
サスペンダー 隠すか見せるか
河野太郎選対代理が辞表提出。 いまのところ河野氏だけが選挙の結果の責任をとる意図を示す具体的行動をとった形。
以下、政治に関する意見とは無関係の、ホントにどうでもいい話ですが、
河野氏はサスペンダー姿で会見しました。
伝統的なビジネスマナーにおいてサスペンダーは「下着の一部」とされ…

まだ名もない光が、ようやく灯る
ラグジュアリー視点で考える日本の文化と工芸の記事を英語にして、noteで淡々と発信し続けて2年近く経った。そもそも取材の経費はすべて自分もちで原稿料など微々たるもの(英語版では完全にゼロ)、取材先に喜ばれるわけでもないし、反応も薄い。日本にはこんな埋もれた技術やローカルな思想があり、それに従事するユニークな職人がいるよということが海外の伝わればという思いから始めたことではあったが、こんな状態ではまったく誰得なのか、エネルギーと時間の無駄遣いだよなあ……と心折れかけていた。
ところが。先日、イギリスの某有名大学で教鞭をとる、ラグジュアリーマネージメントの専門家から連絡をいただき、昨日、オンラインで話をした。彼女は私の英語の記事をすべて読んでいる、と言ってくれた。そのうえで、ある提案をしてくれた。私一人では絶対に出てこないアイディア、しかしおそらく(こんな利益にもならず、日本では見向かれもしないことを愚直にやっている)私にしか協力できないグローバルなプロジェクトの構想だった。
全く予想もしなかった、不意打ちの大きなリウォードだった。暗闇を孤独に彷徨ってる迷走感が続いていたが、ようやく少し扉が開かれ、光明が見えた思いがする。
本当の奮闘はむしろこれから、なのだろう。
前例もないし、実現するかどうかもわからない。
ただ、この扉を大きく開いて、せめて後に続こうという若い人達が希望を失わないでいられる程度の光は届けたい。
報われない思いがする仕事を淡々と続けているすべての方に、どうかあきらめないで、誰かがどこかで見ている(こともある)、とお伝えしたい。
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「スーツにリュック」の源流
中島敏郎『英国流 旅の作法』(講談社学術文庫)を読み返していたら、ペデストリアン・ツアーについて書かれたところで「スーツにリュック」の源流と思われるイラストに遭遇した。
(以前も見ていたはずなのだが、現代生活のなかでス―ツにリュックを不思議な光景として見ていたので、意識の中に入ってきたのでしょうね)
1780年代のイングランドでは、歩いて移動することは、貧しくて階層も下であることのあらわれと見られていた。ところが10年経った1790年代には、少数の上流階級の人々が歩き出した。ただ、歩く人は散策で歩いている「しるし」を服装であえて示さなくてはならなかったとのこと。それがこのリュックでしょうか。
「スーツにリュック」は決して21世紀の日本特有の光景ではなく、源流は1790年代の「自然」にロマンを求め始めたイングランドの徒歩ツアーに源流がある、ということで。
図のクレジットは次の通り:Sylvanus…

パリ・ファッションウィーク®に関する正しい知識を
半年以上前にパリコレ詐欺でコメントした朝日新聞の記事に関し、 なぜか今また反応が活発になった。またどなたか学生さんが「パリコレにモデルとして出ました」とSNS投稿して炎上しているらしい。
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THREE ROLL TWO 「三つボタン段返り」
ナポリスーツの特徴に「三つボタン段返り」というのがある。
ジャケットのフロント部分に3つのボタンがありながら、通常は真ん中のボタンだけを留める仕様。上のボタンはラペルの折り返し部分に隠れており、見た目には二つボタンのようなバランスと、三つボタンのフォーマルさを兼ね備えている。
ヴィンチェンツォ・アットリーニが、1920年代後半に、従来の堅いスーツから余分なパッドや芯地をそぎ落とし、軽快で柔らかなジャケットを考案。この進化のなかで、ナポリ独特のボタンスタイル「段返り」が生まれた、ということになっている。
『王様の仕立て屋』Vol.…

BCG×アルタガンマ ラグジュアリーレポート2025とローカルラグジュアリー
ボストン・コンサルティング・グループとイタリアの業界団体アルタガンマが共同で発表したラグジュアリー業界の調査レポート、2025年版が発行された。
これによれば、世界の…

SPUR オールタイムフレグランス ベスト
SPUR オールタイムフレグランス ベスト2025 ご協力させていただきました。
試香の機会をくださいましたブランドの皆様にも感謝します。ありがとうございました。
各部門、…

8月11日 雅耀会第4回 ご案内
ラグジュアリー文脈のなかで伝統工藝を考える雅耀会、第4回のご案内です。COS KYOTO 株式会社代表取締役の北林功さんをお迎えして、「ローカルラグジュアリーを再考する 工藝×文化ビジネス」をテーマに開催します。
「地場産業は日本固有の資源であり、これからの世の中に必要な知恵が詰まっている。その可能性は、新たなビジネスモデルや販路開拓によってまだまだ広がる」と語る北林氏。COS…

スーツ生誕祭に向けて
KASHIYAMAの動画サイト、「Be Suits! 服学」で講師を務めた「スーツの歴史」「世界のスーツ」がおかげさまで好評をいただき、続編の機会をいただきました。コメントも多々いただきありがとうございました。
今回は「女性とスーツ」「マフィアとスーツ」をテーマに収録しました。ともに準備に膨大な時間がかかりました。たくさんの写真を用意したり、ホワイトボードなどの機材を用意したりときめこまやかにご対応いただいたのは、LuaazのZ世代の撮影メンバーのみなさまです。ありがとうございました。
来年はスーツ生誕360年です。スーツなんて義務的に冠婚葬祭の時しか着ないもの……と思い込んでいる新しい世代に、少しでもスーツの歴史の深さと広がりの面白さに触れていただけたら幸いです。
*お問い合わせもいただいておりますが、番組内で私が着用しているスーツは何年も前から着ている廣川輝雄さん(現在The…

天国と地獄は隣あわせ
横浜・三渓園は蓮のシーズン。
清らかで可憐な蓮の花よりも強烈な印象を残したのが、池で繰り広げられていた大勢の亀とすっぽんのバトル。全速力で泳ぐすっぽんなんて初めて見た…。闘争心丸出しですっぽんを蹴落とそうとする亀たちも、目が赤く光って戦隊のようだった。
写真中央、頭のとがった、大きな甲羅の亀がすっぽんです。
蓮の花を観賞して心を静かに浄化するはずだったのですが😅
天上の平和な美と熾烈な生存競争が隣り合わせという寓話のような光景。
Sankeien…

「ウィンザーノットの男は信用できない」
「ジェームズ・ボンドはウィンザーノットでネクタイを結ぶ人間を信用しなかった。虚栄心が強すぎることの表れだった。たいてい、いかがわしい人物の印でもあった」。
とりわけそれがオレンジ色の極太ノットだった場合には、このイアン・フレミングのフレーズがふと頭をよぎるのです.
(ある政党の党首のタイを見て思い出したフレーズでした。)
*ボンドはシングルノットを小さめにきりりと。英王室の正統も小さめシングルノットですね。ウィンザーノットの名前のオリジンとなったウィンザー公(エドワード8世)は、ウォリス・シンプソンと結婚するために国王の地位を放棄した後、ウォリスとともにナチス寄りの行動をとり、英国を事実上、追放されています(本人はお幸せな人生だったろうと拝察しますが)。自伝によれば、ウィンザーノットと命名したのはアメリカ人であって、本人ではありません。
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ブランドの文化戦略 <ラグジュアリー・ルネサンス>
日経夕刊連載「ラグジュアリー・ルネサンス」。本日付けでは、ブランドの文化戦略について書いています。シャネルがマガジンを出し、サンローランが映画を作り、ボッテガ・…

フランス人の「傲慢」とベルサイユ宮殿
アラン・デュカス氏が語ったことでもうひとつ、印象に残ったことばがある。
「フランス人が傲慢でいられるのはベルサイユ宮殿があるからだ」。
ベルサイユ宮殿みたいな、どこの国も真似できない豪華の極み…

パレスホテル東京「エステール」でアラン・デュカス氏を囲む昼食会
パレスホテル東京のレストラン「エステール by アラン・デュカス」が5周年を迎えました。おめでとうございます。来日中のアラン・デユカス氏を囲む昼食会が開かれました。
エステールの料理には、フランス料理のDNAと日本的な繊細さが共存しており、自然の恵みを尊重する「職人としての料理人」というデュカスの哲学が根底にあるそうです。料理は模倣ではなく、自然や文化からのインスピレーションを経て創造されるべきものであり、それが「唯一無二の体験」として記憶に残るとデユカス氏は語りました。
<ラグジュアリー>
せっかくの機会でしたので、デュカス氏のラグジュアリー観も質問しました。「ラグジュアリーとは、職人が手がけた一点物である」という信念を語り、日本の職人文化を「世界最高峰」と称賛。長年モナコで腕を磨いた小島景シェフを「フランス人であり日本人である、理想的なブレンド」と表現し、日仏の融合を体現する唯一無二の存在として信頼を寄せていたのが印象的でした。お二人の長年にわたる強い絆を感じました。
また、料理だけでなく、器、空間、サービス、人の気配。そうした無形の素材こそが、記憶に残る贅沢を生むと強調。「デリシャス」という言葉には「心地よさ、美しさ、優しさ」が含まれており、五感と心に響く体験の提供こそが自身の使命である、と語りました。
<未来の構想>
デュカス氏は、「美味しい食事とは、単なる栄養摂取ではなく、美しい思い出を生むもの」と定義したうえで、ベジタリアンを基本とした新しい大衆食堂「サピド」を構想中であることも紹介しました。ソウルへの進出や、フランスでの歴史建造物の再活用(ジャン・プルーヴェ設計「メゾン・デュ・プープル(MDP、メゾン・デユカス・パリの頭文字にもなる)」の再生計画)など、社会的・文化的インパクトを伴う食のあり方を追求する姿勢に、彼が料理人を超えた文化人として敬われる理由を見る思いがします。
若い才能の発見にも積極的で、シリアやメキシコなど困難な状況から生まれる料理人にも注目。「明日はより良い日になると信じなければならない」という言葉に象徴されるように、不確実な時代だからこそ前を向いて進むべきだという、力強いメッセージを最後に残されました。
<一流と超一流を分かつもの>
一流の料理人は多いけれど、超一流となると限られてくる。その違いはどこで生まれるのか?とも質問してみました。デユカス氏の答えは「情熱と意欲」。なるほど、分野をとわずこれを持続させることができる人が、突き抜けていくのでしょう。
美食を超えた文化の料理のあり方を再考させる、永く記憶に残るであろう時間でした。前日には書籍も発売されたばかり(祝!)、参加者ひとりひとりにサインを入れて手渡してくださいました。
パレスホテル東京の総支配人、渡部勝さんはじめスタッフのみなさま、ありがとうございました。スタッフひとりひとりが、マニュアルではなく、お気持ちのこもったサービスをしてくださるんですよね…。渡部勝GMは、「トラベル+レジャー」の2025年アジアパシフィックの読者投票にて、総支配人部門で日本の1位を獲得しています(祝!)
Esterre…

「ブリティッシュ・アイビー」GQ記事 ウェブ転載されました
近年、日本で耳にする「ブリティッシュ・アイビー」なるファッショントレンド。
GQに寄稿した記事がウェブ転載されました。
イギリスではあまり聞かない表現なのですが(植物のアイビーのことかと思われる)、その源流を解説しました。
「アイビー」はアメリカで確立されたスタイルですが…

人文学が工芸を救う
北日本新聞別冊連載「ラグジュアリーの羅針盤」Vol. 32は、「世界観を編む叡智 人文学がローカルな工芸を救う」
雅耀会でお迎えした立川裕大さんの講演から連想を広げ、世…

闇をくぐり抜け、光をまとう セルジュ・ルタンス「ルペルスヴァン」
セルジュ・ルタンスの紹介と新作「ルペルスヴァン」を発表する資生堂のプレゼンテーション。
セルジュ・ルタンスは、「香水のクリエイター」という枠に収まりきらない。写真家、映像作家、ディオールや資生堂のクリエイティブディレクター、何より、香りに人生のすべてを託す「語り部」として、独自の美学を貫いてきたマエストロ。
1942年、フランス北部リールで婚外子として生まれた彼は、幼少期から孤独と疎外を抱えて育った。母に置き去りにされ、いじめのような目にもあった少年時代。その痛みはやがて、優しさと同等の感覚になって、香りという形に昇華されていく。
14歳で美容師としてキャリアを始めたのち、ヴォーグ誌のビューティー部門に見出され、やがて資生堂のイメージ刷新に寄与。自身のブランドを立ち上げたのは、60歳目前という遅咲きの決断だったが、込められた緻密さと深さは群を抜いて別格だった。
そして2025年、彼が世に問うた最新作が《ルペルスヴァン》。「風を突き抜けるもの」を意味するこの名は、ルタンス自身が創り出した造語であり、一篇の詩でもある。
この香りは、人生の嵐の中で、一瞬の安息と希望を与えるものに近い。雪を破って咲くスノードロップ(雪割草)に着想を得たという名前と香りは、前例がなく、なにげないのに強い。
ムスクを基調に、果実と花が交錯し、ルタンスが独自に名づけた「モヘア」というファミリーに属するこの香りは、肌に寄り添うように変化し続ける。主張することなく惹きつけ、密やかな対話を誘うような存在感。内面と静かに響き合う香りです。
ルタンスにとって香りは、言葉では届かない感情を伝える仲介者であり、時には救済そのものだという。《ルペルスヴァン》の静かな佇まいの背景にも、彼の人生の大きな転機となったモロッコでの体験が息づいている。
1968年、カサブランカの地に降り立った若きルタンスは、オレンジの花の香りに包まれて、自らの傷と向き合う時間を過ごした。以後、モロッコは彼にとって「光と再生の国」となり、多くの香水に影響を与えてきた。
《ルペルスヴァン》は、彼のそんな人生の集大成ともいえる作品。傷つきながらも前を向くすべての人に、光を届ける。そんな祈りのような神聖な感覚のある香り。個人的にはこの夏の記憶の一部はこの香りと結び付けようと思うほど魅了されました。
Serge…

半年間のラグジュアリーゼミナール
While education and discussions around luxury are gaining momentum in many countries outside Japan, the topic is still often avoided or met with indifference here.
Each time I’ve been invited to speak at various venues, I’ve advocated…

ラグジュアリーは、装いによって自己と文化の形を変える力である
新著『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』、全11章の各章の扉につけた格言風のことばのなかから、たとえば第6章「ラグジュアリーブランドの系譜」の扉につけた次の言葉をちょっと補足させていただきたい。
Luxury…

Not to cover. To reveal meaning. That is apparel. 「覆うためではなく、意味をあらわすため。それが装いだ」
『「イノベーター」で読むアパレル全史 増補改訂版』本日、発売です。
ご協力を賜りました方々に、あらためて、厚くお礼を申し上げます。
各章扉につく格言(英語・日本語)も、著者の私が作成いたしました。先人の名言をもっともらしく引用するのはもう十分、やりつくされた感もあります。自分が新しく言葉を作ってもよいのではないかと思い、挑戦しています。
西洋と日本、ハイブランドから日本の先駆者、裏原から伝統工芸まで、100人の変革者を通してアパレルの今を概観しました。
初版にあった口絵の年表をはずし、代わりに、LVMH、ケリング、リシュモン、それぞれの傘下にある全ブランドを一覧にしました。エルメスの家系図もつけております。巻末には日本のファッションブランド一覧をつけました。参考文献、参考映画一覧も整え、全494頁です。
“The…

