GQの名物編集長であられる鈴木正文さんの古希祝い会が、鈴木さんのお誕生日(ヴァレンタインデー)前夜におこなわれました。レクサス南青山にて。

バースデーケーキの奥にはなぜかレオンが見えますが。笑 この日は壁を越えて? あらゆるメンズライフスタイル誌の編集長たちがお祝いに駆けつけておりました。70歳でなお現役バリバリの編集長というのは、編集者を天職として考える人たちの、ひとつの理想的なロールモデルなのですよね。

あの方もこの方も、さらにあの方まで! ということでメンズライフスタイル誌の業界あげての祝賀会のような和気あいあいとした雰囲気でした。100名もの参加者がいらしたそうです。上はケーキのだるまに目を入れる鈴木編集長。

上の写真、左は司会のハリー杉山くん。ファッションセンスはもちろんのこと、トークのセンスもいい。

将棋の佐藤天彦名人もお祝いにかけつけました。鈴木編集長はコレクション(の待ち時間)が退屈なときフロントロウでスマホ将棋をしているそうですよ。笑 この日の天彦名人はいつものアン・ドゥームルメステールではなくお仕立てのスーツ。アルバートチェーンまでばっちり決まってました。

左から、ハリー杉山くん、PRの廣見さん、鈴木編集長、中野、ゲーテの島田さん、レオン編集長の石井さん。

鈴木編集長には、ENGINE時代、それ以前のNAVI時代から、折に触れお仕事の機会を与えていただきました。ものの見方を教えていただいた恩師でもあります。栗野宏文さん、河毛俊作さんも含めた、20年ほど前の濃ゆい座談会の一部は本サイトのアーカイブにもアップしておりますよ。それにしても当時よりも若々しく進化している編集長なのでした。次は喜寿祝い!?までぜひ現役でご活躍いただきたいものです。あらためて、古希おめでとうございます。主催者の方々、素敵なパーティーを企画していただき、ありがとうございました。

ロンドンファッションウィークメンズ開催中。デイヴィッド・ベッカムが一部所有するケント&カーウェンは、戦前ドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」とコラボしたコレクションを発表しました。詳細は「ガーディアン」のこちらをご参照ください。


Special Thanks to Photograph: Jamie Baker for the Guardian

極太ストライプの上着、固結び調のネックウエア、なかなかかわいい。

Peaky Blindersはいま話題にのぼることが多いBBCドラマです。1919年のバーミンガムに生息したギャングのストーリー。この時代のコスチュームって凝っていて、美しいんですよね。

BBCのHPより。Peaky Blinders

写真を見ているだけでテンションが上がります。多くのデザイナーがそう感じたようで、インスパイアされるブランドが多々。

マーガレット・ハウエル、ドルガバ、アレキサンダー・マックイーンなどがこの時代にインスパイアされたコレクションを発表しているという記事はこちらをどうぞ。

イギリスのコスチュームドラマは脚本も衣裳も俳優もセットもレベルが高くて、影響力が大きいですね。ダウントン・アビーの映画版ももうすぐ公開になるし、1920年代(前後)ブームは今年、しばらく続きそうですよ。

The Favourite 「女王陛下のお気に入り」試写。

Emma Stone stars in Fox Searchlight Pictures’ “THE FAVOURITE.”

18世紀初頭、アン女王時代のイギリスの宮廷が舞台。豪華絢爛な衣裳に身を包んだ女性3人のバトルの行方が、当時のイギリスの歴史を背景に描かれる。いやもう濃厚で過激。野心羨望嫉妬駆け引き憎悪淫猥愛情怨恨野蛮滑稽孤独哀愁陰謀下劣凄絶といった印象でしょうか。もう単語と単語の間に「・」もつけられないみたいなね。

終始、カメラワークも音響も不安をかきたてる。女優3人の演技もすさまじい。18世紀初頭の宮廷衣裳、メイクもすばらしい。衣装デザインはサンディ・パウエル。

Rachel Weisz, left, and Olivia Colman star in Fox Searchlight Pictures’ “THE FAVOURITE.”


アン女王のこのヘアスタイルね、17世紀の「フォンタンジェ」の名残りです。スカートは18世紀のパニエ。まだそれほど拡張していない。時代の変わり目のスタイルまで忠実に再現しています。

男性もこてこてくるくるの長髪かつらに白塗り、チーク、リップ、パッチの化粧。トーリー党とホイッグ党ではかつらの色まで違う、というところまで再現。

決してやすやすと「感動」できたり「すっきり」できたりする映画ではありません。むしろ2時間が不安感や不快感すれすれとの闘いで、なんだか凄絶なものを見た……という複雑な余韻が残ります。しばらく時間が経ってから思い出したのですが、この感じ、ピーター・グリーナウェイの映画を観たあとの感覚と似ている。「英国式庭園殺人事件」とか「コックと泥棒、その妻と愛人」とか、あのあたりの。グリーナウェイほど難しくはないですが。

監督はギリシアのヨルゴス・ランティモス。18世紀イギリス貴族の野蛮さや滑稽さもブラックユーモアでちらりちらりと表現しているのがたまりません。

紳士ネタで笑った会話が、侍女アビゲイル(エマ・ストーン)と、彼女に一目ぼれしたマシャム(ジョー・アルウィン)との会話。
アビゲイル「誘惑しにきたの? それともレイプしにきたの?」
マシャム「ぼくはジェントルマンだ」
アビゲイル「じゃあ、レイプね」

ふたりのフラーティングもかなり野蛮すれすれで面白いのね。これは見ていただくしかないとして、こういう行動をすれば男性は夢中になるということを、アビゲイルは勇敢に見せてくれる。いやこれは農耕民族にはムリだろう……という感じで見てました。笑

というわけで、心の体力ががっつりあるときに見てね。重たかったのですが、ゴールデングローブ作品賞はミュージカル・コメディ部門にノミネートよ。重たくて不快もスパイスになる、新種のコメディ。

こんな滑稽な一部の人たちの思惑で国の重大事項が決まり、国民の命運が決まっていくなんて……という不条理は、現代も同じね。



2月15日(金)より全国ロードショー。写真は配給会社よりご提供いただきました。©2018 Twentieth Century Fox

Men’s EX 1月号では、紳士のためのジュエリーに関するエッセイも寄稿しています。

どのようなジュエリーがあるのか、他のページでは写真もご覧いただけます。ミキモトの社史も学べる充実のページになっています。ぜひ本誌でご覧くださいね。


ちなみに私は最近、イヤリングもネックレスも一切つけてないのですが(ミニマリズムというとかっこいいですが、実際はなくすことがあまりにも多いため(^^;))、レフ版効果が必要なときにはミキモトのブローチをつけていきます。落とす心配がないし、意外とブローチひとつで正装感が上がるんですよ。

Men’s EX January issue.

先日のSuits of the Year の記事が掲載されております。

ゲストとして、小さいですが写真が掲載されています(左欄)。ロッソネロのタキシードを着ております。女性も一着タキシードをもっていると意外と着回しが効いて便利だと思いました。Special Thanks to Rosso Nero.

 

エッセイも寄稿しております。MIKIMOTOとのタイアップページです。「紳士の装いに受け継がれてきたジュエリーという嗜み」。

 

 

 

そして巻末のサプライズ。笑 いであつしさんが、連載コラムのなかで、私のエッセイを引用してくれましたよ。グレイネッサンスに関する、「ファッション歳時記」の10月号の記事のことですね。Special Thanks to Ide-san.

 

 

 

 

三陽商会に取材に伺いました。


新築のブルークロスビル。外から見ると、建物が経糸と横糸で織りあげられたブルーの布のようにも見える設計。坂道の途中の建物ということもあり、かなり工夫が凝らされています。



1階の展示スペースには四季折々の旬の製品が展示。

「コートのSANYO」のキャッチフレーズにふさわしく、100年コートはじめ、バラエティ豊かに各種コートが揃います。

 


ニットが恋しい季節ですね…。こんなきれいな色のニットは気持ちも明るく上げてくれそう。

2階は広々としたスペースで、カフェあり、打ち合わせスペースあり、展示会場となるスペースあり、お一人様用作業スペースあり、と多様な使い方ができるデザイン。

観葉植物やファッション関係の洋書も随所に置かれています。

仕切りがなくても意外と周囲の目が気にならないのですよね。

展示会はすでに終了しておりましたが、展示会の名残りも楽しませていただきました。上は三陽山長の靴。

個性的で上質な素材を使ったエポカ・ウオモ。

ほか20以上のブランドをもっている三陽商会。撥水機能がある白い服地で作ったシャツやセーター、ジャケットなども自社工場で作っているとのこと、実際にコーヒーをこぼして実験してみましたが、きれいにはじいてシミ一つ残らないのです。これいいな! 来春はレースバージョンも出るらしく、今から楽しみ。

アパレル苦戦と言われておりますが、老舗の大会社の貫禄は随所に感じました。現在の試み、今後の計画なども伺いました。内容は別の機会に。


この日のランチはこんな場所で。高くそびえるためには土台もしっかりしていなくてはね。などというベタな言葉が出てしまうほどの迫力。

各誌で「今年の男」のお祭りが花盛りですね。2018年を彩った男たち、僭越ながら私も選ばせていただきました。

中野香織が選ぶ Men of The Year 2018.  今年も多くの方が大活躍で、なかなか10名以下に選びきれなかったのですが、かろうじて3部門に各3名ずつ。基準はメンズスタイルへの影響力です。

実は紙幅の都合で、本文 は大幅に削らざるを得ませんでした。ブツブツと列挙してるだけみたいな味気ないテキストになってしまいましたので、以下、オリジナルの全文掲載します。

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「中野香織が選ぶ、今年を彩った男たち」

2018年も多彩な顔触れが活躍しました。多様な人々を包摂してよりよい社会を目指そうとするDiversity & Inclusionの運動を先導するモード界の代表格としては、ルイ・ヴィトン・メンズのアーティスティックディレクターとして就任したヴァージル・アブローがいます。ルイ・ヴィトン初の黒人ディレクターとしても話題を集めました。黒人ばかりが出演する初の黒人ヒーロー映画として大ヒットした「ブラック・パンサー」の主演俳優、チャドウィック・ボーズマンも今年を象徴する男性ですね。

モード界ではヴァージルもプレイヤーの一人として中心的な役割を果たしているストリート・ラグジュアリーが台頭しましたね。ヴィトン×Supremeの限定品には世界中で行列ができました。少し若い世代になると、ラグジュアリー・ストリートをさらに自分たち仕様に着崩した「スカンブロ(scumbro)」の流行が生まれました。スカム(scum)はクズ、ブロ(bro)はブラザーのこと。高価なストリートウエアをまるで中古ショップで拾い集めてきた服のようにあえて安っぽく着るのです。私の中のオヤジが発動して「好かん兄弟」と訳していることはご寛恕いただきたいとして、このトレンドを引っ張るのが、ジャスティン・ビーバーくん。オン/オフの区別はとくにせず、髪もくしゃくしゃでいつも悪びれず自然体、という満ち足りた自信が人気の秘密のようです。
ストリートの流行で、ナイキはビジネスを大躍進させました。ナイキがキャンペーンの顔として起用したのが、アメフト選手のコリン・キャパニック。彼は、最近のアメリカで起きている人種差別に反対して、国歌が歌われるときに片膝を立てて座ることで抗議を始めた選手です。キャパニックの強い信念に基づくこの行動は賛否両論を呼んでおり、彼がキャンペーンの顔となったことで一時、ナイキ製品を燃やしたりするバッシングが起き、売り上げも下がりました。しかし、ナイキは動じず、結果的にナイキの株価も上がった次第。信念を貫く男をサポートするナイキもまた、信念の企業である、とアピールすることに成功したわけですね。

さて、ストリート系の話が続きましたが、スーツ界に目を向けて見ましょう。強烈な印象を残すのが、グッチのスーツキャンペーンの顔に起用されたハリー・スタイルズです。彼はもとからピンクのスーツや花柄スーツを誰よりもクールに着こなす人でしたが、トラディショナルなスタイルのスーツも、いまどきの「タッキー」な気分を添えて着こなしてしまう。タッキーとは、一歩間違えると悪趣味でダサいのだけれどそこが素敵、というミレニアルズのファッション感覚です。

正統派の美しさで世界中の男女の魂をわしづかみにしたのは、アーミー・ハマー&ティモシー・シャラメの「カップル」。『君の名で僕を呼んで』の芸術的な衝撃の効果もありますが、映画の外でもこの二人は光っておりました。ハマーの非の打ちどころない美貌と繊細な演技力。唯一の欠点が、何を着ても美男過ぎること、でしょうか。そしてシャラメはキュートな子犬のような王子様感を味方に、ストリートスタイルからスーツスタイルまで、ひねりの効いた個性的な着こなしでセンスのよさを見せつけてくれました。

ビジネスパーソンでは、ケリング会長のフランソワ=アンリ・ピノー。9月にパリまでインタビューに行き、アートやサステナビリティをどのように経営に生かすべきかという話を聞いてきたのですが、17世紀の病院をリフォームして社屋として使うなど、口先だけではなく実行力も伴い、ケリングの売り上げは大幅に上昇しています。強い印象を残し過ぎないスーツの着こなしも、信頼されるビジネスマンの模範的スタイルでした。

一方、「らしくなかったで賞」を献上したいのが、テスラのイーロン・マスク。ツイッターでの暴言で自社株価を下げ、投資家に多大な迷惑をかけたりなど、問題行動が続き、迷走中。言葉が荒れるとともに、かつては凛としていた服装にも手抜きが見られます。

サセックス公爵となったヘンリー王子も、あいかわらずの無頓着ぶりでした。自身の結婚式にはユニフォームを着用しているのに髭もじゃ、披露宴のタキシードの着方もいい加減、というつっこみどころ満載の花婿姿を披露してくれました。いやこの「らしくない」スタイルこそ愛すべきヘンリーだからしょうがないし、幸せそうでなによりと世間が大甘で許しているのもご愛敬ですね。

そしてエディ・スリマン。Keringグループのサンローランから、LVMHグループのセリーヌへ。手がけるブランドはなんであれ、なにをやってもエディ印になってしまう。「セリーヌ」らしさをなくしてしまったと旧来のファンからは大バッシングを受けるも本人はいたってクールで淡々と稼いでいく、というのがニクいところですね。

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みなさんそれぞれの世界で光ったMen of the Yearはどなたでしょうか。

フラトンホテルの近辺は金融街シェントン・ウェイ。


今、世界でもっともお金が動いているスポットのひとつとも言われてますね。(金融にはまったく縁遠いわたくしです)

10年前にはまるで面影もなかったような、超近代的な高層ビル群が。

昼休み終了間近のビジネスマンのスタイル観察。ほぼ長袖シャツスタイル。タイレス。シャツには胸ポケット付き。トラウザーズポケットにも胸ポケットにもいろんなものがぱんぱんに詰め込んであるのは日本と変わらず。やはり年間を通して外気温ほぼ28度前後という環境においては、ドレスシャツそのものが「上着」になる。原理原則ではシャツの胸ポケットを廃止すべきなんだろうけど、現実問題として、本来ならば上着の内ポケットに入れておくべきものをどこかに収納せねばならない。となればシャツの胸ポケットは切実に必要なんだろうなと思う。

人は「原理原則にのっとった正しい服」のために生きているわけではなくて、服は人の仕事を助けるべきものである、という立場に立てば、亜熱帯~熱帯地方での胸ポケットはアリでいいんじゃないか。(すでに勝手に普及してますが……(^^;)) いずれにせよ、既成事実が今後の歴史を作っていく。

しつれいしました。お仕事おつかれさまでございます!

いろんな経済会議が開かれておりました。

 

建物の裏側?はリバー。リバーサイドには柵も何にもない。悠々と船が航行しています。

こんな活況を呈している国際的金融センターもあれば、アラブ街、インド街、チャイナタウン、ホーカーズに行けばさらになんでもありで、それぞれの世界のエネルギーに触れると、小さい一世界の価値観にふりまわされて落ち込んでいるのがくだらなく思えてきて、少しだけ救われるね。

11月7日付けの日経新聞×Hankyu Men’s の広告に登場しました。

恩師でもある大住憲生さんとギフトについて対談しています。

「相手のことを考えた(フリした)無難なモノ」よりも「これがいいと自分が思うモノ」のほうが、関係性の構築にはよい、という発見があった対談でした。

ほんとうは何だって嬉しいんですよね。時間をわざわざ使って、考えて贈ってくれたということじたいがありがたい。

 

そして「自分にごほうび」、これ、ほんと私やらないのです。恥ずかしすぎるというか、ごほうび受け取れるほど成果上げてないだろう、と自分では思ってしまう。自分で自分にプレゼントしてもなんだか虚しいし。人さまに喜んでもらう方が嬉しいので、時間もエネルギーもそのように投資する方が多いかなあ。予想外のギフトが還ってくることが多々あります。もちろん、投資した分が常に還ってくるとはかぎりませんが、投資しなければまったく返ってこないのは確実なんですよね。



Men’s EX × Nikkei Style 主催のSuits of the Year 2018. 日比谷ミッドタウンにて。

今年は第一回目とのこと。大勢のメディアが押しかけ、一般のお客様も多く、熱気にあふれて盛り上がりを見せていました。

 

受賞者のみなさま。ビジネス部門はファミリーマート代表取締役社長の澤田貴司さん。フォリオ代表取締役CEOの甲斐真一郎さん。 イノベーション部門はAIの第一人者、松尾豊さん。スポーツ部門は競泳選手の荻野公介さん。そしてアート&カルチャー部門は俳優の田中圭さん。

 

それぞれ、スポンサーである各テイラーのお仕立てスーツを着用し、やはりスポンサーであるグランドセイコーの時計を着用。スタイリングは森岡弘さん。

それぞれまったく違う印象のスーツで、着る人の個性をうまく引き立てており、眼福でした。

ファミマ社長の澤田さんは、「このシャツはファミマと帝人がコラボして作る2700円(正確な数字忘れた)のシャツ」と公開してどよめきを生んでました。ストレッチが効いて着やすそうで、見栄えもいい。これから発売されるそうですよ。

競泳選手の荻野さんはフォトセッションのときかなり暑そうで、常にヘアメイクの方に汗をおさえてもらってました。代謝がよいうえ、水着が多いので、荻野さん的にはスーツはかなり厚着になるのでしょうね。笑

個人的には田中圭さんのビームスのスリーピース!


ネイビー系のタイとチーフがまた美しくとけこんでおり、本人のちょっとしたサービスのしぐさもあいまって、とりわけ素敵でした。上の写真左は、金森陽編集長。

インターミッションの会場にて。左は今回のアドバイザー、森岡弘さん、右はMen’s EX編集部の田上雅人さんです。私はこの授賞式の直前に展示会に伺っていたロッソネロのタキシードを着ていきました。大きなボウタイ(メンズ)はロッソネロのオーナーデザイナー、横山宗生さんのデザインです。

いやそれにしても、ここぞのときにきちんと着用されたスーツというのは男性をひときわ格上げして見せますね。(ひどい着方のスーツもまた逆方向の影響を及ぼします)。いまはタイレス、カジュアル、スニーカーがビジネスシーンでも主流になりつつありますが、もうこんなフルドレス見てしまうとね。スーツの威力をあらためて思い知らされたのでした。仕事で輝いている人はたたずまいも堂々としていて、やはり内実がともなってこそスーツは最大限にその人を引き立てるというのも目の当たりにした気分。来年はせめて候補に選ばれるようにがんばろっと(笑)。

 

〇Men’s EX のコート特集の記事は、Nikkei Style にも全文が転載されました。こちらです

お時間のゆるすときあれば、ご笑覧くださいませ。

いまは紙媒体の記事の多くは後日ウェブで読めるようになるし、そもそも発売時にもdマガジンでも読めたりしますよね。であれば紙の雑誌の存在意義はどうなるのか。考えさせられます。

〇LEON × Nikkei Style Magazinの記事もウェブレオンに転載されています。こちら。

なんかこれも写真が容赦なく「ど」リアリズムで怖いのですが(ほんと、お見苦しくて申し訳ない)、そこで勝負してないのでスルーして本文のコメントだけ見ていただければ幸いです。

 

〇さて。

ウェブ記事ついでに。長谷川彰良くんのインタビュー記事。若い人にとてもよい刺激になると思うので、もしよかったら読んでみてね。

なんと、マンハッタンのエグゼクティブさながらに颯爽と風を切って丸の内を歩いているよ。笑

あの半・分解展にかけた彼の情熱の量やご家族のサポートがどれほどのものだったのか。あらためて目頭が熱くなりますね……。「お兄ちゃん」もいい味出してる素敵な人なんですよ。

教え子や(押しかけであろうとなんだろうと)弟子のめざましい成長、活躍ほど嬉しいものはないです。私も逆に彼らのひたむきな仕事ぶりから教えられるし、刺激をいただきます。「広めるのではなく、深める」という姿勢は、正しいと思う。深めた先に、すべてに通じる鉱脈が流れているんですよ。来年は世界に羽ばたいてほしい!

“The job of the artist is always to deepen the mystery.”  (芸術家の仕事とは、常に神秘を深めていくことである)Francis Bacon

読者のみなさまもそれぞれに、深まる秋を楽しんでください。(ご近所の寺家町の風景)

昨日のCampというトレンドとも関わってくるのですが、グッチはここまでキャンプになっているという話。

グッチのテイラリングキャンペーンの動画が発表されましたが、舞台になるのはイギリス北部のThe Campというフィッシュ&チップスの店。

(Gucciの新作を着てチップスを食べるハリー・スタイルズ)

生きた鶏を抱えたハリー・スタイルズがお店にブラっと立ち寄り、フィッシュ&チップスを注文して地元の子?と並んで立ち食いしてます。

BGMはビートルズの「ミシェル」。

ハリー・スタイルズがイギリス人なのでイギリス的な状況で撮りたかったらしいのですが。

最後にGUCCIのクレジットが出てきて、その絶妙な違和感にやられます。

顧客の先入観やイメージを脱力的に裏切り続けていくアレッサンドロ・ミケーレ。やはりアーティストですね。

プロモーションフィルムは、グッチHP、スーツコレクションのこちらからご覧ください。

こんなの見てしまうと、「スマートな、できる男」や「洗練された、ダンディぶり」なんかを強調したスーツのPRが、もはや響かなくなりますね(いやスーツの種類が違うし着る層も違うという異論があることは了解)。グッチ&チップスの破壊力、どこまでいくのか。

 

Men’s Precious Autumn 2018 発売中です。

 

 

メインの特集は、2018年流Gentleman A to Z。

巻頭で、「21世紀の“紳士”概論」を寄稿しております。8ページにまたがる6000字超の解説。ファッション誌のエッセイとしてはかなり長い分量です。



ジェントルマンって? ダンディって? そもそもどういう人種をさすのか、その起源と歴史と現在を書いています。

お時間のゆるすときにでも、おつきあいくださいませ。

日本経済新聞 土曜夕刊連載「モードは語る」。本日掲載です。

ファッションテックの分野ではニューリテールもさくさくと進んでいます。

ニューリテールとは、リアル店舗とECを融合させたこれからの新しい小売り業の形です。アリババのジャック・マーが提唱したビジョン。

ニューリテール・プラットフォームとして国内最大級の規模に成長したアプリ、Facyを運営するスタイラー株式会社の代表、小関翼さんに取材した記事を書きました。

アジア市場にも詳しい小関さん。アパレルが厳しいと言っている場合ではない。アジアに視野を広げれば膨大な可能性が広がっている。渋谷にあるスタイラー株式会社の近くにて。ドトールコーヒー本店の前です。

Facy のサービスの流れ。

各地でプレゼンする小関さん。Facy 提供。ご協力ありがとうございました。

 

Men’s EX 11月号 発売です。

コート特集で、綿谷画伯と対談しております。

このほかになんと、画伯によるマジタッチ、マンガタッチ、それぞれのイラストまでついてますよ。コートを着たアイコンずらりのマジタッチ版は圧巻。これは保存版でしょう。

私はコートの歴史についてざっとレクチャーするというお役目でした。起源や歴史にはコートの本質的な意味も見出すことができます。ぜひ読んでみてくださいね。

 

今回は、カメラマンがすばらしく腕のいい方でした。本誌に掲載された写真(下)の夜景の映り込み方を見てもおわかりだと思いますが、ふつう、夜景を強調すると前景が暗くなったり、前景をはっきり写そうとすると夜景がぼやけたりするのですが、ともに鮮明に映っているのです。プロのテクニックですね。

 

 

カメラマンは椙本裕子さん、若い女性です。夜景だけでなく、人物のほうも、とてもソフトな感じに撮っていただきました。感謝です。下は、本誌にモノクロで掲載されている写真の元版です。

ありがとうございました。椙本さんとご編集部のご了解を得ましたので、秋冬のプロフィル写真として使わせていただきます。

調子に乗ってもう一枚アップします。ごめん。笑

 

 

撮影にご協力いただいたのは、ザ・プリンスパークタワー東京です。編集部、ライターさん、カメラマンさん、ホテルスタッフのみなさま、ありがとうございました。

トレンドワードとして浮上している、スカンブロ(Scumbro)。

本日の読売新聞連載「スタイルアイコン」は、スカンブロを牽引しているとみなされているセレブリティのひとり、ジャスティン・ビーバーについて書いております。

Vanity Fair が紹介するScumbroの記事から。今年の7月にトレンドが命名され、瞬く間に話題に。

ベイビー・ビーバーが愛らしかったのはついこの間。少年はまたたく間に大人になってしまいますね。

 

Scumbroの訳語はずいぶん悩んだあげく……「好かん兄弟」にしました(©中野香織)。おやじギャグすぎて寒い? 失礼しました。

台風後は快晴になりましたが、庭の木は一本根こそぎ倒れ、雨どいは破壊され散乱し、雨戸もはずれて飛んでいっており、人間の力ではとても無理な状態で崩壊し散乱した状態が青空との対比でシュールレアリスムのアートのように見えました。

 

たまたま、昨日の仕事では今のセレブトレンドについて書いていたのですが、それが、「高価なブランドをみずぼらしく汚く着るのがクール」というトレンド。(金曜掲載)。

ずんずん調べていくと、スカムカルチャーというのがすでにあったんですね。汚れや散乱や絶望や醜さを称揚する音楽やアートが。アブジェクト・アート(絶望アート)というジャンルもあります。

現在のセレブのファッショントレンドはスカムカルチャーの延長にはないような印象ですが、無関係でもない。

こうした最低のもの、散乱したもの、醜いものを称える美学は、Messthetics と呼ばれているということも知りました。mess (散乱)の美学ですね。

台風後の自宅破壊風景にしても、一瞬、新鮮なものとして見とれてしまったので、このMesstheticsの感覚もじわり、わからないでもない。実際、心の中の情景がこんな感じというのはけっこうあったりするしね。

今日は倒木を一掃してきれいにしてもらう予定ではありますが。人間の感覚って無限の柔軟性があるものですね。

 

The Nikkei Magazine Style × LEON 9月21日号。

「アナタにとってLEONってなんですか?」

インタビューを受けた記事が掲載されています。

大きな口をさらに大きく開けて笑っておりますが。笑

 

明大時代に公開講座講師としても来ていただいた野呂さんと同じページでしたよ。

 

さて、この撮影は、ザ・プリンス・パークタワー東京の姫スイートルームこと、ハーバーロイヤルスイートをホテルのご厚意でご提供いただいておこなわれたのです。

なのになんと、背景をすべて同じにするためにわざわざ暗幕をうしろに作ったという……涙涙。

豪華すぎるスイートルームを真っ暗にしてしまう不粋。

百戦錬磨のLEONチームも、まさかこんな姫ゴージャスな部屋が東京のホテルにあったのかと驚愕し、リベンジとして(笑)ウェブLEONに掲載していただきました。お部屋はこのような感じです。

おそらく都内でもトップレベルを誇る広さと華やかさのスイートです。

“Esquire Big Black Book”  Fall 2018   本日発売です。

特集 Time Will Tellのなかで、巻頭エッセイ「時を経て、磨かれる」&「名品の条件」、2本のエッセイを寄稿しています。

 

 

お時間が許す時あれば、ご笑覧くださいませ。

(click to amazon)

6月に日比谷でおこなわれました、Nikkei Style Men’s Fashion Salon の採録が公開されました。こちらです。

もう丸の内周辺ではスーツ着てる人が歩いていない夏休みに入ったタイミングでこれを公開するというのも(^^;)

 

 

 

日本経済新聞 土曜夕刊連載「モードは語る」。

 

本日は、先日「ファクトリエ」に取材した「応援経済」をテーマに書きました。

ちょっと本文と論旨はずれますが、心が弱っているときには、逆に誰かを応援してみると、いつのまにか元気を回復していることもあるのよね。

 

Special thanks to Mr. Toshio Yamada and all the staff of Factelier.

 

 

講演のご案内です。

「ファクトリエ」ものづくりカレッジ夏期集中講座。

ファクトリエに取材に行ったらその場で講師としてスカウトされましたよ。笑

詳細はこちらから。他の講師のラインナップがすばらしく、ぜひ私も聞きに行きたい講座が多々。

 

私の登壇は、8月22日(水)19:00~20:00、銀座ファクトリエにて。テーマは、20世紀~21世紀に時代を変えたデザイナー、スタイルアイコン、プレイヤー。ファッションから見た時代の空気についても話します。

 

 

夏こそ来るべき実りの季節のためにインプット。お申し込みはこちらから。

連日40度近い気温ですが、エアコンの効いた部屋で仕事ができるというだけでありがたい。幸運なことに、今秋、そして来年早々に向けた大きなお仕事を立て続けに頂戴しています。ぼんやりしていると何も成果がないままあっという間に時間だけが過ぎてしまう。きちんと結実させ、関わった人々の笑顔が見られる日を夢見て、愚痴らない浮わつかないあとから悔やまないと決めて、地道に仕事に没頭しています。

とはいえ、やはり気候のよい時期に比べると、「これだけは今日のうちにやっておきたい」というレベルに今一つ気力が届かないんですよね。枝野幸男さんの、最後の希望と呼べるような歴史的7・20国会演説も備忘録としてメモしておきたかったけれど、締め切りのある仕事を優先していたらなかなか難しい。(これは書籍化されるらしいので期待。) やはり体力・気力は天候に確実に影響を受けてますね。

 

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さて酷暑の最中でもネイルサロンにはしっかり投資しております。毎回、思ってもみなかったテレビドラマとの出会いがあることは以前にも書きましたが、今回、スタッフが流してくれたのも強烈で、なんと「ショッピング王ルイ」というタイトルの韓国ドラマ。このタイトルを聞いて、下の写真を見ただけで、普段の私であれば間違っても選びません。逡巡なくパスだったでしょう。でもまあ、両手がふさがっている状態だし、仕方なく見ていたら……これが面白くて、はまるはまる。また例によって、帰宅後徹夜ドラマ。

記憶喪失になった財閥のお坊ちゃん(ソ・イングク)と、ド田舎から都会に出てきたたくましく純朴な女の子(ナム・ジヒョン)のラブストーリーが主軸なのですが、荒唐無稽な展開がこれでもかと続き、また脇を固めるキャラクターが面白すぎる人たちばかりで、笑えたり泣けたり、最後はまさかの運命が明かされて感動したりで、癒される癒される。悪いことをする人も一応出てくるんだけど、どこか間が抜けていたり、人情を感じさせたりで、根っからの「悪人」ではないのね。キャラクター全員が「真心」で人に接しているのが癒される最大の理由なのですが、脚本も演出もきめ細かく丁寧で、作り手も俳優たちも楽しんでいることが伝わってくる。2016年のMBC演技大賞3冠とある。納得。

なかでも出色のおもしろさだったのが、ナム・ジヒョン演じるコ・ボクシルに思いを寄せながらも、いつも「いい人」どまりで負けてしまうコミカルな紳士エリートのユン・サンヒョン(チェ・ジュンウォン役)のファッション。エリートビジネスマンという設定なのだが、仕事場でもあのダークスーツは着ないんですね。登場するたびにありえないほど奇抜な装いを見せてくれる。周囲のダークスーツのビジネスマンたちもあたりまえのようにそんなユン・サンヒョンを受け容れているという設定がなんともいい。

フィクションだから、にしてもこの役柄、このキャラでこのファッションというのは大胆で小気味よいし、まあドラマだからといってしまえばそれまでなのだが、面白いことに、違和感がなかった。最後のほう、サンヒョンが「社長」としてダークスーツ軍団を従えて出てきたときの、リボンブラウスを合わせた白スーツには、笑いを通り越して感動してしまった。ひとり、「その他大勢の同じ服着た人たち」と違うというのは、なんて素敵なことなんだろう。


(どう見ても配色がヘンなのだが、また、不思議にこの人に似合う。笑)この自由な風通しの良さ、いいなあ。ユン・サンヒョンのキャラクターと、似合ったり似合わなかったりする七変化メンズファッションだけでも相当楽しめる。

 

ドラマだからこれほど自由な服装を着せることができたのだとは思うが、考えてみたら、女性は仕事着として何を着ても基本、自由なのに、男性だけがルールのあるダークスーツを着なければならないというのも、見方によれば性差別になるかもしれませんね。日本社会では女性が「男性に準じる」ということで男女ともに画一的になっていっておりますが、そもそも、男性が「女性に準じる」ということで女性のように自由な服を着て、なにがいけないんだろう。近代スーツのシステムを生んだ近代資本主義社会が壊れたら、全員一緒のスーツのシステムもともになくなってもおかしくはない。

 

なんていうことを考えていたら、タイムリーなインタビュー記事に遭遇した。

日本のビジネスマンに対し、装いはもっと自由であれと語るフランス駐日大使ピック氏のNikkei Style インタビュー

よくぞ言ってくださいましたという感じ。スーツの「ルール」から外れないことばかりをがちがちに守ろうとしたり、「そもそもスーツの着こなしは……」とあたかも法律があるかのように考える原理主義に走ったり、「欧米では…」と海外基準に盲従するメンタリティを固守したりすることが、仕事に無意識的な影響を及ぼしていないことを祈ります。

やまない大雨のため、西日本全体にたいへんな被害が及んでいる様子ですね。ツイッターに流れてくる川の氾濫の映像を見るにつけ、恐怖はいかばかりかと拝察します。警報が続き、不安な時間が長引き、お疲れをおぼえていらっしゃる方も多いと思います。みなさまのご無事を切にお祈り申し上げます。

仕事柄、以下のような話題が続くことをご寛恕ください。一瞬の気晴らしにでもなれば幸いです。

 

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読売新聞連載「スタイルアイコン」、本日はルイ・ヴィトンのメンズデザイナーとしてパリコレを大成功に導いたヴァージル・アブローについて書きました。

ヴァージル・アブローは、現在のファッション界でもっとも注目を浴びるデザイナーではないでしょうか。昨年のピッティでコレクションを見たときには「ヴァージルって、誰??」という感じだったのですが、あれよあれよという間にトップスターに。

 

下の写真はリアーナとヴァージル。リアーナのバッグ多個持ちは「マルチ・バッギング」のトレンドとして各誌がとりあげていました。ルイ・ヴィトンはバッグで利益を得ているわけで、とにかくモデルの数よりも発表するバッグの数の方が多いので、一人のモデルまたはインフルエンサーがたくさんバッグを持たないと紹介しきれないという事情もわかりますが。

……私のバッグ多個持ちも「マルチ・バッギング」ということで。

 

 

<追記>

今日は特別警戒が発令されたり、松本死刑囚の刑執行があったり文科省の汚職があったりと報道事項多々により、上記の記事を含め、モード欄は延期となりました。来週、平穏に近い日であれば、掲載になります。(私も間接的かつ取るに足らないレベルですが、水害の影響とは無関係ではないということになりますね。)

モードというのは平和あってこそ語れることなのです……。

特別警戒が発令された地域のみなさまの不安はいかがばかりかと思います。長い夜、どうか、どうぞ、ご無事で。

 

 

半・分解展名古屋トークショウは、当初の予定よりもさらに増席して満員御礼?

80名ほどの名古屋のお客様、年代もバリエーション豊かだったと思いますが、みなさまとてもよい方ばかりで楽しそうな表情でご参加くださいました。ご来場いただきありがとうございました! 新世代のブランド価値の作りかた伝えかた、今後のお仕事や人生のヒントになれば嬉しいです。

そのまま会場にしばらく残り、お客様のご様子を観察していましたが、試着したり、写真をとったり、においをかいだり、ひっくり返してさわってみたり、キャプションに読み耽ったりと、とても熱心に勉強していらっしゃいました。

1910年代の服と現在の服の違い、とりわけ動きやすさの違い(100年前の服がはるかにラク)を、長谷川くんがギャラリートークとして解説。動きやすさの理由として、小さな三角形の布が袖の付け根にあしらわれていること、そもそも袖が始まる位置が違うこと、などを挙げながら、丁寧に説明していました。背中の幅も100年前の方が狭いのね。「背広」ではなく「背狭」。それもこれも彼が自分で分解したパーツがあるからこそ、説得力がある。

名古屋展も、盛況のうちに終了、ほんとうにおめでとう! 入場料をあえて高く設定し、マニアック度を深め、わかりやすさよりもむしろ自分の価値観を色濃く出す、それでも来たいというお客様層だけにターゲットを絞った結果、勝ちました。(#半分解展で検索するとお客様の感動ぶりを読むことができます。)もともと変態度の高いこういう展示は、広く浅くを狙わないのがかえってよかった。ブランディングに成功したということです。

こんなことを深く研究しているユニークな若い人は世界になかなかいないと思うので、これはぜひとも英語バージョンも含めた書籍化を望みたいです。服飾史学においても貴重だし、服作りに携わっている多くの関係者にも「実用書」として役に立つ(今回、彼が作ったパタンがどんどん売れています)ばかりか、こんなヘンなことをする日本の若者がいる(←もちろんほめことば)!と世界に発信することじたいに価値があると思う。長谷川彰良氏の情熱と行動力を信じ、彼とともに感動を分かち合ってくださるスポンサー大募集!

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そして実は……書こうかどうかとてもとても迷ったのですが、とくに隠す必要もない事実ですし、彼が内心どのような思いで名古屋展で休みなくお客様にサービスしていたのか、お伝えしておいた方がよいと思いましたので記します。

実は名古屋展開催の数日前、長谷川くんのお父様がお亡くなりになっているのです。数か月間、危ない状況ではあり、覚悟はできていたと彼は言いますが、その悲しみはいかばかりだったでしょうか。さらに、名古屋展開催を延期するわけにはいかないので、葬儀にも出られません。最終的に背中を押したのはお父様の言葉だったそうです。「オレが死んでもお前はお前の仕事をやりぬけ。葬式なんかに来るんじゃねえぞ」と。私も人の親なので、お父様のそのようなお気持ちもまた痛いほどわかります。息子としての彼の内心の葛藤はいかほどだったでしょうか……。

彼のお兄様の貴之さんも、葬儀などはすべて自分が引き受けるからお前は心配せずに名古屋展を完遂せよとバックアップし、義理のお父様(彰良くんの奥様のお父様)も名古屋展での受付を全日行うという形で支援してくださっていました。ファミリーが、悲しみや大変さを耐えて分かち合って、名古屋展を無事に成功に導いていたのです。

昨日は父の日でした。周囲にあたたかくサポートされながら、自分の使命に邁進し、成長し続ける息子の姿に、天国のお父様も喜んでいらしたはずだと思います。

<追記>

長谷川くんが彼自身のことばでお父さまへの思いを綴っています。こちらです。長谷川兄弟はまっすぐで、人との接し方においてもとても育ちの良さを感じさせるのですが、やはりそのように育てられたご両親がすばらしい方なのですね。

Nikkei Style メンズファッションチャンネル主催「夏の装い直前講座」。日比谷ミッドタウンにて。定員をはるかに超えるご応募があったとのこと、200名近いお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。

私は夏のビジネススタイルについての基調講演をさせていただきました。

夏のビジネススタイルにおける日英の試行錯誤の歴史、そもそもなぜ国がビジネススタイルを規定するのか、明治時代から変わらぬ政府の態度とはなにか、というような総論から、

クールビズあるある疑問点と題した具体的助言、そしてブランディングにおける服装の重要性、なぜ個人もブランディングが必要かというマインドセットの話にいたるまで。

ビジュアル資料もぎっしり詰め込みました。楽しんでいただけたかな。

 

スタイリストの森岡弘さんは、Nikkei Style メンズファションチャンネル編集長の平片さんと、カジュアルスタイルについてのアドバイスを対談形式で。

スポンサー企業様から、ご参加のお客様へのお土産もたくさん! ELGC株式会社 ラボ シリーズ様、三越伊勢丹さま、メーカーズシャツ鎌倉さま、REGALさま、ありがとうございました。

(お隣が森岡さん) テーマがメンズファッションなので、昨年仕立てたホワイトスーツに今期のカルバンクラインのインナーを合わせてみました。それにしても、私がメンズスーツを着ると宝塚感が拭えないのはどうしたものか。そういえば徒歩1分圏内に宝塚劇場が。

 

 

 

夕方はそのまま徒歩3分のペニンシュラに移動し、ドレスに着替えてヘアもチェンジで女装してフォーマルウエア文化普及協会のパーティー。この日はご協賛いただいたインターモードKawabe さんが扱うプラダとフェラガモの香水のプレゼンテーションをするというミッションを背負っておりましたので、おまけとして香水のつけ方講座をおこないました。なかなか盛り上がりました! 


ご参加くださいました方々には、Intermode Kawabe さまより香水サンプル4種類がお土産としてプレゼントされました。

男性は、お腹まわりの清潔な素肌に直接なじませるのが〇。女性に関しては……ココシャネルは「キスしてほしいところすべて」につけろと教えてますが(笑)「香害」扱いを避けるなら外出先でのつけ足しは足首がおすすめ。高湿の日本では「少なめ」が常に正しい。ご協賛くださいましたIntermode Kawabeさま、ありがとうございました。

ペニンシュラのスカイバンケットは夜景も美しく、おもてなしもスマート。なんと、スカイバンケットは高層階なのに外に出て外気を浴びることができるんですね。
タキシードメンズと記念写真。長い長い日比谷の一日でした。関係者のみなさま、ご参加くださいましたみなさまに心より感謝します。

 

 

 

 

 

Hackett London Autumn Winter 2018 Exhibition.  ハケットロンドン銀座店にて。

今シーズンは創業者ジェレミー・ハケット氏の色彩感覚が反映されたコレクション。

デイヴィッド・ホックニーを連想させるイエローやオレンジに彩られた秋のロンドンの公園、グリーンやブラウンのグラデーションが美しい雄大な丘と湖の田園風景。紳士服の世界もやはりこんな連想が広がると楽しくなりますね。

田園風景を連想させるとはいえ、あくまでもスローン・スタイルは守る。そこ、大事だからね。笑

 

ハケットロンドンでいつも感動するのはそのディスプレイの洗練された美しさ。

この立体的なVゾーンの迫力はため息ものです。

ディテールにも非常に凝っており、写真ではわからないのですが、写真左、白いシャツの地模様が実は大きなハウンドトゥース(千鳥格子)になってます。これがシャツの印象を平板にしていないのですね。近づくと柄がわかるの。粋です。さらに左のディスプレイに関して言えば、こちらはダブルブレストスーツの上にカバートコートを着用しています。丈が短めでシャープな印象。ザッツ・ブリティッシュ・スタイルという完璧なコーディネートですね。

ハケットロンドン銀座店では、注文服も取り扱っています。最近は、20代の男性客が増えているそうです。身体に合った上質のスーツを作ることが「経費」ではなく「投資」になるということを理解する若い方が増えているというのは、将来が楽しみですね。

表地、裏地、ディテール、じっくりテーラーと話し合いながら決めていくプロセスは、「自分は何がしたいのか? どのように社会と向き合おうとしているのか? どのような環境のなかにいる自分を目指すのか?」ということを具体的に確認する作業にもつながるのです。注文服を作るほどではないという場合でも、「好きな服」よりもむしろ「どのような景色にいる自分を目指したいのか?」という客観的視点を入れて自問しながら選ぶと、将来への投資につながります。

(好きな服を買うなと言っているのではありません、それはそれで楽しめばよいと思います。服を選ぶときに「将来への投資」という視点を入れた選択の仕方もある、という助言です。適当でいい、という考えのままでは5年先もそのままの人生である可能性が高い。今の人生に満足していればもちろんそれでOKでしょう)

 

ブルネロ・クチネリ2018年Fall & Winter 展示会。ブルネロ・クチネリ・ジャパン本社にて。ウィメンズのプレゼンテーションを中心に拝見しました。

 

テーマはFolk Alchemy。インターネット時代の現在は、離れた地域同士、離れた時代、離れた外観などさまざまな要素が混ざり合い、化学反応を起こし、自由で新しいフォークロアも誕生。そうした現代の雰囲気をアイロニックに、でもとてつもなく贅沢に、表現したコレクション。

一点一点が手作業による「アート」。手編みのニットもおそろしく手がこんでいる。上のニットは職人が35時間かけて編んだもので、価格はなんと約100万円だそうよ。

ファブリックとしては70年代を思わせるベルベットが出てきてますが、そのバリエーションも7種類。マッチセットでは、メンズ風の素材が使われていても、ブルネロ・クチネリならではのきらりと光るダイヤモンド刺繍のアクセントが散りばめられていたりして、新時代のフェミニニティを感じさせます。

これは一目ぼれシャツ。透け感ある素材の上に、精巧な刺繍が施されています。

写真ではそのよさが伝わらないのが残念ですが、すべてのアイテムはシルエットが洗練されているのはもちろんのこと、何よりも圧倒的な素材の勝利感を漂わせています。

色に関して面白かったのは「New Monocromatic」という概念。同じ色相の中で、微妙に違う色を組み合わせていくコーディネートが今年風。ちなみに、ブルーグリーン系、エナジェティック・レッド系が今期クチネロの一押し。

 

一方、メンズのテーマはNatural Innovation。中間色の、ぬくもりのある色調の美しさときたら。これらはやはり素材そのものの良さが醸し出す品格ですね。

なんともいえない、イタリア独特のさりげないリッチ感。こういうのを見て打ちのめされてしまうと、「形」よりもむしろ「素材」がいかに重要かがわかります。

この点を意識して、これからお買い物をされる時には、まずは素材を重視されることをお勧めします。ベーシックで素材のよいものを厳選して買い足していくのが賢い「投資」になると思います。安いものをたくさん買ってバリエーションを増やしても表面の安っぽさが上書きされていくばかりですが、上質でベーシックなものを身につけていると、服をとっかえひっかえしなくても、信頼に足る人に見えてくるものです。そのような価値観をもつ人から誘われやすくなれば、結果として公私においてチャンスが増えます。あとは本人がそのチャンスをどう活かすかにかかっているわけですが。(表層が高級でも中身が伴っていなければこの時点でチャンスは消える)

中途半端な安物ばかりたくさん買っても結果として資産を減らす一方でチャンスにも恵まれないということになれば、どっちが人生にとってのよりよい投資になるのか、明らかですよね。同じ予算ならば、安物を5着よりもできるだけ上質なものを1着。その方が人生が明るく回転し始めます。(この考え方を生活の全ての場面に適用していくことで、上質な印象が内面そのものの反映のように見えてきます)

 

 

展示会のおみやげはブルネロ・クチネリの拠点のあるソロメオ村のオリーブオイルでした。オリーブオイル好きとしてはとても嬉しい。ありがとうございました。

 

 

カナダのシャルルボワでのG7。ホスト国のジャスティン・トルドー首相も明るいブルーのスーツ。安倍首相も勝負スーツの青いスーツ。

世耕大臣も言うとおり、ホスト側がダークスーツでなければならないなんて決まりはないのよね。

そしてやはり交渉の場面なのでポケットチーフはなし。

ジャスティン首相の靴はやはり彼らしいブラウン。(だからといって誰も批判などはしない。)今回の靴下はどんなかな~。

 

 

 

 

 

下の写真はメルケル首相のオフィスが公式インスタグラムでアップしていた写真。17世紀のオランダの画家が描きそうな構図だなと思って見入ってしまう。

 

 

<追記です>

ジャスティン・トルドー氏の靴下がわかる写真発見。やはり期待を外さない……!

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。

8日(金)は白いスーツで名高いトム・ウルフについて書いています。

トム・ウルフのセルフコントロールは見習いたい。

 

たまたま、この日の読売夕刊モード欄のとなりが渋カジ特集で、綿谷画伯のイラストも紹介されているほか、ファッション業界の知り合いのコメントが多々。アメカジ、渋カジに関心のある方は要チェックですよ。

Vulcanize London 2018 AW Exhibition.

2018秋冬のテーマはRoyal Styles。いつもこのテーマなわけですが、最新バージョンにアップデート。ターンブル&アッサーは映画「ウィンストン・チャーチル」のアカデミー賞受賞を記念して、彼の愛用品、ポルカドットのタイやシルクガウンを復刻。

チャーチルのポルカドット!

裏返した図。触ってもうっとりの品質の高さは目で見てもわかる。結び目が決まる。

安定のギーヴズ&ホークス。

 

軍服アーカイブから、通称「ガイコツ」ジャケットも展示されていました。1860年くらいのもの。長谷川君が入手したら分解を始めそうな。笑

スマイソンには、1960年代からヒントを得たチェリー、キャンディピンクやゴールド、コバルトなどの新色が加わる。ゴールドもぎらぎらせず、上品です。

グローブトロッターはなんと、ロイヤル・エア・フォースとコラボした新作!

アーカイブからの展示も博物館のようで萌えます。

あたかもオーダーメイドしたかのような奇抜な色の組み合わせを駆使した新作も。

ウィメンズではなんといってもGoatの存在感が高まっています。キャサリン妃もかねてから愛用していましたが、メーガン妃も公務で着用したことで、さらに注目度が上がってます。デザイナーはジェーン・ルイス。主張しすぎない贅沢、がコンセプト。

スウィーツのディスプレイはロイヤルウェディングがテーマになっています。

ハリー王子とメーガン妃の結婚式で供されたエルダーフラワーとレモンのケーキ。

そしてウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式で供されたケーキ。それぞれのレプリカ。

たっぷり目の保養をしつつ最新ロンドンの空気を浴びたような満足感。スタッフのみなさま、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イタリアのメンズファッションブランドCARUSO からマーケティングのトップMarco Giorna 氏とFederico Bonini氏が来日、CARUSOを扱うUnited ArrowsとGQJapan のディナーにお招きいただきました。外苑前の青鶯居にて。


竹の器に入ったスープ。
フカヒレ、まるごと。

お料理もおいしかったのですが、それ以上に、同席した方々がすばらしく、貴重な機会でした。

まずは、Vogue やGQのコラムでおなじみのジーン・クレール氏にお会いできたことに感激。クレール氏はコンデナスト・インターナショナル・ファッションディレクターとして世界中のコンデナスト系の雑誌に関わっていらっしゃいます。そんなクレール氏のプライベート講演会のようでもあったディナーなのですが、1950年代から現代までのロンドン、ニューヨーク、シンガポール、香港、上海、ソウル、東京などなどの世界の文化状況の断片を、実体験から話してくださいました。とんでもなく贅沢な学びの場を与えていただきました……。

 

そしてGQ編集長の鈴木正文さん、UAの栗野宏文さんと久々にご一緒できたことも嬉しい。本サイトにもpdfをアップしていますが(etc.欄参照)、今から10年以上も前、まだ鈴木正文さんが「ENGINE」の編集長だった時代に、鈴木さん、栗野さん、そしてフジテレビの河毛さんとの連載座談会のなかでメンズファッションの見方を鍛えていただきました。栗野さんは「好きなファッションの仕事に40年も関わっていることができて幸せ」とおっしゃってましたが、好きなことに没頭できる仕事が、結果として長く続くし、他人も社会も幸せにするんすね。

CARUSOというブランドのお話も伺いました。私は以前から見ていたThe Good Italianのショートムービーが大好きで、マルコさんにEnglish GentlemanとGood Italianの違いについて聞いてみたりとか。

ほかにはたとえばこんな話も。

「トレンド」と「お金」の話だけは世界中どこの紳士世界の社交でもタブー。  

現在、世界でいちばん活気があって豊かなメンズウエアのビジネスが成り立っているのはシンガポール。  

ヨーロッパやアメリカの一部の人々は、東京のUAはじめセレクトショップにスーツを買いに来ている。というのも、かの地では「トレンド」の細身のスーツが主流になってしまい、ほどよいゆとりのある心地よく着られる「クラシック」なスーツを見つけるのが難しくなっているから。東京にはバリエーションが多く、「クラシック」も豊富なので彼らは喜んで買っていく。

アジアの某国ではかつて、袖の長すぎるシャツが流行したことがある。というのも、「このシャツはヨーロッパで買ったのだ」ということの証明になるから(!)

 

左側奥から、フェデリコさん、GQ編集長の鈴木正文さん、コンデナスト・インターナショナル・ファッションディレクターのジーン・クレール氏、中野、GQ編集部の高杉さん(The Good Italianに出てくるFefeに似ている。笑)。右側奥から、United Arrows 中尾さん、マルコさん、UA栗野さん、UA渡部さん。ありがとうございました。栗野さんが、マルコさんに「君は今日、ラシュモア山を前にしているのだ」というジョークを言ってましたが。スミマセン、わかる方は微笑してくださいm(__)m

お別れ際のサプライズ。CARUSOからお土産をいただきました。なんと、THE GOOD ITALIANと描かれたTシャツ。嬉しいので、さっそく着ています。

 

The Good Italian IIIから、印象に残ったセリフ。(イタリア語の英語訳)

“When you look for perfection, the time does not exist.”

 

 

 

 

 

 

伊勢丹メンズネットでも6月3日(日)の「STYLE」刊行記念サロンの内容が告知されましたこちらです。

お申し込み方法:

5月25日(金)10時30分より、お電話のみで受付けいたします。(先着順)

メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス/担当:小泉・菅原・荻内(敬称略)
03-3225-2853(直通)

早々に満席になることが予想されます。どうぞお早めにお申し込みくださいませ。

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お楽しみのご案内ついでに、こちらもどうぞよろしく。Nikkei Style 主催 「夏の装い直前講座」。6月16日(土)13:30~ 日比谷ミッドタウンにて。お申し込みは、こちらのウェブサイトからお願い申し上げます。

 

 

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さらにもうひとつ。

昨日からついに始まった「半分解展」は、雨にもかかわらず、開場4時間でご来場三桁を超える大盛況となっています。若い方々を中心に、SNSや口コミで爆発的に評判が広がっています。

 

今週土曜日に迫った東京トークショーのご参加者も、長谷川彰良世代のミレニアルズが多いようです。これからの未来をになう彼らの価値観や感覚、行動からも大いに学ばせていただく機会になりそうで、今からとてもワクワクしています。

トークショー 長谷川彰良×中野香織

<東京会場>

日時 5/26(土)14:00~15:30 (受付け開始 13:30)

会場 東京都渋谷区桜丘町23-21 10F 文化ファッションインキュベーション

お申し込みは、こちらからお願い申し上げます

<名古屋会場>

日時 6/17(日)13:00~14:30 (受付け開始 12:30)

会場 愛知県名古屋市東区大幸南1丁目1−1−10 カルポート東 4F ギャラリー矢田 第一展示場

お申し込みは、こちらからお願い申し上げます

 

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かぶるとLucky が訪れると人気が広まっているBlack Clover のLive Lucky. 友人からプレゼントしていただき、時々かぶっています。やはりなんだかその時にはいいことがあります。(そのように信じることがLuckyを招く秘訣なのかもね)。

 

写真のモデルは次男です。モデル料を奪取していったので、彼にとってはやはりラッキーね((^^;))


よい気分で朝起きたらあらゆるロイヤルウェディング情報が出そろってました。こちらから情報をとりにいかなくても勝手にどんどん流れてくる。便利な時代になりましたね。もうロイヤルウェディングはお腹いっぱいというほど。

いくつかのニュースメディアからピックアップした情報を、(ほとんど自分のためですが)ランダムにメモしておきます。裏をとるべきものも混じっています。きちんとした考察は25ans で話す予定なので、しばしお待ちくださいね。

こういう情報洪水の時代には、「専門家」と呼ばれる人には、その情報をどのように見るのか?という視点と表現力が問われることになりますね。しかも誰もが「評論家」になれる時代なので、無難な(客観的な)ことを言っても誰も耳を貸さない。独自の芯が通っていないと存在価値もなくなる。特異な方向にエッジをとがらせ続けないと生き残れないので、「好き」でやってる人しか残らない。だから「変人」にはいい時代だ、きっと。

 

・通常、ロイヤルウェディングでは花嫁は馬車の右に乗るのに、メーガンは左側に乗っていた

・ヘンリー王子は 花嫁のベールを上げるのを10分忘れていた

・メーガンのネイルはEssie のBallet Slippers という色だった。8ドル

・ゲストのスーツ姿でひときわ際立っていたのはデビッド・ベッカム。ブランドはディオール・オムだった

・ヘンリー王子が着用したのは、イギリスの近衛騎兵連隊ブルーズ・アンド・ロイヤルズの制服。髭をそってなかったのはいつものヘンリーらしいと逆に好評。ページボーイたちが着用していたのも、ブルーズ・アンド・ロイヤルズのミニチュア版だった

・祭壇までメーガンをエスコートしたチャールズ皇太子。実はメーガンが皇太子に一緒に歩いてくれるよう依頼していた

・メーガンのウェディングドレスはジバンシイのクレア・ワイト・ケラー。ケラーはイギリス出身。デザイナーはイギリス出身者、しかしブランドに関してはアメリカでもなくイギリスでもない、フランス。このようなブランドを選んだのは彼女なりの配慮??

・ヴェールのデザインもクレア・ワイト・ケラー。長さ5mだった。ドレス本体はシンプルだったが、ヴェールにはお約束のイギリス連邦53国、それぞれの国の花が刺繍されていた

・メーガンのティアラは、メアリー王太后(エリザベス女王の祖母にあたる)のダイアモンドバンドティアラで1932年に作られたもの。ブレスレットとイヤリングはカルティエ

・ブーケ製作はフィリッパ・クラドック。使用した花の一部をケンジントン宮殿の庭園でつんだのはヘンリー王子。ダイアナ妃が好きだった「フォーゲットミー・ノット」のほか、スイートピーやスズランがアレンジされていた

・シャーロット王女のドレスもジバンシイのクレア・ワイト・ケラー。靴は「アクアズーラ」

・誓いの言葉からは「obey」がカットされていた(ダイアナ妃もキャサリン妃もカット)。誓いの言葉を言う時、2人が手をがっちりとつないでいたのはロイヤル婚では前例なし。(ウィリアム王子は上品にキャサリンの手をとっていたが、ここまでがっちりとつながなかった)

・美男のチェロ奏者はなんと19歳のシェク・カネー=メイソン。2016年にBBCヤングミュージシャンのコンクールで優勝した新人。メーガン自ら電話で演奏を依頼していた

・二人の結婚指輪を制作したのは、クリーブ・アンド・カンパニー。メーガンの結婚指輪に使われているのはウェールズ地方だけでとれる貴重なウェルシュゴールド。王室では、このゴールド100%の結婚指輪をおくるのが伝統。ヘンリー王子のそれはプラチナである

・レセプションのケーキも前例やぶり。「ヴァイオレット」のシェフ、クレア・タックがデザイン。シチリア産のレモンやオーガニックの卵を使ったフレッシュなケーキ。これまではドライフルーツや洋酒を使った長期保存できるものだった(それを一周年に食べる)

・セレモニーの間、ウィリアム王子のとなりが空席として開けられていたが、それはダイアナ妃のための席だった?

・レセプションのために着替えたドレスはステラ・マッカートニー。指にはダイアナ妃がつけていたアクアマリンの指輪

・メーガンのまとめ髪はいつもどこかほつれているのだが、今回もほつれていた(見直してみて発見)。イギリスのタブロイドを見ると、”Fashionably messy updo”  あるいは”Messy bun” なんていう表現がされていた。なるほど。そばかすを隠さないナチュラルなメイクも、肩の力が抜けていて斬新

・レースもパールもフリルもついてない、素材のよさと構築性だけで見せるドレスは、自信にあふれた抑制と呼びたくなるもの。ワシントンポストのロビン・ギヴァンはこれを”Confident Restraint”と表現。さすがうまいな

 

・ダイアナ妃が残した言葉 ”If you find someone you love in life, you must hang on to it and look after it, and if you were lucky enough to find someone who loved you then one must protect it.”  こういう母の教えをハリーは守ったのね。

・批判をごちゃごちゃ書いてる人もいたけど(こういう人はいつでもいる)、いや、この時代に必要な「多様性の統合」のこの上ない象徴として最高だったと思う。英王室はいつだって「統合の象徴」なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半・分解展もいよいよ来週に迫り、主催の長谷川彰良氏とトークショーの打合せをしました。

じっくり話を聞くとあらためて衝撃だったな。これは世代的な違いなのか(彼は29歳)、あるいはカルチュアの違いなのか、はたまた完全に時代がそちらにシフトしているということなのか。彼が言うには、

 

「某百貨店のメンズ館には視察のためにときどき行きますが、あそこは退屈です。つまらなすぎてまったく何の感動もない」

 

彼のさらなる説明によれば、売られているモノそのものがつまらないのではない。あの環境そのもの、いわばモノを売るためのコミュニケーションじたいが古くさいのだと。

 

ではなにが面白いと思うのかと聞けば、クラウドファンディングで資金を募り、制作現場から販売まですべて見せている某集団とか、noteはじめSNSで積極的に発信しながら販売につなげている女性であるとか、つまり既存のメディアをまったく無視して、「個人メディア」として発信しながらモノづくりをしたりそれを販売したりしている「人」に魅了されるのだと。その服やモノがもっとも素敵に見えるようなコミュニケーション環境を独自にデザインしている、そういう魅力的な活動をしている「人」からであれば、10万円であれ20万円であれ、惜しまず買い物をするのだと。

 

翻って、長谷川彰良は考えるのだ。では、自分が作る服がもっとも魅力的に見える「環境」は何なのか?

それが、ほかならなぬ「半・分解展」であるという。

 

半・分解展で自分が伝える目標や美意識や技術に感動してくれた人は、おそらく自分と同じ価値観の持ち主であり、結果、自分の服も買ってくれるだろうと彼は言う。

 

100年前の技術に涙した自分の思いを、100年後にも伝えていく。これが半・分解展の目標ではあるが、彼はその先のビジョンとして自分のブランドの展開も見ている。(前回の展示ではここまで考えていなかった。)

 

では人に涙を流させるほどの要素は何かと考えるとそれは、強い感動しかない。強い感動を与えるために、今回は、前回以上に、マニアックで先鋭的なアプローチをとるという。キャプションにしても、前回はできるだけ「客観的」にしようと努めたが、今回は「自分の目にこの服がどう映っているのか?」ということを前面に押し出す。モノとしての古着の説明ではなく、「この服と僕の物語」を書く。

 

前回は、お客様の感想を先に聞こうとした。でも、自分の思いをはじめに伝えずに相手の意見を聞こうとすることは「ずるい」ことだし、相手も本音を言ってくれないことに気づいた。だから今回は、まず自分から本音で話し、本音で書く。そのほうが、相手の引き出しも開くのだということがわかった、と彼は言う。

 

自分と同じ気持ちで感動できる人を集めたい。同じ価値観を共有する人たちとつながり、新しい時代を創るためのゆるやかなコミュニティの基盤としたい。半・分解展はそのためのプラットフォームでもある。

 

彼の成長ぶりにも感動するが、どんなに攻めの姿勢で突き進もうと、「中野先生が教えてくださった言葉、Be Prepared(備えよ常に)をいつも忘れないようにしています」という律儀で誠実な態度は一貫して保ち続けている。彼のこの態度は周囲のあらゆる人に向けられており、だから周囲が協力を惜しまないのだな。今回は長谷川彰良の奥様のご両親も含め、ファミリーほぼ総出の応援になる。

 

テーラードスーツにうるさい服マニアのみなさん。イギリスやイタリアの有名テーラーの追っかけもいいけど、果敢にチャレンジを続ける日本の次世代の応援もよろしくね。彼らの発想や行動から学ぶこともたくさんあるんだよ。

Be Prepared は、ただじっと待って備えておくという意味ではない。常に動き続けることによってチャンスを引き寄せよという意味である、ということを彼の行動を見てつくづく思う。

 

今度のトークショーでは、そうした現代のブランド価値の伝え方を中心テーマとして話します。人生のすべてを賭けてこの展覧会に挑む、長谷川彰良の考えをぜひ彼の言葉で聞いてみてください。そして私は、自分が取材してきた事例と、現在関わる諸事業のなかから見てとれるさまざまな事例からピックアップしたブランド価値の「コミュニケーション」について話そうと思います。あとの3分の1は、会場の皆様からインターネット経由で寄せられた、あるいはその場で寄せられた、質問に答える形でディスカッションをします。いったいどんな質問がとんでくるのか。ライブ感を共有できるトークショーになると思います。

お目にかかれますことを楽しみにしています。

 

展示スケジュール

東京-渋谷   5.23 ~ 28   ギャラリー大和田

開場 10:00~21:00   初日のみ 15:00 Open   最終日のみ 17:00 Close

愛知-名古屋   6.12 ~ 17   ギャラリー矢田

開場 10:00~19:00   最終日のみ 17:00 Close

 

トークショー 長谷川彰良×中野香織

<東京会場>

日時 5/26(土)14:00~15:30 (受付け開始 13:30)

会場 東京都渋谷区桜丘町23-21 10F 文化ファッションインキュベーション

聴講料 2,000円

お申し込みは、こちらからお願い申し上げます

<名古屋会場>

日時 6/17(日)13:00~14:30 (受付け開始 12:30)

会場 愛知県名古屋市東区大幸南1丁目1−1−10 カルポート東 4F ギャラリー矢田 第一展示室

聴講料 2,000円

お申し込みは、こちらからお願い申し上げます

 

 

 

 

 

 

 

Liberty and Freedom. 二種類の自由からスーツを語ってみました。
(それにしても宣伝ばっかりでどこからどこまでが本文なのかわかりませんね(^^;))

(Peak Lounge 朝バージョン)

The Exhibition of Demi-Deconstruction, produced by Akira Hasegawa,  is approaching.

Akira Hasegawa, an independent modelist still in his 20’s, dared to decompose the precious vintage clothes from the era of French Revolution to World War II.

As far as I know as a fashion historian, no historian in the world could ever put the scissors into such historical treasures.  Cannot imagine at all. But Mr. Hasegawa, who is also a brave researcher-creator and so keen to know the internal structure of the beautiful vintage clothes, did such an audacious folly.

Yes, a folly. But how academic and original folly it is.  He learned a lot of techniques from the decomposed clothes and will share all the excitement he has got from the process of unprecedented deconstruction.

The theme of the exhibition is “bodily sensation”, you can know the internal structure and pattern design of clothes 100 to 200 years ago by touching the exhibits directly.

In addition,  Mr. Hasegawa created the “trial fitting samples” which pulled out the pattern from the disassembled parts.  Such special samples are also exhibited and you can actually wear them all.

Please do not miss this extraordinary occasion and share the excitement with us.

Please apply for our talk session (Akira Hasegawa × Kaori Nakano) from here;

We look forward to seeing you soon.

 (This photo is from the Exhibition of Demi-Deconstruction 2016)

綿谷画伯の「STYLE」出版記念パーティーが、パークハイアット東京で華々しくおこなわれました。司会は谷原章介さん。自ら「司会をつとめさせてください」と申し出てくださったのだそう。アシスタントはNHKアナウンサー、と本格的。

赤坂芸者さんの舞あり、


穂積先生や世耕大臣のスピーチあり、


いでさん、そして画伯本人の熱唱あり、ファミリーの花束贈呈式あり、愛と笑いと涙にあふれた2時間。


(左が画伯の息子さん、中央が奥様) 最後も、230名もの出席者一人一人をファミリーでお見送りなさるなど、人生の節目をお祝いするにふさわしいビッグイベントとして大成功でした。あらためて、おめでとうございます。

 

 

いちばんの飲み友達でもある世耕大臣のスピーチを拝聴する画伯、それを撮る中野香織、さらにその図を撮ってくださったのんちゃん。(のんちゃん、ありがとう!) 人は案外、前からよりも後ろから見られていることの方が多いものですね。この日の「女装」用ヘアメイクはパークハイアット内のハツコエンドウでお願いしました。アップヘアの後ろは自分では見られないのですが、自然な感じになっていて、さすが業界トップランナーのお仕事。「ウェディングのお仕度もぜひうちでやらせてください」というリップサービスもいやみなく(とはいえもちろん笑ったが)、この技術と接客ならばホテルが安心して任せるのも納得。

 

私はみなさんのお酒がかなり回ってきたころのスピーチでしたが、会場が騒がしいままで話すというのはかなり気が滅入るものですね(^^;)。世耕大臣はそんななかでもめげずに注意をひきつけて笑いをとっていらしたので、政治家のパワーを見せつけられた思い。

私などすっかり気落ちしたまま、原稿を読みながらなんとかグダグダでおつとめ終了。がっくり。

誰も私の話は聞いてなかったけど、舞台には一緒に「SP」が登壇してくれて(慣れないジミーチュウで転んだとき用)ビジュアル的にはちょっと面白かったようです。

左からユニオンワークス社長の中川一康さん、バタク新宿御苑店店長の川部純さん、中野、バタク社長の中寺広吉さん、そしてイラストレーターのソリマチアキラさん。ありがとうございました。



なんと谷原さんも一緒にメガネをかけてSPごっこに混じっていただきました。笑 このアドリブ力が谷原さんの魅力ですね。


のんちゃんこと堤信子さん、山内美恵子さんが撮影してくださっていました。ありがとうございました。

 

ピークラウンジで二次会。画伯の奥様や息子さん(パークハイアット勤務)、本の製作に関わった方々などと。ジミーチュウが限界だったのでフラットシューズに履き替えてようやくほっとできました…。

Off dutyのSP(笑)、ソリマチさん、川部さん。

この後、何人かはゴールデン街⇒締めラーメンと4次会、朝4時までいらしたそうです。みんなタフで濃いな。画伯のお友達はみな体力も情熱もサービス精神もずばぬけて高い。類友。

おみやげのピエール・マルコリーニのマカロン。箱のイラストは画伯によるものです。

この日はパークハイアット泊だったのですが、お部屋に戻るとなんと、プレゼントが届いていました。本にも収録されている似顔絵の原画がきれいに額装されておりました。うわーここまでやってくれるんだ! なんとあたたかなお心遣いでしょうか!

お世話になった方への感謝の表し方やおもてなしの仕方、人への接し方など、画伯からはほんとうに多くのことを教えていただきました。言葉で「べき」論はいっさい語らないのですが、いつも行動できちんとお手本を見せてくれるんですよね。谷原章介さんが「画伯は僕にとって『未来の教科書』みたいな存在です」とことあるごとに語っており、実際、谷原さんが画伯を慕う様子を拝見してきました。世耕大臣が画伯には心を許すのもわかる気がします。いい男たちに慕われる本物の紳士ですよね。(今日はお祝いだからデフォルメのホメ)

これからは新しいチャプター、海外飛躍が待っています。多くの応援団に支えられて、いっそうの御活躍を!

 (Click to Amazon) 永久保存版です。

 

 

パークハイアットはさすがの貫禄というか、スパも含め、Lost in Translationな別天地。地上とは異なる時間が流れているような感覚の滞在を楽しませていただきました。

日本経済新聞土曜夕刊連載「モードは語る」。

本日は、話題の「スーツにスニーカー」について書きました。

お近くに日経夕刊がありましたらご笑覧くださいませ。

 

<追記>

 

 

 

 

のんちゃん、田中さんにいただいたお花は日に日に美しくなっていって、つぼみだった百合が大輪に咲き誇って強い香りを放っています。ピンクの百合というのも素敵ですね。あらためて感謝♡

昨秋、大好評だったNikkei Style 主催のメンズファッションサロンが、夏に向けてバージョンアップして開催されます。会場はオープンまもないミッドタウン日比谷です。土曜の午後、お友達とお誘いあわせの上、ぜひお気軽にどうぞ。

私は基調講演(「夏の装いの歴史から見るクールスタイル」)をおこないます。お早めにご応募くださいね。

日時:6月16日(土)13:30~16:00 (中野香織による基調講演は13:30~14:00)

場所:ミッドタウン日比谷8階

募集人数:150名

参加費:無料(お土産付き)

詳細、ご応募はこちらから。昨年秋の模様も、Nikkei Styleにアップされておりますよ。

もちろん女性も大歓迎です。男性の装いの歴史はおよそ知的好奇心のある女性にとって面白いものだと思いますし、男性の装いを見る「目」をもつことで、その人の見え方が変わってくることがあります。またパートナーを持つ人は当然、知っておかねばならないことも多々ありますよね。

お目にかかれますことを楽しみにしています。


(ミッドタウン日比谷から見える外の景色)

最近話題の「スーツにスニーカー」について原稿を書きました。

 

近日中に活字になるかと思います。

反論も目に留まるだけ見てみましたが、「スーツには革靴を合わせることになっています」という類の原理原則主義をかざす前に、やはり少し歴史を俯瞰してみるのもよいかと思うのです。原理原則をふりかざすならば、それはいつ誰が決めたのか、なぜそうなのかを明確にして、さらに日本人がそれに従う意味を論じなくては説得力がありません。

服装をめぐり、古今東西、「絶対的な正しさ」なんて存在したことはありません。その時代のさまざまな条件がからみあい、落としどころのいいところで落ち着いている。それが10年以上安定して続くようになればその文化圏のcostumeになり、やがて慣習customになっていきます。

 

日本の現行の「礼服」システムにしても、そもそも140年ほど前に宮内庁が定めたあたりからおかしな点が多々あることは、しばしば指摘されている通りです。「少なくとも自分が生きている間にはみんなそうしていたから、そういうものだと思っている」ということで慣習に従っているという人が大多数なのではないでしょうか。

 

 

だから時代が変われば服装の慣行も変わって当然。変化の兆しが訪れており、それが多くの人に支持されるとなれば、まさしく時代の変革期であるということでもありますね。ただのあだ花で終わるか定着するかは、これから10年かけて観察したいところ。

 

スニーカーがらみで。波乱万丈のナイキ創業者の物語。フィル・ナイトの赤裸々な「ヒーローズ・ジャーニー」から起業家精神を同時に学ぶことができる。感情を揺さぶられながらビジネスの発想も学べる。映画化希望。

今日はパリ五月革命から50周年。五月革命がもたらしたファッションの変化について解説しました。

Nikkei Style 電子版です。「パリ五月革命から50年。そのとき装いも変わった」

お時間がゆるすときありましたら、ご笑覧くださいませ。

大安吉日の18日、リッツカールトンホテル東京において、一般社団法人日本フォーマルウエア文化普及協会 (Japan Formalwear Culture Association) の設立記者会見および記念パーティーが開かれました。

この協会は、タキシード専門店「ロッソネロ」の横山宗生さんが理事長となって組織されました。日本独自のフォーマルウエア文化を普及させるとともに世界に発信し、同時に日本の伝統文化や伝統産業の継承および発展に寄与し、地域経済の活性化に貢献するというミッションを担います。(伝統的な繊維産業は、続々と閉業の危機に見舞われています。)

ファッションショーも行われました。衣装もさることながら、音楽もパフォーマンスもセンスよく、新しい時代のリズムを感じさせます。写真で伝えきれないのがもどかしいですが。

日本ならではの着物フォーマル。


モデル勢ぞろいの図。


(理事と顧問、記念写真)

私は横山さんからのご依頼を受けて、協会の顧問としてお手伝いさせていただくことになりました。私自身がこれまで新聞はじめ各メディアで発信し続けてきた疑問点の数々。それを時代に合った形で解消し、これからの日本のフォーマルとして具体化しつつ発信できることに貢献できれば嬉しく思います。「批評」を机上で書くだけなら簡単。問題点を実際に変えていくとなると、現場の力をお借りすることがぜひとも必要です。150年前に迎合や忖度で決まってしまった慣行、戦後にアパレル会社が定めた便宜的な「ルール」を見直す時が来ています。熱意にあふれるメンバーとともに、グローバル時代に合ったフォーマルウエアの意識改革を進めていければ幸いです。同時に、伝統織物の産地に需要が生まれるような仕組みを作ることができればいいですね。貴重なレガシーがどんどん失われていくのを傍観していくのではなく、お役に立てるのであれば、微力でも何らかの貢献ができるよう考えていきたく思います。みなさまからのご助言、ご提言もぜひお寄せくださいませ。

 

 

モデルのみなさまと。私が着ているドレスは「ロッソネロ」の横山さんデザインです。「ロッソネロ」では、4月からドレスの制作も始めています。女性洋装モデルが着ているのも、豪華な西陣織や米沢織、桐生織の着物地をドレスに使ったもので、至近距離で見るとうっとりする美しさです。

横山さんのご人徳もあって、夜からの一般パーティーは大盛況でした。このバタフライポーズは「蝶ネクタイ」の象徴、ということで。

 

さっそくlivedoor newsにとりあげていただきました。こちらです

 

 

イラストレーターの綿谷寛・画伯の画集が出版されますよ。小学館より、5月10日発売です。

イラストレーター生活40年の集大成を還暦の年というタイミングで出版されること、本当にすばらしく、心より祝福したいと思います。

『紳士の名品50』で描いていただいたようなロマンティックタッチから、本物よりも本物そっくりな(!)マジタッチ、そして「ナウのれん」路線のマンガタッチにいたるまで。40年間にわたって第一線で活躍し続けている綿谷画伯の幅広い筆力を堪能できる待望の一冊です。

(『紳士の名品50』のために描いていただいたイラストのなかの一枚。イメージモデルは谷原章介さん?! )

私も巻末に解説エッセイを寄稿したほか、各章の英文タイトルを作りました。

画伯による、執筆者の似顔絵です。穂積和夫先生、世耕弘成大臣、谷原章介さん、いであつしさん、そして中野香織がそれぞれの角度から画伯&画伯の絵について論じています。(それぞれのアトリビュートとして描かれている飲み物の違いに注目)

これはもう、楽しみすぎるでしょう?(笑)

 

 

 この本でも表紙のカットはじめ、上の例のようなロマンティックな「紳士修行中」男子のイラストを数点、描いていただいています。

 

<追記>アマゾンでの予約も始まりました。画像をクリックするとアマゾンに飛びます。

新たにアーカイブ入りしたpdfです。順不同。お時間の許す時あれば、ご笑覧くださいませ。その他アーカイブに関しては、「etc.」でご覧いただけます。

・2017年5月6日 「ネイビーは勝利の色」(Men’s EX 6月号)

・2016年5月24日 「世界に影響を与える指導者はトラッドなのです」(Men’s Club 7月号 No. 665)談

・2011年12月6日 「『カントリー・ジェントルマン』とはいったい何者だったのか?」(鈴木文彦さんとの対談 Men’s Precious 2012年1月号)

・2009年7月1日 「モードがマンガに接近中って、本当ですか?」(VOGUE  7月号 No. 119)談

・2011年7月1日 「インディアンの自然観から学ぶもの」(Equus 8月号)

・2017年4月27日 「ロイヤル婚のレジェンド、美智子様とグレース公妃の魅力」(25ans 6月号)

・2011年4月27日 「英国王室のラブ・ストーリーは、なぜこんなにも人々を惹きつけるのか?」(25ans 6月号 No. 381)

・2011年4月6日 「なぜ、今、『王室御用達』なのか!?」(Men’s Precious 2011 spring)

・2011年4月6日 「英国人にとってロイヤルワラントとはいかなる意味を持つのか」(Men’s Precious 2011 spring

・2010年12月25日 「ケイト・ミドルトン、ウィリアム王子との愛」(25ans 2011年2月号)

・2017年7月28日 「没後20年記念特集:ダイアナ妃という伝説」(25ans 9月号)

・2012年11月1日 「私はわが道を行き、ふさわしいスタイルを貫く。」(チャールズ皇太子特別寄稿『私のファッション論』翻訳 / GQ 11月号)

・2012年11月1日 「プリンスにふさわしい風格」(ビル・プリンス寄稿”Fit For A Prince”翻訳/ GQ11月号)

・2012年11月1日 「時代がようやく追いついた」(GQ 11月号)

・2011年2月26日 「ランヴァン クリエーティビティとリアルを共存させる稀有なるメゾン」(25ans 4月号)

・2011年5月 「人生をまるごと仕事として生きたココ・シャネルに学ぶ『自立』と『自由』」(松竹製作 日生劇場ミュージカル「ガブリエル・シャネル」パンフレット

・2015年6月27日 「師にして姉にして親友の『25ans』と歩んだ35年」(25ans 8月号 No. 431)

・2016年7月1日 「輝いている女たち 第一回 中野香織」(Brilliant Glanz 2016 summer issue)

・2016年12月7日 「ゲラン 美学の結晶『オーキデアンペリアル』洗練の美肌伝説」出演(Precious 2017年1月号 別冊付録)

 

またこちらでは、マンガのキャラとして登場しています。(綿谷画伯×いであつし文豪の「ナウのれん」100回記念号です。)

・2016.12.16  「ナウのれん」100回 (Begin 2017年2月号)本来、もっと長い記事ですが、登場しているところだけ掲載させていただきました。

 

 

 

 

こちらは、先日のTae Ashida コレクション会場での一枚。オフィシャルカメラマンが撮影してくださったもので、オフィシャルインスタグラムにアップしてくださってました。ありがとうございました。ブロンズのドレスは今シーズンのTae Ashidaです。袖は繊細なレースになっています。ブロンズは、昼間の平明な光の下で服だけを見ると派手な印象ですが、夜間の照明の下だと意外に肌になじんでしまいます。

なんでもそうですが、照明しだいでいかようにも見え方が変わりますね。どのように光をあてるかによって見え方が変わるということは、もちろん仕事はじめ人の営み全般について言えそうです。

早くもウェブに転載されました。

GQ4月号掲載の「ジェントルマンってなんだ?」(大住憲生×中野香織×ファッションドリーマーD) こちらです。

干支ひとまわり分昔の、ENGINEでの鼎談や座談会などの記事のpdfを読めるよう、前々回の記事にもリンク張っておいたのですが、「メンズファッションの今」を語っても空気感が違いますね。どっちがいい悪いではなく、すっかり時代の景色やムードが様変わりしているということと、私自身がいつのまにか「オーソリティ」扱いされてしまう立場になっていることが、空気感の違いの一因になっているかなあ(もちろん、鼎談メンバーが違うという点もありますが)。私自身はまったく権威とは無縁でいたいし、北斎を倣って「110歳で理想の完成」に至るまで日々、成長途上人として仕事をつづけられたらそれが最高と思っているので、オーソリティ扱いされるのは苦手中の苦手。でも、経験値からそんな役回りを演じなければいけないときもある。ごくたまに演じる分にはよいけれど。

ともあれ、若い人から新しい感覚を学べる機会はとても貴重です。

 

昨日は新宿のホテルで次男の学校説明会。知識を得るということがいとも容易くなったいま、得た知識をどのように表現するのか、いかに社会と接点を作って世の中に役立てていくのか、熱中できるニッチなことをどのように社会とからませていくのか、教育の主眼がそちらに移っているということを実感する。学校で授業をするならば、youtube やパズドラより面白いものにしなくてはならない(!)。教師のライバルはyoutuber。だから教師のメインの仕事は一人一人に向き合うコーチングにシフトしていく。5年前の「職業」の枠組みや価値観は5年後には「過去」のものになっているだろう。

(写真のホテルは会場となったホテルの近くだったので帰途に立ち寄りました)

子供の将来を考えながら自分の仕事のあり方もあれこれ考えさせられた良い機会でした。

追加したpdfの中から。続きです。いつか未来に「過去にはこんな見方もあったのか」という資料として誰かの役に立つかもしれないし、何の役にも立たないかもしれない。紙の雑誌も5年後あるのかどうか、なんとも予測できない時代ではありますが、「こんな誌面のデザインがあったのか」という点で面白がられることがあるかもしれない。フォントが揃わずお見苦しく申し訳ありません。いったん他に転記して揃えてから戻す、などいろいろ試しましたがリンクが消えてしまったりと素人には難しく、サポートに聞いてもうまくいきませんので、このままでご寛恕ください。

 

 

 

 

 

 

 

新たに追加した過去作品pdfのなかからピックアップしました。とりわけメンズファッションに関し、10年以上前に書いたり言ったりしていることのなかには、「歴史」になった話もありますが、実はそんなに古くなっていないものも多い。メンズファッションが大きく変化していないからか。たぶんそれも一部。あるいは本質をついているからか。後者が少しはあると思いたい。未熟だったりダサかったり気負いすぎていたりする過去の自分を消去したいのが本音だが、そういうダメだった自分を救えるのも自分しかいない。10年後、今の仕事を見て「なかなかきちんとやっていたな」と納得できる、そういう仕事を今、現在やり続けていかなくてはいけないのだとあらためて自戒。順不同です。ここにピックアップした以外のものは、etc.の欄に。

 

 

 

 

過去作品pdf化できたものシリーズ。前回、子供に任せたら何が何やらわからなくなり、しようがないので自分でやってみたらおそろしく手間がかかることが判明。追々、仕事の合間に不定期にアップしていきます。そうこうするうちにも次の締め切りくるし。単行本もあるし。合間っていつ。

順不同です。自分で書いたものが主ですが、インタビューを受けたものもあり。インタビューを受けた記事は「談」と書いてあります。タイトルをクリックするとpdfにとびます。不備あればお知らせください。

「ジョルジオ・アルマーニというブランドが男のスタイルにもたらしたもの」  (Men’s Precious 2015年5月号 2015年4月6日発行)

・ 「ラ・マルセイエーズを! たかが酒場のワンシーンに込めし『尊厳』」(Men’s Precious 2014 年11月号 2014年10月6日)←「カサブランカ」はボギー絶賛ばかりなのですが、実はヴィクター・ラズロのかっこよさが見逃されているのではないかというお話。夫にするならヴィクターだろう

・ 「真夏の夜の嵐」(クロワッサンPremium 11月号  No.60  2012年9月20日)←めずらしく小説スタイルで香水を紹介してみた

 「愛に理由などありません ~『アンナ・カレーニナ』~」(WWD 2013 Spring 2013年2月25日)

・ 「これで王妃もギロチンへ行けるわ ~『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」(WWD 2012 Winter 2012年11月30日)

・ 「ファッションに見る平和のムーブメント」(25ans 6月号 No. 429 2015年4月28日)談

・ 「クール・ビューティーの心意気」(ミセス 7月号 No.691  2012年6月7日)

・ 「オヤジが巻物を必要とする理由とは?」(LEON 3月号 No.137  2013年1月24日)談

・ 「時代を超えて人々の記憶に輝き続ける60~70年代のジェットセット・スタイル」(Men’s Precious × Precious 2012 spring 付録 「Gucci 男と女の旅する名品物語 2012年4月6日)

・ 「品格こそサクセスの条件」(25ans 2012年1月号 No.389 2011年12月26日)

 

 

Web LEON に記事が掲載されております。「『男』のお洒落にはどうして論理が必要なのか?」

数年前にインタビューを受けた記事ですが、あらためてウェブ版にアップされました。紙媒体の掲載のみというよりも、ウェブに掲載される方が結果として「長く読まれる、保存できる」というメリットがありますね。(忘れてほしいのにずっと残っているのがデメリットというのもたまにはありますが)

 

このような大雑把なジェンダー分けはトランスジェンダー時代において、ナンセンスとも感じられることもありますが、たしかに「メンズ」ファッションの領域は論理だらけですね。後づけのヘリクツも多いですが、それも含めて楽しむべき世界なのかもしれません。

 

 

 こちらはLEON最新号です。

「GQ」4月号発売です。

「大住憲生×中野香織×Dの、世代を超えた座談会 ジェントルマンってなんだ?」が掲載されております。収拾がつかないのではと思われた内容をまとめてくだったのは今尾直樹さんです。ありがとうございました。

 

字面だけ読むとなんだか私がうら若いDくんをからかっているようにも読めるかもしれませんが、それは面白く読んでいただくためのライターさんの腕の見せどころでもあり。もちろん現場では三者互いにとてもリスペクトしあえた、楽しい雰囲気でしたよ。

(click to amazon)

北日本新聞の取材で「ヒーローズ・ジャーニー」のコンセプトを中心に高校生への激励メッセージを語りました。六本木ヒルズにて。


その後、コンデナスト本社にてGQ 誌の仕事、ファッションディレクターの大住憲生さん、ファッションドリーマーのDさんと鼎談。

Dさんはインスタグラムフォロワーが212万人、一般男性部門ではフォロワー数日本一だそうです。

ミレニアルズの憧れの男性像やファッション観を聴くことができてなかなか面白かった。

詳しくは、2月24日発売のGQにて。

申し合わせたわけでもないのに、3人ともピンクをアクセントにして着ていました。

212万人が見ているって大変なことですよね。だからこそ企業が目をつける。Dさんもすでにタレント事務所に入っていらっしゃいます。インフルエンサーマーケティングの世界は、知らない間に急成長をとげていて驚き。

 

 

なんと一年以上も間をあけてしまったメンズプレシャスの「伝説のジェントルマン」。

「英国紳士5つの型」、前編・中編に続き、後編がようやく完結しました。こちらです。ほんとごめんなさい。マラソンの最終選手が周回遅れでようやく倒れ込むようにゴールした感じですな。

その間、辛抱強く寛大に待ってくださった読者のみなさま、編集部のみなさまに、心より感謝申し上げます。

この1,2,3月はこれまでのまとめをおこないつつ新たなステージへの移行期になります。やり残しのないよう、悔いを残さないよう、さらにそれが読者の皆様に何らかのお役に立てるよう、大切に時間を使っていきたいと思います。

9日よりフィレンツエにて第93回ピッティ・イマジネ・ウオモが始まります。

「Pittiって何?服なんか興味ないし」というビジネスパーソンに向けて、Forbes Japanのサイトにてピッティ・ウオモについての解説記事をかいております。

百花繚乱の世界のメンズスタイルが知的に分類され、俯瞰できる場でもあるのです。カルチュアをキュレーションしビジネスにつなぐ。あなたの活動にとって何かのヒントになれば。

広報ラポ・チャンキ氏のことば「エレガントな男性は革命を好まない。アップグレードを好む」が印象に残っています。革命好きな起業家の方とは真逆の考え方かな。でも日々のアップグレード(変化)もまた積み重なれば革命を起こしますよね。

 

 

 

Hackett London 2018 SS 展示会。銀座Hackett Londonにて。

6月のロンドンのテムズ川クルーズで「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」コレクションを拝見というか「体験」させていただいていたのですが、やはり東京・銀座の店内にディスプレイされている商品を見るとまた別の印象が生まれるものですね。やはりどのような「世界」(場所・時間・人)でそれが着られるのかということで、服の見え方も変わります。


銀座で見る「ヘンリー・ロイヤル・レガッタ」コレクションは、スポーティーとはいえ、やはり都会仕様なのでした(当然なのですが)。

この華やかなポケットチーフは「ハケット式」の4ピークス。ストールを「半襟」のように合わせることで何とも美しいグラデーションが生まれていますね。

リネンツイードの艶やかさは、やはり間近で見ていただきたい!ホワイトトラウザーズとの組み合わせで、知的でスポーティー&上品な印象を与えます(もちろん最終的には着る人によることは言うまでもありませんが)。

ビスポークもおこなっています。手前のお茶目な生地見本は「裏地」なのです。一枚一枚、全部写真を撮りたくなったくらい楽しい裏地が満載です。

こちらは来年から発売になるという、ハケット×綿谷画伯×鳩居堂のトリプルコラボレーションです。綿谷画伯がロンドンの風景を描いた扇子とチーフが収納されている鳩居堂の箱には、ハケット氏が直々に選んだというよい香りもついてます。扇子のサイズも、スーツの内ポケットに入るように小さめに作られています。

銀座店の1階。ゆったりと美しいディスプレイで眼福でした。そしてスタッフの皆様もイギリス紳士式にレッドソックス! ↓  黒・白・紺・灰・赤。これがイギリス式の「基本色」なんですね。


路面店での展示会は初めてでしたが(これまではBLBGプレスルーム内)、よりラグジュアリーなハケットロンドンの世界を堪能できたように思います。スタッフの皆様、ありがとうございました。

LEON 2018年1月号が発売中です。

(Click to Amazon)

先日のジローラモさん&キーン・エトロさん特別講義の模様が紹介されています。

ありがとうございます。

掲載していただきながら恐縮なのですが、記事のテキストを何点か微訂正させてください。

・明治大学中野キャンパスの大ホールを貸し切って ⇒ このホールは、受講生が多いふだんの私の授業で使っている「教室」で、貸し切ったわけではありません。

・100人以上もの学生 ⇒ たしかに100人以上ではありますが、当日は約300人の学生でした。

・”ファッションの文学史、モードの神話学”  ⇒ ただの「モードの神話学」という授業です。いったい「ファッションの文学史」という麗しいワードがどこから出てきたのか…!? 笑

細かいことで申し訳ありません! ご参加いただいたうえ、掲載していただき、心より感謝しております。最高の思い出をさらにこのようにエンドースしていただき、ありがたい限りです。

鈴木晴生さん著『こだわる男のスタイリングメソッド』が講談社から発売されました。おめでとうございます。

銀座ライオン、クラシック宴会場にて出版記念パーティー。晴生さん人気を反映するように、スタイリッシュに着こなした参加者で熱気に満ちた会場。

本は、どこを開けても晴生さんの素敵な写真に出会える、スタイリングブックを兼ねた写真集のような作り。

メンズスーツ業界の著名な方々もずらり。イラストレーターのソリマチアキラ氏とも久々にお目にかかりました。男性は髪の色が明るくなると、洒脱な印象を与えることができていいですね。

新刊はこちらです。

来年1月におこなわれる第93回Pitti Imagine Uomo の説明会がおこなわれました。広報のラポ・チャンキ氏が来日し、美しい動画も駆使しながらの、期待感を盛り上げるプレゼンテーション。渋谷のTrunk (Hotel)にて。

テーマに「シネマ」が登場し、ゲストデザイナーとしてUndercoverの高橋盾とThe Soloist.の宮下貴裕が合同ショーを開催する。200周年を迎えるBrooks Brothers がフィレンツエの街を使ってスペシャルイベントを行う。などなど、期待のイベントが満載です。

その後、ラポさんに個別のインタビューをさせていただきました。このインタビューに関しては、後日、別媒体で記事を掲載します。しばし、お待ちくださいませ。

 

それにしてもTrunk (Hotel)。伺うのは2度目でしたが、ようやくこの空間の独特の圧にも慣れました。こうくるか!とうなる、いまどきのおしゃれなホテルです。お料理もセンスよく、おいしいし、お皿やカトラリー、ナプキンにいたるまで、これみよがしではない高級感を漂わせています。一度宿泊してみたいものです……と思って調べたらとてもお高くてこれまた驚き。

中のTrunk (Bar)はノマドワーカーと思しき人でほぼ満席の、多国籍空間。

Men’s EX 12月号発売です。

9月末に東京ステーションホテルでおこなわれましたTokyo Classic Night のレポートが掲載されています。

バランタインさんのサイトでも。こちらです。

あの日から1か月以上も経ったのか…。というか大昔のことのような。

そして来月号から「2018年」の表示になるのだ。時間と互角に付き合うのはなかなか難しいですね。

9月27日におこなわれました日本経済新聞電子版The Nikkei Style 主催のメンズファッションサロン。丸の内Isetan Salone にて。

お話したことの一部が記事になりました。こういう堅苦しい論調ではまったくなかったのですが、そこは日経ブランド、このようになるのですね。

お時間のゆるすときがあればご笑覧くださいませ。こちらです。

メンズスーツの話でしたので、メンズスーツをアレンジして着ていきました。
スーツは廣川輝雄さん作で裏地を真紅にしていただいています。インナーはタダシショージのビッグスカーフ(をブラウス風に巻いただけ)、靴はドル&ガバです。

 

Tokyo Classic Night. すばらしい一夜になりました。ご来場くださいましたゲストのみなさま、ありがとうございました。

そして東京ステーションホテル、ISETAN MENS、グランドセイコー、サントリー各社のみなさま、MENS EX の編集部のみなさま、打合せ、準備の段階から当日のきめ細やかなセッティングにいたるまでプロフェッショナルに進めてくださいまして、ありがとうございました。

それぞれのスタッフの、予期せぬ「ひと手間」が加わり、完璧な瞬間が生まれました。その「ひと手間」には、情熱とか愛とか思いやりといった言葉(なんか照れくさいが)で語られるような、あたたかさを感じました。

 

大野編集長&平澤副編集長コンビのラストを飾るお仕事にご一緒できて、光栄でした。期せずして涙と感動の卒業式ともなりました。

10月より、大野さんは「家庭画報」副編集長となり、平澤さんはMEN’S EX WEB版の編集長となります。MEN’S EXの新しい編集長には、Begin編集長をつとめていらした金森さんが就任します。この日は金森さんもゲストの方に向けて短いご挨拶を。

着物ドレスは、北海道の着物デザイナー、下澤佑介さんがデザインするDahliantyのものです。(Dahlinaty/ダリアンティー、http://dahlianet.com  北海道札幌市西区山の手1条4丁目1-2、Tel:011-621-0040 。着物ドレスのオーダー、販売だけでなく、レンタルもおこなっています)

東京駅の真上に位置する東京ステーションホテルの部屋からの朝の眺め。

9月30日(土)に開催されるMen’s EX × The Tokyo Station Hotel × Isetan Men’s × Grand Seiko 「東京クラシック」ナイトへのたくさんのご応募をありがとうございます。

なんと定員の2・5倍以上のお申込みがあったそうです。今回、抽選にもれてしまわれた方、ほんとうに申し訳ありません。運よく当選されたみなさま、当日、お会いできますことを楽しみにしています。

Men’s EX 編集長の大野陽さんと、副編集長の平澤香苗さん、グランドセイコーご担当者さんと打ち合わせ、東京ステーションホテルにて。

左が大野編集長、右が平澤さんです。

「復原」(一部残されていた建物を保存しながらよみがえらせること。「復元」ではなく)されたホテルは、いたるところに100年前の遺産が活かされた、Living Heritageです。レンガは、当時の職人が手で積み上げたものだそうです。写真は、インペリアルスイートの一室の一角。

そのまま、伊勢丹メンズ館14周年パーティーに向かい、ISETAN MEN’Sにも取材。


メンズ館5階のオーダーサロンでは、日本人テーラーをフィーチャーしています。世界各国で修業し、そのすばらしさを日本的解釈でとりこみながらもオリジナルのスタイルを確立、世界へと発信する日本人テーラーたちの、うっとりするほど美しいスーツ。

当選されたみなさま、東京クラシックを体感できる「アトリウム」でお会いしましょう!

 

日本経済新聞日曜版 The Style 。本日は、ロンドンコレクションメンズの総括記事を書いております。「ロンドンからの挑発」。

ぜひ、ご覧くださいませ。


Michiko Londonのテーマは、日本の野球少年。


Vivienne Westwood は、現代社会を挑発。


Hacket Londonは船上パーティー形式で新作を発表。

ミハラヤスヒロはオクスフォードストリートの地下駐車場で「ブランク・ミラー」をテーマにショウをおこないました。

そしてEdward Crutchleyは一点ものの生地で軽やかにボーダー越え。


ほかにも多くのブランドのショウやインスタレーションを見ましたが、紙幅がかぎられているため、写真も本文もすべてを網羅することができなかったのが心残りです。しかし、現地の熱気のなかに身を投じて取材してみたことだから見えてきたことがありました。機会を与えてくださったみなさま、ご協力いただいたみなさまにあらためて感謝しております。

日本経済新聞 日曜版 The Style. 6月に取材したピッティについて書いております。

「ピッティ・ウオモってだれ??」「そもそも僕の生活になんの関係があるの?」「クラフツマンがわからない」「ファッションの話って広告対応じゃないの?」などなどの厳しくもごもっともなチェックと何度も何度も粘り強く闘いながら、最終的にOKが出た、ごく一般の(=ファッションには関心のない)読者向けのピッティ解説です。CEOのナポレオーネ氏に単独インタビューもしております。


「ザ・スタイル」担当編集者の太田さん、ピッティ広報の森繁さん、通訳の寺島さんとのチームワークのおかげにて、ピッティウオモの歴史と最新の状況、その戦略と現実を、1200字で凝縮し、俯瞰する記事になったのではないかと思います。取材の段階から校了にいたるまで、感慨深い仕事になりました。グローバルなファッションの世界の最前線で起きていることを知っておくことは、世界で活躍しようとする方にとっては、教養です。またビジネスのヒントもそこに見出せるのではないかと思います。よろしかったらぜひご覧くださいませ。

 

 

読売新聞夕刊連載「スタイル アイコン」。

本日は、ブルトン・ストライプを流行させたアイコン、芸術家のパブロ・ピカソについて書いています。

これが「ピカソのマン(手)」と題されたドアノーの写真。このシャツはブルトン・トップ(Breton Top)と呼ばれます。柄の名はブルトン・ストライプ(Breton Stripes)。

(French Sailors in Breton Stripes)

 

日本語ではこの柄を「ボーダー」と呼ぶことが定着しているようですが、

英語のborder に「横縞」の意味はありません。縞柄は、横も縦もstripe。

うめだ阪急のプレミアムウォッチフェア。

IWCの南出留理さんのスマートで的確な進行と解説のもと、Code of Beauty, Code of Lifeについて話をしてきました。IWCのコード・オブ・ビューティーとは論理であり、それは黄金比や「生命の花」などの数学的な規則的パターンを基盤にしていること。そこから出発して、ダ・ヴィンチに関わる人、ダ・ヴィンチの各モデルが連想させるさまざまなスタイルアイコンにおけるCode of Life のお話など、私の勝手な連想もまじえつつ。

どうも反応が薄いかな……まずかったかな……(時計のメカニカルな話を期待していらしたゲストの方には見当違いな話だったかも……笑いどころ?も思い切り外したし……)と思って落ち込んでいたら、終了後、ひとりの女性がやってきて「75歳ですが、今日の話を聞いて人生を変えようと思いました」と。

感激しました。
こういう方がたった一人でもいてくださると、少し報われた感がありますね。私も感想はできるだけ伝えるようにしようと心に誓ったできごとでした。ありがとうございました。

他社ブースですが、一着50億円といわれる宇宙服や、

日本初の「機械遺産」に認定された腕時計も展示されていました。「ローレル」という名前が大正ロマンっぽくていいですね。

豊かな時計の世界を楽しませていただきました。時計については学べば学ぶほど奥が深いことをあらためて実感しました。

ゲストのみなさま、およびお世話になりましたスタッフのみなさまに、心より感謝申し上げます。

ピッティ最後の日のショウは、OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH 。ピッティ宮殿にて。

ショウ開始が22:00とあり、どれだけ苛酷なのかと心の中で恨む…。疲労も積み重なってかなり消耗してはいたが、なんとか気力だけで起きている。

先に軽く夕食をということで、コーディネーターTerashimasa さんのパートナーの勤務するホテルのテラスレストランに再び。

夕刻は昼間と違う雰囲気で、なんとも幻想的な夕暮れを楽しみました。



すみません、こんな場所でしかできないドルチェヴィータごっこでした…。

 

22:00にピッティ宮殿へ向かうも、始まる気配はナシ。このショーのために屋外に巨大な、特別な階段状のベンチが作られている。フロントロウではあったのだが、席がなかったと怒るカップルが目の前に陣取り、フロントロウの意味がまったくなくなる。プレスの人が注意しても「招待状があるのに席がないのはおかしいだろう」と逆ギレ、移動する気配はない。こういうのはあきらめるにかぎる。客席全体からイライラした空気が漂う。


22:30あたりからようやく始まり、ピッティ宮殿に大きな文字で「ポエトリー」が流れていく。世界のあり方や戦争に抗議しているのだろうか。これがとにかくうんざりするほど延々と続く。なかなかモデルは登場しない。

いいかげん眠気をがまんするのも限界に来たところでショウが始まるものの、会場が広すぎて、モデルが「遠い」。よく見えないまま、あっけなくすべて終わる。

終了直後、正直すぎるジャーナリストのOくんが「くだらん!」と叫ぶ。たしかに、壮大な舞台設定、強いメッセージで斬新な演出を意識したものなのかもしれないが、観客のことをあまり考えていない印象だった。22:30開始という時間といい、「暗くて遠くてよく見えない」ショウといい。実際にどのような作品が発表されたのかを知るためには、撮られた写真だけをあとから見るほうがよほどよさそう。(デザイナーはストリートファッションに対するしっかりした知見の持ち主として高評価の方なのです。ただ、今回の見せ方が、狙いすぎだった。)

とはいえ、夜のフィレンツェの裏通りなんかも、こんなことがないとなかなか歩かないので、見ることができてよかった。映画で見たような光景。

真夜中の橋の上や下でも酒盛りをしている人々がいる。酔って川に落ちる人もいるらしいが、とくに対策などは講じられていないそうです。

 

翌朝。ようやく帰国。とはいえパリのシャルル・ド・ゴールでトランジット、待ち時間8時間と聞いてほとんど気絶しそうになるが、ラウンジでシャンパン飲んだり写真の整理したりしているうちに意外とあっという間に過ぎる。

10日間の休みなしの取材の旅でしたが、なんだか3か月ほど過ごしたような。脳内の一部分が書き換えられた感じというか、別次元にシフトした感じがする。

 

詳しい内容は追々、活字になっていきます。自分のための備忘録のような旅レポにおつきあいくださいまして、ありがとうございました。

 

個々の取材はきりがなく、つかみどころのないピッティ。膨大なピッティの全体を俯瞰する視点がどうしてもほしい。そんなときはトップへの直接インタビューにかぎる。と思ったので、だめ元でピッティCEOにインタビューを申し込んだらご快諾くださったばかりか、イタリアファッション業界の、半世紀以上にわたる歴史をわかりやすく解説し、ピッティとのつながりを解き明かしてくださいました。


ピッティCEOのラファエロ・ナポレオーネ氏。ロマンと現実を織り交ぜながら一瞬たりとも飽きさせない明朗な話しぶりに、すべての霧が晴れました。

イタリアファッションの歴史の本までおみやげにくださったナポレオーネ氏に、心より感謝します。お話はそのまま講演にしたいほど面白かったのです。詳しくは活字で。

イタリア語の通訳をコーディネーターのTerashimaさんにお願いしました。CEOは英語でもお答えくださるのですが、イタリア語になるとお話される量がとたんに3倍くらいになるのですね。となればイタリア語で聞く方がいい。

 

インタビュー終了後、ナポレオーネ氏が、ぜひ見に行くべき、と勧めてくださったピッティ宮殿でのモーダ展に急ぎました。なんとかピッティ宮殿の入場は間に合ったのですが、宮殿がまた大きくて、会場となる部屋までたどりつくのにさらに10分以上かかり、入り口にたどりついたとたんに「すみませんが、本日終了です」と扉を閉められてしまいました…。

ここで「5分だけなら」と開けてくれるのが日本ですが、ぴったり時間通りにクローズするのがヨーロッパ。終わりの時間がきたら1分たりとも開けていない。

というわけで泣く泣く見逃したモーダ展でした。



20時でも余裕で明るいフィレンツェ、サンタマリアノベッラ教会前の広場。

35度超のなか、バスでレオポルダ駅に移動し、ヨシオ・クボのショウ。会場に入ると冷たいドリンクを振る舞ってくださいました。席には扇子。こんな気配りがあることでほっと落ち着いてショウに臨める。この細やかさ、やはり日本のブランドならではのものでしょうか。ついでに連想したのですが、レストランでおしぼりが出てくるのは日本の常識ですが、ロンドンでもフィレンツェでもついぞ出てこない。むしろおしぼりなどないのが世界の常識。とはいえそのままパンをちぎったりするのはかなり抵抗があります……。コーディネーターの方はそんな日本人の葛藤を知り尽くし、常にウェットティッシュを持ち歩いていらっしゃいました。

さて、クボ・ヨシオのショウです。

 

アフガンの戦士?!と第一印象で感じたのだが、あとからデザイナーにインタビューしたところ、まったくそれは私の誤解であり、日本の伝統工芸の絞り染めの、新しい表現方法を提案したとのこと。なるほど、そのような視点で見ればまた見え方も違い、納得。




絞り染めで覆う、縛る、結ぶ、巻く……。新鮮な男性像を見せていただいた、力強いコレクションでした。

デザイナーのヨシオさん。世界の舞台での発表を今後も続けてください!


会場にはこんな万華鏡のような装置がおいてあり、中に入って楽しめました。

 

再びバスに乗りピッティ会場へ戻り、プレスルームで休憩。日頃なかなかお会いできない日本のメディアの方と遭遇することもある。


Men’s EXチームのみなさん。中野の右は大野編集長、左は副編集長の平澤さん。平澤さんはここ数年、イタリア語を学び続けて、かなりレベルアップしたという努力家でもいらっしゃいます。さすがのMen’s EX、35度超えでもタイドアップスーツなのです。


Leonの表紙でおなじみ、長いモデル歴でギネスにも載るジローラモさん。

そしてピッティはまだまだ続く……。今回、Pitti プレスのMorishige Makikoさんにひとかたならぬお世話になりました。

 

 

平和なファッション見本市が行われているとはいえ、バッソ要塞の入り口には写真のような特殊警察が武器をもって見守っているし、フィレンツェの駅周辺にはやはり武装した兵士が巡回しています。目にするといやおうなく緊張が走ります。


むしろこのような方々に守られているのだと心の中で感謝しつつ、3日目(6月15日)。午前中から外気温は35度に上らんとしている会場周辺。


写真を撮られたい方々も、さすがにこの炎天では日陰に逃げ込んでいらっしゃいます。


実は女性も少なくない。メンズにしても、華やかな方々が目立つのでついカメラを向けてしまいますが(彼らは撮られるために来場していたりします)、実際は、しのぎやすい半袖シャツの方も多い。

さて、Pittiのブース。ふと目についた個性的な「アロハ」シャツのブランド名を見たら、沖縄にある日本の会社でした。


PAIKAJ。服地から日本で作り、日本で縫製するアロハシャツを中心に作っています。


日本人にしかできないきめ細かさを活かしたシャツ、と解説してくださる社長の吉田さん。もともと奥様のご実家が沖縄でアロハシャツを作っていたことから、この会社を立ち上げたそうです。

カジュアルスタイルのなかに、ドレスシャツの技法が使われている。上質なカジュアルが中心ですが、上の写真のように、見えないところに遊びのあるドレスシャツも。

そしてユナイテッドアローズの鴨志田さんのブース。なんとピッティ11年目だそうです。世界から敬意を受けるMr. Kamoshitaについては、この後インタビューすることになるピッティCEOもわざわざ名前を挙げて讃えていました。


ジャケットスタイルのドレスダウンをさまざまに提案。「たとえば…」と言いながらその場でぱぱっと各アイテムを選んでコーディネート例を作ってくださいました。

この色使い、さすが。インナーとハーフパンツの色合わせはなかなか素人には思いつかないですが、両方の色を使っているジャケットを合わせることで、トータルにまとまります。


周囲に幸せな空気を作るカモシタ・スマイルは感染力があります。つられて笑顔になる。


そして強力な磁力を放っていた、Gabriele Pasini 。ただものではない美意識が、一体一体のコーディネートから伝わってきます。



「抜け感」も「隙」も、どこ吹く風。細部に至るまで手ぬかりなく緻密にドレスアップ。完成度なんていうことを超えている。

クリエイティブディレクターのガブリエルさん本人も、存在感のある方。強面な感じですが、話すとむしろシャイで優しく、丁寧に解説してくださいました。

あとからLEONの編集長に聞いたのですが、ガブリエルさんはLEON読者にもファンが多く、「ガブさん」の愛称で親しまれているとのことです。不勉強で失礼しました…。それにしても、ここまで突き抜けた美意識は、一種の共通言語になるのだなあと納得。

バッソ要塞へ戻り、ピッティ展示会ブースめぐり再び。


外気温35度のなか、いたるところで撮影がおこなわれています。こちらは動画の撮影。歩く姿や帽子に手をやる姿も、みなさん決まって(決まりすぎて)ます。

ひときわ多くの人が訪れていた、ポール・スミスのブース。彼はイギリス人ですが、ロンドンコレクションではおこなわず、ピッティに来るんですね。ピッティのほうがやはり商業的にもリターンが見込めるのか、イギリス人デザイナーやイギリスブランドのなかには、ロンドンではとくに何もせず、ピッティに力を入れているところが少なくない。ブースにはロンドンの著名なブランドがいくつもありました。気鋭のJ.W.アンダーソン(英)も今回、ピッティでショウをおこないました。J.W.アンダーソンに関しては、ミハラヤスヒロも「注目のデザイナー」として名前を挙げていましたが、今回のショウではかなり強気で、観客数を絞り、招待状を送ったところにまで「送りましたが間違いでした。来ないでください」というメッセージを送ってきたらしい。失礼だと怒るジャーナリストもちらほら。こういう対応もブランドイメージを左右します。ひょっとしたら、「怒らせる」ことで何かのブランド価値を発信しようとしていたのかもしれません。今後どうなるか、徐々に明らかになってくると思います。

さて、ポールのブースです。






展示作品も密集、ゲストも密集。そのなかに何気なくゲストに混じっているポール・スミス発見。左から2人目。


しっかりデザイナーと記念撮影。笑

いいかげんこれ以上歩けなくなったところでこの日の取材は終了。

着替えて地元のレストランへ。Hiromi Asaiさんと彼女の作品のために服地を作った丹後の服地屋Yamamotoさん、そして靴デザイナーKatsukawaさんと、インタビューを兼ねて夕食。詳しい内容は後日。



そういえばフィレンツェに来て初めてまともにレストランで食事をしたなあ。あとはプレス用のあわただしいフリーランチとかパーティーフードやサンドイッチばかりだったような。写真のTボーンステーキはフィレンツェ名物で、5人ならなんとか食べられるだろう、と。



出展の苦労や服作り・生地作りの苦労などうかがいつつ、楽しく過ごさせていただきました。

14日はフェデリコ・クラーディのショウから。場所はバルディーニ美術館。画家からキャリアを始め、美術商になったバルディーニ氏が、昔の館を修復し、美術館としてよみがえらせた建物という。


こんなところで生活すると、いやおうなく美意識が鍛えられますね。美術が生活や人格の一部になってしまう。

9:30スタートとインビテーションに書いてありましたが、実際に始まったのは10:30過ぎ。コーディネーターさんによれば、時間の感覚は「そんなもの」だそうです。


スタンディングのゲストが見守る中、裸足のモデルたちが歩いていく。どこからがランウェイでどこからが観客側か、すべてが一体となったような雰囲気。


観光地につき記念写真。歴史的な建造物をファッションの舞台として紹介していくのもピッティの役割。フィレンツェならではの建物でした。それにしても朝から待ちくたびれ、立ちくたびれ……。

 

Baguttaの時点ですでに20時すぎ、日本にいれば当然、本日の業務終了としていい時間なのですが、夏至前後のヨーロッパ、まだ外は明るい。これで帰らせてはもらえず、さらにこれからHugo Bossのショー会場へ移動します。

この日(13日)の朝はロンドンにいました。疲労もとうに極限超えしていますが、経験的に、極限超え、限界超えをすることによって次の次元に行けることも知っている。(不本意な仕事であれば過労死してしまうかもしれないというぎりぎりのところなので、すべてのケースにあてはまるというわけではありません。) もうこんな無茶ができるのはあとどれくらいだろうと思いながら、とりあえず、ほとんど意地だけで行く。


会場は、閉鎖取り壊しが決まった煙草工場。建物の中からの照明の演出が考えつくされており、映画の世界に入ったような錯覚を覚えます。





幻想的で退廃を感じさせる場所に似会うクールなコレクションでした。


終了後はパーティーフードとお酒がふるまわれます。

日本ではかえってなかなかお会いできないファッションジャーナリストの方々とお話することができるのも、ファッションウィークや見本市の楽しみですね。左からコーディネーターのMayumi Terashimaさん、中野、世界各地のファッションウィークを飛び回るYu Masuiくん、そしてジャーナリストのTakuro Ogasawaraさん。それぞれ率直に本音を語る方々で、疲れも吹き飛ぶひと時を過ごさせていただきました。

ラルディーニ、ブルネロ・クチネリはじめ日本にも人気のイタリアブランドのブースを回り、デザイナーやディレクターにご挨拶をしつつ最新作を取材。

クリエイティブ・ディレクターのルイジ・ラルディーニ。ラルディーニはファミリービジネスで、会場でも兄弟何人かでいろいろ言い合いながら楽しそうに。

クチネリのブースは社員?と思しき人が大勢。ソファに座っている左側の方がブルネロ・クチネリ氏。

クチネリのコレクション。色使いがうっとりするほど美しい。

いい加減歩き疲れてきたところで会場の終了時間。


ぞろぞろ出てくるイタリアのファッション関係者の静かな迫力。

その後、急いで着替えて、バグッタのプレゼンテーションへ。



会場はウェスティン・エクセルシオール。

ここは1年半前に泊まったホテルで、ほんとうに居心地のいいホテルでした。

今回もできればこのあたりに泊まりたかったのはやまやまですが、ピッティの時期はホテル争奪戦で、コーディネーターのMayumi Terashimaさんによれば、「みなさん、お帰りになるときに、来年のホテルを予約していかれます」。1年前からすでによいところは埋まっているというわけです。

このたびのピッティ行きが決まってホテルを手配してもらったのが1か月ちょっと前で、そのころに空いているホテルとなると、信じがたいほどに価格が高いのに、なにかしら難点があるところばかりなのですね。しかし、当日、オーバーブッキングで泊まるところがなくなり、電車で30分のボローニャでようやく真夜中にホテルを見つけたという日本人もいたということを思えば、泊まるところがあっただけでも心からありがたいと思いました……。

今回のフィレンツェのホテルに関しては、そんなわけで、この繁忙期に3泊も無事に取材できただけで感謝しつつ、ノーコメントです。学んだことは「4つ星自慢ばかりするのは、最低限の設備は備えているがほかに自慢することがないことを意味する」「ホテル予約サイトの口コミは、ホテルに求める要素が違う人のコメントだったりするので、まったくあてにならない」「場所自慢、歴史自慢には要注意。ほかに褒めるところがないことがある」。

素人レビューにこそ、高いリテラシーが求められますね。

滞在した場所によって、同じ町でもまったく違う印象をもってしまうのは確か。前回のフィレンツェと、今回のフィレンツェで、まったく異なる面を見ることができて、それもまた貴重な経験でした。

13日、空路ロンドンからフィレンツェへ移動して、休む間も与えてもらえず、ピッティ・イマジネ・ウオモ会場のバッソ要塞へ。記録的な暑さらしく、30度を優に超えていますが、フル装備のスーツの男性も多い。



ピッティは世界最大の男性服見本市で、クラシックスーツのトレンドを発信するブランドがブースを出しているイメージが強いのですが、カジュアルウエア、スポーツウエア、装いに関わる各種小物、ニッチな香水などのブランドも出展しています。


ブースを出すという形式だけでなく、フィレンツェの各種歴史的建造物を活かしたショーも行われます。商談がメインになりますが、各国からジャーナリスやブロガー、「写真に撮られたい人」やその他もろもろのファッショニスタらも集まります。年に一度、ピッティで顔を合わせるということになっている人たちもいるようで、メンズファションの一大祭典。

初日のブース巡りでは、まず、Hiromi Asaiさんにご挨拶に伺いました。今回、ピッティに強く誘ってくださったのはほかならぬ彼女なのです。「まんまる」の連載で、もう2年ほど前になりますが、Hiromi Asaiさんの、着物地を使ったニューヨークコレクションのことを記事にしたことがあります。それをきっかけにHiromiさんとの交流が始まり、何度か冬のピッティにもお誘いいただいたことがありましたが、タイミングもなかなか合わず、今回、堂々取材できることになり、ピッティでお目にかかることができた次第です。


着物地からオーダーして作り上げたという作品の数々は、独特の存在感を放っています。

やはり着物地によるメンズウエアというのが珍しく、海外メディアの取材もたくさん来ています。

これは地模様が薔薇なんですよ。薔薇が透けてみえて、意外と涼し気な夏物素材なのです。私自身がこの服地でスーツを作ってもらいたいと思った傑作。

Hiromiさんのディレクションのもと、これを縫製したのは、弟子?の長谷川彰良くんです。Good Job!  良いご縁が生まれたことを、心から嬉しく思います。

 

続いて、ミチコ・コシノのプレゼンテーション。ミチコさんは昨年、「ミチコ・ロンドン」30周年を祝いました。ロンドンではベテランです。


テーマは日本の野球少年。



バックステージにもお邪魔しました。インスタレーションのモデルは時々こちらに帰ってきて、着付けを直したり、飲食物をとったりして休憩をとります。

ミチコさんにもお話を伺いました。ロンドンを中心に発表するのは、ロンドンには自由があり、「しがらみがない」から自然な形で服作りができるため、とのこと。「しがらみ」とは、百貨店のバイヤーからの注文や契約や、その他もろもろの数字的な束縛のことのようです。表現は違いますが、同じようなことを、ミハラさんもおっしゃっていました。ロンドンは「コマーシャル(商業的)」ではないところがいいのだと。


気さくに記念撮影に応じてくださるミチコさん。


移動のタクシーの窓から、ジャック・アザグリーのお店発見。ダイアナ妃のデザイナーとして10年以上前?に来日した時、インタビューしたことがあります。今回はお会いできなかったけど、お元気でいらっしゃいますでしょうか?

5日め、12日の午前中はさすがに動けず、少し体力の回復を待ってから、午後のヴィヴィアン・ウエストウッドのショウからスタート。場所はシーモア・レジャーセンター。公民館のような体育館のような場所。すでに外は一目でヴィヴィアンのファンとわかる人たち、彼らを撮るカメラマンらで大混雑。



シートには”We are Motherfucker”と題されたコレクションテーマ、というかアジテーション文が。各モデルのメイクは、次のものを表す、と書かれています。ハート=愛、自由な世界。ダイヤ=欲望、腐敗、プロパガンダ。クローバー=戦争。スペード=シェルやモンサントなど地球を凌辱する巨大企業。現代社会のもろもろのコントロールに対し、抵抗していこうというメッセージ。


開始前、ゲストのファッションを眺めているだけでも相当面白い。


どのショウにも共通しているのですが、おしゃれな方は靴に凝りますね。

向い側のフロントロウも、おそらくファッションエディターらが多いと推測するのですが、個性的な人がずらり。


いよいよ開始。期待を裏切らない、過激で、メッセージ性の強いルックが続々。


ただランウェイを歩くのではなく、サーカスダンサーが大胆なポーズをとりながら踊り、挑発し、移動していく。



フィナーレは大歓声、大喝采。スタンディングオベーション。こんな熱い反応で盛り上げる大勢のファンがヴィヴィアンを支えている。

 


ラストにヴィヴィアンがサーカスダンサーに肩車されて登場した時には鳥肌が立った。なんとかっこいい人なんだろう!


よほどバックステージにかけつけてインタビューしたかったのだが、日本のPRに「混み過ぎていて無理です」と止められる。今から思うに、そこを突破していくべきだった。ヴィヴィアン・ウエストウッドならそんな行動も歓迎してくれたような気がする。


デザイナーに敬意を表して、いちおう、ヴィヴィアン・ウエストウッドのセットアップを着ていったのです(レッドレーベルですが)。しかし私が着るとパンクなイメージからほど遠くなりますね。人込みを突破していくくらいのガッツが足りないのだな。

ちなみに、この服の左肩のボタン(ヴィヴィアンのロゴ入り)だけ、ブロガーさんたちが熱心に撮影していきました。笑


ヴィヴィアン・ウエストウッドはやはりロンドンファッションの女王であると確信した午後。

読売新聞夕刊連載「スタイル アイコン」。

本日は、マーク・ザッカーバーグ<スーツ版>について書いております。

ハーバード大学の卒業式でのスピーチにはまさに未来のビジョンを示してもらった思いがしました。理想主義的、との批判もあったようなのですが、理想を語るリーダーは、懐疑主義的ではなく、これくらいの明るさと信念があるほうが頼もしいと私は感じました。とりわけ現代のような時代においては。

機会がありましたらご笑覧くださいませ。

一日が長い。普段ならこれで眠り始めているところ、これからこの日のビッグイベント。ハケットロンドンによるテムズ川クルーズ。19:30テムズ埠頭のハケット号にて。


ロック帽子店で買ったのはこのハットでした。

今シーズンのテーマがヘンリー・ロイヤル・レガッタということで、船内にはボールドストライプのジャケットやクラブタイで装ったメンズも多く、気分が盛り上がります。

ちなみにハケット・ロンドンはヘンリー・ロイヤル・レガッタのオフィシャルパートナーになっています。HRRに関する詳しい情報は、こちら、HPに。

ハケットの新作コレクションも一応、船内に展示はしてあるのですが、とくに解説があるわけでもないし、みなさんおしゃべりに夢中で誰も観てない。PRの方によれば、この「服なんて関心がない」態度を見せるのが紳士ワールドの感覚なんだそうです。笑

ハケットもそうですが、他のブランドも、ただ服だけを提示するのではなく、その服がしっくりと似あう背景のなかで(ライフスタイルの一環として着用されるアイテムとして)提案しています。

ミスターハケットはさすがのレガッタ風味のジャケット。左はBLBG社長の田窪さん。


レガッタ名物のシャンパンアイスも供されました。シャンパンがそのままシャーベットになっています。

10時半近くなって暗くなったころ、ようやく船はテムズ川ミニクルーズに出航します。このころになるとゲストはほとんど帰ってしまっており、ごく少数の残ったゲストのみ「ザッツ・ロンドンナイト」という贅沢な夜景を楽しむことができました。終盤に差し掛かったぎりぎりのところで本当のお楽しみが出てくるというパターン、これも紳士文化のひとつの型に則ったものでしょうか。

A summer cruise to remember forever.

ミハラヤスヒロのショー会場から近いということで、そのまま歩いてサヴィルロウへ。


ザ・サヴィルロウの貫禄、ヘンリープール。



ハンツマンの看板は、右側から見るとHuntsman と書いてあるのに、左側から見るとKingsmanと書いてある。かなり嬉しくなりました。少し光が反射して見えにくいですが、Kingsmanと書かれているのがおわかりになりますでしょうか?


アレクサンダー・マックイーンもサヴィルロウに。刺繍入りのジャケットに目が釘付け。

日曜なのでほとんど休業ですが、リチャード・ジェームズはファッションウィークに合わせた展示会でにぎわっています。



上の写真はリチャード・ジェームズのオーダーメイドの店。今回展示会がおこなわれたのは、お向かいの既製服の店でした。



カラフルな色彩使いのうまさがリチャード・ジェームズ。ピンクと黄色とグリーンを同じ靴下にあしらうなんてなかなかできることではありません。

リチャード・ジェームズご本人もいらっしゃいました。右側です。左は、大手PR会社パープルPRのディレクター、ナンシー・オークリーさんです。

リチャード・ジェームズのマネージング・ディレクターとデザイン&ブランドディレクターのおふたり。靴が茶色です。聴いてみると「もちろん、ブレーキングルールさ!」と即答。この店ではブレーキング・ルールを守ることがむしろ王道という皮肉なことが起きています。笑

こんどは平日に!

日曜日はメジャーな自転車レースがおこなわれているとかで、道路がレースのために使われ、タクシーでの移動がほとんどできない。それで地下鉄と徒歩になるのですが、これがけっこうな距離を歩くことになるのですね。寝不足とオーバーワーク気味で相当、体力は消耗しているはずなのですが、好奇心というのは何よりも強力なエネルギーになるようで、ふだんなら信じられないような体力を発揮してしまいます。

ランチ後のコーヒーもそこそこに、ミハラヤスヒロのショウ会場へ移動。オクスフォードストリートの地下駐車場でおこなわれます。



クレッシェント型にのびる駐車場に、心をざわつかせるような生演奏が響く。ちょっと寒くて怖い。そんな雰囲気によくあうコレクションが展開される。





丁寧に作られた見ごたえのあるコレクションの最後には、デザイナーが走って登場。ちょろっと顔を出してひっこむデザイナーが多い中、カメラの前まで行くデザイナーは珍しい。

感動さめやらぬままにバックステージにお邪魔して(プライベートでは慎ましすぎるほど控えめな私ですが仕事となるとかなりアグレッシブになります)、ミハラさんにお話を伺いました。


テーマはブランク・ミラー(blank mirror)。電源の消えたパソコンのこと。いまや「アンチテーゼ」が当たり前すぎて、パンクすらアンチテーゼになっていない。そんな時代の葛藤や混沌を表現したかったとのことですが、詳細は活字で!

日曜12時からジョン・ローレンス・サリヴァンのショー。大勢の人、人、人。バブル期に人気を博したブランドというイメージもありましたが、今また盛り返しているようです。テーマはポスト・パンク&クール・ウェイブといった音楽を含むカルチャーを背景とするファッション。

定番アイテムをオーバーサイズにすることで挑発。


どこか破壊された服なんだけど、きれいな印象。これが「ポスト・パンク」?


レディス?が何気なく混じっている。写真ではわからないのですが、胸元はニプルまで見せています。


クールウェイブ?


ボディに響く音楽との相乗効果で、なんともしびれるショーでした。最後にちらっと出てきたサリバンは歓声と喝采を浴び、熱気のなかに終了。

 

ランチは会場から歩いて数分のサヴォイホテルの中にあるサヴォイ・グリルで。

日曜なのでサンデーローストがおすすめ、というわけでローストビーフをいただきました。コーディネーターYumiさんによれば、ゴードン・ラムジーが関わるようになってからこのレストランも格段においしくなったとのことです。

またしてもボリュームに泣きそうになりましたが、向こうのテーブルに座っている父子に癒されました。プチ紳士といった風情の坊や、しっかり気取って紳士の振る舞いをしていたのがなんともかわいかった。

サヴォイホテルのサービスも雰囲気もさすがにすばらしい。次の機会があればぜひこんなホテルでゆっくり過ごしてみたいものです……。

日曜。ホワイトオムレツに懲りたので、朝食はイングリッシュブレックファストにしてみました。これで一人分…。小食なのですべて少量でお願いしますといってこの分量。マッシュルームが巨大すぎて怖い。甘いペストリーが山盛りに(トーストを選ばなかったためではありますが)。ベリーミックスにも焼き物のプレートにもエディブルフラワー(食べられる花)が散らしてある。贅沢な不満だとはわかっているのですが、この巨大な量、むだなおしゃれ演出に、そろそろ泣きたくなってきました……。

さて、気をとり直して朝11時スタートだったはずのアストリッド・アンダーソンのショーに行こうとしたら、直前にスケジュール変更があり、10時にスタートしており、見逃してしまう羽目に。

さらに気を取り直し、ロンドンのキングズカレッジ内で行われていたDanshanのインスタレーションに。ぷちぷちで作られたトラウザーズが目をひく。


でもこれだけ!?

不完全燃焼感が残り、隣接するコートールド・インスティテュートで、印象派展を開催していたので、こちらで気持ちを持ちなおすことにする。ファッション展がしばしばおこなわれている館内でもあるので、それを見ておくためにも、というわけで。


麗しき天井画。

ピアノのふたにもアート。


天井画、シャンデリア、宗教画、暖炉、カーペットというのは、この種の「カルチュア&ヒストリー」の迫力で威圧するための必須アイテムと見えました。


館内のカフェから眺める広々とした中庭。ここでもしばしばファッションショーが行われるそうです。メイン会場の隣とは信じられないほどのゆったりとした時間が流れていて、休憩中のファッションジャーナリストやブロガーらがコーヒーを飲みながら談笑している。イギリスでは紅茶、というのは昔のステレオタイプ。時間が止まってほしいくらいの平和で豊かな光景。

メンズファッションウィーク期間は、メイン会場だけなくロンドン全体がお祭りを盛り上げる。メンズの聖地、ジャーミンストリートでも道路でファッションショーをしたり、特別なインスタレーションをおこなったりしています。



ジャーミンストリートの守り神といえばこの方。ボー・ブランメルさま。


ルー・ダルトンの店では、ショーウィンドウに生身のモデルが入り、動いたりおしゃべりしたりしながら最新コレクションをアピール。ルー・ダルトンは女性のクリエイティブディレクターです。モデルはみなつるんとして「かわいい」印象の男の子たち。


写真を撮る人、撮られる人があちこちにいて、地味な賑わい感。


ターンブル&アッサーは長く続いた外壁の修復もようやく終わり、少しリフレッシュされた外観。


おなじみのブランドの「本店」「ジャーミンストリート店」というのはやはり心ときめくものですね。


連日、快晴に恵まれています。スーツでやや汗ばむくらいの暑さ。


ジャーミンストリートから少し外れたところには、ロック帽子店が。「キングスマン」にも登場した、世界最古の帽子店です。



大きな古時計と並ぶ、クラシックな帽子の数々。そして美しい帽子ケース。


上階は女性用の帽子やファシネーターが並びます。ロイヤルアスコットも近いので、帽子を売るには最適なシーズンですね。

試着しているうちに、明日夜のイベント用に最適なハットと遭遇。買ってしまいました。
六角形の素敵なハットボックスに入れていただきました。しかしこれはさすがに日本に持って帰れないので、箱はコーディネーターのYumiさんに引き取ってもらい(収納ケースとしても使え、お部屋のアクセントになるそうです)、帽子はかぶって帰ることに。帽子はかぶりなれないと「じゃま」と感じることも多いのですが、それにゆえにたぶん、帽子とのつきあい方を学ぶよい機会。

11日。Me Londonの朝食、モーニングのメニューに「ホワイトオムレツ」というのがあったので、どんなだろうと思って頼んでみた。クリームソースでもかかっているのかと想像していたら、なんと、卵の白身だけを使ったオムレツだった。見た目はおしゃれすぎるほどなのですが、ありえない味でした。


すべてにおいておしゃれすぎる、というのもやや疲れるものですね……。ホテルに入ると、ホテル自慢のオリジナルのアロマが迎えてくれるのですが、これも狙いすぎの最先端で、疲れて帰ってくるとややついていけない感に襲われます。ホテルのホスピタリティも実に多様。よい経験をさせていただいています。

気をとりなおし、ホテルから歩いて3分の、ロンドンファッションウィークメン、メイン会場へ。

このスーツもアトリエサルトの廣川さん作。今回の出張のために、前回の型紙を使って、途中のフィッティングを省いて超特急で作ってもらいました…。廣川さん、ありがとうございました。

フロントロウに座ってファッションショーに参加するには、やはり空気をぶち壊しにするわけにはいかず、それなりの配慮が必要なのですね。

まずはE. Tautzのショー。
こんな打ちっぱなし風のショー会場。



少しゆるい空気感をただよわせるテーラードを中心に。ハイウエストで、ややオーバーサイズ気味の太めのラインが特徴。


クリエイティブディレクターのパトリック・グラントが、最後にちらっと登場。喝采を浴びていました。デザイナーというよりもむしろマーケッターという印象。E. Tautzを立て直した敏腕”ビジネスマン”としてBBCに特集されたこともあるそうです。

会場には熱烈なグラントのファンが詰めかけていました。ひときわ目をひくイケメンさんがいるなあと思ったら、モデルのデイヴィッド・ギャンディでした。LFWM(London Fashion Week Men’s)のアンバサダーもつとめるスーパーモデル。あちこちで記念撮影に応じていました。

サンダーバ―ドから飛び出してきたようで、あまりにも美しすぎてリアリティがない。笑。

ファッションウィークでは、日頃メディアでしか見かけない有名人が何気なく混じっているのも面白いですね。

10日、午後7時でまだ明るい。一日が長いとなかなか仕事も終われない。かなり体力もきつかったのですが、ソーホー地区に新しくオープンしたRag & Boneのパーティーへ。

店内はラグ&ボーン的なファッションの男女でひしめく。

テラスの壁には一面に骨の絵。

道路にあふれるゲスト。

ストリートファッションに関しては、一時、ソーホーの勢いが減じていたのですが、最近、再び盛り返しているそうです。キティスカートの男子も、何でもないようにしっくりと風景に溶けこんでいます。


午後8時過ぎでもまだ明るく、パブでは人が外で立ち飲み。


今回の取材、ロンドン編は、ロンドン在住のYumi Hasegawaさんにお願いしました。きめ細かにアレンジしていただき、ありがとうございます。


帰途、9時半ごろでようやくこのくらいの暗さになる。夜のロンドンも照明が美しく、ムード満点です。


 

10日、夕方はケンジントン宮殿へ。ダイアナ妃展が目的ですが、その前に、宮殿内を見学。広大な庭園でくつろぐ人々がけっこう多くて、公園と勘違いしそうなのですが、ここは「パーク」ではなく「ガーデン」。あくまでも、宮殿内の「庭」なのです。




柳のように下に垂れさがる大木。夜に遭遇したらかなりコワそう。


ケンジントン宮殿とは、1689年以来、イギリス王室の王や女王らの住まいとなってきた「ステート・アパートメンツ」です。ジョージ2世とキャロライン王妃、メアリ2世、ヴィクトリア女王、ダイアナ妃らがこの「アパートメンツ」のなかで過ごしました。


天井も壁も、隙間なく美術で埋め尽くされております。



窓から見えるガーデン内の白い像はヴィクトリア女王。その先には広大な池が。


18世紀、ロココスタイルの宮廷衣装も展示されています。間近で見ると、ぎっしりと宝石や刺繍がぬいつけられていることがわかります。壮麗というか、これはまさしく権力を見せつけるための衣装だったのですね……と理解できる。かなりの重さだったことがうかがわれます。



こんな豪華なタペストリーも。保存状態がかなりよい。


ハイテンションの勢いで、「女王の椅子」というのに座ってみました。笑


シャフハウゼンのときも感じましたが、ヨーロッパの曇って3G的というか、厚みがある。

10日、エドワード クラッチリーのショウ。場所はバービカン、シャフツベリープレイス、アイアンモンガーホール。


歴史的価値のある建物で、どんなショウが行われるのか、かなり期待が募ります。


時間、国、ジェンダー、肌の色、文化、全てを越境して紡ぐ、最高級素材を使った斬新なルックが続々登場。


バックステージに紛れこんで話を聞きました。次世代の鬼才ですね。



配られたメモから。”The irrelevance of gender; the relevance of sex.  Prog-rock Mediaeval rivivalism.  The role of Wakashu in Edo-era Japan. Poetry, not romance.”

荒唐無稽に見えますが、すべては一点ものの、彼のために特別に作られたテキスタイルから作られています。間近で見ると、リッチで豪華なのです。

マックイーンやガリアーノを生んだ、これがロンドンの底力。

日本経済新聞土曜夕刊「モードは語る」。第4回の本日は「ゴープコア(Gorpcore)」について書いております。

Givenchy 2017 SSより。

ノームコアの次なる造語、Gorpcpreとは。

ご笑覧くださいませ。
This is Gorp.

今年の誕生日はロンドンで迎えることになりました。

たまたまイギリスの総選挙の日とも重なり、テレビのインタビュークルーなども町の中にちらほら見かけます。

今回の訪英の目的は、ロンドンメンズファッションウィークの取材と、ダイアナ妃展関連の取材です。インタビュー、ショウ、展示会、イベント、パーティーなどの予定がぎっしり詰まっています。

(ホテルにはすでに大量のインビテーションが届いていました)

到着してすぐ、瞬間で着替えてイベント2件のはしごから。


コベントガーデンにあるBeastにて、グローブトロッターのパーティー。


グルーミンググッズや香水なども扱われていて、今どきのセレクトショップという感じでした。グローブトロッターのデザイナー、シャーロット・セドンと久々に会い、喜びあって記念写真。
テロへの警戒も高まっているロンドンですが、「できるだけいつも通りに日常生活を過ごすことこそが、テロリストへの最高の復讐」だそうです(グローブトロッター社長談)。平常を保つということ。Keep Calm and Carry On. これにはやはり強い心と意志が必要ですね。私にしても、「何も今、行かなくてもいいのではないか?」と心配してくれる家族の言葉に後ろ髪をひかれる思いでしたが、どこにいても多かれ少なかれ危険はあります。恐れすぎず、楽観しすぎることもせず、いただいた仕事のチャンスがあれば謹んで応えていくのが務めかなという思いです。

二軒めは、ロンドンメンズコレクション5周年を祝うパーティー。とあるジェントルマンズクラブ風の建物のなかで行われていました。

写真は遠慮して撮らなかったのですが、とりわけグルーミングにおいてスタイリッシュな方々がひしめいていて、やはり同じ国の人でも場所によって「人種」(誤解を生みそうな表現かもしれませんが、肌の色による人種分けや社会階級分けとは違う、装いに対する意識が生む見かけの違いという程度の意味です)が全く違うということをあらためて実感。

建物自体も一室、一室、とても凝ったインテリアで、トイレの中にもクラシックな本がぎっしり飾られていました。

インドにかかわるモチーフが集められていた、赤が印象的な部屋で、誕生日の記念写真。着ているのはTae Ashidaです。

向かい側にはパブ。木曜の夜にパブに集う人々。夜9時過ぎでも明るいですが、夜は肌寒く、コートを着ている人も。


今回の滞在はコベントガーデンにあるME Londonという5つ星ホテルです。進化形スタイリッシュ&グローバルなモダニズムを意識した、おしゃれ(すぎる)ホテルで、広々としたクイーンサイズのベッドをおく最先端テクノロジーを搭載した部屋には身体が全部入る長さと深さのバスタブもついており、水回りも快適で、移動の疲れも癒せました。ただ、一人で使うのが相当もったいない……。

 

BLBG  2017-18 秋冬メンズ展示会に伺いました。南青山Vulcanize London にて。

テーマはリアル・ロンドン・スタイル。メイフェアの上品な紳士がイメージされています。

グローブトロッター新作は、「キュナード・ライン」社とのコラボ。「キュナード・ライン」とは、世界で唯一、イギリス女王の名を冠することが許されているクルーズラインです。

おなじみのターンブル&アッサーのテーマは「ダークサイド・ソサエティ」。クラシック映画のマフィアスタイルがイメージされた、大胆な柄が目をひきました。ここのネクタイのディスプレイにはいつもほれぼれします。

老舗ファクトリー、コービーズからは、ジョシュア・エリスの上質なウールで仕立てたダッフルコート。白いダッフルって現実的ではないかもしれない分、眺めている分には素敵ですね。カラーバリエーションは豊富です。

そしてハケットロンドンからは「スカイライン・コレクション」。イギリスの空の色でもあるグレーと、建築物のレンガから着想を得たバーガンディ、そしてハケットのブランドカラ―であるネイビーを中心に新作が展開されます。

上は現代では珍しいブロークン・ヘリンボーン。写真ではわかりづらいのですが、ヘリンボーン柄の変形バージョンです。複雑な深みがあって、なかなか新鮮。

こちらは、新たに加わったモデル、「ウィンザー」。肩と腕まわりが「ロープショルダー」と呼ばれる構築的なラインになっています。着丈はハケット一番人気の「メイフェア」よりもやや長め、Vゾーンの開きも少し大きめです。トラウザーズやウエストコートの細部にもクラシックなアレンジが盛り込まれています。

そしてスマイソン。ダイアリーの新作は「Yes Yes Yes」。イギリス人なので必ずしも全肯定のイエスではなく、いろんな意味が状況に応じて与えられるわけですね。

カードは上質なのに楽しさ満載、思わず帰途にショップで2種類のボックスを購入してきました。すぐにお礼状を書きたくなるカードなのです。あまりに上質すぎるので書き損じがほとんど許されないというのも緊張感あってよいということで。Yes.

読売新聞夕刊連載「スタイル アイコン」。本日は、フランスの新大統領エマニュエル・マクロン氏について書いています。


就任式でのスーツは450ユーロという庶民的な価格であることが話題になりました。妻のブリジットが着ているのは、ルイ・ヴィトンからの借り物、と報じられました。

 

スーツをダウングレードすることで得られた支持。興味深い大統領選でした。

機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

本日の日本経済新聞 The NIKKEI Styleに、4月にドルチェ&ガッバ―ナにインタビューした記事が掲載されています。写真も美しく、目の覚めるような紙面になっています。ぜひぜひ、ご覧くださいませ。

ショウのこと、ディナーのことも書きたいことはたくさんありましたが、紙幅の関係で割愛せざるをえなかったのが心残りです……。

それにしても本当に豊かな時間だったなあ。パークハイアットでの単独インタビューも、101人の男女日本人モデルを使った壮大なショウも、スカラ座を移した赤テントでのディナーも。そして送られてきたデザイナーからのサンキューカード。けた外れのラグジュアリーを体験し、デザイナーの誠実な人柄にふれ、多くのことを学ばせていただいたお仕事でした。

一般社団法人社会応援ネットワーク(高比良美穂 代表理事)が出版する、若者応援マガジンYell  vol.2。

スーツについて取材を受けました。「仕事と服装の関係について教えてください」というタイトルで、話したことをまとめていただいた記事が掲載されています。

フリーペーパーです。

こちらからより詳しい中身をごらんいただけます。

読売新聞 夕刊連載 「スタイルアイコン」。本日は、ビル・ゲイツ氏について書きました。機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

Bill and Steve 2

Bill and Steve

ジョブズとゲイツ。年月とともにその人の本質めいたものが外に現れてくる……ということがうかがえる写真。

実は長年の隠れファン。富豪だからではなくて、あのヘアスタイルとメガネ、ラベンダー色のグランパセーターのビル・ゲイツは、あたたかさと寛大さに満ち溢れて(いるように見えて)、見ていて飽きない。

Microsoft Chairman Bill Gates (L) looks on during a news conference at company headquarters in Redmond, Washington June 15, 2006. Microsoft announced that effective July 2008 Gates will transition out of a day-to-day role in the company to spend more time on his global health and education work at the Bill & Melinda Gates Foundation. After July 2008, Gates will continue to serve as the companyÕs chairman and an advisor on key development projects. Robert Sorbo/Microsoft/Handout

 


Your most unhappy customers are your greatest source of learning. (by Bill Gates)

文句を言う客からも学ぶ姿勢。見習いたい…。

11日の半・分解展記念トークショーの内容の一部が、Dress Up Men のサイトにアップされました。

第一部 歴史編はこちら

第二部 テイラリングの現状と未来編はこちら

とりわけ、第二部の話は現場の生々しいお話は貴重。「手縫いの服など要らなくなる」未来に、テイラーが生き残るためにはどうすればいいのか。テイラーばかりではない。人間の手による仕事の多くがテクノロジーにとってかわられる時代に、仕事を続けていくためにはどうすればいいのか。

考えさせられました。ご覧くださいませ。

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11日(日)に行いました半・分解展トークショー 。

専門度の高い、長時間にわたる話にもかかわらず、約100名もの熱心なゲストにご来場いただきました。この日のために鹿児島から飛んでいらしたお客様もいらっしゃいました。

濃い2時間半でした。ご来場のみなさまありがとうございました。

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 (左から テイラリングコンサルタントの吉田大輔さん、パンタロナイオの尾作隼人さん、中野、長谷川彰良さん )
展示会場には人がひしめき、写真を撮ったり、議論し合ったりする活気ある光景が見られました。「分解してみる」って、けっこう男の子心をくすぐるものなんだ……ということを、ゲストを観察していて感じました。
 
ひとりのマニアックなパタンナーの情熱をつきつめた、前代未聞の展覧会、企業のスポンサードもないのにこれだけ人を集めたのは大成功と言っていいと思います。彰良くんおめでとう!
ストーカーといってもかならずしも悪い例ばかりではなく、ごくまれに、お宝のようなストーカーもいる。
寛大になること、オープンでいること、熱意には耳を傾けてみること。を心がけたことによって、押しかけ弟子からたくさんのことを学びました。笑
こんな志と情熱の持ち主につきまとわれるほどの仕事をさらにさらにしていかなくてはね!
尾作さん、吉田さんの現場のお話も生々しく、多くの業界にあてはまる話として、示唆に富んでました。

 

またどこかで機会に恵まれれば、お二人のお話の概要を紹介したいと思います。

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(手前のクッキーは、今回の展示記念に彰良くんが作ったヴィンテージ服クッキー。背後にあるのは、鹿児島からのお客様にいただいたおみやげです。ありがとうございました!)
ゲストのお一人からの質問。フロックコートが第一次世界大戦後に着られなくなったのはなぜか? これに関して、時間ができしだい調べてみますね。しばしお待ちくださいませ。

フェアファクス公式HPブログを更新しました。こちらです。

グレーゾーンをあやつる「ピンク・ジャケット」の話。キツネ狩り法案が成立しているのにキツネ狩りがなくならないイギリス紳士文化の摩訶不思議。そもそもなぜこれを「ピンク」と呼ぶのか。
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お時間の許す時があればご笑覧くださいませ。

 

Men’s EX 2017年 1月号 発売です。mens-ex-1

スーツの着こなしとマナー大特集。監修という形でご協力させていただきました。

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とりわけスーツ初心者にお読みいただけると嬉しいです。

 Begin編集部徹底取材「ホワイトハウスコックス ファンブック」が世界文化社より出版されました。whc-2

ブライドルレザーで定評のあるホワイトハウスコックスの革小物をめぐる魅力にあらゆる角度から迫るという、Begin スペシャルムックです。このブランド初の完全ガイドブック。ファンにはたまらない永久保存版です。

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巻頭で、「ジェントルマンと馬とブライドルレザー」というエッセイを寄稿しています。機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

 

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このたびJクオリティ認証第一号となったのが、グランプリを獲得した三陽商会のSanyo 100年コートです。

三陽商会が2013年に会社設立70周年を迎えたことをうけ、「コートのSanyo」を象徴するようなものを作りたいという思いから発足したプロジェクトです。

「日本における匠の技を集結させ、世代を超えて永く愛してもらえるコート」がテーマ。100年オーナープランを打ち立て、たとえばベルトが痛んだ、生地が色あせた、というときにも、三陽商会が100年にわたってケアし続けるとのこと。

実際、着用させていただきましたが、見た目よりも軽く、とても着心地がいい。細部に至るまで丁寧な作りで、三陽商会のプライドの象徴、という言葉にも納得がいきました。デザインにクセがないことも、タイムレスで着続けるための条件ですね。

sanyo
このコートにつき、ある方から、「トレンチなのにベルトにDリングがついていない」と指摘がありました。トレンチコートと銘打っているわけではないので細部をそこまで再現する必要はないのではと思いましたが、やはり、服にうるさい方にとっては、細部こそが重要になるのですね。いちおう、開発担当者である三陽商会の梅本祐助さんに質問してみました。

以下は、「トレンチ型の100年コートにDリングがついていない理由」、梅本さんからの回答です。長すぎるところなど、ほんの少しだけ、アレンジを加えてありす。

☆☆☆☆☆
三陽商会の歴史に登場したトレンチコートの代表作『ササールコート』が原型だからです。
100年コートは元々開発する際に、三陽商会の象徴となるものを作りたいとのコンセプトや想いがありました。
もしコンセプトが本物のトレンチを作りたいから始まっていれば、おっしゃるようにDリングを付ける事もあったかもしれません。
デザイン面でのリソースになっているのは、弊社創業者吉原信之が1959年に当時三陽商会で一番ヒットした(1シーズン5万着売れた)と言われている、映画3月生まれでジャクリーヌササールさんが着た『ササールコート』がベースになっております。
Dリング以外にも背中のアンブレラヨークやガンパッチ等、特徴的なデイテールがデザインソースで当時のトレンチコートにもDリングが付いておりませんでした。
ササールコートは婦人のトレンチコートなので紳士では付けようか?との議論もあったことは事実
ですが、三陽商会らしさを大切にしたかったことや、紳士婦人で並んだ時に違和感の無いように、Dリングをなくしています。
また、もう一つの理由として、

100年コートが描く未来に向け必要が無い付属品だと判断したからです。

ご存知の様にトレンチコートの起源は1914年に英国陸軍が第一次世界大戦の際、塹壕用に作ったコートです。元々はタイロッケンのコートをベースに作られていると思いますが、当時戦時中だった為に、手榴弾をぶら下げるようとDリングが付いておりました。

また当時は腕を負傷した兵士が袖を通し易い様にラグランスリーブにしていたり銃や水筒を掛けられるように肩章が付いていたりと、デイテールの全てに意味があり塹壕が戦争中に必要な装備を付けトレンチコートは作られていました。
上記の事から紳士用のコートがトレンチコートの起源という事だと思いますが、ササールコートを創業者が作った時代は女性が社会に進出して、お洒落着としてトレンチコートを着ており、女性のコートにDリングを付けるということはおそらくですが創業者は考えなかったと推察しています。
また、三陽商会は1943年に設立し最初の3年はコートを作っておりませんでした。(当時は石を切る機械やパンクしないゴムボールを作っていたそうです)
その後に起きた第二次世界大戦により創業者は全てを失い、軍隊時代の友達から防空暗幕が日本画材という会社の倉庫に眠っているのを聞き、雨を凌ぐレインコートを1946年に作りました。
非常に大変だったと想像される時代の中で、二度と我々も戦争が起きて欲しくないとの思いもあります。

色々と調べましたが特にDリングについては武器等をぶら下げる以外に意味が無く、今の時代やこれからの未来に必要のないものだから外しました。

私がもし仮にバーバリーの企画をやっていてトレンチコートを作るなら必ず原点であるトレンチコートをコンセプトにするのでDリングを付けます。
またメンズで本物のトレンチコートを作る事が目的であればもしかしたらDリングを付けるかもしれません。しかしながら、今回の100年コートは男性も女性も親から子、子から孫へ受け継いで欲しいとの思いがあります。2013年の当時から100年先を考えて未来に向け意味のないものは付けないとの理由が一番大きいかもしれません。
☆☆☆☆☆
とても説得力のある回答ですよね。このような作り手の思いがわかると、コートの見え方も変わってくることがあります。
さらに詳しくは、こちらから。

J Quality × Dress Up Menのトークセッションには、定員を大幅に超えるご応募をいただき、大勢のお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。

レナウン・ダーバンの志村裕之さん(右端)、オンワード樫山・五大陸の大圃祐二さん(右から二人目)、三陽商会・100年コートの梅本祐助さん(左から二人目)、それぞれに情熱的、かつ整然とスーツやコートに秘められた技術と思いを語り、純・日本産の質の高さを具体的に知る画期的な機会となりました。

J Qualityとは、「織り・編み」「染色整理」「縫製」「企画販売」このすべての過程を日本国内でおこなった商品に与えられる認証制度です。このたびは、100年コートがグランプリを受賞、五大陸がプロフェッショナル賞を、ダーバンがクオリティ賞を受賞しました。
お三方とも、自社ブランド云々をこえて、高品質の日本製のスーツやコートのブランド価値と信頼を世界基準にするという使命感に本気で燃えていらっしゃいます。日本国内の産地や工場の灯を消さないためにも、がんばりぬく、という決意の表明に感動しました。
日本のスーツはセンスが、という声を数年前まで聞いたことがありましたが、いやいや、実際にこのお三方が着るスーツのなんと素敵なこと!! 間近で見るとさらに美しいのです。あとは国内外への正しい発信、Dress Up Menをはじめ、ビジュアルや動画で、言葉の壁を超えた発信を積極的に続けてください!
個人的には、常日頃から「カワイイ」や「アニメ」ばかりがクールジャパンではない、「ジュンアシダ」や「ミキモト」に代表されるような、世界に通用する大人のエレガンスの世界がある、ということを言い続け、次回の大学公開講座でもテーマにしますが、そこにぜひ、大人の男性が着るJ Qulaityのスーツやコートも加えたい、と思った次第です。

林信朗さんの鋭くユーモアあふれるツッコミが最高でした!

ゲストのみなさま、関係者、登壇者のみなさま、ほんとうにありがとうございました

j-qaality

胸のすくような秋晴れに恵まれた土曜日、京都女子大学での半・分解展&トークショーで京都日帰りでした。

東京から、名古屋から、福井から、福岡から、神戸から、大阪から、ヴェトナムから、120名を超える方々に来場いただき大盛況、楽しい交流の機会をもてた、忘れがたい一日となりました。

トークショーも楽しんでいただけたようで、大勢の方々に本を買っていただきました。心より感謝します。(講演後の本の売れ行きは、お客様満足度のシビアなバロメーターとなるのです。)

ご来場くださいましたみなさま、支えてくださいました京都女子大のスタッフのみなさま、ありがとうございました!10-15-2016-2

一般のコスチューム博物館では、手袋をしてさわることも許されない貴重な歴史的資料である服に、ざくっと鋏を入れて分解してみた。この蛮勇あってこそ出てきた新しい発見の数々。
キツネ狩りの赤いジャケットの裏地が、風雨を入れないよう、袖口がすぼまるように作られていたことなど、表から見ていてもまったくわからなかった発見があります。日頃、実際に服を作っているテイラーの方々は、さらに多くの技術上の工夫を見つけて驚かれるようです。
お客様は実際に服を着てみることもできます。フランス革命前のアビ(ジュストコール=上着)が一番人気で、試着して写真を撮る人絶えず。この服を着て人はどんな生活をし、なにを考えていたのか。想像することも楽しくなってきます。

展覧会中は、長谷川くんが常駐しています。ぜひ、試着し、話を聞きにいってみてください。

10-15-2016

アマゾン・ファッションウィーク開催中の10月19日(水)、日本を代表するメンズアパレルが集結して、Japan Qualityの魅力を探るトークセッションを開催します。

オンワード樫山、三陽商会、レナウン各社を代表する若き論客と、『MEN’S CLUB』『Gentry』など、数々のファッション誌の編集長を歴任した、ファッション評論家の林信朗さん。中野は進行役をつとめます。
【日時】10月19日(水)18:30~19:30
【場所】渋谷ヒカリエ8階COURT
ゲスト:ファッション評論家・林信朗氏
進行:服飾史家・中野香織
抽選で50名様のご招待となります。参加費無料。
【応募締め切り】10/14(金)
詳細・ご応募はこちらから→http://dressupmen.jafic.org/event/
10-19-event-1

フェアファクス公式サイトブログを更新しました。

ビスポークスーツ体験記です。

一生に何度もあることではないですからな……

10-6-2016-6

Special Thanks to Mr. Teruo Hirokawa.

こちらからどうぞ。

10月6日(木)、旭化成ベンベルグ85周年記念イベントが寺田倉庫で開催されました。午前のセミナー、午後の記者会見、夕方のトークショー&パーティー、と一日がかりの大きなイベントでした。

夕方の部、ベンベルグ×Dress Up Men トークショーに登壇しました。こちらは開始前の打合せ風景。

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左から中野、コラムニストの中村孝則さん、ファッションディレクターの山下英介さん、Dress Up Menの瀬川純一郎さん、ファッションディレクターの大住憲生さん、三陽商会の梅本祐助さん。撮影はJapanese Dandy ディレクターの河合正人さんです。

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第一部は、ヘルノ会長にしてクラシコイタリア協会会長のクラウディオ・マレンツィ氏×中野。第二部は、上記の登壇の方々に、70年代、80年代、90年代、2000年代のドレスアップについて語っていただきました。右端におります私は進行役です。みなさま、それぞれに個性的なドレスアップスタイルも圧巻でしたが、トークもすばらしかったです。その後、ほぼ200名のゲストの方々とのパーティーとなり、イベントは大成功をおさめました。旭化成さま、一般社団法人アパレルファッション産業協会さま、Dress Up Menのスタッフのみなさま、ゲストのみなさま、そして登壇者の方々、ありがとうございました。

10-6-2016-4(左から90年代インディスタイルの山下英介さん、2000年代スリムブラックの梅本祐助さん、中野)

 

☆☆☆
あとは、きわめて個人的な話。

実はこの日のために、メンズ仕様のテイラードスーツも仕立てておりました。フルオーダーだと通常、3か月はかかるところ、無理を言って、ほぼ3週間で仕立ててもらいました。すべて手縫いの、ほんとうに美しいスーツです。アトリエサルトの廣川輝雄さん(写真左)、ありがとうございました。

10-6-2016-6

公の場で、パンツスーツで仕事をしたのは初めてのことでした。シャツとタイを合わせるとほんとうにメンズになってしまうので(男顔だし)、あれこれ考えて、首・手首・足首にフェミニンな印象も残す感じで着てみました。

初めて尽くしで慣れないことだらけだったこの日の経験のなかには、後悔に近い反省事項もあり、2~3日落ち込んでおりましたが…… すべてを経験としてきっちり受け止めて、今後に活かすべく行動しよう、となんとか立ち直る。

最後に控室での決めポーズで失礼しますm(__)m

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Men’s Precious 2016 Autumn 発売です。menpre-2

英国スタイル大特集! 表紙は、昨年のチャーリーサロンでのハケットさんトークショーにも来ていただいた、フォックスブラザーズ共同オーナーの、あのダグラス・コルドー様ではありませんか。こうして写真になるとひときわ決まってますね。

 

「英国的たたずまいは『スリーピーススーツ』に宿る」と題されたミニ特集で、見開きでエッセイを寄稿しております。

「反ファッションを貫くしたたかなダブルスタンダード」。

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万一、お目に留まることがあれば、読んでみてくださいね。

 (Click to Amazon)

1日には、ヴァルカナイズロンドンで開催されたギーヴス&ホークス再上陸記念トークショー「紳士の国のギーヴス&ホークス」に、多くのお客様がご参加くださいました。ありがとうございました。

募集定員の2倍をはるかに超えるご応募があったとのことです。BLBGスタッフが公正な抽選をおこない、ご招待状を送らせていただきました。今回、ご参加いただけなかった方、本当に申し訳ございませんでした。なにとぞご寛恕くださいませ。

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会場のみなさまから質問が途切れず、なかにはビジネス視点からの鋭い質問もあり、アットホームな雰囲気ながら、緊張感のなかに熱のある一体感を味わえた、濃密な時間でした。

ご参加くださいましたみなさま、BLBGのスタッフのみなさま、そして大野陽編集長はじめMEN’S EXの関係者に心より感謝申し上げます。

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大野編集長が着ているのはギーブス&ホークスのスーツです。肩から胸にかけてのスタイリッシュな威厳が、軍服の起源を感じさせます。

本日付の読売新聞(全国版)夕刊2面に、『紳士の名品50』が大きく掲載されました。

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今回の撮影にご協力くださったのは、ヴァルカナイズロンドン南青山店です。

ありがとうございました。

 

 

コンゴ共和国よりサプールが来日。20日、伊勢丹メンズ館カフェ・リジーグでのパーティーにお招きいただきました。FullSizeRender (105)

それぞれに個性的な踊りとウォーキングで登場し、ポーズを決める。スタイリッシュにスーツを着ていることが楽しくてしかたがない!というノリノリの喜びが伝わってきて、無条件に笑顔になれる。

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上の写真、挨拶するのは、コンゴ共和国大使館のボニファス・レゾナ参事官。サプールは「平和の大使」と。闘うなら武器ではなく、ファッションで!という挨拶に会場拍手。過剰ともいえるドレスアップでの「優雅な装い」の誇示は、平和を希求する強いメッセージなのですね。

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こちらはサプール歴43年という「大サプール」、セヴラン。この日は山本寛斎の大漁スーツで。

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今回のドレスコードが「原色」だったので、コンゴ共和国の国旗の色と日本の国旗の色に共通する赤を選びました。ふだんだったら白パールのネックレスですが、サプール的な色使いに敬意を表して、反対色のターコイズを合わせてみました。

今回来日したのは、24歳から60歳までの6人。サプールが日本を旅するというテーマの写真集の撮影も兼ねており、鎌倉、東京を皮切りに、これから沖縄、仙台、横浜、大阪、京都、福岡をツアーするそうです。あなたの町でも会えるかも?

WWDにも記事が紹介されています。こちらです。

 

 写真家の茶野邦雄さんによるサプール写真集。今回の「日本を旅するサプール」プロジェクトでも、茶野さんが写真を撮ります。茶野さんご本人も派手やかなサップです。

 サプールブームに火をつけることになった一冊。大サプール、セブランが着ているのは、ポール・スミスのスーツ。

 NHKのドキュメンタリーにもなりましたが、その番組の制作班による本。

本日発売の「Begin」9月号。begin
いであつしさん×綿谷寛・画伯による連載「ナウのれん」にて、先日、明治大学でおこないましたデーヴィッド・マークス氏によるアメトラ特別講義 & その後のインタビューの模様がリポートされております。

nownolenデーヴィッドの似顔絵は実物よりも本人にそっくり!

「オヤジが若いヤツに昔話をすると嫌われるけど、若いヤツがオヤジに昔話をすると喜ばれる」(笑)。たしかに。

いでさん本文に出てくるMade in U.S.A.catalog と、Take Ivy。

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講義後のインタビュー、というか、いでさんがデーヴィッドに「これ知ってるか?あれ知ってるか?」と挑み続けるの図はこちらです。いでさんの隣は編集の市川さん。

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「中野香織先生」もイラストに登場しますが、ちょっとヤな女っぽく描かれております(^-^;

機会がありましたら、ぜひ全文&全イラストをご覧くださいませ。

 

 

 

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先日、京都国立近代美術館 でおこないましたポール・スミス展トークセッションの模様を、9日付けで大阪読売新聞が記事にしてくださっていました。ありがとうございました。

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しかし、これだけ読むとなにか誤解が生じるところがあるな……。とくに英王室の話。このように字数が限られた紙面では限界があるのかもしれませんが。近日中にフォローアップの記事をどこかで書きます。

6.15 公開講座「時代を導く男性像とモード」の模様を取材してくださったDress Up Menさんによる記事がアップされました。

こちらです。自分としては恥ずかしいところも多々ありますが、認めたくない欠点も受け入れて、それが気にならないくらいの芸風(?)をみがいていかねばと思っております…。

6.15.3

公開講座にご参加くださいましたみなさま、Dress Up Menスタッフのみなさま、あらためてありがとうございました。

6.15.1

 

京都国立近代美術館で開催中の「ポール・スミス」展記念シンポジウム「メンズファッションの歴史と現在」。昨日、盛況のうちに終了しました。FullSizeRender (101)

14時開始のシンポジウムでしたが、11時から整理券が配布され、15分ほどで100名様分の整理券が終了してしまったそうです。これは主催者側も予想外だったとのこと。

早くからお並びいただき、ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました。入場できなかった方々、ほんとうに申し訳ありませんでした。FullSizeRender (103)

客席の熱気と真剣な緊張感にやや気圧され、いつになくあがってしまい、伝えたいことを(わりあてられた時間のわりに)詰め込みすぎたこともあり、自分としては反省点も多々でした。情報が少なすぎるよりもたっぷりのほうがいいだろう、という発想からはなかなか抜け出せません…。次への課題です。

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とはいえ、モデレーターのクールな蘆田裕史さん、クレバーな百々徹さんのおかげで、内容の濃い、刺激に満ちた有意義な時間となりました。とくに、百々さんの、「日本人とポールスミス」の話は興味深く、日本人にとってのスーツを考えるための新しい視点を与えていただいたように思います。

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左が百々さん、右が蘆田さんです。展覧会の最初に登場するバイクの前で記念写真。シンポジウム終了後も、楽屋でメンズファッションの話で盛り上がり続けておりました。

最後に客席から受けた質問のなかに「メンズファッションを学び続けるための心意気はなんですか?」というものがあり、意表をつかれました。「モチベーション」じゃなく「心意気」。いい言葉ですね。たしかに、なにごとにおいても。

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最後は 決めポーズで展覧会の宣伝(笑)。この日は展覧会のテーマカラーと同じピンクのジャケットを着ていきました。写真では見えませんが、百々さんの靴下はポールスミス風ストライプだそうです。入場者も日々記録を更新とのこと。東京では今月下旬から始まります。

BLBG & Hackett London 2016AW 展示会へ伺いました。

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ハケットロンドンは「メイフェア」コレクションを打ち出しましたが、その隠れテーマは「ベルグレイヴィア」。

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バッキンガム宮殿の南西に位置する高級住宅地ベルグレイヴィアに暮らす貴族階級や外交官を連想するとともに、そう、あの、「ベルグレイヴィアの醜問」(「シャーロック」、シーズン2の1)を連想するのが正しい。

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シャツとタイが同系色というコーディネートはどこかシャーロック的。写真ではなかなか説明しづらいんですが、見えない細部の工夫がすばらしく、服マニアに根強いファンが多いのは、言われないとわからない細部の遊び心ゆえでもあることを実感します。

今回、ハウンドトゥースならぬパピートゥースという言葉も学びました。大型の猟犬ハウンドの歯形模様ではなく、子犬パピーの歯形模様。ネイビースーツに用いられていました。変わり映えがしにくいネイビーですが、遠目にはほとんど無地にしか見えない小模様があしらわれることで、ひそやかに楽しい変化の気分を味わえますね。

そして秋冬から再上陸するギーブズ&ホークス。3つのロイヤルワラントがそろう、サヴィルロウNo.1にあるテイラー。ちなみにエリザベス女王はこちらで儀式用のマントを仕立てていらっしゃるそうです。

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ロンドンの本店から特別に、ギーヴズ&ホークスが仕立てた軍服が運ばれ、展示されていました。まるでここだけコスチューム博物館のようで、テンションが上がります。右は1920年代ホークス製 ジョージ5世時代の馭者のハーフコート。ロイヤルアスコットのために仕立てられたそうです。左は楽隊の制服。

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こちらはロイヤルネイビーのリーファージャケット。ギーブズ製。艦隊の提督が着用したジャケットです。金モールの重厚な迫力に圧倒されます。

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ベルグレイヴィアつながりで、デレク・ローズのプライベートウエア。室内着に特化したブランドで、このガウンはカンバーバッチもドラマのなかで色違いを着用していました。総カシミア、裏はシルクで、えもいえぬラグジュアリーな感触です。なんちゃってアイリーン気分でモデルをつとめさせていただきました。しつれいしました。

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小物も充実しています。ジョシュア・エリスのストール、トゥルーフィット&ヒルのコームやネイルケアキットなど。そして一目ぼれしたのがロンドンソックス。これは贈り物に活用できそうですね。

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そして根強い流行が続くライダースも。老舗レザーウエアのJames Groseが復活、昨年秋に日本初上陸し、ライダースをバリエーション豊かに提案しています。肉厚なのに、柔らかく身体に吸いつくような着心地です。これ一枚で気分も印象もがらりと変わります。ドレスの上にこれを羽織って出かけるのもありですね。

BLBG & Hackett London スタッフのみなさま、ありがとうございました。

伊勢丹新宿本店の売り場の各所で、『紳士の名品50』がこのようにディスプレイに参加させていただいています! ありがとうございます。

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装丁を赤にしてよかった、とあらためて思いました…。装丁の亀井さん、編集の河内さんとともに、都内の何件かの書店をまわり、メンズファッションコーナーを見た上で、赤がいい、と希望しました。というのも、赤い装丁の本が一冊もなかったからです(前例のないことを選んでみる、というのはすっかり習性になっています)。立体感のある紙を使うことで、また、大型本ではないことで、下品にならず目立ちながら、紳士用品を引き立てる赤の表紙に仕上がったことを、心よりありがたく思っています。

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こうした目に見える形の、あるいは見えない形でも、多方面からご支援をいただき、多くの方々のご厚情に支えられている幸せを実感する日々です。ほんとうにありがとうございます。

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朗報は 忘れた頃に やってくる。

2009年に新潮選書として出版した『ダンディズムの系譜 男が憧れた男たち』が、7年目にして増刷されるという連絡を受けました。

版元さんのお言葉を借りれば「稀有なロングセラー」とのことです。

まったく見当違いの方向からとんでくる中傷に耐え、罵倒もやりすごし、いちいちくだらないことで傷つかないための体力と精神力とレトリック力を養い、淡々と日々の自己ベストを尽くしてきたご褒美と受け取ることにします。なんかね、正直、ひどいことを言って足を引っ張ろうとした連中に、心の中で、「勝った」と思いましたよ。笑

真面目な話、弱くて逃げようとしていた自分に「勝った」。ま、とるにたらないささやかな闘いですけどね。

理不尽なことがあろうと、地道にひとつひとつ成果を示し続けていれば、不意にふっと明かりがみえてくる(こともあります)。

If you are going through hell, keep going.

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「Gentry」での連載当初は、「エンサイクロペディア・オブ・ダンディズム」として構想され、ビジュアル豊富に掲載されていました。企画してお話をもってきてくださったのは、当時編集長だった林信朗さん。感謝!

単行本を担当して下ったあぜつまさこさん、7年目にして重版を決めてくださった新潮社に心より感謝します。

応援してくださった読者のみなさまには、いくら感謝してもしきれません! ありがとうございました。

 

 

15日リバティの講座につき、嬉しい反応をたくさん頂戴しています。心より感謝申し上げます。なかでも、ひょっとしたら私以上に内容を理解していらっしゃったのではないか?と思われるほどのすばらしいレポートを寄せてくださった方があり、ご本人のご了解を得て、その一部をこちらに掲載させていただきます。MTさん、ほんとうにありがとうございました。

(以下、MTさまより)

☆☆☆☆☆☆

今回の講座は、限られた時間内でメンズファッション史を概観し、
ビジネスへのインプリケーションとエンタテインメント要素も加えた
アフターファイブ社会人講座としての「最適解」になっていました。
膨大な量の情報とビジュアル資料をよく整理されて、
90分ピッタリに収まったのはさすがです!

中野様がめざしていらっしゃる(と私が勝手に想像する)
壮大なメンズファッション史の構想も見えてきました。
これは、その先行ダイジェスト版、といえるかもしれませんね。

以下は私なりに講座をまとめたノートと感想です。

序章:ファッション学

ファッションとは時代、社会、人を形づくるもの。
そして視点の数だけ歴史はありうる。
「メンズファッションデザイナーを軸とするファッション史」という視点。
まずこれをおさえてからファション史に進むことが大切ですね。

第一部:メンズファッションデザイナー以前

メンズファッションでは、現在のようにデザイナーがトレンドをリードする以前、
映画スターやセレブリティのような、トレンドアイコンの存在が大きかった。

フレッド・アステア、ケーリー・グラント、ゲーブル、ボガート、そして本物のギャングたち・ミリタリーを起源とする機能先行の服と、それを身に着けたセレブリティのイメージ

こういう視点で映画を見直してみるのは楽しかったです。
スチル写真、映像の引用は、ワクワク感がありました。
さっそく「キングスマン」が引用されていて、感激!
でも「トップガン」すら知らない若い世代がいるとは、
時代の流れを感じました(苦笑)
ビートルズ、ミックジャガーもファッション・アイコンとして眺めてみました。

カルダン、サンローランが第二部のデザイナーたちとは違う立ち位置にあった
ことをあらためて認識しました。

私見ですが、70年代アンディ・ウォーホルのタブロイド誌「インタビュー」が
ジェットセッター/セレブリティとファッション・デザイナー/アーチストたちを
同次元にフィーチャーしたのは、デザイナ―全盛時代へ至る過渡期において
次に来る時代を予見していたと思います。

第二部:時代を導くメンズファッションデザイナー

80年代、アルマーニを分水嶺として、デザイナーがメンズファッションの
トレンドをリードするようになる。

アルマーニは、「アメリカン・ジゴロ」(アンコン・ジャケット)、
「アンタッチャブル」(30年代ファッション)などを通して、
映画やレッドカーペットへの衣装提供を戦略的に行った。
また、服を超えてトータルライフスタイルを提案し、
さらにチャリティ商品デザインによる社会貢献のさきがけとなった。

ラルフ・ローレンは、デザインではなくコンセプト(「幻想のアメリカ上流階級」)
を創出することで、ビジネスとして成功。
この時代は他にも、ボロルックで西欧モードを揺さぶったコムデギャルソン、
哲学者のようなコメントを発する山本耀司、
デザイナージーンズとアンダーパンツのカルバン・クライン、
あらゆる境界を取り払ったJ.P.ゴルチェ、
アンファンテリブルのA.マックイーン,etc.・・・
デザイナーの個性がファッションをけん引していた。

いわゆるDCブランドの位置付けがよくわかりました。
デザイナーの創出するライフスタイルが
商品として売られる時代になってきたのですね。
この傾向は、20世紀後半の社会の中流化(といっても一部の先進国ですが)
と密接に関係して、その後のマーケティング志向ブランドへ
少なからぬ影響を与えたことはあきらかです。

一方、メンズファションの一翼を担うビジネススーツ、
正統派の英国紳士服にも、少しづつ変化がみられるようになった。
デザイナー(J.ハケット、ポール・スミス)の手でひねりが加えられたり、
「キングスマン」の衣装を販売するミスタ―・ポーターように、
映画とタイアップした架空のジェントルマンのブランドも登場。
この英国ファションの流れは、それだけで一つのテーマとなりそうな予感です。

さて90年代のミニマリズム(J.サンダーなど)を経て、21世紀のモードはどこへ行く
のか・・・

2000年代初頭に草食系男子を先取りしたエディ・スリマン、
徹底したマーケティング志向のトム・フォード、
半ズボンのトムブラウン。
そしてトランスジェンダー、ノームコア、コンゴのサプール・・・
なんでもあれで予想外の進化をつづけるメンズファッションのトレンドは
今後どのようになってゆくか、要注目です。
SNS時代にファッションのトレンドをリードするのは、
もはやデザイナー以外の人々なのかも。

20世紀に経済成長の恩恵を受けて、「夢」を提示することで発展してきたファッショ
ンが経済格差、環境問題など、社会経済のマイナス影響をどう受け止めて(あるいは笑い流して)進んでゆくか?
その中でデザイナーの立ち位置はどうなってゆくのか?
ファッションビジネスの実学であると同時に、いろいろと現代について考えさせられ
ました。
こういう時こそ、リベラルアーツの出番。
中野様の切り口は、考えるヒント、人生の宝物となるでしょう。

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ほかにも、異業種の方々から、ビジネスや人生を考えるヒントになった旨の嬉しいコメントを数々頂戴いたしました。ファッション史とは服装の変遷ではなく、生きるためのヒントに満ちている豊かな学問であることを広めようとしている身には、たいへん大きな励みになりました。みなさま、あらためて、ありがとうございました!

明治大学リバティアカデミー「時代を導く男性像とモード」、多くの方にご来場いただき、大盛況となりました。

ファッション史はどこに視点を置くかによって、まったく見え方が違います。

戦後のメンズファッション史だけとっても、先週、デイヴィッドが講義してくれたように、ストリートに視点をおいたら「アメトラ」になるし、ファッションイラストレーション講座のように、イラストに視点を置けばまた別のものが現れてくる。ホイチョイプロダクション的にマーケットのトレンドを見据えていくと、さらに違うものになる。

とすれば私ができることはなにか?と考え、スタイルアイコンとデザイナー(やコンセプター)に焦点を絞り、ここ半世紀のメンズファッション史を整理してみました。まとまった本もないので、50人弱のキーパーソンをどう並べて、どんなストーリーを作るか?という点が最大の課題でした。ただ羅列するだけでは「歴史」にならないのですよね。

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用意したスライド、絞りに絞って111点。粗削りなところもあったかと思いますが、ぴたりと90分で終了できたのは神のご加護に違いない……と思うことにします。

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終了後、3人に一人の方が新刊を買っていってくださいました! なんとありがたいことでしょう。涙。

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ご参加くださいましたみなさま、そしてリバティアカデミースタッフのみなさま、撮影してくださった内田栄治さん、ありがとうございました。みなさまのおかげで、達成感を感じられ、お客様にも喜んでいただけた(と思う…)充実した時間となりました。

そしてピンクの可憐な薔薇の花束をお贈りくださった地引由美さん、新刊祝いに大好物のシャンパンをご恵贈くださいましたマリさま、心より感謝申し上げます。

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☆堤信子さんが「ミモレ」で新刊をご紹介くださいました。さりげなく愛がこめられたお言葉に感激です。ありがとうございました。

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ISETAN MEN’S インタビューの後編も公開されました。こちらです。

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18日(土)16:00~ チャーリーヴァイスのサロンに友情出演してくださるもうひとりのゲストは、あの「巨匠」。パフォーマンスの内容は当日のお楽しみに! 知・酒・絵・品・心でおもてなしいたします。

 

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中野香織さん「紳士の名品50」トークイベント
「紳士の名品50」の著者中野香織さんが「紳士のもの選び」について語ります。スペシャルゲストの登場も!
□日程:6月18日(土)
□時間:4時~5時
□場所:メンズ館8階=チャーリーヴァイス
□費用:1,500円(税込)ドリンク代
□定員:20名
□ご予約:03-3225-2853(直通)
※参加のお申し込みやお問い合わせは店頭またはお電話にて承らせていただきます。 恐れ入りますが定員になり次第、お申し込み受付を締め切らせていただきます。

 

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ISETAN MEN’S でインタビューしていただきました。前編です

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記事の最後に、チャーリー・ヴァイスのサロンのご案内があります。

サロンには、スペシャルゲストが二人、友情出演してくれます。一人は本の中でもさりげなく名言を披露している、あのオーセンティックなバーの名物マスターバーテンダー。シングルモルトの紳士な飲み方を教えてくれます(たぶん)。

 

以下、ISETAN MEN’S net からのコピーです。

 

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中野香織さん「紳士の名品50」トークイベント
「紳士の名品50」の著者中野香織さんが「紳士のもの選び」について語ります。スペシャルゲストの登場も!
□日程:6月18日(土)
□時間:4時~5時
□場所:メンズ館8階=チャーリーヴァイス
□費用:1,500円(税込)ドリンク代
□定員:20名
□ご予約:03-3225-2853(直通)
※参加のお申し込みやお問い合わせは店頭またはお電話にて承らせていただきます。 恐れ入りますが定員になり次第、お申し込み受付を締め切らせていただきます。

 

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「AMETORA」の著者W.David Marx氏に特別講義に来ていただきました。

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これまで誰も書かなかった戦後日本メンズファッションの通史を豊富なビジュアル資料と流暢な日本語でたっぷりレクチャーしていただきました。6.10.11

質疑応答では「なぜ日本ではみんな一緒にトレンドに群がるのか?」という話題も出て、私が「人と違うのが不安だからでは?」と言うと、デーヴィッドは「みんなで一緒に楽しみたいからでは?」と。やさしいね。笑

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 BEGINチーム(いであつしさん、綿谷画伯、編集の市川さん)も聴講に来てくださいました。その後の取材に立ち会いましたが、アメカジの超マニアのいでさんとデーヴィッドのオタクな知識披露合戦が非常に興味深かったです。

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どんな記事になるのか楽しみ。6.10.3

中野先生_男性像 (1)

6月15日(水)19:00~20:30 明治大学中野キャンパスにて公開講座をおこないます。

お申込みは、明治大学リバティアカデミーHPからお願い申し上げます。

もしご都合が合うようでしたらどうぞご来場くださいませ! みなさまにお目にかかれますことを楽しみにしています。

(講座終了後、本の販売・サイン会もあります。)

明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」第3講。

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この日は最終回にしてようやく、実際に描き始めます。綿谷講師が用意してきた練習用のイラストを使って、スーツにまつわるさまざまな要素を、描きながら学び、最後に講師が講評を加える、という形式。私もいち生徒として真剣に描いてみました。

 

1.シワを入れてみる。FullSizeRender (9)

いやー、むずかしい。これまでスーツのシワがどこにどのように入っているのか意識すらしていなかった。ちなみに上が画伯による「模範例」。なるほど、論理的。

2.ボールドストライプを描いてみる。

ケーリー・グラントの白いスーツを、たっぷりとドレープが入ったボールドストライプのスーツとして描く、という課題。ストライプにしても、パーツによってその方向がどんなふうに向かっているのか、まったく意識したこともなかった。こちらが、「模範例」。

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とくに襟、肩、胸元、袖まわりの方向が要注意だったのですが、途中でわけがわからなくなった私は、ケーリー・グラントに花束贈られたいな願望を描き込んでみました。へへへ。70点でした。上衿、肩まわりなど、ストライプが向かう方向がちがうとストライプスーツらしく見えないんですね。いままでいったい何を見てきたんだろう。下が、花でごまかした(笑)私の作品。肩のストライプは外側に向かっていなくちゃいけないんですね。そして上襟は、首のほうに向かって立ち上がらなくてはダメ、と。胸元に曲線がないからドレープが生まれてないし。むずかしー。

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3.最後は、実際の古い写真をトレースして、モダンブリテンのジェントルマンをイラストとして描く、という課題。そのまんまトレースするんじゃつまらないので、パーツの幅を変えたり細部にアレンジを加えたりして、その人の個性が出る「イラストレーション」にしていく。

受講生それぞれの個性が現れたイラストを一枚一枚、OHPで掲示しながら、パーツや持ち物のうんちくも加えられていくので、メンズスタイルに関する知識も同時に深まっていくという仕組み。

ちなみにわたしは、メガネをかけた英国紳士エージェントであるハリー・ハート、エグジー、などなどを思い出して、黒ぶちメガネを加えてみました。ついでに左手にはたばこの代わりにシャネルのギフトボックス。ふふふ。これも贈られたい願望というか妄想(笑)。このくらいのファンタジーを描き込むことくらい許してね。

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これは大胆なキャラ化がよいと評価されて95点もらいました!笑 靴がベルルッティっぽい、工芸品みたいな、という画伯のコメントには爆笑。

 

そんなこんなで感心したり笑ったり描いたりしているうちにあっという間に時間が過ぎ、ゼミのような一体感を感じられた、貴重な講座となりました。

一般の大学の公開講座としては前例のないテーマでしたが、果敢にチャレンジしてくださり、斬新なアプローチで有意義な学びの場を提供してくださった綿谷画伯には、心より感謝します。イラストレーションという視点からメンズファションを見ることで、これまで盲点だった多くのことに気づきました。今後の研究や執筆、講義にも活かしていきたいと思います。

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ご参加くださいました受講生のなかには、毎回、名古屋から新幹線で来てくださる方(雑誌の表紙を飾ったこともある坪井秀樹さん)もいらっしゃいました。プロをめざす美大の学生さんや、昨年のリピーターの方も何名かいらっしゃいました。熱心な参加者のみなさまのおかげで、3回とも、ハイコンテクストな内容となり、おおいに盛り上がりました。サポートしてくださった事務局のみなさまにも、お礼申し上げます。みなさん、ほんとうにありがとうございました!

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Isetan Men’s Net から、新刊『紳士の名品50』のインタビューを受けました。

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三越伊勢丹百貨店でとりあつかっているものもたくさん取り上げましたので(結果的にそうなったのですが)、そのなかのいくつかの商品と一緒に撮影でした。写真左から、伊勢丹メンズ館の成川央子さん、中野、本書担当編集者の河内真人さん、Isetan Men’s Netの記事を書いてくださる梶井誠さんです。ありがとうございました。

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メンズ館から出版祝いとして花束をいただきました! ニコライ・バーグマン!! ひと月の間に二度もバーグマンを手にできるなんてなんとなんと幸せなことなのでしょうか!!!

本のなかでは「菊はタブー」と書きましたが、この菊は白くない特殊な種類のもので、甘くなりがちな花束にぴりっとスパイスを効かせて深みを与えている感じです。大人の花束です。ありがとうございました。

 

 

<みなさま、応援を賜り、ありがとうございました>

Men’s Club編集長の戸賀さんのブログでご紹介いただきました。

放送作家の野呂エイシロウさんもブログでご紹介くださいました。

まんが家のこやまゆかりさんも、フェイスブックにて身に余るお言葉をアップしてくださいました。

ほかにもSNSで早々にあたたかなお言葉をたくさん頂戴して、感謝感激しています。

 

みなさん、ほんとうにありがとうございます。

Men’s Club 7月号発売です。FullSizeRender (3)

トラッド特集において、世界に影響を与えるリーダーのなかから7人(政治家4人、英王室3人)、トラッド巧者を選び、コメントしています。FullSizeRender (4)

機会がありましたらご笑覧ください。

編集長の戸賀敬城さんのブログに、特集についての紹介があります。こちら。

そういえばこの記事が私のMen’s Club デビューかも?笑

明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」、第2講が無事終わりました。この日は、ホイチョイプロダクションの馬場康夫さんをお招きしての、鼎談式講義。

過去を振り返る、という映画を何本も作っている馬場さんの視点から機関銃のように語り紡がれる戦後風俗史が刺激的すぎた!! 録音しておくべきだったと激しく後悔。

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VAN、石津謙介、本場アメリカのアイビールック、テイクアイビー、みゆき族、ビートルズ、ジャパニーズモッズ、平凡パンチ、アンアン創刊、70年代ベルボトムジーンズ、メイドインUSAカタログ、ジョンデンバー、70年代バックパックスタイル、菊池武夫、傷だらけの天使、ラルフローレン、アニーホール、DCブランド、ハマトラ、ボディコン、ウエアリングバイブル、私をスキーに連れてって、彼女が水着にきがえたら、波の数だけ抱きしめて、アメリカンジゴロ、リチャードギア、危険な情事、マイケルダグラス、レオン、ピッティウォモ、ノームコア、スティーブジョブス、トムブラウン、鈴木編集長

というあたりが主なキーワードだったのですが、ウェアリングバイブルあたりから、スカーフをボタンホールに通すなどわけがわからない着こなしが提唱されはじめ、イラストレーターとしてもまじめにやってらんないやということで綿谷画伯もマンガチックな画風を獲得していった…という話が面白かった。FullSizeRender (12)

日本のトレンドにビッグウェンズデーはじめ、映画の影響がとても大きかったということもあらためて知りました。馬場さん製作映画「スキーに」「水着に」「波の数だけ」のポスターはイラストレーションでしたが(偶然、穂積和夫⇒綿谷寛⇒森本美由紀という師弟ルート)、それはイラストレーションを豪華に使うアメリカ映画への憧れからきたものであり、日本においては最初のことだったということも明かされました。

馬場さんの愛用ブランドはずっとブルックスブラザーズだそうですが、声もダンディだなと思ったら、なんとラジオ番組AVANTIのパーソナリティまでつとめていらしたそうです。馬場さんの手帳にもびっくり。こまかな字でびっしり情報が書きこんである分厚い手帳でした。会食のたびに詳らかに記録しておくそうです。

記録してこそ歴史や作品が作られる。あらためて、記録の大切さを教えられました。

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馬場康夫さん、リバティ事務局の河合充さん、綿谷寛講師です。すばらしいお力添えを賜りましたおかげで、かけがえのない貴重な講座となりました。ありがとうございました!

 

 

 

11日、明治大学中野キャンパスにおきまして、綿谷寛先生による「メンズファションイラストレーションの世界」第1講が開かれました。全3回の講座です。

5.11.2016.5

初回のこの日は、ルネ・グリュオー、ライエンデッカー、バーニー・ヒュークス、レスリー・サルバーグ、ローレンス・フェローズ、そして穂積和夫、長沢節、森本美由紀、中原淳一、小林泰彦、斎藤融、大橋歩ら伝説のイラストレーターの作品のみどころを、時代状況をふまえながら解説。

5.11.
ときに綿谷先生の個人的なエピソードもさしはさまれながらの、たいへん興味深い講義でした。実際にイラストレーターが活躍していた時代の雑誌や本という貴重な資料も公開され、これまであまり知られていなかったイラストレーターの世界を垣間見ることができました。

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「ファッションイラストレーションから見る戦後ファッション史」という本、書けるネタが豊富にそろっているし、新しい視点が入ることでファッションの見方も変わり、面白いと思う。

5.11.2016.4

あと2回、さらに別の角度から光を当てて戦後メンズファッション史を再考する予定です。

綿谷画伯もこのようにたいへんお洒落ですが、参加者のみなさまがひとりひとり、個性を生かした素敵な装いで、眼福ものでした。みなさま、ありがとうございました!

5.11.2016.6

 

「紳士の名品50」(小学館)ちら見せです。

各章の扉には、綿谷画伯によるこのような描きおろしのイラストレーションが入っています。

完成した紳士像よりもむしろ、それをやや背伸びしてめざすプレ紳士をイメージしています。モデルは昨年、明治大学の講座にも来ていただいた俳優Tさんとどこか似ています……。この表情、女性にとっては抵抗不可能なかわゆさですね。笑

(プレ紳士ということばはこのイラストを眺めているうちに思いついた、中野による造語です)

5月19日発売です。

明治大学リバティアカデミー「メンズファッションイラストレーションの世界」。

5月の水曜の夜(11日、18日、25日)、ご一緒に楽しい学びをいかがでしょう。

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第二回目(18日)のトークゲストはホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さんです。

ホイチョイの最新刊『電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり』(講談社+α文庫)も面白いですね。
これを読んでからの私のビジネスマナーはがらりと進化したはずです。笑

綿谷寛×馬場康夫×中野香織で、ファッション&カルチュア&〇〇〇の濃いお話を展開します。どうぞお楽しみに!

 

詳細は、こちらです

 

GQ 4月号発売です。GQ 4

GQ TALKのコーナーに、デイヴィッド・マークス氏による「アメトラ」を、著者インタビューも含めた形で、より詳しく紹介しました。

ご笑覧くださいませ。GQ TALK AMETORA

“It is easily overlooked that what is now called vintage was once brand new.” (By Tony Visconti)

昨年12月におこなわれたヴィンテージクローズ 研究会のことは、一部、フェアファックスのブログにも書きましたが、そこで書けなかったこぼれネタです。時間が経ってしまいましたが、時間の流れに埋もれてしまうよりよいかと思い、書いておきます。

主催の長谷川彰良くんもブログでさらに詳しく紹介していらっしゃいます。こちらです。

彼のブログのなかにも写真がありますが、1700年代の男性服は、たたむと、肩から手首にかけてずっとなだらかに傾斜する曲線になるんです。っていうか、「肩」がない。12.19.2015.16さらに、袖の部分も曲線に仕立てられています。

12.19.2015.17

また、女性のトップス(ブラウスとジャケットを兼ねるような上着)で興味深かったのは、背中に針金状の芯が入っていること。これにより、背筋がぴしっとのびるんですよね。写真は裏返した状態です。背中に縦に入っているのが、堅い芯。この工夫は、つい姿勢悪くなりがちな現代でも、かくれた矯正器具として使えるのでは?などと思いながら往時の美意識と工夫に感心した次第。

12.19.2015.13

ヴィンテージと呼ばれるものも、かつてはその時代の「最新」として世に出てきたんですよね。現代人の「最高」「最新」もやがてヴィンテージになる。いやそれはまだよいほうで、ほとんどは忘却の彼方に追いやられる。

それだからいっそう、そのときどきの「最新」「最高」を世に出そうとしてきた先人の努力にふれるたびに、感動します。そこからなにがしかのメッセージを感じ取って、現代とその先へと伝えていくことが、たぶん歴史家のつとめのひとつ。

 

 

 

I recommend this article of Elle Japon, to whom attracted to these keywords;  English Gentleman, Public School, Eton, British Culture, etc.

ジェントルマン、イギリス階級制度、イートン、パブリックスクール、というキーワードにぐっとくるかたにお勧めの記事。エルジャポンのイートン校潜入記事です。Fourth of Juneのことはこの写真つきの記事ではじめて具体的に知ることができました。

メンズファッションに関しては、今年もたくさんの原稿を書かせていただき、研修講師を務めたりトークショーのゲストとして話をさせていただいたりしました。また刺激的なファッションシーンにも立ち会うことができて幸運でした。

Special Thanks to United Arrows, D’urban, Fairfax, British Luxury Brand Group (including Hacket London, Globe-Trotter), Mitsukoshi Isetan, Isetan Mens (including Chalie Vice, Salon de Shimaji), Batak House Cut, Ralph Laurent, Giorgio Armani, Union Works, 45rpm, Rude Boy, Le Parrin, Men’s Preciou, GQ, Asahi Shinbun digital, Sarai, Openers, J-Wave……

お仕事をご一緒させていただいたみなさま、そして読者のみなさまに心より感謝申し上げます。引き続き、ジェントルマンシップやダンディズムを論じるときには、専門的に学んできたイギリス文化史の視点を活かし、知識と感性をブラッシュアップしてお役に立てるようがんばります。mensfashion 2015のコラージュ

 

 

Vintage Clothing Research Committee, at 45rpm Minami-Aoyama.

Mr. Akira Hasegawa has got a new “vintage” jacket, which is supposed to have been worn in the 18th century.  Connoisseurs of mens’  clothing joined and discussed about vintage tailoring. Fruitful meeting.  Thank you all, who has special knowledge and experiences concerning tailoring.12.19.2015.14

Detailed article will be followed later.

☆☆☆
45rpmのパタンナー、平成生まれの長谷川彰良さんが、新しい古着(という言い方も妙だが)を入手し、識者が集まって鑑賞しながらそれぞれの立場からテイラリングを議論するという勉強会でした。なんと18世紀のフロックコートを直接手にとったり着たりして多方面から研究できるというまたとない機会。

それぞれの専門的な立場から見ると、同じ服を見ていながら新しい発見が多々!テイラリングの話だけで濃厚な2時間を過ごすという貴重な学びの経験をさせていただきました。詳しくは専門的な媒体で書く予定です。しばし、お待ちくださいませ。
12.19.2015.12

左から、ヴィンテージクローズマニアで実際に1920年代の服を着ている高梨周三さん、バタクハウスカット新宿御苑店店長の川部純さん、パパになったばかりでもある古着マニアのパタンナー長谷川彰良さん、古着屋さんだったジェレミー・ハケットさんの発言をよく知るハケットロンドンの大西さん、そして写真には写っていませんが平成生まれの女性テイラー、”SHEETS”のモリタ・トモさん。それぞれの立場から見るとこう見える、という意見をぶつけて集合知を作るというのは楽しく有意義なことでした。みなさま、ありがとうございました。

 

Opening reception at Isetan Salone Tokyo, Marunouchi.12.11.2015.8

Suave and cozy shopping place, filled with air of modern Tokyo.12.11.2015.9

Honored to see the famous flower designer Mr. Nicolai Bergmann himself!  Memorial photo in front of flower boxes of Nicolai Bergmann.12.11.2015.2

Special thanks to Ms. Ouko Narikawa and Ms. Naoko Tashiro of Isetan Men’s. Memorial photo with Ouko-san.12.11.2015.1

☆☆☆

丸の内にIsetan Saloneオープン。伊勢丹メンズ館のエッセンスをワンフロアに凝縮したショッピングスペースです。木のぬくもりが活きたモダン東京スタイルのインテリアで、よい「気」が流れているのを感じます。

ジャン=ポール・エヴァンのショコラショーで休憩できるスペースもあり、男性も女性も楽しめます。

高級フラワーアレンジメントで有名なニコライ・バーグマン、そのデザイナーご本人にもお会いできて感激でした。お花のイメージを裏切らない、ご覧の通りの美しい方です。

店内をサロン・ド・シマジのチーママとしても知られる成川央子さんにご案内いただきました(写真)。ご招待くださったのは、メンズ館オープン当初、つまり10年以上も前からお知り合いの田代直子さん。OPENERSのお仕事をご一緒した当時は「エシカル」ということばもまだ知られていなかった時代で、当時はメンズフレグランスやコスメのバイヤーでいらっしゃいましたが、いまやお名刺には「部長」の肩書きが。考えてみれば私も10年前とは別人(社会的にというよりもむしろ中身が)。Time flies but time can do so much, in a good sense. 10年後なんてきっとあっという間でしょうが、その間を夢中で駆け抜けられれば幸いではないかと思います。

他の社員のみなさまにもあたたかくもてなしていただきました。ありがとうございました。丸の内界隈の男性の外見とマインドを変える、新しいパワースポットになるのではないかと期待しています。

 

Isetan Men’s Official Website uploaded a detailed article about our talkshow at Chalie Vice last month.

Be a gentleman isetan
伊勢丹メンズ公式サイトで、先月おこなわれましたチャーリー・ヴァイスのサロントークショーの詳細リポートが掲載されています。こんなことを話していたのか……。最中は夢中なので、あとから気づくことも多々です。個人的には「ああいえばよかった」「こうすべきだった」の苦い反省もありますが、では具体的にどうすべきだったのかを脳内にたたきこんで次に活かしたいと思います。

あー。でもその場で、その瞬間に出てくるものがその人のすべてですね。それ以上でも、それ以下でもない。だからこそ「今、ここ」に対する集中力がものをいう。トークショーや講演の時には常につきまとう思いです。

このトークショーそのものに関しては、田窪さんの名司会ぶりあって、トータルで読めば面白い記事になっているのではないかと思います。ご笑覧くださいませ。

Attended a champagne party at the ball room of Grand Hyatt. Hosted by BLBG.  Followed a premiere of Spectre.12.2.2015.3

Met a lot of people and I am afraid I was too talkative and appear frivolous person (as I actually am) because of Bollinger (4~5 glasses…).  My life is such a shallow one.

Recently I came to realize that it is better not take myself seriously; that is almost an only way not to feel depressed because of  many defects of myself.
12.2.2015.1
Anyway, great party, where beautiful guests dressed like actors in the world of James Bond. Thanks to Chairman Jeff (we had official dinner only the day before yesterday and he welcomed me saying “Long time no see!”. That’s British joke)  and CEO of Japan, Mr. Takubo, dressed neatly this time.

12.2.1

I am afraid I look to have had too much bollinger: I sent this photo to Jeff with this message. And his reply was “I am sorry to disagree with you; there is no such thing as too much Bolly”.  So Brit.

☆☆☆

BLBG主催のカクテルパーティー、グランドハイアットのボールルームにて。その後「スペクター」試写会。一昨日お会いしたばかりのグローブ・トロッター会長のジェフさんにも再会しました。「ボランジェ飲み過ぎの顔で恐縮ですが」というメッセージとともに記念写真を送りましたところ、「いやそれには同意しかねる。ボリーを飲み過ぎるということほどすばらしいことはない」というお返事でした。

Lecture for the staff of the Men’s Clothing and Accessories Department at Mitsukoshi Isetan.  Because I love this theme so much, I am afraid I put the information rather too much. Prepared 150 slides of visual material, not enough for me, but perhaps too many for the listener. Modern history of men’s fashion seems banal but actually, once you find the key to look from the other point of view, it is very tricky and there are abundant episodes to talk.

Thank you all, who patiently listened to my lecture. Special thanks to the staff of Mitsukoshi Isetan Human Solutions who offered me great opportunities.伊勢丹研修

三越伊勢丹百貨店メンズフロアご担当者さまを対象に、研修講師をつとめさせていただきました。ありがとうございました。

明治大学リバティーアカデミー<1111>ボンド講座には大勢の素敵なお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。1111.kawai

(photo from the administrative office of Liberty Academy.  Thank You.)

決してミッションをはずさないのに必ずヒネリを加えてくる田窪氏は、まさかの、余裕のタキシード着崩しで登壇。日頃の闘いぶりの厚みを時折感じさせながら、だいじなこともあくまでさりげなく語り去る。伏線のようにちりばめたキーワードや印象を最後にさらっと回収して大団円にまとめあげる。「ダブルスタンダードの壁は厚いが、ロジックとプライドをもち、自分ルールを貫いてやんちゃに正面突破すれば新しい視界が開ける」 という力強いメッセージとともに。やはりボンドみたいな。笑1111.bondlecture revised 2

田窪氏のこのディナージャケット(アメリカ語ではタキシード)は、ギヴズ&ホークスでのビスポークです。
・ポケットに軍服仕様のひし形フラップがついている(室内で着るフォーマルには、雨ふたであるフラップはつけないのが原則)
・後ろはダブルベンツ
(ベンツはスポーティーなアレンジなので、フォーマルはベントなしが原則)
・トムフォード風のコンケーヴショルダーにウエストをぐっとしぼったエレガントなライン
つまり、「英国紳士のフォーマルの掟」を破るミリタリー+フォーマルだったのです。これは仕事の戦闘服+エレンガントなフォーマルという田窪スタイルのダブルスタンダードな表現であり、そのうえ、タイをほどいたまま登壇というやんちゃぶり。この日のお話の内容をそのまま体現するスタイルでした。

ちなみにディテールをめざとく指摘したのは、社長アテンドについてくださったハケットロンドンの大西さん。田窪さんご自身はまったく服についての解説はせず、大勢の人からは「気付かれない(Unnoticed)」まま。ハケット氏がいう、ジェントルマンの条件ですね。
にくらしいくらいかっこよすぎです。笑。1111. bondlecture 1

内田栄治さん撮影ありがとうございました。お忙しいなかお運びくださいましたみなさま、重ねてありがとうございました。事務局の方々にも心より感謝します。

The invisible wall of the gentlemen’s society is so high, but if you go through it adventurously with your own rule, you will see the brave new world.

<追記>
フェイスブックには、ご参加くださいましたお客様よりたくさんのあたたかなコメントをいただきました。転載の許可を得たコメントを以下にいくつかご紹介させてください。前例のない(おそらくどこの大学でも、ないであろう)講座でしたので、皆様からのあたたかいお声が、今回はとりわけ、励みになりました。ありがとうございました!

田窪ボンドがヴェスパー中野をエスコートするオープニングから、ワクワクしました! 007プレミアでのキャサリン妃、ダニエル・クレイグとのドライブ(!)など、貴重なお写真も楽しめました。そして生の田窪様からは、本を拝読しただけではわからなかったオーラを感じました。J.ボンドとR.ブランソンというロールモデルがあったにせよ、幾度も失敗を重ねながら自分らしさを追求していった結果が現在の田窪スタイルなのですね。英国のビジネスはプライドとロジック。自分の意見をしっかり持ち正面突破でガンガン進め、というビジネスのお話も興味深かったです。ダブルスタンダードの英国ジェントルマン社会に受け入れられるには「自分らしくあれ」ということでしょうか。そして中野様によるボンド映画の粋な大人の会話・・すべてが楽しく、かつ奥が深い! 素敵な講座をありがとうございました。(まりさん)

☆007ジェームズ・ボンドを通じての英国高級ブランドの裏側についてお話しくださり、相当楽しかった。イギリスについては知っていることも多々あるけど、知らないこと知られざる世界の方がはるかに多い。実際に英国ブランドのビジネスに携わっている田窪氏のお話は生々しくも興味深く、そしてコーディネーターの中野氏が英国人男性社会の暗黙のルールをさりげなく解説してくださって、これもまた知らない扉を開けてもらった感じ。
日本人にイギリス人のあのしたたかさが少しでもあれば、外交面も交渉面も違っていたはず、と頷きながら聞いていた。考えたら、あの中国もアラブ世界もイギリス人に翻弄されたんだった。(R.K.さん)

☆着崩したタキシードがジェームズ・ボンドのようにラグジュアリーのなかにやんちゃさを思わせるBLBGの田窪さん。そして誰もが憧れるボンドガールのようにセクシーな装いで登場した中野先生。オトナな空気感に包まれての講座でした。『ダブルスタンダード』こそ、まさにヨーロッパ文化の深さと誇りだと思いました。閉ざされているから、知りたい!入りたい!
おふたりから発せられる言葉が、いちいち豊かな表現を纏っていて、それでいてわかりやすく、ユーモアがあって…学びの多い、とっても有意義な時間でした。…そして意図せず、自分の生き方について、背中を押されたような、心が軽くなる、そんな講座でした。(Akiho Takakoさん)

☆大変大変楽しい、知的好奇心をくすぐるひとときありがとうございました!!!
ボンドとボンドガールのおふたりの装いとトークにうっとりでした。閉演がお名残りおしかったです。ぜひぜひ第二回も開催してくださいませ。(Y.F.さん)

☆ボンドのスピリットも英国の流儀ですね。ダンディズムの系譜にあるのだと感じました。仕事で「ケンカ上等、正面突破」に活かしている田窪さんの余裕が魅力的でした。
原作のけしからん内容を、大衆が支持したあたりにイギリス人の面白さを感じます。映画の台詞もいつか使ってみたいです!架空の人物が映画だけでなく経済効果を生み、男の理想にもなっているなんて リアルなロマンを感じました。
素敵なドレス姿にタキシード、大学の教室とは思えないゴージャスな授業でした。
個人的には、中野さんのショールケープを田窪さんが外すときに、 「はじめようか?」 「本当のことを話してね…」なんてセクシーな会話が聞きたかった!と妄想しました。ありがとうございました!(中井信之さん)

 中井さん、演技が中途半端だったことを反省しています。笑。ほかにもたくさんの好意的なご感想を頂戴して、感涙中です。もちろんご不満の声もあると思います。できるだけ多く方のお声に耳を傾け、次に活かしたく存じます。あらためて、ありがとうございました。
1111.students revised(Photo from my student of Meiji, who also attended this lecture.  Thank you!)

 

 

 

4日、伊勢丹メンズ館チャーリー ヴァイスのサロンにて、BLBG社長、田窪寿保さんのゲストとして、ジェレミー ハケットさんとともにトークショウをおこないました。
11.4.2

タイトルが ”Be an English Gentleman!”. 自分以外のだれかになりたがることじたい、紳士ではないだろうというツッコミで打ち合わせの時から盛り上がっていたのですが。

田窪さんとお仕事をご一緒すると、イギリス紳士にかこつけてなにげに皮肉や意地悪を優雅に?言いたい放題できることがなんとも痛快なのですよね。「リシェス」のジェントルマン特集でも炸裂していましたが。不快を与えないぎりぎりの感覚を保って笑いに換えるセンスが似ている(というのもおこがましいのですが)のかもしれません。田窪さんの場合はビジネスの現場での百戦錬磨に支えられたセンスで、もうレベルが違いますが。

紳士論を語るふりして、そこはかとなく意地悪を言える。また、あとになってわかるような意地悪をされる。笑。たとえば「ダウントンアビー」のヴァイオレットおばあさまの言葉を連想してください。その快感あって私はこのテーマを追い続けていられるのかも(^-^; フィールグッドのわかりやすいハウツー的啓発や、スピリチュアル&ヤンキーの入った”魂”なんぞが議論に入りこんできづらいのも心地よい。いや、そういう大衆迎合的な要素を巧みに排除することでブランドを保ってきたものこそ、「ジェントルマン」という、排他的なシステム。

それをさらに自覚しているだろうとさりげなく思わせながら、どこまでも好印象しか与えない田窪さんの話芸が上手すぎてコワイ。笑

ジェレミーも鋭い。一言で人の本質をいいあてる。二次会では、「ジャパニーズ・ダンディ」の写真集を見て盛り上がっていたのですが、ある男性を見て「ジュディ・デンチ」とか「ページ3ガール」とか。あくまでエレガントににこやかに。たまりません。(イギリス的なブラックコメントに一同、大笑いしましたが、そこには愛があるので、貶めない。品がいいのです。写真集そのものには好意的でいらっしゃいました。)

ショートノーティスにも関わらず、立ち見のお客様まで大勢いらっしゃいまして、大盛況でした。エクスクルーシブなサロン独特の雰囲気で、お洒落なお客様の熱気がよい刺激になりました。スタッフのみなさま、お運びくださいましたお客様、田窪さん、ジェレミーさん、ありがとうございました。

アレンジしてくださいましたハケットロンドンの大西慎哉さん、撮影の内田栄治さんにも感謝します。

二次会は、ル・パラン。シガーのもくもくぶりに、イギリス人のお二人は「Opium Den(アヘン窟)」のようだと形容してましたが。11.4.1

左から、ル・パランのマスターバーテンダーの本多啓彰さん、ハケットさんの親しいお友達でもある綿谷寛画伯、中野、「ミスター・クラシック」ことジェレミー・ハケットさん、やはりこの日「キャンぺーン・フォー・ウール」のために来日した服地会社Fox brothers社長のダグラス・コルドーさん、ハケットロンドンの大西さん。

この日の洋服はジュン・アシダです。艶のある型押し素材で、左前スリット、左胸ファスナーというセクシーな意匠を凝らしながら、品の良さをきちんと保っているデザインです。着心地も最高で、何よりも着るとマインドからがらっと変わります。さすがエレガンスの巨匠!

どさくさにまぎれて宣伝させてください。田窪さんの「英国流ビジネス」をテーマにしたレクチャーが来週水曜日、明治大学中野キャンパスで行われます。まだ間に合いますので、ぜひ、リバティアカデミーHPよりお申込みの上、ご参加くださいませ。私も僭越ながら登壇し、漫才よろしくときどき控えめに合いの手を入れさせていただきます。お目にかかれますことを楽しみにしています。

1111poster

今日はネクタイの祖先、クラヴァットの日。クロアチアでは盛大なイベントがおこなわれているはず。日本ではツイギーが来日したミニスカートの日ですが。

アカデミア・クラヴァティカからのありがたいご招待は結局、涙をのんで辞退しましたが、代わりに?クラヴァットの歴史が書かれた小冊子をお送りくださいました。cravat book 1

言葉は読めませんが、写真と絵だけでうっすらと内容を推測することができます。cravat book 2

西洋の貴族が15、16世紀に首元に固定していたラフが、17世紀のクラヴァットになっていったんですね。(ということが書かれているのではないかと思う。翻訳してくださる方大募集です。)

cravat book 3クロアチア兵のユニフォーム、赤が効いていて素敵です。
ほかのページにも興味深い写真や絵が。
アカデミア・クラヴァティカのご高配に心より感謝します。

Today is the Cravat Day in Croatia, although in Japan it is the “Day of Mini Skirt”.  I am deeply grateful to Academia Cravatica for sending me a copy of “History of Cravat”, which is full of beautilfu pictures and photoes.  Happy Cravat Day!

本日10月7日は「スーツの誕生日」ですね。
チャールズ2世が衣服改革宣言をおこなってから349年目。
来年は350周年祝?!charles II誕生当時のスーツ。今とは形状が全然違いますが、長袖上着+ヴェスト+ボトム+シャツ+タイ(クラヴァット)から構成されるスーツのシステムが生まれたというわけです。ヴェストが導入されたのがポイント。当時は「貴族に倹約を教える服」としてのヴェストが導入されますが、その後、もっとも贅沢なパーツとして発展していきます。

創作者の意図、創始者の目的とは違う形で発展していくというのは、よくあるパターンではありますね。文章にしても、「作者の意図」とは違う読まれ方をして広がったりとか、ね。それが世の常、コントロール不可。
ダーバンコラムVol.2 本日公開です。「巧みに隠すことから生まれるセクシー」。ご笑覧くださいませ。

J Wave Hello World 無事に終了しました。聴いてくださったみなさま、メッセージをお送りくださったみなさま、ありがとうございました!10.2.2015

J Waveのブログにもさっそくまとめられています。リニューアル金曜日第一弾としてお招きいただいたようで、光栄でした。ハリー杉山さん、スタッフのみなさま、ありがとうございました。

番組の冒頭で話していた、ハリーさんと英国大使館ではじめてお会いしたときのエピソードなのですが。写真が見つかりました(下)。2年前、2013年の10月のことでした。ハリーさんが着こなしていたのはユニオンジャック柄のウェストコート(=ヴェスト)、と思いこんでいて、それを前提に話したのですが、あらためて過去ブログをチェックして写真を見つけたら、ユニオンジャック柄のジャケットでした! ボウタイもユニオンジャック。ウエストコート以上にこっちを着こなす方が上級ですね。たいへんしつれいしました。記憶って曖昧なものですね。こういうことがあるから、やっぱり記録を残しておくことにこしたことはありません。
harry union jack
17世紀に日々の記録を残し続けたサミュエル・ピープスにもあらためて感謝!です。スーツの誕生日は1666年10月7日。インターネット上には「10月18日」としている記事もありますが、私が所有する”The Diary of Samuel Pepys” vol. VI (London, George Bell & Sons, 1904)では、10月8日の日記に「昨日のことだが…」(=7日)として記されています。10.2.2015.4

「18日」が間違いと断言するつもりはありません。「18日」とされる理由がまた別になにかあるのかもしれません。

ピープス氏は、まさか自分の日記が300年以上も経って読まれるなんて夢にも思っていなかったでしょうね。淡々とした記録。どこで誰のどんな役に立つからわからないものです。10.2.2015.2350年前から延々と読み継がれて110年前に出版されたピープス全集。

フェアファックスコレクティブのブログを更新しました。

起源のロマン

 

お時間の許す時にでもご笑覧いただければ幸いです。cravats(photo: courtesy of Academia Cravatica;  Marijan Busic “Cravat around Arena”, land-art installation, Pula, Croatia, October 18th 2003)

メンズプレシャスブログ、更新しました。ご笑覧いただければ幸いです。

久々に恋した映画、キングスマンのご紹介。ほんとうはもっと語りたい!あれもこれも語り尽くしたい! が、語り過ぎるとネタばれに。あ~見終えた人たちと早く語りあいたい。カルチュアサロン、やりたいですね。シャーロックナイトみたいに。

キングスマンに恋する日々のBGMは、当然「威風堂々」です。
kingsman siren suit
こちらが、キングスマンに登場するサイレンスーツ。

原稿に書きました通り、「ハンツマン」をモデルにスタジオでセットが作られたのですが、実際のスーツは、マシュー・ヴォーンと、衣装デザイナーと、Mr.Porterというアパレル企業のコラボによるもの。新しく「キングスマン」コレクションを立ち上げ、映画の衣装として着せていると同時に、実際に販売もしているようです。こちらに、その記事があります。

kingsman eggsy

エグジー♡ この初々しいジェントルマンスパイ誕生!っぷりがたまりません。

2日、ヴァルカナイズロンドン メンズ2015-16秋冬コレクション展示会にうかがいました。7.3.1グローブトロッターはボンド映画新作の公開に合わせて、ボンドコレクション。ターンブルアッサーもボンドに合わせて。この秋はまたボンドブームが訪れますね。7.3.14ハケットロンドンは、トラディショナルな英国紳士のワードローブにひねりというか遊びを加えた、見ごたえあるコレクション。上、左のプリンス・オブ・ウェールズ チェックは、赤いラインがポイント。赤いネクタイと引き立て合って美しい。

7.3.21

カヴァートコートには、袖口にボタンがつかない。木などにひっかかるのを防止するためだそうです。でもボタンの代わりにラインが入っている。ハケット印の袖口のボタンは2×2の4個なのですが(二個と二個の並びに若干空間があるのが特徴)、このコートのラインはそれに合わせて、2本と2本のラインに若干空きを作ってます。7.3.167.3.15

この写真では見えづらいですね(^-^; この袖口に4本のラインが、ボタンと同じような感覚で並んでいるのです。7.3.19

キルティング素材のテイラードジャケットも新鮮。白いボトムは引き続き「イン」であるらしい。 7.4.38

マニアックな世界をわかりやすくご案内してくださったハケットボーイズのみなさん。それぞれに個性的にハケットを着こなしていらっしゃいました。ありがとうございました!7.4.39

そして大好きなプレスの岡田さん。レディースに引き続き、ありがとうございました!

 

6日(土)にcoromozaにて行いました「メンズファッションの源流」セミナー。

おかげさまで告知から24時間を待たず満員御礼となり、当日までキャンセル待ちの電話がなりやまないという伝説の講座となりました。

ご参加くださいました方々の意欲が高く、80年代の小劇場を思わせる熱気で盛り上がりました。

高い志をもつ若い方のデビューをお手伝いできたことは、たいへん光栄なことでした。私も「技術者の視点」を教えていただくことで、多くを学ばせていただきました。

ご参加くださいましたみなさま、ホルスセミナー、コロモザ関係者のみなさまに、あらためて心よりお礼申し上げます。

詳しくは、長谷川彰良さんのブログにリポートされています。6.6

参加してくれた友人たちとともに隣のワインバーで軽く打ち上げ(といってもヴィンテージ服の話ばかりしている)のあと、原宿のヴィンテージメンズウエアショップ「OLD HAT」へ。店主の石田さんにおもてなしをうけながら、さらなるヴィンテージウエアのマニアトークで盛り上がりました…。ほとんど鉄道マニアと変わらない世界?!

興味深かったのは、アカデミックガウンのタグ。上下逆さについているのですが、裏返し、フックにひっかけると、ちょうどそれが美しく正しい位置にくる。「裏返して、フックにひっかけ、人に見せる」ためのタグなのですね。奥深きメンズウエアの世界。6.6.5

フランスのヴィンテージ狩猟服についているボタンについて、疑問が解決しました。ecoute a la teteフランス文学に造詣が深く、匂いや香水に関する著作も多い鈴木隆さんに教えていただきました。鈴木さんが調べてくださったところによれば、このボタンは、Vautrait du Perche (ヴォトレ・デュ・ペルシュ)という、狩猟チームの制服に使われていたボタンとのこと。フランスのノルマンディーの丘陵地帯にある「ペルシュ」という地方の、犬を使ったイノシシの狩猟チームの名前です。vautraitとは、犬の群れという意味ですね。

このチームのモットーが、ボタンに書かれているecoute a la tete 「知性で聞く」。

なるほど!!! 鈴木さんに感謝、ありがとうございます。

松岡正剛さんの秘密の会?にも参加されていらっしゃる鈴木さんから、次のこともお知らせいただきました。

松岡正剛さまの「千夜千冊」において、女性の書き手の「つわもの」のカテゴリーに入れられていますよ、と。

酒井順子さんの引き立て役カテゴリーでもありますが、知の巨人のような方から「物の数」に数えられていたことは、たいへん光栄でございます。

どちらかといえば、私は「女」目線などほとんど意識したことがなく、高い目標(高すぎることは承知の上)としてきたのが荒俣宏さんや鹿島茂先生なので、万一、次にとりあげていただく機会があるならば(笑)、「女」枠がないところで話題にしていただけるよう精進したいと思います。

「女」というだけで、ジャンルがまったく違うところで引き合いに出されるということは多々あるのですが、今回のように光栄に感じることもあれば、なんでここでいっしょくたにされるのかと苦笑することもあり。「女」枠でくくりたくなること、それが人の素直な反応なのかと思ってじっくり観察することにしています。

4.30.1

The Gentlemen Makers Summer に、「ジャパニーズ・ダンディ」インタビューが掲載されています。伊勢丹メンズ館で入手できます。お近くにお立ち寄りの際にはぜひどうぞ。gentleman 2

「Japanese Dandy」出版記念パーティーが、28日夜、汐留パークホテルで開催されました。

出演モデル70名を含む、素敵にドレスアップしたおよそ270名の方々で、熱気に満ちた会場。4.28.6壁には登場した方、一人一人が映し出されておりました。

日本の装い巧者として名高い方々が各地から駆けつけ、勢ぞろい。メンズファッション業界で有名な方々が、このように一堂に会することなど、かつてなかったのではないでしょうか。ご挨拶を全員にすることなど到底ままならなかったのですが、美しく装った男女が特別感を醸し出していて、写真集出版を祝うにふさわしい会でした。

4.28.9

これは「Japanese Dandy」と名付けられたカクテル。何と何をブレンドしたのか、聞いたのですが忘れました…。なかなか強くて、一杯でくらっときます。

 

半世紀に一度あるかなきかのイベントだったかもしれません。主催者の万来舎さまに心よりお祝いとお礼を申し上げます。4.28.4

ご挨拶するやらされるやらであっという間に時間が経ち、あまり写真を撮らなかったのですが、撮影していただいたもののなかから。上左は、もっともリスペクトされているウェル・ドレッサーのひとり、横浜信濃屋の白井俊夫さま。4.28.1もう一枚だけ。左は海外の「ダンディ」写真集にも登場する、グローバルに人気が高いユナイテッド・アローズのPoggy Kogiさん。右は研修先の教え子、未来の某百貨店社長です(というようにパーティーなどでは、肩身の狭い思いをしがちな若い人を「未来の大物」というふうに紹介しています(^-^;))

パーティー後は新橋ガード下の、電車の音がうるさい煙たい居酒屋にて10人ほどでさらっと二次会。スリーピースやカクテルドレスで盛装(コスプレ?)したメンバーでなぜにガード下。しっくり情景になじんでいたのが味わい深い。

 

 

 

 

 

 

Tae Ashidaショーのあと、原宿ラフォーレミュージアムでのReturn of the Rude Boyのお披露目レセプションへ。3.20.10.ルードボーイとは、1950~60年代後半に起きた、ジャマイカ発ロンドン生まれのサブカルチャー。「やんちゃ」「不良少年」という意味ですが、移民のアイデンティティを表現した個人主義的なスタイルでもありました。3.20.24

明治大学にも来てくれたスタイリストのハリス・エリオットいわく、そのココロは、「私はバッファロー・ソルジャーだ。挑戦はすべて受けて立つ」(展覧会掲示コピーより)。

レジェンドになっているDJ、ドン・レッツも登場。レゲエ、ソウル、カリブをロックにミックスし、ルーディーの文化をバックアップした彼は、「かっこよさは目の輝きで決まる」と。

モッズ、ロッカーズなどの「トライブ」を先駆けたルードボーイは、最初のブリティッシュ・サブカルチャーであったと同時に、もはやこれ以上新しく紹介されるブリティッシュカルチャーはおそらくない、という意味で、「最後の」ブリティッシュ・サブカルチャーでもある。3.20.2

会場はルードボーイズでほぼぎゅうぎゅう詰め。Tae Ashidaを着ていた私は浮いてたかもですが、優しい彼らはウェルカムなホスピタリティで大勢のお客様をもてなしていらっしゃいました。3.20.9左からハケット・ロンドンの大西さん、スタイリストのエリオット氏、日本にルードボーイを紹介した立役者の鶴田さん、中野。

新月と日食が重なった20日、そして春分の日の21日へ。長い長いトンネルを抜けて新しい季節に移る、という出来事が2つ重なり(新装ウェブサイトの公開、次男の編入学試験合格、ついでにもうひとつ新刊企画の決定)、友人4人で久々にルパラン集合、スターティングオーヴァーを祝う。3.20.21

手前のカクテルは生のザクロを使ったジャックローズ。 フレッシュでありながらセクシー、軽やかなのにのど元を通ると重厚、そんな相反する味わいが魅力的な一杯です。

 

 

 

 

日本経済新聞広告特集18日(水)付け 阪急メンズ The Dandy Style 巻頭エッセイを書きました。

 

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伊勢丹メンズが発行する冊子「Then Gentlemen Makers」。次号の「Japanese Dandy」紹介企画で談話。チャーリー・ヴァイスのサロンにて。3.17.7 後ろ左からJDディレクターの河合正人さん、中野、ニューヨークから飛んできたケン青木さん、前列にお座りなのが、JD「カバーボーイ」になった穂積和夫先生。

84歳のマエストロこと穂積先生はあいかわらず飄々として洒脱です。「スーツを着て、おしゃれして背筋を伸ばして、街を睥睨(しながら歩くのがいいね(笑)」とか。説教くさいところがかけらもないのに(ないからこそ)、多くの男性に、お手本にしたいと思わせる。

 

ダンディ企画なので空気に溶け込むべくテイラードスタイルにしてみました。今年はメンズもレディースもテイパードパンツが主流。足首に向かって細くなっていくデザインのことです。ほんとうはストレートあるいはベルボトム系のほうが全身のバランスはエレガントに見えると思うのですが、不思議なもので、時代のトレンドではないと、とたんにそれが古臭く見えてくるんですよね。空気感がズレるというか…。侮りがたしトレンド。

六本木のシガーバー「ル・コノスール」にて、島地勝彦さんと対談のお仕事でした。

3.17.4

2時間ほど室内にいたら、すっかり薫製になった気分でした…。

ウェブマガジン「現代ビジネス」(講談社)に掲載される予定です。

3.17.1

メンズウエア解剖、その5。モーターサイクルコートです。マッキントッシュ製、1942年のもの。

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まず、このようにコートの内側のベルトに足を通します。その後、内側のボタンを留めて、二股のズボン状にするのですね。

そのうえで、上半身を着用して、腰のベルトをとめ、ストームフラップを閉じて着用。

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着るとこんな感じ。サイズはやや大きいですが。後ろから見ると、つなぎにしか見えません。

ゴム引きで、重たく、蒸れそうだし、かなり着心地はよくなさそうですが、これに熱狂する男性が実に多いようで、いまだにリメイク版が作られ続けているそうです。私の印象では、コートというより、装備というか、クルマや武具、ガジェットに近い感じ。

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コートの内側にはこのような刻印。メンズウエアはどこまでも奥深い、というか歴史ぬきには語れないこと、あらためて実感しました。

メンズウエア解剖 その4。主にコーチマンの制服。

coachman とは、馬車の御者ですね。大きなお屋敷などでは、馬車の扉を開け閉めして、主人や客人を送迎する担当者も、コーチマンと呼ばれていたようです。写真ではわかりづらいですが、カラーの内側に鮮やかなレジメンタル模様の布地がついています。レジメンタルタイと同様、おそらく、所属を表す布でしょうか。

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写真では特徴がわかりにくいのですが…裏を見てみると、袖周りがかなり窮屈に感じられるように作られています。動きにくい。ただ、敬礼をしたときに、見ごろが全く動かず、その姿が美しく見えるのだとか!!! 敬礼を美しく見せるための服。その発想に感動しました。

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制服つながりで。いわゆるガイコツユニフォーム。ベルばらのオスカルなんかが着ている、全面にモールが飾られている服です。モールの立体感と迫力、じかに観ると、かなりドキドキします。

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ヴィンテージ・メンズウエア解剖 その3。ハンティングジャケット。狩猟用のジャケットで、多くのカジュアルジャケットの原型にもなっています。これは1920年代ごろ、フランスの服。

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ハンティングジャケットの常ですが、動物をモチーフにしたボタンがついています。このジャケットには、下のようなイノシシ×ベルトのボタン。Ecoute a la tete. という文字が見えます。これはどこかの結社?なにかの警句? おわかりになる方、どうか教えてください。

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このサイトには、やはり似たモチーフ、「イノシシ×ボタン×Ecoute a la tete」 のボタンが紹介されています。
http://www.venerieducerf.com/humeurs.html

ハンティングジャケットには、背中の部分に、大きな「ゲームポケット」がついています。ゲーム=獲物。撃ち取った獲物を入れておくポケットですね。

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フランス製のこの上着にはポケットの下部分に大きなマチがつき、中身を入れてもあまり背中のシルエットが崩れないような工夫がされています。

一方、写真に撮りませんでしたが、同時期のアメリカ製のハンティングジャケットは、作りは丁寧なものの、マチのあしらいはなく、シンプルなパッチポケット仕様なんですね。モノは入りますが、これだと中身を入れたときに上着のシルエットが崩れます。ポケットのつけ方、袖のマチのつけ方にも、フランス製には美意識が徹底的に行き届いている…と彰良氏は解説してくださいました。

中身を入れたときのことまで想像して細部にひと手間を加えるフランスと、とにかく丈夫さ優先のアメリカ。お国柄の違いではなく、メーカーの「格」の違いであったかもしれませんが、いや、でも、狩猟の歴史が長いヨーロッパの美意識に裏付けられた細部のひと工夫であるに違いない…と想像したくなります。

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このように、双眼鏡+帽子+ネクタイ+ブーツとともに着用されたハンティングジャケット。ミリタリーはハンティングから生まれているのではないか?というのが彰良理論ですが。

まったくおバカな個人的な希望としては、背中にゲームポケット仕様の大きなポケットがついた女性用の上着がほしい。そこにPCを入れて持ち歩くのです。笑

to be continued…

長谷川彰良コレクション、ヴィンテージ・メンズウエア解剖シリーズ その2。シャツです。

1880年頃のメンズシャツ。リネン製。やはり長い。

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ホームスパンのデニムシャツというかスモック。中央、そでに美しくギャザーが寄せられ、細かく目の詰まったステッチと刺繍が施されています。

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これを分解した彰良氏の解説に目からうろこだったのです。このシャツはほとんど「直線」で作られた「四角い服」なのだそうです。なぜそうするかといえば、生地の無駄を省くため。一般に、シャツを作ると生地の20~30%は無駄になるそうなのですが、このシャツの場合、ほぼ10%しか無駄にしておらず、ぎりぎりまで布地を有効利用している。

でも「四角い服」だと、動きにくい。そこで、首の部分や袖の部分には三角の布を当てて動きやすい工夫をするうえ、とくに動きの大きな部分には、ギャザーを寄せてゆとりをもたせる!

つまり、ギャザーはたんなる装飾ではなく、あくまで必要から生まれた工夫であるというわけですね。

to be continued…

主に19世紀から1940年代ごろまでのホンモノのヴィンテージ・メンズウエアの膨大なコレクションをお持ちの長谷川彰良さんにお招きいただき、作り手による専門的な解説を伺いながら、あらゆる種類のメンズウエアを、その内部構造にいたるまで詳細に見るという贅沢な機会をいただきました。南青山の45Rpmのオフィスにて。

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すべてが博物館入りにふさわしいお宝ですが、一部は解剖して、型紙や芯地、ステッチにいたるまで詳細に研究していらっしゃいます。

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フランスのファイヤーマン(消防隊員)の制服のカラーにつく文様。火のマーク?

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左が現代のスーツ。右が1910年頃の上着の型紙をもとに彰良さんがリメイクした当時の服。ボタンを開いて着用するとふわっと蹴回し(すその広がり)がエレガントだけれど、留めて着用すると胸元にゆとり、すなわち「空気のミルフィーユ」ができる。それによって背筋がのび、胸元が堂々として見えるのだとか。

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1880年頃のフランス海軍のメスジャケット。上は着用する彰良さん。その下は、肩章。ディテールが凝っている。

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さらに!前身ごろには金属の小さな球状のオーナメントがひとつひとつ手で縫い付けられている。

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裏地にもキルティングがこのようにがっちりと縫いこまれています。これによって、着ると肩が後ろに引っ張られるかのように背筋が伸びるそうです。さながらコルセット効果。ユニフォームを着ている軍人は常に姿勢がいいという印象なのですが、本人の意識もさることながら、このような上着の構造も看過できませんね。

to be continued…

翌日、神戸まで足をのばしてファッション美術館、待望の「日本の男服」展。

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学芸員の百々(もも)徹さん渾身の企画が実現した展示で、官服として洋服が取り入れられた1870年代あたりの服から、三島由紀夫の「楯の会」の制服、VAN、Edwardsを経て現代にいたるまでの日本の男服の変遷。

ギャラリートークをあとに控えていたにもかかわらず、百々さんが一点一点、丁寧に解説してくださって、わかりやすさ倍増でした。くろすとしゆきさん寄贈のコレクションの前で記念写真。

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初期の大礼服の壮麗さと迫力。いまではここまで手間暇かけたものは作れないのではないか。

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明治初期のフロックコートにはウエスト切り替えがあり、ラウンジスーツにはない。ラウンジスーツのパターンもいくつかあったが、かなり自由にバリエーションを遊んでいた印象。ラウンジスーツは作り手にとっても、手間が少ないスーツでもあったわけですね。ゆえに大量生産にも向いていた。

第二次世界大戦中の「国民服」甲・乙も。甲(右)についてる縦ポケットは、仕立て技術の観点からみるとかなり手間がかかるものなのだそうです。束帯かなにかの代わりの装飾的機能を果たし、天皇陛下に拝謁するときにも恥ずかしくない服、として着られたのではないかとのことでした。これにベルトがつくのが正式。

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60年代がやはり男服の分岐点で、60年代以降、イメージとしての消費が始まる(=ファッションのはじまり)。決められ、着せられた服から、着たい服へ。その分岐点にあったのが「楯の会」の制服、という百々さんの解釈に、なるほど、と。

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写真ではたびたび目にしていたけれど、はじめて目の当たりにする現物。どこかSFチックな印象を受けました。この服は、公的には「五十嵐九十九さんデザイン」ということにはされているのですが、実際は…という裏話。実際は、九十九さんの先生でもあったポール・ボークレーさんのデザインだったのだそうです。しかも、裏に「西武百貨店」のロゴがついているけれど、これは100人分の制服を、西武の堤さんが提供したためにこうなってるのだとか。

また、50年代の保守派のスーツ、それに対するアンチテーゼとしての黒人ジャズマンのスーツを並べながらの解説も面白かった。太いラペルに対して、極細を作ってみる。ゆったり一つボタンに対して、タイトな三つボタンを作ってみる。パッチポケットに対して、フラップをつけてみる。などなど、男服の「抵抗」はあくまでスーツのシステムの中でおこなわれていた、と。11220137

システムとしては変わらず、融通自在に変わり続けていけるという、「制約のなかでのフレキシビリティー」こそがスーツ長寿の秘訣というわけですけれど。

圧巻が、石田洋服店の石田原さんが作成した、アナトミー・オブ・ザ・スーツ。スリーピーススーツを解剖すると、202点の「断片」から成る。これが立体になって服になるというのはやはり驚き。

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神戸マイスターのひとりでもある、テーラーの佐伯博史さんの仕事ぶりがわかる10分間の映像もいい。肩の部分の曲線をどのようにスムーズに仕立てあげて(いせこんで)いくのかがよくわかる。

ほかにもたくさんの語りどころがあったのですが、またどこかの機会で。

ご近所の石田洋服店にも立ち寄りました。石田原さんとも久々に再会。

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キヴィアック、アイベックス、ベビーキャッシュなどのレア素材にも触れさせていただきました。こういう素材でコートをつくると、生地代+お仕立て代で60万超えに。でも素材を確保するための困難やエシカルな気配りの背景を聞くと、その価格にも納得。地球の文化を着る、みたいな。

CNNが選ぶ「世界10大ファッション美術館」の一つにも選ばれた神戸ファッション美術館ですが、維持していくのも決して簡単ではないと聞く。アメリカのファッション美術館のように、「100年後の子孫のために今買い付けておく」という思い切った投資がしにくいようです。ファッション文化に対する考え方のトータルな底上げも必要なんですね。

景気が厳しいときにはまっさきに予算を切られがちな分野ですが、このフィールドにおいて図らずも仕事を与えられ続けているのもなにかのご縁なのかもしれません。気負わず奢らず、必要とされればできる範囲でお役に立っていこうと思い直した日。

メンズファッションの盛り上がりとともに、新語も増えているという記事。ウォールストリート・ジャーナル 8日付。Grab Your ‘Murse’, Pack a ‘Mankini’ And Don’t Forget the ‘Mewelry’. by Christina Passariello and Ray A. Smith.

http://online.wsj.com/article/SB10001424053111904900904576554380686494012.html

以下、大雑把に概要。

近頃よく使われるようになった新語。たとえば manties (man + panties)、mandals (male sandals)、murses (purses)、mantyhose (pantyhose)、mankini (swimsuit variant).などなど。

こういう新語はギョウカイ用語として出るのはありがちなことだが、今回は辞書の権威たるOEDまでこれらを載せるかどうか検討しているという勢い。

新語が続々でてくるようになった背景には、メンズファッションの盛り上がりがある。NPDグループの調査によれば、今年の前半、アメリカにおける男性のアパレルの売り上げは、4,6%上昇している。女性のほうは0.8%だというのに。

Mewelry とはman+jewelryで、トッズが提案したレザーのリストバンドなどがヒットし、それにマッチするピンキーリングなども登場。

こういうのがでてきたのは、1990年のメトロセクシュアルブーム以降。男が外見を気にすることがふつうになった。manorexia (man + anorexia 男の拒食症)、guyliner (男のアイライナー)、manscaping (男の脱毛)という言葉まで。

ここ10年でもっともふつうになったのが、manbag. 荷物が増えた男のためのバッグはもはやあたりまえに。

だからこそ、そんなからかいの調子ではなく、messenger, gym, tote, carryall, backpack, portfolio, duffelなどと機能別に分類して呼ぶべき、という意見もあり。

記事以上。

今は、アイテム名にいちいち man をおどけたニュアンスでつけなければいけない過渡期なのかもしれない。男にとってもあたりまえのアイテム、として浸透すればmanはとれていくような気もするが。Let’s see….

下はアルマーニ2011年春夏で発表された、mankini. 男のための新しいスイムスーツである。これを大胆過激にしたバージョン(下を覆う部分がハイレグタイプで、かなーりえげつない水着)が禁止されたビーチもあるが、このアルマーニ版なら、見慣れてしまえばむしろ品がいいように見えなくもないが…。

Mankini_armani

パリとミラノのメンズコレクションが終了し、各メディアで一斉に2011年メンズトレンドの総括がおこなわれている。

今年はケンゾーとロベルト・カヴァリが40周年、ドルチェ&ガッバーナのメンズラインが20周年、ラフ・シモンズが15周年、リカルド・ティッシによるジヴァンシーが5周年だったそうである。始めることもすばらしいが、続けるにはさらにたいへんな努力とエネルギーがいる。祝!

数ある総括記事のなかで、英「インデペンデント」7月5日付がもっとも興味深くまとめられていたように感じた。そのなかでも、とりわけ個人的に気になったのが、以下のトレンド。

・スコート(skort)。ショートパンツなんだけど、前面にフラップがついていて、スカートのようにも見えるというボトムである。コム・デ・ギャルソンが2008年あたりからスカートを出していて、トム・ブラウンもショートパンツを出し続けている。その流れが融合してきたような感じ? リカルド・ティッシ(ジヴァンシー)、ラフ・シモンズらがスコートっぽいものを提案している。

・「男はもうこれ以上苦しみたくないのだ(I’ve become convinced that men don’t want to suffer any more)」byクリス・ヴァン・アッシュ(ディオール・オム)。というわけで、ディオール・オムは、「レス・イズ・モア」(少なければ少ないほど、かっこいい)の袖なしVネックシャツや、ショールのような上着。シンプルに向かうトレンドは確実にあるようで、いつもはボリュームのあるコレクションを得意とするリック・オーウェンスも、「減量」感のあるバリエーションを提案。

あれこれ悩まず、スコートはいて性差の縛りからも自由になって、あっさりとシンプルに我が道を行こうとする男を、2011年男性像としてイメージしてしまった(あくまで個人的印象)。