「省エネは回収できる投資である」
宮内淑子さん主催の第130回「次世代産業ナビゲーターズフォーラム」に参加。メインの講演は、小宮山宏さんによる「日本『再創造』-『プラチナ社会』の実現に向けてー」…
「それがほんとうの事実であるかどうかは、さして問題ではない」
ブレンダ・ラルフ・ルイス『ダークヒストリー 図説イギリス王室史』(原書房)読了。久々に血が騒いだ歴史本。ノルマン征服のウィリアム王から、ナチのコスプレで世間を騒…
プレッシャーによるトリプルアディクションが生んだ「抜け殻」の罪
「民族・信仰・出自を公然と侮辱した」(=ユダヤ人差別発言をおこなった)かどで訴えられているガリアーノの裁判が、パリで昨日おこなわれ、そのリポートが各紙ファッショ…
定番服とファッションアイコンの緊密な関係
真夏日の仕事の合間には、眼福本でほっとひといき。 'Icons of Men's Style' by Josh Sims. Laurence King Publishing から出たばっかり。josh Simsは英国各紙のファッション欄でよく名前を見かけるライターである。
ブルゾン、ワックスジャケット、フライトジャケット、トレンチ、ジーンズ、カーゴ、ローファー、デッキシューズ、ボクサーショーツ、ブレザー、ツイードジャケット、ボタンダウンシャツ、ランバージャケット、などなどのメンズの定番アイテムが、「やはりこのアイテムといえばこの男だろう」という直球どまんなかのアイコン(映画俳優だったりスポーツ選手だったり貴族であったり戦士であったり)がそれを着ている写真で紹介される。
ブレザーといえばジョージ5世。ツイードといえばジェームズ・スチュアート。ハワイアンシャツといえばトム・セレック。レイバンにトム・クルーズ。といったべたべたの王道も悪くないし、
パナマハットにミック・ジャガー。Yフロントのパンツにマイク・タイソン。ボンバー・ジャケットにフランク・シナトラ。という意外性もまたよし。
マニアックにはずしていくことがかっこいいと思われているフシもあるけれど、このように世界中のだれもが「ついていける」ような定番ワールドが確固としてあるということが、メンズファッションの強みにして面白さでもあることを、あらためて実感する。
定番アイテムの輝きを永遠にするのは、一時であれ時代の波長をリードしたようなアイコンたちで、彼らは没してのちも永く、そのアイテムとともに記憶のなかに生き続ける。古びることなく。つまり、定番服とファッションアイコンは相互に引き立てあって生き続けている。
.序文より。'Men's…
何も考えてない常套句なら、言わないほうがいいことば
励ましたいのだが、どう声をかけていいのかもわからない、ということが多々ある。一緒に行動できないならば、偽善的なことばなど、かえってしらじらしく聞こえてしまうのではないかと危惧する。でも、少しでも励みになりたいという思いもウソではない。
被災地で日々闘っている人たち、職を失って、あるいは得られなくて絶望しかけている人たち、重い病気と闘っている友人や知人。
「ニューヨーク・タイムズ」に、<病気と闘っている人に対して言ってはいけないことば>に関する記事があった。10日付。'You…
Quis separabit?
◇帝国ホテル広報誌「IMPERIAL」第76号。ロイヤルウェディングの世界について書いています。写真がかなり豪華です。機会がありましたら、ご笑覧ください。
字数の関係もあって誌面では割愛せざるを得なかったケンブリッジ公ウィリアムの新郎姿について、ひとことメモ。
青いサッシュベルトをかけた赤い軍服は、彼が名誉職をつとめるアイリッシュ・ガーズの制服。帽子には、アイリッシュガーズの記章がついているが、そこには連隊のモットー、"Quis…
60年間批判ゼロの「英国紳士スタイル」の秘密
6月10日に90歳の誕生日を迎えたエディンバラ公フィリップ(エリザベス女王の夫君)。そのスーツスタイルをたたえる記事が、英ファイナンシャルタイムズに。6月3日付、Regally restrained.…
赤いソールに独占権はあるのか?
◇「サライ」7月号発売です。連載「紳士のものえらび」でトラヤ帽子店のパナマ帽について書いています。機会がありましたらご笑覧ください。
今月号の特集は「美術の見方」。東西の名画がたっぷりなうえに、デスティネーション美術館の紹介も多数。「ベネッセアートサイト直島」とか「霧島アートの森」とか、名高い「自然のなかの美術館」がきれいな写真とともに紹介されているので、しばし脳内旅行も楽しめる。
◇5月の「ニュース」だけどメモ。「赤いソール」のクリスチャン・ルブタンが、YSLに対して4月、訴訟を起こしていた。それに対し、YSLが反論という記事。5月25日付、英「インデペンデント」、You…
人の能動性を引き出す技術開発やデザイン
◇「RED」をDVDで。ブルース・ウィリス、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレン、モーガン・フリーマンがRetired Extremely Dangerous(引退した超危険な)スパイとして、自分…
「白人は、みんなが同じ顔になるように、わたしたちを丸めこむ」
ナンシー・ウッド『今日は死ぬのにもってこいの日』(めるくまーる)。ネイティブ・アメリカンの思想とファッションについて書く必要が出てきたので、読んだ資料。宇宙的な…
「被災地じゃねえ正念場だ。」
19世紀に大英帝国の拡大とともに世界に広がったのが、英語とスーツとジェントルマン理念。その余波が今に及ぶ。スーパークールビズを考えるときには、「ではそもそもなぜいったい亜熱帯に住むわれわれまでが、寒いヨーロッパで生まれたスーツを着ているのだ?」という原点から見直してみなくてはならないと思うんだが。
英語とスーツとジェントルマン理念のように、言葉と衣装と理念は、完璧と思える三位一体になると、強い影響力を及ぼすことがある。
ここで引き合いに出すのはヒンシュクものと感じる人がいるかもしれないが、「言葉と衣装と理念」が一体になった強力なメッセージとしても心打たれた、盛岡の広告マンらによる「復興の狼煙」プロジェクト。力強いことば、服と表情、そして「被災地じゃねえ正念場だ。」の心意気。被災地に対するウェットな感情を飛び越え、アート作品としても敬意を捧げたくなる。
http://fukkou-noroshi.jp/
ポスターを買えば、義援金となる。
また、ここで一緒にしたら狼煙プロジェクトには申し訳ないかもしれないが、この名(迷)コピーと服とスピリットも、つきぬけている。FBで山口淳さんに教えてもらったもの。メンズナックルなどでやっていたアレが、さらにバージョンアップした感じの、ホストナックル編。
http://matome.naver.jp/odai/2125566699177299415
服+パワフル(すぎる)言葉+スピリットで、無敵なヒトたち。ホストだって生き残りをかけて闘わなくてはならない。中途ハンパでは誰も見向きもしない。「これが人間を超越した先にある奇跡の世界だ」「神の視点でしかオレを理解できないぜ」……た、たしかに。
対象に「なり潰れる」
あの「PRESIDENT」誌が「幸せになる練習」特集。それほどいま「不幸」感を抱えている人があふれているということの反映か。実際、自分も思わず反応して買ってしま…
サギング・トラウザーズは、なぜすたれないのか?
一時期、日本の若い男の子の間でも流行った「ズボンの下げ履き」。英「ガーディアン」に最近の状況を伝える記事が出ていた。5月9日付。'Belt Up, youg man' by Alex Needlam. 以下、面白いと思った部分を大雑把に抜粋。
Sagging…
「知性に肺活量をつける」
鷲田清一『わかりやすいはわかりにくい?―臨床哲学講座』(ちくま新書)。これまで読んできた鷲田先生の本と重複する部分も多々ありながら、やっぱり「知性の王道」だなあ…
サヴェッジ・ビューティー
キャサリン妃がウェディングドレスに選んだことで再評価の機運も高まっているブランド、アレクサンダー・マックイーン。NYのメトロポリタン・ミュージアム・オブ・アートで創始者の故アレクサンダー・マックイーンの作品の回顧展が行われている。NYタイムズにスージー・メンケスの記事(5月2日付)と、ほんの少しの作品だが、スライド写真あり。
http://www.nytimes.com/slideshow/2011/05/02/fashion/fmet03.html
死のイメージ、血、野蛮、SM、闇、プリミティズムなどの、ダークなロマンティシズムを洗練の「美」に昇華して、気持ちをざわめかせたり、苦くて甘美な感情をかきたてたり、思考を促したりしてくれる。
悪名高い「バムスター」(下げ履きパンツの元祖になった)が、サヴィルローのテイラードの技術があったからこそ可能だったという指摘に、なるほど、と。基礎的な力量ががっちりあるからこそ、想像を自由にカタチにできるのだ、たぶん。
ガリアーノのほうは、現在、裁判がおこなわれている。数週間前に弁護士を「解雇」していたりと、あまりはかばかしい進展ではないようだ。(ともにイギリス出身のマックイーンとガリアーノは、同じめまぐるしいモードのシステムの犠牲になったデザイナーではないかと思い、ついセットにして考えてしまっている)。
「そう考えることが、美しい」と思われることの、「ほんまかいな」
田辺聖子『欲しがりません勝つまでは』(ポプラ文庫)。1977年に刊行されたものが、2009年にポプラ文庫になった版。第二世界大戦の前夜からその最中、終りまでを、…
「骨惜しみだけが人生の空費となる」
◇浅田次郎『すべての人生について』(幻冬舎文庫)。小松左京、津本陽、北方謙三、渡辺惇一、岩井志麻子、宮部みゆき、山本一力ら14人の大物さんたちとの対談集。浅田次郎のエッセイによくでてくるネタがかぶっていたところもあったが、相当の準備をして対談に臨んだことがうかがわれる。一切の手抜きをしないプロフェッショナリズムに、あらためて感心。
それぞれ面白いのだけど、とりわけインパクトがあったのが、山本一力との対談。ふたりとも大借金王で、人生の浮沈をいやというほど経験しているだけあって、笑って紹介されるエピソードにもフィクション顔負けの凄みがあった。
なかでも、「仕事をする」ということに関して光っていたことば。吉川栄治文学賞の受賞パーティーでの話。同時受賞者が北海道で僻地医療に42年間専心してきた老齢のお医者様だったそうなのだが、その方はパーティー半ばで浅田氏に近づき、「これで失礼します。患者が待っていますから」と言って会場を出て行ったとのこと。
浅田「それだけのことなんだが、鮮烈でしたね。胸が震えました。仕事をしている人は誰でも公器、公の存在なのだとつくづく思ったのです。仕事をする限り、誰かと関わっているんだ。私が書いたものも一人でも二人でも楽しんでくれて、なかにはその人生や生き方に影響を及ぼすかもしれない。そのことをいつも頭に入れて、あの人が『患者が待っている』とさり気なく言われたように、私も『読者が待っている』とごく普通に言えるようにならなければならないと、褌を締め直す気持ちになりました」。
あとがきも、読ませる。
「世の中何だってそうだが、無駄な努力というものはない。骨惜しみだけが人生の空費となる」。
共感。高校生向けの講演などでも言っているが、真剣にとりくめば、無駄なことなどひとつもない、と思う。必ずあとで(何年先になるかわからないが)その果実がかえってくる。これやっても時間のムダ、と思って手抜きしたりこっそり内職したりすることこそが、最大の空費になる。
◇朝日新聞28日付オピニオン欄、高橋源一郎「身の丈超えぬ発言に希望」。昨日の斎藤氏の提言をさらに深めるような議論に加えて、城南信用金庫の理事長による「脱原発宣言」が紹介されていた。
「そこで目指されているのは、すっかり政治問題と化してしまった『原発』を、『ふつうの』人びとの手に取りもどすことだ。『安心できる地域社会』を作るために、『理想があり哲学がある企業』として、『できることから、地道にやっていく』という彼らのことばに、難しいところは一つもないし、目新しいことが語られているわけでもない。わたしは、『国策は歪められたものだった』という理事長の一言に、このメッセージの真骨頂があると感じた。『原発』のような『政治』的問題は、遠くで、誰かが決定するもの。わたしたちは、そう思いこみ、考えまいとしてきた。だが、そんな問題こそ、わたしたち自身が責任を持って関与するしかない、という発言を一企業が、その『身の丈』を超えずに、してみせること。そこに、わたしは『新しい公共性』への道を見たいと思った」。
力強いことばに導かれて、城南信用金庫理事長のメッセージを聞く。迷いなく、まっすぐな視線とともに発せられることばに、背骨がのびる思い。こんな素敵な経営者がいたのだ。
http://www.youtube.com/watch?v=CeUoVA1Cn-A
国策は歪められたものだった。影響力のある?タレントやブンカジンはカネ持ち企業の操り人形だった。そんなこんなの背景があばかれた今、理想や哲学をもつ企業や個人が、国や「エラい人」に問題を丸投げせず、身の丈に応じて発言し、地道に行動していく態度を表明することが、地に足のついた「希望」を感じさせてくれる。
「勇気の伝染」
◇「25ans」6月号発売です。ロイヤル婚特集にて、歴代の英王室のロイヤルウーマン5人分のラブストーリーと総論、「スローニー」ファッション特集にて扉の解説コラムを書い…
「芸能を通じた心のインフラ確保」
朝日新聞23日(土)朝刊、オピニオン欄。「いまこそ歌舞音曲」。悲嘆、自粛ムードが世を覆い、復興に向けて具体的に建設的に貢献しなくてはいけないというプレッシャーが…
「打たれても打たれても舞台に立ち続けること」
野地秩嘉『一流たちの修業時代』(光文社新書)。会社創業者、アーティスト、職人、営業マンなど、15人の一流の人たちが登場。今は輝かしい成功者として名高い彼らが、「…

