「スコットランド・ファッションの再定義」続きです。

今回、メインに飾られていたブランドが、Walker Slater. 高品質なスーツ、ジャケットを得意とするツイードウェアのブランドです。

女性ジャケットもツイードの堅さを和らげるヴィクトリアン風味のシルエット。全体的にスコッツらしい堅実で武骨な雰囲気が醸し出されていますが、洗練されすぎないこの感じがいいのだ、というファンも多いだろうと推測します。

このブランドに関連し、スコティッシュツイードについて、スコットランド国際開発庁のフィオナ・マクラクランさんにレクチャーを受けましたので、その概要を日本語訳して以下にメモします。やや雑な日本語のままのところもありますが、ご寛恕ください。関連サイトに飛べるようにしてありますので、各自、関心に応じて深めていただければ幸いです。

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Q: スコットランドツイードがイングリッシュツイードと異なるのはどのような点か?

A: 違いの多くは歴史的なものです。ツイード生地はウールから作られ、有益な天然の性質を持っています。通気性があり、完全に生分解可能であり、雨を吸収しますが、雨天ではそれが暖かさになり、そのためアウターウェアに理想的です。

Q: ツイード という言葉の起源は?

A: 議論の的であり、意見が分かれています。一部の人々は、スコットランドの国境地帯にあるトゥィード川から来たと言います。そこは羊が豊富で、紡績や織物にとっての羊毛の供給源でした。他の人々は、「ツイル(生地の構造)」を意味する”Tweel”というスコットランドの言葉から来ていると信じています。19世紀のあるとき、丈夫な外套にTweelと書くべきところをTweedと間違って書かれていたことからこのように広まった、と。

HawickのLovat Millは、初めてのTweed 生地の記録を持っていると主張しています。どちらが正しいかは確認できません!

Q: ハリスツイード®とはどのようなツイード?

A: 世界で唯一、議会法によって保護されている唯一の生地であり、ウールは100%ブリテン島で供給され、等級付けされ、クリーニングされ、その後再び島の工場に送られて繊維染色され、次に紡績され、梁に巻き取られます。その梁は、足ペダルで駆動される、電気を使わない手織り機に送られます。織られた布は、繕い、洗い、仕上げるために工場に返されます。ハリスツイード委員会は、各仕上げロールの生地を検査し、品質と起源のシンボルとして布に宝珠(Orb)の刻印を押します 。宝珠はイギリスで最も古い認証マークです。この認証は、世界中で模倣から生地を保護します。詳細はこちらをご覧ください。

Q: エステートツイード とは?

A: 各地の労働者が着用していた布のデザインであり、それぞれが彼らが働いている土地に特有の柄でした。色はカントリー向きに設計され、鹿猟や射撃時に地形に溶け込むようになっていました。ジョンストンズ・オブ・エルガンのジェームズ・サグデンは、その起源とデザインについての本を書いています。

Q: タータンとは?

A: スコットランドでは、タータンは氏族のために作られ、忠誠心と姓によって結び付けられた家族が着用するためのものでした(たとえば、私はマクラクランタータンを着用できます!)。タータンは、もともと地元の染料とセット(デザイン)を使用して作られたチェック柄であり、縦糸と横糸の両方で同じ色と模様を使用し、それぞれの特徴が独特でした。時間が経つにつれて、より明るい色が利用可能になり、連隊用の軍用タータンが作られ、それらを識別するために使用されました。ブラックウォッチは、見えないように意図的に暗いのです! スコットランド国立登録所(The Tartan Register)は、タータンが登録され、保護および記録される機関です。

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フィオナさんの丁寧な解説に感謝します。ちなみに、日本でも純日本産のツイード、J. Shepherdsが生産されています。尾張一宮の国島が、毎年異なる柄のツイードを展開しています。このツイードを使ってアジャスタブル・コスチュームがノーフォークジャケットを作ったプロジェクトに関わったことがあります。詳細の背景はこちらの記事をご覧くださいませ。

 

19日に英国大使館で開催されたスコットランドファッションの展示会<ScotStyle : Redefining Scottish Fashion>に伺いました。スコットランド国際開発庁主催。

2010年創業のISLANDER。ハリスツイードをモチーフにしたフットウェアやアクセサリー。プライスも抑えめで「かわいい」と感じさせるたたずまい。古くからのハリスツイードのイメージを覆し、現代性を打ち出そうとしている努力を讃えたい(上から目線でスミマセン)。
スコットランド香水業界のパイオニア、ユアン・マッコールが率いる2019年設立のフレグランスブランド、Jorum Studio。赤いボトルのRose Highlandは潮風に運ばれ海岸線に吹きつけられるバラを着想源にした辛口ローズ🌹

つやつやのバッグの素材はアカシアの木。ハンドメイドで、オブジェのようですが、意外とものがたくさん入り、バッグとしての機能は十分満たせます。ブランド名はROCIO(ロシオ)。デザイナーはHamish Menziesで、2006年創業。コーディネートの主役になる迫力があります。

オーディオシステムをグラスゴーで展開するLINN。1973年創設で、優れた音質で知られます。上はストールなどではなく、下の縦長スピーカーのように、ハリスツイードのファブリックをスピーカーにカバーとしてまとわせて独自の音を楽しむシステム。

みんな大好きスコットランドと言えば、のJohnstons of Elgin.

トップの記念写真はバグパイパーのティム・二ーリー氏と大英帝国勲章MBE受勲者のDJ、ガイ・ぺリマン氏です。

ストラスベリーのバッグ他、多くのファッションブランドが出展していたのですが、すべて紹介しきれず、ご寛恕ください。

スコットランド国際開発庁のアンジェラ・コルソープさんはじめスタッフのみなさま、お招きありがとうございました。ツイードに関しては、次の記事Vol. 2で詳細を書きます。

イギリスの老舗香水ブランド、クリードが日本でも8月30日より発売されます。川辺株式会社が日本国内における独占輸入販売権を取得しました。

クリードは1760年、ロンドンのテーラーがジョージ3世に香り付き革手袋を届けたことから始まっています。いま、ブランドはケリング傘下に入りました。

発表会は6月におこなわれたのですが、情報解禁を待って公開いたしました。下の写真はサラ・ロザラムCEOを囲み、ヘアサロンAMATAのオーナー、美香さん(左)と美容ジャーナリストの松本千登世さん(右)と。会場はフォーシーズンズ東京。

ホテルオークラ「大倉集古館」にて4月4日から6月25日まで「愛のヴィクトリアン・ジュエリー」展が開催されます。

壮麗な建築の1階、2階にアンティークジュエリーやドレス、ティーセットの展示。B1はミュージアムショップ。歴代英国君主にまつわるジュエリーやシールやレターを通して執務姿を想像するのも楽しいですよ。

5月24日、ヴィクトリア女王の誕生日には、ランチレクチャーをいたします。

レクチャー→ホテルオークラのコース料理→デザートタイム。ランチはお料理に集中してお召し上がりいただけますが、デザートタイムはQ & A タイムとなります。イギリス文化全般、メンズファッション、レディースファッション、当時のマナーなど、何でも聞いてくださいね! 展覧会チケットつきです。

ホテルオークラのホームページからお申し込みくださいませ。

北日本新聞の「まんまる」は休刊となり、11年3か月の間連載していた「ファッション歳時記」も終了しましたが、あらたに同新聞社から「ゼロニイ」がリニューアル刊行されました。それにともない、新連載「ラグジュアリーの羅針盤」が始まっております。こちらは第4回目です。

 

過去の雑誌連載は、本サイトWorksカテゴリー内「Magazines」に収蔵しています。終了した連載は、連載タイトルの頭文字(アルファベット)順にアーカイブ化してあります。

JBpress autographにてBUNKAMURAで開催中の「マリー・ローランサン展とモード」のレビューを書きました。

波乱万丈の人生を送った女流画家、マリー・ローランサンとシャネルの関係」。

 

JBpress autograph では「モードと社会」連載中です。連載過去記事はこちらにまとめられております。

 

BUNKAMURA ザ・ミュージアムで開催されている「マリー・クワント展」で、展示と図録本の翻訳監修をいたしました。公式サイトでインタビューが掲載されました。

 

このインタビューを含むウェブサイト掲載の過去記事は、本サイトWorks カテゴリーの「Websites」にまとめてあります。

 

 

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されている「マリー・クワント展」を案内する「ニコニコ美術館」に出演しました。モデルの小谷美由さんと一緒に美術館を回り、解説していきました。

 

終了直後の視聴者アンケートでは、「とても良かった」が95.0%、「良かった」が3.8%で、これはかなり好意的な数字とのことでした。ありがとうございました。

 

過去のメディア出演に関しては、本サイトWorksカテゴリーの「Media Appearance」にまとめてあります。

BUNKAMURAで開催される「マリー・クワント」展。展覧会の展示パネルなどの翻訳、およびグラフィック社から発売の図録の翻訳の監修をしました。図録はマニアックで専門的な研究書です。一年がかりの大変な仕事でした。報酬的には信じがたいほど報われない仕事でしたが、マリー・クワントへのご恩返しができたかなとほっとひと段落の充実と達成感を感じた有意義な仕事でした。

図録はアマゾンでは販売していません。限定で増刷もしません。

suzusan 有松店にてsuzusan秋冬展示会。

ショップでは代表の村瀬さんのお姉さまである瀬霜千佳さんが歓迎してくださいました。その後、訪れる工場では、お父さまや弟さんにもお目にかかることになります。ファミリービジネスなのですね。

村瀬さん自身が描いたデザイン画。次のシーズンのテーマは「サークル」だそうです。抽象度の高いこのデザイン画から商品を作っていくスタッフ、すごいな……。

「もう廃れてなくなる」と言われていた有松絞の技術を世界で認めさせ、ラグジュアリーマーケットに食い込んでいく勢いのsuzusan。お宝を見つけるには、足元を深く掘れ。の好例でもありますね。ハウツーをガン無視して自らのキャラクターで淡々と前例なきビジネスを進めていく村瀬さんの「あり方」が一番のカギだとは思います。

 

イギリス大使館にて23日、スコットランドの新しい魅力を紹介するイベント”Scotland is Now”。主催はScottish Development International.香水、スキンケア、木製バッグ、アクセサリーといった、これまでのスコットランドのイメージにはなかった製品が新鮮でした。

ウイスキーの新しい楽しみ方を教えてくれるガラス製品も。Angel’s Share Glass.
Rocioの木のバッグは意外と軽くて、艶感、品格があります。パーティーバッグとしてよさそう。

Horus Stidioの香水も濃密で個性的。当然、ジェンダーフリーで使える今どきの洗練が感じられる高級ライン。調香師ユアン・マッコールはスコットランドにおける香水業界のパイオニア。Ishga の海藻を活かしたスキンケアはすでにフォーシーズンズのスパで採用されているとのこと。スコットランドの変化が垣間伺われる商品展開でした。しばらく訪れていないスコットランドですが、いつまでもタータン、バグパイプ、スコッチエッグのイメージにとどまっているはずもなく。

新しいスコットランドを体験しにいきたくなりますね!

 

1月にBunkamura で開催される「マリー・クワント展」(V&A巡回展)に合わせ、ジェニー・リスターが編集したこちらの本の日本語版も、グラフィック社から発売されます。

展覧会の解説も兼ねるビジュアル豊富な224ページの大型本ですが、これはもうカタログを超えたアカデミックかつジャーナリスティックな永久保存版。人間マリー&家族とビジネスパートナーのみならず、イギリスの社会と文化、アパレル産業、繊維産業、ブランドビジネス、デザイン、広告、写真、モデル、ヘアメイク、化粧品&香水、インテリア、といった側面から多角的に詳細なマリークワント研究がなされた骨太な一冊でした。日本が果たした大きな役割も明かされる。たったいま、監修作業第一弾を終えました(これから校正が待っている)。翻訳もすばらしく読みやすい。初めて知る内部事情の連続で、もろもろの事象を見る解像度が上がります。

それにしてもマリーがデザイナーとして長命だったのは、とにかくとんでもなく堅実によく働いたからというシンプルな事実に尽きるのですね。シャネルも働きものだった。もう一つの共通点は、人の縁を大切にして、互いに全然違う個性を活かしあっているところ。選択の基準、考え方、行動、アテチュード(社会との向き合い方)において、ファッションに関心ないという方にも多大なインスピレーションを与える女性という点でもシャネルと通じる。

ちなみにマリーは引退しましたがまだご存命です。92歳。お会いしたい。

婦人画報9月号発売中です。シャネル展にちなんだ特集記事があります。

シャネルのアイコンバッグとバイアラーシューズについてコメントを寄稿しました。

飽きられないモノの秘密を考えることは、「飽きられない人」について考えることにもつながる。たぶん。

きものやまと秋冬展示会。トップ写真は加賀友禅。

正統派の凛とした絹のお着物から、日本の織物産地とコラボした木綿着物、アバンギャルドな折衷スタイル、デザイナーコラボ、アウトドア着物、ジェンダーフリー着物にいたるまで。上の写真は大島紬。

片貝木綿。

久留米絣。

「なでしこ」のラインはアバンギャルドな折衷型。下にパーカーをあわせるのがユニーク。ファーがついた下駄など、着てみたいもの多数。

こちらも着てみたいと思ったレース製の着物。ドレスのような迫力あり。

スノーピークとのコラボ。アウトドア仕様になっています。

スーツ地を使ったY & Sons のシリーズも相変わらずスタイリッシュです。井上ブラザーズとコラボしたアルパカの着物もありました。

現代にふさわしい多様な着物のあり方を見せていただきました。こうでなければならないという偏見から自由になりさえすれば、着物は無限の可能性を秘めていますね。

 

 

 

 

フォションホテル京都の「プレステージスイート」が、一日一室限定でコラボルームとして登場します。

フォションピンクがあふれ、HOSOOの西陣織テキスタイルがきらめく空間に、CARONフレグランスの限定デコレーションと、3種のテスターが用意されています。滞在中、テスターの香水は自由に使えます! バスアメニティもフォションで徹底されています。石鹸スタンドに注目。

さらにフォションロゼシャンパーニュとマカロン、加えてCARON からのおみやげが3種もつくというステイプランです。

スイート以外の通常のお部屋でも、コラボアフタヌーンティーセットをお部屋でいただける宿泊プランがあります。

8月1日から8月31日まで。

コラボ期間以外であっても、フォションホテル京都に宿泊するゲストには「グルメバー」がつきます。

部屋の中のシャンパンピンクのクロゼットの中に入っているフォションのスイーツ、すべてお持ち帰り可能とのこと。なんと太っ腹な。

スイーツブティックも華やかで、甘い香りが漂っています。

パリから直輸入されたスイーツやここでしか手に入らない限定品も。

フォションホテル京都はウェルス・マネージメントグループが投資、開発、運営をおこなっています。

ミヤビ・ブランドコミュニケーションズの田中雅之さん(中央)にご案内いただきました。ホテル・ウェルスマネージメントの栢加奈子さんにもお世話になりました。

フィンランド式カプセルホテルから禅コンセプトの隠れ家ホテル、パリの粋を集めたホテルにいたるまで。崩れ落ちそうなレトロ菓子店から洗練を極めたアフタヌーンティーまで。ラグジュアリーの多様なありかたの最前線を体験できた、実りの多い京都滞在になりました。お世話になりましたみなさま、ありがとうございました。

かねてからお伝えしていましたが、今秋、マリー・クワントが襲来します。

まず映画です。『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』。11月26日よりBunkamura ル・シネマほかで全国公開されます。

同時に、Bunkamura ザ・ミュージアムで、11月26日~2023年1月29日、『マリー・クワント展』が開催されます。V&A発の世界巡回展です。朝日新聞社主催。

さらに同じ時期に、V&Aから出ている『Mary Quant』の翻訳がグラフィック社から出版されます。

 

私は映画ではパンフレットに寄稿し、展覧会では展示物テキストの監修、翻訳本でも監修をおこないます。実りの秋に向けて佳境に入っているというところです。

周囲の大反対を押し切ってマリー・クワントを卒論で書いたのは40年ほど前。何の損得計算もしなかった(できなかった)ゆえに、その後、重要な場面で干されたり梯子を外されたりというエライ目にも遭いましたが、いろいろあって、こうしてどっぷりと日本でのクワント祭りに関われるのも何かのご縁というものですね。ほんとに何が起きるかわかりません。調子に乗らず、自暴自棄にならず、できることに淡々と取り組むのみです。あとどうなるかを決めるのは天の仕事。

 

三菱一号館美術館で開催中のシャネル展。月曜日に鑑賞して時間が経ちましたが、まだ余韻が残っております。
1920年代の初期のものから、晩年の作品まで、スーツ、ドレス、香水、バッグ、靴、ジュエリーにいたるまで、よくぞ集めたという圧巻の本物が展示されています。


シャネル本の翻訳、監訳ばかりか膨大な数の関連エッセイを書き、名言カレンダーまで作っているので、シャネルの作品の写真ならいやというほど見ていたつもりでしたが、実物の迫力からは全く違う印象を受けました。

とりわけ彼女が70歳で復活したあとの作品ときたら……

人生のストーリーを重ねて見ると、ひときわ感慨深い。1920年代のラグジュアリーの概念をひっくり返してソーシャルイノベーションを起こしたシャネルは、当時における「新しいラグジュアリー」の旗手だったんだとあらためてわかる。

日比谷周辺はシャネルのパネルや旗で盛り上げられております。

ガブリエル・シャネル展は、Gabrielle Chanel Manifeste de Mode は三菱一号館美術館にて9月25日まで。
秋にはマリー・クワント展がBunkamura で開催されます。準備も着々と進行中です。ファッションの展覧会が普通に頻繁に行われるようになったこと、感慨深いです。

 

 

エストネーション秋冬の展示会で、ひときわ目をひいたバイクと自転車のハイブリッドのような乗り物。


1920年代の初期のモーターサイクルにヒントを得て生まれた「温故知新」電動自転車です。オーストラリアを拠点とする多国籍文化をもつマイケルブラストのチームの作品です。日本仕様にスピード調整され、秋冬に登場するとのことです。景色を変えてくれそうで、楽しみですね。これなら環境にも優しくかっこよくて乗りたいかも。


秋冬もの素材でもお腹見せ、おとなのY2Kスタイル。腹筋が縦に走っていると最高のアクセサリーになりますね。鍛えよう。

オリジナルや別注コラボの靴もかわいくて、見せ方もセンスいい。

エストネーションの展示会には初めて伺ったのですが、担当者の方がTwitter のメッセージでお招きくださいました。この方はなんと、22年前の拙著『スーツの神話』をこよなく愛読してくださっており、この日もお持ちくださっていました。驚きつつ、感激です。

本って何かを犠牲にしながら時間と労力を注いで注いで注ぎつくしてようやく仕上がるチームワークの賜物なのですが、それでも呆れてしまうほど直接の利益にはならないし(時給換算なんかすればそれこそ1円以下だと思う)、昨今の出版事情の厳しさでますます書く虚しさが募るばかりだったのですが、こうして時間を超えて人とのつながりを作ってくれることがあることを思うと、経済的価値とは全く別次元の「価値」があるのだなと実感します。いくつものことを犠牲にして献身した30代の自分に会ったらちょっとねぎらいたい(とはいえ、別の道を勧めると思う。笑)

バンフォードから待望のオードパルファムが発売されました。

香りのテーマは、「イギリスの移りゆく季節の中で森や草原の中で過ごす時間」。

「ウッドランドモス」はアンジェリカ、ベルガモットにローズやセージの深みが加わり、ラストはサンダルウッドで渋い森林感におちつく。

「ワイルドメドウ」は、ベルガモットオレンジの軽やかさからはじまり、ハニーサックルに移ってベチバーで明るい洗練を漂わす。

という違いはあるものの、重ねづけしても複雑な深みが増して快く深呼吸させてくれるパルファンです。ほんと、コッツウォルドの風を思わせる気持ちのよい香りです。

背景の森はコッツウォルドではなくご近所の公園です。朝の光がきれいな時間に撮影しました。

昨日は偶然のつながりから、古来の技を受け継ぐ「陰陽師」の方に出会い、お祓いをしていただきました。「あなたが人を羨まず恨まず我が道を行くというタイプであっても、他の人はそうとはかぎらない。デフェンスがあまりにもなさすぎる。人の恨みや嫉妬に警戒しなさい」というお言葉をいただきました。なるほどと真摯に受け止め、とはいえ他人の気持ちまではコントロールできないので、謹んで目の前の仕事ひとつひとつに丁寧に向き合い、感謝を伝え続けてよい循環を生み強いネットワークを作っていくことで、デフェンスにかえていくしかないかのかなとも感じます。

 

KITOWA 展示会。

「木は永遠(とわ)」という意味をこめて名付けられた日本発のメゾンフレグランスのブランドです。2018年創業。

三重県産ヒノキ、屋久島産クスノキ,青森産ヒバ、などの和木が用いられた、こころが落ちつく香りもののバリエーション。

オードパルファム、インセンス、バスエッセンス、キャンドル、ハンドウォッシュなど、ひととおり揃います。スタイリッシュな容器は有田焼。すべて日本産で、調香師、デザイナーも日本人です。

伽羅のインセンスは40本で11000円という価格帯。世界のニッチトップをめざすブランディングですね。

貴重な香木、マンションが買える価格の数々の香木も目の当たりにして驚愕。そのあたりに落ちてても価値がわからなくてふつうの枯れ木だと思って拾わないだろうな。奥の棚に鎮座するのは高価な香木の数々。個々の香木の撮影は不可ですが、全体の雰囲気フォトならと許可をいただき、ぼんやりしたイメージではありますがアップさせていただきます。

香りの濃度が強くて深い。バスエッセンスを試したところ、家じゅうに木の香りが広がって癒されました。

ムエットまでおしゃれですね。横にすると「K」というアルファベットにも見えます。

イギリス最高峰のスパークリングワイン、「ナイティンバー」より、プラチナジュビリーを祝う記念ボトルが発売されるそうですよ。

プラチナをイメージさせるオイスターホワイトの外装に、繊細なゴールドの泡が描かれています。

名付けて、

ナイティンバー プラチナ・ジュビリー・リミテッド・エディション・クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ。

…長い。

ヴァルカナイズ・ロンドンで6月1日より数量限定で発売されます。限定40本。

写真は、先の記事での7輪のバラを違う方向から撮ってみたもの。

幻想的です。

椿山荘の庭園に、巨大な薔薇のオブジェが7輪出現しています。


開業70周年、即位70年にかけて7つの薔薇。一輪のみ、イギリスの紋章に使われている紅白の薔薇をイメージしているそうです。


ここはとにかく映えスポットになりそう。薔薇のオブジェ以外でも、庭園はどこを切り取っても絵になります。


三重の塔の裏手、苔庭エリアで7月31日まで。

こちらは庭園内の滝。広大な庭園を歩くだけでもプチトリップ気分を味わえますね。

プラチナジュビリーまでのカウントダウンが始まりましたね。

開業70周年を迎える椿山荘東京が、即位70周年を祝うドキュメンタリー映画「エリザベス 女王陛下の微笑み」とコラボしたアフタヌーンティーを6月11日より提供するとのこと、発表会に伺いました。

トップ写真のエリザベス女王バービー人形は、スタッフが執念で競り落とした貴重なものだそうです。

アフタヌーンティーは、一品一品に女王陛下にまつわるエピソードがあります。

こちらは、椿山荘が駐日英国大使館主催のケーキコンテストに応募したケーキ。

ホテル3階ヒストリーラウンジでは、エリザベス女王の写真展も開催されます。無料ですのでぜひこの機会にどうぞ。

フィンランドからシンプル・ラグジュアリーコスメ、HENUAが上陸します。

発表会がフィンランド大使館でおこなわれました。


大使の挨拶に続き、ブランド創始者のひとり、Jenni Tuominenさんによる詳しいプレゼンテーション。


発表会のあと、Jenniさんに北欧的シンプル・ラグジュアリーの考え方を中心にインタビューしました。なんだか国旗を背負った「どうだ」写真になって恐縮です。

インタビューに加え、フィンランド大使館に来てみて、大使、そして大使館商務官のLaura Kopilow さんのお話もじっくり聞いて、北欧ラグジュアリーの感覚が少し理解できた気がします。ヨーロッパ的ラグジュアリーの旧型とも新型ともちょっと違う、北欧のラグジュアリー観。日本との親和性は高いと思う。
フィンランドといえばムーミン⁈

詳しくは媒体に書きますので、またご案内させてください。

HENUAの日本展開においては、candlewickがパートナーとなるそうです。PR会社のあり方も時代に応じて変わっていかなくてはならないというCEOのNoriko Silvester さんのお話も印象的でした。

このスキンケア、写真で見るより実物を見て、試してみるとそのレベルの高さを実感します。

容器にいたるまでテクノロジーが駆使されている。このケース、マグネットですっと閉じるのですよ。数々のデザイン賞をとっているというのも納得。シンプル・ラグジュアリーを体現する最先端オーガニックコスメ。フィンランドの底力を感じさせます。

こちらはフィンランドのガチャで、椅子のミニチュア。精巧に作られているのでコレクターもいらっしゃるそうです。大使館では一回400円で遊べます。

MIKAKO NAKAMURA 南青山サロン10周年おめでとうございます。

10周年を記念し、サロンが美のミュージアムになりました。

躍動をテーマにしたモノトーンのコレクションは、アーティスティックスイミングオリンピアンの藤丸真世さんがダイナミックに表現。


歴代のカシミアマント。上質なカシミアの美しさもさることながら、色使いが洗練されています。毎年、完売の人気アイテムだそうです。

ブラックフォーマル。裳の場面でも着用可能なものも。日本では地味でマットな黒が「常識」とされていますが、海外では黒で華やかにドレスアップした姿を見ることも多いですよね。

2022秋冬コレクション。ザ・ミカコという高品質な素材と、アート感ある構築的なシルエット。

10年前はファストファッションの全盛期。そのころから、「捨てることができない」ほど高品質な服を丁寧に作りつづけてきたブランド。いま、時代がついてきた、という感あります。時代を超えて世界で通用する、普遍的なラグジュアリー感を湛えています。

ミカドシルク、と呼ばれる最高級シルクを使った一着。間近でみるととんでもない迫力です。

 

 

Ginza Six のアクア ディ パロマが一周年。おめでとうございます。

フレグランス、ルームフレグランス、ボディクリームなどの全ラインナップがそろいます。

「フレグランスファインダー」が導入され、いくつかの質問に答えていくと、その感覚にぴたりあうフレグランスが提案される仕組み。

たくさんありすぎて迷う!選べない!という方にはよきヘルプとなってくれるかも。私も試してみたら、もっとも意外な、想定外の香りを提案されて、なるほどこういう感覚もあるのか、と。

店内のディスプレイ、ブランドカラーのイエロー、ディープグリーン、ブルーを中心にとてもセンスよく配色され、よい香りとともに目ももてなされる感じ。フレグランスの成分も写真で紹介されているので、わかりやすいし、勉強にもなります。Ginza Sixの地下コスメフロアに展開されています。

ブルネロ クチネリ表参道店の地下アートスペースで、細川護煕さんの作品が展示されています。地下といっても自然光が差し込む明るい空間です。

堂々たる六曲一双屏風の夜桜図の裏はピンク! 薬師寺慈恩殿に奉納した障壁画「東と西の融合」の下絵も展示されています。どなたでも観にいけますよ。

メディアお披露目会の今日は、サプライズで宮川社長のご結婚祝いも。世界では戦争も起きており、予断を許さない状況で、コロナで苦しむ人もまだまだ多い。そんな世界に深く思いを寄せながらもできるだけポジティブな側面も発信していきたいというお話が印象的でした。

表参道のおついでがあるときにでもぜひ、クチネリの旗艦店、地下のアートスペースを訪れてみてください。

 

ハイテク系の美容で快進撃を続けているMTGから、「めぐり」をコンセプトにした炭酸セルフケアブランド「MEGLY」が発売されます。発表会に伺いました。

高濃度のガスが入ったカートリッジとめぐり導入液を装着し、シュッと吹きかける。あらゆるお手入れに加えるだけで(これだけでも)炭酸の効果が堪能できる仕組み。

 

ラベンダーやベルガモットのような、やさしくリラックスできる香りです。年齢、ジェンダー問わず使えます。

開発者は30代前半の男性、山崎友也さんです。肌荒れが炭酸美容によって治り、歴代の「女性向け」の容器(両側)を、なんとか男性にも若い世代にもアピールできるものにできないかと考え、現在(中央)のようなシンプルでモダンなボトルにデザインを変えました。ガスボンベ(カートリッジ、ですね)にも改良が加えられています。ちなみに、頭皮にも足にも、全身に使えます。

会場になったのは、銀座の「ビューティー・コンセントレイト」。一階にはMTGが展開する製品がすべてそろいます。壮観。

4月26日発売です。

 

 

Suzusan展示会。ドイツで活躍するデザイナーの村瀬弘行さん(写真、右から二人目)はじめスタッフのみなさま。村瀬さんは3年ぶりの来日。

 

 

有松絞を現代的に翻案した高級素材の製品は海外で人気があり、売り上げの75%がヨーロッパとのこと。

インテリアファブリックはホテルにも納められている。

照明のカバーに使われている布は防炎で、絞りが光に陰影をもたらします。ディオールにも納められているそうです。バッグも実績のあるハイブランドのデザイナーとコラボ。

日本発の新しいラグジュアリーとして栗野宏文さんが筆頭に挙げたのがこのブランドでした。村瀬さんのお話によれば、ヨーロッパでも脱・旧型ラグジュアリーが進み(=コングロマリットと契約しない)、新しいラグジュアリーに支持が集まっている(=規模は小さくてもクリエイティブで上質なものを作っているところと契約する)そうです。

LOVE という文字が柄になってます。

ハート型が柄になってる。いわれてみれば!


展示会場の裏参道ガーデン。このあたり一帯、この手のシブいおしゃれ感があふれすぎていて、心身ともに迷子になりました……(笑)


村瀬さんがドイツから持ってきてくださったオーガニックチョコ。おいしいすぎてついつい食べすぎ。

すでに海外大手メディアにも取り上げられたり、中学の教科書になったりしているようですが、いずれ名古屋まで行ってじっくり取材してみたいブランドです。村瀬さんはじめみなさんあたたかくて素敵で、Love?

人が素敵だと、その人がやっていることまで素敵に見えてくるってこと、確実にありますね。もちろん仕事それじたいも大前提としてすばらしいのですが。投資家が、ビジネスの内容ではなく人を見て投資するかどうかを決めるというのも理由があります。

仕事磨きやスキル向上も大切ですが、魂とか心とか、見えないものを磨くことは、それ以上にだいじ。ということまであらためて実感させられました。世界に向かって愛を放射する人でありたいですね。

 

新しいラグジュアリーの到来に備えましょう。

渋谷パルコのポップアップで「自由な背広」。


ユナイテッド・アローズ、ニューバランス、ギャルソンのコラボ企画です。


ギャルソンのスーツがファスナーであれこれアレンジできて形が変わり、ワクワクしました。

スーツの首元にも新しい提案。

新しい時代を作ってきたのはいつだって新しい服。


時代の大きな変わり目に、ほんと、もっと自由な背広があっていい、と気分明るくなりました。


代々木公園の桜。

アジャスタブルコスチューム展示会。初日の19日に訪れました。


マニアックな方々とご一緒になり、メンズファッションの沼をかいま見ました。

アジャスタブルコスチュームとJ Shepherdsコラボのツイードを使ったノーフォークジャケットを解説する小高さん。

ベルベットのスモーキングジャケット。チャイナボタンとコード刺繍は職人技が施されています。日本の職人が刺繍をおこなっています。左のトランクに入っているのは、ブレーシズ。サスペンダーのことです。


スモーキングジャケットを着用して、靴デザイナー坪内浩さんと記念写真。


アイヌ柄をあしらったネクタイ。アイヌ柄なる柄が存在することじたい、初めて知りました。スコットランドのタータンみたいな、意味があるものだそうです。


国島J Shepherdsのご紹介。新作ツイードの見本も展示されています。

ゴッドファーザーのヴィトー・コルレオーネが着ていたベスト。左側です。ポケットの柄、ひじあて(裏地に目立たないように施されている)まで再現。箱までビンテージを取り寄せるという、徹底したこだわり。ちなみにBGMはゴッドファーザーです。


マニアックな世界に底はなし。どこまでも極める心意気、見習いたい、

 

 

ヴァンクリーフ&アーペル銀座本店のサロンで、春のコレクションを祝うフラワーワークショップに参加させていただきました。

世界中から集められた珍しい花の背景を聞いて、自分で花を選んで花束を作る。


マスク越しにも感じる強い花の香りに包まれ、花をめぐる勉強をたっぷり楽しませていただきました。

トップ写真の巨大な花は、南アフリカのキングプロテア。花言葉は「王者の風格」。いまは端境期で南アフリカでも50本から100本くらいしか手に入れられなかったらしいですが、それがぜんぶ、銀座のヴァンクリーフに来ているという。


解説してくださる「世界の花屋」の小林さん。


南アフリカの生産者の笑顔。花を通じて幸せのリレーを、と語る小林さんも笑顔がすてき。


世界の植物相は6つに分けられるのだそうです。ご覧のように、南アフリカはかなり特殊な層になる。それで珍しい植物が多いらしい。ワイン畑のとなりに(商品としての)花畑がある、ということも多いそうです。南アフリカの写真をたくさん見ているうちに、次の旅先としてぜひ行ってみたくなりました。

キングプロテアは糖分が多く、花が咲くと鳥がつつきにきます。それを防ぐため、商品としての花にはこのように覆いをかぶせて鳥から守っているとのこと。大切に育てられる過程を見ていると、運賃もあるけれど、高価なのは納得。ちなみにキングプロテアは1本あたり5000円から1万円もするそうです。


アレンジの指導をしてくれる松下さん。花を加えていく方向はじめ、アレンジのコツを学びます。花の位置付けに応じて、花や葉を「ベッド」や「シーツ」と呼ぶなど、知らなかったことだらけ。

私の作品。キングプロテアはどっしりと驚くほど重かった。しあげに手前にあるような蝶のオーナメントを飾ります。これはヴァンクリーフの新作「Two Butterflies」のプロモーションなので、お約束ですね。世界中の珍しい花に囲まれてのプレゼンテーションは本当に楽しかった。

ハーブティーにまで蝶が舞います。ここまでやるからこそのブランド力ですね。味も香りも春らしくて幸せな気分になれました。


新作コレクション、Two Butterfiesはむしろさりげなく紹介されます。

絶妙なタイミングでの流麗なサービスにもうなりました。押し付けを全く感じさせず、新作の魅力を体感させるすばらしいコミュニケーション、学びたい。

 

 

東京ファッションウィーク開催中。表参道周辺はとんがった装いの方がいつも以上に多く見られますね。

表参道ヒルズにて、高橋悠介さん率いるCFCLのインスタレーションを鑑賞しました。

すべてニットです。サステナブル素材を使い、ジェンダーフリーであるのは当然の前提。

そのうえで、ひと目でこのブランドとわかる、独特の未来感覚あふれるシルエット。キッズラインもあります。

ほんと、「ああ、新しい時代!」というのを感じさせる斬新なシルエットですよね。ニットなので着る人の体型に合わせてなじみます。

マタニティの方にも、産前産後でおしゃれでいられると大好評だそうですよ。自分で洗濯可能なのもありがたい。

先月、おこなわれた展示会では、渡辺康太郎さんご夫妻にもお会いしたのですが、ここのニットウェアの大ファンだそうです。私も夏服を注文してみました。余剰を出さず在庫をもたない受注システムなのです。7月にできるそうですが、今から楽しみ。

14個のスピーカーから流れる音と、迫力ある展示で、世界観がはっきりと伝わってきました。

駐日スペイン大使館にて「SDGsの先駆者としてのアントニ・ガウディ 形と色」展が開催されています。

ガウディの建築の模型を使い、それがいかにSDGsのことばがなかった140年前からいかに環境と幸福に共存する工夫に満ちていたのかということを伝える展示で、非常に学びが多かったです。

詳しい記事は、18日(土)の日本経済新聞夕刊「モードは語る」に書きますのでここでは触れません。


3月31日まで、スペイン大使館で開催中。スペイン大使館、敷居が高そう……と思っていた方はこの機会に足を踏み入れるチャンスかも?(そこ?笑) 周辺にはスウェーデン大使館、サントリーホール、ANAインターコンチなどもあり、散歩にももってこいの場所ですよ。ANAインターコンチの中に入っているピエール・ガルニエールのパンやスイーツもおみやげにおすすめです。

イベントが多い月なのに「着るものがない」6月をイメージして作られた、上質で品格のあるリアルクローズの数々。眼福です。

コロナ前より売れているそうですがやはりトレンドを気にせず愛着のもてる良いものを長く着たいという需要が高まっているのでしょう。

国内の熟練職人が丁寧に縫製しています。

下の写真はかわいすぎるワンちゃん(5歳)。中村家のレイ君。とてもおっとりしてて、お母さまのお話を聞いてよく理解している風情に育ちの良さを感じます?

スペインの磁器ブランド、リヤドロとザ キャピトルホテル東急のインテリアコラボレーション。プレビューにお招きいただきました。

スイートルームやパブリックスペースにリヤドロがしっくりとけこんで、別次元のエレガントな空間になっています。

圧巻のシンデレラワールド(360°どこから見ても完璧)から、各所におかれるランプ、置物、総支配人の胸元のピンバッジにいたるまで、ありとあらゆるテイストのリヤドロ。

こちらはモダンなリヤドロです。

それにしても、この手があったか! というコラボですね。

ホテルのインテリアと磁器、お互いに魅力を引きたてあっています。リヤドロの購入を迷う人にとっても、店舗に飾られるよりインテリアとしてしばらく一緒に過ごしてみると、自宅におくときのイメージがしやすそう。

パブリックスペースにおかれたおひなさま。どこかスペイン風のお顔? 磁器なのでお手入れもラク。


サイのボディのシワまでリアルで精緻。ランプも磁器です。ひらひらした花びら状の磁器が、光をロマンティックに拡散します。

この日限りの内覧会場として案内されたザ・キャピトル スイートに置かれた流鏑馬。奥に立つのは総支配人の末吉孝弘さん。


ザ・キャピトル スイートにはビートルズが滞在していたときの写真も飾られています。外に出られないのでスイートでいろいろ工夫して楽しんでいたそう。バーコーナー、キッチンもついたすばらしいスイートです。


どこか情けない表情が人気なんだそう、5月人形。


総支配人、末吉さんの赤いピンバッジもリヤドロです。ホテルのロゴは鳳凰。

ザ・キャピトル スイートのデスク周りもすばらしく、本のセンスがよくて、なんとOED が全巻おいてある!

コンセプチュアルルーム「リヤドロスイート」のバスルームまわりも広々とシックに作られています。アメニティはゲラン。ゲランのホテルアメニティは珍しいかも。

 

クラブラウンジにもご案内いただきました。クラブラウンジに飾られる、伊達政宗直筆の書。

クラブラウンジはお皿もこのように「真っ白ではない」焼き物。テーブルの高さも、バータイムと朝食タイムで変えられるような特別仕様になっています。ここのクラブラウンジには鉄板焼きができる設備があり、毎日、食材も変わるので大人気だそうです。

リヤドロ スイートは5階という低層階に作られています。リヤドロのランプがとけこんでいますね。ここは周囲に日枝神社、国会議事堂などがあるパワースポットでもあります。リヤドロとのコラボインテリアは、1月12日から5月5日までおこなわれています。

八女茶がラトリエ・ド・ジョエルロブションから発売。プレゼンテーションに伺いました。パレスホテルのスイートにて。

パレスの消毒スプレーがおしゃれすぎる…! 薄いので名刺入れにも入る。こういうのがほしかった。

パレスのスイートからの皇居の眺め。完璧です。

プレゼンターの方々の前掛けもクールです。

このような熱のこもったプレゼンがあり、革新的な八女茶を体験することになります。

一煎目は贅沢に、濃縮された一滴だけ。深い甘みがあって余韻が延々と続きます。二煎目を飲んだところで、「お塩をつけて食べてみてください」と。お茶の葉を食べるのです。ふつうにおひたしのようで美味しかった。他の茶は繊維が多くて食べられないそうですが、柔らかに手摘みされた八女茶ならではの楽しみ方。


そして究極の「氷出し」。一晩、八女茶を氷の上に置いておく。溶けだしたお茶をこうしていただくわけです。ロブションが絶賛したというのもうなずけます。その後3時間くらい延々と余韻が残っていました。もっともあうフードは、和菓子ではなく、チョコレート。パレスの千代チョコ特別歌舞伎バージョンとよく合いました。

ロブションから販売されることで「世界の八女茶」への躍進にいっそうの加速がかかりますね。

パレスに来たら恒例の、皇居まわりのウォーク。どこをどう切り取っても好きな景色が広がります。

以下、読者のみなさまには「またか」な光景かと思いますが、淡々と写真集です。


本当に平和で、祝福された景色です。

能楽堂講演のあとは、ケリングジャパン本社にて「Fashion & Biodiversity」展の内覧。

ファッションのルーツや、私たちが直面している危機がどのようなものなのか、わかりやすく展示されています。

ケリンググループのブランドが具体的にどのような試みをおこなっているのかも解説されています。上はバレンシアガのアップサイクルジャケット。レザーは汚染の原因となる金属を使用しないメタルフリー製法によってなめされています。

こちらはグッチ。Demetraという新素材が使われています。非動物由来のサステナブルで再生可能の素材。

26日から28日まで開催されました。

横浜三渓園で開催中のショーメ×日本の三名匠の記事が公開されました。

展示期間が短いので、ぜひお早めに。

交通不便なところですが、夜はライトアップもきれいで、帰途はついでに中華街でお食事というコースなどいかがでしょうか。

何度もアップしておりますが、晴れ渡った横浜は、昼も夜も最高にきれいです。

横浜三渓園にて、ハイジュエラーのショーメと日本を代表する名匠とのコラボ展示が行われます。

23日から28日まで。内覧に伺いました。後日、媒体で記事化するので写真はまだ出し惜しみで失礼します。

三渓園のライトアップもすばらしかったです。(……にしても交通不便な場所です。だからこその広い敷地なのですが。)

ショーメの迫力あるジュエリーを至近距離で見られるよい機会。警備が10人ほどいらっしゃいました。

建築も美しく、ショーメ×伝統技術の舞台として最適でした。記事はしばしお待ちくださいませ。

12日、ブルネロ クチネリ メンズコレクション2022年春夏の発表会がおこなわれました。

最初にクチネリが人類のために手掛けたプロジェクト「ソロメオの普遍的図書館」についての解説。クチネリらしいプロジェクトです。2024年に落成を予定している「ソロメオの普遍的図書館」では、分野を哲学、建築学、文学、職人工芸に絞りつつ、世界中の出版物からなる膨大な蔵書を予定しているそうです(「ファッション」の分野がない、というのが痛快です)。


(こちらの写真は、今回プレゼンを聞き逃してしまったウィメンズより)

「皆が利用できる図書館、つまり人類が倫理的にも文化的にも最も深遠な成長をしていくうえでの愛すべき伴侶である数々の精神、古典をはじめ歴史上もっとも偉大な精神たちと対話できる、文化の殿堂のようなものを築こうと考えているのです」。

スポーツジムにオフィスにも行ける、いまどきのスタイル。とてもしっかりと構築されている。

オールホワイトのコーデ。白一色をかくもリラックスした雰囲気で。洗練のきわみです。

軍パンからヒントを得たパンツをタイドアップしたキレイ目のトップと合わせる。足が短く見えるんだけえど、かえってそれが余裕を感じさせて不思議なかっこよさを生んでいるというクチネリマジック。パンツは人間工学に基づいてデザインされています。

クチネリの色展開はいつもその名が詩的でじわじわ味わい深いのですが、こちらのベージュは、カモミール色の「カモミッラ」。

こちらの色は、キャベツの緑。ヴェルザ。

こちらの色はピンクにパープルがはいり、ベージュでトーンを落としたような「リリウム」という色。ほかにも多色を展開しており、カラフルでありながらすべてがベージュトーンで、大人の落ち着きを感じさせます。

 

オリバー・ピープルズとコラボしたアイウェアも今回の目玉です。グラス部分には最新のテクノロジーが駆使されています。


発表会のおみやげ、ソロメオ村のオリーブオイル。クチネリが整備したソロメオ村、2017年のピッティでチャンスがあったのになぜいかなかったのか、永久後悔ものです。行けるチャンスがある時には無理しても行っておこう。「次」はなかなか来ないのです。

SETAN サロンドパルファム、大々的にリニューアルされたCARONを拝見しました。

伝統的でクラシックな香りのベースは保ちながらも現代的なアレンジが加えられた、品格ある香りのバリエーション。

丸いかたちの0ボトルは、詰め替え可能。お弁当箱のようなボックスはリサイクル紙で作られています。

会場で偶然ご一緒できた廣瀬規子さん、ご案内くださいました田中雅之さんと。しばし香水談義で盛り上がりました。

それにしても香水の祭典、驚きの大盛況です。10年前には「香水市場がのびない」という話ばかりだったのに、すっかり時代は変わりました。関係者の努力の賜物ですね。

Tae Ashida 2022 SS コレクション。4シーズンぶりのショーは、新豊洲のランニングスタジアムで。となりはナイキのスポーツ施設。新鮮でした。

メンズも含め一点一点が創る喜びにあふれていて、ワクワクさせていただきました。なかでも撃ち抜かれたのは、やはり最後に登場したドレスたち。至近距離で見るドレスの力はやはり言葉にならないくらい圧倒されます

歩みとともにたなびき、ゆれる布の美しさときたら。


こんなドラマティックな美に触れて感動できる平和のありがたみ。デザイナーの芦田多恵さん、Jun Ashidaのスタッフのみなさま、ありがとうございました。

パレスホテル東京のパレススイートにて、イギリス・コッツウォルズ生まれのオーガニックスキンケアのブランド、バンフォードの展示会が開催されました。

バンフォードのアメニティは、すでにパレスの上級カテゴリーの部屋では使われていますが、今後はすべての部屋にバンフォードが提供されるとのことです。

バンフォードはギフトにも最適。ルームフレグランスは私の自宅の玄関でも香らせております。ローズマリーの香りは深呼吸したくなる癒しの香りで、おすすめ。

もうクリスマスの飾りつけ。早いとは思わなくなっている自分の感覚がこわい…。

外が見える開放的なバスルームもバンフォードの良い香りに包まれて、ひときわ気分が盛り上がります。

バンフォードはウェアも作っています。ベッドルームに飾られたバンフォードの気持ちよさそうなウェアの数々。パレススイートとよく合っており、絵になりますね。

 

ピーコック色のドレスはJun Ashida です。レースの抗菌マスクもJun Ashida です。写真の左側手前に見えるのは、日本未発売のバンフォードの香水2種。これがなかなかよいのです!  発売を楽しみにしています。

 

 

ヴァン クリーフアーペルのロミオ&ジュリエットコレクション発表会。

キャピュレット家の赤、

モンタギュー家の青、

両家融合のモーヴ、

そして希望の緑。

ストーリーが語れるジュエリーは楽しい。

世界各地から集められた桁外れの石のパワーでした。

光を浴びているだけで浄化される気分。

いちばん高いのは8億円(不粋な情報でした)。

グランドハイアットのプレジデンシャルスイートが、16世紀のヴェローナの庭に変身。

徹底的に演出されたすばらしい世界観でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

これからのファッションは農業まで視野に入れることが避けられなくなります。

Farm to Fashionを掲げる木の実由来のファッションブランド「KAPOK KNOT」が、日本橋にて3月末までの期間限定の予約制ショールーム「Farm to Fashion Base」をオープンします。

レセプションに伺いました。トップ写真は、次世代ビジネスを先導する深井喜翔さん。数々のピッチコンテストで優勝しています。

天井も自分たちでペンキ塗りしたそうです。流木ハンガーなど、サステナ素材がいたるところにとけこんでます。

早くもコピーされるなど、悔しい思いもしているようですが、それは一流の証!と思って邁進してください。ココシャネルも、模倣されるのは一流の証、と言って動じなかった。でも悔しさよくわかる。追いつけないほどぶっちぎってトップになろう。目に余るようなら、いまはファッションローの専門家もいます。


一般来店は2021年10月15 (金)より。

深井さんの熱いお話、機会があったら一度は聞いてみてください。

MIKIMOTO ジェンダーレスパールの展示会。

真珠といえば白い光、という思い込みを覆す、黒をテーマにした真珠のコレクション。

「PASSIONOIR」。PASSION(情熱)とNOIR(黒)を合わせた造語だそうです。

真珠のさらなる可能性を大胆に展開していく最近のMIKIMOTO、ほんとにワクワクさせてくれます。

真珠がもつ無垢な美と、強さ・神秘・漆黒の世界が融合。

MIKIMOTOが黒に染まったのは初めてですね。


黒真珠といってもカラーバリエーションは豊か。

公開されている動画「FEEL」には、ニューヨークのスケーター、BRANDON SCOTT JAMESが出演しています。スケーター、ヒップホップの世界にも黒いMIKIMOTO がすんなりなじんでます。(HPでご覧になってね。)

 

広報のサイトウさんです。(男性です。)いつもすてきなファッションで楽しませてくださいます。足元はマルジェラ❣️

 

 

 

 

 

Mikimoto ハイジュエリーの展示会。

これまでミキモトがあえて避けてきた日本のモチーフを、今回は堂々とテーマに。

これは盆栽ですね。カラフルな色使いも新しい挑戦です。

手前は、鯉。

これは花火。

こちらは、藤。

そうそう、日本の文化ってカラフルなのですよね。

これは北斎の波。

懐かしいモチーフ、よく知られた日本の美を繊細高度な技巧で現代的な芸術品に昇華したジュエリーの数々。

日本の文化度の高さを無言の輝きで伝えています。

この迫力の美しさを見よ。なんかもうね、美しすぎて泣けるレベルですよ。

今回は一点一点のスケールが大きいばかりか、点数が多い。もうすべて掲載しきれないのが惜しいくらいなのですが、

これは墨絵。

蝶。

この波のモチーフもとんでもない技巧で作られていますよ。

魂の浄化をさせていただいたような気分になりました。

今だからこそ世界に問える日本の美意識。タイミングも最高です。

 

 

 

Jun Ashida 2022 SSコレクションはオンラインでの発表でした。

正統、王道のエレガンスをいくジュン アシダのスタイルが、最先端のテクノロジーを駆使してプレゼンテーションされました。クリエイティブディレクターは芦田多恵さん。

テーマはAnother Dimension.

キャノンのボリュメトリックビデオシステムにより、100台以上の4Kカメラを使い、洋服を前後左右あらゆる角度から表現するという斬新な見せ方でした。監督は清水康彦さん。

時代の先を行くコンサバティブ、というブランドの姿勢をデジタルならではの表現で見せていただきました。堂々とした華やかさ全開の赤いティアードドレス、こういう厳しい時代だからこそいっそう力強く見え、眼福の極みでした。

Jun Ashida のオフィシャルサイトでご覧いただけます。

Fabric Tokyoがレディースの新ブランドINCEINを始動。

デザインにはジルサンダーのデザインに関わっていたこともあるムラタハルノブさんが参加。着るとわかるモダンなライン。

下の写真はブランドマネージャーの杉山夏葵さん。カスタムオーダーできるのに価格が手頃というのも人気出そう。私も一枚、オーダーしてみました。一か月後に届くとのこと。

今後の展開に期待します。

Mame Kurogouchi の10周年を記念した展覧会が、長野県立美術館で開催されています(8月15日まで)。

この美術館、善行寺のすぐ北側にあり、すばらしく自然環境のよいところにモダンな風貌でたたずんでいます。

美術館周辺も開けた公園のようになっているばかりか、美術館屋上でも飲んだり食べたりしながら空気を満喫することができるようになっています。自治体はこんな税金の使い方をすべきというお手本のような。

県立美術館スタッフのユニフォームも、マメ・クロゴウチのデザインです。胸元のカッティングと繭のようなシルエットですぐにわかる。美術館の雰囲気をさらに先端的に見せることに貢献しています。

圧巻だったのは、濃密に詳細に描き込まれた10年分のノート。こういう作業の積み重ねからアイディアが生まれてくるんだなと感じ入りながら眺めました(写真撮影不可につき写真はありません)。

さらに重要なことは、記録とアーカイブがあってこそ、後の歴史家が文化史を書けるということ。


80年代のDCブームでは、同時代に話題をふりまきながらもアーカイブを全く残さずブランド終了してしまったところもあり、開催中の「ファッション・イン・ジャパン」にも取り上げられない。


まあ、それはそれでいいと考えるのもひとつの生き方ではありますが。クリエーターのみなさん。できれば記録と作品のアーカイブをどうか大切に保存してください。


それにしてもマメの作品はタイムレスな芸術品だとあらためて心打たれました。

写真では伝わりにくいのですが、精緻に積み重ねられた技術が生む美しさに鳥肌が立ちました。

とことん自分のオリジンと内側の感覚に根ざしている創作は、時の試練に耐えるというか、時を超えるのでしょう。ノートがなによりの証左になっています。

シグニチャーとなっている、かごのように編み込まれた繊維から作られた服。まさに芸術的な工芸品。

スローン・レンジャー・トウキョウの秋冬展示会。

1924年のパリオリンピックを舞台にした名画「炎のランナー」は、ファッション史の学徒必見の20年代メンズファッションのテキスト的映画でもありますよね。

この映画の中で神のために走るエリック・リデルがスコットランドで着ていたツイードスリーピースが再現されました。

しかもツイード生地は、純国産。国島のJ Shepherds です。スリーピース一着分で3頭分の羊の毛を使います。

現在日本にいる羊は2万頭。日本の牧羊業を守りたいという国島のアツい思いがこもったツイードを使い、スーツ文化を守りたいというスーツ変態(!)のスローン・レンジャー・トウキョウが作りました。エネルギーと愛とサステナある未来を感じるスリーピースです。

こちらは英国クラブストライプの名門Bateman Ogden の生地を使い、ロウイングブレザー風に。パッチポケットであるべきところ、ひねりを入れてフラップポケット、ピークドラペルにしてあります。1960年代のオースチン・パワーズにもなってますね。

 

「ロウイング・ブレザー」より。

そしてこちらはキングスマン! Vゾーン高めの王道スタイル。背面はあえてカントリー風にピンチバック。コスプレ魂に火がつきます(違う)。

 

開催中のFashion in Japan 展より、戦後に活躍した日本のデザイナーから5名、ピックアップしてご紹介しました。

婦人画報.jp 連載です。

こちらからご覧いただければ幸いです。

国立新美術館にてFashion in Japan 展。戦後の焼け野原に建てられた洋裁教室から、2020年の未来感あふれるファッションまで。力のある展示で、みごたえがあります。

とりわけDCブランド時代が強烈だったな。真剣に見たらぐったりしました。

写真撮影可能なのは、以下の最新のファッション、2010年から未来へ向かうファッションのみ。

アンリリアレイジのテントになるドレス。

ミキオサカベ。

リトンアフターワーズ。

ユイマナカザト。

西洋のファッション史とは異なる発展をしてきた日本の戦後ファッション史。関係者の労力に心から拍手を送りたい。ファッション史や社会学の学徒は必見ですよ。図録もわかりやすくまとめられており、必携の一冊です。

ポーラミュージアム・アネックスにて「絵を纏う」展。

ファッションディレクターの若槻せつ子さん(75)が集めた500点の打掛のなかから、13点が飾られています。

ガラスケースもなく、間近で質感や厚みを感じられる。

ひとつひとつを丁寧に解説してくれる岩槻さん。

 

詳しくはどこかの連載で書きますので、こちらは写真集としてご覧ください。

1階のポーラの店舗ではカタログも販売されております。

写真では伝わりきらない美しさ。ぜひ肉眼でごらんいただきたい。

日本の美がミニマリズムだなんて、誰が言った。笑 この豊饒に圧倒されてから言ってください。

若い方はなかなかこれを選ばないそうです。今ならウケそう。あとは5回目くらいの婚礼時とか。

 

 

ピカソの絵もあり。間近でその技巧を見ていただきたい。6月27日までです。

文化学園服飾博物館で高田賢三展が開催されております。

 

 

装苑賞を受賞した1960年代の作品から、70年代以降のケンゾーワールド全開の作品まで。デザイン画や特別なウェディングドレスも。学院長の相原幸子先生じきじきにご案内いただきました。賢三さんの文化時代の同窓生とのエピソードや講演会のお花など、貴重な裏話を伺いながらの鑑賞。ありがとうございました。

 

おみやげにはケンゾー水いかがでしょう。芍薬が描かれた素敵なボトルです。図録もコンパクトながら充実しています。

6月27日まで休みなく開催中です。

 

私が着ているスーツはH & Sons 廣川輝雄さんの製作です。内側にスマホポケットを付けていただいたり、ベストの背中も表地で作っていただいたり、その他細部もとことん凝った作りになっております。生地はKunishima 1850。

Chanel Meets Manga 展。銀座シャネルネクサスホールにて。

規模は大きくはないのですが、シャネルの中核となるエッセンスを現代的に抽出し、漫画とのコラボで表現。

 

いやたしかにココシャネルだったらそうするだろうなあという納得のコラボでした。

さりげなく、初めてみるシャネルのポートレートがあったりとか。

 

 

 

 


展覧会も無料なうえに、No.5のサンプルまでお土産に配っています。なんと太っ腹な広告戦略。

感激したZ世代がどんどんSNSで拡散し、結果的にこの世代に届く広告になってますよ。今どきの戦略ですね。

 

シャネル・ネクサスホールのHPからお申込みくださいね。

長谷川彰良さんの「半分解展」が今年も渋谷大和田ギャラリーで開催されました。

新作(というのも妙な言い方になりますが。笑)も加わり、いっそう研究を深めてますますバージョンアップしたデミデコ。


本当に心強く感じます。

 

ヴィクトリア朝の女性服「ヴィジット」も各種入荷。その立体の存在感に身近に触れることができて感動します。

今回は、長谷川さんと一緒に、「ツアー」という形で、各展示を一緒に解説させていただきました。とても学びの多い、楽しいコラボをさせていただきました。終了後も小一時間、質問やまず。ほんと、各方面で弟子に学ばせていただいているというか、あっさりと「師」を超えていく弟子を持てて心から光栄に思います。

 

着せていただいたのは、長谷川パタンによる、あきさん製作の18世紀風アビ。普通にそのへんで着てても違和感なさそうな素敵な服です。左右で柄が違うのもいい。着心地は抜群によいです。


あきさんもそうですが、この半分解展を通じたコミュニティが形成されているのもすばらしいことですね。

 

ご参加くださいましたみなさま、ありがとうございました。

 

明治神宮前で、Louis Vuitton & 。

近未来的な浮遊感を感じるスカーフの展示からスタート。

こういうピクニックセットもってドライブに行きたいものですね。

サンドバッグ。赤坂見附での展示で見た時にも感動したなあ。再会できてうれしい。

こういうデスクがあればどこでも仕事ができそう。

大きな写真の前に実物を飾る、という見せ方。迫力あり。

ファッションのほうは、完全にミレニアルズ、Z世代を意識している。写真だとわかりづらいのですが、とても精巧な作りこみです。

この展覧会のためにハコを作り、スタッフを集め、無料で公開する。写真撮影は自由で、撮影した写真をもとに観客がルイヴィトンをハックしてPRしてくれるという仕組み。展覧会の出口には「おみやげ」ショップ。すてきなPR。とても勉強になりました。あありがとうございました。

 

 

東京国立近代美術館にて「あやしい絵」展。

写真撮影可能な絵が多く、会場はなかなかの盛況でした。

ところどころに散りばめられるこのようなワードが効いています。

笑!

日経連載「モードは語る」に詳しく書きました。Works →Newspapers のアーカイブのなかからご覧くださいませ。

 

Mikimoto ×ギャルソンのコラボ、第二弾。

シルバーのセイフティピンもすべてミキモトの職人が一から作り上げたそうです。

こちらは、ファング(牙)があしらわれています。

 

後ろ側、留め金周辺にも手を抜いてない。ギャルソン印はばっちり。

前回はおそるおそるという感じで、正統派パールネックレスの端正な美しさが保たれておりましたが、第二弾の今回はギャルソンの前衛性をより強く出してきたという印象です。

パールネックレスは、ジェンダーを問わず、ロックにパールを楽しみたいというミレニアルズの富裕層に人気。イメージとしては、ハリー・スタイルズ。

男にパール、というのはルネサンス時代の西洋では(貴族の間では)普通だし、インドのマハラジャもつけています。21世紀の時流を先導するジェンダーフリージュエリーにすることで顧客層も広げたいミキモトのマーケティング、なかなかスマートです。

Mikimoto Exhibition グランドハイアット東京ボールルームにて。

昨年はまったく花見ができなかったこともあるのでしょうか、今年の各社の「桜」にかける熱量はかなり高いなと感じます。どこへ行っても桜、桜。桜。

桜をモチーフにした精巧なパールジュエリーの数々。

いくら高性能カメラのアイフォン12でもなかなかこの素晴らしさは伝えきれないのですが。

完成されたジュエリーの光ってなんというか、すっと心に届くような錯覚を覚えるんですよね。

ビーズのように細かい真珠で「糸」を作り、それを束ねてより合わせて結ぶとこうなる。すべて手作業と思うと気が遠くなる。こういうの、ネクタイ代わりに(笑)スーツと合わせてつけてみたい。

こちらもモダンで、好きなデザイン。

芸術としか呼びようのない美しさ。よいジュエリ―の大前提条件ですが、裏側も美しいのです。

さらに今回もギャルソンとのコラボ、進化版がありましたが、それは次の記事で。

明治神宮ミュージアムで「宮廷文化の優美」展が開催されています。

 

あまり宣伝されてなくて惜しいのですが。2階に、世にも壮麗な、明治時代の六頭曳儀装馬車が展示されております。馬はいないけど。ストレッチリムジンなんて目じゃないの。息をのむ迫力です。撮影不可なので写真はありません。「六頭曳儀装馬車」で画像検索すると出てくるけど、いきなり実物を見たほうが感激は大きいと思う。一生に一度でいいから六頭立て馬車に乗ってみたい……。

3月7日までです。参拝のおついでにどうぞ。馬車は常設かもしれませんね。

ミュージアムの隣には、抹茶専門の自動販売機が。キャップに粉が入っていて、しゃかしゃかすると抹茶ができるよ。あまりに便利で美味だったのでアマゾンでまとめ買いしました。

日本橋とやま館で「とやまジュエリー プロジェクト」展示販売がおこなわれております。

富山のなかでも、とくに高岡で活躍する若手伝統工芸職人と、ジュエリーの桑山の協働によるプロジェクトです。

高岡銅器のモメンタムファクトリー・Orii。

高岡銅器のしろがね屋裕翠。

 

高岡漆器の武蔵川工房。

工芸品みやげにころばず、正統派のジュエリーで勝負している方向性に期待できます。

 

日本橋とやま館では14日までの展示販売ですが、その後、富山でも展開されるそうです。世界に発信できるラグジュアリー目指してコレクションを磨き続けていってください。

 

お勧め展覧会。東京富士美術館と神戸ファッション美術館のコラボです。

神戸の浜田学芸員によると、「現在に残された視覚資料と衣裳を全部集めた」そうです。浜田さんが30人の名優をイメージしてマネキンをメイクし直しています。

 

 

「絵画のドレス ドレスの絵画」展は、2月13日(土)~ 5月9日(日)。東京富士美術館にて。

 

家具、絵画、小物、映像を駆使し、時空を超えたかのような臨場感を演出しているとのことです。神戸のコレクションは一見の価値あり。ファッション史の学徒はぜひご覧になってみてくださいね。

 

寺家町の奥の奥のほうに、ギャラリー&カフェ。Jike Studio

車で行かないと無理。探すのも一苦労。周囲はたんぼなので、言われないと、ここがカフェだとは絶対にわからない。広がる田園都市の原風景。外はこんなだけど、

なかは今どきのおしゃれなカフェ。感染症対策も徹底されています。クラフツや食器などを販売するギャラリーも併設されています。

きれいに陳列された焼き物。

ランチプレートのレベルが高い。器もすべてオリジナル。

ゆずのチーズケーキ。コーヒー、ハーブティーも美味。

そこから歩いて1分ほどのところに別館、Jike Hausが。こんなあかぬけたギャラリーが、ど田舎に出現するシュール感……。

きれいな焼き物、手作りの家具などが販売されています。

期間限定でペルシャ絨毯展をやっていました。

 

手前のブルーのカーペットは、シルクの織物です。精緻な美しさが一枚一枚、違う。それぞれの絨毯にそれぞれのストーリーがある。

モームの「人生はペルシャ絨毯」説ではないけれど、やはりペルシア絨毯にはなにか命の重みのようなものを感じさせる力がありますね。

山奥の秘境でお宝を見つけたような気分でした。短時間でエスケープし、田舎の空気で深呼吸できた良い時間になりました。

 

 

パナソニック汐留ミュージアムにて、「香りの器 高砂コレクション展」が開催中です。

古代オリエントの香油壺に始まり、近代ヨーロッパの陶磁器やガラスの香水瓶、アールデコの芸術品、大戦中の作品にいたるまで。化粧用具や家具なども含めたおよそ240点が展示されています。高砂香料工業株式会社が収集してきたコレクションです。

香水瓶に、いや香水瓶だからこそ、ここまで凝ったものを作るのかというイマジネーションの炸裂。

 

マイセンの香水瓶たち。ほんとうに小さい陶磁器なのに、精巧に作られています。それぞれにストーリーもあります。さすがのマイセン。

1900年ごろの花蝶文様香水瓶とパウダー容器。

 

 

 

1920年ごろの鳳凰文香水瓶、化粧容器、アトマイザー香水瓶。タッセルそのものが鳳凰のように見える。

マルク・ラリック「喜びの心」(ニナ・リッチ)、1942年。ハート型にくりぬいてあるのがすばらしい。右もマルク・ラリック「いちずな願い」(ウォルト)、1944年。

ルネ・ラリック「りんごの花」、1919年。

3月21日までです。公式HPはこちら。

 

Mikimoto 展示会。

真珠の可能性はまだまだ広がる。ロックで斬新な真珠のコレクションにわくわくします。ヴィンテージのレザージャケットにじゃらじゃら合わせてもかっこいい。真珠のイメージが一変します。

メンズパールもさらに進化。このようにブラックパールを使ったグラデーションだったりすると、ミレニアルズやZにはもはや何の抵抗もないでしょう。

いつかは着たい、ボディジュエリー。中東の女性に人気だそうです。あの真っ黒な覆いの下にはとんでもなくゴージャスな装いが隠されていることがあるらしい。

ミキモトによる社会貢献活動。キャンドル(1万円)を購入すると、全額、医療従事者に寄付されます。

コンサバティブな真珠の世界も大胆に。右は10カラットのダイヤモンドを中央に据えた、羽根をモチーフにしたパールのリング。億単位の価格です。キティのロングネックレス3億が即売したことを思えば、これもすぐに売れるのでしょう。


写真では迫力が伝えきれないのがもどかしいですが、ぜひ、銀座ミキモトはじめミキモト各店で肉眼でご覧になっていただきたいです。羽根の繊細な美しさを真珠で表現するとこうなる、というアート。

 

このたび、スカーフも発売されました。肉厚のシルクでパールやミキモトロゴがモチーフとなっています。3色で展開。

スカーフは男性にもおすすめ。このようにアスコットタイとネクタイの中間のようなアクセサリーとして使うと、新時代を感じさせて素敵です。「結ぶ」よりテクニック要らずで簡単かも。写真はミキモト社員のサイトウさん。いつも大胆にさりげなく真珠をつけこなしていらっしゃいます。

スカーフリングとして使われているのが、大粒パールのMリング。なるほど、リングはこういう使い方もできますね。リアルに想像すると落としてしまうおそれがあるのがコワすぎですが。笑

新しいチャレンジを続けられる力こそ老舗ブランドの底力ですね。元祖ベンチャー、幸吉翁の笑顔が見えるようです。エラそうな記念写真でしつれいします。

プリンスホテル東京シティエリアで第二回目となる英国フェアが開催されております。Timeless U.K. the British Fair 2020.

1日からの開催に先立ち、10月30日にザ・プリンス・パークタワー東京にてレセプションが行われました。

たっぷりとフィジカルディスタンスをとって、でも親しさの感覚は失わないような、着席スタイル。

開宴までは、カジノなどでおもてなし。参加賞のプレゼントが素敵で、なかなかの人気でした。スタッフはこのようにマスクの上にフェイスガードで、すべての領域で安心・安全を第一にサービスが提供されています。

ウェストミンスター寺院をかたどった氷の彫刻。いつもながら圧巻です。宴が終わると溶けていくだけなのに、この精緻な作りときたら。

フレグランスエキスパートの地引由美さんと写真を撮りましたが、会場がやや暗く、写真を明るくする編集をしたらアナ雪風に。私はドレスと共布のマスクをつけております。

心斎橋リフォームの内本久美子さんと。今回もご協力くださっている鎌倉アンティークスのコーナーにて。

イギリス最高峰のスパークリング、ナイティンバーがフリーフロー状態で注がれます。

会場にはアストン・マーティンも。

ウィンブルドン・ブリュワリーのビール。中世から修道院でビールの醸造が行われていた由緒正しき町、ウィンブルドンから日本初上陸。

 

駐日英国大使館から、マリー=クレア・ジョイスさん。

東京シティエリア統括総支配人の武井久晶さん。

恒例のテープカットセレモニーも華やかに。

今回の目玉企画の一つが、BLBG社長、田窪寿保さん監修によるジェームズ・ボンドのディナー再現。キッチンテストで試食しましたが、これはボンドマニアの男性同志で楽しんでも相当、盛り上がるのではと。笑

ボンドの世界観を表現したディナー。ベルーガキャビアからスタートします。あの原作、あの映画のあのシーンに出てくる料理の数々。

©Tomoko Kaneko. イラストの女性が誰かに似ていると話題です。

ロンドンのデユークス・バーとのコラボは、紀尾井町のザ・プリンスギャラリーで。ボンドマティーニ3種は、パークタワーやテーブル9でどうぞ。

ザ・ギャラリーのソムリエ、藤永希さん。

プリンスホテル全体のエグゼクティブ・ソムリエ、市村義章さん。

カルチャーの部では、私もイブニングセミナーを開催します。フェイスガードをつけて壇上で話しました。12月5日(土)16:00~17:30 。テーマは「変わりゆくラグジュアリー」です。昨年同様、ほぼフリーフローのドリンクがつき、ギャラリーのプチコース仕立ての軽食がつきます。おひとりさまでもどうぞ。昨年は、おひとりさまがほとんどで、ゲスト同志でお友達になってお帰りになりました。

この日、着ているドレスは、「007 No Time To Die」にも登場する「スペクター」でのレア・セドゥのドレスにヒントを得たもの。心斎橋リフォームの内本久美子さんに生地から選んでもらい、パタンを起こして作っていただきました。

バックスタイルにポイントがあります。共布のマスクも作っていただきました。さすがの久美子さん。昨年の英国旗ドレスに続き、久美子さんのセンスに惚れ惚れしております。


アストンマーティンと共に記念写真。ってアストンマーティン見えないじゃないか。左から、内本久美子さん、ヘアサロンのオーナーで毛髪診断士のMika Amata さん、中野、地引由美さんです。

フェアの詳しい情報は、こちら

中野のイブニングレクチャーのお申し込みは、こちら

地引由美さんが美しい写真とともにフェアの様子を詳しくご紹介くださっております。こちらです。

Mika Amata さんがインスタで詳しくご紹介くださっています。こちらをどうぞ。

内本久美子さんが、インスタでドレスのことを紹介してくださっています。こちら

イギリスが再度ロックダウンになってしまった今だからこそ、日本にいながらにしてUK擬似体験を楽しめます。ホテルはメディア。フェア期間、東京シティエリア8つのホテルそれぞれの特色を活かして、イギリス文化の魅力を発信していきます。

ルイ・ポメリー・イングランドのお披露目会。

ルイ・ポメリー・イングランドは、シャンパーニュのポメリーがイギリスのテロワールを活かして作った、イギリス産のスパークリングワインです。重たすぎず、キレのよいすっきりとしたおいしさです。

会場は青山グランドホテルのルーフトップテラス。眺めも良く、オープンエアなので感染予防にもよい場所ですね。

 

リバティのラグやクッションなど、イギリス的な要素を散りばめて「イギリス」感が演出されておりました。(「ポメリー」といえばフランスのイメージが強いですものね。)

それにしても旧ベルコモ界隈がこんなおしゃれなことになっていたとは。ホテル周辺にも新しい飲食施設やショップがたくさんできていました。

 文化学園大学の橋本定俊先生よりご恵贈いただきました、「ヴィンテージ・ライフ・ブック」。先生の長年にわたるコレクションから選んだヴィンテージ服や家具などを撮影し、コメントをつけた写真集です。橋本先生のヴィンテージ愛が伝わってきます。

10月2日より文化服飾博物館で開催される「世界の藍」展に、文化の橋本定俊先生所蔵の貴重なビンテージも展示されるそうです。LEVIS506XX LEVIS501XX. 1890年代のラウンジスーツなど。レアな本物を見に行くチャンスですね。

文化学園服飾博物館の「世界の藍」展

Jun Ashida and Tae Ashida 2020-21 AW Exhibition.

デザイナーの芦田多恵さん。ジュンアシダのディレクターも兼ねています。

JAは上質なカシミアを贅沢に使った機能的で心地よさそうなアイテムを多々提案。手元のファーは取り外しができます。

こちらもJAですが、黒白ストライプのトップは、素材がユニークです。スパンコールをぎっしり縫い込んであり、触れるとスパンコールの方向が変わるので、このようなパンクな柄にもなる↓

もちろん、なでるとまた元の方向に戻ります。フォーマルドレスでこうしたパンクなアレンジができるのは楽しいですね。こういうオリジナルな素材の感触や質感は、観て触れてみてこそ面白さが実感できます。

エレガントなマスクは大人気で生産が追い付かないくらいだそうです!

TAでは、メンズのアイテムも増えてきました。「今はメンズを創るのが楽しい」と多恵さんは語ります。既存のルールや慣習にとらわれない自由な男性像が目に浮かびます。その隣には、同じ感性をもつパートナーが。やはりファッションはペアで見ると奥行きが出て面白い。

ベルトや襟が取り外し可能になっているコート。


フォーマルも素材から新しい。ブラウンというのはあまりフォーマルに使わない色なのですが、こうして生地に光沢とグラデーションを与え、相応しいオーナメントとデザイン性を加えることでブロンズの輝きを帯び、一気に洗練されて見えますね。フォーマルドレスに関しては、ほかにもため息ものの美しさで魅了してくるものがずらりとそろっていたのですが、写真でただドレスを紹介してもなかなかその迫力が伝わらないのがもどかしい。モデルがこれを着てランウェイを歩くさまを間近で見たかったなあ。でも今のこの時期はこうして展示会で間近に触れることができただけでもありがたきこと。

万全の態勢でコロナ対策をとり、こうして展示会を開いてくれたデザイナーはじめスタッフの努力にただただ頭が下がります。

人間が愛情をこめて作る美しいもの。ファッションであれ映画であれ料理であれ本であれ、美しいものに接することで心が生き返るような思いがします。

 

ブルネロ クチネリの秋冬展示会。コロナ後初めてのリアル展示会でした。やはり直接、人に会えるのは嬉しいな。

いつもながら精緻な手仕事による究極のエレガンスの提案。モデルさんがバミューダスーツの中に着ているベストの生地は、一見、トラディショナルなメンズルックに多い柄なのですが、マイクロスパンコールがちりばめられていて、光を受けてさりげなくきらきら光る。

オペラニットには、オーガニックなモチーフがひとつひとつ手で縫い付けられていますが一着作るのに32時間かかるそうです。

カシミアのスエットパンツはこの冬のリモートワークに最適ではと思いました。上下セットで着ても素敵。あえて価格は見ていません…。

あざやかな景色は、震災にあったイタリアのノルチャという地だそうです。映像では、美しい音楽、景色、詩的なことばのなかに、クチネリの服のディテールが流麗にさしこまれていきます。


なにからなにまで眼福でした。クチネリさんありがとう。


(メンズもゆっくりお話を伺いながら見たかったのですが、今回は、どちらか選ぶパタンでした)

みなさま、よい週末をお過ごしください。

The Prince Park Tower Tokyo のThe Shop チョコレートブティックから、稀少な銘酒を贅沢に使ったボンボンショコラが誕生しました。

 

マッカラン12年、響、余市、山崎12年、ジョニウォーカー12年、富士山麓18年、知多。

見た目も艶やかで重厚な、通好みのチョコレートです。ウィスキー好きな方へのプレゼントにも最適ではと思います。

The Prince Park Tower Tokyoは先日、15周年を祝ったばかりで、右手に見えるジョニウォーカー15年は、パークタワー15年のダブルネームのオリジナルラベルです。

The Shop には他にも上質なホテルオリジナルが見つかります。私のお勧めの一つは、オリーブオイル。とにかくフレッシュな香りです。ややお高めですが、何にかけても一段とおいしくなり、なるほどと価値を納得。

 

“What is called genius is the abundance of life and health.” (By Henry David Thoreau)

 

 

感染症拡大防止対策のため、東京コレクションも中止となりました。各ブランドは動画でコレクションを配信したり、デジタルでルックブックを配信したりという形で、秋冬コレクションを発表しています。

ここ10年以上、毎シーズン、エッセイを寄稿してきたJun Ashida の広報誌JA誌も今シーズンは中止となりました。代わりにカタログブックが作られることになったそうです。

Tae Ashida 2020 AW デジタルブックはこちらから。全ルックをご覧いただけます。

ちなみに個人的にいちばん好きなルックはこちらでした。技術力が映えるレザーのボトム。上半身にクロスするレザーのアレンジもどこか戦士的で(!)今の時代感をとらえているように感じます。

メンズもことさら区別されることなくさりげなくちりばめられているのがいいですね。男性、女性、どちらが着てもいいデザインです。ことさらジェンダーを主張せず(そもそも問題にすらせず)、自分が着たいものを着ればいい、というのはまさに今のモード界の流れです。ユニリーバも履歴書からジェンダー記入欄をなくしてしまいましたが、モードが主導して社会を変えていくこの流れは今後ますます加速すると思われます。


ボリュームのあるテイラード型のダブルジャケットもゆとりのあるシルエットのボトムも、女性が着てもぜったいかわいいはず。


スポーツテイストのボトムは引き続き人気。黄色に黒ラインのスカートもあり。


社交シーンに着てみたい一着。


これもクール。着てみたい(自分が)。ほかにもショーの最前列で実際に見てみたかった作品ばかりです。素材の迫力はやはり生でないと実感できないところがあります。秋にはぜひショーが再開できるよう事態が収束していますように。

桂由美55周年アニバーサリーのグランドコレクション。オークラ東京、平安の間にて。


日本において洋装で結婚式をする人がまだ3%しかいなかった時代から、55回のショー。関西では33回のショー、海外では108回、おめでたい数字が並ぶアニバーサリー。


1時間半にわたるショーでは、誕生式から七五三、成人式、起業式、結婚式、結婚15周年(クリスタルウェディング)、30周年(パールウェディング)、55周年(エメラルドウェディング)……を祝うための白い衣装の展開からスタート。(ショーの写真は撮れませんでしたので、ここに掲載している写真は、展示ルームのほうで撮影した過去の傑作)。

とりわけ成人式、起業式の白いスーツのまぶしさには感動。起業式、私もやればよかった。笑 各アニバーサリー婚でもリアルなカップルが登場するんですよね。高島政宏&シルビア・グラブ夫妻、片山龍太郎&片山さつき夫妻、吉田喜重&岡田茉莉子夫妻。15周年、30周年、55周年を足して100婚。なかでも55周年の吉田喜重&岡田茉莉子ご夫妻の存在感と美しさにはやられました。自分には無縁だった幸せがそこにはあふれていて、苦労も乗り越えてこうした絆を作られたご夫婦は、ほんとうにすばらしい。


日経連載で題材にさせていただいた北斎柄のドレスも。

ドレスのレベルは海外でも引けをとらない水準になったけれど、結婚式を行う人が1970年代の半分に減った、という皮肉な現実。代わりに提案されているのが、アニバーサリー婚です。金婚式はよくおこなわれますが、それ以外でもアニバーサリーをパーティー形式で祝うのはいいことですよね。見守ってくれる周囲の方々との仲も深められる。ホテルにとってもありがたいお話。

それにしても桂由美先生のクリエーションの迫力ときたら。写真で見るよりぜひ肉眼で間近にご覧いただきたいくらいなのですが、ショーは演出もドラマティックで、毎回、あまりの美しさに涙が出るほどのレベルです。

オークラのオーキッドルーム。天井が高くてお茶も気持ちよくいただけました。

株式会社昇陽が満を持して世に出す幹細胞コスメ「マイセルーチェ(MYCELLUCE)」の発表会。

昇陽の取締役会長は元タニタの社長、谷田大輔さん、代表取締役は奥様の谷田光代さん。タニタといえばヘルスメーターやタニタ食堂でも有名ですが、そのタニタの社長だった方です。経営を息子さんに譲り、ご自身は引退されましたが、まだまだ社会に貢献できるということで、「健康」をテーマとするビジネスの延長として幹細胞コスメのブランドを立ち上げられました。元宝塚⇒女優⇒実業家の奥様は77歳。ご夫婦二人合わせて154歳の起業だそうです。

谷田大輔さんはタニタを引退後、中小企業機構を通じてコンサルタント先を紹介してもらいます。それがほかならぬリプロセル社。リプロセル社のiPS細胞でなにか事業ができないかと考えていたら、奥様が基礎化粧品を提案、そこから化粧品事業に乗り出したとのこと、このストーリーだけでも引き込まれました。

 

リプロセル社の提供した稀少な培養液を用いて、幹細胞培養上清液を作り、それを用いて安全性が高く、アンチエイジング効果の高い基礎化粧品を製造します。

ウェルネスクリニック銀座の伊藤実佐子先生によるかなり専門的な解説もありました。はじめて聞く言葉も多く、ついていくのもたいへんでしたが、肌が老化していくシステムに幹細胞がどのように影響力を及ぼすのかについて、話を聞きながらなるほどなるほど……と分かった気にはなれました。(が、説明を再現できない?)

株式会社昇陽の取締役 最高戦略責任者である石川和彦さんのブランドコンセプトの解説も非常に面白かった。印象に残ったのが、「ペディグリーがよい」ということば。pedigree 出自・血統という意味。ともにビジネスをおこなうにおいて、パートナーとなる会社にペディグリーが求められる、と。今回の場合、リプロセル社は「ペディグリーがいい」。なるほど。ブランド論にも応用可能な考え方です。


同じリズムを繰り返す、継続性と再生。月をコンセプトとしたパッケージも品がいい。期待大。

美容液「マイセルーチェ エッセンス」と「マイセルーチェ  フェイシャルトリートメントマスク」、3月20日全国発売です。

 

 

 

 

 

 

 

Mikimoto × Comme des Garçons

男性用のパールネックレスが発売となりました。表参道のギャルソン店舗にてお披露目会。

真珠の正統派の美しさはそのまま活かしながら、留め金や細部のアレンジにさりげなくギャルソン印が。


 

前衛的なギャルソンの服とピュアホワイトのミキモトパール。とても素敵です。


 

壮観ですね。

銀座のミキモト本店では初日ですでに数百万円分の売り上げがあったそうです。メンズを謳ってはいるものの、女性がつけてもよいですね。

男に真珠、というコンセプトを5,6年前から提案しておりましたが(『紳士の名品50』にはミキモトのピンブローチをご紹介)、ようやく時代が到来しました……。

「男に真珠」の話は近日中に2媒体で活字になります。

この日はふだんコンサバスーツ姿のミキモトの社員のみなさまも「ミキモト×ギャルソン」で装い、拝見しているだけでテンションが上がりました。

ミキモト社員のサイトウさん。全身コム デ ギャルソン。チェーンメイル風のバッグはパコ ラバンヌ、ヒールのある靴はルブタンだそうです。首元には当然、ミキモトのパールネックレスが輝いています。21世紀のルネサンス・マンという雰囲気でした。

 

富山の廣貫堂といえば、くすりの老舗。私が絶大な信頼を寄せている、海外には必ず持っていくお守り的な胃腸薬(胃腸が丈夫なのでめったに使わないですが……)は廣貫堂製。

 

その広貫堂から、エイジングケアのためのスキンケアコスメが発売されます。和漢のハーブ、酵母の有効成分を配合し、不要物は極力省いた、現代にふさわしい自然派スキンケア。

その名もSmuk 。デンマーク語で「美しい」という意味だそうです。


香りよく、保湿力も高い。価格も手ごろな感じに設定されているので続けやすいのもいい。個人的にも期待大。

 

さらに、スペシャルケアとして洗顔料やマスク、美容ドリンクなどをそろえる「レグル」(ものさしの意味)のラインも発売。

2月25日より、オンラインショップK-to. (ケート)で発売されます。
http://www.k-to-kd.jp



発表会場は表参道のバンブー。

2階のテラス。とても感じの良いレストランだったので、プライベートで再訪しようっと。


快晴ですが風が強く極寒の表参道。

Sanrio Expo 2020.

コロナウィルスが警戒されて楽しみにしていたイベントが続々中止に。しかしサンリオエキスポは大盛況。


ピエール・エルメとのコラボ。


和柄とキティは相性がいい。海外ウケもいい。


こちらは純金・純銀製で資産価値もありというキティ。大判小判は昨年も驚きましたが、あらためて価格を見てしみじみする。「ふざけて見えるものほど真剣に作らねばならない」というのはアニヤ・ハインドマーチのことば(「アパレル全史」参照)。

寒さが本格的になってまいりましたね。ウィルスやらインフルエンザやら警戒事項も増えてきましたが、みなさまどうぞご自愛ください。

 

Signature December issue is released.

I have written an article on Cartier Exhibition. Interviewed with the CEO of Cartier International.


Special thanks to Ms. Michiko Ito, editor-in-chief of Signature magazine.

The Wife of the Ambassador of Palestine, Mrs. Maali Siam, held the exhibition of the Palestinian traditional costume and Japanese Obi.  At Royal Suite Room of Hotel Allamanda Aoyama.

Ms. Maali Siam, left. We met 2 year ago at the Arabic Tea Party, which was held by her at the residence of the Ambassador of Palestine.

The traditional costumes belong to Maali’s mother in law (=the mother of Ambassador of Palestine).  Maali brought these preciou pieces from Palestine to Japan for this exhibition.

You will notice the coins. A lot of coins are used as ornament.  Coins represents eternity in Palestine, so they are lucky motifs.

 

Mrs. Maki Yamamoto-Arakawa.  She contributed to unite the traditional precious techniques of needlework of two cultures: Palestine and Japan.

Japanese Obi applied with the embroidery of traditional Palestine.



Beautiful embroidery.  But there is also sad aspect. “Embroidery signifies a lack of work,” an Arab proverb recorded by Gustaf Dalman  in 1937 .

Special thanks to Maali who held this meaningful costume exhibition.

バカラの新作「Games」発表会。

クリスタルガラスのシャンデリアがあちらにもこちらにも。

このシャンパングラスがすばらしかった。ずしりと重いのです。持ち手が段々になっていますが、しっかりと指を支えてくれて、滑り落ちない。グラスを持って官能的だと感じさせるのはやはりバカラの底力ですね。注がれるシャンパンはTattinger.

今回はゲーム用品が多数、発表されていたのですが、さりげなく置かれるルイ13世や香水のボトルがまた眼福です。

フォトスポットには王冠や仮面も。



このワイングラスもずっしり重い。大きい。ワインよりも存在感がある。ワインはあくまでグラスの美しさを引き立てるための脇役と化しています。

バカラ色ジャケットを着ていらっしゃるのが社長の義和・ヤン・ガイエさん。左はご一緒してくださった香水のエキスパート、地引由美さん。由美さんはさすが、クラシックでゴージャスな香水ボトルの数々との出会いを楽しんでいらっしゃいました!

束の間、重厚に豪華にきらめくクリスタルの世界でした。

 

カルティエ社長にインタビューしました。

日本文化に関する本も書いていらっしゃる、とても知的でボキャブラリーの豊かな方です。壮大な文化論、哲学を伺った気分です。


グランドハイアットにて。ダイナース会員誌「Signature」に掲載されます。

怒涛の10月がスタートしました。2020年の新規の仕事も決まり、チームプロジェクトがいくつか始動しました。仕事のお声かけをいただけることに感謝しつつ、ひとつひとつ、慈しんでいきたく思います。


すでにインフルが流行の兆しというニュースがありました。みなさま、どうぞご自愛のうえ、2019年残りの3か月を大切にお過ごしください。

国立新美術館にて「カルティエ、時の結晶」展が開催されています。12月16日まで。

1日におこなわれた内覧会に伺いました。

もう、いろいろ語るまい……。すばらしすぎて、美しすぎて、涙が出るというレベル。

会期中にあと一回は観たい。


コブラとかスカラベとかヘビとかワニとか。そのままだとコワかったり不気味だったりする生き物が、宝石で作るとどうしてこう、ぞわぞわと心を震わせるのか。


かつてない壮大なスケールの展示です。全力推薦。


こんなの創ることができる人間って偉大だ。

Hiro & Sonsのご協力を賜り、Chugai Kunishima 1850のプレゼンテーションをさせていただきました。

中外国島のホープというか生地変態(ホメ)、宮本雄三さんと田畑知著さんが、西洋の生地=モネの絵、日本(中外国島)の生地=北斎の版画、にたとえてわかりやすく解説。

生地の種類も、「人との距離感」を基準にし、Distance 8 (8m先からも際立つ存在感)、およびDistance3,2,1(思わず近寄ってみたくなるような魅力)、およびDistance△3(すれ違って3秒で振り返らせる微妙な美しさ)というカテゴリーに分類しました。

特筆すべきはコレクションボックス。バンチブックの不便をすべて解消した、見やすく選びやすく美しい生地見本ボックス。画期的です。

いまだに「イタリアやイギリスの生地は高級で、国産生地は格下」と決めつけているのは、実は日本人だけ。いつの時代のお話でしょうか。今年の生地見本市、ミラノウニカでChugai Kunishima 1850は絶賛を博し、海外のハイブランドから続々ピックアップされております。

ご参加くださいましたみなさま、廣川師匠、ありがとうございました。


彼らのような情熱も知恵も行動力も備える優秀な若い人たちが、日本の(ひいては世界の)未来を創っていきます。私も彼らからとても刺激を受けています。

中外国島の服地を使って仕立てるスーツを、廣川さんにオーダーをしてまいりました。あらゆるシーンで使える女性のための仕事&社交スーツ。かねてより、「こういうものがほしいのに、ない」と思っていたので、いっそ作ることにしました。中外国島には理想的な服地があります。どんな服ができあがるのか、いまからワクワク、楽しみです。

フレデリック・マルの新作! これほど心躍ることばがあろうかというくらい楽しみにしていた新作説明会。エステー・ローダー本社にて。


(今年6月にオープンしたばかりのエステーローダー新本社。圧倒的にすばらしい眺め)

来日したグローバル・エデュケーション・ディレクターのルイーズ・ヴァンサンによるプレゼンテーションで、新作の背景を学ぶワクワクの一時間。

今回の新作はフレデリック・マルと名調香師ジャン・クロード・エレナが15年ぶりにタッグを組んだことでも話題です。

待望のRose & Cuir は「薔薇とレザー」。とはいえ、原料には薔薇も革も使っていないのです。薔薇も革も使わずに、薔薇と革のイメージを喚起する。しかもたった15の原料で。ぎりぎりそぎ落とした原料を用い、ひとつのイメージ世界を創出する。俳句のような、とても詩的な挑戦です。

薔薇の印象をつくる香料は、Timut Pepper という胡椒。なんとシトラス系でパッションフルーツの香りがする胡椒です。これがローズの一つの柱になります。


(このドリンクの上のほうに浮いている黒い粒が、ティミュット・ぺッパ―です)

もうひとつはBourbon Geranium 。きわめて稀少価値の高いゼラニウム。

このティミュット・ペッパーとブルボンゼラニウムを使って、薔薇のイリュージョンを創り出すのです!

そして一方のレザーはといえば、Isobutyl Quinoline (IBQ)という合成香料がレザーのイリュージョンを醸し出しています。この合成香料は「忘れられた」ものだったそうですが、久々に表舞台に登場。

 

この3つの原料、薔薇でも皮革でもない原料が、「薔薇とレザー」という二面性をもつ「静かなる嵐」の幻想を創出する。これまでにないクリエイティブな挑戦をした香水で、ドラマティック。

“It’s very Elena. But a new tone. New Chapter of Elena.” とはルイーズの評。

この日は新作に敬意を表して、「合成皮革で作られた薔薇のモチーフ」があしらわれたドレスを着ていきました(気合、入り過ぎ……笑)。タエアシダです。

私もNew Chapter へ移行しようっと。この秋は、このRose & Cuir とともにたくさんの思い出を作りたいと思います。

10月25日発売。20日は伊勢丹で先行発売されるそうです。知的で、ロマンティックで、「俳句のような」芸術的香水、ぜひ、店頭でお試しを。


エステーローダー社からの眺め。心が広がるような思いがする絶景。

尾州の毛織物の老舗、中外国島が満を持して展開するChugai Kunishima 1850 、新コレクションのお披露目会が、中外国島コンセプト・テイラーにて開かれました。

新しい製品の特性やコレクションボックスについてのマニアックな解説をする宮本雄三課長。彼が生地や糸をチェックするときの真剣さは度はずれています。

 


従来の生地サンプルの不便な点を解消し、「色鉛筆」のように箱を開けたらときめく生地見本。ふつうの生地が小型になっていると考えてください。広げると、前身ごろにあてて似合うかどうかチェックしやすい。

「スーツをめぐる誤解と真実」をテーマに、40分ほど話をさせていただきました。

個性的なゲストの方々がお運びくださいました。立ち見が出るほどの大盛況で盛り上がりました! ありがとうございました。上の写真の方は、VAN世代の方で、なんと「番」ハッピをお召しに。巾着も手作り、とにかく素敵で楽しいコーディネートでした。

宮本課長、ラジオパーソナリティのRieさん、そしてこれからご一緒に究極の理想を実現する日本製スーツを作っていくアルデックスのみなさん。

 

 

Chugai Kunishima 1850 ようやく幸先のよいスタートを切ることができました。さらに世界へ向かって、第二章へ。

 

西陣織の老舗、細尾 が、テキスタイルを世界のラグジュアリーマーケットに提供するHOSOO のコレクションを展開する旗艦店をオープン。レセプションに伺いました。

芸術品のような織物。

 

2階ギャラリーでは「日本の美しい布」展。細尾真孝さんが2015年から4年の歳月をかけて日本各地を訪ね、集めた布のコレクション。圧巻です。

その土地ならではの歴史や風土によって育まれた布の原点に焦点を当てたすばらしい展示。日本の布の美しさを念入りに掘り起こし、光を当てる、細尾さん渾身のフロアです。


エレベーターホールに飾られる花の配置もセンスがいい。


家具、インテリア用品、服飾品などのホームコレクションも充実しています。目の前で西陣織のポーチが売れていきました。

3階では貴重な着物や帯を間近に眺めることができます。

これは「たて錦」。


「細尾」第12代目の細尾真孝さん。ラウンジではオリジナルの和のテイストを活かした「かさね色目のマカロン」やオリジナルショコラも展開。


日本各地から大勢のゲストが来訪し、大盛況でした。ますますのご発展を応援しています。

HOSOO Flagship Store / HOSOO GALLERY
京都市中京区柿本町412

京都国立近代美術館で開催されている「Dress Code?」展。

ユニークな問いかけのもと、見応えある服がたっぷり展示されています。

個人的には、スーツのバリエーションがワクワクしました。撮影不可のセクションでしたので、ぜひお出かけになってご覧くださいませ。

ファッション好きな方にはとても楽しめると思います。

?過去最大のメンズウエアの展覧会がロンドンで開かれます。「インヴィジブル・メン (Invisible Men)」。120年の歴史を、170点以上の服飾品で。

これまで「ダンディ」やピーコック系などの華やかなメンズウエアの陰に隠れて「見えなかった(invisible)」メンズウエアに脚光を当てるとこと。

10月21日から11月24日まで。ウェストミンスター大学にて。概略のわかる「インデペンデント」の記事はこちら

ロンドンご出張などのタイミングの合う方はぜひ訪れてみてくださいね。

 

?Cha Tea 紅茶教室による『ヨーロッパ宮廷を彩った陶磁器 プリンセスたちのアフタヌーンティー」(河出書房新社)。カラー図版が豊富で、バロックからゴシックリバイバルまでの紅茶をめぐる文化がよくわかります。保存版の一冊。リスペクト。

 

?平野啓一郎『「かっこいい」とは何か』(講談社現代新書)。日本語の「かっこいい」をめぐる歴史を広範な視野のもとにたどった力作。リスペクト。拙著『ダンディズムの系譜』からも引用してくださっていてありがとうございます。

 

銀座ミキモトホールで本日より、「The Eyes and Hands ―クラフツマンの感性―」展が始まります。

内覧取材に伺いました。

このディスプレイも美しい。ひとつひとつのボールのなかに、ジュエリーが浮いているんです。海の上にうかぶ宇宙みたいな。

ミキモトの芸術的なジュエリーを支える熟練技術を備えたデザイナーやクラフツマンが、その作業工程を惜しみなく披露してくれました。
(8月7日、14日、20日に一般公開のデモンストレーションイベントがあります)

ミキモトのジュエリーデザイナー、松原澄子さん。デザイナーはイメージを絵にするだけではなく、立体まで構想し、具体的な完成品の模型を創り上げていく。歯医者さんが使う成型用のプラスティックまで駆使するそうです。

クラフツマンによるミル打ち技術の披露。ミキモトのクラフツマン、増田泉さんです。正確に間隔を作っていく感覚は、「手が覚える」。一人前になるのにかつては10年かかったそうですが、現在では専用の顕微鏡はじめテクノロジーのおかげで3年でできるようになるとか。それにしても精緻な作業です。

工具はひとつひとつ、それぞれのクラフツマンの手の長さや指の幅に合わせて作られています。

ミキモトでは、お箸をもつのと同じ持ち方で工具をもつよう指導されます。こうすると手が疲れにくいそうです。

デザイン画から完成品までのプロセス。次第にリアルで美しい形に完成していくのがスリリングです。

写真ではわかりづらいのですが、葉っぱのあたりに「ケシ定め」の技術がほどこされた超絶技巧作品。芥子粒ほどの真珠を、金属で一粒一粒、落ちないように留めていくのですよ!ボンドで貼ってあるわけではないんです。

真珠の選別作業。まずは「ピンク系」と「グリーン系」に色分けしていく。デモンストレーションしてくださるのは、ミキモト鳥羽工場の瀧野ゆりさん。

ネックレスの中心部分にやや大きめのサイズの真珠がくるようなイメージで、並べていく。素人目にはどれも同じに見えてしまいますが、ミクロ単位で見ると違うんですね。

「完成」したネックレスは、さらに2度、検品を経て、粒のそろわないものがはじかれていくそうです。

これは40種類の大きさの真珠を組み合わせた傑作。真珠の「襟」ですね。柔らかくしなるのです。すべて手作業で行われていると思うと、気が遠くなるとともに深い感慨にとらわれます。

ミキモトのThe Eyes and Hands は9月2日まで開催中。なんと入場無料ですよ。クラフツマンとジュエリーデザイナーのデモンストレーションは日時が限られているので、ミキモトのホームページでチェックしてからお出かけくださいね。www.mikimoto.com/eyesandhands

クラフツマンたちに会えなくても美しい真珠の世界は堪能できますよ。

香水界のロールスロイス、キリアンの調香師、キリアン・ヘネシーさまが来日しました。この日をどんなに楽しみにしていたことか。2日間にわたり、たっぷりキリアンと至近距離で話すことができました。なんという幸福。

初日は恵比寿のシャトー・ロブションでの会見。コニャックの名門、ヘネシー家の御曹司である彼がいかにして香水ビジネスに関わることになったのかというキャリアの経緯をたっぷり1時間ほどかけて。

ほぼ3年ごとに「転職」しているのですが、「幸運の星が常に僕の上に輝いてきた」と語るとおり(こう語っていやみにならない)、タイミングよく数々のすばらしい出会いに恵まれてキャリアを築いていらしたことに驚き。文字通り、幸運の星の下に生まれてきた方なんですね。

なんどか「ヘネシー家から逃げたかった」「コニャック以外の仕事を探した」という趣旨の話をなさっていたので、最後の質問コーナーで「なぜそんなに家業を避けるのか?」と聞いてみました。行く先々で「ああ、あのヘネシー家の御曹司…」という目で見られるのが負担で、家名ではなく、自分自身の力で何か事業を成功させたかったとのこと。家名を背負う御曹司の苦労、サラブレッドなりの野望というものがあるのですね。

さらに、各製品、パッケージへの思いや工夫が語られ、いちいち納得。バカラへの思い。香水ケーズが捨てられてしまうことをさけるために、徹底して細部にこだわっていること。レフィルは光と空気を避けるための完璧なテクノロジーの賜物であること。

そしてクラッチにもなるケースの誕生物語。奥様がある夜、バッグを忘れ、香水ケースをクラッチバッグとして持っていったことがヒントになっているそうです。

ため息ものの香水は、まさに芸術品。Good Girl Gone Badの「ミルフィユのように」重ねられた複雑な香りは中毒性がある。

日本ではこの秋に発売となるル・ルージュ・パルファム。香りつきのリップスティックは、赤のバリエーションだけで12色! 前列がサテン、後方がマットです。ケースも香水と連動する美しさで、なによりもなめらかな着け心地。前列左から3本目の「デンジャラス」という赤をつけてもらいました。それがこの写真です↓ ネーミングも香水同様、詩的で、キリアンの世界観を形づくっています。 

キリアンのジャケットはサンローラン、襟腰の高いシャツはパリのお仕立てだそうです。シャツボタンを胸下まで開けているのに品が保たれているという驚異の貴公子ぶり。

シャトー・ロブション庭のあじさい。キリアンの世界を受けとめるにふさわしいレストランでした。

Brunello Cucinelli 2019 AW Exhibition.

メンズのテーマはGentleman at Ease.

別格の上質素材と熟練の職人技術が醸し出す優雅な余裕。すべてのバランスが計算されつくしており、ため息ものの美しさでした…。

寛ぎのあるエレガンス。レザーのボマージャケットをニットの上に重ねてこの上品さ。

レディースのテーマはMinimal Allure.

コートの袖口にとりつけられたニットのカフス。この粋な余裕がなんともたまりません。

とりわけドレスに匹敵するほどの精巧なニットの美しさに見とれていたのですが、写真ではなかなか再現できず。

やはりクチネリはイタリアンラグジュアリーの最先端にして最高峰かな。ビジネスのやり方においても、関わる人や地域すべてを幸せにするエシカル&サステナブルの最先端をいっています。

Jun Ashida & Tae Ashida 2019-2020 AW Exhibition.

今シーズンからメンズをスタートしたTae Ashida. 展示会場にはメンズファッションのジャーナリストの方々もいらして、よい雰囲気。

かねてからファッションは男性と女性セットで考えるべきと申し上げており、著書や記事にもできるだけその姿勢を反映させていますが、やはり展示会場に身をおいても、一方のみに偏っていないほうがほっとします。

最初のシーズンということもあり、当初は試行錯誤の連続で、パンツのファスナーをレディスのように横につけたりという「うっかり」もあったそうなのですが、それも後日、笑い話になるでしょう。継続こそ力、ぜひ、メンズコレクションは続けていただきたいと思いました。上の3枚の写真、すべてメンズコレクションからですが、女性とシェアするのも可能ですね。

レディスのほうがもちろん、圧倒的に数も多く、素材やデザインにまつわるエピソードも多かったのですが、今回、とりわけ心に残った話をひとつだけ。

各グローバルブランドがファーを使わない宣言を続々出しています。今シーズンはプラダもファーを使用しない宣言をしました。ファーをめぐっては、天然素材でサステナブル、最後は土に還るという「エシカル」な素材であるという主張もあり、議論は常に平行線をたどっています。

それに対し、ジュン アシダのスタンスは……とくに何も宣言しない。今シーズンはファーに替わるあたたかそうな素材を使ったコートを増やしていますが、ファーはない。でも政治的な配慮でそうするわけではない。

この姿勢は、社長の山東さんのお話によれば、「お客様を思ってのこと」。今、トレンドに乗って「ファーを使わない」宣言を出してしまえば、これまで自社のファー製品を買ってくださったお客様に対して一貫した姿勢を示していることにならず、申し訳が立たない。今シーズンはたまたま結果としてファーが出ていないだけで、また時流が変わればファーを使う可能性もあるかもしれない。そういうスタンスでいることが、これまでファー製品を買ってくださったお客様の信頼を裏切らないことになる、と。

顧客第一主義ともよべるこの姿勢は、創業者の芦田淳さんから受け継がれているものでしょう。自社製品を買ってくださるお客様のことを常に第一に考える。芦田淳さんがパリコレから撤退したのも、メディア受けのよいショー用の服を作るより顧客が求めるリアリティのある服作りに注力すべきと判断したから。

ファーに対する姿勢も、ブランドの礎にある考え方、顧客第一主義と結びつく。ブランドは常にこうした一貫性を示すことができることを求められる。翻って自分の仕事においてはどうなのか、学びの多い展示会でした。

Dolce and Gabbana 2019-2020 AW Exhibition. このブランドは時代に逆行して唯我独尊のラグジュアリーを追求し続ける。そこがたまらなく好きで、リスペクトする理由でもある。

このシルクブロケードにしても、重い。扱いにくい。でも18世紀ヨーロッパの宮廷文化を思わせて血が騒ぐ。

ロゼットつきのシューズもロマンティック。汚れたらどうするとかケアがたいへんそうとか、そんな下世話な視点を寄せつけず、徹底的に「美」の側に立つ姿勢が潔い。

メンズも負けず劣らず、一歩もひかず、ゴージャス。

17世紀~18世紀宮廷服のような素材を駆使したアイテムはほかにも。左端はランジェリーですが、スパンコールで輝くショーツなんてどうやって洗濯するのだ(たぶん一回着たら終了)。人生のあらゆる瞬間を舞台ととらえる人のための、舞台衣装のようなものですかね。

アクセサリー、バッグ類もユーモアと過剰なサービス精神にあふれていて、楽しい。

レザーに細かくパンチングをほどこされたジャケット。16世紀のメンズ宮廷服にこういうのがありました。ストレッチが効くし、むれなくなるし、機能的なのですよね。ただ作るのがとてつもなく難しい。

妥協せず、日和らず、自分の世界を貫くことのすがすがしさと勇気を見せていただいた気分です。たとえ少数派でも、そこにとどまることで輪郭が際立ち、鍛えられる。作品、ないし、モノとしての服の奥に見えるデザイナーの心の姿勢が見える時、ああ来てよかったなと心から思えます。

今回、目を引いたのは、18世紀ロココ的なシルクブロケード素材。

ジョルジオ アルマーニ クルーズコレクション。国立博物館表慶館にて。

メンズ、レディスが溶け合っての上質なコレクション。昨日のインタビューではデザイナーは「売りやすい」ということも強調していた。たしかに、舞台性よりもむしろ間近でみたときの質感が魅力的な、アルマーニらしいコレクション。

「自分が強いということをあからさまに見せない男が、強い男」と昨日のインタビューで語っていたが、セクシーさ、リッチ感においても同様の感覚が伝わってくる。ことさらに美しさやセクシーさを強調したりしないのが「本物」。そういう哲学に支えられた表現なので、奥ゆかしく、逆に想像力をかきたてられ、引き込まれるのだな。

カラフルな色使いも、クルーズならでは。

最後に登場したアルマーニ。合掌し、お辞儀し、長いランウェイを歩いて観客に大サービス。アルマーニがネクタイをつけたスーツを着ているのが驚きだった。アルマーニといえばミニマムな黒か紺のTシャツ(にジャケット)で登場するのが普通だと思っていた。高齢になってスーツを着るようになったのかもしれないが、いや、このネクタイ姿は彼の日本に対する最高の敬意の表現と受け取るべきでしょう。

互いに敬意を表しあい、感謝しあうというのは、なんと人をあたたかな気持ちにさせるのか。なんと豊かな創造を生むのか。異文化間の交流にプラスの循環を生むこうした幸福な効果もファッションの力のひとつだと認識した夜でした。Thank you, Mr. Giorgio Armani.

アイ・コーポレーションの西村京実社長が展開する高品質のラグジュアリーソックス「イデ オム (ide homme)」のお披露目会にお招きいただきました。銀座six のオフィス棟にあるプライベート感たっぷりのラウンジにて。セキュリティーもしっかりしており、広々としてラグジュアリー感抜群の空間でした。所有するのは、海外不動産ビジネスのオープンハウスさんです。

西村社長によるアツい思いが伝わるプレゼンテーションのあと、トークショー。元アップルジャパン社長の前刀禎明(さきとうよしあき)さんと、イギリス室内管弦楽団招聘指揮者の村中大祐(むらなかだいすけ)さんによる話は、それぞれのご専門でなければうかがえないようなユニークで興味深い話でした。土地のエネルギー、現代のリーダーシップ、陰陽、感性を鍛えること、経験をひたすら蓄積するということ……。「陰」というのは隠されているということで、陽と対等であるという話はとくに面白かった。靴下という存在はまさに「陰」。

西村さんのリーダーシップが、「思わず周りの人々が助けてあげたくなるような」タイプのリーダーシップであるということも、これからのリーダーの在り方のひとつを示唆していました。写真右から西村社長、前刀さん、村中さん、司会の方。

桐箱に入り、真田紐で結ばれ、和紙に包まれたカシミアソックスは、1万円。穴が開きにくいようにするための、「靴下の下着」まである。靴下への投資価値を活かすのは、履く人の感性次第!?

なめらかな手触りのパズルに触れていた人々と、ざらついたパズルに触れていた人々では、その後の周囲への思いやりの行動が全く違っていたという実験結果にも驚きと納得。五感で心地よいと感じる時間を過ごしていると、大切に扱われていると感じ、結果、人にやさしくなれるので間接的に平和につながる。

自分に自信をもつことが感性を鍛える第一歩、自分の感覚を正直に発信することにつながるからと語る前刀さんは、実は10年以上前にご講演を聞いたことがあるのですが、当時から全然変わっていない。驚異の還暦ですね。

左からインフルエンサーの山内美恵子さん、スタイリストの森岡弘さん、中野とんで前刀さん、「ジャパニーズダンディ」プロデューサーの河合正人さん、今回のイベントをプロデュースした佐々木みみおさん。靴下から世界が広がる、学びの多いお披露目会でした。お招きありがとうございました。

たかくら新産業が、日本人の髪質や風土を前提に、ヘアケアを開発しました。発表会に伺いました。

海外ブランドのヘアケアは香りも華やかで素晴らしいものも多いのですが、水質が日本とヨーロッパではそもそも異なるので、パリで使ってよかったけれど日本で使うと「?」ということもままありますね。日本で購入できるものは、日本仕様に多少は合わせてあるとは思いますが、あくまで基準は「本国」にあり。

「余」は、日本人の髪質、風土を前提に、本来は必要のない要素を潔くそぎ落とし、天然由来の成分で作られた身体にやさしいヘアケア。

余白1はシャンプー「素髪感」。余白2はシャンプー「潤い感」。そして余韻1はトリートメント「浸透感」。

さっそくミニサンプルを使ってみました。「1」で頭皮まですっきり、「2」で扱いやすい髪になり、「3」で潤いとまとまりが完成する、という印象。「強くて早い効果ではなく、じんわり優しく」を謳っていますが、いや、一回で即効性を感じます。「すっきり」と「うるおい」の両立という難題をみごとクリアしています。香りもオーガニックなエッセンシャルオイルの香りで深呼吸したくなり、とにかくシャンプーをするのが楽しみになります。

ボトルにもストーリーがあります。恒久用ボトル「余の箱」と、詰め替え用の簡易パッケージ。ボトル「余の箱」もまた、装飾性を潔く省いています。あえて指紋などがつきやすいようにデザインされています。使い手が、空白を埋めていけるよう、経年変化を楽しめるように、という願いが込められています。

「シャンプー界の灯台をめざす」と高倉健社長。いつもそこに立ち戻れる絶対的な基準となるシャンプー、という意味だそうです。

5月25日から伊勢丹新宿店ビューティーアポセカリー、omotesando atelier、余[yo] 公式サイトで先行発売。「シャンプー難民」のみなさまは、ぜひ一度試す価値あります。

銀座ミキモトホールにて、ボンボニエールの世界展が開催されています。プレビューに伺いました。

ボンボニエールとは、手のひらサイズのお菓子入れのこと。天皇の即位や皇族の成婚、誕生など、慶事の際に皇室から贈られる引き出物です。

皇位継承で新時代が始まる今だから、こんな展示もとてもタイムリーですね。

小さな「菓子入れ」ではありますが、日本の伝統文化を表現したモチーフが、高度な職人技を駆使して作られています。実に精巧で、ひとつひとつ、完璧なミニチュア世界に吸い込まれるように眺めてしまいます。

ボンボニエールはなぜ始まったのか? 1876年の廃刀令により、これまで刀剣の金属細工をおこなっていた錺職(かざりしょく)という職人が仕事を失う羽目になりました。せっかく磨き上げた匠の技を次世代に伝え、存続させていかねばならない、ということで、彼らの技術を活かし続けるためにボンボニエールが考案されたとのことです。皇室のノーブレス・オブリージュ。

上は、幸吉翁が陛下からいただいたボンボニエールだそうです。

個人的に発見があったのは「諫鼓鶏(かんこどり)」。

閑古鳥かとおもっていたら、本来は諫鼓鶏だったんですね。中国の故事に由来。尭帝(ぎょうてい)が朝廷の門前に諫鼓(太鼓)を置いて、自らの政治に誤りがある時は、人民にその太鼓を打たせて、訴えを聞こうとしたのだそうです。しかし尭帝の政治には誤りがなく、人民が打つこともなかったので、諫鼓は鳥の遊び場になってしまいましたとさ。面白い!知らなかった!

諌鼓に鶏が止まっているのは、善政により世の中がうまく治まっている天下泰平の世である証なんですって。

小さな世界に驚きがつまったボンボニエール展は、4月5日から5月10日まで。こんな貴重なコレクションを見られることは幸運で、入場無料ですし、行かない理由はないですね。銀座にお出かけの際はぜひミキモトホールへ。

アーティスティックな香水ブランド「リキッドイマジネ」の発表会に伺いました。南青山のモルティーニにて。

アーティスティック・ディレクター、フィリップ・ディメオ氏直々のプレゼンテーション。香水を通して想像力を刺激され、シュールでロマンティックな世界に遊んだ一時間でした。

リキッドイマジネの香水はすべて三部作から成り立っています。香水ひとつひとつが物語の魅力的なキャラクターで、3人が一つの物語世界を創り上げる、というイメージです。

彼は本物のアーティストだなと思ったのは、下の香水についてのプレゼンテーションを聞いた時。帰ってきたら自分のアパルトマンが火事になっていて、その燃え殻からヒントを得た……って……。筋金入りの芸術家だわ。

イメージ源も実際の香りも想像を超えるレベルの香りの数々だったのですが、とりわけ私が悩殺されていまったのは、ドム・ローズ。シャンパンとバラがメインテーマの香りですよ。もうくらくらしました。イメージ画像も耽美的。

このたび発表されたのは、新たな三部作、オーデラメ(魂の水)のシリーズの第1作目、ボーテ・デュ・ディアーブル。イメージモデルはケイト・アンダーウッド。

「あなたはその香水を手に入れるためなら、悪魔に魂を売ってもかまわないと思うでしょうか?」それほどの誘惑力をもつ香水、がテーマ。混沌とした不協和音。未知の世界。心がざわざわ。

発表会場になったモルティーニの雰囲気に、リキッドイマジネはぴったりでした。モルティーニはイタリアの高級家具ブランドですが、静かで、一筋縄ではいかないラグジュアリーな雰囲気を醸し出します。

照明もドラマティック。

モルティーニとリキッドイマジネの幻想的なコラボ。秘儀的で、詩的で、官能的で、新たな冒険に誘う香水の、ひとつのマニアックな極みの境地を見るような作品群でした。

I wishes you and your loved ones a lucky, healthy and prosperous New Year!

さて、春節には、イギリスのクラシック・ラグジュアリーブランドであるアスプレイのティーパーティーにお招きいただきました。銀座サンモトヤマにて。

Aspreyは1781年創業のイギリスのラグジュアリーブランド。王室御用達です。メーガン妃が結婚披露宴のときにつけていたアクアマリンの指輪も、もとはダイアナ妃がつけていたものですが、アスプレイ製でしたね。

陶器、バッグ、ジュエリー、香水、布製品、インテリア小物などなんでも作っています。フランスにエルメスがあるように、イギリスにアスプレイがある、と喩えたらわかりやすいでしょうか? 贈り物をもらう瞬間、エルメスのオレンジの箱にときめくように、アスプレイのパープルの箱にときめくという感じ。

上の写真、ウェルカムシャンパンから、アスプレイならではのシャンパングラスに。内側が金で塗られているのですが、ずっと冷たいままで、泡が消えにくいのです。

アスプレイジャパンの社長を15年もつとめる中村之夫さま直々のプレゼンテーションにより、アスプレイの歴史やイギリスの工房の様子などを学びます。

新作のバッグを手に取ってじっくり解説を聴きながら撮影会。

この深いグリーン、落ち着きと品格を備えながらモダンです。
ミレニアム仕上げされたクロコ。あまりのつややかさとセクシーな色に陶然とします。
左はパイソンのポシェット。あえてフェイクっぽく表面を加工しているそうです。中央のローズペタルの167ミニ、かわいいですね。オプションで部品をいろいろつけかえることで、自分オリジナル仕様にすることができます。
こちらは印伝。鹿革にうるしの仕上げ。美しすぎ……

ジュエリーもひとつひとつが芸術品クラスなのですが、たとえば上は「カオス」というシリーズ。石のひとつひとつ、大きさも種類も違うんですが、全体としてブルー系でまとまっている印象になる。イギリスの多文化主義を象徴するシリーズだそうです。

シルバーウエアも茶目っ気たっぷりで楽しい。ロケット型のカクテルシェイカーはすでに有名ですが、上は、ピッグの貯金箱。

こちらは、エッグスタンド。リアルなひよこの脚がついています。こういうのに入ったゆでたまごは、正装した執事にもってきてほしいところですよね。(どこにおるんや……笑)

「カオス」のブルーネックレスの臨時モデルになっておりますよ。ひよこエッグスタンドのアンバサダーのほうが似合っておりますが。

リッツカールトンで使われているのがアスプレイのアメニティですね。高級感とさわやかさとセクシーさ、すべて備えた、深呼吸したくなるような香りです。中央、フレグランスのボトル部分がギザギザになっているのですが、ここでマッチをすると火を起こすことができるのだそうです。ジェームズ・ボンドがそうやって葉巻に火をつけるとキマリそう?

ブルーのクロコバッグとブルーの「カオス」です。中村社長がもつのは珍しいグレーのブリーフバッグ。

中村社長のビジネスの現場のお話から、知らなかったイギリス文化のことも学ぶことができて、たいへん楽しい春節のお茶会でした。ありがとうございました。

銀座ミキモトホールにて、西陣織の老舗、細尾さんによる「美しい日本の布」展が開催されています。

細尾真孝さんが日本全国を巡り集めている美しい織物。一枚一枚に地域のストーリーが織り込まれています。

ミキモトホールは入場無料です。銀座にお出かけのおついでにどうぞ。

ミキモトの店内にも細尾さんの織物が装飾として飾られておりますよ。

☆日経ウーマン・オンラインにて、ファッションジャーナリストの宮田理江さんが、監修した『服を味方にすれば仕事はうまくいく』(ディスカヴァー・トウェンティワン)をご紹介くださいました。こちらです。

的確なレビューで、とても光栄です。ありがとうございました。

東京藝術大学大学院の博士審査会(公開)で副査を務めさせていただきました。審査対象は清水千晶さんによる「衣服と環境の同化」をテーマにした論文と、「アナザートーキョーシナリー(もうひとつの東京の風景)」という作品です。

作品は、地方から東京に出てきた女性が7段階を経て環境と同化して自己を発見していく過程を、7体の服で表現したもの。アパレル業界で服作りの仕事をした経験もある清水さんならではの力作でした。

博士展では、ほかのジャンルの作品も展示されており、一般の人も鑑賞できます。絵画、ガラス造型、陶芸、ロボットなど、レベルの高い作品が多く、予期せぬ眼福でした。20日までです。芸大周辺は時が止まったようにゆったりしていて、心がほっと落ち着きます。かつてこんなふうに、ただただ純粋に、学問を追求できた時代もあったな……。とてもよい時代だったころの駒場の雰囲気やケンブリッジの街並みなどを思い出してちょっと切なくなったりね。

芸大近くの国立西洋美術館ではルーベンス展! 壮大な肉厚濃厚作品の迫力に圧倒されました。(身体に矢やら釘やら刺さって)痛そうな絵が多かったですが。

三陽商会に取材に伺いました。


新築のブルークロスビル。外から見ると、建物が経糸と横糸で織りあげられたブルーの布のようにも見える設計。坂道の途中の建物ということもあり、かなり工夫が凝らされています。



1階の展示スペースには四季折々の旬の製品が展示。

「コートのSANYO」のキャッチフレーズにふさわしく、100年コートはじめ、バラエティ豊かに各種コートが揃います。

 


ニットが恋しい季節ですね…。こんなきれいな色のニットは気持ちも明るく上げてくれそう。

2階は広々としたスペースで、カフェあり、打ち合わせスペースあり、展示会場となるスペースあり、お一人様用作業スペースあり、と多様な使い方ができるデザイン。

観葉植物やファッション関係の洋書も随所に置かれています。

仕切りがなくても意外と周囲の目が気にならないのですよね。

展示会はすでに終了しておりましたが、展示会の名残りも楽しませていただきました。上は三陽山長の靴。

個性的で上質な素材を使ったエポカ・ウオモ。

ほか20以上のブランドをもっている三陽商会。撥水機能がある白い服地で作ったシャツやセーター、ジャケットなども自社工場で作っているとのこと、実際にコーヒーをこぼして実験してみましたが、きれいにはじいてシミ一つ残らないのです。これいいな! 来春はレースバージョンも出るらしく、今から楽しみ。

アパレル苦戦と言われておりますが、老舗の大会社の貫禄は随所に感じました。現在の試み、今後の計画なども伺いました。内容は別の機会に。


この日のランチはこんな場所で。高くそびえるためには土台もしっかりしていなくてはね。などというベタな言葉が出てしまうほどの迫力。

(ここでニュースが入ります)

V&Aが来年4月からマリー・クワント大回顧展をおこなう、というニュースです。ガーディアンの記事、こちら

 

これはもう、呼ばれている気しかしない。

 

喜んで取材しますので掲載メディア大募集ですよ(笑)。東大の卒論でマリー・クワントについて書き、教授陣から大バッシングを受け、しかし資料をマリー本人から直々に送ってもらったという手柄で周囲をけむに巻いてどさくさのうちに認めさせたという私がたぶん最強の書き手だと思うぞ。

フレデリック・マルが日本に再上陸します。フランス大使公邸で発表会がおこなわれました。

フレデリック・マルの叔父は映画監督のルイ・マル。祖父はパルファン・クリスチャン・ディオールの創設者セルジュ・エフトレ=ルイシュ。母もその部門で長らく指揮をとっていたという、サラブレッドですね。

フレデリックはニューヨーク大学で美術史と経済学を修め、卒業後は広告代理店での経験を経てから、プレステージフレグランスのラボとして知られるルール・ベトラン・デュポンに入社。そこで多くの調香師たちと出会い、彼らと親交を深めながら膨大な香りの原料に対する知識や調合、構成などに対する造詣を深めていきます。

多くの香水会社が「ブランドイメージ」「キャンペーンモデル」「パッケージ」「ローンチパーティー」などに奔走するなか、フレデリックは主役である「香り」そのものに焦点を取り戻すことを考えます。

そして2000年、「エディション ドゥ パルファム」(香りの出版社)を掲げた自身のブランド、「フレデリック マル」を創設するのです。

フレデリック自身は、編集者として、調香師たちを「作家」「芸術家」として扱い、彼らに自由に芸術作品を創作させ、彼らのそれぞれの名前を冠した香水を世に出すのです。つまりフレデリックはブランドのCEOにして、作家の能力を引き出す編集者。このあり方じたいが本質的ながら斬新で、持続性もある。結果、本物を求める香水愛好者たちから絶大な支持を得ています。

私自身、フレデリック・マルのことは、10年以上前に伊勢丹メンズに入ってきたときから知っておりましたが(OPENERSでバイヤーと対談しました)、その後日本で見かけることが少なくなり寂しく思っていました。このたび、エスティ・ローダー社がグローバルに事業を展開します。なんと心強いことでしょうか。

発表会ではマル氏のスピーチのあと、作家の平野啓一郎さんとの対談がおこなわれました。平野さんは、マルのコレクションの香水のタイトルの日本語訳を作ったそうです。やはり、「文学者」の訳なのですね。「享楽之華」とか「口づけの薔薇色」とか「スヰートアカシア」とか……。やや気恥ずかしさもありますが……(^^;)

スピーチからも対談からもとても多くを学ばせていただきました。とりわけ印象に残った言葉をメモメモ。(重複した発言などは、私の印象としてまとめてあるので、そのままの言葉ではないことがあります)

・一流の調香師たちに大衆向けの香水を作らせるのは、F1ドライバーにタクシーの運転手をさせるようなもの。

(中野註:タクシーの運転手をおとしめているわけではもちろんありません。ジャンルが違う、という喩えです。)

・現代は10㎝ほどのスクリーン(スマホですね)のなかですべてが完結するようなところがある。でもほんとうの満足はそこにあるのか? 私たちはスマホにできないことがやりたい。インターネットで再現できないこと。それは香りであり、人が愛を交わすことではないか。「人が愛を交わすことがなくなったら私たち香水会社は倒産してしまう」。

・人間が人間であり続けるために香水がある。

・香水はセンシュアルな欲望を育て、インティメートな関係を深めるためのもの。人と人との関係を近づけるためのもの。(スマホは逆に人と人との距離を遠ざけている)

・今後、ロボット向けのフレグランスが出るかもしれないが、ルームフレグランスと人間用香水を差別化しているように、ロボット用香水と人間用香水は分けて考えるべき

・香水の名前の役割とは、方向性を失わないための道しるべ。

・フランスの作文教育では最初に2時間程コンセプトを考えさせる。その後、2時間かけて実際に書いていく。香水もまずはコンセプトを考えるところからスタートする。

・香りを表現するために作られた言葉はない。だから調香師たちとは、料理や化学に使われる言葉を使って、独自のコミュニケーションをとっている。

100人ほどのゲストがいらした中、本物の(!)香水の香りにひたりながらもちろん最前列で聞いていたので、細部もよく見えました。フレデリックはスーツの着こなしもすばらしいのですが、カフリンクスがポップな黄色だったのね。ちらっと、わかる人にしか見えない。そしてポケットチーフもペイズリーっぽいのが5ミリほどしか見えない。こういうの発見すると、うれしくなるわ~。お宝さがしみたい(コドモか……(^^;))

 

みなさまもシグニチャー・フレグランスを探してみてね。私は「ポートレート・オブ・ア・レディ」に脳天をやられました。メンズにおすすめは、「ムスク・ラバジュール」かな。ジョージ・クルーニーもこちらを愛用しているそうですが、まさにそういうイメージ。男女ともに使える香り。

とはいえ、全種類、それぞれにまったく個性が違うので、すべて、お勧めといえばお勧めなのですが。同じ香りでも、人によって違う印象になるので、いろいろ試してみるのも楽しそうですね。意外な自分の一面を発見できるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

Asprey とリッツカールトンホテルがコラボレーションし、アールデコスタイルのカクテルトローリーが作られました。お披露目に伺いました。

Aspreyは、1781年の創業以来、”It can be done(もちろん承ります)”の哲学であらゆるビスポーク製品を作り続けてきました。今回もリッツカールトンの気風に合うカスタム仕様とのことで、世界に3台しかないそうです。こちらはアジアに一台だけのトローリー。

下の段の左にあるのは、シルバーでできた飛行機型のカクテルシェイカー。宝石も埋め込まれており、あまりの美しさにしばし見入ってしまいました。

 

受注生産もしているそうです。トロリー本体は約420万円、デキャンタなど付属品を含めると、約900万円。

2019年春夏のバッグコレクションも展示されておりました。春夏にふさわしいパステルが多かったのですが、やはり間近で見ると、精緻な作り込みにため息が出ます。とボキャ貧になるしかない迫力のバッグ。

価格に糸目をつけず作られた、度はずれて美しいものというのは、強いエネルギーをもっていますね。エネルギーのおすそ分けをいただいた気分です。

リッツカールトンのハーブティー、香りも味も意外にしっかり濃くて好み。これはローズヒップがメインの「ビューティー」と名付けられたハーブティーでした。

 

 

行きたい展覧会シリーズ。11月10日から、Downton Abbey: The Exhibition がパームビーチで開催されます。詳細こちら

ニューヨークでの好評開催を終えて、今度はフロリダへ。

この展覧会、日本にも来ないかな~。誰か招致してくれないかな。ZOZOの前澤社長とか。

 

ダウントン映画版の製作も進行中とのことで、今から公開が楽しみですね。New York Times の記事はこちら。写真では、現代の服を着たキャストが勢ぞろい。コスチュームプレイのキャストを見慣れていると、不思議な感じがしますね。

 

 

ニューヨークのFITのミュージアムではヴァレリー・スティールがディレクションするPink: The History of Punk, Pretty, Powewrful Color 展が行われています。

ピンクという色をめぐる歴史に焦点を当てたファッション展。これもぜひ見たい展示。

podcastではヴァレリー・スティールの話も聞けます。英語で、30分くらいですが、こちらです

ヴァレリー・スティールは、私が大学院生だったころからファッション文化に関する刺激的な本をたくさん書いていた方で、追っかけておりました。今なおFITの名物教授として、ファッションに対してアカデミックに向き合っていらっしゃる方です。この人がいなかったらファッションで論文を書こうとは思いもしなかった。最近のインタビュー、紹介記事はこちら

ファッション・ジャーナリズムではアメリカのワシントンポストのロビン・ギヴァン。ピュリッツアー賞受賞者です。

こういう仕事をきちんとリスペクトして、社会的な貢献の場を与える土壌がアメリカやヨーロッパにはありますね。日本にはない……と嘆く前に努力が圧倒的に足りないのだろうけれど。

 

 

銀座ミキモト本店7階にて、パリで発表された新作ハイジュエリーJeux de Ruban(リボンの戯れ)のコレクションが展示されております。一般に無料公開されている贅沢な展示で、もうこれはぜひ銀座にお出かけになる時にご覧いただくべき。

天井から降りる5万本のリボンの装飾は圧巻です。ミキモトさんの意気込みを感じます。

伊勢でとれる真珠にちなみ伊勢海老? ではなくロブスターだそうです。花も、ロブスターもすべてリボンで作られています。あまりの精巧さに驚き。

こちらはモデルがジュエリーをつけている写真を、昔の肖像画風に加工したデジタルアート。じっと見ていると、モデルが動いたり変化したりするんですよ。

この装置の前に立つと、目の前の肖像画が自分の顔になります。他人の顔を見る分には(笑)楽しい。


ヘッドアクセサリーと左右異なるイヤリング、ブローチのジャズエイジ風競演。機会あればつけてみたいジュエリー。


このリボンのオブジェも今回の展示のためにわざわざ作られたそうです。そこに鎮座するジュエリーもため息ものですが、この大胆なオブジェと繊細なジュエリーのハーモニーには見惚れます。



こちらは名刺しか入らないパーティーバッグ。細部にいたるまでラグジュアリーの極みで、ぜひ間近に見ていただきたい傑作。

10月14日までです。それほど広くはない空間ですが、奥深く豊饒な世界が待っています。その後は大阪会場へ移ります。10月19日から21日まで、ヒルトンプラザのミキモト大阪店にて。

 

 

ケリング本社の新社屋訪問。

アドレスは40 rue de Sevres. ここは1634年から2000年までラエネック病院として使われてきた歴史的建造物です。

フランス歴史文化財のチーフ・アーキテクトであるベンジャミン・モートンが修復プロジェクトを率いて、ルイ13世時代に建てられたチャペルなどはそのままに残しながら、現代の基準に適合したハイテクオフィスが入居できる状態に生まれ変わらせました。

病院だっただけあって、多くの種類のハーブが植えられているのですが、ミックスハーブの香りが建物内部まで漂っているのです。

(屋根の上にいるのは、「風見鶏」!)

コミュニケーションもインスピレーションもごく自然に活性化する豊かな環境。ケリングで働く人すべての名刺にはEmpowering Imaginationと書かれているのですが、それは「イマジネーションのその先へ」という意味。こんな環境であれば過去の遺産や伝統、そして自然から受けるイマジネーションも豊かになろうと思われます。

この日、今年で33回目を迎える「ヨーロッパ文化遺産の日」に合わせて、特別展示会が開催されました。ケリングのピノー会長はアートに対する関心が高く、世界中のアート作品を集めています。


上は、ダミアン・ハーストのJacob’s Ladder (2008)。3000以上の昆虫が標本にされています。同じタイプの昆虫が縦列に並んでいます。左の方へいくほど昆虫は小さくなり、まるで地から天へ続くヤコブの階段のように見える。

上はジェームズ・リー・バイヤーズによる”Byars is elephant” (1997)。

上もダミアン・ハースト。”Infinity” (2001)。 並べられる色とりどりの小さなものは、薬です。現代人の医薬への過度な信仰とは何なのか、たぶん後世の人から見るととんでもなく愚かに見えるんでしょうね。

バレンシアガの過去のコレクション映像がずらりと。

アベラールとエロイーズが実在したことを示す、聖遺物。それぞれの小指の骨と首のどこかの部分の骨。丸い白いケースに入った小さなものが骨なんです。フランスの国宝。

ほかにも多くの美術品や聖遺物などがケリングによって守られ、こうして現代の観客にも公開されているのです。


こうして日常的に新旧のアートにふれることで、インスピレーションは生まれやすくなるし、コミュニケーションも生まれやすくなります。(思わず隣にいる人と目の前の作品について語りたくなってくる)

コンテスのデザイナー、ナディア・ノアック=バーバラ氏が顧客招待会のため来日とのことで、ご挨拶にうかがいました。

 

赤坂クラシックハウスにて。

左から2人めがナディア。楽しくて茶目っ気のある、素敵な方でした。

新作はきらめく星座(constellation)が刺繍されたコレクション。きらきらしていてもミーハーに転ばず、やはり圧倒的な品格のあるバッグです。

会場のディスプレイも、「プリンセス」バッグにふさわしく、ティアラや白手袋など。お客様のなかにはお着物の方などもちらほらいらして(ホースヘアは実は和装にもよく合う)、その空間だけ別の時間が流れているようでありました。

猛暑の中の一瞬の非日常ワープ。

 

イギリスのラグジュアリーブランド(英国王室御用達)Asprey の秋冬新作バッグ発表会。青山の金田中にて。

イギリス本国よりマーケティング・コミュニケーションのトップであるロレーン・クレイグ氏とレザーアクセサリー部門のディレクターであるヒラリー・ルイス氏が来日、素敵なプレゼンテーションがおこなわれました。

ロレーンはアスプレイというブランドの解説。1781年創業で、今年で237年になるイギリス最古のラグジュアリーブランドであること。1847年にニューボンドストリートに旗艦店をオープン、二階には独自の工房があり、クラフツマンシップを大切にしていること。「アスプレイ」のパープルの包装そのものが喜びになっていること(フランスのエルメスのような立ち位置?)。英王室のメンバーにも愛され続け、先日のロイヤルウェディングでメーガン妃がつけていたアクアマリンの指輪がアスプレイのものであること。

映画界でも愛され、レッドカーペットのみならず、「タイタニック」「マッチポイント」「ツーリスト」などの作品内でも使われていること。

などなど、ザ・ブリティッシュスタンダードを世界に示し続けるブランドとしてのアスプレイがわかりやすく親しみやすく伝わる内容でした。

そしてヒラリーは、今期のハンドバッグコレクションについて解説。インスピレーションの源はキューガーデン。エキゾチックな植物ばかりではなく、建物からもヒントを得て、今シーズンのカラーコレクションが展開されています。

クロコダイル、リザードの素材で作られた、鮮やかな発色の高級感あふれるハンドバッグは宝石のようなたたずまいで、ため息ものです。

こちらは私の一目ぼれバッグ。A4が入るこんなおしゃれなバッグがほしいのですが、ほんと、レアなのですよね。

今回もいつものように、「A4が入るバッグ、パーティーバッグ、シューズケース」が一体となったバッグを作ってほしいとプレゼンしたのですが(バッグメーカーの方に会うたびに提案しています)、難しそうねえ……と首をひねられました。そもそもラグジュアリーブランドは、持ち物が少なくてよいノーブルな方々用で、私のような仕事人間はあまり想定されていないのかもしませんね。

どなたか私と一緒にコラボして理想のバッグを作ってくれませんか? いちいち帰宅してバッグまで持ち替えたりすることの難しい日本では需要があるはずなのですが。デザインの構想、御社にプレゼンにまいりますよ~!

その後は、ロレーン(左)、ヒラリー(右)を囲んで、金田中のお料理でランチ。

アスプレイは日本では3店舗しか扱っていないのですね。銀座のサンモトヤマ、大阪のリッツカールトン、そして大阪の高島屋。全世界でもかなり限られた店舗の展開です(ロンドン、ニューヨーク、ビヴァリ―ヒルズ、マイアミ、サンモリッツ、そして日本の3店)。大量生産できるものではないので、一点一点、丁寧に作り、販売しているそう。ハンドバッグも世代を超えて受け継がれていくものなので、3世代で使い続けるということになれば、コストパフォーマンスはよいかも(この手の計算はラグジュアリーブランドがよく使うマジックでもあるのですが。笑)

 

アスプレイジャパンの中村之夫さんは、上の花柄バッグと同じアップリケを施したジャケットでご挨拶。写真でははっきり見えなくて恐縮なのですが、左胸にお花のアップリケがあるのよ。さすがブランドへの愛が大きい!

アスプレイの魅力が伝わるすばらしい発表会でした。お招きいただき、ありがとうございました。

 

☆☆☆☆

 

 

発表会の後はシティホテルのデイユースを使って4時間こもって原稿を書き上げて送り、「心斎橋リフォーム」副社長の内本久美子さんの出版記念パーティーへ。華やかな方々が大勢お祝いにかけつけていらした盛会でした。内本さん、おめでとうございます。

会場で久しぶりにデヴィッド・W・マークス氏にもお会いしました。「AMETORA」日本語版はなんと3刷ですって! 新作の構想も伺いました。中央はイラストレーターの穂積和夫先生。穂積先生も近々、新しい本をご出版されるとのことです。(たまたま3人ともブルーを使ったコーディネートでした。笑) 旺盛な創作活動に刺激を受けます。私も加速して書いていかないと、あっという間に一年も半分。

半・分解展名古屋トークショウは、当初の予定よりもさらに増席して満員御礼?

80名ほどの名古屋のお客様、年代もバリエーション豊かだったと思いますが、みなさまとてもよい方ばかりで楽しそうな表情でご参加くださいました。ご来場いただきありがとうございました! 新世代のブランド価値の作りかた伝えかた、今後のお仕事や人生のヒントになれば嬉しいです。

そのまま会場にしばらく残り、お客様のご様子を観察していましたが、試着したり、写真をとったり、においをかいだり、ひっくり返してさわってみたり、キャプションに読み耽ったりと、とても熱心に勉強していらっしゃいました。

1910年代の服と現在の服の違い、とりわけ動きやすさの違い(100年前の服がはるかにラク)を、長谷川くんがギャラリートークとして解説。動きやすさの理由として、小さな三角形の布が袖の付け根にあしらわれていること、そもそも袖が始まる位置が違うこと、などを挙げながら、丁寧に説明していました。背中の幅も100年前の方が狭いのね。「背広」ではなく「背狭」。それもこれも彼が自分で分解したパーツがあるからこそ、説得力がある。

名古屋展も、盛況のうちに終了、ほんとうにおめでとう! 入場料をあえて高く設定し、マニアック度を深め、わかりやすさよりもむしろ自分の価値観を色濃く出す、それでも来たいというお客様層だけにターゲットを絞った結果、勝ちました。(#半分解展で検索するとお客様の感動ぶりを読むことができます。)もともと変態度の高いこういう展示は、広く浅くを狙わないのがかえってよかった。ブランディングに成功したということです。

こんなことを深く研究しているユニークな若い人は世界になかなかいないと思うので、これはぜひとも英語バージョンも含めた書籍化を望みたいです。服飾史学においても貴重だし、服作りに携わっている多くの関係者にも「実用書」として役に立つ(今回、彼が作ったパタンがどんどん売れています)ばかりか、こんなヘンなことをする日本の若者がいる(←もちろんほめことば)!と世界に発信することじたいに価値があると思う。長谷川彰良氏の情熱と行動力を信じ、彼とともに感動を分かち合ってくださるスポンサー大募集!

☆☆☆☆☆

そして実は……書こうかどうかとてもとても迷ったのですが、とくに隠す必要もない事実ですし、彼が内心どのような思いで名古屋展で休みなくお客様にサービスしていたのか、お伝えしておいた方がよいと思いましたので記します。

実は名古屋展開催の数日前、長谷川くんのお父様がお亡くなりになっているのです。数か月間、危ない状況ではあり、覚悟はできていたと彼は言いますが、その悲しみはいかばかりだったでしょうか。さらに、名古屋展開催を延期するわけにはいかないので、葬儀にも出られません。最終的に背中を押したのはお父様の言葉だったそうです。「オレが死んでもお前はお前の仕事をやりぬけ。葬式なんかに来るんじゃねえぞ」と。私も人の親なので、お父様のそのようなお気持ちもまた痛いほどわかります。息子としての彼の内心の葛藤はいかほどだったでしょうか……。

彼のお兄様の貴之さんも、葬儀などはすべて自分が引き受けるからお前は心配せずに名古屋展を完遂せよとバックアップし、義理のお父様(彰良くんの奥様のお父様)も名古屋展での受付を全日行うという形で支援してくださっていました。ファミリーが、悲しみや大変さを耐えて分かち合って、名古屋展を無事に成功に導いていたのです。

昨日は父の日でした。周囲にあたたかくサポートされながら、自分の使命に邁進し、成長し続ける息子の姿に、天国のお父様も喜んでいらしたはずだと思います。

<追記>

長谷川くんが彼自身のことばでお父さまへの思いを綴っています。こちらです。長谷川兄弟はまっすぐで、人との接し方においてもとても育ちの良さを感じさせるのですが、やはりそのように育てられたご両親がすばらしい方なのですね。

Hackett London Autumn Winter 2018 Exhibition.  ハケットロンドン銀座店にて。

今シーズンは創業者ジェレミー・ハケット氏の色彩感覚が反映されたコレクション。

デイヴィッド・ホックニーを連想させるイエローやオレンジに彩られた秋のロンドンの公園、グリーンやブラウンのグラデーションが美しい雄大な丘と湖の田園風景。紳士服の世界もやはりこんな連想が広がると楽しくなりますね。

田園風景を連想させるとはいえ、あくまでもスローン・スタイルは守る。そこ、大事だからね。笑

 

ハケットロンドンでいつも感動するのはそのディスプレイの洗練された美しさ。

この立体的なVゾーンの迫力はため息ものです。

ディテールにも非常に凝っており、写真ではわからないのですが、写真左、白いシャツの地模様が実は大きなハウンドトゥース(千鳥格子)になってます。これがシャツの印象を平板にしていないのですね。近づくと柄がわかるの。粋です。さらに左のディスプレイに関して言えば、こちらはダブルブレストスーツの上にカバートコートを着用しています。丈が短めでシャープな印象。ザッツ・ブリティッシュ・スタイルという完璧なコーディネートですね。

ハケットロンドン銀座店では、注文服も取り扱っています。最近は、20代の男性客が増えているそうです。身体に合った上質のスーツを作ることが「経費」ではなく「投資」になるということを理解する若い方が増えているというのは、将来が楽しみですね。

表地、裏地、ディテール、じっくりテーラーと話し合いながら決めていくプロセスは、「自分は何がしたいのか? どのように社会と向き合おうとしているのか? どのような環境のなかにいる自分を目指すのか?」ということを具体的に確認する作業にもつながるのです。注文服を作るほどではないという場合でも、「好きな服」よりもむしろ「どのような景色にいる自分を目指したいのか?」という客観的視点を入れて自問しながら選ぶと、将来への投資につながります。

(好きな服を買うなと言っているのではありません、それはそれで楽しめばよいと思います。服を選ぶときに「将来への投資」という視点を入れた選択の仕方もある、という助言です。適当でいい、という考えのままでは5年先もそのままの人生である可能性が高い。今の人生に満足していればもちろんそれでOKでしょう)

 

ブルネロ・クチネリ2018年Fall & Winter 展示会。ブルネロ・クチネリ・ジャパン本社にて。ウィメンズのプレゼンテーションを中心に拝見しました。

 

テーマはFolk Alchemy。インターネット時代の現在は、離れた地域同士、離れた時代、離れた外観などさまざまな要素が混ざり合い、化学反応を起こし、自由で新しいフォークロアも誕生。そうした現代の雰囲気をアイロニックに、でもとてつもなく贅沢に、表現したコレクション。

一点一点が手作業による「アート」。手編みのニットもおそろしく手がこんでいる。上のニットは職人が35時間かけて編んだもので、価格はなんと約100万円だそうよ。

ファブリックとしては70年代を思わせるベルベットが出てきてますが、そのバリエーションも7種類。マッチセットでは、メンズ風の素材が使われていても、ブルネロ・クチネリならではのきらりと光るダイヤモンド刺繍のアクセントが散りばめられていたりして、新時代のフェミニニティを感じさせます。

これは一目ぼれシャツ。透け感ある素材の上に、精巧な刺繍が施されています。

写真ではそのよさが伝わらないのが残念ですが、すべてのアイテムはシルエットが洗練されているのはもちろんのこと、何よりも圧倒的な素材の勝利感を漂わせています。

色に関して面白かったのは「New Monocromatic」という概念。同じ色相の中で、微妙に違う色を組み合わせていくコーディネートが今年風。ちなみに、ブルーグリーン系、エナジェティック・レッド系が今期クチネロの一押し。

 

一方、メンズのテーマはNatural Innovation。中間色の、ぬくもりのある色調の美しさときたら。これらはやはり素材そのものの良さが醸し出す品格ですね。

なんともいえない、イタリア独特のさりげないリッチ感。こういうのを見て打ちのめされてしまうと、「形」よりもむしろ「素材」がいかに重要かがわかります。

この点を意識して、これからお買い物をされる時には、まずは素材を重視されることをお勧めします。ベーシックで素材のよいものを厳選して買い足していくのが賢い「投資」になると思います。安いものをたくさん買ってバリエーションを増やしても表面の安っぽさが上書きされていくばかりですが、上質でベーシックなものを身につけていると、服をとっかえひっかえしなくても、信頼に足る人に見えてくるものです。そのような価値観をもつ人から誘われやすくなれば、結果として公私においてチャンスが増えます。あとは本人がそのチャンスをどう活かすかにかかっているわけですが。(表層が高級でも中身が伴っていなければこの時点でチャンスは消える)

中途半端な安物ばかりたくさん買っても結果として資産を減らす一方でチャンスにも恵まれないということになれば、どっちが人生にとってのよりよい投資になるのか、明らかですよね。同じ予算ならば、安物を5着よりもできるだけ上質なものを1着。その方が人生が明るく回転し始めます。(この考え方を生活の全ての場面に適用していくことで、上質な印象が内面そのものの反映のように見えてきます)

 

 

展示会のおみやげはブルネロ・クチネリの拠点のあるソロメオ村のオリーブオイルでした。オリーブオイル好きとしてはとても嬉しい。ありがとうございました。

 

 

Vulcanize London 2018 AW Exhibition.

2018秋冬のテーマはRoyal Styles。いつもこのテーマなわけですが、最新バージョンにアップデート。ターンブル&アッサーは映画「ウィンストン・チャーチル」のアカデミー賞受賞を記念して、彼の愛用品、ポルカドットのタイやシルクガウンを復刻。

チャーチルのポルカドット!

裏返した図。触ってもうっとりの品質の高さは目で見てもわかる。結び目が決まる。

安定のギーヴズ&ホークス。

 

軍服アーカイブから、通称「ガイコツ」ジャケットも展示されていました。1860年くらいのもの。長谷川君が入手したら分解を始めそうな。笑

スマイソンには、1960年代からヒントを得たチェリー、キャンディピンクやゴールド、コバルトなどの新色が加わる。ゴールドもぎらぎらせず、上品です。

グローブトロッターはなんと、ロイヤル・エア・フォースとコラボした新作!

アーカイブからの展示も博物館のようで萌えます。

あたかもオーダーメイドしたかのような奇抜な色の組み合わせを駆使した新作も。

ウィメンズではなんといってもGoatの存在感が高まっています。キャサリン妃もかねてから愛用していましたが、メーガン妃も公務で着用したことで、さらに注目度が上がってます。デザイナーはジェーン・ルイス。主張しすぎない贅沢、がコンセプト。

スウィーツのディスプレイはロイヤルウェディングがテーマになっています。

ハリー王子とメーガン妃の結婚式で供されたエルダーフラワーとレモンのケーキ。

そしてウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式で供されたケーキ。それぞれのレプリカ。

たっぷり目の保養をしつつ最新ロンドンの空気を浴びたような満足感。スタッフのみなさま、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Akris 2018 FW Collection.

20世紀初めのオーストリア、ウィーンが舞台。機能主義、合理主義、自己表現の自由が生まれ、サロニエールが台頭した時代です。グスタフ・クリムト、エゴン・シーレといった芸術家もこの時代に活躍していますね。

そんな時代の芸術や建築に連想が及ぶ、アート色の強い、美しく知的なコレクションでした。当時を席巻した鮮やかなブルー、グリーンといった力強い色彩、建築様式の要素を取り入れた凝った細部が印象的でした。

左のデニムの生地はメイドインジャパン。右のドレスがの素材はワッフル状の起伏が石畳のようなニュアンスのある模様をあぶりだしており、とても軽く、スーツケースに入れてもしわにならない。ジェットセットを意識した一着ですね。



写真ではわかりづらいのがもどかしいですが、左のセットアップは、カシミヤがベースなのですが、黒い模様はレザーの帯なのです。これを手でカシミヤに編みこむように通して模様のように見せています。オットー・ワーグナーの建築様式を表現。

右はあざやかなピーコックグリーンのシフォンドレスとムートンのコート。この色はマラカイト(孔雀石)の色で、19世紀から20世紀の建築に多く使われた鉱石だそうです。

右のコートは一目ぼれコートでしたが、この柄は、ウィーンで活躍したモダニストの建築家が好んで使った大理石の模様を表現したもの。プリントではなく、わざわざ編んであるそうで、ストレッチも効いてます。

パズルのような楽しい一着は、大きさの異なる大理石からヒントを得た柄で、こちらから見て左側(私の右側)、開いてみると、ていねいに「ひび割れ」の柄まで入っているんですよ!

コレクションにも多用されるブルーが美しい、エルダーフラワーのドリンク。

デザイン、素材の扱い方、テクニック、すべてにおいてたっぷり時間をかけて最高級が追求されながらも、これ見よがしなところがかけらもないさりげなさが素敵でした。こういう洗練こそがアクリスの底力であり魅力なのだとも納得。スタッフのみなさま、ありがとうございました。

 

 

半・分解展もいよいよ来週に迫り、主催の長谷川彰良氏とトークショーの打合せをしました。

じっくり話を聞くとあらためて衝撃だったな。これは世代的な違いなのか(彼は29歳)、あるいはカルチュアの違いなのか、はたまた完全に時代がそちらにシフトしているということなのか。彼が言うには、

 

「某百貨店のメンズ館には視察のためにときどき行きますが、あそこは退屈です。つまらなすぎてまったく何の感動もない」

 

彼のさらなる説明によれば、売られているモノそのものがつまらないのではない。あの環境そのもの、いわばモノを売るためのコミュニケーションじたいが古くさいのだと。

 

ではなにが面白いと思うのかと聞けば、クラウドファンディングで資金を募り、制作現場から販売まですべて見せている某集団とか、noteはじめSNSで積極的に発信しながら販売につなげている女性であるとか、つまり既存のメディアをまったく無視して、「個人メディア」として発信しながらモノづくりをしたりそれを販売したりしている「人」に魅了されるのだと。その服やモノがもっとも素敵に見えるようなコミュニケーション環境を独自にデザインしている、そういう魅力的な活動をしている「人」からであれば、10万円であれ20万円であれ、惜しまず買い物をするのだと。

 

翻って、長谷川彰良は考えるのだ。では、自分が作る服がもっとも魅力的に見える「環境」は何なのか?

それが、ほかならなぬ「半・分解展」であるという。

 

半・分解展で自分が伝える目標や美意識や技術に感動してくれた人は、おそらく自分と同じ価値観の持ち主であり、結果、自分の服も買ってくれるだろうと彼は言う。

 

100年前の技術に涙した自分の思いを、100年後にも伝えていく。これが半・分解展の目標ではあるが、彼はその先のビジョンとして自分のブランドの展開も見ている。(前回の展示ではここまで考えていなかった。)

 

では人に涙を流させるほどの要素は何かと考えるとそれは、強い感動しかない。強い感動を与えるために、今回は、前回以上に、マニアックで先鋭的なアプローチをとるという。キャプションにしても、前回はできるだけ「客観的」にしようと努めたが、今回は「自分の目にこの服がどう映っているのか?」ということを前面に押し出す。モノとしての古着の説明ではなく、「この服と僕の物語」を書く。

 

前回は、お客様の感想を先に聞こうとした。でも、自分の思いをはじめに伝えずに相手の意見を聞こうとすることは「ずるい」ことだし、相手も本音を言ってくれないことに気づいた。だから今回は、まず自分から本音で話し、本音で書く。そのほうが、相手の引き出しも開くのだということがわかった、と彼は言う。

 

自分と同じ気持ちで感動できる人を集めたい。同じ価値観を共有する人たちとつながり、新しい時代を創るためのゆるやかなコミュニティの基盤としたい。半・分解展はそのためのプラットフォームでもある。

 

彼の成長ぶりにも感動するが、どんなに攻めの姿勢で突き進もうと、「中野先生が教えてくださった言葉、Be Prepared(備えよ常に)をいつも忘れないようにしています」という律儀で誠実な態度は一貫して保ち続けている。彼のこの態度は周囲のあらゆる人に向けられており、だから周囲が協力を惜しまないのだな。今回は長谷川彰良の奥様のご両親も含め、ファミリーほぼ総出の応援になる。

 

テーラードスーツにうるさい服マニアのみなさん。イギリスやイタリアの有名テーラーの追っかけもいいけど、果敢にチャレンジを続ける日本の次世代の応援もよろしくね。彼らの発想や行動から学ぶこともたくさんあるんだよ。

Be Prepared は、ただじっと待って備えておくという意味ではない。常に動き続けることによってチャンスを引き寄せよという意味である、ということを彼の行動を見てつくづく思う。

 

今度のトークショーでは、そうした現代のブランド価値の伝え方を中心テーマとして話します。人生のすべてを賭けてこの展覧会に挑む、長谷川彰良の考えをぜひ彼の言葉で聞いてみてください。そして私は、自分が取材してきた事例と、現在関わる諸事業のなかから見てとれるさまざまな事例からピックアップしたブランド価値の「コミュニケーション」について話そうと思います。あとの3分の1は、会場の皆様からインターネット経由で寄せられた、あるいはその場で寄せられた、質問に答える形でディスカッションをします。いったいどんな質問がとんでくるのか。ライブ感を共有できるトークショーになると思います。

お目にかかれますことを楽しみにしています。

 

展示スケジュール

東京-渋谷   5.23 ~ 28   ギャラリー大和田

開場 10:00~21:00   初日のみ 15:00 Open   最終日のみ 17:00 Close

愛知-名古屋   6.12 ~ 17   ギャラリー矢田

開場 10:00~19:00   最終日のみ 17:00 Close

 

トークショー 長谷川彰良×中野香織

<東京会場>

日時 5/26(土)14:00~15:30 (受付け開始 13:30)

会場 東京都渋谷区桜丘町23-21 10F 文化ファッションインキュベーション

聴講料 2,000円

お申し込みは、こちらからお願い申し上げます

<名古屋会場>

日時 6/17(日)13:00~14:30 (受付け開始 12:30)

会場 愛知県名古屋市東区大幸南1丁目1−1−10 カルポート東 4F ギャラリー矢田 第一展示室

聴講料 2,000円

お申し込みは、こちらからお願い申し上げます

 

 

 

 

 

 

 

Miller Harris の新作発表会。CEOのサラ・ロゼラム氏が来日、プレゼンテーションがおこなわれました。南青山のAglaia Intellectual and Comfortにて。

新作は、Scherzo (スケルツォ)とTender(テンダー)。ともにサラが、スコット・フィッツジェラルドの「Tender is the Night 夜はやさし」から着想を得たそうです。

Scherzoの調香師は、フランスのマチュー・ナルダン。グラース生まれ、調香師の家庭で育った生え抜きの「ネ(nez 鼻=調香師)」ですね。


タンジェリン、ダヴァナから始まり、ハートにダークローズやピットスポウム(トベラ)、ナルシス、そしてラストにはバニラやウード・ウッドが残ります。

一方のTenderはベルトラン・ドゥシュフールが調香。ロックなパフューマーであり、環境に配慮したオリジナル作品を生み出すことでも知られます。

ピンクペッパーやグリーンヒヤシンスから始まり、ハートには徐々にインクブラックへと変貌していくブラックチューリップ、そしてラストにはアンバーやサンダルウッド、ミルラ、フランキンセンスが神秘的な印象とともに残ります。

インスタ映えよきように(!)本とともに美しく飾られたミラー ハリスの「Scherzo」と「Tender」。香水はやはり文学と相性がいいと納得したプレゼンテーションでした。

ちなみにパッケージデザインも考慮されており、万華鏡のように色が立ち上っていくイメージと、多様な香りが立ち上っていくイメージが重ねられているとのこと。なるほど、「アーバン」で「ボタニカル」なドラマティックなデザインです。

CEOのサラと記念写真。ファッションテキスタイルを勉強した後、アスピナルというバッグブランドへ就職、その後、香水業界へ転身し、ペンハリガン、ラルチザン・パフューム、モルトン・ブラウンなどを経験。香水愛があふれる、パッショネイトで知的な方でした。

ふたつの新作はともに5月25日全国一斉発売。(三越伊勢丹ではすでに先行発売中)

 


“Dior, The Art of Color “展が表参道のSo-Cal Link Gallery で開催されています。11日のプレオープンにお招きいただきました。

 

ディオール・ビューティーの歴史は、1949年に始まる。この年、ディオール本店で「ルージュ ディオール」が限定品として紹介されたとのこと。

1967年からセルジュ・ルタンスが、1980年からはティエンが、アーティスティックイメージディレクターに就任。

現在はピーター・フィリップスがディレクター。ディオールメゾンの真髄である「カラー」のすばらしさを表現。上のアイシャドウパレットは、今回の展示において数量限定で発売されます。


アートブック、The Art of Color は2016年に刊行されています。今回の展示では、このアートブックで紹介されている、ディオールの歴史を築いてきたアーティストたちの作品と言葉が堪能できます。


こんな「カラーレス」メイクも、ディオールの手にかかるとゴージャスですね。

ビューティーの可能性があらゆる角度から追求されており、脳内に多彩な美のイメージを蓄積するには格好の展示です。本も買えます。巨大ですが、コーヒーテーブルブックとしてひときわ存在感あります。

(Click to amazon)

 

Dior Art of Color

4月12日(木)~21日(土) 11:00~19:00 土曜のみ21:00まで。

会場 表参道SO-CALL LINK Gallery

#diortheartofcolor

 

 

“Pink isn’t just a color, it’s an attitude!” (By Miley Cyrus)

 

 

藤巻百貨店プロデュース、過去最大級の江戸切子展が、いよいよ今日から3日間、開催されます。

銀座東急プラザ キリコラウンジにて。

匠の技のバリエーションを間近に体感できるまたとない機会。切子で日本酒も楽しめますよ。

ラリックを思わせるこの作品も、江戸切子。ウェブ投票でも人気のあった作品のひとつ。色を合わせるのがなかなか大変なのだそうです。価格もびっくりですが、それだけの価値あるものなんですね。ぜひ会場でご覧ください。

切子をイメージして作られたキリコラウンジも一見の価値あり。

 

藤巻百貨店プロデュース、日本最大級の江戸切子の祭典、江戸切子桜祭り2018年。4月6日~8日に東急プラザ銀座キリコラウンジで開催される新作展に先立ち、みなさまもウェブ投票を通してお祭りに関わっていただけるようになりました。

こちらからどうぞご参加ください。みごとなカットグラスの数々。写真だけではなかなかその迫力が伝わりにくいのですが。

私も特別審査員として1,2,3位の3点を選ばせていただきました。

 

当日は江戸切子で日本酒も飲めるそうです。なんと贅沢な? 会場でお会いしたら乾杯しましょう。

 

 

 

 

 

MIKIMOTO展示会。ホテルオークラにて。

今回の主役は「矢車」。ミキモト真珠発明125周年を記念して発売されます。オリジナルの「矢車」は1937年のパリ万博に出品された帯留めです。細工の美しさ、アールデコのデザイン、多機能(パーツを組み立て直すことで12通りに使える)という発想の新しさで宝飾史に燦然と輝く傑作なのです。オリジナル矢車は、(当時のパリで販売されたあと、長い間「幻の宝飾品」となっていましたが、1989年に海外のオークションに出されていたものをミキモトが買い取り、)現在、鳥羽の真珠博物館にあります。

大粒のアコヤ真珠を中心にダイヤモンドやサファイアが放射状に広がるデザインから「矢車」と命名されました。

今回はそれを21世紀のミキモトスタイルで復活させました。ハイジュエリーからデイリージュエリーまで。


手前左の帯留めがオリジナルの形に近い。中央のアールデコデザインのモチーフのバリエーションが、さまざまなアイテムになって復活しています。ベルトは中央にモチーフをもってくると、仮面ライダーベルトのようになる、と真面目な顔でおっしゃったのは広報のKさん。いったんそういう視点が入ってしまうと、そのように見えてしまうのがおそろしいですな。価格はといえば……郊外にちょっとした家が買えそうなほどの「0」が並んでいます。

ブローチをつけるような位置にモチーフがくるのも現代風。

ほかにはピンクのコンクパールも美しいバリエーションが揃っており、ミレニアルピンクの流行に加速をつけそうな勢い。

40㎝ネックレスと60㎝ネックレスの印象の違いのお話や、「家が買えそうなジュエリー」をばんばん購入なさっていく顧客層の国の変化の話などを聞き、時代の流れがもろに映し出されるビジネスであることも実感。詳しくはまた機会があったら紙媒体などで。

オークラ別館のフロントロビーには桃の花。

 

今朝(というか世間的には真夜中ですが)も冴え冴えとした満月を堪能しています。あと一か月もすれば桜の季節ですね。トランジションが満月のように円満にいきますように。


 

Van Cleef & Arpels バレエプレシューのコレクションにちなんだ、バレリーナによる朗読とマイムを交えたサロン形式の発表会。銀座ヴァンクリーフ本店にて。
(上はシルフィード バレリーナクリップ)


バレエプレシュー(Ballet Precieux)は、ヴァンクリーフ&アーペルを象徴するハイジュエリーのコレクションのひとつ。初めてバレリーナクリップが制作されたのは1940年代だそうですが、1967年に振付師ジョージ・バランシンとクロード・アーペルが出会ったことで「ジュエルズ」が誕生。

(コール・ド・バレエ ネックレス。中央のブルーサファイアの中にバレリーナが)

2007年には「ジュエルズ」の40周年を祝し、バレエプレシュー ハイジュエリーコレクションを発表。さらに、2013年には「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などのロシアバレエを讃える傑作が加わります。


(これは金平糖の精のクリップ)

バレエの芸術性とヴァンクリーフの創造性&超絶技巧が加わった、比類ないコレクションなのです。至近距離から眺めると、360度、どころか内側まで、一切、隙のない、ため息もののアートピースであることがわかります。

今回の発表会では、新国立劇場バレエ団を代表するお二人のバレリーナが、「いばら姫」(眠れる森の美女ですね)の一部を朗読し、そのシーンをマイムで表現するという贅沢なプレゼンテーションを楽しませていただきました。

左がプリンシパルの米沢唯さん。右がソリストの木村優里さん。


お二人とも凛として立ち姿が清らかに美しく、うっとりするほどの表現力でした。短い時間とはいえ、一流バレリーナのパフォーマンスを間近で拝見できて、心の栄養をいただいた気分です。バレリーナはとりわけ首の緊張感が美しいのだわ、とあらためて実感。長い長い首、のように見せる肩から背中のラインが隠れたポイントなんですね。

バレリーナクリップそのままのポーズもとっていただきました。指先から視線にいたるまで、完璧です。

お二人それぞれがバレリーナクリップの魅力を語ってくださいましたが、その言葉にも納得。踊る人だからこそわかる点に気づかせていただきました。

お土産にいただいたのは、美しいフラワーボックスでした。開けるとふわっとよい香りがしました。ヴァンクリーフ&アーペルのスタッフのみなさま、素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました。

銀座はクリスマスの装飾で華やか。山野楽器のビル前のクリスマスツリー。


パレスチナ大使ワリード・シアム夫人、マーリ・シアムさんにお招きいただき、ジュエリーデザイナー中野哲哉氏のジュエリーを鑑賞しながらのパレスティナ式ティーパーティー。パレスチナ大使公邸にて。


中野哲哉さんは、大阪府知事賞を2度受賞している気鋭のジュエリーデザイナー。天然素材を活かす高度で繊細な技法により、大胆なデザインの一点もののジュエリーを作っていらっしゃいます。鏡に映っているのが中野さん。

こちらの赤いジュエリーは、珊瑚。

タマムシがジュエリーとして使われていることは、今回、初めて知りました。

え?虫??とぎょっとしたのですが、たしかに光り輝く美しい光沢。赤い線が入っているのは、日本のタマムシだそうです。

中東にインスピレーションを得た、ペルシア絨毯型のネックレス。とりはずしてブローチとしても使えます。

ほかにも指輪やブレスレットなど、たくさんのジュエリーが紹介されていましたが、すべて、裏側にもおまじないになる多様なモチーフが作り込まれているんですよね。中野さんによれば、「魔」は「間」から入り込む。だから、徹底的に「間」をなくすことで、それが「魔除け」となるんだそうです。チャクラのある場所にジュエリーを重ねることで、強力な魔除けになるというわけですね。

大使公邸はさすがにすばらしくセンスのいいインテリア。

マーリが用意してくださったたくさんのパレスティナ式軽食やスイーツを、カルダモン入りコーヒーやセージ入りの紅茶とともにいただきました。どれもスパイシーで、新鮮なおいしさです。


パレスチナのファッション史の本も見せていただきました。


このヘッドドレスの横に垂れているのは、本物のコイン。


アラブ夫人の会でご縁を得たみなさまと再会。中央は、駐日カタール大使夫人のジャミーラ。ジャミーラとは、イタリア大使館のドルチェ&ガッバ―ナのショウでもお会いしました。

お心のこもったおもてなしをありがとうございました。 何よりも、マーリとの再会が嬉しかった! (ジュンアシダ広報誌JAに寄稿した私のエッセイの英語版を読んで、ご連絡をくださったのが、そもそものご縁の始まりでした。発信はチャンスの始まりですね。)

中東には難しい問題が山積していますが、だからこそ、積極的にファッションや文化を通して「人」レベルで平和な友好関係を築いていこうという努力をなさっていることを感じます。美しいものを愛する「人」対「人」として、政治や国境の壁を超えて絆を作る努力を続けることができる、せめてその程度の「平和」は守られる世界であってほしいと強く願います。(双子座満月の夜に)

 

Hackett London 2018 SS 展示会。銀座Hackett Londonにて。

6月のロンドンのテムズ川クルーズで「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」コレクションを拝見というか「体験」させていただいていたのですが、やはり東京・銀座の店内にディスプレイされている商品を見るとまた別の印象が生まれるものですね。やはりどのような「世界」(場所・時間・人)でそれが着られるのかということで、服の見え方も変わります。


銀座で見る「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」コレクションは、スポーティーとはいえ、やはり都会仕様なのでした(当然なのですが)。

この華やかなポケットチーフは「ハケット式」の4ピークス。ストールを「半襟」のように合わせることで何とも美しいグラデーションが生まれていますね。

リネンツイードの艶やかさは、やはり間近で見ていただきたい!ホワイトトラウザーズとの組み合わせで、知的でスポーティー&上品な印象を与えます(もちろん最終的には着る人によることは言うまでもありませんが)。

ビスポークもおこなっています。手前のお茶目な生地見本は「裏地」なのです。一枚一枚、全部写真を撮りたくなったくらい楽しい裏地が満載です。

こちらは来年から発売になるという、ハケット×綿谷画伯×鳩居堂のトリプルコラボレーションです。綿谷画伯がロンドンの風景を描いた扇子とチーフが収納されている鳩居堂の箱には、ハケット氏が直々に選んだというよい香りもついてます。扇子のサイズも、スーツの内ポケットに入るように小さめに作られています。

銀座店の1階。ゆったりと美しいディスプレイで眼福でした。そしてスタッフの皆様もイギリス紳士式にレッドソックス! ↓  黒・白・紺・灰・赤。これがイギリス式の「基本色」なんですね。


路面店での展示会は初めてでしたが(これまではBLBGプレスルーム内)、よりラグジュアリーなハケットロンドンの世界を堪能できたように思います。スタッフの皆様、ありがとうございました。

本日より、六本木ヒルズ展望台東京シティビューで「ブルガリ セルペンティフォーム アートジュエリーデザイン」という展覧会がおこなわれます。

セルペンティにちなみ、へびにまつわるエッセイをHills Lifeに寄稿しました。こちらです。

展覧会のお供に、お読みいただければ幸いです。

服飾美学会研究会で、西宮市の武庫川女子大学を訪れました。


研究発表を拝聴してから、ミュージアムへ。「近現代のきものと暮らし」展が開催されています。

明治初期から昭和戦後期にかけてのきものや写真が丁寧な解説とともに展示されています。(触れることはできませんが、写真撮影は可能です)

合成染料などの技術革新を反映する着物、伝統回帰の表現、礼装、そして大戦下の総動員服、人絹、 国際結婚のための婚礼衣装、さらに着物ドレスにいたるまで、人々が日常の生活のなかで着用していた着物が時代を語ります。


アイフォン8の写真ではわかりづらいかもしれないのですが、右が合成染料で染められた着物。左が天然の藍の色です。1884年に直接染料が合成され、1956年には反応染料が合成されて、より鮮やかに色持ちよく染まるようになったとのことです。


西洋への憧れを表現する着物。洋服を着ることよりもむしろ、西洋風の柄の着物を着ることに憧れの方向が進んだというのが「らしい」ですね。左の赤と黄色の着物はペイズリーの形に似た洋花模様。中央は、唐草の地模様に西洋風の花柄。

 

こちらは伝統回帰を表現する着物。単なる伝統の模倣ではなく、アールヌーヴォーやアールデコの様式、新しい染色技術を取り入れた柄で、「西洋文化を媒介しての自己発見」という文脈でとらえられる、とのこと。


礼装が確立していくのは明治中期。

戦時下は国民服とともに総動員服を着せられることになる。上は防空頭巾。

こちらは「もんぺ」。ずぼんや二部式の着衣が受容され、戦後に洋装への移行を受け入れやすくしたというのは皮肉ですね。


こちらは上衣。人絹(人造絹糸)が国策繊維となり「ス・フ混規則」が出されて生活必需品の地位を占めていく。

人絹による帯。やはり締まりもよくなく、張りもいまひとつで、すぐへたりやすいそうです。

婚礼衣装も時代に応じて変化していく。こちらは、韓国の方との「国際結婚」の際に着用された折衷打掛。間近で見るとゴージャスです。

ほかにも、簡単に着用できる「着物ドレス」の提案や、学生さんのデザインによる浴衣などもあり、多くの学びを得られた研究会でした。より詳しく知りたい方、実物を通してご自分の目で見て考えたい方、ぜひ訪れてみられてはいかがでしょうか。無料で配布されている図録もとてもきちんと作られています。

武庫川女子大学のスタッフのみなさま、服飾美学会のみなさま、そして展示品に関する丁寧な研究発表で理解を深めてくださった樋口温子さま、ありがとうございました。武庫川女子大学は本当に敷地が広く、ゆったりと恵まれた施設のなか、このような資料を収集・展示する力もあり、感銘を受けました。

来年1月におこなわれる第93回Pitti Imagine Uomo の説明会がおこなわれました。広報のラポ・チャンキ氏が来日し、美しい動画も駆使しながらの、期待感を盛り上げるプレゼンテーション。渋谷のTrunk (Hotel)にて。

テーマに「シネマ」が登場し、ゲストデザイナーとしてUndercoverの高橋盾とThe Soloist.の宮下貴裕が合同ショーを開催する。200周年を迎えるBrooks Brothers がフィレンツエの街を使ってスペシャルイベントを行う。などなど、期待のイベントが満載です。

その後、ラポさんに個別のインタビューをさせていただきました。このインタビューに関しては、後日、別媒体で記事を掲載します。しばし、お待ちくださいませ。

 

それにしてもTrunk (Hotel)。伺うのは2度目でしたが、ようやくこの空間の独特の圧にも慣れました。こうくるか!とうなる、いまどきのおしゃれなホテルです。お料理もセンスよく、おいしいし、お皿やカトラリー、ナプキンにいたるまで、これみよがしではない高級感を漂わせています。一度宿泊してみたいものです……と思って調べたらとてもお高くてこれまた驚き。

中のTrunk (Bar)はノマドワーカーと思しき人でほぼ満席の、多国籍空間。

イタリア大使館にて、ドルチェ&ガッバ―ナの「アルタ モーダ、アルタ サルトリアとアルタ ジョイエッレリア」という豪華絢爛なコレクションが発表されました。


今年の桜の季節に、20余年ぶりに来日を果たしたドメニコとステファノ。日本の文化や人々に感銘を受けたデザイナーが再来日したのです。好きになったら本当にすぐ来てしまうというところ、情熱的なイタリア人らしいですね。


今回は、美しい庭園をもつイタリア大使館全体がデザイナー自身のアトリエに見立てられ、デッサン画や仕立て途中のドレスが飾られた館内をモデルが練り歩くという前代未聞のスタイルでおこなわれました。

クラシックなイタリアのテーラリング技術を活かしたスーツや、美しいビジューやファーをあしらった芸術品のようなドレスが、100作品以上、紹介されました。日本の着物をデザイナー独自の解釈でとりいれたルックも登場。ひとつひとつが、贅沢このうえない生地で作られ、手縫いで作られています。ヘッドピース、アクセサリー、バッグ、靴、メイク、それぞれの細部にいたるまで、彼らの美意識に貫かれています。写真ではなかなかその迫力が伝わらないのですが、あまりの美しさに感動のあまり気絶しそうになります。美しさの表現に遠慮なし。制限なし。フルスイング。それがこのブランドのたまらない魅力です。



テーラードスタイルも圧巻。生地のなめらかな美しさ、シャープなライン、艶やかな色使いにため息が出ます。


こんなやりすぎなくらいのファー使いができるのも、ドル&ガバならでは。痛快です。



喝采を浴びながら登場するドメニコとステファノ。


ショウのあとは、大使館庭園に、この日のために特設された薔薇のテントでランチ。テントには天井画風の装飾も描かれ、金屏風が立ち、いたるところに薔薇、バラ、ばら。文字通り、ラ・ヴィ・アン・ローズな空間でした。

日本文化に対する敬意も表現されていました。厚かましくも箏の前で記念撮影させていただきました。

着ているのはドルチェ&ガッバ―ナのドレスですが、いつもながら、俗にいう「着心地」はほんとによくないのです。「デザイナーが理想とする女性美を表現した、この形の中に入りなさい」という厳しい服なのです。着るコルセットというか。背筋がいやおうなくのび、肩甲骨が後ろに引っ張られて胸郭が開き、必然的に自信あふれる姿勢になり、ゆったり堂々としたイタリアンマダムのような歩き方になる。これが、身体の苦しさをはるかに超える心の快感をもたらします。ほかの「楽な」服では絶対に得られない、心身の覚醒をもたらすほどの、「本物の着心地」の意味が、服を通して実感できるわけですね。西洋の女性が長らくコルセットを手放そうとしなかった理由のひとつも、そのあたりにあると思う。


ゲストは200人をゆうに超えていたように見えましたが、一人一人に、自宅から大使館までの送迎ハイヤーが用意されました。ハイヤーの運転手さんいわく、「うちの会社の全車がこの日のために出ています。それでも足りなくて、他の会社からも出ていますね。日曜日にこんなことがあるのは、前代未聞です」。前代未聞の心のこもったおもてなしで、ますますファンとの絆を強固にしたであろうドルチェ&ガッバ―ナ。また近々の来日を楽しみにしています!

秋の恒例、日本橋三越英国展。今年はパート1とパート2で入れ替えがあり、パート2のほうに行ってみましたが、大混雑。とりわけフードのセクションは移動すら困難。人込みがとにかく苦手なので、パブでハーフパイントだけビールをいただいて帰ってきました。イギリスはすっかり「おいしい」ものの宝庫として人が殺到する国になっているのですね。

鎌倉アンティークスさんも出展。小さいブースながら、オーナーの土橋正臣さん独特のアンティークの世界観で埋め尽くされていて、壮観。

         (Photo shared from the Facebook page of Kamakura Antiques)

今回はヴィクトリアンを中心にそろえられています。前方でフィーチャーされているのは、クレステッド・チャイナ(Crested china)、すなわち 紋章付きの陶器です。

土橋さんの解説によれば、クレステッド・チャイナとは各地の紋章が入った小さな陶器で、ヴィクトリアンの後期から1930年頃までにたくさんの数が作られたとのこと。ヴィクトリア時代に、鉄道網が発達して一般の人々も休日に旅行を楽しむことができるようになり、ご当地のお土産としてクレステッドチャイナが大流行したそうです。??

そのほかにも絵画はもちろん、暖炉やカップボード、凝り過ぎだろう!というほど装飾されたカトラリー、ティーポットなどのシルバーウエア、燭台、アクセサリーにいたるまで、ヴィクトリア時代の家具や小物がぎっしりで、歴史好きにはたまらない小宇宙でした。

それにしても、暖炉はじめ、カップボードなどの大物が続々と「売約済み」に……。こんな素敵なアンティークで飾られるインテリアで暮らせる方は、幸せですね。

左が鎌倉アンティークスの土橋さん。イギリスのアンティークのみならず、年中行事、建築、インテリア、絵画、楽器などに関しても、プロフェッショナルで豊富な知識をお持ちです。手前に並ぶのがクレステッド・チャイナ。イギリスを象徴する、わかりやすいものから売れていくそうです。

 イギリスついでに、妄想旅行のためのおすすめ雑誌、2誌。

 美しい写真、はじめて聞く固有名詞や最新情報が満載。うっとりものの保存版。新しいホテル情報も網羅されています。

 

こちらも本気の取材で作られています。行ってみたい穴場スポットにわくわくします。

紀尾井町のザ・プリンス・ギャラリーが開業一周年を迎えました。その前夜にあたる26日(水)、「ラグジュアリーコレクション」の名にふさわしい、一周年記念商品の発表会がおこなわれました。

Your Only Home Bar.  特別なウィスキーを、特別な場所で、特別なアイテムとともに。日本では、プリンス・ギャラリーのバー「イルミード」と、芝公園のプリンス・パークタワーのバー「もくれん」、この2つのバーで、それぞれ1セットのみ販売されます。

 

世界で100本限定のウイスキー“THE GLENLIVETウィンチェスターコレクション ヴィンテージ 1966”。1966年からザ・グレンリベット蒸留所の中で宝石のように守られ、ザ・グレンリベット史上最も長い、50年という熟成期間を経た最上級のウイスキーだそうです。日本に入ってきたのが3本のみ。(そのうちの1本はすでにほかのホテルのバーで売れてしまいました。)

これを、世界でたった一つのオリジナルチェアでいただく。椅子は世界的に活躍するデザイナー 小市泰弘氏によるデザイン。後ろの脚がクリスタルガラスでできており、電気をつけると光るのです。バーでは意外に後ろ姿が目立ち、それが神々しく見えるようにというデザイン。背が高いほうが「もくれん」用。アームレストの前の部分も光りますが、ここはぎざぎざになっていて、触れるとなかなかよい感触です。そこまで考え抜かれています。もちろん本革装。

そして手作りガラス工房の田島硝子による江戸切子のオリジナルペアグラス。

左側の黒いアクセントがあるものは、プリンスギャラリー。手前および右のグリーンのアクセントがあるグラスは、緑豊かな芝公園のパークタワー。

特別にカッティングされたグラスに注がれた最上級のウイスキーを手に、オリジナルのチェアで寛ぎながら、自分だけのホームバーとして楽しむことができる……というわけです。

1セット700万円で販売されます。どなたのもとに嫁ぐことになるのでしょうか……。(*椅子に座っているヒトはついてきません)

本日付けの日本経済新聞 The Styleにおいて、ダイアナ妃ファッション展のことを書いております。

写真が大きく、ゆったりした構成で作られたきれいな紙面です。どうぞご笑覧くださいませ。

*日本のメディアではしばしば「ダイアナ元妃」と表記しますが、英語ではPrincess Diana のままで、「Ex」などつかないのです。だから、私はできるだけ「ダイアナ妃」として表記しています。

 

 

ピッティ最後の日のショウは、OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH 。ピッティ宮殿にて。

ショウ開始が22:00とあり、どれだけ苛酷なのかと心の中で恨む…。疲労も積み重なってかなり消耗してはいたが、なんとか気力だけで起きている。

先に軽く夕食をということで、コーディネーターTerashimasa さんのパートナーの勤務するホテルのテラスレストランに再び。

夕刻は昼間と違う雰囲気で、なんとも幻想的な夕暮れを楽しみました。



すみません、こんな場所でしかできないドルチェヴィータごっこでした…。

 

22:00にピッティ宮殿へ向かうも、始まる気配はナシ。このショーのために屋外に巨大な、特別な階段状のベンチが作られている。フロントロウではあったのだが、席がなかったと怒るカップルが目の前に陣取り、フロントロウの意味がまったくなくなる。プレスの人が注意しても「招待状があるのに席がないのはおかしいだろう」と逆ギレ、移動する気配はない。こういうのはあきらめるにかぎる。客席全体からイライラした空気が漂う。


22:30あたりからようやく始まり、ピッティ宮殿に大きな文字で「ポエトリー」が流れていく。世界のあり方や戦争に抗議しているのだろうか。これがとにかくうんざりするほど延々と続く。なかなかモデルは登場しない。

いいかげん眠気をがまんするのも限界に来たところでショウが始まるものの、会場が広すぎて、モデルが「遠い」。よく見えないまま、あっけなくすべて終わる。

終了直後、正直すぎるジャーナリストのOくんが「くだらん!」と叫ぶ。たしかに、壮大な舞台設定、強いメッセージで斬新な演出を意識したものなのかもしれないが、観客のことをあまり考えていない印象だった。22:30開始という時間といい、「暗くて遠くてよく見えない」ショウといい。実際にどのような作品が発表されたのかを知るためには、撮られた写真だけをあとから見るほうがよほどよさそう。(デザイナーはストリートファッションに対するしっかりした知見の持ち主として高評価の方なのです。ただ、今回の見せ方が、狙いすぎだった。)

とはいえ、夜のフィレンツェの裏通りなんかも、こんなことがないとなかなか歩かないので、見ることができてよかった。映画で見たような光景。

真夜中の橋の上や下でも酒盛りをしている人々がいる。酔って川に落ちる人もいるらしいが、とくに対策などは講じられていないそうです。

 

翌朝。ようやく帰国。とはいえパリのシャルル・ド・ゴールでトランジット、待ち時間8時間と聞いてほとんど気絶しそうになるが、ラウンジでシャンパン飲んだり写真の整理したりしているうちに意外とあっという間に過ぎる。

10日間の休みなしの取材の旅でしたが、なんだか3か月ほど過ごしたような。脳内の一部分が書き換えられた感じというか、別次元にシフトした感じがする。

 

詳しい内容は追々、活字になっていきます。自分のための備忘録のような旅レポにおつきあいくださいまして、ありがとうございました。

 

個々の取材はきりがなく、つかみどころのないピッティ。膨大なピッティの全体を俯瞰する視点がどうしてもほしい。そんなときはトップへの直接インタビューにかぎる。と思ったので、だめ元でピッティCEOにインタビューを申し込んだらご快諾くださったばかりか、イタリアファッション業界の、半世紀以上にわたる歴史をわかりやすく解説し、ピッティとのつながりを解き明かしてくださいました。


ピッティCEOのラファエロ・ナポレオーネ氏。ロマンと現実を織り交ぜながら一瞬たりとも飽きさせない明朗な話しぶりに、すべての霧が晴れました。

イタリアファッションの歴史の本までおみやげにくださったナポレオーネ氏に、心より感謝します。お話はそのまま講演にしたいほど面白かったのです。詳しくは活字で。

イタリア語の通訳をコーディネーターのTerashimaさんにお願いしました。CEOは英語でもお答えくださるのですが、イタリア語になるとお話される量がとたんに3倍くらいになるのですね。となればイタリア語で聞く方がいい。

 

インタビュー終了後、ナポレオーネ氏が、ぜひ見に行くべき、と勧めてくださったピッティ宮殿でのモーダ展に急ぎました。なんとかピッティ宮殿の入場は間に合ったのですが、宮殿がまた大きくて、会場となる部屋までたどりつくのにさらに10分以上かかり、入り口にたどりついたとたんに「すみませんが、本日終了です」と扉を閉められてしまいました…。

ここで「5分だけなら」と開けてくれるのが日本ですが、ぴったり時間通りにクローズするのがヨーロッパ。終わりの時間がきたら1分たりとも開けていない。

というわけで泣く泣く見逃したモーダ展でした。



20時でも余裕で明るいフィレンツェ、サンタマリアノベッラ教会前の広場。

35度超のなか、バスでレオポルダ駅に移動し、ヨシオ・クボのショウ。会場に入ると冷たいドリンクを振る舞ってくださいました。席には扇子。こんな気配りがあることでほっと落ち着いてショウに臨める。この細やかさ、やはり日本のブランドならではのものでしょうか。ついでに連想したのですが、レストランでおしぼりが出てくるのは日本の常識ですが、ロンドンでもフィレンツェでもついぞ出てこない。むしろおしぼりなどないのが世界の常識。とはいえそのままパンをちぎったりするのはかなり抵抗があります……。コーディネーターの方はそんな日本人の葛藤を知り尽くし、常にウェットティッシュを持ち歩いていらっしゃいました。

さて、クボ・ヨシオのショウです。

 

アフガンの戦士?!と第一印象で感じたのだが、あとからデザイナーにインタビューしたところ、まったくそれは私の誤解であり、日本の伝統工芸の絞り染めの、新しい表現方法を提案したとのこと。なるほど、そのような視点で見ればまた見え方も違い、納得。




絞り染めで覆う、縛る、結ぶ、巻く……。新鮮な男性像を見せていただいた、力強いコレクションでした。

デザイナーのヨシオさん。世界の舞台での発表を今後も続けてください!


会場にはこんな万華鏡のような装置がおいてあり、中に入って楽しめました。

 

再びバスに乗りピッティ会場へ戻り、プレスルームで休憩。日頃なかなかお会いできない日本のメディアの方と遭遇することもある。


Men’s EXチームのみなさん。中野の右は大野編集長、左は副編集長の平澤さん。平澤さんはここ数年、イタリア語を学び続けて、かなりレベルアップしたという努力家でもいらっしゃいます。さすがのMen’s EX、35度超えでもタイドアップスーツなのです。


Leonの表紙でおなじみ、長いモデル歴でギネスにも載るジローラモさん。

そしてピッティはまだまだ続く……。今回、Pitti プレスのMorishige Makikoさんにひとかたならぬお世話になりました。

 

 

平和なファッション見本市が行われているとはいえ、バッソ要塞の入り口には写真のような特殊警察が武器をもって見守っているし、フィレンツェの駅周辺にはやはり武装した兵士が巡回しています。目にするといやおうなく緊張が走ります。


むしろこのような方々に守られているのだと心の中で感謝しつつ、3日目(6月15日)。午前中から外気温は35度に上らんとしている会場周辺。


写真を撮られたい方々も、さすがにこの炎天では日陰に逃げ込んでいらっしゃいます。


実は女性も少なくない。メンズにしても、華やかな方々が目立つのでついカメラを向けてしまいますが(彼らは撮られるために来場していたりします)、実際は、しのぎやすい半袖シャツの方も多い。

さて、Pittiのブース。ふと目についた個性的な「アロハ」シャツのブランド名を見たら、沖縄にある日本の会社でした。


PAIKAJ。服地から日本で作り、日本で縫製するアロハシャツを中心に作っています。


日本人にしかできないきめ細かさを活かしたシャツ、と解説してくださる社長の吉田さん。もともと奥様のご実家が沖縄でアロハシャツを作っていたことから、この会社を立ち上げたそうです。

カジュアルスタイルのなかに、ドレスシャツの技法が使われている。上質なカジュアルが中心ですが、上の写真のように、見えないところに遊びのあるドレスシャツも。

そしてユナイテッドアローズの鴨志田さんのブース。なんとピッティ11年目だそうです。世界から敬意を受けるMr. Kamoshitaについては、この後インタビューすることになるピッティCEOもわざわざ名前を挙げて讃えていました。


ジャケットスタイルのドレスダウンをさまざまに提案。「たとえば…」と言いながらその場でぱぱっと各アイテムを選んでコーディネート例を作ってくださいました。

この色使い、さすが。インナーとハーフパンツの色合わせはなかなか素人には思いつかないですが、両方の色を使っているジャケットを合わせることで、トータルにまとまります。


周囲に幸せな空気を作るカモシタ・スマイルは感染力があります。つられて笑顔になる。


そして強力な磁力を放っていた、Gabriele Pasini 。ただものではない美意識が、一体一体のコーディネートから伝わってきます。



「抜け感」も「隙」も、どこ吹く風。細部に至るまで手ぬかりなく緻密にドレスアップ。完成度なんていうことを超えている。

クリエイティブディレクターのガブリエルさん本人も、存在感のある方。強面な感じですが、話すとむしろシャイで優しく、丁寧に解説してくださいました。

あとからLEONの編集長に聞いたのですが、ガブリエルさんはLEON読者にもファンが多く、「ガブさん」の愛称で親しまれているとのことです。不勉強で失礼しました…。それにしても、ここまで突き抜けた美意識は、一種の共通言語になるのだなあと納得。

バッソ要塞へ戻り、ピッティ展示会ブースめぐり再び。


外気温35度のなか、いたるところで撮影がおこなわれています。こちらは動画の撮影。歩く姿や帽子に手をやる姿も、みなさん決まって(決まりすぎて)ます。

ひときわ多くの人が訪れていた、ポール・スミスのブース。彼はイギリス人ですが、ロンドンコレクションではおこなわず、ピッティに来るんですね。ピッティのほうがやはり商業的にもリターンが見込めるのか、イギリス人デザイナーやイギリスブランドのなかには、ロンドンではとくに何もせず、ピッティに力を入れているところが少なくない。ブースにはロンドンの著名なブランドがいくつもありました。気鋭のJ.W.アンダーソン(英)も今回、ピッティでショウをおこないました。J.W.アンダーソンに関しては、ミハラヤスヒロも「注目のデザイナー」として名前を挙げていましたが、今回のショウではかなり強気で、観客数を絞り、招待状を送ったところにまで「送りましたが間違いでした。来ないでください」というメッセージを送ってきたらしい。失礼だと怒るジャーナリストもちらほら。こういう対応もブランドイメージを左右します。ひょっとしたら、「怒らせる」ことで何かのブランド価値を発信しようとしていたのかもしれません。今後どうなるか、徐々に明らかになってくると思います。

さて、ポールのブースです。






展示作品も密集、ゲストも密集。そのなかに何気なくゲストに混じっているポール・スミス発見。左から2人目。


しっかりデザイナーと記念撮影。笑

いいかげんこれ以上歩けなくなったところでこの日の取材は終了。

着替えて地元のレストランへ。Hiromi Asaiさんと彼女の作品のために服地を作った丹後の服地屋Yamamotoさん、そして靴デザイナーKatsukawaさんと、インタビューを兼ねて夕食。詳しい内容は後日。



そういえばフィレンツェに来て初めてまともにレストランで食事をしたなあ。あとはプレス用のあわただしいフリーランチとかパーティーフードやサンドイッチばかりだったような。写真のTボーンステーキはフィレンツェ名物で、5人ならなんとか食べられるだろう、と。



出展の苦労や服作り・生地作りの苦労などうかがいつつ、楽しく過ごさせていただきました。

フェラガモミュージアム。

フィレンツェにおけるフェラガモの影響力の大きさはいたるところで感じる。フェラガモが経営するホテルが数件、レストラン、ワイン、ファッション、などなど。

この建物はフェラガモが買い取ったもので、本社オフィスも美術館もこの建物のなかにある。

美術館のテーマは随時変わる。今回は1927年。これはフェラガモがアメリカからイタリアに帰国した記念すべき年。船での帰還なので、展示においても航海がイメージされている。


靴がみんな小さい…。足が小さかったのだろうか。



20年代といえば、このシルエットですね。頭はボンネット、ストンとしたギャルソンヌスタイル。


当時のセレブリティたち。

フェラガモのほか、今回は時間がなくて観られなかったのですがグッチも展覧会をおこなっている。そもそも町中が芸術的な雰囲気。


コーディネーターMayumiさんのパートナーが勤務するホテル、Tornabuoni Beacci のテラスで少し休憩。ここがもうなんとも雰囲気のある素敵なホテルでした。イタリア名をもつ日本のジャーナリストも常宿にしていらっしゃるとのこと。


世俗の時間の流れが感じられない、別世界。


少し英気を養ったその後、某ブランドのファッションショーを見るために、酷暑のなかシャトルバスでレオポルダ駅まで。レオポルダ駅といっても電車が止まるわけではなく、上の写真ですが、中も格納庫のようで、歴史的な建造物らしい。(こちらのショーに関しては、座席の割り当てられ方において運に恵まれず、よく見えなかったのでコメントを控えることにしました……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

14日はフェデリコ・クラーディのショウから。場所はバルディーニ美術館。画家からキャリアを始め、美術商になったバルディーニ氏が、昔の館を修復し、美術館としてよみがえらせた建物という。


こんなところで生活すると、いやおうなく美意識が鍛えられますね。美術が生活や人格の一部になってしまう。

9:30スタートとインビテーションに書いてありましたが、実際に始まったのは10:30過ぎ。コーディネーターさんによれば、時間の感覚は「そんなもの」だそうです。


スタンディングのゲストが見守る中、裸足のモデルたちが歩いていく。どこからがランウェイでどこからが観客側か、すべてが一体となったような雰囲気。


観光地につき記念写真。歴史的な建造物をファッションの舞台として紹介していくのもピッティの役割。フィレンツェならではの建物でした。それにしても朝から待ちくたびれ、立ちくたびれ……。

 

Baguttaの時点ですでに20時すぎ、日本にいれば当然、本日の業務終了としていい時間なのですが、夏至前後のヨーロッパ、まだ外は明るい。これで帰らせてはもらえず、さらにこれからHugo Bossのショー会場へ移動します。

この日(13日)の朝はロンドンにいました。疲労もとうに極限超えしていますが、経験的に、極限超え、限界超えをすることによって次の次元に行けることも知っている。(不本意な仕事であれば過労死してしまうかもしれないというぎりぎりのところなので、すべてのケースにあてはまるというわけではありません。) もうこんな無茶ができるのはあとどれくらいだろうと思いながら、とりあえず、ほとんど意地だけで行く。


会場は、閉鎖取り壊しが決まった煙草工場。建物の中からの照明の演出が考えつくされており、映画の世界に入ったような錯覚を覚えます。





幻想的で退廃を感じさせる場所に似会うクールなコレクションでした。


終了後はパーティーフードとお酒がふるまわれます。

日本ではかえってなかなかお会いできないファッションジャーナリストの方々とお話することができるのも、ファッションウィークや見本市の楽しみですね。左からコーディネーターのMayumi Terashimaさん、中野、世界各地のファッションウィークを飛び回るYu Masuiくん、そしてジャーナリストのTakuro Ogasawaraさん。それぞれ率直に本音を語る方々で、疲れも吹き飛ぶひと時を過ごさせていただきました。

ラルディーニ、ブルネロ・クチネリはじめ日本にも人気のイタリアブランドのブースを回り、デザイナーやディレクターにご挨拶をしつつ最新作を取材。

クリエイティブ・ディレクターのルイジ・ラルディーニ。ラルディーニはファミリービジネスで、会場でも兄弟何人かでいろいろ言い合いながら楽しそうに。

クチネリのブースは社員?と思しき人が大勢。ソファに座っている左側の方がブルネロ・クチネリ氏。

クチネリのコレクション。色使いがうっとりするほど美しい。

いい加減歩き疲れてきたところで会場の終了時間。


ぞろぞろ出てくるイタリアのファッション関係者の静かな迫力。

その後、急いで着替えて、バグッタのプレゼンテーションへ。



会場はウェスティン・エクセルシオール。

ここは1年半前に泊まったホテルで、ほんとうに居心地のいいホテルでした。

今回もできればこのあたりに泊まりたかったのはやまやまですが、ピッティの時期はホテル争奪戦で、コーディネーターのMayumi Terashimaさんによれば、「みなさん、お帰りになるときに、来年のホテルを予約していかれます」。1年前からすでによいところは埋まっているというわけです。

このたびのピッティ行きが決まってホテルを手配してもらったのが1か月ちょっと前で、そのころに空いているホテルとなると、信じがたいほどに価格が高いのに、なにかしら難点があるところばかりなのですね。しかし、当日、オーバーブッキングで泊まるところがなくなり、電車で30分のボローニャでようやく真夜中にホテルを見つけたという日本人もいたということを思えば、泊まるところがあっただけでも心からありがたいと思いました……。

今回のフィレンツェのホテルに関しては、そんなわけで、この繁忙期に3泊も無事に取材できただけで感謝しつつ、ノーコメントです。学んだことは「4つ星自慢ばかりするのは、最低限の設備は備えているがほかに自慢することがないことを意味する」「ホテル予約サイトの口コミは、ホテルに求める要素が違う人のコメントだったりするので、まったくあてにならない」「場所自慢、歴史自慢には要注意。ほかに褒めるところがないことがある」。

素人レビューにこそ、高いリテラシーが求められますね。

滞在した場所によって、同じ町でもまったく違う印象をもってしまうのは確か。前回のフィレンツェと、今回のフィレンツェで、まったく異なる面を見ることができて、それもまた貴重な経験でした。

13日、空路ロンドンからフィレンツェへ移動して、休む間も与えてもらえず、ピッティ・イマジネ・ウオモ会場のバッソ要塞へ。記録的な暑さらしく、30度を優に超えていますが、フル装備のスーツの男性も多い。



ピッティは世界最大の男性服見本市で、クラシックスーツのトレンドを発信するブランドがブースを出しているイメージが強いのですが、カジュアルウエア、スポーツウエア、装いに関わる各種小物、ニッチな香水などのブランドも出展しています。


ブースを出すという形式だけでなく、フィレンツェの各種歴史的建造物を活かしたショーも行われます。商談がメインになりますが、各国からジャーナリスやブロガー、「写真に撮られたい人」やその他もろもろのファッショニスタらも集まります。年に一度、ピッティで顔を合わせるということになっている人たちもいるようで、メンズファションの一大祭典。

初日のブース巡りでは、まず、Hiromi Asaiさんにご挨拶に伺いました。今回、ピッティに強く誘ってくださったのはほかならぬ彼女なのです。「まんまる」の連載で、もう2年ほど前になりますが、Hiromi Asaiさんの、着物地を使ったニューヨークコレクションのことを記事にしたことがあります。それをきっかけにHiromiさんとの交流が始まり、何度か冬のピッティにもお誘いいただいたことがありましたが、タイミングもなかなか合わず、今回、堂々取材できることになり、ピッティでお目にかかることができた次第です。


着物地からオーダーして作り上げたという作品の数々は、独特の存在感を放っています。

やはり着物地によるメンズウエアというのが珍しく、海外メディアの取材もたくさん来ています。

これは地模様が薔薇なんですよ。薔薇が透けてみえて、意外と涼し気な夏物素材なのです。私自身がこの服地でスーツを作ってもらいたいと思った傑作。

Hiromiさんのディレクションのもと、これを縫製したのは、弟子?の長谷川彰良くんです。Good Job!  良いご縁が生まれたことを、心から嬉しく思います。

 

この日の最後は、ヴィクトリア&アルバート美術館で開催されているバレンシアガ展。

ここはケンブリッジ時代にも、週末にロンドンに来るたびに通った大好きな美術館。


外側は当時のままで懐かしい、ところが、中は大胆に変貌している。そこがいかにもイギリスらしい。
バレンシアガ展はすばらしかった。すべて撮影可能というのもこの美術館のいいところ。撮影されたものが出回ると人が来なくなるので撮影不可にする、というのは主催者側の大きな勘違いです。写真が出回れば出回るほど、人は「本物」を見に来るんです。フラッシュさえ禁止にすれば、来場者に写真撮影を許可するのは、来場者を増やしたければ、メリットになるはず。

詳細に関しては、また機会をあらためて書きます。


次回はピンク・フロイド展ですって! これを見るためにまたロンドンに来なければ!と思わせるクールな「次回予告」。

 

最後のディナーは、ピカデリーのThe Wolseley で。



やはり王道をいくスコッティシュ・サーモン。鱒ずしと錯覚しそうなシンプルなレイアウト。

とても天井が高く、開放的なムードで、好みのど真ん中でした。

(くどいですが)私は小食で、雰囲気のよい店で正統派の(凝りすぎていない)料理を2品ほど食べてシャンパンとワインを1~2杯いただければそれで大満足、デザートも不要という単純なタイプです。そういうタイプにはこの店は気楽なのにリッチな気分を味わえて最高でした。味にうるさい人はまた違う意見かもしれません。

食事が終わる頃、ロンドン在住のソーシャライトで25ansブロガーでもあるSatoko Matsudaさんがご主人さま(←とても優しくて奥様思い♡)とともに合流してくださって、コペンハーゲンファッションサミットの資料をお持ちくださいました。ひととき、ロンドン社交界のお話で盛り上がり、楽しいひと時を過ごさせていただきました。ありがとうございました!

かくしてロンドン取材は無事に終了。終始、晴天に恵まれたのは幸いでした。予定していたショーが見られなかったなどのハプニングもありましたが、予想外の収穫も多々ありました。今回の成果は後日、順に記事になる予定です。どうぞお楽しみに。

疲労も極限にきていて、このあたりで東京に戻りたいのはやまやまですが、取材はもうひと山分残っています。そのままフィレンツェに向かいます。

 

続いて、ミチコ・コシノのプレゼンテーション。ミチコさんは昨年、「ミチコ・ロンドン」30周年を祝いました。ロンドンではベテランです。


テーマは日本の野球少年。



バックステージにもお邪魔しました。インスタレーションのモデルは時々こちらに帰ってきて、着付けを直したり、飲食物をとったりして休憩をとります。

ミチコさんにもお話を伺いました。ロンドンを中心に発表するのは、ロンドンには自由があり、「しがらみがない」から自然な形で服作りができるため、とのこと。「しがらみ」とは、百貨店のバイヤーからの注文や契約や、その他もろもろの数字的な束縛のことのようです。表現は違いますが、同じようなことを、ミハラさんもおっしゃっていました。ロンドンは「コマーシャル(商業的)」ではないところがいいのだと。


気さくに記念撮影に応じてくださるミチコさん。


移動のタクシーの窓から、ジャック・アザグリーのお店発見。ダイアナ妃のデザイナーとして10年以上前?に来日した時、インタビューしたことがあります。今回はお会いできなかったけど、お元気でいらっしゃいますでしょうか?

5日め、12日の午前中はさすがに動けず、少し体力の回復を待ってから、午後のヴィヴィアン・ウエストウッドのショウからスタート。場所はシーモア・レジャーセンター。公民館のような体育館のような場所。すでに外は一目でヴィヴィアンのファンとわかる人たち、彼らを撮るカメラマンらで大混雑。



シートには”We are Motherfucker”と題されたコレクションテーマ、というかアジテーション文が。各モデルのメイクは、次のものを表す、と書かれています。ハート=愛、自由な世界。ダイヤ=欲望、腐敗、プロパガンダ。クローバー=戦争。スペード=シェルやモンサントなど地球を凌辱する巨大企業。現代社会のもろもろのコントロールに対し、抵抗していこうというメッセージ。


開始前、ゲストのファッションを眺めているだけでも相当面白い。


どのショウにも共通しているのですが、おしゃれな方は靴に凝りますね。

向い側のフロントロウも、おそらくファッションエディターらが多いと推測するのですが、個性的な人がずらり。


いよいよ開始。期待を裏切らない、過激で、メッセージ性の強いルックが続々。


ただランウェイを歩くのではなく、サーカスダンサーが大胆なポーズをとりながら踊り、挑発し、移動していく。



フィナーレは大歓声、大喝采。スタンディングオベーション。こんな熱い反応で盛り上げる大勢のファンがヴィヴィアンを支えている。

 


ラストにヴィヴィアンがサーカスダンサーに肩車されて登場した時には鳥肌が立った。なんとかっこいい人なんだろう!


よほどバックステージにかけつけてインタビューしたかったのだが、日本のPRに「混み過ぎていて無理です」と止められる。今から思うに、そこを突破していくべきだった。ヴィヴィアン・ウエストウッドならそんな行動も歓迎してくれたような気がする。


デザイナーに敬意を表して、いちおう、ヴィヴィアン・ウエストウッドのセットアップを着ていったのです(レッドレーベルですが)。しかし私が着るとパンクなイメージからほど遠くなりますね。人込みを突破していくくらいのガッツが足りないのだな。

ちなみに、この服の左肩のボタン(ヴィヴィアンのロゴ入り)だけ、ブロガーさんたちが熱心に撮影していきました。笑


ヴィヴィアン・ウエストウッドはやはりロンドンファッションの女王であると確信した午後。

一日が長い。普段ならこれで眠り始めているところ、これからこの日のビッグイベント。ハケットロンドンによるテムズ川クルーズ。19:30テムズ埠頭のハケット号にて。


ロック帽子店で買ったのはこのハットでした。

今シーズンのテーマがヘンリー・ロイヤル・レガッタということで、船内にはボールドストライプのジャケットやクラブタイで装ったメンズも多く、気分が盛り上がります。

ちなみにハケット・ロンドンはヘンリー・ロイヤル・レガッタのオフィシャルパートナーになっています。HRRに関する詳しい情報は、こちら、HPに。

ハケットの新作コレクションも一応、船内に展示はしてあるのですが、とくに解説があるわけでもないし、みなさんおしゃべりに夢中で誰も観てない。PRの方によれば、この「服なんて関心がない」態度を見せるのが紳士ワールドの感覚なんだそうです。笑

ハケットもそうですが、他のブランドも、ただ服だけを提示するのではなく、その服がしっくりと似あう背景のなかで(ライフスタイルの一環として着用されるアイテムとして)提案しています。

ミスターハケットはさすがのレガッタ風味のジャケット。左はBLBG社長の田窪さん。


レガッタ名物のシャンパンアイスも供されました。シャンパンがそのままシャーベットになっています。

10時半近くなって暗くなったころ、ようやく船はテムズ川ミニクルーズに出航します。このころになるとゲストはほとんど帰ってしまっており、ごく少数の残ったゲストのみ「ザッツ・ロンドンナイト」という贅沢な夜景を楽しむことができました。終盤に差し掛かったぎりぎりのところで本当のお楽しみが出てくるというパターン、これも紳士文化のひとつの型に則ったものでしょうか。

A summer cruise to remember forever.

ミハラヤスヒロのショー会場から近いということで、そのまま歩いてサヴィルロウへ。


ザ・サヴィルロウの貫禄、ヘンリープール。



ハンツマンの看板は、右側から見るとHuntsman と書いてあるのに、左側から見るとKingsmanと書いてある。かなり嬉しくなりました。少し光が反射して見えにくいですが、Kingsmanと書かれているのがおわかりになりますでしょうか?


アレクサンダー・マックイーンもサヴィルロウに。刺繍入りのジャケットに目が釘付け。

日曜なのでほとんど休業ですが、リチャード・ジェームズはファッションウィークに合わせた展示会でにぎわっています。



上の写真はリチャード・ジェームズのオーダーメイドの店。今回展示会がおこなわれたのは、お向かいの既製服の店でした。



カラフルな色彩使いのうまさがリチャード・ジェームズ。ピンクと黄色とグリーンを同じ靴下にあしらうなんてなかなかできることではありません。

リチャード・ジェームズご本人もいらっしゃいました。右側です。左は、大手PR会社パープルPRのディレクター、ナンシー・オークリーさんです。

リチャード・ジェームズのマネージング・ディレクターとデザイン&ブランドディレクターのおふたり。靴が茶色です。聴いてみると「もちろん、ブレーキングルールさ!」と即答。この店ではブレーキング・ルールを守ることがむしろ王道という皮肉なことが起きています。笑

こんどは平日に!

日曜日はメジャーな自転車レースがおこなわれているとかで、道路がレースのために使われ、タクシーでの移動がほとんどできない。それで地下鉄と徒歩になるのですが、これがけっこうな距離を歩くことになるのですね。寝不足とオーバーワーク気味で相当、体力は消耗しているはずなのですが、好奇心というのは何よりも強力なエネルギーになるようで、ふだんなら信じられないような体力を発揮してしまいます。

ランチ後のコーヒーもそこそこに、ミハラヤスヒロのショウ会場へ移動。オクスフォードストリートの地下駐車場でおこなわれます。



クレッシェント型にのびる駐車場に、心をざわつかせるような生演奏が響く。ちょっと寒くて怖い。そんな雰囲気によくあうコレクションが展開される。





丁寧に作られた見ごたえのあるコレクションの最後には、デザイナーが走って登場。ちょろっと顔を出してひっこむデザイナーが多い中、カメラの前まで行くデザイナーは珍しい。

感動さめやらぬままにバックステージにお邪魔して(プライベートでは慎ましすぎるほど控えめな私ですが仕事となるとかなりアグレッシブになります)、ミハラさんにお話を伺いました。


テーマはブランク・ミラー(blank mirror)。電源の消えたパソコンのこと。いまや「アンチテーゼ」が当たり前すぎて、パンクすらアンチテーゼになっていない。そんな時代の葛藤や混沌を表現したかったとのことですが、詳細は活字で!

日曜12時からジョン・ローレンス・サリヴァンのショー。大勢の人、人、人。バブル期に人気を博したブランドというイメージもありましたが、今また盛り返しているようです。テーマはポスト・パンク&クール・ウェイブといった音楽を含むカルチャーを背景とするファッション。

定番アイテムをオーバーサイズにすることで挑発。


どこか破壊された服なんだけど、きれいな印象。これが「ポスト・パンク」?


レディス?が何気なく混じっている。写真ではわからないのですが、胸元はニプルまで見せています。


クールウェイブ?


ボディに響く音楽との相乗効果で、なんともしびれるショーでした。最後にちらっと出てきたサリバンは歓声と喝采を浴び、熱気のなかに終了。

 

ランチは会場から歩いて数分のサヴォイホテルの中にあるサヴォイ・グリルで。

日曜なのでサンデーローストがおすすめ、というわけでローストビーフをいただきました。コーディネーターYumiさんによれば、ゴードン・ラムジーが関わるようになってからこのレストランも格段においしくなったとのことです。

またしてもボリュームに泣きそうになりましたが、向こうのテーブルに座っている父子に癒されました。プチ紳士といった風情の坊や、しっかり気取って紳士の振る舞いをしていたのがなんともかわいかった。

サヴォイホテルのサービスも雰囲気もさすがにすばらしい。次の機会があればぜひこんなホテルでゆっくり過ごしてみたいものです……。

日曜。ホワイトオムレツに懲りたので、朝食はイングリッシュブレックファストにしてみました。これで一人分…。小食なのですべて少量でお願いしますといってこの分量。マッシュルームが巨大すぎて怖い。甘いペストリーが山盛りに(トーストを選ばなかったためではありますが)。ベリーミックスにも焼き物のプレートにもエディブルフラワー(食べられる花)が散らしてある。贅沢な不満だとはわかっているのですが、この巨大な量、むだなおしゃれ演出に、そろそろ泣きたくなってきました……。

さて、気をとり直して朝11時スタートだったはずのアストリッド・アンダーソンのショーに行こうとしたら、直前にスケジュール変更があり、10時にスタートしており、見逃してしまう羽目に。

さらに気を取り直し、ロンドンのキングズカレッジ内で行われていたDanshanのインスタレーションに。ぷちぷちで作られたトラウザーズが目をひく。


でもこれだけ!?

不完全燃焼感が残り、隣接するコートールド・インスティテュートで、印象派展を開催していたので、こちらで気持ちを持ちなおすことにする。ファッション展がしばしばおこなわれている館内でもあるので、それを見ておくためにも、というわけで。


麗しき天井画。

ピアノのふたにもアート。


天井画、シャンデリア、宗教画、暖炉、カーペットというのは、この種の「カルチュア&ヒストリー」の迫力で威圧するための必須アイテムと見えました。


館内のカフェから眺める広々とした中庭。ここでもしばしばファッションショーが行われるそうです。メイン会場の隣とは信じられないほどのゆったりとした時間が流れていて、休憩中のファッションジャーナリストやブロガーらがコーヒーを飲みながら談笑している。イギリスでは紅茶、というのは昔のステレオタイプ。時間が止まってほしいくらいの平和で豊かな光景。

11日。Me Londonの朝食、モーニングのメニューに「ホワイトオムレツ」というのがあったので、どんなだろうと思って頼んでみた。クリームソースでもかかっているのかと想像していたら、なんと、卵の白身だけを使ったオムレツだった。見た目はおしゃれすぎるほどなのですが、ありえない味でした。


すべてにおいておしゃれすぎる、というのもやや疲れるものですね……。ホテルに入ると、ホテル自慢のオリジナルのアロマが迎えてくれるのですが、これも狙いすぎの最先端で、疲れて帰ってくるとややついていけない感に襲われます。ホテルのホスピタリティも実に多様。よい経験をさせていただいています。

気をとりなおし、ホテルから歩いて3分の、ロンドンファッションウィークメン、メイン会場へ。

このスーツもアトリエサルトの廣川さん作。今回の出張のために、前回の型紙を使って、途中のフィッティングを省いて超特急で作ってもらいました…。廣川さん、ありがとうございました。

フロントロウに座ってファッションショーに参加するには、やはり空気をぶち壊しにするわけにはいかず、それなりの配慮が必要なのですね。

まずはE. Tautzのショー。
こんな打ちっぱなし風のショー会場。



少しゆるい空気感をただよわせるテーラードを中心に。ハイウエストで、ややオーバーサイズ気味の太めのラインが特徴。


クリエイティブディレクターのパトリック・グラントが、最後にちらっと登場。喝采を浴びていました。デザイナーというよりもむしろマーケッターという印象。E. Tautzを立て直した敏腕”ビジネスマン”としてBBCに特集されたこともあるそうです。

会場には熱烈なグラントのファンが詰めかけていました。ひときわ目をひくイケメンさんがいるなあと思ったら、モデルのデイヴィッド・ギャンディでした。LFWM(London Fashion Week Men’s)のアンバサダーもつとめるスーパーモデル。あちこちで記念撮影に応じていました。

サンダーバ―ドから飛び出してきたようで、あまりにも美しすぎてリアリティがない。笑。

ファッションウィークでは、日頃メディアでしか見かけない有名人が何気なく混じっているのも面白いですね。

その後、いよいよダイアナ妃展へ。詳細に関しては、後日、活字媒体で書きますので、こちらではさらっとね。



社交界デビューに際し、ハロッズで買ったというドレスからスタート。



学芸員のマシュー・ストーリー氏の解説のもと、ダイアナ妃が社交界デビューから晩年にいたるまでに着たドレスやスーツ、それぞれにまつわるエピソード、デザイナーと結んだ関係、およぼした社会的な影響を学んでいきました。

これまでにかなりダイアナのファッションについては書いたり話したりもしてきたのですが、それでも新たに発見したことが多々。




写真で何度も見て、よく知っていたはずのドレスであっても、細部の工夫のすばらしさはやはり、肉眼で見ると初めて心に迫ってくるものなのですね。

それにしても背の高い方だったのだわ。

原稿はどこから何を書くべきか……。字数制限のあるものを、いざ書いてしまうと、「書けなかったこと」がどうしても出てくるのです。それが気になるとなかなか仕上がらなかったりするのですが、最後には、割愛分もまた書かれたことの厚みにつながると自分を無理やり納得させるしかないのですね。

10日、エドワード クラッチリーのショウ。場所はバービカン、シャフツベリープレイス、アイアンモンガーホール。


歴史的価値のある建物で、どんなショウが行われるのか、かなり期待が募ります。


時間、国、ジェンダー、肌の色、文化、全てを越境して紡ぐ、最高級素材を使った斬新なルックが続々登場。


バックステージに紛れこんで話を聞きました。次世代の鬼才ですね。



配られたメモから。”The irrelevance of gender; the relevance of sex.  Prog-rock Mediaeval rivivalism.  The role of Wakashu in Edo-era Japan. Poetry, not romance.”

荒唐無稽に見えますが、すべては一点ものの、彼のために特別に作られたテキスタイルから作られています。間近で見ると、リッチで豪華なのです。

マックイーンやガリアーノを生んだ、これがロンドンの底力。

BLBG  2017-18 秋冬メンズ展示会に伺いました。南青山Vulcanize London にて。

テーマはリアル・ロンドン・スタイル。メイフェアの上品な紳士がイメージされています。

グローブトロッター新作は、「キュナード・ライン」社とのコラボ。「キュナード・ライン」とは、世界で唯一、イギリス女王の名を冠することが許されているクルーズラインです。

おなじみのターンブル&アッサーのテーマは「ダークサイド・ソサエティ」。クラシック映画のマフィアスタイルがイメージされた、大胆な柄が目をひきました。ここのネクタイのディスプレイにはいつもほれぼれします。

老舗ファクトリー、コービーズからは、ジョシュア・エリスの上質なウールで仕立てたダッフルコート。白いダッフルって現実的ではないかもしれない分、眺めている分には素敵ですね。カラーバリエーションは豊富です。

そしてハケットロンドンからは「スカイライン・コレクション」。イギリスの空の色でもあるグレーと、建築物のレンガから着想を得たバーガンディ、そしてハケットのブランドカラ―であるネイビーを中心に新作が展開されます。

上は現代では珍しいブロークン・ヘリンボーン。写真ではわかりづらいのですが、ヘリンボーン柄の変形バージョンです。複雑な深みがあって、なかなか新鮮。

こちらは、新たに加わったモデル、「ウィンザー」。肩と腕まわりが「ロープショルダー」と呼ばれる構築的なラインになっています。着丈はハケット一番人気の「メイフェア」よりもやや長め、Vゾーンの開きも少し大きめです。トラウザーズやウエストコートの細部にもクラシックなアレンジが盛り込まれています。

そしてスマイソン。ダイアリーの新作は「Yes Yes Yes」。イギリス人なので必ずしも全肯定のイエスではなく、いろんな意味が状況に応じて与えられるわけですね。

カードは上質なのに楽しさ満載、思わず帰途にショップで2種類のボックスを購入してきました。すぐにお礼状を書きたくなるカードなのです。あまりに上質すぎるので書き損じがほとんど許されないというのも緊張感あってよいということで。Yes.

13日(木)夜、東京国立博物館 表慶館にて、ドルチェ&ガッバ―ナのアルタ・モーダ、アルタ・サルトリアのコレクションのショウが行われました。

レッドカーペットを歩いて建物の中に入るとそこはルネサンスのイタリア?! 300人のゲストが全員揃うまで実に長時間待たされたのですが、その甲斐あって、けた外れなほどの美しさを極めたアルタ・モーダ&アルタ・サルトリア(オートクチュール)コレクションでした。男女のアジア人ばかりのモデル100人以上。一度のコレクションでこれだけの数を見たのも初めてのこと。疲れているはずなのにテンションはどんどん上がっていく。それはそれは圧倒的な体験でした。



女性のドレスはすべて、後ろ姿が印象的なのですが、「一人では着られない」仕様になっているのですね。装飾としても存在感ある留め具は見ていると美しいのですが、留めていただく(はずしていただく)ためのパートナー、あるいはお手伝いのメイド?がいるということが前提となっています。



私の目の前には阿部寛さん。斜め前にはドルガバのドレスをまとった米倉涼子さんや大地真央さんや、お名前を知らないけど顔をみたことのある俳優さんたちがずらり。ゲストはほぼ全員、ドルガバを着こなし、このブランドの世界観を一緒になって盛り上げていたという印象。


フィナーレはステファノとドメニコが登場し、拍手喝采の中、ゲストひとりひとりと握手したりハグしたり、熱い一体感で盛り上がりました。


プレタのドルガバも「一人では着られない」。涼しい顔をしてはおりますが、パートナーもメイドもいない私はドルガバのスタッフにさりげなく助けてもらってようやく着付け完了という次第(^^;)

ショウの終了後は、特設テントに移動してディナー。スカラ座のイメージをそのままもちこんだというテントも、退廃的なほどに濃厚な色彩と装飾にあふれていました。

300人のゲストのディナーは、おもてなしする方も大変だと思いましたが、デザイナーがひとつひとつのテーブルを回って大サービス。私がいたテーブルでは、先日のインタビューの内容をちゃんと覚えていてくれて、それを押えたうえでの「ジェンダーレス、NO!」の議論を滔々と。無尽蔵のエネルギーに圧倒されました。


同じテーブルで楽しく過ごさせていただいたみなさま。前列左からThe Rake Japan編集長の松尾健太郎さん、Men’s Precious 編集長の鈴木深さん、中野、後列左からWeb Leon 編集長の前田陽一郎さん、INFAS.com映像制作部担当部長の神保誠さん。

それにしてもスターデザイナーの来日パワーというのはおそるべし。ショーの翌日、翌々日も銀座や表参道のドルガバブティックでは、デザイナーとのじかの交流にファンが熱狂した模様です。

20+α年ぶりに来日し、すばらしいコレクションとおもてなしで感動させてくれたステファノ・ガッバ―ナとドメニコ・ドルチェ、きめこまやかなご高配を賜りましたDolce & Gabbanaのスタッフのみなさまに心より感謝申し上げます。

 

Ferragamo Signorina in fiore 発表会にお招きいただきました。22日、パラッツイオ・ドゥカーレ麻布にて。2.22.2017.4

シニョリーナシリーズからの新バージョンです。トップは梨シャーベットと柘榴、ミドルに桜とジャスミン、そしてラストノートにサンダルウッドとホワイトムスクが香ります。2.22.2017.3

ロマンティックでフェミニンな印象に仕上がっています。恋の喜びに輝く華やかな笑顔の女性がイメージされています。

2.22.2017.2

調香師のエミリー・コッパーマンが来日、発表会後に、小一時間ほどインタビューの機会をいただきました。

エミリーはとてもフレンドリーな女性で、なんと4児の母。下は5歳から上は18歳までの子育て真っ最中。

この日は、インタビューとプレゼンテーションが続くハードな一日で、その最後の仕事だったらしいのですが、まったくお疲れも見せず、終始、明るい笑顔を絶やさず丁寧に答えてくれました。

2.22.2017.5

以下、インタビューを通して伺うことができたことの一部。

・最近の香水のトレンドは、「ソルティ」。エダマメ(英語でもエダマメなんです)やピーナッツ。あるいはプレッツエルのような、塩っぽくて甘さもあるというのがトレンド。「グルマン」系の香りの延長にある。(今回のシニョリーナはソルティではありません、念のため)

・薔薇は多くの香水のベースになっているが、とても大きな可能性を秘めており、異なる香料を掛け合わせることで、まったく思いもよらなかった顔を見せる。男性用の薔薇の香水は、その点、チャレンジのしがいがある。掛け合わせるハーブなどによって、きわめてマスキュリンな局面が現れてくる。

・今回の「シニョリーナ」には主張の強い花を一切使わなかった。強く主張しすぎず控えめな、甘く優しくロマンティックな女性を意識した。(これは日本の男性が女性に求める要素そのままですね、という同席の男性ジャーナリストからのツッコミ)

・桜の花じたいは、香らない。香料として使うときに大切なのは、「桜のフィーリング」。ウォータリーでパウダリー、というのがエミリーの桜に対するフィーリング。

・香水は、パーソナリティとキャラクターをまるごと表現するものであり、「souvenir of memory」。その香水をかぐだけで、その人のことすべてが思い出される、エモーショナルなもの。(everything!とエミリーは強調)

エミリーとともにパーティー会場に戻り、どさくさにまぎれてフォトスポットで撮影。

 

Salvatore Ferragamo Signorina in fiore オードトワレ インターモード川辺より3月1日発売です。

 

 

Mikimoto 展示会にお招きいただきました。14日、銀座ミキモトビルにて。

2.14.2017.9

花びらをジュエリーで表現したMikimoto Petales Collectionより、Ginza バージョン。といえば花の種類は当然、桜ですね。Les Petales de Ginzaは、桜がテーマ。ピンクゴールドでかたどった花びらに、ダイヤモンドをちりばめてあります。花びらがひらひらと舞い降りていく情景を表現しています。

2.14.2017.5

この写真では、ゴールドとダイヤモンドの繊細さがわからないのが残念ですが……縁のほうまできらきらとダイヤモンドが輝き、視線が吸い寄せられていきます。

2.14.2017.6

ジュエリーをひきたてるデコレーションにも、「花びら」モチーフが随所にあしらわれ、一足早い桜の季節を堪能させていただいた気分です。

2.14.2017.7

ハイジュエリー部門も逸品ぞろい。下は、とりはずしてブローチにもなる、和の花をかたどった繊細なジュエリー+パールネックレス。

2.14.2017.8

 

おみやげは、今話題のChocolatinesのチョコでした。J-Waveの別所さんの番組で話を聞いた時から気になっていたので、タイムリーな出会い。シカゴのショコラティエ、和田理恵子さんの作る高級な「宝石」チョコで、アカデミー賞受賞式のおみやげにも使われているそうです。宝石をイメージした8種類のチョコの中から、「ダイヤモンド」を選んでいただきました。容器が指輪のケースのよう。開けると中にはシャンパントリュフ味の「ダイヤモンド」をイメージしたチョコレート。お味も見かけを裏切らず、ハイグレードでした。

2.14.2017.18

 

27日、Nina Ricci 新作フレグランス発表会にお招きいただきました。

1.27.2017

Les Belles de Nina. Nina とLuna。Ninaは赤いボトルに入ったトフィーアップルの甘いグルマンノート。10年前に発売されて人気だったこの香りに、「親友」が見つかった、というコンセプトです。今回新しく出たのが、Luna。こちらはパープルのボトル、梨のさわやかさと官能性をあわせもつ香りです。調香師はファブリス・ペレグリン。

香水単品では、それほど目新しさを感じさせるものではないのですが(失礼……もちろんフレッシュで好もしい香りであることにはまちがいないのですが、ターゲットはミレニアル世代)、今回、衝撃を受けたのは、そのコンセプトでした。Nina とLuna、これは女性のカップルフレグランスでもあるのです。

 

1.27.2017.4

カップルと言っても、同性愛ではない。これはミレニアル世代のフレンドシップをコンセプトにしているのだそうです。

いいときも悪い時も感情を分かち合い、さらにそれをSNSで世界とシェアすることで、ますます友情の絆を強くする。二人でいると、より強く、自分らしくいられるという、SNS時代の親密なフレンドシップ。実生活でも親友という二人のモデルがイメージモデルをつとめています。

1.27.2017.2

似ているようでタイプが異なる二人が、互いに手をとりあってフェミニニティを追求する冒険の旅に出る……。このようなコンセプトが提示された時には、ええっ!?と椅子から転げ落ちそうなほどの(陳腐ですが、まさにそんな感じ)ショックを受けましたよ。Friendship is the New Couple.

1.27.2017.6

世界とシェアすることでさらに強まる友情の絆。男性の入る余地はない。笑

そこはかとなく不気味だ…信じられない…と感じた私は古い時代の人間でしょうか。マーケットは確実にミレニアル世代にヒットするように移っている。

SNSによって友情のあり方も変わる。異性(というか現在あるいは未来の恋愛対象)目線が皆無のフレグランスなんて、前代未聞ではないのか。ともかくも、現代を映し出す、斬新なコンセプトのカップルフレグランスの登場です。

 

1.27.2017.9

軽いカルチュアショックとともに発表会会場をあとにしました。すてきな場所でした。

1.27.2017.5

SNSシェア用のプロモーションの装置は完備。屈託なく「フレンドシップ」を誇示する「カップル」が想定されていたなか、一人の私はなんだか居心地悪そうにしておりますな。笑

 

*ニナリッチ「ニナ」はすでに発売中。「ルナ」は2月24日発売です。INTERMODE KAWABEより。

シスレーの新製品発表会にお招きいただきました。南青山スパイラルホールにて。

12-13-12

フィトブラン・ブライトニング・デイリー・デフィエンス。美白・保湿・保護・下地の全ての効果を備えた、日中用総合美白美容乳液です。SPF50 PA++++ という強力な防護効果なのに、白浮きせず、ラベンダー、マジョラム、セージのアロマティックな香りでのびもよく、快適なつけ心地です。癒しという効果も含めれば、一本で5役?!

都市部に暮らす女性は、地方より、シミ発生率が20%も多いのだそうです。紫外線ばかりでなく、大気汚染、ストレスといったものもメラニンを発生させる刺激要因になるのだとか。

12-13-9

目に見えなくても、毛穴から浸透するという微粒子汚染物質の存在を知ったからには、早目に防御するにこしたことはないですね。

12-13-11

2017年2月1日発売。50mlで29,000円。
12-13-13

シスレー・パリ アジアパシフィックのマネージング・ディレクター、ニコラ・シャニエ氏です。

11日(日)に行いました半・分解展トークショー 。

専門度の高い、長時間にわたる話にもかかわらず、約100名もの熱心なゲストにご来場いただきました。この日のために鹿児島から飛んでいらしたお客様もいらっしゃいました。

濃い2時間半でした。ご来場のみなさまありがとうございました。

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 (左から テイラリングコンサルタントの吉田大輔さん、パンタロナイオの尾作隼人さん、中野、長谷川彰良さん )
展示会場には人がひしめき、写真を撮ったり、議論し合ったりする活気ある光景が見られました。「分解してみる」って、けっこう男の子心をくすぐるものなんだ……ということを、ゲストを観察していて感じました。
 
ひとりのマニアックなパタンナーの情熱をつきつめた、前代未聞の展覧会、企業のスポンサードもないのにこれだけ人を集めたのは大成功と言っていいと思います。彰良くんおめでとう!
ストーカーといってもかならずしも悪い例ばかりではなく、ごくまれに、お宝のようなストーカーもいる。
寛大になること、オープンでいること、熱意には耳を傾けてみること。を心がけたことによって、押しかけ弟子からたくさんのことを学びました。笑
こんな志と情熱の持ち主につきまとわれるほどの仕事をさらにさらにしていかなくてはね!
尾作さん、吉田さんの現場のお話も生々しく、多くの業界にあてはまる話として、示唆に富んでました。

 

またどこかで機会に恵まれれば、お二人のお話の概要を紹介したいと思います。

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(手前のクッキーは、今回の展示記念に彰良くんが作ったヴィンテージ服クッキー。背後にあるのは、鹿児島からのお客様にいただいたおみやげです。ありがとうございました!)
ゲストのお一人からの質問。フロックコートが第一次世界大戦後に着られなくなったのはなぜか? これに関して、時間ができしだい調べてみますね。しばしお待ちくださいませ。

胸のすくような秋晴れに恵まれた土曜日、京都女子大学での半・分解展&トークショーで京都日帰りでした。

東京から、名古屋から、福井から、福岡から、神戸から、大阪から、ヴェトナムから、120名を超える方々に来場いただき大盛況、楽しい交流の機会をもてた、忘れがたい一日となりました。

トークショーも楽しんでいただけたようで、大勢の方々に本を買っていただきました。心より感謝します。(講演後の本の売れ行きは、お客様満足度のシビアなバロメーターとなるのです。)

ご来場くださいましたみなさま、支えてくださいました京都女子大のスタッフのみなさま、ありがとうございました!10-15-2016-2

一般のコスチューム博物館では、手袋をしてさわることも許されない貴重な歴史的資料である服に、ざくっと鋏を入れて分解してみた。この蛮勇あってこそ出てきた新しい発見の数々。
キツネ狩りの赤いジャケットの裏地が、風雨を入れないよう、袖口がすぼまるように作られていたことなど、表から見ていてもまったくわからなかった発見があります。日頃、実際に服を作っているテイラーの方々は、さらに多くの技術上の工夫を見つけて驚かれるようです。
お客様は実際に服を着てみることもできます。フランス革命前のアビ(ジュストコール=上着)が一番人気で、試着して写真を撮る人絶えず。この服を着て人はどんな生活をし、なにを考えていたのか。想像することも楽しくなってきます。

展覧会中は、長谷川くんが常駐しています。ぜひ、試着し、話を聞きにいってみてください。

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Van Cleef & Arpelsの新作発表会にお招きいただきました。

メインは「ペルレ」コレクションの新作。「ペルレ」は2008年に登場したコレクションで、職人さんの手仕事によるゴールドのビーズが特徴。

 

ゴールドビーズの歴史そのものは1920年代までさかのぼる。きっかけになったのは、1922年にエジプトのツタンカーメン王の墓が発見されたこと。エジプト風のジュエリーが流行し、金属の粒を連ねた細い糸が、ジュエリーのモチーフを引き立てるために多用されたとのことです。

書棚に並ぶのは、膨大な量の本……と見えて、これは顧客からの注文リストです。このブランドの歴史の重みを物語ります。

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試着させていただきました。ブレスレットは、ペルレ ゴールドパールブレスレットと、ペルレ クローバーブレスレット。幅のあるクローバーブレスレットは、細かいゴールドのビーズでぎっしりと縁どられています。指輪はペルレ クルール アントレ レ ドア リング。緑の石はマラカイト、白く見えるのはダイヤモンドがぎっしりセットされたゴールドです。「アントレ」、すなわち指と指の間に石が見えるような珍しいデザインです。ほかに赤いカーネリアン、ブルーのターコイズをセットしたバージョンがあります。

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“These gems have life in them:  their colors speak, say what words fail of.”  By George Eliot
(「宝石には命が宿る。ことばにならないことを語りかける」 ジョージ・エリオット)

 

 

ロンドンのフレグランスメゾン、ミラー・ハリスの調香師、Mathieu Nardin マチュー・ナルダンが来日、新製品のプレゼンテーションを行いました。

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マチューはフレグランスの聖地グラースで生まれ育ち、家族がほぼ全員フレグランスに関わる仕事についており、自分も当然のように香水の仕事をすると信じてごく自然にパフューマーになったという人。13歳のときからすでにロベルテで研修を始め、31歳の現在は、ニューヨークで活躍中です。若きベテランですね。

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ミラー・ハリスは良質なボタニカルの原料を使い、ロンドンのハイストリート感を基本に、ひねりのきいたパリ風の洗練を加えて独自のニッチブランドの地位を確立しているモダンブリテンを象徴するメゾン。

イラストを描くのは日本人のボタニカルアーティスト、Mio Matstumotoさん。この日は裸足でライブペインティングのパフォーマンスをおこないました。

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マチューが手がけた2種類の新製品「ルミエール ドーレ」と「エチュイ ノワール」は、相反する要素でありながら、ふたつでひとつのセットになるというコンセプトをもちます。光と影。昼と夜。陽と陰。オレンジと革のジャケット。なるほど、それぞれ単独でも際立った特徴をもつすばらしい香りですが、ふたつ重ねると、いっそう深みが増します。実際、試すとミステリアスで、心臓の鼓動が早まります。

香りの構成要素を色で視覚化してみせるという手法もユニークでわかりやすい。納得。

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ルミエール ドーレはトップにビターオレンジ、ミドルにネロリ、ラストにオレンジのフローラルウォーターと、光り輝くオレンジのイメージ。これからの季節にぴったりで、日本人ウケもよいはずです。上級者にはエチュイ ノワールとの重ね付けをおすすめします。レザーノートに、高価なイリスがアクセントを添えています。二つ重ねると、相反する二面性をもつ神秘的な魅力を放ちます。8月24日発売です。

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調香師マチューと記念写真。

発表会後、SPURの秋の香水大特集に関し、香水の歴史について取材を受けました。香水好きな人と香水の話をしていると時間を忘れます。以下、私が愛読する匂い関連の本(本棚の一角をがっちり占めていますが)のなかから3冊ご紹介します。

こちらはもう絶版ですが、香りの記憶に関する多くの著名人によるエッセイ集。新潮社編。復刻を希望します!

 匂いに関する面白ネタが満載。一時、流行した匂いつき映画「オドラマ」をめぐる攻防の話が結構好き。
 調香師でもある名文家、鈴木隆さんの本。鈴木さんにはほかにも「匂いの身体論」ほか匂いに関する興味深い本があります。鈴木さん、また書いてくださーい!

アンチエイジングに定評のあるシスレーから10月1日に新しいファンデーションが発売されます。

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発表会に出席しました。シスレージャパン本社にて。

時間がたってもくすまず、輝きが増し続ける処方。同時に発売となるリップバーム、進化したクレヨン型リップ「フィト・リップ・ツイスト」、アイライナーとしてもアイシャドウとしても使えるアイペンシルなどを駆使し、モデルにデモンストレーション。ビフォアと、

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アフター。ビフォアも十分お美しいのですが、少しメイクアップを施すことで、人の視線を奪い取るほどの引力が生まれます。FullSizeRender (74)
アンチエイジングというのは必ずしも自然な経年変化に逆らうということではなく、変化していくその時その瞬間を最大限に生きているという生命感を表現することではないかと思っています。時間に逆行する若返りを目指す「美魔女」とそこが決定的に違います。「マイナス〇歳」という世間(だれ?)が決めたスペックを追い続けているかぎり、永遠に心の中にはかすかな不安と不満が残っていきます。

プレゼンするのは、その時の「最高」。その瞬間の連続を淡々と続けていけばいいのではないか。

「いま、ここを最高にする」というファッション学の立場に立てば、アンチエイジングもそのように考えることができます。

(などと科学用語満載の解説を聴きながらぼんやりと考えていました。笑)

実際、視線ついでに心まで奪っていくような「美しい」人って、男女を問わず、年齢のことなど考えさせません。

会場で偶然に、アナウンサーにして大学講師も務める堤信子さん、大平雅美さんとお会いしました。おふたりともそれこそ年齢など感じさせない美人。とりわけ「アナウンサー立ち」というのか、美人ポーズの決め方にプロの風格まで出ています。

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京都国立近代美術館で開催中の「ポール・スミス」展記念シンポジウム「メンズファッションの歴史と現在」。昨日、盛況のうちに終了しました。FullSizeRender (101)

14時開始のシンポジウムでしたが、11時から整理券が配布され、15分ほどで100名様分の整理券が終了してしまったそうです。これは主催者側も予想外だったとのこと。

早くからお並びいただき、ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました。入場できなかった方々、ほんとうに申し訳ありませんでした。FullSizeRender (103)

客席の熱気と真剣な緊張感にやや気圧され、いつになくあがってしまい、伝えたいことを(わりあてられた時間のわりに)詰め込みすぎたこともあり、自分としては反省点も多々でした。情報が少なすぎるよりもたっぷりのほうがいいだろう、という発想からはなかなか抜け出せません…。次への課題です。

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とはいえ、モデレーターのクールな蘆田裕史さん、クレバーな百々徹さんのおかげで、内容の濃い、刺激に満ちた有意義な時間となりました。とくに、百々さんの、「日本人とポールスミス」の話は興味深く、日本人にとってのスーツを考えるための新しい視点を与えていただいたように思います。

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左が百々さん、右が蘆田さんです。展覧会の最初に登場するバイクの前で記念写真。シンポジウム終了後も、楽屋でメンズファッションの話で盛り上がり続けておりました。

最後に客席から受けた質問のなかに「メンズファッションを学び続けるための心意気はなんですか?」というものがあり、意表をつかれました。「モチベーション」じゃなく「心意気」。いい言葉ですね。たしかに、なにごとにおいても。

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最後は 決めポーズで展覧会の宣伝(笑)。この日は展覧会のテーマカラーと同じピンクのジャケットを着ていきました。写真では見えませんが、百々さんの靴下はポールスミス風ストライプだそうです。入場者も日々記録を更新とのこと。東京では今月下旬から始まります。

BLBG & Hackett London 2016AW 展示会へ伺いました。

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ハケットロンドンは「メイフェア」コレクションを打ち出しましたが、その隠れテーマは「ベルグレイヴィア」。

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バッキンガム宮殿の南西に位置する高級住宅地ベルグレイヴィアに暮らす貴族階級や外交官を連想するとともに、そう、あの、「ベルグレイヴィアの醜問」(「シャーロック」、シーズン2の1)を連想するのが正しい。

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シャツとタイが同系色というコーディネートはどこかシャーロック的。写真ではなかなか説明しづらいんですが、見えない細部の工夫がすばらしく、服マニアに根強いファンが多いのは、言われないとわからない細部の遊び心ゆえでもあることを実感します。

今回、ハウンドトゥースならぬパピートゥースという言葉も学びました。大型の猟犬ハウンドの歯形模様ではなく、子犬パピーの歯形模様。ネイビースーツに用いられていました。変わり映えがしにくいネイビーですが、遠目にはほとんど無地にしか見えない小模様があしらわれることで、ひそやかに楽しい変化の気分を味わえますね。

そして秋冬から再上陸するギーブズ&ホークス。3つのロイヤルワラントがそろう、サヴィルロウNo.1にあるテイラー。ちなみにエリザベス女王はこちらで儀式用のマントを仕立てていらっしゃるそうです。

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ロンドンの本店から特別に、ギーヴズ&ホークスが仕立てた軍服が運ばれ、展示されていました。まるでここだけコスチューム博物館のようで、テンションが上がります。右は1920年代ホークス製 ジョージ5世時代の馭者のハーフコート。ロイヤルアスコットのために仕立てられたそうです。左は楽隊の制服。

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こちらはロイヤルネイビーのリーファージャケット。ギーブズ製。艦隊の提督が着用したジャケットです。金モールの重厚な迫力に圧倒されます。

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ベルグレイヴィアつながりで、デレク・ローズのプライベートウエア。室内着に特化したブランドで、このガウンはカンバーバッチもドラマのなかで色違いを着用していました。総カシミア、裏はシルクで、えもいえぬラグジュアリーな感触です。なんちゃってアイリーン気分でモデルをつとめさせていただきました。しつれいしました。

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小物も充実しています。ジョシュア・エリスのストール、トゥルーフィット&ヒルのコームやネイルケアキットなど。そして一目ぼれしたのがロンドンソックス。これは贈り物に活用できそうですね。

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そして根強い流行が続くライダースも。老舗レザーウエアのJames Groseが復活、昨年秋に日本初上陸し、ライダースをバリエーション豊かに提案しています。肉厚なのに、柔らかく身体に吸いつくような着心地です。これ一枚で気分も印象もがらりと変わります。ドレスの上にこれを羽織って出かけるのもありですね。

BLBG & Hackett London スタッフのみなさま、ありがとうございました。

イギリスのEU離脱が決まり、キャメロン首相が辞任。

世界が騒がしいこんなときだからこそ、KEEP CALM AND CARRY ON. アイザック・ウォルトンのSTUDY TO BE QUIET. 日常の仕事を淡々と続けます。

ヴァルカナイズロンドン ウィメンズ2016AW展示会にうかがいました。

キャサリン妃御用達ブランド、キャサリン・フッカーはますます好調。コートのバリエーションも増えています。テイラードの高度な技術に裏付けられた、かわいらしさとかっこよさを両立させる服。着たとたんにきりっと背筋が伸びます。

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ほかにもゴート、ウィッスルズなどモダンブリテンを代表するブランドの新作の数々を目にして、感覚を更新。

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スマイソンでは、シェイクスピア生誕400年を記念した手帳を発売。表にはシェイクスピア作品から厳選されたセリフが刻まれています。

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グローブトロッターからはリバティとコラボした新色「エミリア」が登場。淡くシックなピンク×グレーです。

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キャサリン・フッカーのコート。セーターなど着こんだときには不向きですが、薄手のワンピースの上にこれ一枚だけ羽織る、というときにはきりっと決まります。こちらのモデルほか、いくつかの新作は受注のみの生産になるそうです。お問い合わせはヴァルカナイズロンドンまで。IMG_2953

 

 

Tasaki の新コレクションDazzle Night Sky。

星を抽象的にアレンジしたアブストラクトスター、回転花火をモチーフにしたスピナー、しだれ花火のスピレア、牡丹花火のピオニー、光の尾が流れるパームグリッターなど。後ろ姿まで美しく見える華やかで繊細なコレクションでした。

クリエイティブディレクターのサクーン・パニチュガルが直々にゲストをおもてなし! はじめて会うサクーンでしたが、あまりにもニュースでよく写真を見ているので、前から知っているようななつかしさ(厚かましい…)。

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What is the most thrilling aspect of fashion is, it sometimes helps us to reveal the most unexpected side of ourselves.

2015年感謝のまとめシリーズその2。ファッション、ライフスタイル全般に関するエッセイに関しても、多くの媒体で書かせていただきました。もっとも印象深かった仕事は、「ソーシャルカレンダー」連載も担当していたリシェス誌での特別記事、シェリー・ブレアさんへのインタビュー記事です。8.29.1      (8月29日 プリンスホテルさくらタワーにて)

25ansでは35周年記念巻頭エッセイを、レギュラー執筆陣の一人として寄稿させていただいたのは感無量。ラグジュアリー、ダイアナ妃、ロイヤルスタイルなどその後に続くテーマはすべて25ansでの仕事がスタートでしたから。読売新聞、北日本新聞「まんまる」、両連載もともに50回を超える長期連載となり、多くの人に感想などのお声をかけていただけるようになりました。アシダジュンさんの広報誌JAも、もう10年近く書かせていただいており、長いお付き合いが続くのはなによりもありがたいことと感謝しています。最新号には満を持して?「ファッション学宣言」を書きました。もう後に引けない思いです。

Japan-in-Depthに寄稿した「ボストン美術館キモノウェンズデー事件」総括記事はウェブ上でも話題となり多くの方に読まれ、いま、英語版を準備中です。また、GQ誌に書いた「ノームコア」の記事は、ウェブ版がいまだに根強く読まれ続けています。トレンドの話であるからこそ、普遍性をもつ文体で確実に書いていくことの大切さをあらためて肝に銘じています。

さらに、多くのブランドから、コレクション、ショールーム、展示会、新作発表会へお招きいただき最先端のファッションがうまれゆく現場に立ち会うことができたことは幸いでした。そしてある高級化粧品会社×ファッション誌タイアップの「輝く女性10人」の一人に選んでいただいたのはおまけのような幸運!

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フレグランス、ビューティー関連の展示会、発表会にも数多くお招きいただき、よい香りと新しい情報が途切れることのない一年でした。心より感謝申し上げます。
2015 perfume

Special thanks to Jun Ashida, Tae Ashida, Mikimoto, British Luxury Brand Group, Regina Romantico, Tadashi Shoji, Richesse, 25ans, Kitanippon Shinbun, Yomiuri Shinbun, Sarai, Precious, Mitsukan Water Research Center, Japan-in-Depth, GQ, Shiseido, Guerlain, Sisley, Parfum de Rosine, Penhaligon, Different Company, Fueguia, Jo Malone, Dunhill, Valentino, Ferragamo, Laboratory Perfume……

Invited to the Press Presentation of Sisleya L’integral by Sisley Japan.  At Palace Hotel.12.15.1

New Anti-Aging cream by Sisley now acts on the third dimension of ageing: it acts not only upon the visible signs of intrinsic and extrinsic ageing, but also, and for the first time, on those linked to behavioral ageing.

It will be released on the 11th March, 2016.12.15.5

Memorial Photo. From left: Ms. Nobuko Tsutsumi, Mr. Jerome Dovillers (Representative Director of Sisley Japan), Nakano, Ms. Yumi Jibiki, and Ms. Kaoru Gunji (PR of Sisley Japan).

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After the presentation, petit party with Yumi-san and Nobuko-san at Palace Hotel Lounge. Thank you, both of you, for those wonderful contributions to the Liberty Academy of Meiji University this year.

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シスレージャパンさまよりお招きいただき、パレスホテルにて新製品「シスレイヤ・ランテグラル」発表会。エイジングをもたらす3つの要因、すなわち遺伝的側面、環境的側面のほか、行動的側面にもはたらきかけるのが新しいというクリーム。効きそうです。シスレー・ジャパン代表取締役ジェローム・ドヴィレ氏じきじきのスピーチもあり、アンチエイジングの新潮流を知ることをできたうえに、シスレー社の新製品に対するたしかな自信がうかがえた発表会でした。

終了後、同じく参加していた地引由美さん、堤信子さんとパレスホテルラウンジにてカクテル。今年はお二人には明治大学リバティアカデミーにおいても多大な貢献をしていただきました。感謝してもしきれないくらいです。来年に向けての夢を語りあった(お二人においてはすぐにそのまま実現しそうなくらい、ありありとその様子が描けた!)、充実した楽しい時間でした。あまり未来を描く習慣のない私も、それぞれのお話を聞いているうちに、夢のかけらのようなアイディアが生まれてきたような気がしました。さっそく帰途にメモ。

常にロジカルに、オープンハートで、さっそうと笑顔で仕事をしていく信子さんと由美さんには、私も大きな影響を受けています。いつもほんとうにありがとう! 来年もどうぞよろしくお願いします。


シスレーのホリデーバッグに書かれていた「Give」。Givenchy かと思った・・・のは冗談ですが、Giveってやはり幸運を招きよせる最大にして最後のカギではないかと思う。与える、委ねる、贈る、伝える、発する、捧げる、譲る、差し出す、捨てる・・・。なにか行き詰ったら、Give という行為をしてみると、必ず思いもよらなかった報酬が降ってくる。やれるだけのことをすべてやって、あとは、我執を捨てて天に委ねるという思いでGive。お返しは期待しない。12.15.11パレスホテルラウンジから見る夜景の美しさもまた、この日、思いがけず降ってきた「ギフト」。

 

 

Presentation of the new fragrance of “Les Parfums de Rosine”, at Ritz Carlton Tokyo.

Madame Rogeon herself made a persuasive speech for the “Rose D’Amour”, which is coming on 17th Feb. 2016.11.20.2

The impression of the “Rose of Love”  is so sweet, fruity, joyful and a little painful. Like Love.11.20.3With Madame Rogeon.  She always shines elegantly as roses…

We had a talk about the untold merits of perfume.  For example, perfume lovers do not catch cold. Perfume cures the mood of depression.  It’s true.11.20.4

Beautiful illumination of Midtown Tokyo.  Love this season.  Thank God for giving us these wonderful and mysterious world of fragrance, without which I cannot live through the pain and burden of real life.

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パルファン・ド・ロジーヌから来年2月17日、新作「ローズ・ダムール」が発売されます。愛を象徴する薔薇をテーマにした香りで、調香師はデルフィーヌ・ルポ。優しく、歓びに満ちて、少し切ない香りです。

マリー=エレーヌ・ロジョンさん、発売元フォルテ社長の吉岡さんたちと、香水の知られざる効用について話をしました。香水に携わっている人は風邪をひかない。香水は鬱病、ないし、陰鬱な気分を治癒してくれる。などなど。これは、ほぼ真実です。

スペシャリスト地引由美さんのブログに、ロジーヌというブランドと、この新作に関するより詳しい解説があります。私がpainful と直感した印象の源は、どうやらダヴァナだったようです。キク科ヨモギ属。少しの苦味が、大人のアムールを表現しております。

8日にパレスホテルでおこなわれた、ミキモト秋のコレクション。10.8.13
パールとダイヤのベルトや、10.8.12たすきのようなパールのネックレスなど、目を奪われる芸術的なパールに感動。これをたすきがけしてリレーをしてみたいなどとけしからん妄想が走る。王勺風バトンの先にはキティがかたどってあってカリナンダイヤモンドが埋め込まれているとか。すいません、ただの妄想です。好きだなあと思うものを見ると妄想トリガー入ってしまいます。10.8.7
「ピクエ」など難度の高い職人技を守り、継承することを目的とした、超絶技巧を尽くしたデザインのシリーズも。素人の写真ではそのすばらしさを再現することは不可能ですが、実際に近づいて見れば見るほど圧巻。

下はかじられたザクロのモチーフ。中の実一粒一粒が深い輝きをたたえていて、吸い込まれるよう。

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メンズジュエリーもますます充実。帆船や⚓のモチーフも素敵ですが、ワイングラスをかたどったピンブローチにはには「ワイン」がちゃんと入っていて、ウィスキーグラスには氷が入っているのです。この洒落っ気をジュエリーで表現するのはなかなか大変だと思うのですが、それを軽々と実現しているところに老舗の底力を感じます。10.8.9

フォトスポットが不思議の国のアリス風で悪ノリ記念写真。ご案内くださいましたスタッフのみなさま、ありがとうございました。10.8.14

「それどころではない」時代であることはよくわかっています。しかし、それはそれ、これはこれ、アイザック・ウォルトンが17世紀、革命のさなかに「釣魚大全」を書いたような気持ちで、淡々とファッションビジネス界のことを書かせていただきます。第二次世界大戦中、「贅沢は敵だ」の時代でさえ、「千總」は職人技術を死守するために「着ることができない」超絶技巧着物を作り続けていました。どんな産業であれ、携わっている多くの人の生活があります。ご寛恕いただけましたら幸いです。
13日に三菱一号館美術館カフェにおいておこなれたミキモトコレクション2015-2016。

今シーズンの目玉は、長いネックレスとタッセルを組み合わせた「Skipping Rope Collection」。なわとびコレクション、ですね。7.13.5留め具で長さを変えられます。揺れるタッセルがなんとも優雅。

中央には、長さ3メートルのパールのなわとびが展示されていました!!! ぐるぐるとスカーフのように巻いて装うのだそうですが…。家が買えそうな価格(◎_◎;)
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ちらちらとセクシーにゆれるディナーリング。食事の時って手元に目が行くのですよね。このリングは高い悩殺力を宿しています。7.13.8

そしてチャリティのためのギフトアイテム。7.13.6「ミキモト」からは、ト音記号のピンブローチ。「ミキモト インターナショナル」からはリボンでト音記号を書いたボールペン。売り上げの一部は、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)を通じて、アジアの芸術文化の支援に役立てられます。ボールペンは贈りやすい価格でもあります。

今回も高い職人技術に裏付けられた芸術的なコレクションで、眼福でした。ミキモトスタッフのみなさま、ありがとうございました。7.13.9

2日、ヴァルカナイズロンドン メンズ2015-16秋冬コレクション展示会にうかがいました。7.3.1グローブトロッターはボンド映画新作の公開に合わせて、ボンドコレクション。ターンブルアッサーもボンドに合わせて。この秋はまたボンドブームが訪れますね。7.3.14ハケットロンドンは、トラディショナルな英国紳士のワードローブにひねりというか遊びを加えた、見ごたえあるコレクション。上、左のプリンス・オブ・ウェールズ チェックは、赤いラインがポイント。赤いネクタイと引き立て合って美しい。

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カヴァートコートには、袖口にボタンがつかない。木などにひっかかるのを防止するためだそうです。でもボタンの代わりにラインが入っている。ハケット印の袖口のボタンは2×2の4個なのですが(二個と二個の並びに若干空間があるのが特徴)、このコートのラインはそれに合わせて、2本と2本のラインに若干空きを作ってます。7.3.167.3.15

この写真では見えづらいですね(^-^; この袖口に4本のラインが、ボタンと同じような感覚で並んでいるのです。7.3.19

キルティング素材のテイラードジャケットも新鮮。白いボトムは引き続き「イン」であるらしい。 7.4.38

マニアックな世界をわかりやすくご案内してくださったハケットボーイズのみなさん。それぞれに個性的にハケットを着こなしていらっしゃいました。ありがとうございました!7.4.39

そして大好きなプレスの岡田さん。レディースに引き続き、ありがとうございました!

 

19日(金)夕方は、ジョー・マローンの新作「ミモザ&カルダモン」発表会、麻布十番のカフェにて。カフェは入口からエレベーター、店内に至るまで完璧に「ミモザ&カルダモン」の世界に彩られていました。

ロンドンからライフスタイル・ディレクターのデビー・ワイルドが来日。出席者の名前を一度で全部覚える(!)という頭のいいデビーによる、エモーショナルかつ理知的なプレゼンテーションを拝聴しました。6.19.4「ミモザ&カルダモン」のインスピレーションの源は、ブリティッシュ・ボヘミアン。さらに具体的に言えば、ホランドパークにある、フレデリック・レイトンの「レイトンハウス」。調香師は、このレイトンハウスと、南仏のミモザ畑に連れていかれたそうです。

レイトンハウスは、あのプレ・プレラファエロ一派の熱気を象徴するような館ですね。会場のテーブルに敷き詰められていたこのタイルプリントも、レイトンハウスからヒントを得たものだそうです。ヴィクトリア時代のあのボヘミアンでロマンティックな画家たちの人間関係を思い出して心ざわつく。笑。

なかでも、レイトンが描いた「燃え上がる6月」、Flaming June!  ここへきて、香りのイメージと絵のイメージが完璧に結びつき、深い感動を覚えました。Flaming_June3それまでまったく予想もしなかった点と点が有機的に結びつく瞬間って、脳内に打ち上げ花火が連続で上がったような興奮をもたらすものですが、この時もまさにそんな感じ。南仏のミモザとヴィクトリア朝のボヘミアンのソウルはかくして、21世紀にこんな形で幸せをもたらしてくれる。

6.19.1お声がけくださった沢樹舞さんと記念写真。

香水のボトルは「メモリー・イン・ザ・ボトル」でもある、というデビーの話に共感。ひとつの香りは、ひとつの記憶と結びつく。愛用してきた香水の数=宝物のような思い出の数、ですね。実際、私は「新しい季節を始めよう、始めねば」と思った時には、香水を変えます。香水を新しくするということは、記憶のファイルを新規に一つ創っていく、ということでもあります。

「センティッド・ダイニング」という発想もジョー・マローンらしい。ダイニングの席でのアロマキャンドルが放つ香りによって、ディナーの「味」が完成するという発想です。ディナーの席に強い香水は厳禁、という「常識」を逆手にとるようなポジティブな発想。ワインとディナーと香水ではじめて完成する「味」を創作できたら、それこそ、フレグランスの可能性を拡大することになる。と考えるとワクワクしてきます。

グローブトロッターの新作発表会が表参道の金田中にておこなわれました。

美しい庭園を背景に、千總とのゴージャスなコラボレーションの数々が発表されました。6.5.6

和の盛装がりりしい千總の取締役製作本部長・磯本さん(右)と社長の中田さん(中央)、ギーヴズ&ホークスのスーツにターンブル&アッサーのシャツ姿も完璧なBLBG社長の田窪寿保さん(左)が、白い手袋をはめ、同時に静かにケースを開けて中を披露、という演出のため息もののすばらしさ。6.5.5金田中が特別に作成した、和のアフタヌーンティー。仕掛けが随所にほどこされていて、目に美しく舌に美味しい、驚きに満ちた懐石料理でした。6.6.8

デザイナーのシャーロットとも再会できて喜び合う。ロイヤルベビーと同じ名前のシャーロットは、千總の着物でゴージャスに。6.5.14

和服を入れて運ぶのにこれほどみごとなケースはあろうかという迫力。200万円を超えるのだとか。6.6.7

千總さんには一昨年、リシェスの取材で訪れており、スタッフの皆様とは久々の嬉しい再会となりました。BLBGのみなさまともよくお仕事をご一緒させていただきます。志の高い大好きな方々が、互いのよいところを生かしあって、2×2=10という勢いのすばらしいコラボレーションを創り上げる、その祝賀の席に立ち会えることは、本当に感慨深く、ワクワクするものですね。心より光栄に思いました。ますますのご発展をお祈り申し上げます。6.5.4

4日におこなわれた、Different Companyの新作’I miss Violet’の発表会。マンダリンオリエンタルホテルにて。

ヴァイオレットはローズのように気持ちが華やかに外に向かわず、むしろ内向的に沈むというか落ち着いていくのですが(反応は人によって異なると思います)、この新作はまたそこにレザーのひねりが加わり、長く忘れがたい印象を残します。

勢ぞろいしたディファレント・カンパニーのフレグランス。どれも上質な原料を使っているので、深呼吸したくなるような心地よさ。

6.4.7

芦田多恵さん、ご主人でジュンアシダ社長の山東さん、広報の熊井美恵さんにも偶然、遭遇! 日頃はコレクション会場などでお会いすることが多く、香水発表会でお目にかかるのは初めてで、ひとしきり香水談義などで盛り上がりました。多恵さんとの記念写真です。6.4.8

ラルフローレンの展示会。表参道のラルフローレン旗艦店プレスルームにて。

今回、最も感激したのは、チャーチルが大戦中に着た仕事着「サイレンスーツ」にインスパイアされたフォーマルなツナギ。右端です。5.28.13

レディスにも同じものがあって、違いはズボンのタックの方向のみ。メンズはフォワード(内側)にタックが向いており、レディスは外側に向いている。メンズのタック内側向きというのは、ラルフローレンの特徴だそうです。

ストライプのスリーピーススーツの美しさにも目を奪われました。さまざまな角度で交差するストライプ、ため息ものです。5.28.12

上の写真左の、チェスターコートも品格があります。

レディースも。手仕事の迫力が生むエレガンスが圧巻。5.28.7

ファーもありますが、いまいちしょぼっとしている。でも、「ファーのために育てられ殺される動物の毛皮を使ったのではなく、自然に死んだ動物の毛皮を使っていますよ」ということで、あえてこのまま。「エシカル」ないまどきの風潮が背景にあるのですね。なにごとも、表面だけを見るのではなく、背後の文脈を読んで解釈する必要があるということ、ファーひとつとっても実感します。5.28.10

詳しくご案内くださったプレスの内田良和さん、大橋秀平くんと記念写真。ありがとうございました!5.28.9

 

20日におこなわれたTae Ashida の秋冬コレクション、グランドハイアットにて。img111「不思議の国のアリス」のBGMに合わせて披露される、胸騒ぎが起きるような斬新でミステリアスなコレクション。ラップ風ジャケットとスカートで作るシルエットや、ワンピースにフードつきベストをあわせて作るレイヤードスタイルは、従来のアイテムの組み合わせからは生まれない新鮮さにあふれ、はっとさせられる。img110ラストの数着のソワレは、ドラマティックな音楽効果もあいまって、あまりの美しさに涙が出たほど。毎シーズン、エレガントに挑戦を続ける多恵さんには、いつも大きな刺激を受ける。リスペクト。3.20.1ショーを無事成功させた多恵さんと記念写真。着ているのは今シーズンのTae Ashidaです。ヤボに転びがちなヒョウ柄を品よく都会的に仕上げるセンスは、多恵さんならでは。

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ペンハリガンの新作「トレードルートコレクション」の発表会、コンラッド東京のエグゼクティブスイートにて。

19世紀後半のイギリス帝国の貿易ルートがもたらす贅沢品やレアものからインスパイアされて作られた3種の新作「ロタール」「エンプレッサ」「ラヴァンティウム」。その新作から私自身が連想したヴィクトリア朝イギリスの光と影に関するサロンレクチャーをさせていただきました。

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(服地のマルキシ三代目社長、岸秀明さん撮影の写真。ありがとうございました!)

コンラッドのスイートから見える夜景に、当時のロンドンの港の風景を重ね見てほしいというスタッフの情熱は、各香水をイメージして飾られた部屋のディスプレイからも熱く伝わってきました。

当時のティークリッパーとしておそらくもっとも有名なカティサークの模型も飾られました。船首にはしっかり、馬の尻尾をつかんだカティサーク(短いシュミーズという意味です)姿の魔女のミニチュアもついてます。ご協力くださったのは、Model Ship Builder’s Club THE ROPEの福田正彦さま。

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ベッドルームは、エンプレス(女帝)をイメージしたデコレーションで、これがもううっとりもの。

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プレスの宮地麻美さんと記念写真。サロンレクチャーでは、私の暴走気味?の連想を、柔らかくフレグランスの話に着地させてくださいました。

こちらもベッドルーム。アンティーク調のパールやルームシューズやケープがセンス良く配置されています。

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サロンレクチャー終了後は、香水や歴史といった、浮世離れした話に熱心に耳を傾けてくださったお客様たちとシャンパーニュを飲みながらのおしゃべり。トレードルートのイマジネーションに彩られた濃厚にロタールが香る空間は、去りがたいほどでした。

今回のお仕事を機に、ヴィクトリア朝を「香り」という観点から見直すとあらたな発見が多々ありました。

モルヒネやアヘンチンキなどの「痛みどめ」がなぜ続々開発されたのか?とか、花言葉とリスペクタビリティとの関連とか、シダとメンズスーツの関係とか。今回お話したことはまた追っていろいろな媒体で書いていきたいと思っています。よい機会を与えてくださったプレスの宮地さんはじめスタッフの皆様にも、心より感謝申し上げます。

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しばしのタイムスリップをご一緒した素敵なゲストの方々のなかには、ワイン評論家の葉山考太郎さん(左)、カルロこと黒部和夫さん(左から二番目)、N-Style編集長の廣瀬規子さん(右から二番目)、日仏フレグランス文化財団の地引由美さん(右)も。葉山さんにはその後、「バーで伝説となるお酒の注文のしかた」を教えていただきました!今度試してみよう。笑

続いて、ミキモトの展示会。目玉は、「真珠の首飾りの少女」にインスピレーションを得たイヤリング2種。どちらも、見飽きない、迫力の美しさ。

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今回の展示会では、ピンブローチが圧倒的に増えていました。というか、ピンブローチが主役の勢い。その理由が、私が「サライ」で書いたメンズピンブローチの記事だそうです。問い合わせ殺到を受けて、ピンブローチの数を増やしたとのことでした。

物書き冥利に尽きます。うれし泣き(T_T)。お問い合わせくださった読者の皆様、ほんとうに、ありがとうございました。

もうひとつの目玉が、桂由美さんとのコラボによるウェディングドレス。1万3千個以上のアコヤ真珠を縫いつけてあります。神々しすぎて、文字通り、息もできない。

Katsura_mikimoto
価格を記すのは無粋の極みとは承知ながら、買うと3500万円、レンタルだと250万円だそうです。夢見るだけならだれにもメイワクかけないと思うので(~_~;)、せめて夢だけ見させていただきます…。