イタリア・モードの神話的人物のひとり、ヴァレンチノ・ガラヴァーニが93歳で逝去されました。彼はファッションという芸術を「美の秩序」として信じ抜き、半世紀以上にわたって世界にエレガンスの理想を示し続けました。
1932年、ロンバルディア州ヴォゲーラに生まれたヴァレンチノは、若き日にパリのエコール・デ・ボザールとジャン・デッセのもとでクチュールの基礎を学んでいます。その才能が真に花開いたのは、1959年にローマに自身のメゾンを開いたときでした。古都ローマの建築と光が、彼のデザインに特有の「クラシックとロマンの均衡」を与えたのです。
(アニタ・エクバーグが「甘い生活」の中で着用した伝説のドレスもヴァレンチノ)
彼の作品世界には常に構築と儚さの対話があります。精密に設計されたラインの上に、呼吸をするように揺らめくシフォンやオーガンザ。そこには建築的論理と感情的詩情が共存しています。そして何よりも象徴的なのが、彼自身が「唯一、女性を真に照らす色」と呼んだヴァレンチノ・レッド。深く華やかな赤は、情熱ではなく品格の炎として、時代を越えたアイコニックな色となりました。
(ジャクリーヌ・ケネディは再婚式にあたりヴァレンチノのホワイトコレクションからドレスを選びました)
ヴァレンチノの顧客リストは、20世紀のセレブリティリストそのもの。ジャクリーン・ケネディがオナシスとの再婚式に彼のレースのドレスを選びましたが、「再出発の気品」がそのドレスに託されています。オードリー・ヘプバーンやエリザベス・テイラー、グレース・ケリー、そして離婚後のレディ・ダイアナに到るまで。
彼は生涯、商業と芸術、流行と永続の間にバランスを保ち続けた希有なデザイナーであもあります。1970年代以降、プレタポルテが台頭し、ファッションが即時性を競うようになっても、ヴァレンチノはクチュールの理念——時間と手に宿る価値——を守り抜きました。「美は慎みと意思の結果である」という信念のもとに。
プライベートでは、長年の伴侶であり共同経営者であったジャンカルロ・ジアメッティとの絆が知られています。二人が築いた「メゾン・ヴァレンチノ」は、愛と友情、そして創造の連帯によって支えられたひとつの芸術共同体とみなされています。
2008年に引退後も、彼は自身の名が冠された「ヴァレンチノ」が新たな世代によって解釈される様を、遠くから静かに見守りました。今日、メゾンのコレクションに漂う繊細なロマンス――花びらのようなチュール、儀式のような正確さを特徴とする裁断の影には、なおヴァレンチノ本人の精神が息づいています。
ヴァレンチノ・ガラヴァーニは、人間の品格を芸術的に格上げする、息をのむようなエレガンス、めくるめく圧倒的な王道の華やかさを見せてくれました。
ご冥福をお祈りいたします。
(写真はすべてItalian E-Learning Fashion School から引用させていただきました)
















































































































































































































































































































この立体的な細部の美しさときたら。34時間かけて一着が作られる。こちらは178万6千円で、もはやアートピース。






















































































































































































































































































































































































































































































































































異文化リテラシーがますます重要になっていくこと
ファッションが農業と結びつかざるを得なくなっていくこと
政治(労使関係、国際政治問題、人権)との関わりを考えることがファッションにとって必須になっていくこと、など。
LVMHプライズの審査員として初回から関わり、世界の状況を肌感覚で知る第一人者としての栗野宏文さんに世界の話を、ヨーロッパ、とりわけイタリアの実情をリアルに知る安西さんの話を、中野が聞いてまとめています。ユナイテッドアローズの商品の話には一言もふれていません。国内でのビジネスもここでは一切議論にあげていません。世界に照準を据えて、スタートアップを考える方はぜひご一読ください。