
雅耀会 立川裕大さん講演@帝国ホテル
雅耀会第3回、立川裕大さんをお迎えした会、「伝統工芸の未来への糸口 ミドルウェアという立場からの実践」が盛況のうちに終了しました。
経産省、メディア、大手ラグジュアリーコングロマリット、クリエーター、ジャーナリスト、伝統工芸従事者、ブランディング専門家、大手百貨店など多様な業界において最前線で活躍する方々が参加され、ご参加者の一人の言葉をお借りすると「エネルギーの強い時間」を共有させていただきました。パッションあふれる立川さんのお話そのものにも引き込まれたのですが、質疑もまた発見の連続で、濃厚な時間を過ごさせていただきました。
長年にわたり日本の伝統工芸技術をラグジュアリー領域で通用する製品、ホテル、インテリア、空間デザインに応用してきた立川さんの目から見た、日本の伝統工芸を巡る現状と、そこに潜む課題や未来の可能性。なかでももっとも重要と思ったことに関しては、後日、記事化します。
帝国ホテルのスタッフにもきめ細やかに場を整えていただきました。
立川さん、主催者、ご参加の皆様に心より感謝いたします。(今回は序と結びを中心とするコメンテーターを務めさせていただきました)
The…

「着物と絵の深い関係」Nikkei The STYLEに寄稿しました
6月1日(日)付け日本経済新聞The STYLEで、千總×加藤泉「絵と着物」を展開する千總の礒本延社長にインタビューした記事を書いています。
京友禅のはじまりが、贅沢禁止令…

Takashimaya Salon 6月号 香水インタビューを受けました
タカシマヤカード顧客様限定マガジンだそうで恐縮なのですが、Takashimaya Salon 6月号香水特集でインタビューを受けた記事が掲載されています。
香水との思い出や使い方などに…

日本でラグジュアリービジネスが育たない理由(のひとつ)
「自己犠牲の美徳」か「自己価値の尊重」か。
日本において、ラグジュアリービジネスは育ちにくい、と言われてきた。単なる経済規模や購買力の問題ではない。根底にあるの…

LED技術を伊勢型紙に応用した「灯」の記事、ウェブ公開されました
「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」、半導体業界から伝統工芸の世界へと転身した高橋完治さんに取材した記事が、ウェブ版でも公開されました。
第二の人生の生…

贈り物の緊張
贈り物の季節になると、思い出す光景がある。
ある日、訪問先の企業で、応接室の片隅の棚に「〇〇さんより」「△△社長から」と付箋の張られた手土産がずらりと並んでい…

「ラグジュアリーの優勝劣敗を分けたもの」コメント協力しました
NewsPicks冨岡記者から取材を受けて「バブル終焉、ラグジュアリーの優勝劣敗を分けたもの」という記事にご協力させていただきました。最後の方にコメントが引用されています。
少しだけ補足するならば、エルメスにおいて一部のバッグを手に入れることは「特別な体験」を超えてもはや神話化しており、稀少性から二次流通でも高価格を維持しています。このように供給を絞る戦略と一貫したブランドイメージのコントロールを徹底し続けていることが、時代を超えるラグジュアリーブランドとして不動の地位を保っていけるシンプルな秘訣でしょうか。
ラグジュアリー領域で強みを発揮するには、大胆なプロモーションよりも「いかに顧客がブランドを体感し、敬愛し、長く愛着を持ってくれるか」を重視する姿勢が、継続的な信頼を築きます。
ほんとに蛇足もいいところですが、長期戦を闘うラグジュアリーブランドのあり方を研究するというのは、人の生き方を考えることにもつながります。各ラグジュアリーブランドの浮沈を観察することで、変わり続ける世界にあって、ブランドの世界観と伝統を損なわずにどれだけインテグリティを保ち続けられるかが長いスパンで見て勝負の分かれ目になるという教訓を、(人のあり方として)学ぶこともできるかと思います。
平たく言うと
・安売りするな
・時代にも客にも媚びるな
・時代がどうあれ、一貫性を保つべきところは誠実に保ち続けよ
・(精神の)自主独立を保て
・唯一無二のレアカードになれ
・高品質を極めることができる構造(日常)を作れ
・大声でPRするな
こういうことをエルメスを筆頭とする強いブランドの長期的強さから教訓として抽出できます。もちろん、理想実現にはハードルが高いのですが、心にいちおう、指針をもっているだけで、日々の選択や行動に違いが生まれてきます(たぶん)。
Don't…

「スーツの歴史」「世界のスーツ」解説
KASHIYAMAさんの動画サイトBE SUITS! 内の「服学」講師としてお招きいただき、「スーツの歴史」「世界のスーツ」について解説しました。
写真は撮影前に現場を調整するスタッフ…

『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』6月20日発売です
2020年に発売した『「イノベーター」で読むアパレル全史』ですが、おかげさまで、増補改訂版を出版できることになりました。
とはいえ二年がかりの大増補改訂、約500頁にな…

本質を見きわめて、起源をどこに置くかを考える
歴史家の仕事の一つは、現在の姿の本質を見極めて、「その起源をどこに置くか?」を考えること。
たとえばスーツだったらそのシステム、精神、かたちにおいてたどると少なくとも3つの起源を求めることができる。
・1666年10月 チャールズ2世の衣服改革宣言。「この服はもう変えることはない」という美と倫理の呪いをかけた。5つの構成要素からなるスーツのシステムの起源
・1810年代前後 ブランメルによるダンディズム。「通りを歩いていて振り返られたらあなたの装いは失敗だ」。抑制・消去・無彩色によりカット&フィットで際立つというスーツの精神の起源。連動して高度なテーラリングが発達
・1860年代前後 ドレスコードの厳格化により「くつろぎ」のためのラウンジスーツ誕生。ミシンの発明により大量生産が可能になりラウンジスーツが普及。スーツのかたちの起源。
細部の起源(着用マナーとかドレープの有無とか)を言い出したらさらにいろいろありますが、大きなポイントはこの3つかなあというわけで来年はスーツ(のシステム)生誕360年なのです。
*写真は2017年のロンドン取材の際に撮影 ジャーミン・ストリートを見守るブランメルの像
One…

Fashion Frontier Program 今年も講師を務めます
「FASHION FRONTIER PROGRAM(FFP)」において、今年も講師を務めさせていただくことになりました。
このプログラムは、ファッションデザイナーの中里唯馬氏が2021年に創設した、ファッションの未来を切り拓く人材を発掘・育成するためのプログラムです。単なるコンテストではなく、社会的責任と創造性を兼ね備えた衣服のデザインを通じて、ファッション業界全体、さらには社会全体の変革を目指しています。
FFPの特徴
…

なぜLVMHがこれほど日本に注力するのか?
LVMHがいま、なぜ日本にこれほど大きな注力をしているのか?
中国市場が揺れる中、「ラグジュアリービジネスの未来」を模索するうえで、日本の文化的成熟度と消費者の洗練性が、かつてないほど重視されています。
アシュレー・オガワ・クラーク氏によるVOGUE…

半導体業界から伝統工芸界へ
北日本新聞「ゼロニイ」連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 31. 「半導体業界から伝統工芸の世界へ」。伊勢型紙に魅せられ、LEDの技術を活かして伊勢型紙を照明化するという「…

王道の確かさと静かな挑戦 jun ashida / TAE ASHIDA 2025AW
イタリア製の上質な素材(リサイクル素材を含む)を中心に、王道ラグジュアリーの確かさと、静かに大胆な挑戦が共存するコレクション。
アシンメトリーなカッティングや、異素材に見える一体布地のトリック、そしてヴィンテージ感覚の色彩ミックスなど、細部にまで仕掛けが潜んでいます。着たときの心地よさ、立ち姿の凛とした美しさ。その両方を叶える服。
A…

伝統工芸は、成長産業である
5月31日(土)開催の会に備え、立川裕大さんの編阿弥庵を再訪し、打ち合わせをおこないました。
「伝統工芸は、ブルーオーシャンで、成長産業である」と言い切れるのは、長らくラグジュアリー業界のなかで日本各地の伝統工芸をプロデュースしてきた立川さんならでは。いま、またとないチャンスが来訪しています。
ものづくりの価値とは、技術だけで測れるものなのか。
日本の方がよい製品を作っているのに、なぜヨーロッパのラグジュアリービジネスが「強い」のか。
そして日本は、なぜ「世界観」を育てるのが苦手なのか。
ラグジュアリービジネスの「語られない」部分とも深く関わってきた立川氏とともに、伝統工芸・プロデュース・デザイン・文化経済圏をめぐる、鋭い対話の時間をお届けします。
職人と文化が、産業になるために何が必要か。立川氏の実践と言葉の中に、ヒントが散りばめられています。
「伝統工藝の未来への糸口 ミドルウェアという立場からの実践」
5/31土14時~16時
帝国ホテル 松の間
https://gayohexplore-03-gentei.peatix.com/
In…

ホテルの部屋ごとに異なる香り LABSOLUE
イタリア発のフレグランス、LABSOLUE(ラブソルー)展示会。
ここのラボラトリーは、ミラノにある世界唯一のパルファムホテル(!)「マグナ・パルス」に隣接。そのホテルにある68室の一部屋一部屋のためにスター調香師がオリジナルの香りを生み出しているというユニークなパフュームブランドです。
香水の番号は、部屋の番号とリンクしている。アメニティだけでなく、部屋のデザイン、イメージもコレクションごとに創りこまれていて、忘れがたい香りの体験を提供するのだそうです。泊ってみたい✨
比較的ストレートな名前がついています。 15ラベンダ、23ネロリ、16ウード、など。とはいえすべてに絶妙にイメージを裏切るひねりが加えられており、上質で洗練された空気を醸成してくれます。
6月18日に発売されるのは、
7…

職人のレガシー The LOA
国宝級のマスターテーラーの一人、廣川輝雄さんが(英ロイヤルミュージアムでも作品発表、BBC放映)、このたび、超優秀な若手とともにThe LOA(Legacy of Artisan)設立。
女性の…

人間に立ち返る贅沢 日経連載「ラグジュアリー・ルネサンス」
日経連載「ラグジュアリー・ルネサンス」の第二回。
成熟した社会においては、ブランド表示や物質的豪華さはラグジュアリーの知覚とはほど遠くなっていく。ではそれに代…

欲望を「クラフト」する ロエベが体現するラグジュアリーブランドの新戦略
ラグジュアリービジネスにおいて、もはや「体験型マーケティング」を採用するか否かは議論の対象ではない。問われるべきは、その体験がいかに戦略的に設計され、刹那的な感動をいかに持続的なブランド資産へと転換するかという点である。
ロエベの「クラフテッド・ワールド」展(東京・原宿にて開催)は、この問いに対する一つの鮮やかな解答を示したと思う。
本展は、まず視覚的な迫力によって来場者を圧倒する。なかでも、話題を集めたスタジオジブリとのコラボレーションの部屋は幻想的で、赤ちゃんの撮影室と化していた(笑)。巨大な植物モチーフ、シュルレアリスムを思わせるクラフトのインスタレーション、細部まで計算された空間演出、アートとして並べられたドレス。いずれも「思わず写真を撮りたくなる」衝動を巧みに喚起される(写真撮影は自由)。撮影された写真は、ソーシャルメディア上で無数に拡散され、ブランドは広告費を一切かけることなく、圧倒的なプロモーション効果を手にすることになる。現代のラグジュアリーブランドに求められる最も洗練されたマーケティングの形であろう。
とはいえ、この寛大さを装った体験の背後には、取引構造が隠されている。入場は無料だが、チケット取得時に個人情報の登録が求められる。来場者は、一瞬の感動的な体験、写真をSNSに掲載する承認欲求の満足と引き換えに、自らのデータを自発的に提供しているのである。この取引はあまりに巧妙で、消費者はその対価にすら気付かないまま、ブランドにとって貴重な行動データと心理的ロイヤルティを残していく。…

ラグジュアリーブランドは日本で文化的影響力の再構築をめざす
LVMHによる日本へのてこ入れが積極性を増してますね。4月に2025年フォールコレクションを京都の世界遺産、東寺で開催したり、大阪万博のフランス館に協賛したり、村上隆とのコラボを復活させたり、ロエベの〈Crafted…

