
「伝統的工芸品」の定義、数字で知る現状と現場からの声
国の支援×伝統工藝×ラグジュアリーのイベント、拙いファシリテーターを務めましたが、各地からご参加いただいた方々からの鋭い質疑応答のなかに学ぶことが本当に多く、忘れないうちに備忘録としてメモしておきます。
◎「伝統的工芸品」は、「伝産法」に基づき、経済産業大臣が指定する。100年間以上、それぞれの地域に密着した生活用品を提供する産業であることが大前提となる。そう、100年の歴史を持ってないと国の指定を受けられないのです。国の指定が受けられないと補助も受けられない。
◎<伝産法第一条>国民の生活に豊かさと潤いを与えるとともに地域経済の発展に寄与し、経済の健全な発展に資する。
指定されているのは全国に243品目。100年経っていることが要件なので、「輪島塗」は伝統工芸品に指定されるけれど「珠洲焼」は指定されてないのです。ただ、自治体での指定要件は別。でもね、民藝的に生まれ、発展したものも多いだろうに、100年経っているという証拠を出せ(文書でもなんでも)と言われても難しいところもあるのでは。
◎伝統工芸品の生産額。1990年代には158品目508,164百万円→2022年には240品目104,989百万円。…

国×伝統工藝×ラグジュアリー
雅耀会第2回、「国×伝統工藝×ラグジュアリー」の回。国際文化会館にて。ファシリテーターを務めました。
名古屋、金沢はじめ遠方からのゲストも多く、産地、教育機関…

綿の神が蒲郡とロンドンをつなぐ奇跡のドキュメンタリー
「わたのまち、応答セヨ」の紹介記事です。さびれゆく繊維の街の地味な話かと思って見たところ……撮る人が撮られる人を変えていくドキュメンタリーの底力を感じました。ラ…

「紅型(びんがた)」を取材した記事公開 ラグジュアリーの羅針盤
「ラグジュアリーの羅針盤」Vol.29 「銃弾を拾い、祈りを染める 琉球びんがたが伝える物語」公開されました。
沖縄戦のことが、こうした美しい伝統工藝を通じて後世に伝…

ラグジュアリー文脈での伝統工藝:国の支援はどのようになっているのか
ラグジュアリー文脈のなかで伝統工藝を考える会の第2回目は、「国の支援」がテーマです。経産省中部産業局からお二人をお招きします。
2年で異動になる経産省のお役人とは思えない(偏見ごめん!)、炎のような情熱と賢さと愛らしさを備えた女性、それが磯貝智子さんでした。経産省中部産業局の局長補佐。
彼女の前例なき活動を後押しする上司である局長の寺村英信さんが、これまたヘラルボニーのネクタイもさらりとつけこなすチャーミングな方なのです。
お堅い話?と敬遠したらソンするほどのお二人の内容の濃いお話と、何よりもお人柄、心意気をお伝えしたい。
愛と知性にあふれるこんな方々が携わるからこそ、私も一緒に応援させてください、ってなってる。
伝統工芸がよくわからない人にこそ、この場に来ていただき、彼らの熱意とヒューマンな知性を共有したいと願っています。
なんといっても、4月から磯貝さんは異動になってしまう…

日本発の香水ブランドと次世代ラグジュアリーの新しい可能性 阪急メンズ
雪がちらつく寒い日でしたが、阪急メンズ東京で開催中の「香りで巡る日本の美」ポップアップの中で開催されたトークイベント「日本発の香水ブランドと次世代ラグジュアリー…

服装が語ること 「モードは語る」第100回最終回
日経新聞連載「モードは語る」第100回最終回、「服装が語りかけることとは」。
フランクリンの毛皮帽とゼレンスキ―大統領の黒シャツが語ることをどのように解釈するのか。
私の「ファッション観」も込めています。
私家版ですが英語版はこちらです。
服装は確かにメッセージですが、…

破れないストッキング論争の背景を解説しました 朝日新聞
朝日新聞から依頼を受け、「破れないストッキング論争」の背景を解説しました。
紙版では3月5日付夕刊に掲載されています。ウェブ版は有料会員への全文公開になりますが…。
技術論としてはたしかに、「美しく薄い質感」と「強度と耐久性」を両立させるのは容易ではない。軍事レベルの強度な繊維を使ったとしてもコストや通気性、着心地などが犠牲になる。
だが女性の現実はそこまでの強度を求めているわけではないのだ。あまりにも些細な刺激で(時には履く前に)破れることが多すぎることに不満を抱いている。
メーカー(ほとんど男性)が技術論をふりかざし、ユーザー(女性)の切実な現実をくみとろうとせず「指切るで」などの軽率で的外れな対応をしてしまったことで反感を買ってしまった。
そもそも根本的な原因は、日本のメジャーなアパレル業界において決定権をもっているのがほぼ男性、ということにある。彼らが「多様性の大切さ」を力説し、同じような後ろ姿の男性が全員うなずくというシュールな光景ときたら……。
I…

ドレスコードより大切なこと
アカデミー賞授賞式。昔ほど熱心にフォローしていないのですが、アダム・サンドラーがブルーのスウェットパーカで出席し、ドレスコードを派手に破って追い返された「シーン…

香りで巡る日本の美 トークショーのお知らせ
日本の香水ブランドだけで百貨店で特集が組める時代が到来したのです…。2000年あたりから限りなく細々とかすかに(笑)香水普及のための発信を続けてきた身には、感無量です。
3月8日(土)には、Parfum…

京都新聞社地下の妖しさとアート Artists’ Fair Kyoto 2025
Artists’ Fair Kyoto 2025。京都新聞社地下も会場になっております。
ここがもう、あやしいのなんのって…。展示もその雰囲気に相ふさわしい、あやしい作品が多くて相乗効果…

和のデザインの総合アーカイブ 千總工房取材
展覧会プレビューの翌日は、千總工房の見学と取材。
詳しくは後日記事にて、なのですが、さすが470年の歴史を誇るだけあり、和のデザインの一大アーカイブも持っていらっ…

京都伝統工芸館 アップデートされた伝統工芸作品
京都伝統工芸館。千總ギャラリーのすぐ近くにあり、立ち寄ってみました。
京都伝統工芸大学校(学校法人二本松学院)関連の施設らしく、講師や学生の最新作品も展示され…

東福寺庭園の幾何学的な美と現代アート Artists’ Fair Kyoto 2025
京都の3か所の会場でArtsits' Fair Kyoto 2025 が開催。プレビューに伺いました。
まずは臨済宗大本山 東福寺。東福寺そのものが初めての体験だったのですが、いやもうスケールの…

外国が期待する京都らしさ ぎおん美先
今回宿泊したのは、ぎおん美先。
スタッフが全員外国人で日本語を話し、ゲストも外国人ばかり。
外国人が好む、というか期待するであろう京都らしさがしつらえられている。
こじんまりしているが設備もインテリアも最先端。朝食も素朴な和食でゲストが大きな一つのテーブルで同席するのでなぜかいつのまにかみんな英語で会話している。
京都というテーマパークのある外国旅行をした気分になりました。シュールで得難い体験でした。(写真上は、Paolaさんが絶賛していたThe …

創業470年の千總と加藤泉のコラボ
アーチストの加藤泉さんと、創業470年を迎える老舗の千總がコラボした展覧会が千總ギャラリーで開催されています。
記者会見と内覧に伺いました。
加藤泉さんと、千總…

「ブリティッシュ・アイビー」なる用語とスタイルについて解説しました GQ4月号
Q JAPAN 4月号特集はTokyo New Ivy。
ブリティッシュ・アイビーについて解説しました。
とはいえ「ブリティッシュ・アイビー」なる用語は当のイギリスでは使われず、日本独自の分類・解釈により生まれた言葉&スタイルと思われます。
(こういうの、日本は巧いですよね)
日本の「アイビールック」(これじたい、アメリカを経由したイギリスのトラッド由来ですが)がイギリスの伝統服装を再解釈した結果……イギリス側では日本独自のスタイルとして認識される可能性があります。
The…

金箔の声を聴く職人 ゼロニイ3月号
北日本新聞「ゼロニイ」3月号、連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 28 「金箔の声を次世代に伝えたい」。
金箔の製造方法はもちろんのこと、金箔が100%金沢でつくられてい…

雅耀会第2回「国の支援とラグジュアリー、伝統工藝」お申込み受付を開始しました
さっそくですが、雅耀会第2回のお申込み受付が始まりました。
「伝統工藝の未来を拓く—国の支援とラグジュアリーとの新たな可能性」
ゲスト:寺村英信さま 経済産業省 中部経済産業局長
ゲスト:磯貝智子さま 経済産業省 中部経済産業局課長補佐
聞き手:中野香織 著作家/服飾史家
日時:2025年3月29日(土)14時開催
会場:国際文化会館…

Yumi Katsura 60周年 Life Coutureへ
表参道スペースOにて、Yumi Katsura 60周年を記念した展覧会が開催されています(24日まで)。
桂由美さんが「花嫁の笑顔のために」行ってきた数々の革新的な作品にはとてつも…