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Men's Fashion / メンズファッション, Works / 仕事

吉田茂のスーツに見る戦後日本の決意

吉田茂元首相のスーツ姿は、敗戦後の日本の外交理念と国際的な矜持を体現していた。 彼のスーツは単なる個人の趣味を超え、敗戦国・日本が再び国際社会に復帰するための、「装いによる国家戦略」であった。 吉田は戦前、駐英大使を務めた経験を持つ。1936年から1938年にかけて滞在したロンドンでは、外交儀礼のみならず、英国紳士の装いの作法を徹底して学んだ。サヴィル・ロウの仕立て文化に触れた彼にとって、スーツとは、知性・品位・信頼を象徴する「教養の外皮」であった。そこには、戦後日本が「文明国」として再出発するにあたり、欧米と対等な文化コードで交渉を行うという、深い戦略的意図が込められていた。 帰国後、吉田が愛用していたとされるのが、東京・銀座の老舗「テーラー神谷(かみや)」である。同店は明治から昭和にかけて、英国式仕立てを忠実に守り続けた名門であり、多くの政財界人や文化人が顧客として名を連ねる。吉田は、ダブルの三つ揃いスーツを好み、クラシックで重厚なラインを崩さなかった。加えて、外出時に携えたステッキや控えめなポケットチーフは、英国紳士の名残を感じさせ、敗戦直後の日本において異質とも言えるほどの威厳と洗練をまとっていた。 このような装いは、講和条約や安保条約といった歴史的交渉の場において、極めて有効な視覚的言語となった。そして、視覚におけるこの「同調」と対をなすように、吉田は言語において「ずらし」の戦略を取る。1951年のサンフランシスコ講和会議において、彼は英語を完全に操るにもかかわらず、あえて日本語で演説した。そこには「自国の言葉で主権を回復する」という強い意思が込められていた。姿は西洋の形式を纏いながら、言葉はあくまで日本語。まさに日本という国の立ち位置そのものであった。 服装により「国際社会への復帰の意思」を示し、言語により「文化的主権の堅持」を宣言する。その両方を同時に成立させることで、吉田は敗戦国・日本の再出発を強いメッセージとして打ち出したのだ。 注目すべきは、そのスーツが流行を追うものではなかったという点である。生地、ラペル、シルエット、どれもが永続性と格調を重視した選択であり、一過性の時流とは一線を画していた。混乱期にあって、吉田の装いが放った静かな重みは、国民に知的な安定感と、国家としての成熟した自己像を示すものだった。 彼の装いは、戦後日本が掲げた「外交による再建」という道のりにおいて、視覚的信頼の基盤を築いた。それは今なお、日本の政治家がスーツに込めるべき意味を問い続ける遺産でもある。 Photo:…
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2025年5月6日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/Shigeru_Yoshida_suit.jpg 898 640 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-06 05:00:212025-05-05 06:04:10吉田茂のスーツに見る戦後日本の決意
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ロシア・中国・北朝鮮  服装政治学

外交や儀礼の場において、国家指導者が何を着るかは、体制の正統性、歴史との向き合い方、そして対外的なメッセージを可視化する記号として機能する。とりわけ旧共産圏諸国における「伝統的人民服」の扱いを見比べると、その違いは際立っている。 たとえば中国や北朝鮮の指導者は、今なお人民服(中山装やその亜種)を重要な儀礼の場でまとい続けている。単なるノスタルジーではない。彼らの国家体制そのものが、いまもなお「革命政党の支配」という枠組みにあり、人民服は体制の成立過程と不可分な象徴だからだ。すなわち、服装を通じて彼らは、「革命は終わっていない」というメッセージを発信していると見える。 一方、ロシアの指導者が公式の場で伝統的な民族衣装やソ連時代の制服を身にまとうことは、極めて稀である。プーチン大統領をはじめとする現政権は、国際標準に則ったビジネススーツを着用し、過去の体制的な衣装とは距離を置いている。この違いは、ソ連崩壊という「体制の断絶」がロシアにおいては歴史的事実として明確に位置づけられていることによる。1991年以降、ロシアは国旗・国章・国歌のいずれにおいても「帝政への回帰」を選択し、ソ連時代の象徴を公的装いから排除することで、新生国家としてのアイデンティティを確立しようとしてきた。 つまり、ロシアにとって服装とは「過去との距離感を測る手段」であり、中国・北朝鮮にとっては「過去との連続性を誇示する装置」なのだ。 加えて、民族主義と服装文化の文脈も異なる。中国や北朝鮮では、西洋的装いから距離を置くことが「自立と誇り」の表現とされやすい。対してロシアは、帝政、共産主義、資本主義と体制が大きく変遷してきたため、特定の服装に統一された国家的アイデンティティを託すことが難しい。結果として、最も中立的かつ現実的な装いであるスーツがデフォルトになっていった。 近年、プーチン政権はソ連的な記号や英雄像を部分的に再評価しつつも、それを服装として再現することはほとんどない。そこには、イデオロギーではなく現実主義に基づく対外戦略の姿勢が透けて見える。 Photo: William…
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2025年5月6日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/China_Announces_Troop_Cuts_at_WWII_Parade_screenshot_201591801646.jpg 720 1280 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-06 03:00:472025-05-05 10:11:19ロシア・中国・北朝鮮  服装政治学
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「人民服」から「スーツ」へ 金正恩の装いにみる外交戦略

北朝鮮の金正恩総書記が何を身にまとうかは、彼の政治的スタンスと国際社会へのメッセージを視覚的に象徴する。2018年の米朝首脳会談においては人民服、2023年の露朝首脳会談ではビジネススーツを着用した。この服装の違いは、北朝鮮の外交戦略の変化を如実に物語る。 2018年6月、シンガポールで行われた米朝首脳会談。金正恩氏は、父・金正日も好んだ黒の人民服で登場した。人民服は社会主義国家の指導者にふさわしい「反西洋」の象徴であり、資本主義の権化たるアメリカに対する北朝鮮の独自路線を強く印象づけた。この時期、北朝鮮は核・ミサイル問題をめぐる緊張のただ中にあり、人民服はあえて「国家主権を譲らない」という意思表示として機能した。相手がいかに強大な国であっても、北朝鮮の体制と思想は不変である。そんな強硬な自画像を、彼の人民服から読み取ることができる。 一方、2023年9月のロシア訪問では様相が異なる。極東アムール州で行われたプーチン大統領との会談において、金正恩氏はダークスーツにネクタイという、いわば国際標準の装いだった。この選択は、人民服に込められた体制の象徴性を意図的に脱ぎ捨て、「実利を求める交渉者」としての顔を前面に押し出したものと解釈できる。経済制裁下にある北朝鮮にとって、ロシアとの軍事技術協力や物資支援は切実なテーマである。スーツという現代的で合理的な装いは、こうした現実的利害を共有する同志としての立場を演出する。 装いは、多くを語る。人民服を選んだとき、彼は体制の正統性を視覚化し、権威とカリスマを内外に示した。スーツを選んだとき、彼は外交ゲームのプレイヤーとして、共闘と取引のテーブルに着く姿勢を表現した。 この二つの装いの対比は、北朝鮮外交の二面性──理念と実利、孤立と連携、硬直と柔軟──を浮き彫りにする。服は、国家が世界とどう向き合うかという立場をまとう鏡になっている。 Photo:…
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2025年5月5日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/Vladimir-Putin-talks-with-Kim-Jong-Un.jpg 619 1100 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-05 23:00:302025-05-04 20:44:50「人民服」から「スーツ」へ 金正恩の装いにみる外交戦略
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2019年G20におけるプーチンのスーツ戦略

2019年6月、大阪で開かれたG20サミットにおいて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が着用していたスーツは、一見すれば何の変哲もないクラシックな装いに映った。しかし、あの場面を外交的コンテクストとともに読み解くならば、それはきわめて緻密に設計された、静かな演出であったと言える。 プーチン大統領が着ていたのは、黒に近いチャコールグレーのスーツに、白シャツ、そしてワインレッドのネクタイという、保守的かつ抑制の効いた組み合わせである。奇をてらうことなく、ただし冴えわたる精悍な佇まい。挑発ではなく統制、アピールではなく沈黙による圧力である。 当時、米露関係はきわめて複雑な局面にあった。2016年のアメリカ大統領選へのロシアの介入疑惑を発端に、トランプ政権は国内外からロシアとの癒着を疑われ、いわゆる「ロシアゲート」が政権を揺さぶっていた。さらに、INF全廃条約の失効を目前に控え、軍事・安全保障の枠組みも大きく揺らいでいた。トランプはしばしばプーチンに対して異様な親和性を示したが、アメリカの制度的な対露姿勢は一貫して警戒的であり、両国は、握手しながら疑念を深めているような状態にあった。 そのような文脈のなかで、プーチンの装いは明確な信号を発していた。深いグレーはロシアの現実主義を象徴し、ワインレッドのタイは、赤の持つ攻撃性を巧みに抑制しながらも、権力と主導権の意思をほのめかす。派手なスーツや強い柄を避けることで、「服では語らず、立ち姿で圧倒する」スタイルであり、いわばKGB出身の統治者にふさわしいスーツ美学である。 対するトランプ大統領は、淡いピンクのストライプタイというやや軽快な装いで登場した。政治的な含意はともかく、ビジュアル上は華やかであり、言葉も冗舌であった。プーチンの静けさとトランプの騒がしさ。そのコントラストは、米露の立場の違いを象徴するような一幕だった。 プーチンは、この「静」のスタイルによって、外交舞台においても「読ませない男」であり続けた。スーツに感情を載せず、しかしその無表情のなかに国家の影を背負わせる。 Photo:…
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2025年5月5日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/putintrump.png 580 386 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-05 22:00:452025-05-05 10:54:122019年G20におけるプーチンのスーツ戦略
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ボタンダウンはなぜ「公式の場」に不適なのか

紳士服業界にある方々にはつとに「常識」になっているのだが、今なお、政治家のなかにも「常識」が浸透していないと見受けられる場面が多いので、重ね重ねではあるが、ボタンダウンのシャツを着用する際の注意として記しておきます。 *************************** ボタンダウンのシャツは襟がきれいに立ち、ネクタイとも相性がよく、ネクタイなしでも様になる。実用性に優れた一枚である。 ひとつだけ注意したいのが「公式の場」での使用である。ボタンダウンはその成り立ちや印象から、いわゆる「格式」を重んじる場にはあまり適さない。その背景を少しだけ。 ボタンダウンシャツの起源は19世紀末のイギリス、上流階級の間で人気だったポロ競技にある。騎乗中に襟が顔にかかるのを防ぐため、襟先をボタンで留めたのが始まりだ。つまりこのデザインは、そもそもスポーツウェアの実用性から生まれたものだった。 その後、アメリカの老舗ブランド、ブルックス・ブラザーズが1900年頃に商品化し、「ポロカラーシャツ」として定番化させる。ハーバードやイェールといった名門大学の学生たちがこぞって着るようになり、ボタンダウンは知性や清潔感の象徴として広まっていく。いわゆるアイビールックの代表アイテムであり、アメリカ流のカジュアルな上品さを体現する存在になった。 ここで注意したいのは、「カジュアル」と「公式」の違いである。 たとえば、第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディ。彼はアメリカ政界きってのスタイルアイコンと称され、当時としては比較的細身のスーツを颯爽と着こなし、現代にも通じるエレガンスを体現した。そんなケネディ大統領は、プライベートではボタンダウンシャツを好んでいたものの、大統領演説や外交会談といった公式の場では一貫して着用しなかった。代わりに、レギュラーカラーやセミワイドカラーのシャツを選び、ネクタイとのバランスや襟元の美しさを大切にしていた。アメリカという若い国のリーダーとして、伝統的なヨーロッパの格式に敬意を払う姿勢の表れでもあった。 ヨーロッパ、とくにイギリスやフランスでは、シャツの襟元はフォーマルウェアの要とされる。ボタンで襟を固定するボタンダウンは、「略式」として扱われるのが通例だ。タイノットの立体感や襟のロールが制限されるため、正統なスーツスタイルの美意識にそぐわない、という感覚が根強くある。 日本においては1960年代以降、アイビールックの流行とともにボタンダウンがビジネスシャツとして普及したが、その文化的背景やTPOの区別が十分に浸透しないまま定着してしまった。とりわけ、目上の方と対面する場や式典、外交的儀礼のような「格式の要求される空間」では、ボタンダウンは控えるのが国際的にも妥当である。 ボタンダウンのシャツは、親しみやすく、どこかくつろいだ印象をまとう。だからこそ、信頼関係のある商談や、日常のビジネスにはふさわしい。一方で、表彰式、記者会見、外交、葬儀など、儀礼性の高い場では、レギュラーカラーのシャツを選ぶと、節度が漂う。 Photo:…
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2025年5月5日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/John_F._Kennedy_White_House_color_photo_portrait.jpg 1037 800 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-05 11:00:342025-05-10 06:21:49ボタンダウンはなぜ「公式の場」に不適なのか
Luxury Studies, Murmur / つぶやき

過剰の時代を超えて ラグジュアリーの未来と日本的美意識

ファッション研究からラグジュアリー研究に対象を拡大し、新しいラグジュアリーの価値について発信するなかで、なぜ日本文化なのか? なぜ伝統工芸なのか? を問われるこ…
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2025年5月5日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/may.jpg 701 526 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-05 06:00:192025-05-05 06:18:38過剰の時代を超えて ラグジュアリーの未来と日本的美意識
Culture of Next Generation / 次世代文化・次世代日本, Fashion / ファッション, Murmur / つぶやき

SNS時代の流行はかつての流行とは別物

『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』(6月20日発売予定)の初校ゲラを終えてあらためて感じたのだのが、20世紀には「流行」に意味があって、社会を変革する力があった。 変革とまではいかなくとも、SNS(2012年頃に生まれる)前までは、「流行」と見られる現象があった。たとえば、ミニスカートが流行ったとか、ローライズが街にあふれたとか。でも、今はそういう街の統一感は、あまり感じられない。 流行のしくみそのものが、スマホとSNSによって劇的に変わってしまったからだろう。 かつて流行は、雑誌やブランド、ファッションショーから発信されて、ゆっくりと社会に浸透していくものだった。みんなが「今年はこれだね」と感じるまでに、一定の時間とプロセスがあった。でも今は、TikTokやInstagramでたった一人の投稿がバズることで、数日で世界的なトレンドが生まれる。流行が「発表される」ものから、「発生する」ものへと変わった。 何より大きな違いは、流行の舞台が街からスマホの画面へと移ったこと。 今や、服は「誰かに会うため」に着られるのではない。SNSに投稿したときにどう写るか、共感を得られるか、アルゴリズムに拾われやすいか。そうしたことが服選びの判断基準になっている。 ところが、実際の暮らしの中で、私たちが毎日着ている服はどうかというと、実はその真逆だったりする。 SNSでは派手なトレンドが次々に現れても、現実に着ているのは、ユニクロや無印、GUのような、シンプルで機能的な服がほとんど。これは決して矛盾ではなく、むしろSNS時代だからこそ、「見せる服」と「生活する服」が完全に分かれてしまったのだ。 派手なファッションは、スクリーンの中で一瞬だけ消費される舞台衣装のようなもので、実生活では、動きやすくて、洗いやすくて、周囲に馴染む服、つまり空気のような服が選ばれる。これがいまのファッションのリアル。 この二極化が進んだことで、かえって「何を着てもいい」とされる時代になった一方で、どうせ見られないから適当でいい、という諦めと、誰にも見られてないからこそ、本当に好きなものを着たい、という自己回帰とが、同時に生まれているように見える。 で、初めの話に戻るのだが、流行の中にある「意味」が、ほんとに希薄になってきている。1960年代のミニスカートには女性の自立やジェンダー観の変化といった社会的な背景があった。けれど今のトレンドの多くは、あえて意味を持たない軽さが特徴。意味よりもスピード、記号よりも拡散。そうした「意味を問わない流行」が、次々に使い捨てられていく時代に、私たちは生きている。 (なんだか「(メンタルが)疲れる…」と感じることが増えた原因の一つはそれもあるんではないか?) だからこそ今、問い直すべきなのは、「自分はなぜそれを選ぶのか?」という軸を持てるかどうか、という自分軸なのかもしれない。 何度も書いているが、「エレガンス」の語源には「選び抜く」という意味がある。 画面の中の刺激的なトレンドと、現実の生活に溶け込む服。この二つを行き来しながら、何を主体的に選び取るのかという自分自身の「装う哲学」を育てる、それが、SNS時代の私たちに求められている視点ではないかと思う。 Photo: Summer…
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2025年5月4日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/summerorange.jpg 540 720 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-04 17:00:262025-05-04 19:50:24SNS時代の流行はかつての流行とは別物
Essay / エッセイ, Men's Fashion / メンズファッション

ネクタイは語る 

政治家にとって、言葉と同様に雄弁なのが、装いである。とりわけ外交の場においては、国家の姿勢や理念を象徴的に伝える。 なかでもネクタイは、視線の集まる位置にあり、色・柄・幅の選択が無言のメッセージを発する。たとえば歴代日本の首相たちのネクタイにおいても、それぞれの政治信条、時代背景、国際的立ち位置が織り込まれている。選ばれたネクタイは、おそらく意図以上に、外交における信頼醸成や文化理解に寄与してきた。 象徴的な存在として、海部俊樹氏(第76・77代首相)を挙げたい。1989年、リクルート事件による政治不信が高まる中、「クリーンなイメージ」を評価されて登場した海部氏は、トレードマークとして水玉模様のネクタイを着用した。これは、テレビ出演で同じネクタイを繰り返し使っていたことを視聴者に指摘された経験を受け、逆手にとって個性として打ち出したものだった。600本以上の水玉ネクタイを所有し、常に異なる水玉で登場するという視覚戦略は、清潔感と親しみやすさを演出し、「さわやか宰相」としてのパブリックイメージを確立した。 安倍晋三氏(第90・96〜98代首相)のネクタイ選択もまた、視覚的言語として強い意味を発していた。外交の場において、青系とともに黄色系のネクタイをしばしば選んだ。青は誠実さ、冷静さ、信頼感といったイメージを想起させる定番であるが、黄色はやや異質に見える。だが、「日の出ずる国=日本」の象徴としての意識的な選択であったと解釈できる。 太陽の色である黄色や金色は、古来より光明・繁栄・知恵の象徴であるとともに、視覚的に日本を想起させる色である。国際会議のフォトセッションにおいて、黄色のネクタイは視線を引きつけながらも、攻撃性なく品位と存在感を発揮する。安倍氏が標榜した「戦後レジームからの脱却」や「積極的平和主義」の発信において、黄色のネクタイは、日本の伝統と未来をつなぐ光として、視覚的外交における確かな役割を果たしてきたのだ。 小泉純一郎氏は、グリーン系ネクタイを好んだ。グリーンは自然、再生、調和の象徴であり、政界においては異色である。しかし、彼の「聖域なき構造改革」「自民党をぶっ壊す」といったメッセージと併せてみれば、現状への挑戦と刷新を示す色でもあった。グリーンは権威から距離を置き、自然体で風通しのよいリーダー像を演出するための装いであったとも言える。 岸田文雄氏は、無地や控えめなストライプといったネクタイを好んだ。その選択は、調整型で穏健中道を旨とする彼の政治スタイルと一致している。外交の場でも落ち着いた印象を与え、相手国に対する過剰な主張を控えたバランス感覚を印象づけた。 しかし、ストライプの扱いには常に注意が必要だと思う。日本ではストライプのネクタイが若々しいイメージを与えるものとして広く愛用されているが、海外ではこれがしばしば「レジメンタルタイ(連隊ネクタイ)」として認識される。もともとは英国の軍隊やパブリックスクール、クラブに由来し、各ストライプには所属を明示する意味がある。そのため、該当する所属者でない者が無自覚に着用することは、時に無礼と受け取られる。 さらに、英国式では右上がり、米国式では左上がりのストライプが基本であり、方向性までが文化的アイデンティティを帯びている。石破茂氏のように英国式ストライプを愛用する政治家もいるが、国際舞台でこの選択が不必要な誤解や違和感を招くリスクを持つことは否めない。ストライプは、国内では無難な柄でも、国境を越えるとき、文化的誤読の種にもなる。 外交においては、無地のネクタイ、小紋、水玉といった控えめで、非所属的な柄が推奨される。こうした柄は文化的中立性を持ち、相手国への敬意や調和の姿勢を自然に伝える。ネクタイは言葉より先に、相手に見られている。ゆえに、政治的リーダーのネクタイとは、単なる装飾ではなく、自己像と国家像を織り込んだ外交の言葉として扱われるべき。 「どのネクタイを締めるか」の判断の積み重ねが、国際社会における信頼と尊敬を築いていく。 Photo:海部俊樹氏 首相官邸HP CC…
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2025年5月4日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/Toshiki_Kaifu_19890810.jpg 1241 960 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-04 09:11:242025-05-04 09:11:24ネクタイは語る 
Essay / エッセイ, Murmur / つぶやき, News / ニュース

喪の色が語ること ローマ教皇フランシスコ葬儀に見る現代の弔意の多様性

喪に服す色は世界共通ではない。喪の色とは、その文化における死生観、宗教観、社会儀礼の結晶であり、それぞれの地域、民族、信仰によって意味づけが大きく異なる。 日本では明治以降「黒」が一般的となったが、それ以前の神道葬では「白」が正式な喪服であった。中国やインドでは今なお「白」が死者を弔う色であり、アフリカの一部地域では「赤」や「青」が重要な意味を持つ。つまり、喪の装いとは単なる服装規定ではなく、精神の表現であり、文化の記号でもある。 これを雄弁に示したのが、2025年4月に行われたローマ教皇フランシスコの葬儀だった。サン・ピエトロ広場に世界各国の要人が集い、最後の別れを告げたこの日、注目されたのは荘厳な儀式だけではない。各国首脳や王族、宗教指導者たちがまとった「喪服」の多様性である。現代のグローバル社会における弔意のあり方を象徴していた。 アメリカのトランプ大統領は、鮮やかな青のスーツに青系のネクタイという装いで参列した。西洋社会における一般的な喪のドレスコードから逸脱したこの選択は、批判も呼んだ。他国の首脳の多くが黒を基調とした服装で臨むなか、この明るい装いは「自己主張が過ぎる」「哀悼の空気を乱す」と受け止められた。しかし一方で、トランプ氏らしい「俺様がルール」という政治的パフォーマンスの一環とする見方もあり、その是非は文化と価値観の対立を浮かび上がらせた。 イギリスのウィリアム皇太子は、ネイビーのスーツに黒のネクタイを合わせて出席した。これは英国王室が葬儀においてしばしば用いる正式な喪服スタイルである。濃紺は控えめでありながら格式を保ち、また戦後の英国において「黒の過度な強さ」を緩和する色として受け入れられてきた。また、イギリスは宗教的には「英国国教会」であり、カトリックとはやや距離を置く。そうした微妙な宗教的立場の違いも感じられた。 ヨルダンのアブドゥッラー2世国王もまた、ネイビーのスーツで参列した。イスラム文化圏において、喪の色は一義的ではなく、白、緑、青、あるいは伝統衣装など多様なスタイルが認められている。ネイビーの選択は、バチカンの規律を尊重しつつ、自国の文化を損なわない礼節として成立していた。 インドのムルム大統領の装いも目に留まった。彼女は青のサリーで参列した。ヒンドゥー教において、死は魂の輪廻の一部であり、白が喪の色とされることが多い。だが、インドにおける女性の礼装=サリーは、弔意の文脈であっても一色ではない。ムルム大統領の選んだ深い青のサリーには、個人としての弔意とともに、国家の代表としての矜持も感じられた。 一方、戦時下のウクライナから参列したゼレンスキー大統領は、黒の軍服風ジャケットを身にまとっていた。喪服ではないが、国家非常時の指導者としての立場を象徴する装いであり、その佇まいからは、服装規定を超えた「戦時下」にいる指導者としての存在感が伝わってきた。 こうした多様な装いは、形式的ドレスコードと矛盾しているように見えるかもしれない。しかし、真に重要なのは色そのものではなく、「死者に対していかに敬意を表すか」という精神のあり方である。黒ではなくとも、ネクタイがなくとも、敬意があれば、背景に文化があれば、十分に「喪の表現」として機能する。 ローマ教皇という世界的精神指導者の葬儀が、このように多様な装いに彩られたことは、現代が直面する「儀礼の共存」というテーマを浮き彫りにした。「黒でないこと」にもまた、意味が与えられ、共感される時代へと移行しつつある。グローバル化と多文化共生の時代にあって、私たちは、弔意の形が一様でないことそのものを受け入れる寛容さを問われている。 それぞれの装いが語る弔意の背景を知ることこそ、異文化理解の第一歩である。(それにしてもトランプ大統領のブルースーツだけは、違う意味を放っていた…) Photo:…
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2025年5月4日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/Funerali_Papa_Francesco_54477395668_cropped-1.jpg 1198 1043 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-04 08:14:592025-05-04 08:21:48喪の色が語ること ローマ教皇フランシスコ葬儀に見る現代の弔意の多様性
Beauty, Fragrance / ビューティー、フレグランス, Essay / エッセイ, Luxury Studies

日本の香りを通して考える日本のラグジュアリー 

日本の香りを通して考える日本のラグジュアリー。 ヨーロッパの香りとの違いとは? 海外の顧客は何を求めて日本の香水を買うのか? 価格を超える価値をどのように生むのか? パルファンサトリの大沢さとりさん、リベルタパフュームの山根大輝さんと話した内容を記事にしました。こちらでお読みいただけます。 English…
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2025年5月3日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/japanfragrance.jpg 640 522 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-03 09:56:202025-05-03 09:57:04日本の香りを通して考える日本のラグジュアリー 
Essay / エッセイ, Luxury Studies

糸に生まれる小さな傷が魅力を生む芭蕉布 「ラグジュアリーの羅針盤」ウェブ公開

沖縄の芭蕉布を取材した記事、ウェブ公開されました。 「手で績ぐからこそ糸に小さな傷が生まれる。それが艶に抑制を効かせ、布の魅力の源泉になる」という考え方に視界が開かれた思いがしました。 陰翳礼讃にも通じる日本の美意識がここにも。 職人さんの話を直接、聞いたからこそ学ぶことができた視点です。 ぎらぎらした美の誇示を避け、どこで留めるのかを配慮することが…
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2025年5月3日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/05/bashofu5.jpg 960 1280 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-05-03 04:06:362025-05-03 04:06:36糸に生まれる小さな傷が魅力を生む芭蕉布 「ラグジュアリーの羅針盤」ウェブ公開
Essay / エッセイ, Luxury Studies

エレガンスとは、服の問題ではなく、

連休中は6月20日発売の『「イノベーター」で読むアパレル全史』初校ゲラと格闘です。 頻出する用語「エレガンス」をどう解説しようかとつらつら考えていて、2行で定義することなんてほぼ不可能なので、ちょっと書ききれなかった思考の余りみたいなものをここにメモしておきます。   タバコとシャンパングラスをもち、舞台裏でラフにしゃがむミウッチャ・プラダが「エレガント」と称され…
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2025年4月30日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/palacehotel.jpg 701 526 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-30 06:08:292025-04-30 06:08:29エレガンスとは、服の問題ではなく、
Culture of Next Generation / 次世代文化・次世代日本, Social event / ソーシャル・イベント

祝 KIMONO ARCHオープン 

きものやまとの「ナデシコ」ラインが、KIMONO ARCH と改名、リブランディングして下北沢に路面店をオープン。おめでとうございます。 デザイナー金子茉由さんのこだわりが細部…
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2025年4月27日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/arch6.jpg 701 526 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-27 10:32:212025-04-27 10:32:21祝 KIMONO ARCHオープン 
Essay / エッセイ, Luxury Studies

小さな傷が美を生む芭蕉布

北日本新聞「ゼロニイ」6月号 連載「ラグジュアリーの羅針盤」第30回は芭蕉布を創る方々を取材した記事です。 近日中にウェブにも掲載されます。   本文にも書いて…
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2025年4月27日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/compassofluxurybashofu20250424_19073973.jpg 2338 1654 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-27 10:16:492025-04-27 10:16:49小さな傷が美を生む芭蕉布
Beauty, Fragrance / ビューティー、フレグランス

世の喧騒、心の嵐を超えていく高揚感 セルジュ・ルタンス「ル・ペルス・ヴァン」

資生堂が扱う香水のなかでも詩的レベルの高さで群を抜くのがセルジュ・ルタンス。 写真は7月1日日本発売予定のル・ペルス・ヴァン(風を突き抜けるもの)。ボトルはサンプルサイズです。 「台風の目」がイメージで、騒乱の世界における静寂の場所を表現。 「この世の重荷から逃れ、平穏な空の彼方へ、星々が瞬く天上へ!」と天に向かって手を伸ばす82歳ルタンスさまのシルエットがイメージ写真に使われる。 ムスクノート、クラリセージ、ホワイトアンバーで神聖さや輝きを表現しています。世の喧騒、心の嵐を超えていく、救いの高揚感。これは別格の芸術です。 Among…
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2025年4月26日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/shiseidoserge.jpg 600 521 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-26 09:35:362025-04-26 09:35:36世の喧騒、心の嵐を超えていく高揚感 セルジュ・ルタンス「ル・ペルス・ヴァン」
Beauty, Fragrance / ビューティー、フレグランス

AI、サステナビリティ、パーソナリティ ナルシソ・ロドリゲスの香水

資生堂が扱うフレグランスのレクチャーを受けました。 まずはナルシソ ロドリゲス for herのシリーズ。すべて「ハート オブ ムスク」を核に据えています。ムスクは肌によって香調が変わりやすく、〈女性賛美のシグネチャー〉として同ブランドを象徴。ロドリゲス自身が希少なムスクオイルを贈られた体験が出発点であり、以後全ラインにムスクが貫かれています。 近年の作品を手がける調香師ソニア・コンスタンは、ジボダンの伝統技術と…
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2025年4月26日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/shiseidonarciso5.jpg 501 526 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-26 06:24:112025-04-26 06:25:02AI、サステナビリティ、パーソナリティ ナルシソ・ロドリゲスの香水
Luxury Studies, Works / 仕事

伊勢型紙の美しさと価値をご存じですか

伊勢型紙を使い照明器具をつくる高橋完治さんを取材。伊勢型紙を4000枚譲り受けた経緯や、半導体業界から全く畑違いの伝統工芸アートの世界に入った経緯を伺いました。 詳しくは後日記事にしますが、この型紙の可能性、無限にありそうです。 それにしても。きものが着られなくなり、伊勢型紙の需要がへり、型紙の価値に目をとめた外国の方がどんどん型紙を買っていく。それでいいの? I…
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2025年4月25日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/isekatagami3.jpg 960 720 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-25 05:26:322025-04-25 05:26:32伊勢型紙の美しさと価値をご存じですか
Beauty, Fragrance / ビューティー、フレグランス, Exhibition, Show for the new collection / 展示会・新作発表会

メゾンフレグランスの普及に貢献 フォルテ30周年

フォルテさま30周年おめでとうございます。フォルテが扱う全ブランドと、新作の発表会。 フォルテさまとは、四半世紀ほど前に創業者の吉岡さまとウェブで対談したころからの長いおつきあいです。いまやニッチフレグランスを語るときには欠かせない存在になっています。 日本市場での香水文化の成熟には、こうした香りを地道に紹介し続けてきたエージェントの役割が本当に大きい。 フレグランスのエキスパート、MAHOさんによるメゾンフレグランス解説も香水愛が感じられてわかりやすく、楽しい発表会でした。 以下は試香した新作のなかでも印象に残ったフレグランスのメモです。 🌹ディファレントカンパニーのLove…
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2025年4月24日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/forte9.jpg 960 720 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-24 08:57:542025-04-24 08:57:54メゾンフレグランスの普及に貢献 フォルテ30周年
travel / 旅行, Works / 仕事

縁側や中庭でつながる ししいわハウスNo. 3

(No. 1とNo. 2から少し投稿の間があいてしまいましたが)ししいわハウスNo. 3。西沢立衛さんの設計。 日本の木造建築にオマージュを捧げてあり、各部屋が縁側や中庭でつなが…
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2025年4月22日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/shishiiwa23.jpg 720 960 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-22 11:33:552025-04-22 11:33:55縁側や中庭でつながる ししいわハウスNo. 3
Essay / エッセイ, Movie and TV drama / 映画・テレビドラマ

「わたのまち、応答セヨ」応援コメント

ドキュメンタリー映画「わたのまち、応答セヨ」のコメントが公開されました。 人々の予測できない反応を巻き込みながら、クライマックスに向けて着々と感情が盛り上がっていく骨太なドキュメンタリーです。 「美の継承」に国境はないのですよね。三河木綿の奇跡をぜひ目撃してください。 さらに詳細なレビューは、JBpress…
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2025年4月22日
https://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2025/04/watanomachi_Xcomment_nakano-scaled.jpg 2560 1810 Kaori http://www.kaori-nakano.com/wp-content/uploads/2021/06/logo-1.png Kaori2025-04-22 10:12:042025-04-22 14:27:18「わたのまち、応答セヨ」応援コメント
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