きめのサイズの真珠がくるようなイメージで、並べていく。素人目にはどれも同じに見えてしまいますが、ミクロ単位で見ると違うんですね。

「完成」したネックレスは、さらに2度、検品を経て、粒のそろわないものがはじかれていくそうです。

これは40種類の大きさの真珠を組み合わせた傑作。真珠の「襟」ですね。柔らかくしなるのです。すべて手作業で行われていると思うと、気が遠くなるとともに深い感慨にとらわれます。

ミキモトのThe Eyes and Hands は9月2日まで開催中。なんと入場無料ですよ。クラフツマンとジュエリーデザイナーのデモンストレーションは日時が限られているので、ミキモトのホームページでチェックしてからお出かけくださいね。www.mikimoto.com/eyesandhands

クラフツマンたちに会えなくても美しい真珠の世界は堪能できますよ。

北日本新聞別冊「まんまる」、8月号発行です。

連載「ファッション歳時記」。第94回は「エレガンスと『骨』」。アルマーニへのインタビューのメイン記事は日本経済新聞 The Style に書いたのですが、紙幅の関係でどうしても割愛せざるをえなかった興味深い話をこちらでシェアしました。全部詰め込みたいあまり「あれもある、これもある」式の記述になってしまったきらいがありますが。

「骨」。みなさん、どのくらい意識していらっしゃいますか? 傷んでしまったときにはじめてその重要さに気づく……ということは骨にかぎらずいろいろな局面で起きることですが、日頃から「骨」により多くの意識を向けたいものですね。

こちらの連載も100回までのカウントダウン、あと6回。100回記念に向けてイベントの企画も進めていただいております。それを楽しみにしつつ、半年間、集中熱量をとぎらせずまいります。

「ロイヤルスタイル」に関し、その後もウェブサイト、インスタ、ブログ、メッセージなどで嬉しいご感想を頂戴しております。

日頃、褒められることもないし、12年間の集大成の本を出した直後ぐらい、レビューを集めさせていただいてもご寛恕いただけるかなということで、以下、ご紹介させていただきます。

これから何の先入観もなく読みたい、と思ってくださっている方、拙著のレビューなどに関心のないは、どうぞ本欄スルーしてくださいね。よい週末を?

☆静岡のジャックノザワヤさんは、註にいたるすみずみまで丁寧にお読みくださったうえ、このような読後感想をブログでアップしてくださいました。全文はこちらです。

以下、抜粋です。

「学者でもなく、ジャーナリストでもなく」という立ち位置は、まさに私が「既成の枠」にはまることを拒絶して開拓してきた道でもあり、それを指摘してくださったことは感無量です。ノザワヤさんからは、称賛だけではなく、専門的な用語の正しい表記法に関してもいくつかご指摘をいただきました。「重版」をめざし、その際に改訂表記を反映できるよう、全力を尽くします。心より感謝申し上げます。

☆The Rake Japan でもご紹介いただきました。こちらです。

☆綿谷寛・画伯のインスタグラムでご紹介いただきました。

「服装だけに終始した薄っぺらなお洒落指南書でもない。かといって小難しくて退屈な英国王室研究書でもない。人間愛に溢れたエッセイスト中野香織さんらしい、ちょっとためになる(スタイルについて考えさせられる)エンターテイメント」 ←このまま帯のコピーにしたいくらいのありがたさです。

☆batak社長の中寺広吉さんより、読後のコメントを頂戴しました。ご了解を得て、一部抜粋して紹介します。

「生々しくならない程度のリアルさ」というのはまさに目指したところなので、伝わったことがわかり、嬉しかったです。超多忙な日々の合間の貴重な休日にいち早く読んでくださいました。感謝。

みなさま、ほんとうにありがとうございます。


キム・カーダシアン、さすがマーケティングの天才ですね。インターネット上のバッシングがなによりもPRになることを経験上わかっている人ならではの戦略。

私が2015年からあんなに書き続けている「文化の盗用」。だれも乗ってこなかったのに(笑)キムのkimonoで一瞬で有名になってしまったわ。キム・カーダシアンのことをこれまで知らなかった人さえ、キムの新製品の下着のことまで知ることになった。お金をかけないでこれだけ短時間に世界的にPRできるなんて、あっぱれ。

この人はいずれちゃんと(?)kimonoという名前を撤回するような気がする。撤回してもしなくても、キムの思うつぼ、キムの勝ちである。

こういうあからさまな戦略に巻き込まれたくなかったので、コメントを求められても同じ土俵でものを言う気はしませんでした。ムキになって抗議すればするほどキムがほくそ笑んでいるのが見えるような気がして。

政府側から正式かつ厳重な抗議を一本、アメリカのしかるべき機関に入れていただいたら、あとはみんなでまったく知らんふりしておくのが、キムみたいな「騒がれてなんぼ」というしたたかなツワモノには一番こたえるのでは。

文化の盗用議論の発端になった、2015年のキモノウェンズデー事件。

Richesse summer issue 2019 発売です。

特集 The Secrets of British Style.

「モードがなぜ、今また『英国』に注目するのか?」というテーマで取材を受けました。

前半はぜひ、誌面でお読みいただけたら幸いです。

英国王室御用達についてもコメントしています。

写真も圧倒的に美しい豪華なRichesse. ぜひお手にとってご覧くださいませ。

25ans 8月号発売です。

特集「日本と英国、美しきロイヤルファミリー」。

「新皇后、雅子さまへの期待」をQ&A方式で語っております。

この後まだページが続きます。続きはぜひ本誌でご覧くださいませ。

本日の日本経済新聞The Style でジョルジオ・アルマーニの記事を書いています。

1975年の起業から先月の東京でのインタビュー&コレクションにいたるまで。アルマーニの足跡を追い続けてきた目での渾身の1pです。本来は1冊の本にしたいくらいのところ、エッセンスをさらに凝縮しました。ご覧いただけたら幸いです。

記者会見では1時間以上、姿勢よく立ったまま、質問に答えてくれた84歳。(若いスタッフは途中から座り始めたのに……)

在り方そのものがエレガントで、仕事ぶりはインスピレーションに満ちています。ほんと、不死身でいてほしい。

ラルフ・ローレン(79)が、ファッションへの貢献を評価され「名誉最優秀英帝国勲章KBE(ナイト・コマンダー)」を受章しました。


Photo : Chris Allerton 

バッキンガム宮殿で行われた叙勲式において、チャールズ皇太子殿下より名誉ナイト勲章が授与されました。おめでとうございます!

アメリカのデザイナーとしては、はじめてのKBE受勲者となります。



Photo: Chris Allerton

このデザイナーの最大の功績は、アメリカに「上流階級」という幻想ないし夢を作り、それをファッションによって具現化したことでしょう。ついにはデザイナー自身のファミリーがブッシュ家との婚姻関係により「ロイヤル」な印象を与えるまでに。創るべきは「モノ」そのものというよりもむしろ、モノの奥にある思想や夢や哲学であることを、ラルフ・ローレンは教えてくれます。

*写真はラルフ・ローレン社ご提供のオフィシャルフォトです。

北日本新聞別冊「まんまる」7月号発行です。

連載「ファッション歳時記」第93回、「美徳のひけらかし」です。日経連載においても触れた言葉ですが、より詳しく解説し、他の事例も照らしてみました。

100回まであと7回のカウントダウン。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。8日付では来日したアメリカ大統領夫妻について書きました。

実はいったん書いてゲラが出た後、大統領ご夫妻はすぐにイギリスを訪問。そのときのトランプのスーツスタイルが米「ワシントンポスト」も揶揄するほどで、急遽、大幅に改稿した次第。なんだか振り回された感あり。いやもうほんと、ボタンを留めるかどうかなんて些細すぎることなんですけどね。

Brunello Cucinelli 2019 AW Exhibition.

メンズのテーマはGentleman at Ease.

別格の上質素材と熟練の職人技術が醸し出す優雅な余裕。すべてのバランスが計算されつくしており、ため息ものの美しさでした…。

寛ぎのあるエレガンス。レザーのボマージャケットをニットの上に重ねてこの上品さ。

レディースのテーマはMinimal Allure.

コートの袖口にとりつけられたニットのカフス。この粋な余裕がなんともたまりません。

とりわけドレスに匹敵するほどの精巧なニットの美しさに見とれていたのですが、写真ではなかなか再現できず。

やはりクチネリはイタリアンラグジュアリーの最先端にして最高峰かな。ビジネスのやり方においても、関わる人や地域すべてを幸せにするエシカル&サステナブルの最先端をいっています。

31日付読売新聞夕刊で、日米ファーストレディーズのファッションについてコメントしました。

昨日の訪問先にて。今年もあじさいの季節になりました。

31日付朝日新聞「耕論」で、クールビズ15年がもたらしたものについて取材を受けました。

ウェブ版はこちらです。

ウェブ版では写真はカラーになっています。撮影協力は東京タワーから400mの距離にあるザ・プリンスパークタワー東京です。東京タワーに敬意を表し、赤と緑でコラボしてみましたよ。

撮影、取材とも、朝日新聞記者の高重治香さんです。ありがとうございました。Special Thanks to The Prince Park Tower Tokyo.

Jun Ashida & Tae Ashida 2019-2020 AW Exhibition.

今シーズンからメンズをスタートしたTae Ashida. 展示会場にはメンズファッションのジャーナリストの方々もいらして、よい雰囲気。

かねてからファッションは男性と女性セットで考えるべきと申し上げており、著書や記事にもできるだけその姿勢を反映させていますが、やはり展示会場に身をおいても、一方のみに偏っていないほうがほっとします。

最初のシーズンということもあり、当初は試行錯誤の連続で、パンツのファスナーをレディスのように横につけたりという「うっかり」もあったそうなのですが、それも後日、笑い話になるでしょう。継続こそ力、ぜひ、メンズコレクションは続けていただきたいと思いました。上の3枚の写真、すべてメンズコレクションからですが、女性とシェアするのも可能ですね。

レディスのほうがもちろん、圧倒的に数も多く、素材やデザインにまつわるエピソードも多かったのですが、今回、とりわけ心に残った話をひとつだけ。

各グローバルブランドがファーを使わない宣言を続々出しています。今シーズンはプラダもファーを使用しない宣言をしました。ファーをめぐっては、天然素材でサステナブル、最後は土に還るという「エシカル」な素材であるという主張もあり、議論は常に平行線をたどっています。

それに対し、ジュン アシダのスタンスは……とくに何も宣言しない。今シーズンはファーに替わるあたたかそうな素材を使ったコートを増やしていますが、ファーはない。でも政治的な配慮でそうするわけではない。

この姿勢は、社長の山東さんのお話によれば、「お客様を思ってのこと」。今、トレンドに乗って「ファーを使わない」宣言を出してしまえば、これまで自社のファー製品を買ってくださったお客様に対して一貫した姿勢を示していることにならず、申し訳が立たない。今シーズンはたまたま結果としてファーが出ていないだけで、また時流が変わればファーを使う可能性もあるかもしれない。そういうスタンスでいることが、これまでファー製品を買ってくださったお客様の信頼を裏切らないことになる、と。

顧客第一主義ともよべるこの姿勢は、創業者の芦田淳さんから受け継がれているものでしょう。自社製品を買ってくださるお客様のことを常に第一に考える。芦田淳さんがパリコレから撤退したのも、メディア受けのよいショー用の服を作るより顧客が求めるリアリティのある服作りに注力すべきと判断したから。

ファーに対する姿勢も、ブランドの礎にある考え方、顧客第一主義と結びつく。ブランドは常にこうした一貫性を示すことができることを求められる。翻って自分の仕事においてはどうなのか、学びの多い展示会でした。

来日中の合衆国大統領夫妻の装いについて、本日28日付の読売新聞でコメントを寄せています。

また、読売新聞が運営する「大手小町」でも別のコメントが掲載されています。こちらです

お時間がゆるすときにでもご笑覧くださいませ。

それにしても、エリザベス女王と記念写真を撮るときでさえスーツの前ボタンを留めなかったミーファーストなトランプ大統領が、天皇陛下と会うときには留めていましたね。

<追記>

掲載記事です。早朝から深夜まで、新しい情報が出てくるたびに記者さんといろいろ連絡をとりあってコメントも出し続けていたのですが、結果として、雅子皇后について触れたこれだけになりました。笑 しかも「 」がとれていますが「外交の場では…」の締めの一文も実は私のコメントとして書き送っているのですが……。まあ、紙幅も限られていればそんなものですね。

メラニア様が着替えて登場するたびふりまわされた一日のあとにしみじみと思ったのは、人さまのファッションを解説するより、自らは語らず人さまからファッションを解説される立場になったほうがはるかにかっこいい、ということでした。(そこですか)

Dolce and Gabbana 2019-2020 AW Exhibition. このブランドは時代に逆行して唯我独尊のラグジュアリーを追求し続ける。そこがたまらなく好きで、リスペクトする理由でもある。

このシルクブロケードにしても、重い。扱いにくい。でも18世紀ヨーロッパの宮廷文化を思わせて血が騒ぐ。

ロゼットつきのシューズもロマンティック。汚れたらどうするとかケアがたいへんそうとか、そんな下世話な視点を寄せつけず、徹底的に「美」の側に立つ姿勢が潔い。

メンズも負けず劣らず、一歩もひかず、ゴージャス。

17世紀~18世紀宮廷服のような素材を駆使したアイテムはほかにも。左端はランジェリーですが、スパンコールで輝くショーツなんてどうやって洗濯するのだ(たぶん一回着たら終了)。人生のあらゆる瞬間を舞台ととらえる人のための、舞台衣装のようなものですかね。

アクセサリー、バッグ類もユーモアと過剰なサービス精神にあふれていて、楽しい。

レザーに細かくパンチングをほどこされたジャケット。16世紀のメンズ宮廷服にこういうのがありました。ストレッチが効くし、むれなくなるし、機能的なのですよね。ただ作るのがとてつもなく難しい。

妥協せず、日和らず、自分の世界を貫くことのすがすがしさと勇気を見せていただいた気分です。たとえ少数派でも、そこにとどまることで輪郭が際立ち、鍛えられる。作品、ないし、モノとしての服の奥に見えるデザイナーの心の姿勢が見える時、ああ来てよかったなと心から思えます。

今回、目を引いたのは、18世紀ロココ的なシルクブロケード素材。

ジョルジオ アルマーニ クルーズコレクション。国立博物館表慶館にて。

メンズ、レディスが溶け合っての上質なコレクション。昨日のインタビューではデザイナーは「売りやすい」ということも強調していた。たしかに、舞台性よりもむしろ間近でみたときの質感が魅力的な、アルマーニらしいコレクション。

「自分が強いということをあからさまに見せない男が、強い男」と昨日のインタビューで語っていたが、セクシーさ、リッチ感においても同様の感覚が伝わってくる。ことさらに美しさやセクシーさを強調したりしないのが「本物」。そういう哲学に支えられた表現なので、奥ゆかしく、逆に想像力をかきたてられ、引き込まれるのだな。

カラフルな色使いも、クルーズならでは。

最後に登場したアルマーニ。合掌し、お辞儀し、長いランウェイを歩いて観客に大サービス。アルマーニがネクタイをつけたスーツを着ているのが驚きだった。アルマーニといえばミニマムな黒か紺のTシャツ(にジャケット)で登場するのが普通だと思っていた。高齢になってスーツを着るようになったのかもしれないが、いや、このネクタイ姿は彼の日本に対する最高の敬意の表現と受け取るべきでしょう。

互いに敬意を表しあい、感謝しあうというのは、なんと人をあたたかな気持ちにさせるのか。なんと豊かな創造を生むのか。異文化間の交流にプラスの循環を生むこうした幸福な効果もファッションの力のひとつだと認識した夜でした。Thank you, Mr. Giorgio Armani.

12年ぶりに来日中のジョルジオ・アルマーニ氏。生きているうちに(私が、です)絶対お会いしたいと思っていた偉大なデザイナーの話を直接、2mほどの至近距離で伺うことができました。


アルマーニ /銀座タワー。ショーの準備、真っ最中のバックステージにて。

ショー前日のプレスカンフェランス。限定20名、各社から1名のみというハードルの高い席でしたが、日本経済新聞社のご高配により、参加させていただくことができました。心より感謝します。

60分間、笑いもまじえながら、姿勢よくエレガントに立ち、記者からの質問に答え、語り続けるアルマーニ氏、84歳。スタッフの多くは疲れて座ってしまったというのに。(写真はオフィシャルフォトグラファーより)

詳細は後日、ショーの印象とあわせて日本経済新聞のThe Style および連載などで書きますが、興味深いと思ったキーワードのなかから支障ない程度にメモしておきます。今は「?」と思われてもご寛恕くださいませ。

「アルマーニよりアルマーニらしい人がたくさんいる」「日本化したアルマーニ」「願いがひとつ叶うとしたら、不死身になりたい」「スーツを着こなすポイントは、おさえた身のこなしと落ち着いた話し方。それがあれば安価なスーツも高級に見える」「大声を立てない」「骨(格)をエレガントに見せること」「将来に対しては予定を立てなかった。好きなものと好きでないものを明確に分け、自分の信じる道をただ懸命に歩いてきた。その結果が今」「強い男とは、自分が強いということをあからさまに見せない男」「今は女性のほうが強い」「美意識に対してはこだわりが強い。美意識にそぐわないものが視界にあると不快になる」「プライベートライフは、ない」「楽しみは、ごく少量」「ネイビーブルーなど暗めの色は、人との正しい距離感を演出してくれる」「生きる意義は、ミステリー。ただ在るだけ」

40年を超えるキャリアから生まれた知恵のことばがナチュラルにエレガントに紡ぎ出されてきたのだった。濃密な60分間でした。

オフィシャルフォトグラファー撮影による記念写真。私が前列で偉そうに目立ってしまいほんとうにごめんなさいという感じなのですが。アルマーニ氏は後方にまわり、立っていらっしゃいます。左から2番めの位置に立っていらっしゃいます。

これまで細々と書いてきてよかった。心からその仕事を尊敬できる人に会うことができ、その言葉を直接聞き、いっそう敬意を深くするということは、めったにない幸福だと思う。貴重な機会を与えてくださったジョルジオ アルマーニ ジャパン社、日本経済新聞社、そしてご同席の各紙記者や各誌編集長のみなさま、あらためてありがとうございました。

オフィシャルフォトグラファー撮影によるアルマーニ氏 in Japan.

体調がまだ本調子でないなか、一日5件の取材やミーティングがありましたが、快晴に恵まれて移動も快適な一日でした。

朝日新聞からはクールビズ15周年に関する取材を受けました。

記者さんのインタビューがさすがにすばらしく上手で、話をしていくうちにいくつか新しい発見にいたり、その発見は別テーマになるのでさらに深めて別の原稿に書こうと思います。

撮影場所は芝公園のザ・プリンスパークタワー東京。東京タワーから400m離れてこの距離感です(すぐ隣のように見える)。万一、333mのタワーがこちらに倒れてきてもホテルにはぶつからない!? 中野ヘアはカキモトアームズ青山店の及川さん。

鉄板のみなとみらい。

今日、明日は来日中の超大御所のインタビューとイベントが続きます。寝込んでいる暇はない。

Men’s Precious Web連載更新しました。

黒い略礼服の起源をめぐる物語、日経連載にも書きましたが紙幅の都合でかなり簡略版(というか、凝縮版)になりました。ウェブではロングバージョン、より詳細に紹介しています。こちらでございます。

12年がかりの1冊が手を離れたのもつかの間、すぐに次の本に本格的に着手しはじめました。こちらもいわば、ファッション史を教え始めた12年前あたりからのひとつの集大成になります。今年は、この12年ほどの間に流れのままに関わってきたさまざまなテーマを回収して、「まとめる」年になりました。そのように予定していたわけではなく、まったくの偶然なのですが。あらゆる依頼に応えていたら「何をやりたいのかわからない」と言われるような状況になったこともありましたが(仕事の依頼があるということじたいがありがたく、ほぼ全部応えていただけなのですが)、「意味」など時間が経ってみてようやくわかる、ようやく「点と点がつながる」ということもありますね。もちろん、つながらないことも多々あります。むしろつながらない徒労感や不条理感を覚えたことのほうが多い。だからこそ、まれにつながればそれはきわめてラッキーなことなので感謝しなくては。

そのようなわけで、多くの歴史本を、「ビジネスパーソンであればどこに興味を示すのか?」という視点で読み直していますが、なかでも時代の変革期の今だからこそ多くの人にすすめたいとあらためて思ったのが、こちらです。

まんがで描かれたエルメスの社史。2000年の作品ですが、これはほんとうにすばらしい。当時は、といっても19年前なのですが、マンガでブランドの歴史を描くなんて!とかなり否定的意見もあったらしい。いやしかし、やはりエルメスには先見の明というか本質を見抜く目があったということでしょう。

世の中の主流の流れに従うとブランド価値はどうなるのか、もっとも大切にすべきは何なのか、運を引き寄せる心がけや行為とは何なのか、能力を活かせると思った仕事につけなかったらどのように発想を変えるべきか、19年前に読んだときにはピンとこなかったことも、今だからこそわかるという学びどころが多い。

田中宏『よそおいの旅路』(毎日新聞社)にとても感銘を受けた。戦後の日本ファッション史である。

著者の田中さんは新聞記者としての晩年をファッションの世界を取材することに捧げた。経済記者として長年過ごしてきて、「ファッションなんてミーハーにすぎないと思っていた。実のところ軽蔑していた」。それが三宅一生との出会いで衝撃を受け、時代を解読する有効な装置であることに気づき、没入した。

そんな田中記者が真剣勝負で描き切った戦後の日本のプレイヤーたちの活躍。前例のないなかで試行錯誤してきた先駆者たちの苦闘、そして栄光が、生々しく再現される。

いまもなお名前を輝かせる人たち、あるいは消えていった人たちとの違い、その原因もわかってくる。文体もさすがに確かで、さまざまな読み方を許す名著だと感じた。33年ほど前に書かれた本で、もはや絶版。

ファッションの芸能化を危惧するあとがきで締められるのが1986年。いまだに状況は変わっていない。


ヴァージル・アブローの『複雑なタイトルをここに』(アダチプレス)。”Insert Complicated Title Here” が原題。

 (click to amazon)

ヴァージルがハーバード大学デザイン大学院でおこなった講義の講義録。だから話し言葉だし、薄いし(全93ページ、しかも文字部分はその半分しかない)、なんですが、ヴァージルの仕事に対するスタンスや発想法、歴史の捉え方などがやはりなんともDJ的に語られ、独特の感性ことばの世界にしばし浸った。

ヴァージルもダイアナ妃からインスピレーションを受けているということにちょっと嬉しくなる。

1.Renaissance
2. Renaissance to Neoclassicism
3. Romanticism
4 . Romanticism to Modern Art
5. Modern Art
6. Comtemporary Art
6a “Streetwear”

うわ、やられたと思った美学の歴史。なんだけど自分自身のこの流れに沿って成長しているっていう。おもしろいアイディアがぽんぽん投げ込まれているけどどれひとつ論理的に結論はつけられず、DJ風に話が進んでいく。この話法は。

微妙にわかりづらいところも含めて「クール」と感じさせる。これがヴァージル印なのかと納得。

↑ この本についてのコメントが読みづらいかもしれないのも、ヴァージルの話法に影響を受けているということでご寛恕ください。

さて。

細部の細部の詰めに時間がかかった再校ゲラもようやく手を離れました。


アマゾンでの予約が始まりました。12年間のささやかな集大成です。人文学の老舗、吉川弘文館より6月15日発売です。

(Click to amazon)

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。

昨夕は、Virtue Signalling について書きました。美徳のひけらかし、についてです。

本ブログではすでにメーガン妃の「妊娠中の大きなおなかさすり」がVirture Signallingとしてバッシングされているという記事を紹介しましたが。

紙幅ゆえに、具体例の紹介を最小限にする必要がありましたが、この視点から見ると、ひとつの現象もがらっと違う見え方もすることがあり、そのことについてはまた別の機会に書きたく思っております。

3月のまんまるトークショーの概要が、本日発行の「まんまる」6月号に掲載されました。

もう6月号って…。2019年、折り返しですよ。

?連載「ファッション歳時記」第92回は「行き場のなくなる技術を活かせ」。(←Follow my Twitter) あと8回で100回です。

日本FIT会(Fashion Institure of Technology卒業生の会)の主催でおこなわれた、Dr. Valerie Steele (The Museum at FIT Director and Chief Curator)を囲む会にお招きいただきました。

Dr. ヴァレリー・スティールは、本ブログでも何度もご紹介しておりますが、FITの名物キュレーターで著書も多い。私も20代のころから彼女の本をほぼすべて読んできました。最新刊は、みなさまのご記憶にもあるかと思いますが、「Pink」です。

そういう方のレクチャーを聴けるというのは存外の喜び。たっぷりと贅沢な写真を用いての30分のレクチャーを楽しませていただきました。

立ち姿も絵になっていた、さすがのヴァレリーさま。英語もとても聞き取りやすく、ご自分がおこなってきた仕事に対するパッションと自信が伝わってきます。こんなふうに一途にキャリアを貫くことができるなんて、とても幸運な方だなとまぶしく拝見しました。

「ゴシック」展ではこんな展示も。こちらのインスピレーションの源は、バーニーズニューヨークのウィンドウだそうです。

左からWomen’s Empowerment in Fashion 会長の尾原蓉子先生、Dr. Valerie Steele、ファッションジャーナリストの生駒芳子さんです。講演のメインテーマが最新の「Pink」展だったのでリスペクトをこめてピンクを着用。生駒さんも。笑 

すばらしい機会にお招きいただき、ありがとうございました。

北日本新聞別冊「まんまる」5月号が発行されました。

連載「ファッション歳時記」第91回 「『七輪』はなぜ批判されたのか」。

アリアナの「七輪」の話題もずいぶん昔のように思えますね。今年の初めの頃の話題なのに。ついでにいえば富山トークショーも一か月前。ずいぶん昔のことのように感じられます。時のスピードは速い。

100回までのカウントダウン、あと9回。

顧問をつとめる日本フォーマルウエア文化普及協会一周年記念パーティー。六本木ミッドタウン、Nirvanaにて。

桜がまだ半分ほど残っています。Nirvanaのテラスから、刻々とライトアップされていくピンク七変化を楽しませていただきました(空気は冷たく、寒い…)。

今年は元号が変わるので皇室関連のフォーマル行事が多い。引退世代によるクルージング需要が盛り上がりを見せている。女性の管理職登用により、グローバルレベルで通用するフォーマルドレスに対する需要が高まっている。などなどの理由により、かつてないほどフォーマルウエアの市場が活況を呈しています。

カジュアル化がすすむ世の中ですが、ビジネスの現場でカジュアルであっても、きちんとしたドレスコードが定められた場でフォーマルウエアを着こなせる余裕があるといいですね(場数を踏むのが理想ですが、ドレスコードの基本的知識があるだけでも違います)。

顧問として挨拶をさせていただきました。

左はウエディング業界の重鎮、オフィスマリアージュの安部トシ子先生。(私は寒いのをがまんしておる。笑)

上は着物メンズ、下は着物ガールズと。実はかくいう私も着物の知識は皆無です。ごくまれに着る時には全面的にプロにお任せ。これから折に触れ勉強していかなくてはね。

ともあれ、一周年おめでとうございます。さらなる躍進を応援します。

奇遇なんですが、JFCAと弊社は同じ創立記念日なのです。2年目に向けていっそう気を引き締めて、一日一日を慎重に過ごしてまいります。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。

6日(土)付けでは、日本特有の「黒の略礼服」誕生の経緯について書いています。

貴重な資料は、カインドウエアさんがご貸与くださいました。心より感謝申し上げます。『ソシアル産業を拓く 渡辺国雄の歩んだ道』は、日本繊維新聞社編集、カインドウエア発行、非売品です。(昭和61年5月15日)

カインドウエアさんが現在、販売する略礼服。

新聞連載では字数が限られ、泣く泣く割愛した話が多くありました。もっとご紹介したいエピソードがありますが、それらは他の形で書けるよう検討中です。

3月28日(木)、品川プリンスホテルNタワーで開催した「ブランド力」講座には、社会人ばかりかフレッシャーズ、学生さんにもご参加いただきました。年度末の多忙期、あるいはフレッシャーズや異動の方々の引っ越しシーズンに重なり、どうなるかとひやひやしましたが、おかげさまにてなんとか好評のうちに終了することができました。ありがとうございました。

以下は、この日のレジュメから。このほかに、メイクアップ講師の奥戸彩子先生より、参加者それぞれのお顔立ちにあったメイクやグルーミングのアドバイスがありました。男性のひとりは、ほんの少しのヘアクリームでアレンジするだけで激変。また別の男性は、眉頭のみを少し書き足すことできりりと変貌。ヘアメイクの効果を実感しました。

ブランド力向上講座

  • ブランドとは
       ・ブランド価値の構成要素
  • なぜブランド価値を高めることが大切なのか?
  • ブランディング = 見え方のコントロール
       ・ブランディングの落とし穴
  • 「人」のブランディング
       ・人を形づくる要素  ・ブランディングに必要なこと     ・シグニチャー・ファッション シグニチャー・グルーミング     ・新世代、新時代のブランディング
  • ビジネスで成功するための服装術:女性編 (基本・初級)
       ・ビジネスウーマンの服装心得
       ・上質な服は人生への投資
       ・スーツの選び方  ・インナー  ・靴
       ・最も効果的にして重要なアクセサリー
  • ビジネスで成功するための服装術:男性編 (スーツの基本)
       ・最も見られているポイント
       ・ジャケットのボタンの扱い方
       ・ゴージライン  ・Vゾーン   ・ポケットスクエア    ・ポケット ・シャツ ・袖口  ・トラウザーズ  ・靴下、ホウズ、靴
  • ブランド力を高めるアティテュード (基本)
       ・姿勢 ・お辞儀 ・アイコンタクト ・握手  ・NGしぐさ ・ことば ・SNS
  • ブランド力向上のためのマインドセット
       ・自分の価値の自覚
       ・幸運を運んでくるのは誰      ・本物の出会いとは
       ・人生を好転させる行動とは     ・「前例がない」と言われたら  ・批判、中傷に対する心構え     ・選択に悩んだ時   
  • ロードマップのどのあたり   ・人生はペルシャ絨毯     
  • 進化<Evolution>のイメージ   ・プレミアムとラグジュアリー

*常々言っていることなのですが、女性は男性のスーツの基本を知っておくべきだし、男性も女性のビジネスウエアのことを知るべきです。自分が着ない異性の服装など関知しない……なにか言ったらセクハラと思われる……という時代錯誤的な態度ではなく、チームの男女が互いの服装に関心を持ち、全員が向上することで、組織全体のブランド力を高めることができます。

来てくださった学生さんたちと。ありがとうございました。

多くのスタッフにもお世話になりました。お声掛けをいただいた株式会社ヒューマンブリッジの鈴木さん、赤木さん、佐々木社長。会場の準備などきめ細やかにお手伝いくださった品川プリンスホテルの鈴木さん、山崎さん、宮田さん、白石さん。そしてナチュラグラッセのメイククリームをご協賛品として参加者全員にプレゼントしてくださった株式会社ネイチャーズウエイの鳥海さん。あらためて、心より感謝申し上げます。

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。29日(金)には、マーゴット・ロビーをとりあげました。


美貌を隠して七変化するカメレオン女優。大ヒット中の「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」の最大の見どころの一つは、マーゴットによるエリザベス像でもありますね。

16日はアスプレイの「ロイヤルスタイル」トークショーのため、大阪へ参りました。

アスプレイはリッツカールトン大阪の中に入っています。リッツとアスプレイの関係は深く、リッツのお部屋のアメニティもアスプレイなんですね。

タダシのドレスの上につけているネックレスは、アスプレイのコズミックコレクションから「シューティングスター」。ピンクのシルクスカーフもアスプレイです。肉厚で上質です。そもそも創業者のウィリアム・アスプレイは、1781年、シルクプリントから事業をはじめているのでした。

アスプレイジャパンの中村之夫社長、PRのキャンドルウィックのノリコ・シルベスター社長と打ち合わせを兼ねたランチをいただきました。リッツカールトン内の新感覚広東料理「香桃」。

中国茶も桃が香るオリジナルなブレンドのお茶で、くせになるおいしさでした。前菜の盛り付けもこのように上品で華やか。

鶏肉のアーモンド揚げ。上品にカリッと仕上がっていて、美味です。

そしてもっとも衝撃だったのが、こちら、うなぎのチャーハン。なんと、くりぬいた焼きりんごのなかにチャーハンがつまっております。最後はりんごも食べることができる。独創的。

その後、リッツのロビーラウンジでMC役の野村雅夫さんと合流、最終打ち合わせ。野村さんのお母様はイタリア人だそうで、野村さん自身、よく外国語で話しかけられるそうです。そういう時には外国人のふりをするんですって。笑 野村さんはDJのほか、翻訳や映画評論など多方面でご活躍中です。

リッツ・カールトンの前で。左から中村之夫社長、野村雅夫さん、中野とんでノリコ・シルベスターさん。全身写真だとよくわかりますが、野村さんのトレードマークは、ベルボトム。70年代の音楽に影響を受けて、ずっとベルボトムだそうです。今ではベルボトムはレアで、渋谷にしか売っておらず、ずっとそこで注文していらっしゃるとのこと。ジャケットはZARA。ポケットチーフを入れてさらっとおしゃれに着こなしていらっしゃいました。

日本経済新聞 土曜夕刊「モードは語る」。9日付はピンクという色についてのお話でした。

富山から戻った翌日には、三越日本橋本店での「三越のドレスコード」トークショーに出演しました。

3日連続のトークショーとなりましたが、むしろテンションがよい感じで保たれていてよかったです。

日本と世界のフォーマルルールのずれとその原因、メンズのドレスコードを基準として女性服が定まるグローバルルールについて話をさせていただきました。会場の熱気もあり、けっこう集中して話したので汗ばむほど。

スタッフと話し合い、三越の社員の方が実際にモデルとなって親しみやすい具体例を見せる、というスタイルにしたこともあり、とてもわかりやすく楽しかったと好評をいただきました(自賛で申し訳ありません。笑)。上の写真、左から小口さん、小西さん、中野とんで、齊藤さん、石渡さんです。

 私も「エレガントカジュアル」指定のときには、仕事先から会場へ向かうタクシーの中でどのようにしてパーティー仕様に変身していくかという実演をさせていただきました。

当日まで何度もスタッフと打ち合わせを重ねてきたので、達成感も大きいです。左は当日の司会も担当してくださった岡崎さん。右は志村さん。舞台裏でのきめ細やかなご高配をありがとうございました。

サプライズギフトも! レジィ―ナ・ロマンティコの社長、角野元美さんからゴージャスな花束をいただきました。届けてくださったのは、お嬢様の佳世子さん。なんと奇遇なことに、今、日本橋三越ではレジィーナ・ロマンティコの期間限定ポップアップショップを展開しているのでした(3月19日まで)。元美さん、佳世子さん、いつもながらあたたかなご配慮をありがとうございました。日本橋三越限定のジャケットもあるそうなので、みなさまもぜひこの期間に訪れてみてください。

Twitterでは、ご参加くださったお客様からとても報われるお言葉をいただきました。 ↓  (@kaorimode1参照)

「すごく分かりやすくって内容の濃い30分でした。これ、ただで見ていい質じゃなかった。最後沢山質問してしまったのは知らなかったから。ドレスは見るようにしていたけどメンズファッションを知らずにフォーマルは語れないんだと知った。この内容、20代で知るべきじゃない?」

「あ、20代じゃなくて、10代の方がいいかも。デビュタントは10代だもの!!(遅くとも20代、でもそれ以上の年齢でも知っておきたい) 三越さん!!これ、新宿伊勢丹2階やメンズ館とかでも聞きたい、聞いてもらいたい内容です。」

あたたかいお言葉に励まされました。ありがとうございました。

日本橋三越のパーソナルショッピングデスクを、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。「このオケージョンに、何を着ていいのかわからない」ときにぜひご相談を。ブランドの枠をまたいでコンシェルジュが提案をしてくれます。

富山ネタ最後です。2日間、ほとんどプライベートの時間はなかったのですが、2日目の講演前のランチに、久々に友が集まってくれました。総曲輪のレストラトゥールにて。

前菜のサラダ。右下にちょこっと載っているホタルイカが富山らしい。

メインのお魚料理。素材そのものから新鮮な富山のレストランのレベルは、かなり高いと思う。

個性的すぎる友たち。左からFoggy and Sunny の店主、中川くん、アーチストのトムスマさん(地球の化身)、北日本新聞の田尻くん、モデルにしてピラティス講師の池端忍さん、中野とんで牛島屋社長の武内くん。よく笑って楽しかった。今回、惜しくもお会いできなかった方々、また次回のお仕事のときにお目にかかることができれば嬉しいです!(まんまる100回記念イベントを楽しみにがんばります。)

さて、富山のおみやげとしてもお勧めなのが、能作さんのグッズ。高岡市で1916年に創業した鋳物メーカーで、 仏具、花器、茶道具から錫テーブルウェア、ホームアクセサリーまで作っています。

モダナイズされた洗練されたデザインを通して、今に生きる伝統技術のすばらしさが伝わってきます。写真は富山大和店。

今回、ギフトに購入したのが、この花びらの箸置き。春らしくて気持ちが華やぎます。

アクセサリー類も充実。同じお金を使うなら、こうした伝統技術に「投資」するという感覚で買い物をしたいものです。

どこへ行ってもたっぷり愛のあるおもてなしで接していただいた2日間で、心から幸せを感じ、たくさんのエネルギーをいただきました。お世話になったみなさま、あらためて、ありがとうございました。またお招きいただけるよう、さらに精進します。

北日本新聞主催の富山でのトークショー。2日間で80名様募集のところ、160名を超えるご応募があったとのことです。ありがとうございました。

ファッションを通して時代の先を見る、というテーマでの50分。おこなってきた取材の秘蔵写真など70枚近い写真のスライドをご紹介しながら話をさせてただきました。お客様のノリもよく楽しく盛り上がりました。

司会進行の西野由香さんと記念写真。

衣裳協力は総曲輪のmou。白いドレスはヴァレンティノ、シルバーのショールはブルネロクチネリです。このショールの輝きがまた素敵なのですが、写真で再現されないのが残念。

本当に多くの方々が惜しみないご支援をしてくださいました。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。2日目もさらに楽しんでいただけるようがんばります。

ANAクラウンプラザの部屋から見える夕日。よく晴れたよい一日でした。

日本経済新聞朝刊20面、21面に、Precious の全面見開き広告が掲載されています。15周年おめでとうございます。4月号は本日発売です。

15周年ということで、15人からのエレガンスの提言。光栄なことに、その一人に選んでいただきました。

予想していたよりも巨大な広告で、インパクト大きかったようで、朝から旧友より久々メールをいただいたりなどの反響でした。

他のみなさま:林真理子さん、雨宮塔子さん、村治佳織さん、桐島かれんさん、中村三加子さん、齋藤薫さん、安藤優子さん、小雪さん、光野桃さん、藤岡篤子さん、鈴木保奈美さん、島田順子さんです。

本紙に掲載の全文はこちらでございます。


ことわるまでもないのですが、あくまでこれまで研究してきたエレガントなスタイルアイコンに共通する要素、というヒストリアンからの視点です。私自身はエレガンスとは程遠い存在でございます……。

高島屋大阪店2階で、英国ラグジュアリーの真価「アスプレイ展」が開催されております。(3月1日~19日まで)

今回のイベントにあわせ、特別に英国から取り寄せた1800年代のアーカイブコレクションが展示されるほか、1781年創業時から代々受け継がれてきたアスプレイの職人技術によるジュエリー、ハンドバッグ、レザー、シルバー、クリスタル、陶器など、ライフスタイル全般にわたるラグジュアリーな品々が集められています。

期間中の3月16日(土)16:00~ 大阪のラジオ局FM802の人気DJ野村雅夫さんとともに、「ロイヤルスタイルとアスプレイ」展と題したスペシャルトークショーに登壇します。(約30分  高島屋大阪店2階 インターナショナルブティック特設会場)

DJ、翻訳家の野村雅夫さん

ご参加の先着の20名さまには、アスプレイのシグネチャーフレグランス「パープルウォーター」のシャンプー&コンディショナーまたはボディローションボディローション&シャワージェルのいずれかお好きなセットが一つ、プレゼントされます。

Save the Date. 大阪のみなさま、16日にお会いしましょう。

ニュー・ボンドストリートにあるアスプレイ旗艦店。写真はアスプレイ公式HPより。(ハンドバッグ、ボディケアセットは銀座サンモトヤマにて中野撮影)

ひな祭りの日は終日雨で寒い一日になりましたね。

雨の中、六本木ヒルズのJ-wave across the skyの生放送に出演しました。

聴いてくださった方、ありがとうございました。いつもながらなんですが、10分の番組内では、(音楽が入るので実質5,6分?)用意してきたことの10分の1も話せないですね……。聞いている方としては、関心の薄いテーマであれば、「話し方」とか「声が醸し出す雰囲気」しか受け取っていなかったりしますので、まあみっちり話す必要はなく、ぎりぎりポイントを絞っていくというのがミッションなのですが。

課題は今後に活かすとして。ヒョンリさん、スタッフのみなさま、ありがとうございました。

番組のなかでも触れていましたが、いま、六本木シネマズでは「女王陛下のお気に入り」において実際に使われたコスチュームが展示されています。ご覧のようにモノトーン。この映画では国をコントロールする女性がモノトーンをきりりと着ておりナチュラルメイク、男性が軽薄な遊びに興じてフルメイクで華やかなファッション。衣裳デザイナー、サンディ・パウエルのインタビューを読むと、彼女が意図的におこなったことであることがわかります。

キッチンのメイドはデニムを着るし、ビニールを使ったドレスもあり、レザーの馬具もかっこよくて、ケガを隠すアイパッチもクール。サンディ・パウエルの仕事はやはりドラマやキャラクターに多大な影響力を及ぼしながらも、楽しさにあふれています。

それから、しばらく前にも下のミニムービーをご紹介しましたが、「権力をもつ宮廷人の衣裳は一人で着ることができなかった」旨の番組での発言と関連付けて再掲します。映画のなかのアン女王の衣裳ですら、これだけの手間暇をかけて完成します。脱ぐときは逆のプロセス。毎回、これを繰り返すわけですね。

18世紀、ロココ全盛の衣裳の着付けに関しては、スティーブン・フリアーズ監督の「危険な関係」のオープニングシーンをご覧ください。服地をボディスに密着させるために、毎朝、メイドが縫っていた様子が描かれています。

ヒストリカルコスチュームの話をし始めたら止まらなくなるのでこの辺で。

雨の月曜日となりましたが、心のなかは晴れやかな、一週間のスタートとなりますように。

日本橋三越本店で開催される「三越のドレスコード」イベントが公式ウェブでも紹介されましたのでご案内です。こちら

3月10日(日)、14時~ 「世界と日本のドレスコードの今を知る」と題して30分ほどのトークショーに出ます。改装し、一段とグレードアップした日本橋三越本店に、この機会にどうぞお立ち寄りくださいませ。

上のコラムは三越日本橋本店のウェブサイトとパンフレットに掲載中。当日は、具体例を着用するモデルが登場するなど、わかりやすく楽しく学べるイベントになります。

三越日本橋本店 (重要文化財) 横河工務店設計 写真はウィキペディアより@kakida

読売新聞連載

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。1日はAOCことアレクサンドリア・オカシオ=コルテスについて書きました。(Alexandria Ocasio-Cortez. 読売新聞の表記の基準にしたがい、オカシオコルテスになっているます)

日々ニュースが更新されていく方なのでエピソードをどこまで最新にするかなど難しいところもありましたが。彼女の美しきファイターぶりは痛快で、励まされます。がんばれAOC。

アイキャッチ画像は、Wikimedia Commonsより(著作権フリー)。

今回で第92回。100回まであと8回のカウントダウンとなりました。

昨日の読売新聞夕刊に、脱ハイヒールのムーブメントに関する記事が掲載されました。コメントを寄せています。

ハイヒールに関しては一冊本が書けそうなほどおもしろネタがたくさんあります。

たとえば17世紀のヨーロッパの宮廷では、男性も女性もヒール靴を履いていましたが、爵位によって高さが決められていたんですよね。爵位が高いほど高い靴がはける。

どことなく「権威」性を帯びているのはそんな歴史があったこととも無関係ではありません。

そうそう、忘れかけていましたが、ハイヒールの取材で思い出したことがある。8か月前、NHKの「なんとかちゃんに叱られる」とかいう番組の制作者から、ハイヒールの疑問について答えてくださいという出演打診がありました。

OKしたまではよかったのですが、収録先に関し、先方のご希望に添えませんでした。背景に本がたくさん並んでいる大学の研究室のような「お仕事場」をご希望でしたが、私はすでに大学を離れていたので、そんな場所は知らない。代わりに、現在の仕事で関わっているホテルのラウンジやスイートルームはいかがかとご提案しましたが、それでは「ほしい絵」(=知識のある人が働いている場所?)にならない。ということでお流れになりました。

ハイヒールを実際に履いてみて、before とafter の姿勢の違いを解説するのにふさわしい場所はまさしくホテルのほうなんだけどなあと思いながら、まあきっとふさわしい「本がたくさん並んでいる研究室つきの大学の先生」の解説者を見つけられたことと思います。

私はテレビを見ないので、この番組がどういう番組かよくわかってませんし、その後、フォローもしていないのでハイヒールの話題がどのように報じられたのかも知りません。ただ、製作者が視聴者に与えたいイメージというのは、背景とセットにして恣意的に作られるのだなということがあらためてよくわかった経験でもありました。研究者=本がたくさん、というイメージも、21世紀が進んだ今となっては古いんだけどね。

J-Wave / Across The Sky 内 「DIANA Shoes NEW LOOK」に生出演します。

3月3日(日) 11:30~11:40  ナヴィゲーター 玄理さん

テーマは「女王を描いた映画」のムーブメント

最近続々公開される「女王映画」。その見どころを、ファッション&映画好きな玄理さんと語りますよ。この番組には年末にもお招きいただき、ヴィヴィアン映画について話をさせていただきました(そういえばヴィヴィアンも「女王」ですね)。再びお招きいただき、とても光栄です。

私自身がとても楽しみにしています。もしラジオのお近くにいらしたら聴いてくださいね。

Mary Queen of Scots 「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
The Favourite 「女王陛下のお気に入り」
Victoria and Abdul 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」

並べてみて気づきましたが、スチュアート朝は、処刑されたスコットランド女王メアリの息子に始まり、合計17回も妊娠しながらすべての子どもに先立たれたアン女王で終わるのですね。9人の子供ばかりか40人の孫、37人の曾孫に恵まれたヴィクトリア女王も、最後は壮絶な孤独と闘った。なんだか切ない女王たちの運命は、すべての女性にとって「他人ごとではない」ところもあるのですよね。

21日午前の高輪の日本庭園。春の兆し。

昨日9日付の日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」です。

ファッションブランドのロゴが続々変更されていることをきっかけに、ファッションにおける「新しさ」を考えてみました。答えはありませんが。「新しさ」を生むことがかつてないほど困難な時代なのではないかと思います。


diet_pradaのアカウント管理人には、インスタグラムのメッセージを通して投稿写真掲載のご快諾をいただきました。ありがとうございました。痛快な投稿を今後も楽しみにしています。

☆☆☆☆☆

「モードは語る」は第24回目、丸2年をなんとか務めました。感謝。来月からは3年目に入ります。

以下は、今週のTwitter @kaorimode1 投稿から。



モードの変化は社会の変化に先行してきました。ジェンダーなど別にMF/LGBTQのどこかに同定する必要もなく、どうでもいいじゃないかという時代がくるかもしれません。Gender Nonconformingの動きはすでにありますね。

I wishes you and your loved ones a lucky, healthy and prosperous New Year!

さて、春節には、イギリスのクラシック・ラグジュアリーブランドであるアスプレイのティーパーティーにお招きいただきました。銀座サンモトヤマにて。

Aspreyは1781年創業のイギリスのラグジュアリーブランド。王室御用達です。メーガン妃が結婚披露宴のときにつけていたアクアマリンの指輪も、もとはダイアナ妃がつけていたものですが、アスプレイ製でしたね。

陶器、バッグ、ジュエリー、香水、布製品、インテリア小物などなんでも作っています。フランスにエルメスがあるように、イギリスにアスプレイがある、と喩えたらわかりやすいでしょうか? 贈り物をもらう瞬間、エルメスのオレンジの箱にときめくように、アスプレイのパープルの箱にときめくという感じ。

上の写真、ウェルカムシャンパンから、アスプレイならではのシャンパングラスに。内側が金で塗られているのですが、ずっと冷たいままで、泡が消えにくいのです。

アスプレイジャパンの社長を15年もつとめる中村之夫さま直々のプレゼンテーションにより、アスプレイの歴史やイギリスの工房の様子などを学びます。

新作のバッグを手に取ってじっくり解説を聴きながら撮影会。

この深いグリーン、落ち着きと品格を備えながらモダンです。
ミレニアム仕上げされたクロコ。あまりのつややかさとセクシーな色に陶然とします。
左はパイソンのポシェット。あえてフェイクっぽく表面を加工しているそうです。中央のローズペタルの167ミニ、かわいいですね。オプションで部品をいろいろつけかえることで、自分オリジナル仕様にすることができます。
こちらは印伝。鹿革にうるしの仕上げ。美しすぎ……

ジュエリーもひとつひとつが芸術品クラスなのですが、たとえば上は「カオス」というシリーズ。石のひとつひとつ、大きさも種類も違うんですが、全体としてブルー系でまとまっている印象になる。イギリスの多文化主義を象徴するシリーズだそうです。

シルバーウエアも茶目っ気たっぷりで楽しい。ロケット型のカクテルシェイカーはすでに有名ですが、上は、ピッグの貯金箱。

こちらは、エッグスタンド。リアルなひよこの脚がついています。こういうのに入ったゆでたまごは、正装した執事にもってきてほしいところですよね。(どこにおるんや……笑)

「カオス」のブルーネックレスの臨時モデルになっておりますよ。ひよこエッグスタンドのアンバサダーのほうが似合っておりますが。

リッツカールトンで使われているのがアスプレイのアメニティですね。高級感とさわやかさとセクシーさ、すべて備えた、深呼吸したくなるような香りです。中央、フレグランスのボトル部分がギザギザになっているのですが、ここでマッチをすると火を起こすことができるのだそうです。ジェームズ・ボンドがそうやって葉巻に火をつけるとキマリそう?

ブルーのクロコバッグとブルーの「カオス」です。中村社長がもつのは珍しいグレーのブリーフバッグ。

中村社長のビジネスの現場のお話から、知らなかったイギリス文化のことも学ぶことができて、たいへん楽しい春節のお茶会でした。ありがとうございました。

春分の日はとてもあたたかな大安でしたね。私も原稿を2本、仕上げたほか、新しいチャンスをいくつかいただいた、春のスタートにふさわしい日になりました。機会を活かすも殺すも自分次第なので、万全の備えで臨みたいと思います。

さて、先日、ザ・プリンスパークタワー東京のご協力のもとに撮影が無事終了したNHK World Kawaii International 記念すべき第100回、ロリータスペシャルの回の放映が以下のように決まりました。

<放送タイトルと日時>

放送回:#100『Forever Young ~A Love Letter to Lolita~』 本放送:2月8日(金)9:30,15:30,22:30,27:30 (28分番組) 再放送:2月22日(金)9:30,15:30,22:30,27:30 ※世界各国の時差対応で1日に4回放送されます ※上記の時間は全て日本時間です

<放送の視聴について>

NHK World(※海外向けのNHKチャンネル、全編英語放送)における ライブストリーミング放送で日本でも視聴が可能です。 NHK Worldホームページ・・・http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/index.html 国内ではオンラインでのストリーミング視聴が可能となっておりますので、 放送時間に上記URLにアクセス頂き、サイト右上の「Live」という部分を クリックして頂ければご視聴頂けます。 Live配信ページ・・・https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/live/ 上記のURL先からですと直接Live配信ページに行くことが可能です。

自分でなかなか見る気もしませんが、万一、お気づきの点あれば、今後のためにご教示いただけますと幸いでございます。

 週末に原稿ネタとして読んだ本。ヴァレリー・スティール編集の”Pink: The History of Punk, Pretty, Powerful Color”. ピンクという色について徹底的に考察したビジュアル本。いやもう見ているだけで気分が春になりました。日本におけるピンクの扱いもまるまる一章あって、楽しい本でした。どこにどのように書こうか、思案中です。

続々公開されるファッションデザイナー映画について、コメントしました。読売新聞1月25日夕刊です。

一昨年あたりから、この波は続いていますね。私がいちばん見たいと思うドキュメンタリーは、LVMHトップのベルナール・アルノー氏の映画。まあ、撮らせないでしょうけれど……。

女王映画続々、という特集もやってほしいな。

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。

1日付では、マリア・カラスについて書きました。

50年代~60年代の社交界スタイルというのは、非の打ちどころなきエレガンスの世界ですね。ディオール、サンローランの全盛期のスタイル。写真のカラスもため息がでるほど完璧です。

試写拝見しました。日本語のタイトルは「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」。原題はMary Queen of Scots.

この二人の女王をめぐる史実は、どんなドラマよりもドラマティック。それゆえ何度も何度も映画化、ドラマ化されてきた。今回の映画は、女性のトップを支える男性社会という視点もちらりとさしはさみながら、新しい解釈による濃密なストーリーテリングで編みあげられている。

ふたりの女王が面会するシーンの緊迫感たるや。それぞれの背景を負い、それぞれの決断をしてきた女王の孤独や悲しみが迫ってきて、涙なしには見られなかった。演じる2人の女優がまたすばらしいのです。とりわけエリザベスを演じたマーゴット・ロビー。なぜあの白塗りなのか?かつらなのか?理由も明かされるのだが、ヘアメイク、衣裳の力も手伝って、刻々と変わりゆく女王の一生を演じきってあっぱれ。

女王ふたりのライバルとしての争い、という視点は男社会のもの。おうおうにして、男性社会は策謀の網をはりめぐらし、女同士で争わせるように仕向け、自分たちがまんまとおいしいところを手にしていくことがある。比べるレベルではないが、私もかつて(大昔のことだが)そういう策謀にひっかかりそうになったことがあるので、このあたりのことは痛いほど迫ってくる。表面だけちやほやする男たちの策謀に乗せられてしまうと、とんでもない罠が待っているのだ。

Mary Stuart: Do not play into their hands. Our hatred is precisely what they hope for. (メアリー・スチュアート:男たちの策略の手に落ちてはいけません。私たち女王ふたりが憎み合うこと、それこそ彼らの思うツボなのです)

美しくて勇敢である、ということが必ずしも女性リーダーにとっては有利に働かず、かえって女性にとっての大きな罠になることがある、という戒めを見せてくれるのがメアリー・スチュアート。彼女の美しさがあだになり、敵を作り、血まみれの惨事を招いたばかりか、最後には国を追われる羽目になった。

Elizabeth: Your beauty, your bravery, now I see there’s no cause for envy. Your gifts will be your downfall!  (エリザベス:あなたの美しさ、あなたの勇敢さをかつて私はうらやんだ。でももううらやましくはない。あなたのその美質があなたを転落させたのですから)

最後には「男」としてふるまうことを決断し、そのように行動したエリザベス。それぞれに背負ってきた歴史があってこうせざるをえなかったので、誰が悪いとか誰が正しいということは言えない。

メアリーは処刑され、時間は流れる。メアリー・スチュアートが生んだただ一人の息子が、子供を生まなかったエリザベスの跡を継いで、イングランドとスコットランドがはじめて合併する。両国の平和を願っていた2人の女王の意志は、このような形で時間が解決した。

こういう史実を見るにつけ、やはり「神の意志」というのがどこかで働いているように思えてならない。何度たどっても感慨深い物語。

アン女王、ヴィクトリア女王、エリザベスにメアリー、と女王映画も続きますね。嬉しい悲鳴です。「ふたりの女王」では俳優の人種も多様。アジア系のジェマ・チャンもエリザベスの侍女役として出ていてまったく違和感なく、この史実の現代的な解釈を促していて、嬉しくなりました。

「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」 Mary Queen of Scots
監督:ジョージ・ルーク 出演:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー、ジャック・ロウデン、ジョー・アルウィン、ジェマ・チャン、マーティン・コムストン、ガイ・ピアース、イアン・ハート
配給:ビターズ・エンド 3月15日 TOHOシネマズ全国ロードショー

Elle Japon 3月号発売です。

ファッションドキュメンタリー映画の特集があります。

マックイーン映画について、ミニミニコメントをしています。(「あの人の視点」)

ファッションデザイナーについて、映画から学びたい人にはお勧めの特集。ぜひチェックしてみてくださいね。

今週も終わらせるべき締め切り満載のほか、新しいプロジェクトがいくつか始動します。機会をいただけることに感謝して、ひとつひとつ確実に丁寧に完遂することを心掛けつつ没頭したいと思います。

みなさまも風邪やインフルの予防を万全に、どうぞ充実した一週間をお過ごしくださいね。私の予防法はビタミンCの多めの摂取。あとは笑うことと、強くて美しい人の心のあり方をフォローすること。免疫力を高めるらしい。それぞれの工夫で厳寒の季節を乗り切りましょう。

「女王陛下のお気に入り」(The Favourite) リーフレットにコメントしました。以前、試写直後に本ブログでも紹介しましたが、18世紀初頭の男女宮廷衣裳も見どころです。バロックからロココの過渡期のスタイルですが、現代の観客も魅了するようにアレンジが加えられていて、斬新な印象。狩猟服、乗馬用馬具などは、着たい、と思わせる。デザイナーはアカデミー賞3度受賞の大御所、サンディ・パウエルです。ヒストリカルなファッションが好きな方には超おすすめよ。あまりパブリシティには出てないのですが、メンズの宮廷スタイルもなかなか面白いのです。男性もかつらにメイク、フリルにハイヒールの時代ですから。

ストーリーは激辛ブラックユーモア。あとからじわじわくる感じ。

なんとケンジントン宮殿では、この映画のコスチューム展が開催中。こちら。

いいなあ、この展覧会。取材に行きたい。スポンサー(掲載先)大募集!!

アン女王スタイル着付けの様子は、Historic Royal Palaces がYou Tubeで公開しています。↓ とてもひとりでは着られない当時の宮廷衣裳の内部構造がわかります。

<追記>
この日、アカデミー賞ノミネートの発表がありました。この映画は最多10部門にノミネートされました。


・作品賞
・監督賞(ヨルゴス・ランティモス)
・主演女優賞(オリヴィア・コールマン)
・助演女優賞(レイチェル・ワイズ、エマ・ストーン)
・脚本賞(デボラ・デイヴィス、トニー・マクナマラ)
・編集賞(ヨルゴス・モヴロブサリディス)
・衣裳デザイン賞(サンディ・パウエル)
・美術賞(フィオナ・クロムビー)
・撮影賞(ロビー・ライアン)

女優三人はトリプルノミネート。助演をこの2人が争わなきゃいけないところに不条理を感じます。どちらもそれぞれにキレ方がすばらしいので……。2月25日に発表されます。もうノミネートだけで十分偉業、おめでとうございます。

まずは、ニュースから。プリンス・オブ・ウェールズならぬプリンス・オブ・ウールズの最新情報です。チャールズ皇太子はサンドリンガム宮殿の羊を3000頭から15000頭に増やす計画を発表しました。皇太子はオーガニック系実業を一貫して続け、成功させているビジネスマンでもある。イギリスの利益とも合致。80年代から方向にブレのないビジネスセンスがいい。

Prince of Woolsっていう、記者のおやじギャグが入ったネーミングもイギリスらしくていいですね。

詳細記事は、テレグラフ紙、こちら。

さて、日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。12日付は、「Camp キャンプ」について書いています。2019年のトレンドワードの一つになるはず。ファッション学の学徒のみなさまは、しっかりおさえておいてね!

Photo © Johnny Dufort ヴァージル・アブロー オフホワイト 2018プレフォールの作品。写真はメトロポリタン美術館にご提供いただきました。
Photo © Johnny Dufort  フランコ・モスキーノ 1989秋冬コレクションより。メトロポリタン美術館提供。

北日本新聞別冊「まんまる」連載、ファッション歳時記第88回です。

100回目のゴールが見えてきました。とはいえ何が起きるかわからない。並行して進めなくてはいけない新しい仕事もどんどん増えていきますが、確実に、誠実に、ひとつずつ(と自分に言い聞かせる日々)。

ロンドンファッションウィークメンズ開催中。デイヴィッド・ベッカムが一部所有するケント&カーウェンは、戦前ドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」とコラボしたコレクションを発表しました。詳細は「ガーディアン」のこちらをご参照ください。


Special Thanks to Photograph: Jamie Baker for the Guardian

極太ストライプの上着、固結び調のネックウエア、なかなかかわいい。

Peaky Blindersはいま話題にのぼることが多いBBCドラマです。1919年のバーミンガムに生息したギャングのストーリー。この時代のコスチュームって凝っていて、美しいんですよね。

BBCのHPより。Peaky Blinders

写真を見ているだけでテンションが上がります。多くのデザイナーがそう感じたようで、インスパイアされるブランドが多々。

マーガレット・ハウエル、ドルガバ、アレキサンダー・マックイーンなどがこの時代にインスパイアされたコレクションを発表しているという記事はこちらをどうぞ。

イギリスのコスチュームドラマは脚本も衣裳も俳優もセットもレベルが高くて、影響力が大きいですね。ダウントン・アビーの映画版ももうすぐ公開になるし、1920年代(前後)ブームは今年、しばらく続きそうですよ。

今年最初のスタイルアイコンは、アレキサンダー・マックイーンです。

読売新聞のこの連載もこの秋に100回を迎えます。連載開始当初は50人もいるかな?というおぼろげな感じだったのですが、100回の区切りが見えてきたというのは感慨深い。秋までおそらくあっという間。気を引き締めて一回一回、着実に重ねていきます。

春公開になるドキュメンタリー映画は、スピード感もありドラマティック。お勧め。

「マリー・クヮントとヴィヴィアン・ウエストウッド」コラム掲載のEnglish Journal 2月号は、本日発売です。こちらは契約上、来月にならないと全文をアップできませんが、よろしかったらぜひ本誌をお手に取ってご覧くださいね。

(Click to amazon)

アメリカの議会における歴史的瞬間。初のムスリムの女性、初のネイティブアメリカンの女性、最年少の女性……。晴れやかでファッショナブルな多様性は未来の希望を感じさせる。「男性のスーツに準じる」服を無理に着る必要なんてまったくないのだ(そういう服を着て安心するならもちろん着ればよいのですが)。NY magazine CUTに紹介されるこちらをご覧になってみてください。

それぞれのアイデンティティに根付いた装いと、人柄を伝える心からの笑顔、過不足のない優しい自信に満ちた振る舞い。「着るものがない」とお悩みの女性エグゼクティブのみなさん。ここに何らかのヒントがありませんか。


Congresswoman Rashida Tlaibのインスタグラムより。彼女は 下院議員になった初のPalestinian-American woman。

上のドレスはアメリカの政治史に残る服になるだろう。感慨深い。

今年は新しいご縁にも多々恵まれた一年でした。そのひとつ、English Journal が年明け早々に発売になります。ヴィヴィアン映画がきっかけで、執筆依頼を頂戴いたしました。

2019年1月5日発売です。amazonでは予約受付が始まっています。

特別企画「イギリスファッション史を彩るデザイナー」。そのなかで、「マリー・クヮントとヴィヴィアン・ウエストウッド」についてそれぞれコラムを書いています。

ポップでカラフルな全4ページ。写真もほかではあまり見られない個性的なものが選ばれています。ヴィヴィアンの映画中のセリフの一部も収録されています。付録のCDでこれを聴くこともできますよ。

発売前につき「予告編」のみですが、映画とイギリス文化と英語が好きな方はぜひ、年明けにお手にとってみてくださいね。

マリー・クヮントのことを知らない人(コスメやポーチのブランドだと思っている人)は、1月5日から公開される「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」を観てばっちり学んでくださいね。


ほかにもコリン・ファースとレイチェル・ワイズのインタビュー記事はじめ、世界を取り巻くリアルな英語事情の解説など、お楽しみからお役立ちまでよい記事が満載です。「女王陛下のお気に入り」の解説がさっそく載っていたのもうれしかったな。(「英国式庭園殺人事件」を連想したのは私だけではなかった!)

English Journalを読んでいたら、もう20年も前のことですが、東大の駒場で映画英語の授業をもっていたときのことを思い出しました。自分でオリジナル教科書まで作っていたなあ……(そんな体力もありました)。映画と言語と文化が交わる世界は、もしかしたら最も好きなテーマです。そのころはEngine 誌で「映画のなかの英語」という連載ももっていました。本HPのmagazine 欄で一部pdfを公開しています。お休みの間のDVD鑑賞のご参考にでもなれば幸いです。

2018年もご愛読ありがとうございました。公私にわたるあたたかなご交誼に心より感謝申し上げます。みなさまご健康第一に、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

23日は新高輪からそのままJ Waveへ。Diana Shows New Look に出演、ヴィヴィアン・ウエストウッドの映画について語ってきました。

話したいことが多すぎてなんだか詰め込み過ぎたし、話しておかねばと思うあまり早口になったりとちったりしたな、という反省。

ナビゲーターの玄理さんもとても映画好きな方。

こういう番組では「内容」そのものよりも聞いたときの心地よさが優先されるのよね。自分が求めるものがそうだったりする。出る立場になるとそれをすっかり忘れてしまう。そのジレンマの解決は、次の課題です。というかこの前も同じ反省をしていたような気がしないでもない……。

23日の生放送、25日の収録分と、二度にわたって機会をいただきましたこと、とてもありがたく、心より感謝します。

さて。

このプレスシートに掲載されている私のエッセイは、本HPのetc. 欄にpdfでアップしておりますよ。業界の方々より好評をいただいておりますので、よろしかったら読んでみてくださいね。

銀座ミキモトホールにて、西陣織の老舗、細尾さんによる「美しい日本の布」展が開催されています。

細尾真孝さんが日本全国を巡り集めている美しい織物。一枚一枚に地域のストーリーが織り込まれています。

ミキモトホールは入場無料です。銀座にお出かけのおついでにどうぞ。

ミキモトの店内にも細尾さんの織物が装飾として飾られておりますよ。

☆日経ウーマン・オンラインにて、ファッションジャーナリストの宮田理江さんが、監修した『服を味方にすれば仕事はうまくいく』(ディスカヴァー・トウェンティワン)をご紹介くださいました。こちらです。

的確なレビューで、とても光栄です。ありがとうございました。

Vivienne Westwood 映画についてのコメントが、朝日新聞12月20日夕刊に掲載されました。

さらに、ラジオ(J-wave)でも語ります。

☆12月23日(日) 11:30~11:40 「DIANA Shoes New Look」生放送 玄理さんナビゲート

☆12月25日(火) 13:45~13:55 「Good Neighbors  森ビル東京パスポート」(収録済み) クリス智子さんナビゲート

ほとんど「ヴィヴィアン映画のアンバサダー」と化しておりますが? こうして多方面からお声をかけていただけるのは光栄です。

打ち合わせに立ち寄ったTable 9 Tokyo 冬仕様。夜はこの上なくセクシーな空間ですが、昼間も美しい

来年4月公開ですが、スミマセン、一足早く拝見しました。

40歳で自殺したイギリスのデザイナー、アレキサンダー・マックイーンのドキュメンタリー映画です。

伝説として語り継がれるショーのハイライトも網羅。闇や死や醜と向き合い、そこから美を引き出した彼の功績と、恩人に対しても冷酷な一面、1990年代の激動のファッションシステムのなかでの幸運や裏切り。40歳の人生の春夏秋冬がエモーショナルに描かれます。

複雑な余韻がぐるぐる続く傑作です。詳しくはまたさまざまな媒体で書きます。

それにしても、クイーン⇒ヴィヴィアン・ウエストウッド⇒マリー・クワント(「ロンドンをぶっとばせ」)⇒アレキサンダー・マックイーン、と大好きなイギリスのカルチュアアイコンの映画が続きます。もう嬉しすぎて。

監督:イアン・ボノート
音楽:マイケル・ナイマン
配給:キノフィルムズ
2019年4月全国ロードショー *写真は配給会社より

東京藝術大学大学院の博士審査会(公開)で副査を務めさせていただきました。審査対象は清水千晶さんによる「衣服と環境の同化」をテーマにした論文と、「アナザートーキョーシナリー(もうひとつの東京の風景)」という作品です。

作品は、地方から東京に出てきた女性が7段階を経て環境と同化して自己を発見していく過程を、7体の服で表現したもの。アパレル業界で服作りの仕事をした経験もある清水さんならではの力作でした。

博士展では、ほかのジャンルの作品も展示されており、一般の人も鑑賞できます。絵画、ガラス造型、陶芸、ロボットなど、レベルの高い作品が多く、予期せぬ眼福でした。20日までです。芸大周辺は時が止まったようにゆったりしていて、心がほっと落ち着きます。かつてこんなふうに、ただただ純粋に、学問を追求できた時代もあったな……。とてもよい時代だったころの駒場の雰囲気やケンブリッジの街並みなどを思い出してちょっと切なくなったりね。

芸大近くの国立西洋美術館ではルーベンス展! 壮大な肉厚濃厚作品の迫力に圧倒されました。(身体に矢やら釘やら刺さって)痛そうな絵が多かったですが。

まんまる2019年1月号発行です。

連載「ファッション歳時記」第87回。「シャツの胸ポットは『あり』でいい、最後はスーツ2着でいい」。ご笑覧くださいませ。

昨日は尾原蓉子先生の「ブレイク・ダウン・ザ・ウォール」出版記念講演会でした。80歳の尾原先生、ますますお元気で、お話の内容も講演スタイルも情熱が感じられてすばらしかった。多くの方々がお祝いに駆けつける盛会でしたが、これも尾原先生のご人徳の賜物ですね。80歳になったときにどんな風になっているのだろう…?と想像するときに、尾原先生のように現役で、人に囲まれてご活躍されているロールモデルがいるということは、どれほど心強いことか。70歳になる横森美奈子さんも会場で一段と華やかな存在感を放っていらっしゃいました。こういう素敵なロールモデルがもっともっと増えてほしい。


さて、もう一か月も前の話になってしまったSuits of the Year 2018. ではございますが、Men’s EX編集部から本誌に掲載された写真の元版が送られてきましたので、調子に乗ってアップします。

タキシードはロッソネロ。大きめのボウタイもデザイナー社長の横山さんデザインによるもので、この日はネイビーです。袖口をターンバックするとゴールドの裏地が見えるというデザイン。男性タキシードのルールをしっかり踏襲するよりも、ちょっとはずしていたほうが抜け感があってよいという横山社長の考えです。外からははっきりとわからないけど、いちおうカマーバンドもつけてるのですよ。腹巻みたいであたたかかったです。


The Favourite 「女王陛下のお気に入り」試写。

Emma Stone stars in Fox Searchlight Pictures’ “THE FAVOURITE.”

18世紀初頭、アン女王時代のイギリスの宮廷が舞台。豪華絢爛な衣裳に身を包んだ女性3人のバトルの行方が、当時のイギリスの歴史を背景に描かれる。いやもう濃厚で過激。野心羨望嫉妬駆け引き憎悪淫猥愛情怨恨野蛮滑稽孤独哀愁陰謀下劣凄絶といった印象でしょうか。もう単語と単語の間に「・」もつけられないみたいなね。

終始、カメラワークも音響も不安をかきたてる。女優3人の演技もすさまじい。18世紀初頭の宮廷衣裳、メイクもすばらしい。衣装デザインはサンディ・パウエル。

Rachel Weisz, left, and Olivia Colman star in Fox Searchlight Pictures’ “THE FAVOURITE.”


アン女王のこのヘアスタイルね、17世紀の「フォンタンジェ」の名残りです。スカートは18世紀のパニエ。まだそれほど拡張していない。時代の変わり目のスタイルまで忠実に再現しています。

男性もこてこてくるくるの長髪かつらに白塗り、チーク、リップ、パッチの化粧。トーリー党とホイッグ党ではかつらの色まで違う、というところまで再現。

決してやすやすと「感動」できたり「すっきり」できたりする映画ではありません。むしろ2時間が不安感や不快感すれすれとの闘いで、なんだか凄絶なものを見た……という複雑な余韻が残ります。しばらく時間が経ってから思い出したのですが、この感じ、ピーター・グリーナウェイの映画を観たあとの感覚と似ている。「英国式庭園殺人事件」とか「コックと泥棒、その妻と愛人」とか、あのあたりの。グリーナウェイほど難しくはないですが。

監督はギリシアのヨルゴス・ランティモス。18世紀イギリス貴族の野蛮さや滑稽さもブラックユーモアでちらりちらりと表現しているのがたまりません。

紳士ネタで笑った会話が、侍女アビゲイル(エマ・ストーン)と、彼女に一目ぼれしたマシャム(ジョー・アルウィン)との会話。
アビゲイル「誘惑しにきたの? それともレイプしにきたの?」
マシャム「ぼくはジェントルマンだ」
アビゲイル「じゃあ、レイプね」

ふたりのフラーティングもかなり野蛮すれすれで面白いのね。これは見ていただくしかないとして、こういう行動をすれば男性は夢中になるということを、アビゲイルは勇敢に見せてくれる。いやこれは農耕民族にはムリだろう……という感じで見てました。笑

というわけで、心の体力ががっつりあるときに見てね。重たかったのですが、ゴールデングローブ作品賞はミュージカル・コメディ部門にノミネートよ。重たくて不快もスパイスになる、新種のコメディ。

こんな滑稽な一部の人たちの思惑で国の重大事項が決まり、国民の命運が決まっていくなんて……という不条理は、現代も同じね。



2月15日(金)より全国ロードショー。写真は配給会社よりご提供いただきました。©2018 Twentieth Century Fox

Men’s EX 1月号では、紳士のためのジュエリーに関するエッセイも寄稿しています。

どのようなジュエリーがあるのか、他のページでは写真もご覧いただけます。ミキモトの社史も学べる充実のページになっています。ぜひ本誌でご覧くださいね。


ちなみに私は最近、イヤリングもネックレスも一切つけてないのですが(ミニマリズムというとかっこいいですが、実際はなくすことがあまりにも多いため(^^;))、レフ版効果が必要なときにはミキモトのブローチをつけていきます。落とす心配がないし、意外とブローチひとつで正装感が上がるんですよ。

NHK の世界150か国向けの海外番組Kawaii International 第100回目のゲストにお招きいただき、取材を受けました。

テーマはロリータ。

ロリータの歴史と文化について解説しました。西洋のファッションを日本人が独自の解釈で取り入れているのに、なぜ海外の人はそれを「日本のカルチュア」と認識するのか、などなど。

話をしながら気づいたのですが、西洋の方が日本の昔の着物をミックスして着たら「文化の盗用」と騒がれます。だから到底、そのようなファッションは発生しえない。しかし、日本人が西洋の昔のドレスをミックスして着ても「カワイイ」と賛辞を送られる。そして西洋人がどんどん「逆輸入」して楽しんでいる。笑

 

今回もザ・プリンスパークタワー東京に撮影のご協力を賜りました。この姫スイートは、ハーバーロイヤルスイート。インテリアも外に広がる景色もゴージャスです。ベイブリッジも見えるしスカイツリーも眺められる。世界に向けて「Tokyo Kawaii」を語るには最適の場所だと思いました。実際、海外の方が「kawaii」に夢見るものには、Tokyoのイメージが大きく重なっています。ご協力ありがとうございました。

今回着ているドレスとジャケットは、Tae Ashida です。世界に通用するJapan Brandです。

 

 

 

ケンブリッジ・アナリティカ問題をご記憶でしょうか。2016年のアメリカ大統領選挙において、トランプ陣営がデータ解析企業ケンブリッジ・アナリティカの協力を得て、Facebookのユーザー5000万人分の情報を不正利用していた問題。ユーザーのデータに基づいて、その人の投票行動に影響を与えるような個別の政治広告を配信していたとされます。

その告発を内部から行ったのが、クリストファー・ワイリー(当時28)でした。髪をカラフルに染めている、ゲイのカナダ人で、データオタク。ゲイは流行や時代の流れを敏感に読んで取り入れるアーリー・アダプター(新しもの好き)であることが多く、ワイリーもその点でケンブリッジ・アナリティカ創業者たちに好かれて仲間入りしたようです。

 

そのワイリーが、Business of Fashion のVoicesで、ケンブリッジ・アナリティカがユーザーのファッションブランドの好みをどのように彼らの投票行動に利用したかというおそろしい話を語っております。こちら。

ナイキ、アルマーニ、ルイ・ヴィトンを好む人は、開放的、良心的、外交的、愛想がよく神経症的で、そういう性質を利用し、ケンブリッジ・アナリティカは政治的メッセージを送っていた。

一方、アメリカのヘリテージブランド、たとえばラングラー、LLビーンなどを好む人は、開放度が少なくて保守的で、トランプを支持しようというメッセージにより反応(賛同)する傾向があったという。

醜悪なものであっても、データに基づくインターネット上の心理操作によって、それを好もしいと思えるように導くことは、可能なのですね。たとえばクロックス。あのビニールのサンダルです。どう見ても美しくはないものですが、サイオプス、すなわちサイコロジカル・オペレーション(心理操作)によっていくらでも好もしいものに変えることができるのだ、と。(実際、そうなりました)

大衆に、トランプ大統領やブレグジットを選ばせたものが、まさにこの類の操作だったと彼は告発するのです。醜悪なものがどんどんトレンドになる仕組みと、醜悪な政治リーダーが選ばれる仕組みの背後には、このような背後の力による心理操作があったとは……。

ミウッチャ・プラダは「醜さを掘り下げることは、ブルジョア的な美より興味深い」と語っています( T magazine)。醜悪さってたしかに新鮮でもあるんですよね。醜悪なファッションを時折楽しむ分にはいいですが、醜悪な政治を選んでしまうと、取り返しのつかないことになる。情報操作は、まさに大量破壊兵器になるんですね。

ワイリーに戻ります。

ファッションブランドの好みというユーザーのデータが、ブランドも知らないうちにこのような情報操作&行動を促すことに利用されていたことが分かった今、逆に、ファッションブランド自身が方向転換することによって、人々の行動をよいように導き、文化を守ることもできる、と彼は示唆します。

 

いやしかし、そうなればなったで、さらなる新しい情報戦争が仕掛けられるのだろうな。好きなものを自発的に選んでいるつもりが、実は背後の大きな力によって選ばされている、そんな時代に生きる空恐ろしさを感じます。

「ファッションは服を売るビジネスではない。ファッションはアイデンティティを売るビジネスである。人間の根源的な問題<私は誰なのか? 社会のどこに所属したらいいのか?>に答えるツールを提供するビジネスである」。

だからファッションの問題はおろそかにするわけにもいかないのです。

 

 

 

 

三陽商会に取材に伺いました。


新築のブルークロスビル。外から見ると、建物が経糸と横糸で織りあげられたブルーの布のようにも見える設計。坂道の途中の建物ということもあり、かなり工夫が凝らされています。



1階の展示スペースには四季折々の旬の製品が展示。

「コートのSANYO」のキャッチフレーズにふさわしく、100年コートはじめ、バラエティ豊かに各種コートが揃います。

 


ニットが恋しい季節ですね…。こんなきれいな色のニットは気持ちも明るく上げてくれそう。

2階は広々としたスペースで、カフェあり、打ち合わせスペースあり、展示会場となるスペースあり、お一人様用作業スペースあり、と多様な使い方ができるデザイン。

観葉植物やファッション関係の洋書も随所に置かれています。

仕切りがなくても意外と周囲の目が気にならないのですよね。

展示会はすでに終了しておりましたが、展示会の名残りも楽しませていただきました。上は三陽山長の靴。

個性的で上質な素材を使ったエポカ・ウオモ。

ほか20以上のブランドをもっている三陽商会。撥水機能がある白い服地で作ったシャツやセーター、ジャケットなども自社工場で作っているとのこと、実際にコーヒーをこぼして実験してみましたが、きれいにはじいてシミ一つ残らないのです。これいいな! 来春はレースバージョンも出るらしく、今から楽しみ。

アパレル苦戦と言われておりますが、老舗の大会社の貫禄は随所に感じました。現在の試み、今後の計画なども伺いました。内容は別の機会に。


この日のランチはこんな場所で。高くそびえるためには土台もしっかりしていなくてはね。などというベタな言葉が出てしまうほどの迫力。

9日に行いましたYomiuri Executive Salon の写真が届きました。


ラグジュアリーストリートからスカンブロへの流れを解説しているところ。

来年のメットガラで炸裂しそうな「キャンプ」を解説。

テーマが「日本のラグジュアリーとその未来」でもあったので、日本ブランドを身に着けていきました。Tae Ashidaのドレス(日本語でワンピースと呼ばれるものは、英語ではドレスと呼ぶ)、ミキモトのブローチ、グランドセイコーの時計、そしてAtsugiのストッキング「輝」。

 

その後にお会いした出席者のみなさまから続々とおほめの言葉をいただき、とても嬉しく、がんばってよかったと思いました。しかしまだまだ。

「点」としてのファッション現象を、さらに大きな社会的背景のなかでのストーリーとしてわかりやすく語ることができるように、日々の研究も怠りなく努めたいと思います。

 

 

〇ドルチェ&ガッバ―ナの上海ショーの中止事件は不幸なことでしたね……。最初の動画(中国人の女の子が箸でピザやパスタを食べる)はたしかに彼らとしては(無知であったとしても)差別意識は皆無であったのでしょう。それだけだったら撤回して、他意のなかったことをお断りして謝ればあれほど大きなダメージは防ぐことができたのでは。決定的な問題は、ステファノが個人的に書いたメッセージでした。相手を怒らせ、画面キャプチャをさらされてしまったのが最悪でした。ハッキングされたと言い訳しているのがますます火に油を注いでしまった(それが嘘であることは、Diet Pradaが証明)。パーソナルメッセージだからと安心して暴言を書くとたちまちさらされ、拡散してしまう透明性の高い時代だということを常に意識しておかねば。録音もどこでされているかわからないから、とにかく油断はできない。他山の石。

ドメニコもステファノも、人間的な欠点は(私たちの多くと同じように)多少はあるのかもしれないですが、才能とサービス精神にあふれるデザイナーです。彼らが日本でおこなった2回のコレクションは、日本文化へのオマージュにあふれたすばらしいものでした。今回の件を挽回すべく、謙虚にコレクションを作り続けてほしいと願っています。

(ここでニュースが入ります)

V&Aが来年4月からマリー・クワント大回顧展をおこなう、というニュースです。ガーディアンの記事、こちら

 

これはもう、呼ばれている気しかしない。

 

喜んで取材しますので掲載メディア大募集ですよ(笑)。東大の卒論でマリー・クワントについて書き、教授陣から大バッシングを受け、しかし資料をマリー本人から直々に送ってもらったという手柄で周囲をけむに巻いてどさくさのうちに認めさせたという私がたぶん最強の書き手だと思うぞ。

「世界で二番目に大きなルイ・ヴィトン」という建物に入ってみました。

一番目はどこですか?と聞いてみましたが、答えてもらえませんでした。私もわかりません。ご興味が湧いた方は、各自で調べてくださいませ。


店舗+美術館+ヨットを足して3で割ったようなイメージ。


階上にはルイ・ヴィトン関連の本やアートピースが展示されています。


外に出るとヨットのデッキのようなくつろぎどころ。

ルイ・ヴィトン、バルーンキャンペーン。意匠を凝らしたバルーンがあちこちに。



巨大スカーフも「壁紙」として贅沢に使われています。


そのままショッピングモールに続くのですが、建物の下に「川」が流れており、レジャーボートで行き来できるってちょっとけた外れのスケール。

11月7日付けの日経新聞×Hankyu Men’s の広告に登場しました。

恩師でもある大住憲生さんとギフトについて対談しています。

「相手のことを考えた(フリした)無難なモノ」よりも「これがいいと自分が思うモノ」のほうが、関係性の構築にはよい、という発見があった対談でした。

ほんとうは何だって嬉しいんですよね。時間をわざわざ使って、考えて贈ってくれたということじたいがありがたい。

 

そして「自分にごほうび」、これ、ほんと私やらないのです。恥ずかしすぎるというか、ごほうび受け取れるほど成果上げてないだろう、と自分では思ってしまう。自分で自分にプレゼントしてもなんだか虚しいし。人さまに喜んでもらう方が嬉しいので、時間もエネルギーもそのように投資する方が多いかなあ。予想外のギフトが還ってくることが多々あります。もちろん、投資した分が常に還ってくるとはかぎりませんが、投資しなければまったく返ってこないのは確実なんですよね。

9日(金)、ペニンシュラホテルのきらきらルームにて、読売エグゼクティブサロンに登壇しました。

Yomiuri Brand Studioの高橋直彦様との対談という形で、「日本におけるラグジュアリーの潮流とメディア、その未来を語る」をテーマに話をさせていただきました。

ご参加くださいましたのは、外資系ラグジュアリーブランドビジネスに携わる、ほぼ160名の方々。

ここ1,2年ほど調べたり取材したり考えたりしてきたことのエッセンスを凝縮して全投入し、「点」の現象を社会背景とからめたストーリーとして構成してみました。

かなり準備にもエネルギーをかけた甲斐あって、終了後のパーティーでは多くの方々から「面白かった」「点が線になってつながった」「そういうことだったのか!と目からうろこが落ちてすっきりした」「謎の流行の背景がわかった」などなど、嬉しいお言葉を100枚を超えるお名刺とともに頂戴いたしました。こういうお言葉をいただくと、苦労も報われます。ありがとうございました。

夏頃からお話をいただき、Yomiuri Brand Studio の高橋さまほか、大勢のスタッフのみなさまと準備や打ち合わせを重ねてまいりました。ぎりぎりまで「もっともわかりやすい伝え方は」と考えていたので、パワポの最終バージョンが完成したのは当日朝6時((^^;))。こういう私のペースに寛大なお心でお付き合いいただき、お世話くださいましたみなさまに、あらためて心より感謝申し上げます。とりわけ、高橋さまには、やや先走り過ぎているかもしれない私のテーマのご提案を受けて、それぞれのワードを膨らますためのお話を考えていただき、対談を盛り上げてくださいました。重ねて、御礼申し上げます。

 

キーワードは、Diversion and Inclusion.  Street Luxury. Scumbro. Logomania. Nike. Virgil. Woke Models. Plus Size Models. Fair is Foul and Foul is Fair. Tacky.  Camp. Art&Sustainability. Creative Risk. Generous Capitalism. Tradition of Brand.  Recruit of Artisan. DNA of Brand. Japanese Brand. Global Standard of Fashion Journalism. Fashion as Liberal Arts. etc.

私がキャッチして新聞などに記事として書いてから、だいたい数年たってようやく広まるという現象がこれまで見られていることから(今さらノームコアとかゴープコアとか)、上のキーワードに関することも、日本で話題になるには数か月から数年かかりそうですが。日本での波が来ても来なくても、グローバルモードからキャッチできた波は引き続き、自分の解釈で媒体に応じた形で発信していきますので、どうぞ今後ともよろしくおつきあいいただければ幸いです。

 

 

“My Generation” 一足先に鑑賞する機会をいただきました。

マイケル・ケインのナレーションで、1960年代のロンドンカルチャーを再検証。

映画、音楽、ファッション、写真、セレブカルチャー、ドラッグ問題。当時の熱気が、スピード感ある編集でよみがえる。マリー・クワントやポール・マッカートニー、マリアンヌなど、今の声で当時を語っているのも興味深い。ワクワクしながら60年代を学べるとともに、まさに現在起きていることが当時とつながっていると実感することも多々あり、おそらく若い人も当事者意識をもって鑑賞できる。

 

当時の階級意識がどれほど濃いものであったかというエピソード、それをぶち壊すために行動した若い世代、(スマホもないので)実際に顔を突き合わせて議論することがクリエイティブを刺激するということ、女性は「Birds」「Richards」などと呼ばれていたという面白隠語、古い世代の価値観にとらわれず「やりたいことをやった!」人たちが変革をもたらしたということ、当時のアートスクールが果たした役割、女性の服には「注目される」「セクシーである」「気分が上がる」ことが必要であって「あたたかくしておく」ことなど不要であると言い切るマリー・クワント、「コマーシャル・フェイス(商売になる顔)」だと思われたというだけでスターになったマリアンヌ・フェイスフル、マイケル・ケインの「ケイン」はボガートの「ケイン号の叛乱」のケインだったというエピソード、などなど、いやもう目からうろこがはがれっぱなしでほんとうに楽しい映画だった。

マイケル・ケインがつぶやくセリフ、”Never Ever Dream Small.” (夢を小さくまとめるな)が余韻を残します。

イギリス文化ファン、ファッション史の学徒は必見よ。監督はデイヴィッド・パッティ。

2019年1月5日公開。東北新社配給です。

 

 

ファクトリエ創業者、山田敏夫さんの著書『ものがたりのあるものづくり』(日経BP)が発売されます。

読み始めたら、ぐいぐい引き込まれる、山田さんとファクトリエの冒険物語。大きな組織におさまって安寧の日々を送ることに価値は見いだせず、自分の力でどこまで情熱を燃やして成長が続けられるかという道に価値を感じるという感覚は、他人のものとはおもえない(^^;)

とはいえ、山田さんのほうが、けた違いの使命感をもっている。「生きることは、目的ではなく手段」とまで言い切る。何のために命を使うのか? 失敗や挫折を重ねていきながら軌道修正し、人を巻き込み、ポジティブな熱狂の渦を起こしつつ、目的をさらに明確にしていく軌跡は、「ヒーローズ・ジャーニー」そのもの。

工場に脚光を当て、ものを作る人を主役に押し上げたゲームチェンジャーでもある山田さんはアパレルの救世主であるだけでなく、衰退の一途をたどっていた日本のものづくり産業そのものの救世主である。多くの人が、最初にタブー破りを敢行した山田さんの考えと哲学に共鳴し、後に続いている。そうした模倣者が続くことで、世の中全体が変わるのだ。

まったくのゼロから何かを始めようとする人にも、背中を押してくれるエピソードが満載である。とりわけ、地方での営業の苦労エピソードには涙と笑いが一緒になって押し寄せてくる(映画化希望)。山田さんは、ひたすら行動の人だ。自分で決めたことをとにかく黙々と、めげずに、ひるまず、飽きず、続ける。その行動が次の扉を開いていく。

途中、なんども泣けた。とりわけ、周りの多くの人の優しさや変化に。その優しさや変化も、山田さんの真摯な情熱、高いビジョンのために行動し続ける熱意が引き寄せたものだ。嘘偽りも誇張も書かれていないことは、本人の人柄を知っていればわかる。

本書を若い人に(いや中年以降の方にもだが)お勧めするだけでなく、ファクトリエの製品もお勧めできます。色気はあまりないのですが(笑)、だからこそ逆に年齢や性別を超えて長く使い続けられる、質の高い製品を出している。私は次男とファクトリエの帆布×レザーのトートバックを共有しているよ。ちょっと痩せてから(いつだ)汚れがすぐ落ちるホワイトデニムにも挑戦したいし、「育てるカシミア」も気になっている。

今後の世界展開を心から楽しみにしつつ、応援します。

 

Asprey とリッツカールトンホテルがコラボレーションし、アールデコスタイルのカクテルトローリーが作られました。お披露目に伺いました。

Aspreyは、1781年の創業以来、”It can be done(もちろん承ります)”の哲学であらゆるビスポーク製品を作り続けてきました。今回もリッツカールトンの気風に合うカスタム仕様とのことで、世界に3台しかないそうです。こちらはアジアに一台だけのトローリー。

下の段の左にあるのは、シルバーでできた飛行機型のカクテルシェイカー。宝石も埋め込まれており、あまりの美しさにしばし見入ってしまいました。

 

受注生産もしているそうです。トロリー本体は約420万円、デキャンタなど付属品を含めると、約900万円。

2019年春夏のバッグコレクションも展示されておりました。春夏にふさわしいパステルが多かったのですが、やはり間近で見ると、精緻な作り込みにため息が出ます。とボキャ貧になるしかない迫力のバッグ。

価格に糸目をつけず作られた、度はずれて美しいものというのは、強いエネルギーをもっていますね。エネルギーのおすそ分けをいただいた気分です。

リッツカールトンのハーブティー、香りも味も意外にしっかり濃くて好み。これはローズヒップがメインの「ビューティー」と名付けられたハーブティーでした。

 

 

Forbes Japan 12月号発売です。

パリでケリング会長フランソワ=アンリ・ピノー氏にインタビューした記事を書きました。4ページにわたり、本文のほかにケリンググループの最新情報が詳細に掲載されています。


 

 

 

アートやサステナビリティをどのように経営にとりいれるのか? あらゆる分野のビジネスパーソンのヒントになれば幸いです。

 

変わるラグジュアリーの定義、老舗ブランドのDNAとのつきあい方など、最新のラグジュアリービジネスを考えるうえで押さえておくべきことも満載です。私自身も、今年(現時点までで)もっとも勉強になり、意識の変容を経験した仕事です。ぜひ、ご一読いただけますと幸いです。

ラグジュアリーファッションとサステナビリティについて学びたい方へ。

ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション×ケリングが提供しているオンラインコースというのがあります。こちら

もちろん全部英語、イギリス英語ですが、無料コースでトライしてみて、さらに学びたくなったらアップグレードという手もありますね。アップグレードしても$59なので、勉強のための投資としては安いくらいでは。

ファッションとサステナビリティという話題について議論するときに、少なくともどういう観点から議論がおこなわれているのかを知っておくのは、基本でしょう。

無料コースでは以下のトピックがあります。

  • Week 1 – Why Sustainability in Fashion?
  • Week 2 – Contextualising Sustainability for a Changing World
  • Week 3 – Material Dimensions: Sourcing for luxury fashion
  • Week 4 – Informed Decision Making: Tools and methods
  • Week 5 – Creative Possibilities
  • Week 6 – Creative Realisation

かくいう私もアウトプットの仕事ばかりでなかなかまとまった時間をとって新しいことを学べないので、移動など細切れの時間をどうやって使うかが試されるところです。

 


(17世紀の病院をリノベーションした、ケリング本社)

各紙が追悼記事を掲載していますが、読売新聞は一面、21面、36面と3面にわたり、芦田淳先生の功績、評伝を大きく報道しています。

私も僭越ながら、21面でコメントを寄せています。

「戦後の日本にプレタポルテ(高級既製服)の概念を持ち込んだ草分け的存在。常に時代の感覚を反映しながら、決してエレガンスと品格を失わなかった。芦田さんの服を着れば、国際的にどんな舞台にたっても日本の品格を表現できた」。

 

まだ伝えたいことは本当にたくさんあったのですが、紙幅の都合がありますね…。

洋裁師が注文に応じて服を縫っていた戦後日本に、「プレタポルテ」(高級既製服)をもたらしたのが芦田淳先生なのです。

プレタポルテは、日本の女性を半世紀の間に加速度的に美しくしていくのです。プレタポルテへの憧れ→着こなすためのヘアメイク、体型メイク、立ち居振る舞いなどの努力→あかぬける。

 

ほかにもきりがないほど功績がありますが、追って、お伝えできる機会があればと思います。

 

*共同通信社に追悼文を寄稿しました。本日、これから配信されるそうです。明日以降、活字として掲載されましたらお知らせ申し上げます。

ニューヨークのFITのミュージアムではヴァレリー・スティールがディレクションするPink: The History of Punk, Pretty, Powewrful Color 展が行われています。

ピンクという色をめぐる歴史に焦点を当てたファッション展。これもぜひ見たい展示。

podcastではヴァレリー・スティールの話も聞けます。英語で、30分くらいですが、こちらです

ヴァレリー・スティールは、私が大学院生だったころからファッション文化に関する刺激的な本をたくさん書いていた方で、追っかけておりました。今なおFITの名物教授として、ファッションに対してアカデミックに向き合っていらっしゃる方です。この人がいなかったらファッションで論文を書こうとは思いもしなかった。最近のインタビュー、紹介記事はこちら

ファッション・ジャーナリズムではアメリカのワシントンポストのロビン・ギヴァン。ピュリッツアー賞受賞者です。

こういう仕事をきちんとリスペクトして、社会的な貢献の場を与える土壌がアメリカやヨーロッパにはありますね。日本にはない……と嘆く前に努力が圧倒的に足りないのだろうけれど。

 

 

昨日のCampというトレンドとも関わってくるのですが、グッチはここまでキャンプになっているという話。

グッチのテイラリングキャンペーンの動画が発表されましたが、舞台になるのはイギリス北部のThe Campというフィッシュ&チップスの店。

(Gucciの新作を着てチップスを食べるハリー・スタイルズ)

生きた鶏を抱えたハリー・スタイルズがお店にブラっと立ち寄り、フィッシュ&チップスを注文して地元の子?と並んで立ち食いしてます。

BGMはビートルズの「ミシェル」。

ハリー・スタイルズがイギリス人なのでイギリス的な状況で撮りたかったらしいのですが。

最後にGUCCIのクレジットが出てきて、その絶妙な違和感にやられます。

顧客の先入観やイメージを脱力的に裏切り続けていくアレッサンドロ・ミケーレ。やはりアーティストですね。

プロモーションフィルムは、グッチHP、スーツコレクションのこちらからご覧ください。

こんなの見てしまうと、「スマートな、できる男」や「洗練された、ダンディぶり」なんかを強調したスーツのPRが、もはや響かなくなりますね(いやスーツの種類が違うし着る層も違うという異論があることは了解)。グッチ&チップスの破壊力、どこまでいくのか。

 

来年のMET Costume Institute 展示テーマが発表されました。Camp です!

わくわくしてきた。キャンプというのは、芝居がかかっていたり、皮肉が入っていたり、誇張があったり、悪趣味だったり、でもそこが素敵!というファッション感覚。20世紀には、ゲイ好みの感覚と言われてましたが、今はみんな好きね。

キャンプな人を挙げてみます。エルトン・ジョン、グッチのデザイナーであるアレッサンドロ・ミケーレ(そして彼のグッチの作品すべて)、レディ・ガガ、セリーナ・ウィリアムズ(あのチュチュのテニスウエア!)、そして多分アナ・ウィンターも。古くはオスカー・ワイルドとかルイ14世もそうであったかも。私がファッション史講座でキャンプを解説する時には、必ず「プリシラ クリーン・オブ・ザ・デザート」の写真や映像を使います。


思えばたしかに今、キャンプの時代なんですね。グッチがあんなにヒットするのだから。無難でキレイなものは飽き飽き、キャンプな感覚がぐっとくる、というところが確かにあるんです。

来年のメットガラは5月6日。キャンプファッションが勢ぞろいする光景はどんなでしょ。出席してみたい。笑

それにしても仕掛け人アンドリュー・ボルトンの毎年のテーマ設定がうまい。ニクイ。すばらしい仕事ぶりですね。リスペクト。

Gucci 2019 SS.

12日は、プリンセス・ユージェニーのロイヤルウェディング。ウィンザーのセント・ジョージ礼拝堂でおこなわれました。プリンセス・ユージェニー(28)は、ヨーク公アンドリューと、(離婚した)セーラ・ファーガソンとの間に生まれた次女で、エリザベス女王のお孫さんにあたる方。王位継承権は第9位。お相手はジャック・ブルックスバンク(32)、ワイン商で、テキーラのアンバサダーのお仕事もなさるソーシャライトです。

ユージェニーのドレスは、ピーター・ピロット&クリストファー・ド・ヴォスのデザインで、背中が大きく開いていることが目に留まります。そこには傷跡が。プリンスセスが12歳の時に受けた脊椎側彎症(脊椎が右または左に曲がる病態)の手術の跡で、この病気に注意を喚起するため、あえてこのような見せ方をしたのだそう。

ダイヤとエメラルドのイヤリングはブルックスバンクからの贈り物で、エメラルドのココシュニク・ティアラは女王から借りたもの。1919年にブシュロンが制作したものだそうです。

ヘアスタイリストはソニー・ジョー・マクファーレーンによる「ルーズ・シニヨン」。靴はシャーロット・オリンピア。メイクアップはハンナ・マーティンとボビー・ブラウンが仕上げたということなどなど、細部にわたる情報がいち早く発信されました。

ゲストは850人。ナオミ・キャンベルやリヴ・タイラー、デミ・ムーアらセレブリティも続々。

プリンセス・ユージェニーはたびたびロイヤルドレスコード破りを(あえて)おこなってきた気の強さを備える方。真っ赤なリップやミニスカート、胸の谷間見せやストッキングなしの素足、などなど。

傷跡見せドレスもなるほど彼女らしいなと納得。

末永くお幸せに!

 

日本経済新聞 土曜夕刊連載「モードは語る」。本日掲載です。

ファッションテックの分野ではニューリテールもさくさくと進んでいます。

ニューリテールとは、リアル店舗とECを融合させたこれからの新しい小売り業の形です。アリババのジャック・マーが提唱したビジョン。

ニューリテール・プラットフォームとして国内最大級の規模に成長したアプリ、Facyを運営するスタイラー株式会社の代表、小関翼さんに取材した記事を書きました。

アジア市場にも詳しい小関さん。アパレルが厳しいと言っている場合ではない。アジアに視野を広げれば膨大な可能性が広がっている。渋谷にあるスタイラー株式会社の近くにて。ドトールコーヒー本店の前です。

Facy のサービスの流れ。

各地でプレゼンする小関さん。Facy 提供。ご協力ありがとうございました。

 

銀座ミキモト本店7階にて、パリで発表された新作ハイジュエリーJeux de Ruban(リボンの戯れ)のコレクションが展示されております。一般に無料公開されている贅沢な展示で、もうこれはぜひ銀座にお出かけになる時にご覧いただくべき。

天井から降りる5万本のリボンの装飾は圧巻です。ミキモトさんの意気込みを感じます。

伊勢でとれる真珠にちなみ伊勢海老? ではなくロブスターだそうです。花も、ロブスターもすべてリボンで作られています。あまりの精巧さに驚き。

こちらはモデルがジュエリーをつけている写真を、昔の肖像画風に加工したデジタルアート。じっと見ていると、モデルが動いたり変化したりするんですよ。

この装置の前に立つと、目の前の肖像画が自分の顔になります。他人の顔を見る分には(笑)楽しい。


ヘッドアクセサリーと左右異なるイヤリング、ブローチのジャズエイジ風競演。機会あればつけてみたいジュエリー。


このリボンのオブジェも今回の展示のためにわざわざ作られたそうです。そこに鎮座するジュエリーもため息ものですが、この大胆なオブジェと繊細なジュエリーのハーモニーには見惚れます。



こちらは名刺しか入らないパーティーバッグ。細部にいたるまでラグジュアリーの極みで、ぜひ間近に見ていただきたい傑作。

10月14日までです。それほど広くはない空間ですが、奥深く豊饒な世界が待っています。その後は大阪会場へ移ります。10月19日から21日まで、ヒルトンプラザのミキモト大阪店にて。

 

 

尊敬する尾原蓉子先生の新刊『Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る』(日本経済新聞社)。

尾原先生を一言でご紹介するには、あまりにも業績が多すぎる偉大な方です。ファッションビジネスの概念を日本にもちこみ、ハーバード・ビジネススクール・ウーマンオブザイヤーを受賞、元IFIビジネススクール学長、数々の社外取締役を務め、経産省のファッション政策懇親会の座長を務め、「一般法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション」では代表理事・会長を務め……。これでもまだ5分の1もご紹介できていない。日本とアメリカのビジネス界において多大な業績を残し、とりわけアパレル業界のリーダーに信頼される、超一流の先生です。本書の帯は柳井正さんがお書きになっています。

そんな著者がどのように国籍の壁、ジェンダーの壁、環境の壁、組織の壁、年齢の壁を乗り越え、周囲を巻き込みながらキャリアを積んできたのか。具体的に経験が記され、経験から抽象的な法則が導き出されながら、その時々の日米のファッションビジネスの状況もうかがい知ることができます。異文化とのギャップが、具体的にどのような場面に出てくるのかということも、実体験を通して語られてなるほどと思わされます。

また、カルロス・ゴーン、ヒラリー・クリントン、ルチアーノ・ベネトンなど著名人との交流が紹介されるコラムも楽しい。

産業教育の提言もこうしてあらためて確かなビジョンとして提言されたものを読むと、その重要性が説得力をもって伝わってきます。専門学校的なノウハウで終わるのではなく、大学院レベルの教育をおこなうことで、世界で闘える人材が育てられるということ。

 

個人的にもっとも共感したことは、本書で指摘される「平等」と「フェア」は違うということ。もっと日本に浸透してほしい考え方です。経験も仕事内容もレベルも格段に違うのに「一律同じ」という「平等」な扱いにどれほど理不尽な思いをしてきたか。「規則」という一律の「平等」のもとに、どれほど不当な扱いを耐え忍んできたか。そのあたりリーダーあるいは雇用側が「フェア」な扱いができるかどうかは、全体を見渡せる教養とか人間としてのバランス感覚にもかかわってくるのですよね。日本では国のトップにすらそれを求めることがムリな時代になってしまったのでなんだか虚無感が漂うばかりですが。

失礼しました。私はそんな風に現在の日本社会の理不尽を再確認したり自分のビジョンの欠如を反省したりと、多くのことを考えるきっかけを与えていただきました。

仕事をしていくうえで、それぞれのステージにおいて壁にぶつかっている方(男女問わず)に、キャリアと照らし合わせながらさまざまなことを考えるヒントを与えてくれる、誠実な激励にあふれる本です。

 

 

 

 

GQ JAPAN 10月号に寄稿した記事が、ウェブにも掲載されました。

服飾史家の中野香織、ヴィヴィアン・ウエストウッドを論じる―ヤング・ハートの女王

ヴィヴィアンのドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」は、12月28日(金)、角川シネマ有楽町、新宿バルト9他で全国ロードショーとなります。

今月末からはマスコミ試写も順次始まります。プレス資料には、私のエッセイが掲載されております。(GQに寄稿したものとは異なるバージョンです。) マスコミ試写にお出かけになる方は、よろしかったらチェックしてみてくださいね。

パリ記録No.10 。パリ郊外のベルサイユ宮殿へ。

早朝集合だったのでルームサービスで朝食を頼んだら相当なボリューム。もう一日分のカロリーはこれで十分という勢い。


朝焼けの静かなパリの街。ツアーバスで小一時間のドライブで、ベルサイユ宮殿に向かいます。

朝9時のオープン前からすでに長い長い行列。

やっとの思いで入場できましたがどこもかなりの混雑。毎日これだけの観光客が来場すれば大きなビジネスになるのも当然。


資金力のある権力者が、とてつもなく贅を尽くした建造物や美術を造らせておくというのは、ノブレス・オブリージュでもありますね。後代にこれだけ世界中の人々に感動を与え、しかも無限に資金を回収できるのだから、この上なくすばらしい遺産といえます。


 

 

かの有名な太陽王ハイヒール脚線美の肖像画は、ここにあったのですね。本物にようやく出会えて、しばし感無量でした。


窓を開けるとどこどこまでも広い庭園。

一点の隙も無く埋め尽くされた壁面・天井。空間恐怖であるかのように細部にいたるまで贅を尽くした装飾が凝らされている。こんな空間に住んでいるからこそあの装い、あの言動があったのだな。住環境が人に及ぼす影響の大きさをあれこれ想像する。

 

鏡の回廊。ロココのあのパニエで広げた衣装でそぞろ歩きをするには、やはりこれくらいの「場」があることが大前提だったのですね。

もう広すぎて豪華すぎて情報量が多すぎて本欄では到底カバーしきれない。

(王妃の階段)

詳しい情報は、こちらのベルサイユ宮殿ホームページでご覧ください

大きな仕事を終えたあとの夕方は、「Heritage Days 文化遺産の日」オープニングナイトのVIPカクテルパーティー。ケリング本社にて。

美術品、文化遺産に囲まれてのカクテルパーティー。

グラスがまず配られて、そこにシャンパンのボトルをもったギャルソンがシャンパンを注いで回る。

(さりげないお洒落が板についているゲストの皆様)

日本と違って面白いなと思ったのは、中年以降の、面白系のギャルソンが多く、カナッペを受け取るまで笑わせてくれたり、いちいちなにか楽しいことを言ってくれたりすること。

日本だとパーティーの黒服は、「ルックスのいい若い男性」が招集されるようで、モデルのバイトであることも多いんですよね。ただ「イケメン」であることに安住しているのか、あるいはゲストと必要以上に話をすることが禁じられているのか、面白い人はあまりいないのですよね。

無表情なイケメンウエイターよりも、体型が多少くずれていようとも笑わせてくれるオジサンギャルソンのほうが、はるかに魅力的だと思います。

日本のパーティー関係者もぜひ、ご一考を。

それにしても、ゲストの方々の立ち居振る舞いのかっこいいこと。男性も女性もごく自然な振る舞いなのに目をひきつける方が多く、見とれておりました。

 

ちなみに、ここではヒール靴は履けません。ローヒールで来るようあらかじめ注意されておりました。玉じゃりを通って建物に入らなくてはならないので、ヒール靴ではムリなのですね。

 

パリの街のなかでもハイヒールは一人も見ませんでした。ごつごつの石畳にハイヒールは無理があります。スニーカーかローヒールの方ばかり見かけました。ハイヒールは外を歩くための靴ではない、と納得。

リムジンを降りてからレストランやホテルへ入るまでレッドカーペットが敷かれるのは、ハイヒールのためですね(^^;)

 

(なんだかんだと言いつつも、楽しかったです。)

 

 

そしていよいよ今回のメインイベント。ケリングCEOのフランソワ=アンリ・ピノー氏へのインタビュー。

実は質問事項をめぐり、事前に相当のやりとりをおこなっており、ここまでの事前準備はふつうはなかなかしないのだがと思ったのだが、結果として、そのやりとりを通してケリングに対する理解がかなり深まっていたのだった。

(ケリング本社内)

また、当日は通訳の岡本僚子さんとも綿密な打ち合わせをした。岡本さんは数々の国際会議もこなしているベテランで、準備のためのメモもぎっしりと書き込まれていた。聞きたいことは山ほどある、でも通訳込みで1時間で終わらせなければならない。無駄なことを聞く時間などない。ポイントを絞りに絞って万全以上の準備をもって臨んだのであった。

(ケリングのマークはお花のように見えるが、実は飛び立つフクロウなのです。叡智のシンボルね)

(階段の上には鳥かごをイメージしたこんなオブジェも)

(かつて病院だった建物の中庭には癒しのハーブが)

このうえなく集中した一時間だったが、通訳を通したにもかかわらず双方向のコミュニケーションがとれたすばらしいインタビューになった。期待をはるかに超えるお話を伺え、爽快なほどの達成感に満たされました。

(左から谷本さん、フランソワ=アンリ・ピノー氏)

 

そしてインタビュー終了時にはなんと、創業者のフランソワ・ピノー氏(パパ・ピノーの方ですね)も登場し、握手してくれたのでありました! ご一緒に写真が撮れなかったのは残念でしたが。

 

 

(フランソワ=アンリ・ピノー氏、中野)

オフィスを出て、思わず通訳の岡本さんに感謝のハグしてしまったくらい、彼女の通訳は神業ものでした。広くビジネスパーソンを意識した質問の方向を考えてくれた谷本さんにも深く感謝したいし、綿密に質問事項をリファインする過程でさりげなく最高の聞き方に持っていけるよう示唆してくださったケリングの産形さんにも感謝したい。こうしたプロフェッショナルな方々との本気のチームワークを通して、自分の実力以上が発揮できたように思う。

(左から谷本さん、岡本さん、中野)

なによりも、ピノー会長のあたたかい人柄、明晰な言葉、一貫した知性と責任感、そして社会に影響力をもつ企業としての説得力あるビジョンに心打たれました。リーダーはこういう力強い言葉で、しかも自分自身の言葉で、語ることができなくてはならない。

自身の仕事に誇りをもつプロフェッショナルな方々との仕事を通して成長を実感できるほど幸福なことはない。最高に幸せな時間でした。関わってくださったすべての方、ありがとうございました。

来月発売のForbes Japanをお楽しみに!

 

 

ケリング本社の新社屋訪問。

アドレスは40 rue de Sevres. ここは1634年から2000年までラエネック病院として使われてきた歴史的建造物です。

フランス歴史文化財のチーフ・アーキテクトであるベンジャミン・モートンが修復プロジェクトを率いて、ルイ13世時代に建てられたチャペルなどはそのままに残しながら、現代の基準に適合したハイテクオフィスが入居できる状態に生まれ変わらせました。

病院だっただけあって、多くの種類のハーブが植えられているのですが、ミックスハーブの香りが建物内部まで漂っているのです。

(屋根の上にいるのは、「風見鶏」!)

コミュニケーションもインスピレーションもごく自然に活性化する豊かな環境。ケリングで働く人すべての名刺にはEmpowering Imaginationと書かれているのですが、それは「イマジネーションのその先へ」という意味。こんな環境であれば過去の遺産や伝統、そして自然から受けるイマジネーションも豊かになろうと思われます。

この日、今年で33回目を迎える「ヨーロッパ文化遺産の日」に合わせて、特別展示会が開催されました。ケリングのピノー会長はアートに対する関心が高く、世界中のアート作品を集めています。


上は、ダミアン・ハーストのJacob’s Ladder (2008)。3000以上の昆虫が標本にされています。同じタイプの昆虫が縦列に並んでいます。左の方へいくほど昆虫は小さくなり、まるで地から天へ続くヤコブの階段のように見える。

上はジェームズ・リー・バイヤーズによる”Byars is elephant” (1997)。

上もダミアン・ハースト。”Infinity” (2001)。 並べられる色とりどりの小さなものは、薬です。現代人の医薬への過度な信仰とは何なのか、たぶん後世の人から見るととんでもなく愚かに見えるんでしょうね。

バレンシアガの過去のコレクション映像がずらりと。

アベラールとエロイーズが実在したことを示す、聖遺物。それぞれの小指の骨と首のどこかの部分の骨。丸い白いケースに入った小さなものが骨なんです。フランスの国宝。

ほかにも多くの美術品や聖遺物などがケリングによって守られ、こうして現代の観客にも公開されているのです。


こうして日常的に新旧のアートにふれることで、インスピレーションは生まれやすくなるし、コミュニケーションも生まれやすくなります。(思わず隣にいる人と目の前の作品について語りたくなってくる)

先日の「モードは語る」の記事が好評につき、Nikkei Styleのオリンピック特集に転載されました。こちらです

 

決勝での振る舞いで賛否両論を巻き起こしたセリーナですが、限界越え、予測越えで闘い続ける姿を見せてくれる勇気には泣かされます。

 

 

とはいえあの決勝戦から学んだことは。

Keep Calm and Carry On.

これが常に勝利の秘訣というか「負けないこと」の秘訣であること。

逆風が吹くときにも落ち込まず人を恨まず、粛々と書き続けて、力を蓄え備えておくこと。今はただこの状態を意識的に保っていますが、このマインドセットはジェンダーには関係ないのですよね。

 

フランスのラグジュアリーが結集する聖地といえば、ヴァンドーム広場。1805年の戦勝を記念して建てられたコラム(円柱)が建っており、帝政の象徴として賛否両論があるそうなのですが。

(左はForbes Japanの谷本さん)

この広場周辺にはフランスを代表するジュエラーすべてがあり、ラグジュアリーブランドもほぼこのあたりにそろっています。


ココ・シャネルが住んだホテル・リッツもあり、シャネルはこの広場の形状からインスパイアされてNo. 5 のボトルのデザインをディレクションしたともいわれています。

この周辺の道路沿いに、ケリングが傘下にもつラグジュリーブランドも結集しています。

グッチ。このタッキーな色柄あわせがかくも成功するとはだれが予想したでしょうか。グッチ製だといわれなければジャ〇コで売っている服に見えてもおかしくない。アレッサンドロ・ミケーレのきわどい美学。

ボッテガ・ヴェネタ。次のシーズンからデザイナーも交替し、がらりと変わる予定。

アレクサンダー・マックイーンは開店時間過ぎても開いてませんでした。ステラ・マッカートニーも同じ状況。イギリス系はあまり時間を厳守する必要はないと思っているようです。

バレンシアガ。靴とレギンスをくっつけるとか、巨大なブランドロゴを装飾にしてしまうとか、奇想天外なやり方を成功させてしまいました。店構えもほかのクラシックなブランドの店舗のなかにあって、一風変わってます。

ちなみにゴヤールは重厚なクラシック感で存在感を発揮してます。(ゴヤールはケリング傘下にはありません)

最新のコレクションを展示するブランドの店舗のあいまに、こんな歴史的な建物が出現したりして、なんとも魅力的な界隈です。

ご参考までに、ケリング傘下にあるブランドを以下に列挙します。

グッチ、ボッテガ・ベネタ、サンローラン、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ステラ・マッカートニー、クリストファー・ケイン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ジラール・ペルゴ、ユリス・ナルダン、プーマ、ヴォルコム。

パリ弾丸取材に行ってまいりました。

Kering × Forbes Japanのお仕事です。2泊4日のなかでハイライトスケジュールがぎっしりの濃密な時間でした。別格のスケール、別枠のマインドセット、最先端のビジネス環境、最高級のサービスなどに触れて、脳内リノベーションを迫られたような体験でした。ケリングジャパン、フォーブズジャパン、そしてパリ、ヴェルサイユでお世話になった多くの方々に心より感謝します。

読者のみなさまはご存じだとは思いますが念のためKering について簡単に。ケリングは、グッチ、サンローラン、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ステラ・マッカートニー、ボッテガ・ベネタなどのラグジュアリーブランドを傘下にもつ、フランスのラグジュアリーコングロマリットです。創始者はフランソワ・ピノー、現在の会長はその息子であるフランソワ=アンリ・ピノー。アンリ=ピノーの奥様は女優のサルマ・ハエックです。2017年12月期の売上は約2兆120億円。

今回の主たるミッションはケリングの現CEOのフランソワ=アンリ・ピノー氏にケリング本社でインタビューをおこなうこと。ケリングがおこなっている文化遺産およびアートの保護について取材をすること。そうしたすべての取材をもとに後日Forbes Japanにビジネスパーソン向けの原稿を寄稿すること、でした。

19歳の頃からやってきた旅行レポーターとしての経験、専門家として積み重ねてきたファッション史やファッションビジネスの研究、そしてファッションマインドのない人向けにファッションの話を書くというエッセイストとしての力量、さらには企業の顧問として企業を俯瞰的に見る視点など、これまでおこなってきた仕事の経験を全部ここで活かせというような天啓ミッションです。

往復はJALのビジネスで、完全にほぼ個室・フルフラットになるスカイスイートです。これがおそろしく快適で、まったく何のストレスもなく12時間超を過ごすことができました。もっと乗っていたかったくらい。機内のすばらしさもさることながら、出入国もなめらかで迅速でした。無駄や苦痛を極力なくし、時間を最大限に有効利用できるという印象。

機内では見逃していた映画や、日本未公開映画をチェック。計5本見ることができました。映画についてはまたあらためて。


パリの街は同じ色彩、同じ高さの建物で統一感を失わないよう造られていますね。工事中の場所も、青いビニールシートで覆うというような不粋なことはせず、シートじたいが見て美しいアートになっていたりして、美しい景観が保たれる努力がなされています。

何よりも人が、とりわけある程度年を重ねた男性がかっこよくて眼福です。姿勢がよく、個性的な装いをさりげなく楽しんでいる人々の姿が、町全体を美しくしています。

 

一方、たばこの吸い殻や犬の落とし物などがあちこちにあるというマナーの悪さも目立ちました。これに関してはおそらく、日本がとびきりマナーの善い国ということを考慮しなくてはならないのかもしれませんが。

渋滞する車の間を縫うように、キックボードで移動している人が多いことにも驚き。

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。

本日は、アメリカの国宝級の歌手として愛された、アレサ・フランクリンについて書いております。お近くに読売夕刊があったら読んでみてくださいね。

When God loves you, what can be better than that? (by Aretha Franklin)

 

 

Diva Forever.

北日本新聞別冊「まんまる」発行です。

連載「ファッション歳時記」第84回「世界で最も高齢なティーンエイジャー」。グレイネッサンスについてです。Greynnaissance=Grey+Renaissance ですね。

 

なんだかんだと84回、一回も休まず続いています。読者のみなさまと北日本新聞社のおかげです。ありがとうございます。

 

ガーディアンの記事。フランスのファッション業界の内情を告発した本が話題になっていると。こちらです。

ファッションの主要なブランドはフランスにあり、ファッション産業はフランスにおいて、車に次いで高い利益を上げている(€15bn)。にもかかわらず、実は、その内部で働く人にはまともに賃金は支払われておらず、ブランドのお買物券で支払われる(ことが多い)。

1週間の労働の「賃金」が€5000のブランドのお買物券。しかし、ファッション業界で働いているということはつねに最新のファッションを身に着けて美しくしているのを見られるということでもあるので、当人は喜んでお買物券を受け取る。

シャネルの靴を履き、プラダのバッグをもっている業界内部の人も、実は現金で賃金を支払ってもらってないために家賃も電話代も払えない状態であるという衝撃の告発。

それでも「ファッション業界で働いている」ということがフランスでは特別に重要な意味をもつので、多くの内部の人は明日に希望をつないで喜々として働いている。

バングラディッシュや中国の工場でのエシカルな働かせ方や製造のやり方が問われているファッション産業なのだが、実はもっともブラックな搾取が行われているのが、足元のパリだったという。

本の著者はGiulia Mensitieri. フランス語で書かれたph.D論文がもとになった本のようです。”Le plus beau métier du monde. Dans les coulisses de l’industrie de la mode”. 世界でもっとも美しい仕事の内幕。読んでみたいな。翻訳出版希望。

25ans 10月号発売です。英国ロイヤル特集のなかで、ロイヤル・ファブ・フォーについて、編集部のスタッフとともに語り尽くしておりますよ。

期間限定(おそらく)だからいっそう輝くロイヤル・ファブ・フォー、今が絶頂だと思います。

特集では、ほかにも英王室の最新情報が写真とともに満載。英王室ファンは必見よ。

(click to amazon)

ジョン・T・モロイ著 の古典、New Woman’s Dress for Success. 日本語版を監修しました。ディスカヴァー・トゥエンティワンより本日発売です。

 

『服を味方にすれば仕事はうまく行く』。

 

 

マリッサ・メイヤー、クリスティーヌ・ラガルド、アナ・ウィンター、アンゲラ・メルケル、ミシェル・オバマ……世間のルールを超えて(時に壊して)自分自身のスタイルに行きつき、リスペクトを受ける方々。どうせ仕事をするなら、慣習(ルール)に従ってその他大勢のなかに埋没したりせずに、彼女たちのような爽快なレベルを目指したいよね。(モロイはそこまで書いてません。これは私の意見)

 

 

最近、本を買うのはすべてamazonだったのですが、今日、探したいテーマがあって、久しぶりに書店で時間を過ごしていました。

当初の目的は世界史関係の棚だったのですが、ファッションの棚を通ったときに、吸い寄せられるように見つけたのが、山田登世子先生の「モードの誘惑」(藤原書店)。


なんと発行日が8月30日(これからだ)になっているので、書棚に一足早く並んだばかりだったのでしょうか。

帯のことば「惜しまれつつ急逝した……」という言葉に衝撃を受けました。知らなかった。2年前に亡くなっていらしたとは。

当初の目的を忘れ、山田先生の本をすぐに購入してしばらく近くのカフェで読みながら呆然としていました。(ショックで文字が全部は頭に入らない)

もう5,6年ほど前になるかと思うが、いちど、都内の高校でおこなわれていた公開講義を聴きに行ったことがあり、フランス文学者らしいシックでスノッブな語り口に魅了されていました。その後、山田先生からぜひ一度お茶しながら話しませんかというメールをいただき、ぜひそのうちに、などと言っているうちに時間が経ってしまっていたのでした。名古屋と横浜では遠いので時間を合わせるのが難しいなどと思っていた私がばかでした。この世とあの世に比べればたった90分で行ける距離ではないか。お会いできたタイミングで、無理にでも時間を作ってお会いしておけばよかった……。人は永遠に生きていないのだ。涙涙涙

 

たまたまふらっと入った書店で、手招きするように見えた、山田先生の遺稿集。偶然かもしれない。でもこの発売日のタイミング(遺稿集が発売されることなど知らなかった)で出会ったということは、山田先生が私になにかを語りかけようとしていたのだとしか思えない。

生前に伺うことができなかった話をゆっくり伺うつもりで、拝読します。

 

そして、本にならなかったエッセイをこうして遺稿集として本の形でまとめ、出版してくれる伴侶に恵まれた山田先生はお幸せだと思う。

比べられるものではないけれど、私が書いてきた膨大な量の記事はほとんど本になっていない。死後にまとめてくれそうな人もいない(息子たちに期待するのはムリ)。おそらく、そのまま埋もれていくだろう。死んだらすべて忘却のかなた。虚しいな。

自分の死後のことはさておき。

山田登世子先生は、フランスのモードを語るのにふさわしい教養とエレガンスと文体をそなえた方だった。2年も訃報を知らず、今さらながらなのですが、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

Factelier ものづくりカレッジのライブレクチャー。

勉強熱心なゲストのみなさまと熱い時間を共有できて、ほんとうに楽しかったです。ご参加くださいましたみなさま、ありがとうございました。

やはりファッション史のことを話している時がいちばん幸せだなー。デザイナーの情熱が憑依してくるように感じる瞬間があるんだよね。笑。

将来の進路に悩む高校生のご参加もありました。最後の質疑の時間に、「自分の好きなことをやって生きていたいけど、先生や周りの大人に反対される。どう思いますか?」という趣旨のご質問でした。

全く想定外のご質問で、将来ある高校生に無責任なことはいえないととっさに思い、お茶を濁すような答えしかできなかったけど。(何であれ仕事に就いたら、その仕事を愛する努力をするといいとかなんとか。)

誠実に答えようとすると、とても長くなりそうだ。何かの機会にまとまった原稿にするなり話をするなりしたいと思います。よい課題をいただきました。

仕事を楽しむ背中を見せて、彼らの未来に希望を与えるのも、大人の責任だな、と痛感した次第。

 

終了後も著書をご購入くださったお客様にサインをしたり話をしたりで延々1時間以上……。ありがたいことですね。

ご参加くださいましたゲストの皆様、ファクトリエ社長の山田敏夫さん(写真左)はじめスタッフのみなさまに、あらためて、心より感謝します。

ぜひファクトリエさんに作ってほしい仕事服があるので、デザイン画をきれいに描けるようがんばります。Factelier / Kaori Nakanoのダブルネームで洋服を出してもらうという新たな夢ができましたよ。笑

 

 

 

 

 

 

台風がまた西日本に上陸していますが、みなさま、大丈夫ですか? 報道写真を見る限り大丈夫じゃありませんね。 

横浜ですら激しい雨風に揺れております。どれほど大きな台風なのか。台風の進路になってしまった地域のみなさま、さぞかし不安と恐怖で眠れぬ夜になっているのではないかと拝察しますが、どうか安全第一にお過ごしください。

 

☆☆☆☆☆

こんなときにも能天気なファッションの仕事の話で恐縮のかぎりですが、嵐が通り過ぎるのを待つしかないという方がいらっしゃるならば、その間のつかのまの現実逃避にでもなれば幸いです。

GQ Japan 10月号が本日発売です。

ファッション特集のテーマは、フォーエバー・ヤング・アト・ハート。

ヤング・アト・ハートのクイーンとして、ヴィヴィアン・ウエストウッドについて、書きました。ヴィヴィアンの功績を凝縮しましたよ。

今はdマガジンでも読めますが、やはり紙をめくるのがよいという方のためにアマゾンリンクを↓

 

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それにしても今年、連続して襲来する台風の残酷さときたら……。被害が広がらないことを祈るばかりです。

朝から嬉しいヤマト便が届きました。

 

監修した本ができました。

内容については、20年前のアメリカの古典の翻訳ということもあり、必ずしもすべて同意しているわけではないところもありますが、著者のモロイの意見を尊重しています。

現在の日本の事情に合う?合わない?と考えさせられるところも含め、読者のみなさんが意識を向けるきっかけになったり、新しい日本のビジネススタンダードが生まれる議論のきっかけになったりしたら、嬉しいですよ。

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28日発売ですが、22日の銀座ファクトリエでの講演では、発売日に先駆けて販売します。

 

さて、人様の本のお手伝いばかりしていて、自著はどうなんだ?と厳しい目を向けられますが。

現在執筆中(書きおろし)の本は「ロイヤルスタイル」、続いて「誰がアパレルを救うのか?(仮)」。前者は3年越しの企画(ごめんなさい)、後者は、長くアカデミアで研究してきたことの集大成を、ビジネスパーソンに向けて発信します。来年くらいになりそうですが、少しでも早くお届けできるよう、すきま時間を惜しんで魂を入れて書いていますので、楽しみに待っていてくださいね。

 

☆☆☆

 

唐突で恐縮ですが、インタビューで答えていたりすることは、必ずしも「本当のこと」ではないことがあるんですよね。読者(視聴者)のために、あるいはインタビュアーのために、あるいは誰か大切な人を守るために、シチュエーションに合わせて、サービスで答えていることもある。シャネルにしても、サンローランにしても、そうだったんですよね。「ウソ」を語っているのかというと、それはまた違って、「見方によってはもう一つの真実になりうるもの」というかね。

おそらくあらゆるインタビュー記事において、書かれていること、口にされていることをそのまま心の中の真実とイコールとしてベタに受け止めないほうがいい。そんなもん、やすやすと言えるわけがないですもん。大人の読み方を身につけないとね。

 

 

 

 

監修したビジネス本が発売されます。

『服を味方にすれば仕事はうまくいく:Business Fashion Rules』(ディスカヴァー・トウェンティワン)。

ジョン・T・モロイの原作は20年前にアメリカでベストセラーになった、いわばビジネスウエア・ルールの古典です。

日本語訳はディスカヴァー・トウェンティワンから2005年に『ミリオネーゼのためのファッションルール』として発売されております。

今回、女性活躍推進法のおかげかと思いますが、女性の管理職が増え、女性のビジネススウエア需要が高まっております。その流れを受けて、急遽、2005年版が新装再発売されることになり、監修をお引き受けした次第です。序文を書き、古くなった用語を新しくしました。

 

 

8月26日発売です。表紙は、若干変更がある予定です。amazonでは予約を開始しております。

「ファッション」や「服」がむしろ嫌い、あるいは興味ない、考えたこともない、という方に向けた本ではないかと思っています。服ごときに仕事の邪魔をさせない。そのために最低限もっておきたい自覚を促す、基本中の基本が書いてあります。公私で着る服は、無意識のレべルで人の評価を左右する(できればそんなこと認めたくはないですが)。だからこそ侮れないんですね。

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読売新聞 金曜夕刊連載「スタイルアイコン」。

本日は、キム・カーダシアンについて書きました。

この人だけは取り上げるのをやめとこうと思っていたのですが、さすがに科学者が「カーダシアン指数」というのを持ち出すまでになると、それはそれで現代を象徴する人なのかと。

お近くに読売夕刊がありましたらご笑覧ください。

 

 

さて、カーダシアンついでに。

記事の文中で、「キム・カーダシアンも愛用」という惹句をつけると売れる、という趣旨のことを書きました。

まさにその製品のひとつ、ロディアルの ドラゴンズブラッド リップマスク。

キム・カーダシアンが自身のインスタでこのマスク(下の赤いパッケージ)を愛用中の写真をアップしてました。不気味な説得力のある写真でした。笑

上のピンクのマスクは、肌が夏枯れしてる今の時期にもお勧めのマスクです。ピンクダイヤモンド フェイスマスク。ダイヤモンドパウダー配合のバイオセルロース素材のマスク。

ロディアルはイギリスのブランドで、設立者は元美容エディターのマリア・ハッチステファニス。スネークシリーズとか、ドラゴンズブラッドシリーズとか、名前がおどろおどろしいのですが、最先端テクノロジーを駆使した美容製品を続々出しているセレブ御用達コスメブランドです。

ピンクダイヤモンドのフェイスマスクは8枚で18000円とお値段もよいのですが、効き目も確実。ハリ、艶、一気に上がります。勝負をかけたいプレゼンや登壇など、大切な日の準備に。

 

 

 

銀座4丁目のミキモト本店7階にあるミキモトホールで、「Feel The Pearl 感じるパール展」開催中です。

パールができるまでの、真珠と母貝のヒストリー。御木本幸吉さんのことも学べるよ。

パールが育つ海にヴァーチャルトリップできるVR体験コーナー。

これは楽しい!360度、自然の風景や養殖場の光景を、臨場感たっぷりに楽しめますよ。

東京大学三崎臨海実験所の資料。

そしてミキモトの歴史、いや真珠の歴史に残りそうな、圧巻のパールジュエリーの数々。

全面、鏡張りになっているので、無限にパールがきらめいている空間に迷い込んだような錯覚をおぼえます。

なんと入場無料。お子さまの夏休みのプチ研究にもお勧めです。日本が世界に誇る養殖真珠はいったいどうやって作られるのか? 楽しみながら学んでおきたいですよね。

Feel The Pearl 展は、9月5日まで。

 

北日本新聞別冊「まんまる」9月号発行です。

連載「ファッション歳時記」第83回「ブローチを解読せよ」。

エリザベス女王のファッション解読ゲーム。こんなゲームを提供してくれる女王陛下、もう最高です!

日本経済新聞 土曜夕刊連載「モードは語る」。

 

本日は、先日「ファクトリエ」に取材した「応援経済」をテーマに書きました。

ちょっと本文と論旨はずれますが、心が弱っているときには、逆に誰かを応援してみると、いつのまにか元気を回復していることもあるのよね。

 

Special thanks to Mr. Toshio Yamada and all the staff of Factelier.

 

 

講演のご案内です。

「ファクトリエ」ものづくりカレッジ夏期集中講座。

ファクトリエに取材に行ったらその場で講師としてスカウトされましたよ。笑

詳細はこちらから。他の講師のラインナップがすばらしく、ぜひ私も聞きに行きたい講座が多々。

 

私の登壇は、8月22日(水)19:00~20:00、銀座ファクトリエにて。テーマは、20世紀~21世紀に時代を変えたデザイナー、スタイルアイコン、プレイヤー。ファッションから見た時代の空気についても話します。

 

 

夏こそ来るべき実りの季節のためにインプット。お申し込みはこちらから。

「婦人画報」9月号発売です。

特集「NEO SLOANE STYLE 2018: 秋のおしゃれ、新・貴族主義」。

巻頭エッセイとして、英国生まれの美意識、スローン主義について解説しています。写真も註も充実して、英国好きの方には面白く読んでいただけると思います。是非読んでみてくださいね。


 

 

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